【実施例1】
【0018】
<ロボット10の構成>
図1〜
図3に基づいて、本発明に係る腕部50のロール回転のためのロール回転構造が搭載されたロボット10の概略構成について説明する。この腕部50は、肩部55を介して後述する駆動ユニット20に接続され、更にロボット10の本体側(後述する上半身骨格骨格構造側)に取り付けられている。
図1はロボット10の正面図であり、
図2はロボット10の左側面図であり、
図3はロボット10の背面図である。なお、本実施例では、ロボット10の進行方向をx軸正方向、ロボット10からみて左手方向をy軸正方向、ロボット10における反重力方向をz軸正方向としたとき、x軸がロール軸、y軸がピッチ軸、z軸がヨー軸である。したがって、x軸回りの回転がロール回転、y軸回りの回転がピッチ回転、z軸回りの回転がヨー回転となる。また、本実施例における上方向とは、z軸正方向、すなわち反重力方向であり、一方で下方向とは、z軸負方向、すなわち重力方向とし、左右方向はロボット10から見たときの左右方向であり、y軸正方向が左方向、y軸負方向が右方向となる。
【0019】
ロボット10は、人間型ロボットであり、人間の骨格構造を模したボディを有している。概略的には、
図1においてz軸方向に延在している背骨部14及び後述する板金で形成された各種の骨部14a〜14d、背骨部14を支持するように背骨部14に連結された腰骨部15、更に腰骨部15を支持し図示しないロボット10の一対の脚部が接続される骨盤部16によってロボット10の上半身の骨格構造(以下、単に「上半身骨格構造」という)が形成されている。そして、背骨部14には、ロボット10の首部13が接続され、更にその上に頭部11が配置されている。なお、頭部11には、外部を撮影するためのカメラ12が搭載されている。この首部13を介した頭部11の背骨部14との接続により、頭部11は背骨部14に対してロール回転、ヨー回転が可能となるが、これらの回転動作のためのロボット内部構造は本発明の中核をなすものではないので、本明細書ではその詳細な説明は省略する。
【0020】
また、ロボット10には、その上半身の駆動を司る駆動ユニット20が右上半身と左上半身のそれぞれに対応して配置されている。ここで、
図4に示すように、背骨部14には、ロボット10の肩部分に位置する部位で、ロボット10の側方に向かって延在するように、ロボット前面側の前方鎖骨部14aとロボット背面側の背面鎖骨部14bが接続されている。更に、背骨部14には、ロボット10の胸部分(肩部分より下方の部位)に位置する部位で、同じようにロボット10の側方に向かって延在するように、ロボット前面側の前方胸骨部14cとロボット背面側の背面胸骨部14dが接続されている。これらの骨部14a〜14d及び背骨部14によって、背骨部14を挟んだロボット10の上半身内の左右に所定の空間が形成され、当該左右の所定の空間に駆動ユニット20がそれぞれ収まるように配置され、各骨部14a〜14dに対して駆動ユニット20が接続されることになる。これにより、2つの駆動ユニット20がロボット10内に取り付けられることになる。骨部14a〜14dは、背骨部14の厚さよりも薄い平板状の板金で形成されているため、背骨部14に対する駆動ユニット20の取り付けは、比較的弾性的に行われることになる。これら骨部14a〜14dは、本発明の上半身支持部に相当する。なお、駆動ユニット20の取り付けの詳細については、後述する。
【0021】
<腕部50の回転駆動に関する構成>
図4には、ロボット10の左側の腕部50が肩部55を介してそれに対応する左上半身用の駆動ユニット20と接続されて、一体となってロボット10の上半身骨格構造から取り外された状態が示されている。このように駆動ユニット20は、対応する腕部50、肩部55とともにロボット10の上半身骨格構造から取り外し可能となるように構成されることで、ロボット10の組立性やメンテナンス性が好適に維持される。この駆動ユニット20内に、リンク機構からなる、腕部50のピッチ回転のための回転駆動機構が搭載されており、当該回転駆動機構によってピッチ回転用のアクチュエータ24からの出力が腕部50に伝えられ、そのピッチ回転駆動が行われることになる。また、駆動ユニット20上には、腕部60のロール回転駆動のためのアクチュエータ26が配置されている。
【0022】
そこで、
図5〜
図8に基づいて、腕部50の具体的な構成とともに、ピッチ回転駆動及びロール回転駆動に関する構成について説明する。
図5には、ロボット10の左上半身用の駆動ユニット20及びそれに取り付けられた腕部50が開示されている。また、
図6は、
図5に示す構成から駆動ユニット20等の記載を消去した腕部50の構成であり、具体的には、腕部50が取り付けられた肩部55に対して、腕部50のロール回転用のアクチュエータ26が取り付けられた構成の斜視図である。そして、
図7は、
図6に示す腕部50等の上面図である。また、
図8では、ロボット10の右上半身用の駆動ユニット20の詳細な構造が開示されている。なお、
図8では、駆動ユニット20の内部を示すために、一部の構成(後述する外側基板21等の構成)は省略されている。また、本明細書においては、左上半身用の駆動ユニット20と右上半身用の駆動ユニット20は同一の構成を有
しており、
