(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104759
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/10 20170101AFI20170316BHJP
G01D 11/28 20060101ALI20170316BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20170316BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
B60Q3/04 Z
G01D11/28 L
B60K37/00 Z
B60K35/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-179254(P2013-179254)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-47903(P2015-47903A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 聡
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−123406(JP,A)
【文献】
特開2011−027929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/10
B60K 35/00
B60K 37/00
G01D 11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する意匠パネルと、
前記意匠パネルの後方に配置され、光源からの光を前記意匠パネルへと導く導光体と、
前記導光体の後面に合致し、光を透過する材料で形成されたレンズベースと、
を備え、
前記導光体の後面は、光を散乱させる凹凸形状を有し、
前記導光体は、前記意匠パネルに対向する光放射面を有し、
前記光放射面の曲がり具合は、前記意匠パネルの後面の曲がり具合と異なることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用照明装置において、
前記意匠パネルの後方、かつ、前記導光体の前方に配置され、光を透過するレンズを備え、
前記レンズの後面には前記光放射面と合致する形状が形成されており、前記光放射面に前記レンズの後面が合致し、
前記意匠パネルは、前記レンズの前面を覆っており、
前記導光体は、その側面に照射された光を散乱させて前記レンズへと導くことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用照明装置において、
前記光放射面は、光を散乱させる凹凸形状を有することを特徴とする車両用照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用照明装置において、
複数の光源を備え、
前記光放射面が有する凹凸形状は、所定方向に伸びる谷および山が当該所定方向に交わる方向に繰り返される波形状であり、
複数の光源が前記波形状の周期間隔よりも長い間隔で、前記導光体の傍らに配置されていることを特徴とする車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関し、特に、光を透過する意匠パネルを備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントパネルには、回転式や押しボタン式のスイッチ、タッチディスプレイ等が配置されている。タッチディスプレイは、タッチスイッチとディスプレイの機能を兼ね備えた装置である。ユーザは、スイッチやタッチディスプレイの操作によって、オーディオ機器、空調装置等のアクセサリ機器の操作を行う。タッチディスプレイにはアクセサリ機器の動作状態が表示される。
【0003】
フロントパネルには、照明(イルミネーション)によって装飾が施されるものがある。例えば、以下の特許文献1に記載されている車両用コントロールパネルは、制御用スイッチのプッシュボタンが配置された意匠パネルを含み、プッシュボタンが、電気回路基板上の光源から筒状の導光路によって導かれた光によって発光する。また、特許文献2には、車両装備機器の制御パネルユニットの照明装置が記載されている。この照明装置では、点光源によって意匠パネルの所定部分を照明し発光させる。特許文献3には、本願発明に関連する技術として、自動車等に用いられる照明装置が記載されている。この照明装置では、インナードアハンドル、速度メータの指針、アシストグリップ等の部材が、LEDランプによって照明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−132917号公報
【特許文献2】特開2006−126543号公報
