(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固体燃料を粉砕するとともに該粉砕された固体燃料を分級し、所定粒径よりも小さい微粉燃料を生成する固体燃料粉砕部と、前記固体燃料粉砕部に1次空気を送風する送風部とを備える固体燃料粉砕装置の制御方法であって、
該固体燃料粉砕部により生成された前記微粉燃料と前記1次空気を含む混合ガスの湿度が所定湿度を超えたかどうかを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記混合ガスの湿度が前記所定湿度を超えたと判定した場合に、該混合ガスの湿度が前記所定湿度以下となるように前記送風部が送風する前記1次空気の送風量を増加させるよう制御する制御工程とを備える固体燃料粉砕装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水分を多く含む石炭等の固体燃料を粉砕する場合、粉砕部からバーナ部へ微粉燃料を供給する供給路内を流通する混合ガスの湿度が高くなる。そして、混合ガスの湿度が高いと供給路において混合ガス中の水分が結露し、供給路上に微粉燃料が堆積しやすくなる。そして、供給路上に微粉燃料が堆積すると、堆積物により供給路の流路径が減少する不具合や堆積物が発熱する不具合が生じる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、微粉燃料と1次空気を含む混合ガスの湿度が所定湿度を超えることを抑制し、微粉燃料の堆積やそれに伴う不具合を防止した固体燃料粉砕装置および固体燃料粉砕装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。
本発明に係る固体燃料粉砕装置は、固体燃料を粉砕するとともに該粉砕された固体燃料を分級し、所定粒径よりも小さい微粉燃料を生成する固体燃料粉砕部と、前記固体燃料粉砕部に1次空気を送風する送風部と、該固体燃料粉砕部により生成された前記微粉燃料と前記1次空気を含む混合ガスの湿度を検出する湿度検出部と、前記湿度検出部が検出する前記混合ガスの湿度が
所定湿度を超えたと判定した場合に、該混合ガスの湿度が前記所定湿度以下となるように前記送風部が
前記固体燃料粉砕部へ送風する前記1次空気の送風量を
増加させるよう制御する制御部とを備える。
【0007】
本発明に係る固体燃料粉砕装置によれば、固体燃料粉砕部により生成された微粉燃料と送風部により送風される1次空気を含む混合ガスの湿度が所定湿度以下となるように送風部が送風する1次空気の送風量が制御される。
このようにすることで、固体燃料粉砕部から微粉燃料を燃焼させるバーナ部へ混合ガスを供給する供給路上で、混合ガスに含まれる水分が凝縮して微粉炭が供給路上に堆積してしまうことや、それに伴う不具合を防止することができる。
【0008】
また、本発明の第1態様の固体燃料粉砕装置は、前記送風部が、熱空気を送風する第1送風部と、該熱空気よりも低温の冷空気を送風する第2送風部とを備え、前記制御部が、前記湿度検出部が検出する前記混合ガスの湿度が前記所定湿度以下となるように前記第1送風部が送風する前記熱空気の送風量を制御する。
このようにすることで、粉砕された固体燃料を乾燥させる熱源として用いられる第1送風部から送風される熱空気の送風量を制御して、混合ガスの湿度が所定湿度以下となるようにすることができる。
【0009】
本発明の第2態様の固体燃料粉砕装置は、前記固体燃料粉砕部が、前記粉砕された固体燃料を分級するための回転式分級器を備えており、前記制御部が、前記送風部が送風する前記1次空気の送風量を増加させる場合に、前記回転式分級器の回転数を増加させるよう制御する。
このようにすることで、固体燃料粉砕部に送風される1次空気の送風量が増加して回転式分級器から粒径の大きい微粉燃料が排出されてしまうことが無いように、回転式分級器が分級する微粉燃料の粒径を適切に維持することができる。
【0010】