図5及び
図8に基づいて行われる説明は、両側の駆動ユニット20及びその内部のピッチ回転のための回転駆動機構に適用されるものである。
【0023】
ここで、
図6、
図7に示すように、腕部50は、その端部に形成された厚板状の接続プレート50aが、肩部55に対してロール支持軸61でロール回転自在となるように回転支持されている。当該ロール支持軸61による支持が、本発明に係るロール支持部による支持に相当する。そして、肩部55の、腕部50が取り付けられた端部とは反対側の端部にプレート51が設けられている。このプレート51は、本発明に係る固定プレートに相当し、後述するように腕部50のピッチ回転駆動のための回転モーメントが伝えられる部材であるとともに、腕部50のロール回転駆動のためのアクチュエータ26が取り付けられる部材でもある。なお、肩部55の端部とそれに隣接するプレート51の端部の領域R28は、後述の支持部材28が腕部50をピッチ回転自在に支持する際に接触する支持面を形成する。
【0024】
次に、腕部50のピッチ回転駆動及びロール回転駆動に関する構成について説明する。駆動ユニット20は、ロボット10の上半身骨格構造に接続される外側基板21と内側基板22、及び両基板の間に配置されたスペーサ23で画定される収容空間を有する。外側基板21は、駆動ユニット20に肩部55を介して腕部50が接続された状態において、ロボット10の外側、すなわち腕部50に近い側に配置される基板である。また、内側基板22は、ロボット10の内側に配置される基板である。なお、外側基板21には、腕部50を肩部55とともにピッチ回転自在とするように支持するための支持部材28が設けられる。支持部材28は、
図6、
図7に示す領域R28に接触するようにして肩部55及び腕部50を回転支持する。したがって、支持部材28を介して腕部50が駆動ユニット20側に接続されることになる。この支持部材28としては、比較的モーメントの大きいロボット10の腕部50を限られた空間容積内で支持する点を考慮し、1個のベアリングでラジアル荷重、アキシアル荷重等のあらゆる方向の荷重を支持可能な支持部材を採用するのが好ましい。例えば、THK株式会社製のクロスローラリングを採用することが可能である。
【0025】
そして、スペーサ23は、両基板の間隔を画定する長さを有する棒状の部材である。これらの外側基板21、内側基板22、スペーサ23による構成は、いわば駆動ユニット20の筐体を形成するものであり、当該筐体は、ロボット10の上半身骨格構造に固定され、そこに、3つのアクチュエータ24、25、26及びアクチュエータ24に関連するリンク機構30が配置される。アクチュエータ24は腕部50のピッチ回転用アクチュエータであり、アクチュエータ25は腰骨部駆動用アクチュエータである。アクチュエータ26は腕部50のロール回転用アクチュエータであり、本発明の直動アクチュエータに相当する。アクチュエータ26に関連する所定のリンク機構(後述する第1ロールリンク部56、第2ロールリンク部57で構成されるリンク機構)は、肩部55内に配置され、その詳細については後述する。
【0026】
先ず、アクチュエータ24について説明する。アクチュエータ24は、サーボモータと、本体部24aと、アクチュエータの軸方向に直線移動する出力軸24bとを有する、直動アクチュエータであり、外側基板21及び内側基板22に固定されている。出力軸24bの外周面には螺旋状のねじ溝が形成されており、本体部24aには、出力軸24bのねじ溝に螺合するボールねじナット(図示せず)が本体部24aに軸線の回りの回転のみが許容された状態で収納されている。そして、サーボモータが当該ボールねじナットを回転させるように本体部24aと接続されており、本体部24a内でボールねじナットの軸線方向の移動が制限されているため、サーボモータの駆動により出力軸24bが軸方向に直線運動、すなわち直動する。
【0027】
アクチュエータ24の出力軸24bは、リンク機構30を構成する第1ピッチリンク部31と第2ピッチリンク部32のうち第1ピッチリンク部31に接続される。なお、このリンク機構30が、ピッチ回転のための回転駆動機構に相当する。そして、第1ピッチリンク部31は、後述の
図10、
図11に示すように、基部31cの両端から同方向に延出した2つの壁部31aを有しており、そして、基部31cに平行となるように両壁部31aを繋ぐブリッジ31bが設けられている。この基部31cは、外側基板21と内側基板22に対して回転自在となるようにベアリングで支持され、第1支持点33が形成される。また、ブリッジ31bに、アクチュエータ24の出力軸24bが、第1ピッチリンク部31との向きが可変となるように接続され、その接続点が31eとされる。更に、基部31cを挟んでブリッジ31bとは反対側に、基部31cから延出する尾部31dが設けられている。尾部31dの延出方向は、ブリッジ31b上の接続点31eと第1支持点33とを結ぶ直線上ではなく、当該直線に対してアクチュエータ24が配置されていない方向、すなわち後述する第3支持点35が位置する方向となっている。そして、尾部31dの端部(基部31cとの接続部とは反対側の端部)において、第2ピッチリンク部32が回転自在となるようにベアリングで支持され、第2支持点34が形成される。