【特許文献3】特開2005−32565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の照明装置については、照明が単調であることから美観上の物足りなさを感じているユーザが見受けられる。しかし、美観に工夫を凝らすと照明装置の構造が複雑となることが多い。
【0006】
本発明は、車両用照明装置について、美観を奏する構造を単純化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光を透過する意匠パネルと、前記意匠パネルの後方に配置され、光源からの光を前記意匠パネルへと導く導光体と、
前記導光体の後面に合致し、光を透過する材料で形成されたレンズベースと、を備え、
前記導光体の後面は、光を散乱させる凹凸形状を有し、前記導光体は、前記意匠パネルに対向する光放射面を有し、 前記光放射面の曲がり具合は、前記意匠パネルの後面の曲がり具合と異なることを特徴とする。
また、本発明に係る車両用照明装置は、望ましくは、前記意匠パネルの後方、かつ、前記導光体の前方に配置され、光を透過するレンズを備え、前記レンズの後面には前記光放射面と合致する形状が形成されており、前記光放射面に前記レンズの後面が合致し、前記意匠パネルは、前記レンズの前面を覆っており、 前記導光体は、その側面に照射された光を散乱させて前記レンズへと導く。
【0008】
また、本発明に係る車両用照明装置は、望ましくは、前記光放射面は、光を散乱させる凹凸形状を有する。
【0009】
また、本発明に係る車両用照明装置は、望ましくは、複数の光源を備え、前記光放射面
が有する凹凸形状
は、所定方向に伸びる谷および山が当該所定方向に交わる方向に繰り返される波形状
であり、複数の光源が前記波形状の周期間隔よりも長い間隔で、前記導光体の傍らに配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両用照明装置について、美観を奏する構造を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るフロントパネルを示す図である。
【
図3】ベースパネルおよびカバーに収容される部分の分解斜視図である。
【
図6】
図4のCD線断面における左照明固定部を示す図である。
【
図7】タッチディスプレイおよびその周辺機器の機能的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には、本発明の実施形態に係る自動車のフロントパネル10が示されている。フロントパネル10は車室の前方に配置され、タッチディスプレイ12、アクセサリ機器の押しボタン式スイッチ14、空調装置の通風口16、ハザードスイッチ18等を備える。タッチディスプレイ12は、タッチスイッチとディスプレイの機能を有する。ユーザは、押しボタン式スイッチ14やタッチディスプレイ12の操作によって、オーディオ機器、空調装置等のアクセサリ機器の操作を行う。タッチディスプレイ12にはアクセサリ機器の動作状態が表示される。
図1に示される例では、タッチディスプレイ12には、ミュージックプレーヤの操作キー、および再生中の音楽の周波数スペクトラム、トラック番号および再生時間が表示されている。タッチディスプレイ12に表示された操作キーにユーザが触れることで、ミュージックプレーヤの操作が行われる。
【0013】
タッチディスプレイ12の左右両側には照明装置20が設けられている。この照明装置20は、車内の装飾に用いられる他、アクセサリ機器の動作状態を表すインジケータとして用いられてもよい。照明装置20により車内の居住性が向上する。
【0014】
図2には、タッチディスプレイ12の分解斜視図が示されている。タッチディスプレイ12は、この分解斜視図に示された構成要素が組み立てられた上で、自動車のフロントパネル10に取り付けられる。
図2のx軸正方向は、タッチディスプレイ12の前方(タッチディスプレイ12から車室に向かう方向)に対応する。y軸正方向は、タッチディスプレイ12に向かって右方向に対応する。z軸正方向は、鉛直上方向に対応する。
【0015】
タッチディスプレイ12の筐体は、ベースパネル22およびカバー38を備える。カバー38は、後述のように、タッチディスプレイ12を制御するための電子回路を覆う。ベースパネル22は、左照明固定部24L、右照明固定部24R、上枠26、および下枠28を備える。
【0016】
左照明固定部24Lおよび右照明固定部24Rは、それぞれ、前方に開口した凹み部30を有する容器形状をなす。後述のように、左照明固定部24Lの凹み部30には左照明装置20Lが固定され、右照明固定部24Rの凹み部30には右照明装置20Rが固定される。左照明固定部24Lの右上の前方の角と、右照明固定部24Rの左上の前方の角との間には上枠26が接続されている。左照明固定部24Lの右下の前方の角と、右照明固定部24Rの左下の前方の角との間には、下枠28が接続されている。
【0017】