本発明の第3態様の固体燃料粉砕装置は、前記固体燃料粉砕部から排出される前記混合ガスを、バーナ部に供給する供給路と、前記混合ガスに混合させる補助空気を前記供給路に送風する補助送風部を備え、前記湿度検出部が、前記供給路の前記補助空気が送風される位置よりも前記バーナ部側の前記供給路上に設けられており、前記制御部は、前記湿度検出部が検出する前記混合ガスの湿度が前記所定湿度以下となるように前記補助送風部が前記供給路に送風する前記補助空気の送風量を制御する。
【0011】
このようにすることで、例えば、送風部による送風量の調整だけでは混合ガスの相対湿度を所定湿度以下に低下させることができない場合であっても、補助空気を供給路に送風して混合ガスの湿度を所定湿度以下に維持することができる。
【0012】
本発明の固体燃料粉砕装置の制御方法は、固体燃料を粉砕するとともに該粉砕された固体燃料を分級し、所定粒径よりも小さい微粉燃料を生成する固体燃料粉砕部と、前記固体燃料粉砕部に1次空気を送風する送風部とを備える固体燃料粉砕装置の制御方法であって、該固体燃料粉砕部により生成された前記微粉燃料と前記1次空気を含む混合ガスの湿度が所定湿度を超えたかどうかを判定する判定工程と、前記判定工程で前記混合ガスの湿度が前記所定湿度を超えたと判定した場合に、
該混合ガスの湿度が前記所定湿度以下となるように前記送風部が送風する前記1次空気の送風量を
増加させるよう制御する制御工程とを備える。
【0013】
本発明に係る固体燃料粉砕装置の制御方法によれば、固体燃料粉砕部により生成された微粉燃料と送風部により送風される1次空気を含む混合ガスの湿度が所定湿度以下となるように送風部が送風する1次空気の送風量が制御される。
このようにすることで、固体燃料粉砕部から微粉燃料を燃焼させるバーナ部へ混合ガスを供給する供給路上で、混合ガスに含まれる水分が凝縮して微粉炭が供給路上に堆積してしまうことや、それに伴う不具合を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、微粉燃料と1次空気を含む混合ガスの湿度が所定湿度を超えることを抑制し、微粉燃料の堆積やそれに伴う不具合を防止した固体燃料粉砕装置および固体燃料粉砕装置の制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態のボイラシステム100について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のボイラシステム100は、固体燃料粉砕装置50と、ボイラ20と、空気予熱器60と、電気集塵機72と煙突90と、主送風機70と、押込通風機71と、誘引通風機73とを備える。
【0017】
固体燃料粉砕装置50は、石炭等の固体燃料を粉砕して微粉燃料を生成し、微粉燃料と1次空気の混合ガスを生成する装置である。固体燃料粉砕装置50により生成された混合ガスは、微粉燃料供給路54(供給路)を介してボイラ20のバーナ部25に供給される。
【0018】
ボイラ20はバーナ部25で微粉炭を燃焼させることにより高温の燃焼ガスを生成し、その燃焼ガスの温度により蒸気を発生させる装置である。バーナ部25がボイラ20の火炉内で燃焼ガスを生成することにより、火炉内に設置される蒸発器,過熱器,再熱器等の熱交換器が加熱される。これらの熱交換器は、外部から流入する水を加熱して蒸気を発生させる。ボイラ20で発生した蒸気は蒸気タービン(図示しない)を回転させる動力として用いられ、蒸気タービンに連結された発電機による発電が行われる。ボイラ20で蒸気の発生に用いられた燃焼ガスは、空気予熱器60に供給される。
【0019】
空気予熱器60は、ボイラ20により生成される高温(約300〜400℃)の燃焼ガスと大気中の常温の空気との熱交換を行う熱交換器である。大気中の常温の空気は、押込通風機71によって空気予熱器60に送風される。空気予熱器60において燃焼ガスとの熱交換により加熱された空気は、燃焼用の2次空気としてボイラ20のバーナ部25へ供給される。
【0020】
電気集塵機72は、燃焼ガスに含まれるばい煙等を除去する装置である。電気集塵機72を通過した燃焼ガスは、誘引通風機によって煙突90に導かれ、煙突90から大気中に排出される。