【0028】
このように壁部31a、ブリッジ31b、基部31c、尾部31dをリンク本体として第1ピッチリンク部31は形成される。そして、第1ピッチリンク部31は、そのリンク本体を回転自在に支持する第1支持点33を基準とすると、その一方側にアクチュエータ24の出力軸24bが接続されるブリッジ31bが位置し、他方側に第2ピッチリンク部32が接続される尾部31dが位置することになる。そのため、アクチュエータ24の出力が作用する点、すなわちアクチュエータ24の出力が第1ピッチリンク部31に入力される接続点31eと、第1ピッチリンク部31を介した力を第2ピッチリンク部32側に伝える点、すなわちアクチュエータ24からの出力を第2ピッチリンク部32側に出力する第2支持点34とは、第1支持点33を基準にしてシーソーのように搖動する相関を有することになり、以て、第1ピッチリンク部31は搖動リンクとして形成されることになる。より具体的に言えば、接続点31eが上方に移動すれば第2支持点34は下方に移動し、逆に、接続点31eが下方に移動すれば第2支持点34は上方に移動するように、第1ピッチリンク部31が形成されている。このように第1ピッチリンク部31を揺動リンクとして形成することで、アクチュエータ24の出力伝達に要する機構の大きさ、特に、その長さ寸法を抑えることができる。また、第1ピッチリンク部31のシーソー形状を利用して、アクチュエータ24の出力の増幅を図ることも可能となり、この点はアクチュエータ24の小型化にも寄与する。
【0029】
次に、第2ピッチリンク部32は、その一方の端部において上記の通り第2支持点34で第1ピッチリンク部31の尾部31dと回転自在に接続され、更に、他方の端部において、肩部55の端部に連結されたプレート51に対して回転自在となるようにベアリングで支持され、第3支持点35が形成される。このように第2支持点34及び第3支持点35を含む板状の本体を有するように第2ピッチリンク部32は形成され、そして、第2ピッチリンク部32は、第1ピッチリンク部31から伝わってきた力をプレート51へと伝達させる。このプレート51は、支持部材28を介して回転自在に取り付けられた肩部55の端部に連結されたプレートであり、そのピッチ方向の回転に伴い肩部55に連結された腕部50とともにピッチ回転する。そして、支持点35は、この腕部50のピッチ方向の回転中心よりも所定距離ずらした場所に位置しており、アクチュエータ24から第1ピッチリンク部31及び第2ピッチリンク部32を介してプレート51へ伝達された力は、腕部50をピッチ方向に回転駆動させる駆動力となる。
【0030】
このように、アクチュエータ24の駆動力は、第1ピッチリンク部31及び第2ピッチリンク部32からなるリンク機構30によって腕部50に伝達されることで、腕部50のピッチ方向の回転動作が生じることになる。そして、腕部50は、外側基板21上の支持
部材28により支持され、また、第1ピッチリンク部31は外側基板21及び内側基板22上に回転支持されているため、第1ピッチリンク部31及び第2ピッチリンク部32の回転方向は、腕部50のピッチ回転方向と同じ方向となる。
【0031】
また、
図6、
図7に示すように、プレート51上からロボット10の肩幅方向に沿って延出するバネ取付部52が設けられている(なお、後述の
図9も参照のこと)。このバネ取付部52には、
図9に示すように、背面胸骨部14dとの間に付勢力を付与するバネ19が2本設けられている。背面胸骨部14dにおけるバネ19の接続位置は、19aで表される。バネ取付部52は、腕部50とともにピッチ回転するプレート51上にあり、また、接続位置19aはロボット10の上半身骨格構造を形成する背面胸骨部14d側にあるため、バネ19による付勢力は、腕部50のピッチ回転に寄与するトルクを生み出すことになる。このバネ19による付勢力については、後述する。
【0032】
なお、腕部50の回転駆動には直接関連はないが、駆動ユニット20内に収容されているアクチュエータ25についても簡単に説明する。アクチュエータ25もアクチュエータ24と同様に直動アクチュエータであり、外側基板21及び内側基板22に固定されている。アクチュエータ25の出力軸は、外側基板21及び内側基板22に支持点18aを介して回転自在に取り付けられた搖動リンク部18の一端側に接続されている。そして、搖動リンク部18の他端側では、支持点18bを介して伝達リンク部17が回転自在に接続され、当該伝達リンク部17は更に腰骨部15に接続されている。この揺動リンク部18は、上述の第1ピッチリンク部31と同じようにシーソー形状を有しており、そのため、アクチュエータ25の出力伝達にようする機構の大きさ、特に、その長さ寸法を抑えることができ、更に、アクチュエータ25の出力の増幅を図ることも可能となり、この点はアクチュエータ25の小型化にも寄与する。
【0033】
ロボット10の左右の上半身において、アクチュエータ25の出力が腰骨部15に伝えられることで、図示しない腰骨部15の構成によりロボット10の上半身が骨盤部16に対してロール方向及びヨー方向に回転駆動することになる。なお、この骨盤部16に対する回転駆動のための構成については、本発明の中核をなすものではないため、その詳細な説明は省略する。
【0034】