左照明固定部24Lの右側の側面34L、右照明固定部24Rの左側の側面34R、上枠26および下枠28で形成されるディスプレイフレームには、ディスプレイ36が嵌め込まれている。ディスプレイフレームの開口には、ディスプレイ36の表示面が現れている。ディスプレイ36には、例えば、TFT液晶ディスプレイ(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)が用いられる。
【0018】
図3にはベースパネル22およびカバー38に収容される部分の分解斜視図が示されている。ディスプレイ36は、ベースパネル22に後方から嵌め込まれる。ディスプレイカバー40は、ベースパネル22に嵌め込まれたディスプレイ36を後方から覆い、ディスプレイ36を覆った状態でベースパネル22に固定される。ディスプレイカバー40には、後方から画像処理基板42が固定される。画像処理基板42には、後方から制御基板44が固定される。画像処理基板42に実装された画像処理回路はアクセサリ機器に接続されており、アクセサリ機器の制御に基づいて画像データを生成し、ディスプレイ36にその画像データに基づく画像を表示させる。制御基板44に実装されたタッチ制御回路は、後述のタッチスイッチの制御を行う。制御基板44には、左照明装置20Lおよび右照明装置20Rの制御を行う照明制御回路が実装されてもよい。カバー38は、ディスプレイ36、ディスプレイカバー40、画像処理基板42、および制御基板44を後方から覆った状態で、ベースパネル22に固定される。
【0019】
図2に戻ってタッチディスプレイ12の構成について引き続き説明する。右側照明装置20Rは、レンズ46R、導光体48R、レンズベース50R、および照明基板52Rを備える。導光体48Rは、前方からレンズベース50Rに固定され、レンズ46Rは前方から導光体48Rに固定される。照明基板52Rには、複数の発光ダイオード54が縦方向に配置されている。照明基板52Rは、各発光ダイオード54が配置された面を導光体48Rの側に向けて、レンズ46R、導光体48Rおよびレンズベース50Rにおけるディスプレイ36側(y軸負方向側)を臨む側面に固定される。このように、レンズ46R、導光体48R、レンズベース50R、および照明基板52Rが結合されることで右照明装置20Rが組み立てられる。組み立て後の右照明装置20Rは、右照明固定部24Rの凹み部30に固定される。
【0020】
同様に、左側照明装置20Lは、レンズ46L、導光体48L、レンズベース50L、および照明基板52Lを備える。導光体48Lは、前方からレンズベース50Lに固定され、レンズ46Lは前方から導光体48Lに固定される。照明基板52Lには、照明基板52Rと同様、複数の発光ダイオードが縦方向に配置されている。照明基板52Lは、各発光ダイオードが配置された面を導光体48Lの側に向けて、レンズ46L、導光体48Lおよびレンズベース50Lにおけるディスプレイ36側(y軸正方向側)を臨む側面に固定される。このように、レンズ46L、導光体48L、レンズベース50L、および照明基板52Lが結合されることで左照明装置20Lが組み立てられる。組み立て後の左照明装置20Lは、左照明固定部24Lの凹み部30に固定される。
【0021】
ベースパネル22の前方からは、美観を奏する意匠パネルとしてのスモークパネル58が取り付けられる。スモークパネル58は、光を透過するプラスチック樹脂で形成され、色彩や表面形状につき美観を奏する加工が施されたものである。スモークパネル58の色彩は、中央から両端に向かうに従って濃厚とする等、グラデーション調としてもよい。スモークパネル58の後面には、電極シート56が接合される。電極シート56は、縦方向および横方向に配列された複数の透明な電極を備える。各電極は、上述の制御基板44に接続される。各電極と制御基板44に実装されたタッチ制御回路はタッチスイッチを構成する。
【0022】
図4には、タッチディスプレイ12の正面が示されている。スモークパネル58には、左照明固定部24Lの開口の縁、右照明固定部24Rの開口の縁、上枠26および下枠28を覆い隠す加工が施されている。このような加工には、例えば、覆い隠すべき領域に黒色等の濃い色彩を施す加工や、不透明な板状の部材を接合する加工がある。
【0023】
スモークパネル58の左右には、光を透過する左照明窓60Lおよび右照明窓60Rが形成されている。左照明装置20Lおよび右照明装置20Rは、それぞれ、左照明窓60Lおよび右照明窓60Rを介して光を放射する。左照明窓60Lおよび右照明窓60Rに挟まれる位置には、光を透過するタッチ窓62が形成されている。ディスプレイ36は、タッチ窓62を介して画像を表示する。タッチ窓62の後面には、電極シート56が接合されており、タッチ窓62は人体を接触させるタッチ面として機能する。タッチ窓62にユーザの指等の人体が接触すると、人体に対向する位置にある電極の静電容量が変化する。制御基板44に実装されたタッチ制御回路は、電極の静電容量の変化に基づき、アクセサリ機器を制御する。
【0024】
図5には
