(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の光無線通信ユニットと前記第2の光無線通信ユニットとの間の通信が途絶した後に、前記第1の光無線通信ユニットと前記第2の光無線通信ユニットとの間の接続が成立すると、前記制御装置は、前記第1の光無線通信ユニットへ通信が途絶していたことを通知する切断通知コマンドを前記第2の光無線通信ユニットに送信させる、請求項5に記載の医療用撮影システム。
前記操作装置は、前記注入装置のステータスを予測すると共に、取得した前記注入装置の情報に基づく前記注入装置のステータスと比較し、予測した前記注入装置のステータスと相違する場合には、前記第2の無線送受信ユニットへ初期化コマンドを前記第1の無線送受信ユニットに送信させ、
前記第2の無線送受信ユニットが前記初期化コマンドを受信すると、前記制御装置は、前記注入装置を初期化させる、請求項13に記載の医療用撮影システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に説明される実施例で具体的に記載された形態に限定されるものではない。
【0014】
[第1実施形態]
図1の医療用撮影システムは、医療用撮影装置としての磁気共鳴撮影装置(MRI撮影装置)10を備え、MRI撮影装置10は撮影室2に配置されている。この撮影室2は、周囲が電磁遮蔽性をもったシールド壁3によって囲まれている。シールド壁3に電磁遮蔽性をもたせる手段としては、例えば金属製のメッシュ材等を利用することができる。なお、シールド壁3には、内部の様子を見るための覗き窓や、室内に出入りするためのドア等が設けられている。また、撮影室2に隣接して機械室4が設けられており、MRI撮影装置10の電源系統及び信号系統はフィルターボックス5を介して機械室4から撮影室2へと通じている。さらに、撮影室2の上方には天井ピット6が設けられており、撮影室2の周辺又は下方には床下ピット7が設けられている。なお、以下の説明では1つの撮影室2について説明するが、撮影室2は複数設けることができる。
【0015】
撮影室2内に配置されたMRI撮影装置10は従来公知のものであり、寝台に横になった患者の所定部位を撮影する。また、撮影室2には、患者に造影剤などの薬液を注入するための自動注入装置であるインジェクター12が配置されている。このインジェクター12は、薬液が充填されたシリンジが装着されるシリンジ保持部と、該シリンジのピストンをシリンダ部材に向けて押し込む駆動手段と、駆動手段の動作を制御すると共にメモリ及びCPU等を備える制御回路と、を有している。なお、
図1のインジェクター12は、キャスター付きのスタンド13上に保持されているので、自由に移動させることができる。
【0016】
患者への薬液の注入は、例えば、患者の体重などに応じて予め設定されたプロトコル(注入条件)にしたがって自動で行われる。このような自動注入によれば、患者に対して適正な量の薬液を好ましい注入速度で注入できる。撮影室2の外には操作室8が設けられており、操作室8にはインジェクター12等の動作を制御するための、モニター(タッチパネルモニター)及びキーボード等を備えた操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター12を動作させる操作信号を、インジェクター12の制御装置としてのメインユニット15に制御情報として送信する。操作信号としては、例えば注入開始の信号又は注入停止の信号等がある。
【0017】
コンソール14は、撮影室2外に配置され、第1の無線送受信ユニットとして後述する通信モジュール141が内蔵されている。コンソール14とメインユニット15は、いずれも電源ライン200によって交流電源(AC電源)に接続されている。ただし、コンソール14とメインユニット15は、内蔵されたバッテリー又は外側に取り付けられたバッテリーによって駆動してもよい。また、
図1においては中継ユニット16が設けられており、この中継ユニット16は、無線方式の通信ラインを介してコンソール14と送受信を行う無線装置161と、無停電電源162とを有している。そして、中継ユニット16は、コンソール14とメインユニット15との間における無線通信を中継する。そのため、通信モジュール141及び無線装置161は、いずれもアンテナ17を有し、電波を送受信する機能を備えている。そして、中継ユニット16は、コンソール14が送信した制御情報としての操作信号を受信し、光ケーブルからなる制御ライン150を介してメインユニット15に送信する。中継ユニット16とメインユニット15を接続する制御ライン150は、機械室4を経由している。なお、
図1においては、コンソール14と中継ユニット16を結ぶ無線方式の通信ラインが、仮想的に点線で示されている。また、アンテナ17は外部に露出しているが、装置内に内蔵させることができる。
【0018】
メインユニット15は、電源(DC)−制御ライン120によってインジェクター12と接続されている。そして、メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター12に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信され、インジェクター12は制御信号に応じた動作を行う。例えば、インジェクター12は、注入開始の制御信号に応じて注入動作を開始し、又は注入停止の制御信号に応じて注入動作を停止する。なお、メインユニット15は、インジェクター12の一機能としてインジェクター12と一体的に構成してもよく、又は別部品としてインジェクター12の外側に取り付けてもよい。
