(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<アルキルリン酸エステルアニオン(A)>
本発明の電解液を構成する電解質(C)のアルキルリン酸エステルアニオン(A)は、上記一般式(1)で表されるアニオン、上記一般式(2)で表されるアニオンまたはその混合アニオンであり、アルキル基(R1、R2、及びR3がアルキル基の場合)の炭素数は、比電導度と火花電圧の観点から、1〜10であり、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4である。なお、炭素数が小さいほど、比電導度と火花電圧は高くなり、炭素数が大きいほど、耐熱性は高くなる。
【0011】
アルキルリン酸エステルアニオン(A)としては、(1)モノアルキルリン酸エステルのモノアニオン及びジアニオン、並びに(2)ジアルキルリン酸エステルのモノアニオンが含まれる。以下にアルキルリン酸エステルアニオン(A)の具体例を示す。
【0012】
(1)モノアルキルリン酸エステル{一般式(1)で示されるアルキルリン酸エステルアニオン(ジアニオン)及び一般式(2)で示されるアルキルリン酸エステル(R3が水素原子;モノアニオン)に対応する。}
モノメチルリン酸エステル、モノエチルリン酸エステル、モノプロピルリン酸エステル[モノ(n−プロピル)リン酸エステル、モノ(iso−プロピル)リン酸エステル]、モノブチルリン酸エステル[モノ(n−ブチル)リン酸エステル、モノ(iso−ブチル)リン酸エステル、及びモノ(tert−ブチル)リン酸エステル]、モノペンチルリン酸エステル、モノヘキシルリン酸エステル、モノへプチルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル[モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等]等。
【0013】
(2)ジアルキルリン酸エステル{一般式(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオン(モノアニオン)に対応する。}
ジメチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、エチルメチルリン酸エステル、ブチルメチルリン酸エステル、エチルブチルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステル[ジ(n−プロピル)リン酸エステル、ジ(iso−プロピル)リン酸エステル]、ジブチルリン酸エステル[ジ(n−ブチル)リン酸エステル、ジ(iso−ブチル)リン酸エステル、及びジ(tert−ブチル)リン酸エステル]、ジペンチルリン酸エステル、ジヘキシルリン酸エステル、ジヘプチルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル[ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等]等。
【0014】
アルキルリン酸エステルアニオン(A)は、一種または二種以上を併用してもよく、またモノアニオンとジアニオンの混合物でもよい。
【0015】
これらのうち、一般式(2)において、R2及びR3が炭素数1〜8のアルキル基であるモノアニオンが好ましく、さらに好ましくはジメチルリン酸エステルアニオン、ジエチルリン酸エステルアニオン、ジ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、ジ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、ジ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン及びビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオンである。
【0016】
一般に工業的に入手できるアルキルリン酸エステルは、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル、及びトリアルキルリン酸エステルの混合物であるが、本発明において、アルキルリン酸エステルアニオン(A)としては、ジアルキルリン酸エステルを使用することが好ましい。ジアルキルリン酸エステルアニオンを得る方法は特に限定されないが、アミジニウム塩{モノメチル炭酸塩、水酸化物塩等}と工業的に入手できるトリアルキルリン酸エステルとを混合し、加水分解を行うことにより、アミジニウムカチオンとジアルキルリン酸エステルアニオンとの塩を得る方法が好ましい。
【0017】
<アミジニウムカチオン(B)>
アミジニウムカチオン(B)としては、環状アミジニウムカチオンが含まれる。以下にアミジニウムカチオン(B)の具体例を示す。
【0018】
(1)イミダゾリニウムカチオン
1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウムなど。
【0019】
(2)イミダゾリウムカチオン
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムなど。
【0020】
(3)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど。
【0021】
(4)ジヒドロピリミジニウムカチオン