図4のAB線断面が示されている。左照明固定部24Lの凹み部30にはレンズベース50Lが固定されている。レンズベース50Lの前面には、横方向に伸びる山および谷が、縦方向に繰り返される波形状が形成されている。この波形状を形成する山は、例えば、半円形状とする。導光体48Lの前面および後面には、レンズベース50Lと同様の波形状が形成されている。導光体48Lの後面に形成された波形状は、レンズベース50Lの波形状と噛み合う。レンズ46Lの後面には、導光体48Lと同様の波形状が形成されている。レンズ46Lの後面に形成された波形状は、導光体48Lの前面の波形状と噛み合う。レンズ46Lの前面は、zx平面に平行な断面内で曲線を描く曲面状に形成されている。レンズ46Lの前面は、スモークパネル58の左照明窓60Lに覆われている。レンズ46L、導光体48L、およびレンズベース50Lは、例えば、光を透過するプラスチック樹脂によって形成される。
【0025】
図6には
図4のCD線断面における左照明固定部24Lの部分が示されている。レンズベース50Lの前面は、xy平面に平行な断面で曲線を描く曲面状に形成されている。同様に、導光体48Lの前面および後面、さらに、レンズ46Lの後面もまた、xy平面に平行な断面で曲線を描く曲面状に形成されている。レンズ46Lの前面は、zx平面に平行な断面では曲線を描いているが、xy平面に平行な断面では直線を描いている。ただし、レンズ46Lの前面は、zx平面に平行な断面、およびxy平面に平行な断面の少なくとも一方で曲線を描く形状、すなわち、任意の曲面形状であってもよい。同様に、スモークパネル58の左照明窓60Lは、xz平面に平行な断面では曲線を描いているが、xy平面に平行な断面では直線を描く。ただし、左照明窓60Lは、zx平面に平行な断面、およびxy平面に平行な断面の少なくとも一方で曲線を描く形状、すなわち、任意の曲面形状であってもよい。導光体48Lの後面は、レンズベース50Lの前面に合致する。レンズ46Lの後面は、導光体48Lの前面に合致する。
【0026】
照明基板52Lは、各発光ダイオード54が配置された面を導光体48Lの側に向けて、レンズ46L、導光体48Lおよびレンズベース50Lにおけるディスプレイ36側を臨む側面に固定されている。複数の発光ダイオード54は、z軸方向に配列されており、配列間隔は、導光体48Lの前面および後面に形成された波形状の周期間隔よりも大きい。各発光ダイオード54は、例えば、導光体48Lと照明基板52Lとの間に位置させる。この場合、各発光ダイオード54は導光体48Lの側面に光を放射する。
【0027】
ここでは、左照明装置20Lの構造について説明したが、右照明装置20Rの構造は、左照明装置20Lと同様である。ただし、右照明装置20Rでは、レンズ46Rの前面がzx平面に平行な断面のみならず、xy平面に平行な断面においても曲線を描く。そして、スモークパネル58における右照明窓60Rもまた、zx平面に平行な断面のみならず、xy平面に平行な断面において曲線を描く。
【0028】
左照明装置20Lの照明基板52L上の各発光ダイオード54から発せられた光は、導光体48Lによって横方向に導かれると共に、導光体48Lの前面および後面における波形状に従って散乱される。導光体48Lによって散乱された光は、左照明窓60Lから車室に放射される。同様に、右照明装置20Rの照明基板52R上の各発光ダイオード54から発せられた光は、導光体48Rによって横方向に導かれると共に、導光体48Rの前面および後面における波形状に従って散乱される。導光体48Rによって散乱された光は、右照明窓60Rから車室に放射される。
【0029】
なお、ここでは、xy平面に平行な断面において導光体48Lおよび48Rの前後面が曲線を描く例について取り上げたが、zx平面に平行な断面において前後面が曲線を描く導光体48が用いられてもよい。すなわち、xy平面に平行な断面およびzx平面に平行な断面の少なくとも一方において導光体48Lおよび48Rの前後面が曲線を描く、任意の曲面形状を有する導光体48が用いられてもよい。また、導光体48Lおよび48Rの前後面は、波形状のような凹凸形状の他、光を散乱させながらも、光をスモークパネル58に導くようなその他の凹凸形状を有していてもよい。
【0030】
次に、タッチディスプレイ12の動作について説明する。
図7には、タッチディスプレイ12およびその周辺機器の機能的な構成が示されている。タッチディスプレイ12は、タッチ制御回路66、画像処理回路68、電極シート56、ディスプレイ36、タッチ窓62、左照明装置20Lおよび右照明装置20Rを備える。電極シート56およびタッチ制御回路66は、タッチスイッチ70を構成する。タッチディスプレイ12以外の周辺機器である、アクセサリ機器64、照明スイッチ72、および照明制御回路74は、車内の所定の位置に配置される。ただし、これらの周辺機器は、タッチディスプレイ12に組み込まれてもよい。
【0031】