【0021】
押込通風機71によって送風される空気は、その一部が空気予熱器60を経由して2次空気としてバーナ部25に導かれるが、他の一部は主送風機70に導かれる。
主送風機70は、押込通風機71から導かれた空気の一部を空気予熱器60に送風し、他の一部を送風部30の冷空気ダンパ30bに送風する。空気予熱器60により加熱された空気は熱空気ダンパ30aに導かれる。
【0022】
主送風機70は、ボイラシステム100が運転状態にある場合には常に一定の回転数で回転するようになっている。主送風機70から熱空気ダンパ30aに導かれる空気の供給量と、主送風機70から熱空気ダンパ30aに導かれる空気の供給量との割合は、熱空気ダンパ30aの開度と冷空気ダンパ30bの開度とによって決定される。
【0023】
次に、本実施形態の固体燃料粉砕装置50について説明する。
固体燃料粉砕装置50は、固体燃料粉砕部10と、送風部30と、制御部40と、湿度センサ51と、温度センサ52と、流量計53とを備えている。送風部30は、前述した熱空気ダンパ30aと冷空気ダンパ30bとにより構成されている。
【0024】
図2に示すように、固体燃料粉砕部10は、略円筒形状の中空のハウジング11と、ハウジング11内の下部に配置され、上下方向に延在する軸線周りに回転可能に取り付けられた回転テーブル12と、回転テーブル12の外周部12bに押圧され回転テーブル12と協働して固体燃料を粉砕するローラ13と、回転テーブル12を回転させる駆動部14を備える。駆動部14は電動モータと減速機を含み、電動モータの回転数を減速させる減速機が回転軸15を介して回転テーブル12の中心部12aに接続されている。
【0025】
また、固体燃料粉砕部10は、ハウジング11内の上部に配置された回転式分級器16と、ハウジング11の上端を貫通するように取り付けられ上部から投入される固体燃料を回転テーブル12の中央部12aに供給する固体燃料投入部17とを備える。ハウジング11の下端部は送風部30に連通しており、送風部30からハウジング11の下端部に1次空気が流入する。ハウジング11は、床18に設置された一対の直方体形状のコンクリート製のブロック19の上面に固定されている。
【0026】
図2では、支持軸21に連結されるローラ13が1つのみ示されているが、回転テーブル12の外周部12bを押圧するように、外周方向に一定の間隔を空けて、複数のローラ13が配置される。例えば、外周部12b上に120°の角度間隔を空けて、3つのローラ13が配置される。この場合、3つのローラ13が回転テーブル12の外周部12bと接する部分(押圧する部分)は、回転テーブル12の中心部12aからの距離が等距離となる。
【0027】
回転テーブル12の外側の複数箇所には、送風部30から流入する1次空気をハウジング11内の回転テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口32が設けられている。吹出口32の上方にはベーン33が設置されており、ベーン33は吹出口32から吹き出した1次空気に旋回力を与える。ベーン33により旋回力が与えられた1次空気は、
図2中に矢印に示すような気流となって回転テーブル12上で粉砕された固体燃料をハウジング11の上方の回転式分級器16へ導く。なお、1次空気に混合した固体燃料の粉砕物のうち、粒径の大きいものは回転式分級器16まで到達することなく落下して回転テーブル12に再び戻される。
【0028】
回転式分級器16は、略円筒形状のハウジング11の円筒軸を中心に回転するブレードを備えている。回転式分級器16に到達した固体燃料の粉砕物は、回転するブレードと1次空気の流れにより生ずる遠心力と求心力の相対的なバランスにより、所定粒径より小さい微粉燃料のみがブレードの内部に流入し、出口34から流出する。出口34から流出する微粉燃料は1次空気とともに微粉燃料供給路54に導かれる。微粉燃料供給路54に導かれる微粉燃料と1次空気を含む混合ガスの温度は、約70℃となっている。
【0029】