1,3−ジメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム[これらを1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウムと表記し、以下同様の表現を用いる。]、1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9(10)−ウンデカジエニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5,7(8)−ノナジエニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ヒドロピリミジなど。
【0022】
アミジニウムカチオン(B)は、一種または二種以上を併用してもよい。上記のうち、(1)イミダゾリニウムカチオン及び(2)イミダゾリウムカチオンが好ましい。これらのうち、好ましくは1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムである。
【0023】
<電解質(C)>
アルキルリン酸エステルアニオン(A)とアミジニウムカチオン(B)との組み合わせとしては、モノアニオンとモノカチオン、ジアニオンとモノカチオン、モノアニオンとジアニオンの混合物とモノカチオン等が例示できる。
【0024】
電解質(C)としては、モノアニオンとモノカチオンの塩が好ましく、この塩について以下に具体例を記載する。
1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノメチルリン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジメチルリン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノエチルリン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジエチルリン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム・モノエチルリン酸エステルアニオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム・ジエチルリン酸エステルアニオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・モノエチルリン酸エステルアニオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ジエチルリン酸エステルアニオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・モノエチルリン酸エステルアニオン、及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・ジエチルリン酸エステルアニオン等が挙げられる。
【0025】
<カルボン酸(D)>
カルボン酸(D)としては、炭素、酸素及び水素原子のみからなるカルボン酸であって、(1)2〜4価のポリカルボン酸、(2)モノカルボン酸が含まれる。カルボン酸(D)の炭素数は2〜15であるが、さらに比電導度の観点から4〜10が好ましい。また酸解離指数(pKa)は3.8〜5.5であるが、長期安定性の観点から4.0〜5.2がさらに好ましい。またポリカルボン酸の場合、酸解離指数(pKa)が複数あるが、その中の少なくともひとつの酸解離指数(pKa)が3.8〜5.5である。また、その中で最も小さい酸解離指数(pKa)がその範囲内であれば好ましい。カルボン酸(D)は、一種または二種以上を併用してもよい。カルボン酸(D)を添加すると、アルキルリン酸エステルアニオン(A)が安定化するため、アルキルリン酸エステルアニオン(A)の分解を抑制でき、電解液の特性劣化が少なく、火花電圧が高く、かつ使用電圧が高い場合でもショートしない。以下にカルボン酸(D)の具体例を示す。
【0026】
(1)2〜4価のポリカルボン酸
脂肪族ポリカルボン酸としては、飽和ポリカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)、不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸など)など、芳香族ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など。
【0027】
(2)モノカルボン酸
脂肪族モノカルボン酸としては、飽和モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウラリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸など)、不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸など)など、芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸など。
【0028】
カルボン酸(D)としては、これらのなかで、脂肪族ポリカルボン酸が好ましく、さらに2価の脂肪族カルボン酸(具体的にはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。)がさらに好ましい。
【0029】
<有機溶媒(E)>
有機溶媒(E)としては、(1)アルコール、(2)エーテル、(3)アミド、(4)オキサゾリジノン、(5)ラクトン、(6)ニトリル、(7)カーボネート、(8)スルホン及び(9)その他の有機溶媒が含まれる。以下に有機溶媒(E)の具体例を示す。
【0030】
(1)アルコール