また、駆動ユニット20にはアクチュエータ25は含まれるが、アクチュエータ25に関連するリンクである搖動リンク部18及び伝達リンク部17は、駆動ユニット20には含まれない(
図4に示す、駆動ユニットを取り外した状態を参照のこと。)。これは、駆動ユニット20の取外しに際して伝達リンク部17と腰骨部15との接続を外してしまうと、駆動ユニット20の筐体から搖動リンク部18及び伝達リンク部17がはみ出してしまい取扱いが難しくなるからである。もちろん、駆動ユニット20内に搖動リンク部18及び伝達リンク部17が含まれるように、駆動ユニット20を上半身骨格構造から取り外しても構わない。
【0035】
次に、アクチュエータ26について説明する。アクチュエータ26もアクチュエータ24と同様に直動アクチュエータである。アクチュエータ26は、その出力軸が後述する第1ロールリンク部56、第2ロールリンク部57からなるリンク機構を介して腕部50に接続され、腕部50のロール回転構造を形成する。アクチュエータ26は、
図6に示すように、プレート51に対してアタッチメント27を介して取り付けられている。具体的には、アタッチメント27は、アクチュエータ26の両側面に沿って延びる壁部において、アクチュエータ26の本体が回転軸27aによってロール回転自在となるように支持されるとともに、当該壁部を繋ぐベース部27bがプレート51上に配置されるように、プレート51に対して固定される。このようにアタッチメント27がアクチュエータ26をロール回転自在に支持するのは、後述するように腕部50のロール回転の際に、肩部55に
対するアクチュエータ26の姿勢を調整可能とするためである。
【0036】
また、アタッチメント27のベース部27bの概ね中央には、アクチュエータ26の出力軸26aが挿通可能な貫通孔27cが設けられている。この貫通孔27cが、本発明に係る中空部に相当する。そして、出力軸26aは、この貫通孔27cを経て、更にプレート51に設けられた不図示の貫通孔を経て、肩部55内に挿通され、肩部55内で後述する第1ロールリンク部56に対して接続されている。このようにアタッチメント27を介したプレート51へのアクチュエータ26の取り付けは、肩部55の外部にアクチュエータ26の本体を配置させるとともに、肩部55内に出力軸26aを出し入れ可能とするものであるから、本発明に係る取付部による取り付けに相当する。そして、腕部50が領域R28でピッチ回転自在に支持された状態において、このプレート51はその回転に伴ってピッチ回転する。そのため、プレート51及びアタッチメント27により取り付けられているアクチュエータ26自体は、腕部50及び肩部55のピッチ回転に伴ってピッチ回転される配置となっている。なお、アクチュエータ26を含む腕部50のロール回転構造の詳細については後述する。
【0037】
<駆動ユニット20による支持構造>
上記の通り、駆動ユニット20は、その上部前方部位、上部背面部位で、外側基板21と内側基板22によって画定される収容空間にアクチュエータ24、25を収容した状態で、それぞれ前方鎖骨部14aと背面鎖骨部14bに接続されている。更に、駆動ユニット20は、その中央前方部位、中央背面部位で、それぞれ前方胸骨部14cと背面胸骨部14dに接続され、駆動ユニット20の下方では、アクチュエータ25の出力軸、揺動リンク部18、伝達リンク部17を介して、腰骨部15と接続されている。
【0038】
このような駆動ユニット20の上半身骨格構造との接続態様により、上半身支持部に相当する各骨部14a〜14dに対して、駆動ユニット20が下方から支えるように接続されることになる。そして、図からも分かるように第1接続点に相当する駆動ユニット20と各骨部14a〜14dの接続点は、ロボット10の肩幅に相当する距離だけ背骨部14からロボット10の側方に離れた位置にあり、支持点17aよりも更にロボット10の側方に位置する。また、第2接続点に相当する支持点17aは、背骨部14がつながる腰骨部15上の接続点であることを踏まえると、第1接続点、第2接続点、及び各骨部14a〜14dと背骨部14との接続点によって、略三角形の支持フレームが形成されることになる。すなわち、駆動ユニット20自体が、当該支持フレームの一辺に含まれることになる。このとき、腕部50のロール回転駆動用のアクチュエータ26は、
図1、
図4等からも理解できるように、背骨部14や各骨部14a〜14dからなる上半身骨格構造と駆動ユニット20で囲まれる、ロボット10の本体内の空間内に配置されることになる。
【0039】
ここで、図からも分かるように、当該支持フレームにおいて、駆動ユニット20は、外側基板21と内側基板22が、それらの長手方向において第1接続点と第2接続点との間に延在した状態となる。外側基板21と内側基板22は、アクチュエータ24、25が固定される基板でもあるため、駆動ユニット20の筐体として機能すべく両基板の厚さは相応に厚くされる。したがって、外側基板21と内側基板22の剛性は比較的高く設定されている。
【0040】