送風部30は、熱空気ダンパ30aと冷空気ダンパ30bとを備えている。熱空気ダンパ30aは、主送風機70から空気予熱器60を介して送風される高温(約300℃)の熱空気の送風量を調整する装置である。また、冷空気ダンパ30bは、主送風機70から空気予熱器60を介さずに送風される低温(約20℃)の冷空気の送風量を調整する装置である。熱空気ダンパ30aおよび冷空気ダンパ30bは、空気が通過する流路の開度(流路断面積)を変化させることにより流量を調整するものである。熱空気ダンパ30aおよび冷空気ダンパ30bそれぞれの開度は、制御部40によって制御される。
【0030】
制御部40は、固体燃料粉砕装置50を制御するものである。制御部40には、湿度センサ51が検出する相対湿度を示す湿度検出値と、温度センサ52が検出する温度を示す温度検出値と、流量計53が検出する1次空気の流量を示す流量検出値等の各種の検出値が入力される。制御部40は、固体燃料粉砕部10と、送風部30のそれぞれに対して信号線(図示しない)を介して制御信号を伝達することにより、固体燃料粉砕部10と、送風部30の各部を制御する。
【0031】
湿度センサ51は、出口34から流出する微粉燃料と1次空気の混合ガスの相対湿度を検出するセンサである。温度センサは、出口34から流出する微粉燃料と1次空気の混合ガスの温度を検出するセンサである。湿度センサ51および温度センサ52は、それぞれ固体燃料粉砕装置50の出口34近傍に設けられているか、あるいは微粉燃料供給路54の上流側に設けられているものとする。湿度センサ51が検出する混合ガスの相対湿度および温度センサ52が検出する混合ガスの温度は、それぞれ制御部40に伝達されるようになっている。
【0032】
流量計53は、送風部30から固体燃料粉砕部10に1次空気を供給する供給路に設けられており、供給路を通過する1次空気の流量を検出する計測器である。流量計53が検出する1次空気の流量は制御部10に伝達されるようになっている。
【0033】
次に、制御部40が実行する固体燃料粉砕装置50の制御方法について説明する。制御部40は、図示しない記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、以下の
図3に示す各処理を実行する。
【0034】
ステップS301(判定工程)で、制御部40は、湿度センサ51から伝達される湿度検出値に基づいて、固体燃料粉砕部10の出口34から排出される混合ガスの相対湿度が所定湿度を超えたかどうかを判定する。制御部40は、相対湿度が所定湿度を超えたと判定した場合はステップS302に処理を進め、そうでなければステップS303に処理を進める。
【0035】
ここで、ステップS301における所定湿度とは、85%以上かつ90%以下の範囲で任意に設定される値である。
図4に示すように、固体燃料粉砕部10が回転テーブル12を回転軸15回りに回転させる動力は、混合ガスの相対湿度が80%以下となる範囲では略一定となる。一方、混合ガスの相対湿度が80%を超えると動力が徐々に増大し、相対湿度が95%程度になると回転テーブル12を回転させる動力の限界値(
図4でPLで示す値)となってしまう。
このように相対湿度が高くなると動力が増加するのは、高い相対湿度が原因となって、固体燃料粉砕部10で粉砕される固体燃料の乾燥と分級が進まずに回転テーブル12に堆積する固体燃料の量が増大してしまうことが主な原因である。
【0036】
また、固体燃料粉砕部10の出口34から排出される混合ガスの温度は約70℃であるが、微粉燃料供給路54を介してバーナ部25へ搬送される際に約10℃温度が低下してバーナ部25へ供給される際に約60℃となる。この条件において、混合ガスの相対湿度が90%を超えると、微粉燃料供給路54の内部で混合ガス中の水分が凝縮し、微粉燃料の一部が水分ともに付着する現象が発生する。
【0037】
このように固体燃料粉砕部10の動力が限界値に到達して固体燃料粉砕部10が停止してしまう不具合や、微粉燃料の一部が微粉燃料供給路54の内部に付着してしまう不具合を避けるために、ステップS301の所定湿度として、85%以上かつ90%以下の範囲の値が設定される。この値の設定は、入力部(図示しない)を介して固体燃料粉砕装置50の操作者により入力されるものとする。