画像処理回路68は、アクセサリ機器64の動作状態を示す画像データを生成し、ディスプレイ36にその画像データに基づく画像を表示させる。例えば、画像処理回路68は、オーディオ装置が再生している音楽のトラック番号や、再生時間、周波数スペクトラム等を示す画像をディスプレイ36に表示させる。また、画像処理回路68は、アクセサリ機器64の操作キーを示す画像データを生成し、ディスプレイ36にその画像データに基づく画像を表示させる。これによって、ディスプレイ36にはアクセサリ機器64の操作キーが表示される。
【0032】
タッチ窓62において、操作キーが表示された位置に対応する位置にユーザの手が触れると、電極シート56上の複数の電極のうち、ユーザの手が触れられた位置に対応する電極の静電容量が変化する。タッチ制御回路66は、アクセサリ機器64を制御し、静電容量が変化した電極に対応付けられた機能を実行させる。ディスプレイ36に表示される操作キーの位置に対応する電極に対し、アクセサリ機器64の機能を対応付けることで、そのキー操作に対して、その機能が対応付けられる。例えば、音量調整キーがディスプレイ36に表示される場合は、音量調整キーの位置に対応する電極に対し、音量調整機能が対応付けられる。タッチ制御回路66は、音量調整キーに対応する電極の静電容量が変化したときは、オーディオ装置の音量を調整する。
【0033】
照明制御回路74は、車室内に設けられた照明スイッチ72の操作に応じて、左照明装置20Lおよび右照明装置20Rにおける各照明基板上の発光ダイオードを点灯させる。また、照明制御回路74は、アクセサリ機器64の動作や、タッチスイッチ70の操作に応じて各照明基板上の発光ダイオードを点灯させてもよい。例えば、縦方向に配列された複数の発光ダイオードのうち点灯させるものを、オーディオ装置の音量に応じて切り替えてもよい。縦方向に配列された複数の発光ダイオードのうち下から数えてn個の発光ダイオードを点灯させる場合、点灯させる発光ダイオードの個数nをオーディオ装置の音量に応じて変化させることで、音量インジケータが構成される。
【0034】
本発明に係るタッチディスプレイ12によれば、次のような効果が得られる。以下の説明においては、左照明装置20Lおよび右照明装置20Rについて共通の構成要素については、末尾の「L」および「R」の符号を削除した符号を用いる。
【0035】
図2、
図5および
図6に示されているように、タッチディスプレイ12は、光を透過する意匠パネルとしてスモークパネル58を備える。左照明装置20Lの導光体48Lは、スモークパネル58における左照明窓60Lの後方に配置され、光源としての各発光ダイオード54からの光を左照明窓60Lへと導く。導光体48Lの前面は、左照明窓60Lの後面に対向し、左照明窓60Lに向けて光を放射する面である。このような光放射面としての導光体48Lの前面の曲がり具合は、左照明窓60Lの後面の曲がり具合とは異なる。タッチディスプレイ12においては、さらに、右照明装置20Rの導光体48Rが、スモークパネル58における右照明窓60Rの後方に配置され、光源としての各発光ダイオードからの光を右照明窓60Rへと導く。導光体48Rの前面は、右照明窓60Rの後面に対向し、右照明窓60Rに向けて光を放射する面である。このような、光放射面としての導光体48Rの前面の曲がり具合は、右照明窓60Rの後面の曲がり具合と異なる。
【0036】
このように、各照明装置20においては、スモークパネル58の後面の曲がり具合と、導光体48の前面の曲がり具合とを異なったものとしている。これによって、導光体48とスモークパネル58との間が隔てられ、導光体48は、スモークパネル58から奥まった位置で光を散乱する。したがって、各照明装置20が発する光に奥行きのある立体感を持たせることができる。
【0037】
また、各照明装置20においては、レンズベース50の前面、導光体48の後面、導光体48の前面、およびレンズ46の後面には、所定方向に伸びる山および谷が形成され、山および谷の長手方向に交わる方向に、山および谷が繰り返される。これによって、照明装置20から発せられる光に明暗が生じ、その光に立体感を持たせることができる。さらに、複数の発光ダイオード54は、このような波形状の周期間隔よりも長い間隔で、導光体48の傍らに配置されている。これによって、波形状の山同士で明るさが異なったものとなり、明るい山部分の立体感がより強調されたものとなる。
【符号の説明】
【0038】
10 フロントパネル、12 タッチディスプレイ、14 押しボタン式スイッチ、16 通風口、18 ハザードスイッチ、20,20L,20R 照明装置、22 ベースパネル、24L 左照明固定部、24R 右照明固定部、26 上枠、28 下枠、30 凹み部、34L,34R 側面、36 ディスプレイ、38 カバー、40 ディスプレイカバー、42 画像処理基板、44 制御基板、46L,46R レンズ、48L,48R 導光体,50L,50R レンズベース、52L,52R 照明基板、54 発光ダイオード、56 電極シート、58 スモークパネル、60L 左照明窓、60R 右照明窓、62 タッチ窓、64 アクセサリ機器、66 タッチ制御回路、68 画像処理回路、70 タッチスイッチ、72 照明スイッチ、74 照明制御回路。