そこで、駆動ユニット20の各基板21、22が上記支持フレームの一辺に含まれると、各基板21、22の剛性を、そのままロボット10の上半身骨格構造、特に骨部14a〜14dの支持のために利用することができる。このことは、上半身骨格構造の支持のために特別の支持構造を設けなくても、ロボット10の上半身の強度アップを図ることができることを意味し、換言すれば、ロボット10の上半身の強度アップのために、上半身の重量が増加することを抑制することができる。
【0041】
また、腕部50は骨部14a〜14dに直接接続はされておらず、駆動ユニット20の外側基板21に肩部55を介して取り付けられている。そして、骨部14a〜14dは、上記の通り、板金で形成されているため、駆動ユニット20を弾性的に支持している。このように駆動ユニット20が弾性的に支持されることで、腕部50からの荷重の一部を、骨部14a〜14dの弾性力によって吸収することができる。そのため、腕部50が外側基板21に取り付けられている支持部材28で支持すべき荷重が軽減されることになるため、許容荷重が比較的低い支持部材28、例えば、許容されるラジアル荷重やアキシアル荷重が比較的低いクロスローラリングを使用することができる。これにより支持部材28の小型化が可能となり、この点からもロボット10の上半身の重量増加を抑制することができる。
【0042】
更に、ロボット10の上半身の重量増加の抑制の観点から、駆動ユニット20に形成される上記収容空間に、腕部50をピッチ回転駆動するためのアクチュエータ24が固定収容された状態で、上半身骨格構造に接続される構成も有用と言える。アクチュエータ24が腕部50や肩部55の外部に配置されることで、腕部50等の内部に配置される場合と比べて腕部50等の重量を軽減することができる。腕部50等は回転駆動される部材であるため、その軽量化は、腕部50等のモーメント低下、ひいては回転駆動時の荷重低下に帰結する。その結果、上半身骨格構造の耐荷重性を大きく上げる必要がなくなり、以て、上半身の重量増加の抑制に資するものと考えられる。なお、アクチュエータ24を腕部50等の外部に配置した上で、腕部50をピッチ回転駆動するためには、アクチュエータ24の直動の出力軸からの出力を、後述するリンク機構30の動作によって腕部50に伝える構成が極めて有用である。
【0043】
<リンク機構30によるピッチ回転動作>
リンク機構30は、上記の通り第1ピッチリンク部31と第2ピッチリンク部32により構成されており、アクチュエータ24の駆動力を腕部50に連結されたプレート51に伝達することで、腕部50がピッチ方向に回転駆動されることになる。そして、このリンク機構30によるピッチ回転動作の詳細について、
図10、
図11、
図12に基づいて説明する。
【0044】
図10は、ピッチ回転方向において腕部50が鉛直下方向に延在している状態、すなわち腕部50が支持部材28によって回転自在に支持されている状態において、腕部50がピッチ回転方向で重力成分にならって最も下方向に延在している最下方位置にある状態での、リンク機構30を中心とした駆動ユニット20内の状態を表している。一方で、
図11は、ピッチ回転方向において腕部50が水平方向に延在している状態、すなわち腕部50が支持部材28によって回転自在に支持されている状態において腕部50が最下方位置から重力成分に逆らってピッチ回転により上昇された水平上昇位置にある状態での、リンク機構30を中心とした駆動ユニット20内の状態を表している。すなわち、
図10は、腕部50の自重によるアクチュエータ24に対する重力負荷が最小となる状態を表し、
図11は、当該重力負荷が最大となる状態を表している。
【0045】
また、
図12は、リンク機構30を構成する各リンク部の状態を把握しやすいように、各リンク部をzy平面に投射した状態で表している。そのため、第1ピッチリンク部31は、接続点31eと第1支持点33とを結ぶ直線と第1支持点33と第2支持点34とを結ぶ直線とが折れ曲がったくの字形状で表されている。なお、具体的には、
図12の左図(a)は、
図10に示すように腕部50が最下方位置にある場合のリンク機構30の状態を表しており、
図12の右図(b)は、
図11に示すように腕部50が水平上昇位置にある場合のリンク機構30の状態を表している。
【0046】
ここで、ロボット10において腕部50がピッチ回転により最下方位置から水平上昇位置まで上昇駆動される場合のリンク機構30の動作について説明する。ロボット10において腕部50が最下方位置にある場合、
図10に示すように、アクチュエータ24の出力軸24bが駆動ユニット20内で最も上方に位置した状態にある。そのため、
図12(a)に示すように、第2支持点34は、該第2支持点34が採り得る位置の中で最も下方に位置する状態となる。そのため、この第2支持点34の位置に影響され、第2ピッチリンク部32がプレート51を下方に引き込んだ状態となり、以て、
図12(a)に示すプレート51の状態を介した、腕部50の最下方位置が決定されることになる。
【0047】
このように
図12(a)に示す状態から、アクチュエータ24の駆動により出力軸24bが本体部24aに引き込まれていくと(すなわち、ロボット10において出力軸24bが下方に直動していくと)、
図12(a)において、第1ピッチリンク部31は、第1支持点33を中心として反時計回りに回転していくことになる。すなわち、出力軸24bの下方への直動により、接続点31eは下方に移動するとともに第2支持点34は上方に移動する。この結果、第2ピッチリンク部32が、プレート51を時計方向に押し出すことになり、以て、