【0038】
ステップS302(制御工程)で、制御部40は、混合ガスの相対湿度を低下させるために、熱空気ダンパ30aの開度を増加させるよう熱空気ダンパ30aに制御信号を伝達する。制御部40から制御信号が伝達された熱空気ダンパ30aは、開度を増加させて固体燃料粉砕部10に供給する熱空気の送風量を増加させる。熱空気の送風量を増加させることにより、混合ガスに含まれる1次空気量を増加させ、混合ガスの相対湿度を低下させることができる。
【0039】
ステップS303で、制御部40は、温度センサ52から伝達される温度検出値に基づいて、固体燃料粉砕部10の出口34から排出される混合ガスの温度が所定温度を超えたかどうかを判定する。制御部40は、温度センサ52かが検出する温度が所定温度を超えたと判定した場合はステップS304に処理を進め、そうでなければステップS305に処理を進める。
【0040】
ここで、ステップS303における所定温度とは、70℃以上かつ100℃以下の範囲で任意に設定される値である。前述した様に、微粉燃料供給路54の内部で微粉燃料が付着する不具合を避けるには、固体燃料粉砕部10の出口34から排出される混合ガスの温度を70℃以上とするのが望ましい。一方、微粉燃料が発火する危険性を考慮して、混合ガスの温度を100℃以下とするのが望ましい。そのため、ステップS303の所定温度として、70℃以上かつ100℃以下の範囲の値が設定される。この値の設定は、入力部(図示しない)を介して固体燃料粉砕装置50の操作者により入力されるものとする。
【0041】
ステップS304(制御工程)で、制御部40は、混合ガスの温度を低下させるために、冷空気ダンパ30bの開度を増加させるよう冷空気ダンパ30bに制御信号を伝達する。制御部40から制御信号が伝達された冷空気ダンパ30bは、開度を増加させて固体燃料粉砕部10に供給する冷空気の送風量を増加させる。
【0042】
ステップS304においては、熱空気の送風量に対する冷空気の送風量の比率を高めるように冷空気の送風量を増加させるようにしてもよい。このようにすることで、固体燃料粉砕部10に送風される1次空気の温度を低下させて微粉燃料の発火の危険性を低下させることができる。
また、ステップS304においては、熱空気の送風量に対する冷空気の送風量の比率が維持されるように冷空気の送風量を増加させるようにしてもよい。このようにすることで、固体燃料粉砕部10に送風される1次空気の温度が変化しないようにすることができる。したがって、本フローチャートの処理を実行する前後において1次空気の温度を変化させずに安定した運転を行うことが可能である。
【0043】
ステップS305で、制御部40は、送風部30が送風する1次空気の送風量が増加したかどうかを判定する。制御部40は、1次空気の送風量が増加したと判定した場合はステップS306に処理を進め、そうでなければ本フローチャートの処理を終了する。制御部40は、ステップS302での熱空気ダンパ30aの開度の増加、またはステップS304での冷空気ダンパ30bの開度の増加の少なくともいずれか一方が実行される場合に、1次空気の送風量が増加したと判定する。
【0044】
ステップS306で、制御部40は、回転式分級器16の回転速度を増加させるよう、固体燃料粉砕部10に制御信号を送信する。
ステップS305で1次空気の送風量が増加したと判定された場合に回転式分級器16の回転速度を増加させているのは、1次空気の送風量が増加したことによって粗い粒径の微粉燃料が混合ガスに混入してしまうことを防止するためである。
【0045】
以上説明した本実施形態の固体燃料粉砕装置50が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の固体燃料粉砕装置50によれば、固体燃料粉砕部10により生成された微粉燃料と送風部30により送風される1次空気を含む混合ガスの湿度が所定湿度以下となるように送風部30が送風する1次空気の送風量が制御される。