1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、アミノアルコール、フルフリルアルコールなど)、2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコールなど)、3価アルコール(グリセリンなど)、4価以上のアルコール(ヘキシトールなど)など。
【0031】
(2)エーテル
モノエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフランなど)、ジエーテル(エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなど)、トリエーテル(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)など。
【0032】
(3)アミド
ホルムアミド(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなど)、アセトアミド(N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなど)、プロピオンアミド(N,N−ジメチルプロピオンアミドなど)、ピロリドン(N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなど)、ヘキサメチルホスホリルアミドなど。
【0033】
(4)オキサゾリジノン
N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノンなど。
【0034】
(5)ラクトン
γ−ブチロラクトン(以下、GBLと記す。)、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなど。
【0035】
(6)ニトリル
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ベンゾニトリルなど。
【0036】
(7)カーボネート
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど。
【0037】
(8)スルホン
スルホラン、ジメチルスルホンなど。
【0038】
(9)その他の有機溶媒
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、芳香族溶媒(トルエン、キシレンなど)、パラフィン溶媒(ノルマルパラフィン、イソパラフィンなど)など。
【0039】
有機溶媒(E)は、一種または二種以上を併用してもよい。これらのうち、アルコール、ラクトン及びスルホンが好ましく、さらに好ましくはGBL、スルホラン、エチレングリコールであり、GBLとエチレングリコールの混合溶媒が特に好ましい。
【0040】
カルボン酸(D)の含有量は、電解質(C)及び有機溶媒(E)の合計重量に基づいて、好ましくは0.5〜5重量%であり、さらに好ましくは1〜3重量%であり、より好ましくは1.5〜3重量%である。(D)の含有量が0.5重量%以上であるとショートの危険性が少なく、また5重量%以下であると特性劣化を小さくすることができる。
【0041】
電解質(C)は、比電導度と有機溶媒への溶解度の観点から、電解質(C)及び有機溶媒(E)の合計重量に基づいて、好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。
【0042】
有機溶媒(E)の含有量は、比電導度の観点から、電解質(C)及び有機溶媒(E)の合計重量に基づいて、好ましくは30〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%である。
【0043】
<ホウ酸化合物(F)>
ホウ酸化合物(F)は、ホウ酸及びホウ酸エステル(F1)からなる群より選ばれる少なくとも一つである。
【0044】
ホウ酸エステル(F1)は、ホウ酸とアルコール(G)のエステル化物である。アルコール(G)としては、(1)1価のアルコール、(2)多価アルコールが含まれる。これらのアルコール(G)を2種類以上組み合わせても良い。ホウ酸エステル(F1)としては、1価アルコール及び/または多価アルコールとホウ酸とを反応してなる反応生成物が好ましい。以下にアルコール(G)の具体例を示す。
【0045】
(1)1価のアルコール
1価のアルコールとしては、炭素数1〜10である以下のアルコール、グリコールのモノアルキルエーテルがあげられる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなど。
【0046】
(2)多価アルコール
多価アルコールとしては、炭素数1〜10である以下のアルコールがあげられる。具体的には、2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコールなど)、3価アルコール(グリセリンなど)、4価以上のアルコール(ヘキシトールなど)など。
【0047】
ホウ酸エステル(F1)は、上記アルコール(G)とホウ酸とを、例えば、以下の反応条件で反応してなるものが好ましい。反応生成物は多種類の化合物の混合物であり、組成で正確に記載することは困難である。
反応条件:ホウ酸とアルコール(G)を混合し、その混合物を60〜90℃に加熱し、除々に減圧して4.0〜6.0kPaにしてエステル化(脱水)を行う。目標の圧力に到達した後、さらに100〜110℃まで加熱してエステル化する。4.0〜6.0kPaで水分と低沸分を留去し終わるまで反応してホウ酸エステル(F1)を得ることができる。
【0048】
ホウ酸エステル(F1)の製造時の各原料の仕込み比は、ホウ酸が25〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。