図12において腕部50がプレート51の回転に伴って時計方向に回転上昇することになり、
図12(b)に示す水平上昇位置に到達することになる。
【0048】
ここで、この腕部50のピッチ回転上昇の過程において、第1支持点33と第2支持点34を結ぶ直線(以下、「第1直線」という)と、第2支持点34と第3支持点35を結ぶ直線(以下、「第2直線」という)とが為す角度θ(以下、「リンク間角度」という)に着目する。第1支持点33は、外側基板21及び内側基板22と第1ピッチリンク部31との間に形成されるため、第1支持点33の位置は第1ピッチリンク部31の状態にかかわらず外側基板21等に対して不変である。そして、
図12(a)に示す状態から第1ピッチリンク部31が反時計回りに回転していくと、この第1支持点33を中心として第2支持点34が上昇し、当初鋭角であったリンク間角度θは、90度を超えて鈍角となり、最終的な
図12(b)に示す状態では、180度に近い角度となる。すなわち、第一リンク部31の反時計回りの回転により、リンク間角度θは180度に近づくように徐々に開いていき、第3支持点35が第1支持点33からより離間するように上昇していく。
【0049】
この結果、
図12(b)に示すような腕部50が水平に上昇した状態では、第1支持点33と第2支持点34を結ぶ第1直線と、第2支持点34と第3支持点35を結ぶ第2直線が、概ね一直線上に、且つ、z軸に沿うように延在することになる。このとき、腕部50の重力成分による重力負荷は最大となるが、リンク機構30における3つの支持点33、34、35が、第1支持点33上に概ね一直線上に並んでいる。そのため、腕部50から伝わる重力負荷は、外側基板21等に支持されている第1支持点33でその多くを支持することができるため、接続点31eを介してアクチュエータ24側に伝達される負荷を軽減することができる。
【0050】
また、リンク機構30において、腕部50が水平上昇位置の近傍の位置にある場合、腕部50が最下方位置の近傍の位置にある場合と比べて、アクチュエータ24の出力軸24bの変位量に対する腕部50に連結されたプレート51の回転量の比率が小さくなるように、第1ピッチリンク部31と第2ピッチリンク部32の形状、寸法が決定されている。この結果、アクチュエータ24に搭載されるサーボモータの変位量に対する、腕部50の変位量の比率である減速比が、腕部50が水平上昇位置に近づくほど大きく設定されることになる。そのため、腕部50が最下方位置の近傍にある場合は、比較的減速比は小さいものの、腕部50による重力負荷は小さいため、アクチュエータ24に対する影響度は小さく保てる。一方で、腕部50による重力負荷が相対的に大きくなる水平上昇位置の近傍においては、減速比をより大きくすることで、腕部50による重力負荷のアクチュエータ24への影響度を可及的に軽減でき、以て、アクチュエータ24の小型化を図ることがで
きる。
【0051】
また、ロボット10においては、
図9に示すようにバネ19による付勢力の付与が行われている。この点について、
図13に基づいて説明する。
図13は、腕部50の回転角度に対する、腕部50による重力負荷の推移、及びバネ19の付勢力の推移を、それぞれ線L1、L2で表している。なお、
図13の横軸は、腕部50が最下方位置にある場合(
図12(a)に示す状態の場合)を回転角度が0度とし、腕部50が水平上昇位置にある場合(
図12(b)に示す状態の場合)を回転角度が90度とするものである。また、バネ19の付勢力は、
図13に示す回転角度の範囲においては、腕部50を上昇回転させるトルクを発生させる向きに付与されている。
【0052】
ここで、線L1から分かるように、腕部50が最下方位置から水平上昇位置まで回転上昇していくと、その重力負荷が次第に上昇していく。このとき、バネ19の付勢力は、線L2から分かるように、腕部50が水平上昇位置に到達する前の領域(概ね回転角度が50度から75度となる位置であり、「所定負荷領域」という。)において付勢力が線L1で示される重力負荷より大きくなるように、その取付位置やバネ定数が決定されている。このようなバネ19の設計により、腕部50による重力負荷が比較的大きくなる領域では、バネ19の付勢力により腕部50を効果的に支持することができ、アクチュエータ24に掛かる負荷を軽減することができる。なお、所定負荷領域よりも腕部50による重力負荷が更に大きくなる領域(腕部50の回転角度が概ね75度から90度となる位置)では、上記の通り、リンク機構30による減速比が相対的に大きくなるため、
図13に示すようにバネ19の付勢力が負荷重力と比べて低下しても、アクチュエータ24に掛かる重力負荷を軽減できる。
【0053】
また、
図13に示すように、所定負荷領域よりも腕部50による重力負荷が小さくなる領域(腕部50の回転角度が概ね0度から50度となる位置)では、上記の通り、リンク機構30による減速比は相対的には小さいが、腕部50による重力負荷自体が相対的に小さいため、
図13に示すようにバネ19の付勢力が負荷重力と比べて低下しても、アクチュエータ24に掛かる重力負荷は、アクチュエータ24の小型化を阻害する程のものではない。