このようにすることで、固体燃料粉砕部10から微粉燃料を燃焼させるバーナ部25へ混合ガスを供給する供給路上で、混合ガスに含まれる水分が凝縮して微粉炭が微粉燃料供給路54上に堆積してしまうことや、それに伴う不具合を防止することができる。
【0046】
また、本実施形態の固体燃料粉砕装置50は、送風部30が、熱空気を送風する熱空気ダンパ30aと、熱空気よりも低温の冷空気を送風する冷空気ダンパ30bとを備える。そして、制御部40が、湿度センサ51が検出する混合ガスの湿度が所定湿度以下となるように熱空気ダンパ30aが送風する熱空気の送風量を制御する。
このようにすることで、粉砕された固体燃料を乾燥させる熱源として用いられる熱空気ダンパ30aから送風される熱空気の送風量を制御して、混合ガスの湿度が所定湿度以下となるようにすることができる。
【0047】
また、本実施形態の固体燃料粉砕装置50は、固体燃料粉砕部10が、粉砕された固体燃料を分級するための回転式分級器16を備えている。そして、制御部40が、送風部30が送風する1次空気の送風量を増加させる場合に、回転式分級器16の回転数を増加させるよう制御する。
このようにすることで、固体燃料粉砕部10に送風される1次空気の送風量が増加して回転式分級器16から粒径の大きい微粉燃料が排出されてしまうことが無いように、回転式分級器16が分級する微粉燃料の粒径を適切に維持することができる。
【0048】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について
図5を参照して説明する。
第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、同一の符号を付したものは同一の構成であるものとし、説明を省略する。
【0049】
本実施形態の固体燃料粉砕装置50′は、第1実施形態の固体燃料粉砕装置50に対して、補助送風機74および補助空気ダンパ31(補助送風部)が追加されている点が異なる。
【0050】
図5に示す補助送風機74は、大気中の空気を補助空気として補助空気ダンパ31に送風する送風機である。また、補助空気ダンパ31は、補助送風機74から送風される低温(約20℃)の補助空気の送風量を調整する装置である。補助空気ダンパ31は、補助空気が通過する流路の開度(流路断面積)を変化させることにより流量を調整するものである。補助空気ダンパ31の開度は、制御部40によって制御される。
【0051】
補助空気ダンパ31から送風される補助空気は、固体燃料粉砕部10の出口34近傍の微粉燃料供給路54に供給される。また、本実施形態の湿度センサ51および温度センサ52は、固体燃料粉砕部10の出口34近傍で、かつ微粉燃料供給路54の補助空気が送風される位置よりもバーナ部25側の微粉燃料供給路54上に設けられている。湿度センサ51および温度センサ52をこのような位置に配置することで、補助空気が混入した混合ガスの湿度および温度の検出が可能となっている。
【0052】
本実施形態の制御部40は、湿度センサ51が検出する相対湿度が所定湿度以下となるように補助空気ダンパ31が送風する補助空気の送風量を制御するものである。なお、ここでいう「所定湿度」とは、第1実施形態で説明した「所定湿度」と同様であるものとする。
【0053】
本実施形態の制御部40は、第1実施形態の
図3に示す処理と同様に、熱空気ダンパ30aと冷空気ダンパ30bの開度を増加させることにより、湿度センサ51が検出する相対湿度が所定湿度以下となるように調整する。
一方、制御部40は、流量計53が検出する1次空気の流量が所定流量を超えるかどうかを判定し、1次空気の流量が所定流量を超えないように、熱空気ダンパ30aと冷空気ダンパ30bの開度を調整する。
【0054】
このように本実施形態の制御部40が1次空気の流量が所定流量を超えないようにしているのは、1次空気の流量が所定流量を超えて増加してしまうことにより、回転式分級器16の回転数を最大回転数まで増加させたとしても粗い粒径の微粉燃料が固体燃料粉砕部10の出口34に供給されてしまうという不具合を防止するためである。
【0055】