ホウ酸とアルコール(G)の当量比は、ホウ酸/アルコール(G)=0.1/0.01〜0.1/0.3、さらに好ましくは0.1/0.02〜0.1/0.15である。
【0049】
ホウ酸化合物(F)と有機溶媒(E)の組合せとしては、ホウ酸と(E)として2価アルコールとラクトンとの混合溶媒、ホウ酸エステル(F1)とラクトン溶媒、ホウ酸エステル(F1)と(E)として2価アルコールとラクトンとの混合溶媒の組合せが好ましく、ホウ酸と(E)としてγ−ブチロラクトンとエチレングリコールとの混合溶媒、ホウ酸エステル(F1)と(E)としてγ−ブチロラクトンとエチレングリコールとの混合溶媒の組合せがさらに好ましく、ホウ酸と(E)としてγ−ブチロラクトンとエチレングリコールとの混合溶媒の組合せが特に好ましい。
【0050】
電解質(C)中のアニオンとカチオンとのモル比率(アニオン/カチオン)は、コンデンサ部材{アルミニウム電解コンデンサの封口ゴム、酸化アルミニウム箔等}の腐食の観点から、好ましくは0.8〜1.2、更に好ましくは0.9〜1.1、特に好ましくは0.95〜1.05である。モル比率が0.8〜1.2であると、電解液の液性がアルカリ性に偏らず、アルミニウム電解コンデンサの封口ゴムであるブチルゴムが劣化しにくく、この結果、電解液がコンデンサから漏れる等の不具合が生じにくい。また、電解液の液性が酸性に偏らず、陽極の酸化アルミニウム箔が腐食されにくく、この結果、ショート等の不具合が生じにくい。
【0051】
本発明の電解液には、さらに水を含有することが好ましい。水を含有すると、コンデンサ部材{陽極箔である酸化アルミニウム箔など}の化成性{陽極箔表面に欠損部分があれば、酸化被膜を形成させてこれを修復する性質}を向上させることができる。一方、水の含有量が多いと、アルキルリン酸エステルアニオンの加水分解が進行しやすくなり、加水分解により生成するリン酸がコンデンサ部材を腐食することとなる。したがって、水を含有する場合、水の含有量は、電解質(C)、ホウ酸化合物(F)、カルボン酸(D)及び有機溶媒(E)の合計重量に基づいて、好ましくは0.01〜5重量%、更に好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。なお、水分は、JIS K0113:2005の「8.カールフィッシャー滴定方法、8.1容量滴定方法」{対応国際規格ISO760:1978;これに開示された開示内容を参照により本出願に取り込む。}に準拠して測定される。
【0052】
本発明の電解液には、必要により、電解液に通常用いられる種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、ニトロ化合物(例えば、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)などを挙げることができる。その添加量は、比電導度と電解液への溶解度の観点から、電解質(C)及び有機溶媒(E)の合計重量に基づいて、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下がよい。
【0053】
本発明の電解液は、アルミニウム電解コンデンサ用として好適である。アルミニウム電解コンデンサとしては、特に限定されず、例えば、捲き取り形のアルミニウム電解コンデンサが挙げられる。具体的には、例えば、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔とを、これらの間に、セパレーターを介在させて、捲回することにより構成されたコンデンサが挙げられる。本発明の電解液を駆動用電解液としてセパレーターに含浸し、陽陰極と共に、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口ゴムで密閉してアルミニウム電解コンデンサを構成することができる。
【実施例】
【0054】
次に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
<電解質(C)の製造例>
ジメチルカーボネート(0.2mol)のメタノール溶液(74重量%)に、2,4−ジメチルイミダゾリン(0.1mol)を滴下して、120℃で15時間攪拌することで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を得た。
【0056】
リン酸トリエチル(TEP:大八化学工業社製)(0.1mol)とジエチルアミン(0.15mol)を耐圧容器内で100℃、20時間攪拌することで、リン酸ジエチルとトリエチルアミンの混合物を得た。そこへ、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩(0.1mol)のメタノール溶液を加え、塩交換反応を行い、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジエチルリン酸エステルモノアニオンのメタノール溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、80℃で、メタノール、アミン成分の留出がなくなるまで加熱した後、温度を50℃から100℃に上昇させて30分加熱してモノメチルカーボネート(HOCO2CH3)、メタノール及び二酸化炭素(メタノール及び二酸化炭素は、モノメチルカーボネートの熱分解により僅かに生成する。)を蒸留することで、電解質(C−1){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジエチルリン酸エステルモノアニオン}を得た。
【0057】
<ホウ酸エステル(F1)の製造例1>