【0054】
このようにリンク機構30による減速比との相関を考慮してバネ19による付勢力を設定することで、腕部50の回転駆動範囲の全体において、アクチュエータ24に掛かる重力負荷を軽減でき、アクチュエータ24の小型化を図ることができる。
【0055】
ここで、
図12に戻り、リンク機構30について再び言及する。
図12(b)のように腕部50が水平上昇位置にある場合、第1支持点33を基準として第2支持点34、第3支持点35がz軸に沿って概ね直線状に並ぶことで、上記の通り、腕部50による重力負荷を第1支持点33で効率的に支持することができる。このとき、第1ピッチリンク部31は、上記の通り、第3支持点35側に偏って折れ曲がった形状(くの字形状)に形成されている。そのため、第1ピッチリンク部31の接続点31eが
図12(a)に示す状態から
図12(b)に示す状態に変位する場合、第1ピッチリンク部31の折れ曲がった形状により第1支持点33と第2支持点34とを結ぶ第1直線と、第2支持点34と第3支持点35とを結ぶ第2直線とが、より直線状に近づきやすい。リンク機構30において、腕部50が水平上昇位置にある場合に、第1直線と第2直線とがより直線に近い状態となることで、第1支持点33による重力負荷の支持による効果を享受しやすい。したがって、第1ピッチリンク部31における上記折れ曲がり形状は、この第1支持点33による重力負荷の支持を考慮して設計すればよい。
【0056】
また、第1ピッチリンク部31における上記折れ曲がり形状は、第1直線と第2直線が
直線状になった状態からの第1ピッチリンク部31の回転駆動のしやすさの観点からも決定するのが好ましい。第1直線と第2直線が直線状になった場合に、仮に、接続点31eと第1支持点33とを結ぶ直線が、第1直線等の延長上に位置してしまうと、
図12(b)に示す状態から
図12(a)に示す状態へと戻すときに、第1ピッチリンク部31にそのためのトルクを付与しにくくなる。そこで、第1ピッチリンク部31の回転駆動のしやすさを考慮して、第1ピッチリンク部31における折れ曲がり形状を決定するのが好ましい。
【0057】
なお、本実施例では、腕部50の回転支持のための支持部材28として、上記のようにクロスローラリングを使用することができる。当該クロスローラリングは、多方面からの荷重を支持することが可能な支持部材である。そのため、腕部50に関する負荷の支持については当該クロスローラが好適に作用し、その分、腕部50のピッチ回転を司るアクチュエータ24に求められる剛性を小さくでき、この点からもアクチュエータ24の小型化を図ることができる。
【0058】
<腕部50のロール回転動作>
上記の通り、腕部50のロール回転駆動は、アクチュエータ26の出力により腕部50がロール支持軸61を中心として回転されることで行われる。ここで、腕部50をロール回転駆動するために肩部55内に形成されているリンク機構の構成、及び当該リンク機構の動作について、
図14A〜
図14Cに基づいて説明する。
図14A〜
図14Cは、
図7に示すAA断面における断面図であり、
図14Aは、腕部50がロール回転方向において鉛直下方に延在している状態を表しており、
図14Cは、腕部50がロール回転方向において略水平方向に延在している状態を表しており、
図14Bは、
図14Aに示す状態と
図14Cに示す状態の中間の状態、すなわちロール回転方向において腕部50が下方略45度の位置までロール回転された状態を表している。
【0059】
上記の通り、ロール回転駆動用のアクチュエータ26は、アタッチメント27を介してプレート51に固定されている。このアタッチメント27の固定により、アクチュエータ26の本体自体は、肩部55の外部に位置するとともに、その出力軸26aがアタッチメント27の貫通孔27cを通って、プレート51及び肩部55の内部に出し入れ可能とされる。ここで、
図14A〜
図14Cに示すように、アクチュエータ26からの出力が腕部50のロール回転のための回転モーメントを生成するように、アクチュエータ26の出力軸26aと、腕部50の接続プレート50aとの間に、第1ロールリンク部56と第2ロールリンク部57からなるリンク機構(以下、「ロール回転リンク機構」という)が形成されている。当該ロール回転リンク機構は、腕部50のロール回転のためにアクチュエータ26の出力軸26aと腕部50とを接続するものであるから、本発明の接続部に相当する。
【0060】
ロール回転リンク機構を構成する第1ロールリンク部56は、概ねL字の形状を有しており、そのL字形状のうち一方の延在部の先端側の接続部位26bで、アクチュエータ26の出力軸26aが接続されている。また、第1ロールリンク部56のL字形状のもう一方の延在部の先端側では、第1ロールリンク部56が肩部55に対してロール回転自在となるように支持部62により回転支持されている。具体的には、支持部62はベアリングにより第1ロールリンク部56を回転支持しており、当該支持部62は、本発明の第1肩支持部に相当する。そして、L字形状を有する第1ロールリンク部56の基端部、すなわち2つの延在部が繋がる部位において、ロール回転リンク機構を構成する第2ロールリンク部57が、支持部63によってロール回転自在に支持されている。具体的には、支持部63はベアリングにより第1ロールリンク部56と第2ロールリンク部57とを回転支持しており、当該支持部63は、本発明の第2肩支持部に相当する。そして、この第2ロールリンク部57は直線形状を有しており、その一端側に支持部63が配置されている。