制御部40は、流量計53が検出する1次空気の流量が所定流量を超えてしまい、熱空気ダンパ30aと冷空気ダンパ30bの開度を増加させることができない場合に、補助空気ダンパ31が送風する補助空気の送風量を増加させる。
このようにすることで、熱空気ダンパ30aと冷空気ダンパ30bの開度を増加させることにより混合ガスの相対湿度を低下させることができない場合であっても、適切に混合ガスの相対湿度を低下させることができる。
【0056】
〔他の実施形態〕
第1実施形態では、1次空気の送風量が増加した場合(
図3のステップS305でYES)に、回転式分級器16の回転速度を増加させるものであったが、他の態様であってもよい。
例えば、固体燃料粉砕部10のローラ13を回転テーブル12に押し付ける押圧力を増加させることにより固体燃料の粉砕荷重を増加させるようにしてもよい。固体燃料の粉砕荷重を増加させることにより、固体燃料がより細かく粉砕されるので、粗い粒径の微粉燃料が混合ガスに混入してしまうことを防止することができる。なお、ローラ13を回転テーブル12に押し付ける押圧力を増加させる動作は、ローラ13に取り付けられた油圧ピストン等によって行うものとする。
【0057】
固体燃料の粉砕荷重を増加させる動作は、回転式分級器16の回転速度を増加させる動作の代わりに行うようにしてもよい。また、固体燃料の粉砕荷重を増加させる動作は、回転式分級器16の回転速度を増加させる動作とともに行うようにしてもよい。
【0058】
第1実施形態では、ステップS301における所定湿度を固体燃料粉砕装置50の操作者が入力するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、微粉燃料供給路54を構成する管状部材の外面に温度センサを設け、その温度センサが検出する温度検出値に応じて設定するようにしてもよい。具体的には、管状部材の外面の温度センサが検出する温度が高い場合は所定湿度として低い値を設定し、管状部材の外面の温度センサが検出する温度が低い場合は所定湿度として高い値を設定すればよい。
【0059】
管状部材の外面の温度センサが検出する温度が高い場合に所定湿度として低い値を設定するのは、管状部材の外面の温度が高い場合は、管状部材の内部を流通する混合ガスに含まれる水分が凝縮しにくいからである。また、管状部材の外面の温度センサが検出する温度が低い場合に所定湿度として高い値を設定するのは、管状部材の外面の温度が低い場合は、管状部材の内部を流通する混合ガスに含まれる水分が凝縮し易いからである。
【0060】
第2実施形態において、補助送風機74は大気中の空気を補助空気として補助空気ダンパ31に送風するものであったが、他の態様であってもよい。
例えば、補助送風機74が、空気予熱器60により加熱された熱空気を補助空気ダンパ31に送風するものであってもよい。また、例えば、補助送風機74が、ボイラ20から排出され空気予熱器60を通過する前の燃焼ガスを補助空気ダンパ31に送風するものであってもよい。燃焼ガスは60%から70%程度の湿度を有するが、目標とする所定湿度(85%以上かつ90%以下)よりも低いため、相対湿度を低下させるために用いることができる。
【0061】
補助送風機74が、ボイラ20から排出され空気予熱器60を通過する前の燃焼ガスを補助空気ダンパ31に送風するものである場合、微粉燃料供給路54内に酸素濃度を検出する濃度センサを更に設けるようにしてもよい。この場合、制御部40は、濃度センサが検出する酸素濃度が所定濃度以下(例えば15%以下で、更に望ましくは8%以下)となるように微粉燃料供給路54内に供給する燃焼ガスの送風量を制御する。このようにすることで、微粉燃料供給路54内の混合ガスの酸素濃度を低下させ、微粉燃料供給路54内で微粉燃料が発火する危険性を低下させることができる。
【0062】
また、微粉燃料供給路54内に燃焼ガスを供給するのに変えて、固体燃料粉砕部10への1次空気の流入口に燃焼ガスを供給するようにしてもよい。このようにすることで、固体燃料粉砕部10に供給される1次空気の酸素濃度を低下させ、固体燃料粉砕部10内で微粉燃料が発火する危険性を低下させることができる。