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(0.3mol)とホウ酸(0.1mol)とを混合し、その混合物を90℃に加熱し、除々に減圧して4.0kPaにしてエステル化(脱水)を行った。目標の圧力に到達した後、さらに100〜110℃まで加熱してエステル化した。4.0kPaで水分と低沸分を留去し終わるまで反応してホウ酸エステル(F1−1)を得た。
【0058】
<ホウ酸エステル(F1)の製造例2>
トリエチレングリコール(0.2mol)及びホウ酸(0.3mol)を混合し、その混合物を90℃に加熱し、除々に減圧して4.0kPaにしてエステル化(脱水)を行った。目標の圧力に到達した後、さらに100〜110℃まで加熱してエステル化した。4.0kPaで水分と低沸分を留去し終わるまで反応してホウ酸エステル(F1−2)を得た。
【0059】
<実施例1>
20.0gの電解質(C−1)と2.0gのアゼライン酸(D−1)を73.0gの有機溶媒(E−1)(GBL)に溶解させ、さらにホウ酸エステル(F1−1)を5g添加することで、本発明の電解液を得た。
【0060】
<実施例2>
20.0gの電解質(C−1)と2.0gのアゼライン酸(D−1)を有機溶媒(E−2)(GBL68.0gとエチレングリコール5.0gの混合溶媒(重量比率93:7))に溶解させ、さらにホウ酸エステル(F1−1)を5.0g添加することで、本発明の電解液を得た。
【0061】
<実施例3>
20.0gの電解質(C−1)と2.0gのアジピン酸(D−2)を有機溶媒(E−3)(GBL68.0gと、エチレングリコール6.0gの混合溶媒(重量比率92:8))に溶解させ、さらにホウ酸エステル(F1−2)を4.0g添加することで、本発明の電解液を得た。
【0062】
<実施例4>
20.0gの電解質(C−1)と1.5gのアジピン酸(D−2)を有機溶媒(E−4)75g(GBL67.5gとエチレングリコール7.5gの混合溶媒(重量比率90:10))に溶解させ、さらにホウ酸3.5gを添加し、100℃で10分攪拌し溶解させることで、本発明の電解液を得た。
【0063】
<実施例5>
20.0gの電解質(C−1)と0.6gのアジピン酸(D−2)を有機溶媒(E−4)75.9gに溶解させ、さらにホウ酸3.5gを添加し、100℃で10分攪拌し溶解させることで、本発明の電解液を得た。
【0064】
<実施例6>
20.0gの電解質(C−1)と4.5gのアジピン酸(D−2)を有機溶媒(E−4)72gに溶解させ、さらにホウ酸3.5gを添加し、100℃で10分攪拌し溶解させることで、本発明の電解液を得た。
【0065】
<実施例7>
20.0gの電解質(C−1)と1.5gの安息香酸(D−3)を有機溶媒(E−4)75gに溶解させ、さらにホウ酸3.5gを添加し、100℃で10分攪拌し溶解させることで、本発明の電解液を得た。
【0066】
<
参考例8>
20.0gの電解質(C−1)と0.3gのアジピン酸(D−2)を有機溶媒(E−4)76.2gに溶解させ、さらにホウ酸3.5gを添加し、100℃で10分攪拌し溶解させることで、
参考例の電解液を得た。
【0067】
<
参考例9>
20.0gの電解質(C−1)と5.5gのアジピン酸(D−2)を有機溶媒(E−4)71gに溶解させ、さらにホウ酸3.5gを添加し、100℃で10分攪拌し溶解させることで、
参考例の電解液を得た。
【0068】
<比較例1>
20.0gの電解質(C−1)を80.0gの有機溶媒(E−1)(GBL)に溶解させ、比較用の電解液を得た。
【0069】
<比較例2>
20.0gの電解質(C−1)を73.0gの有機溶媒(E−1)(GBL)に溶解させ、さらにホウ酸エステル(F1−1)を5g添加することで、比較用の電解液を得た。
【0070】
<比較例3>
アゼライン酸アンモニウム10.0gをエチレングリコール90.0gに溶解させ、比較用の電解液を得た。
【0071】
実施例1〜
7、参考例8〜9及び比較例1〜3の電解液組成を表1に示した。
【0072】
【表1】
【0073】
実施例1〜
7、参考例8〜9及び比較例1〜3の電解液を使用して巻き取り形のアルミニウム電解コンデンサ(定格電圧100V、静電容量30μF、サイズ;φ10mm×L10mm)を作成した。封口ゴムには過酸化物加硫のブチルゴムを使用した。作成したアルミニウム電解コンデンサは、下記の測定方法で、耐熱試験(125℃の下で放置)開始時、1000時間後、2000時間後の静電容量(C)、その変化率(△C%)、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)を測定した。
すなわち、静電容量(C)、静電容量変化率(△C%)及び損失角の正接(tanδ)はLCRメーター(4284A、Agilent Technologies社製)を用い周波数は100kHzで測定を行った。また、漏れ電流(LC)は定格電圧を印加後、1分後の電流値を測定した。結果を表2に示した。
【0074】
【表2】
【0075】
表2に示すように、実施例1〜
7、参考例8〜9、比較例1〜3すべて、初期においてショートしていないことから、すべて火花電圧は高いといえる。しかし、比較例1、2は、2000時間までにショートが起きている。
【0076】
また、実施例1〜
7、参考例8〜9は、初期において漏れ電流(LC)も低いことからショートの危険性が少なく、実施例1〜7、
参考例9は、さらに、2000時間でも漏れ電流(LC)も低いことから、一層ショートの危険性が少ないと言える。
【0077】
また、実施例1〜
7、参考例8〜9は、初期において比較例3と比べて損失角の正接(tanδ)が小さいことから特性劣化も少なく、実施例1〜
7、参考例8は、さらに、2000時間でもtanδが小さいことから特性劣化も一層少ないことがわかる。