【0061】
更に、第2ロールリンク部57の他端側には、第2ロールリンク部57と腕部50の接続プレート50aが互いにロール回転自在となるように、支持部64により回転支持されている。具体的には、支持部64はベアリングにより回転支持しており、支持部64による回転支持位置は、ロール回転リンク機構が腕部50に接続される部位でもあり、本発明に係る接続部位に相当する。
【0062】
このように構成されるロール回転リンク機構は、アクチュエータ26の出力軸26aが肩部55内に出し入れされることにより、第1ロールリンク部56と第2ロールリンク部57とが連動して変位し、第2ロールリンク部57と接続プレート50aとの回転支持部位(接続部位)において、第2ロールリンク部57からアクチュエータ26の出力が伝達される。
図14A等に示すように、当該回転支持部位は、ロール回転面においてロール支持軸61の支持部位より所定距離離れているため、第2ロールリンク部57から伝達された出力は、結果として、腕部50の接続プレート50aを、ロール支持軸61を中心としてロール回転させる回転モーメントを生成するように作用する。
【0063】
ここで、
図14A〜
図14Cに基づいて、ロール回転リンク機構の具体的な動作について説明する。
図14Aに示すように、腕部50がロール回転方向において鉛直下方に延在している状態では、アクチュエータ26の出力軸26aが最もアクチュエータ26の本体側に位置している状態、換言すれば、出力軸26aの肩部55内への挿入量が最も少ない状態にある。このとき、L字形状の第1ロールリンク部56は、支持部62と支持部63が概ね鉛直方向に沿って並んだ状態となっており、また、出力軸26aの接続部位26bが支持部63の横に位置している。この状態からアクチュエータ26の出力軸26aが肩部55方向に直動していくと、第1ロールリンク部56が支持部62を中心として反時計方向に回転し、
図14Bに示す状態に至る。このとき、支持部63は
図14Aに示す位置よりも左側に移動するため、この結果、第2ロールリンク部57によって腕部50の接続プレート50aが、
図14Bの左側に押し出されることになる。接続プレート50aは、ロール支持軸61を介してロール方向に回転自在となるように肩部55に支持されているため、上記のように第2ロールリンク部57によって押し出された結果、腕部50のロール回転が実現されることになる。
【0064】
そして、
図14Bに示す状態から更にアクチュエータ26の出力軸26aが肩部55内に向かって直動していくと、第1ロールリンク部56が支持部62を中心として更に反時計方向に回転し、
図14Cに示す状態に至る。このとき、支持部63は、腕部50のロール回転の範囲において、最も図中の左側の位置に移動する。この結果、第2ロールリンク部57によって腕部50の接続プレート50aが、最も左側に押し出されることになり、腕部50が、ロール回転方向において略水平方向に延在した状態となる。
【0065】
上記ロール回転リンク機構によれば、腕部50がロール回転により
図14Aに示す状態から
図14Cに示す状態に至る場合に、支持部62を中心として支持部63が円弧を描くように反時計方向に回転していき、それに伴い第2ロールリンク部57による接続プレート50aの押し出し量が変化していく。その結果、腕部50が、略水平方向に延在している場合、鉛直方向に延在している場合と比べて、直動アクチュエータ26の変位量に対する腕部55のロール回転量の比率が小さく、すなわち直動アクチュエータ26の変位に対する減速比が大きくなる。これは、腕部50が水平状態に近づくに従って、その状態を支持するための回転トルクが大きくなるため、上記のように減速比が徐々に大きくされることで、アクチュエータ26に求められる出力が過度に大きくなることを回避でき、アクチュエータ26の小型化を図ることができる。
【0066】
また、このようなロール回転リンク機構の動作が実現されるためには、第1ロールリン
ク部56が支持部62を中心に回転される必要があり、その結果、出力軸26aの接続部位26bの高さ位置は常に一定とはならない。そこで、この接続部位26bの高さ位置の変動に対応するために、アクチュエータ26が、回転軸27aによってロール回転自在となるように回転支持された状態で、アタッチメント27によって肩部55に対して接続されて、その姿勢が適宜調整される。
【0067】
このように構成される腕部50のロール回転駆動に関する構成においては、アタッチメント27を介してアクチュエータ26が肩部55の外部に位置するように配置される。この結果、従来技術のように肩部55の内部にアクチュエータ26を収容する必要がなく、肩部55を小型化することができる。これにより腕部50をピッチ回転駆動やロール回転駆動する際に、肩部55が他の構成部材と干渉しにくくなり、ロボット10としての肩周りの可動範囲を広く確保することができる。また、肩部55の小型化によりロボット10の軽量化も図れるため、ロボット駆動に要する消費エネルギーを抑制することが可能となる。