【0019】
第1実施形態においては、コンソール14と中継ユニット16との間における無線通信に、所定の周波数帯の無線方式が利用され、例えば2GHz以上、好ましくは2.4GHz〜5GHzの周波数帯が使用されている。一般に、MRI撮影装置が撮影に利用する周波数帯は数百MHzであることが多い。これに対して、第1実施形態の無線方式はそれよりも高い周波数帯域を使用するものであるため、この電波が撮影に影響を及ぼすことはない。無線方式を利用する場合、例えば無線USB、MBOA、UWB、ZigBee(登録商標)、又はWi−Fi等のIEEE802.11シリーズの無線規格等の方式を用いることができるが、Bluetooth(登録商標)を用いることが好ましい。以下、特に説明した場合を除き、Bluetooth(登録商標)を用いた例について説明する。
【0020】
Bluetooth(登録商標)は、無指向性であるため、どの機器を操作しているのかを判断するために、事前に操作装置(コンソール14)と被制御機器(メインユニット15)とを1対1に対応付けすること(以下ペアリングという。)が必要となる。すなわち、ペアリングとは、コンソール14とメインユニット15との間で、双方のID(識別情報)を交換することを意味する。
【0021】
なお、無線方式としては、可視光又は赤外線等を利用した光無線通信を用いることも可能である。この場合、コンソール14及び中継ユニット16は、発光部と受光部とを有する。そして、操作室8に配置されたコンソール14と、床下ピット7に配置された中継ユニット16とは、反射鏡等の反射手段を介した光路で結ばれる。
【0022】
次に、上記のように構成された第1実施形態の医療用撮影システムの動作について説明する。オペレータはコンソール14を操作して、制御情報として所定の注入プロトコル(患者への薬液注入条件)をコンソール14に読み込ませる。また、必要に応じてオペレータは、この注入条件に修正を加える。例えば、患者の現在の体重や、注入する薬液の種類などに応じて、注入条件を適宜修正することができる。オペレータの操作にしたがって、コンソール14は、読み込まれた注入条件のデータ及び注入開始の操作信号を、中継ユニット16を介してメインユニット15へと送信する。そして、メインユニット15は、注入条件のデータを電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信する。
【0023】
次いで、インジェクター12は、受信した注入条件にしたがって注入動作を実施する。注入動作の実施中、インジェクター12は、注入の状況に関するデータ(現時点でどれだけの量の薬液が患者に注入されたか等のデータ)を、随時、メインユニット15及び中継ユニット16を介してコンソール14に送信する。コンソール14はこれを受信し、モニターに注入状況としてリアルタイムに表示する。また、注入動作の実施中、コンソール14は、所定の時間間隔で、コンソール14とインジェクター12とが、中継ユニット16を介して通信可能な状態に維持されているかどうかを確認する。そして、何らかの原因で通信不能となっていた場合、コンソール14は、所定のアラームをモニター上に表示する。これにより、アラームを確認したオペレータは、撮影室2内のインジェクター12を直接操作することにより薬液の注入を停止することができる。一方、通信可能な状態が維持されている場合、薬液注入が継続され、所定量の薬液が注入された時点で注入動作が自動的に終了する。なお、通信不能となっていた場合、コンソール14がアラームを表示すると共に、メインユニット15が自動的に薬液の注入を停止させてもよく、又は所定の量薬液を若しくは全量の薬液を注入してもよい。また、オペレータは、後述するハンドスイッチにより薬液の注入を停止させることができる。
【0024】
このように、第1実施形態の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター12との間のやり取りを、床下ピット7に配置された中継ユニット16を介して行うことができる。そのため、シールド壁3越しに通信を行う必要がなく、通信の安定性が変動してしまうこともない。したがって、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的に行うことができる。また、異なる撮影室2に適用した場合であっても、無線通信を安定的に接続できる。さらに、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間を引き回すケーブルを省略することができるため、両者を容易に接続することができる。
【0025】
[ハンドスイッチ]
続いて、第1実施形態の医療用撮影システムが、無線方式のハンドスイッチ100を備える構成について説明する。
図2に示すように、ハンドスイッチ100は、無線送受信ユニットであるBluetooth(登録商標)通信モジュール101を備える。この通信モジュール101は、コンソール14のBluetooth(登録商標)通信モジュール141と送受信を行う。また、ハンドスイッチ100は、駆動電源としての内蔵バッテリー102と、インジェクター12の操作(例えば、注入開始又は注入停止の操作)を行うスイッチ部103と、CPU等が搭載され且つハンドスイッチ100を制御する1Chipマイコン104と、を備える。さらに、ハンドスイッチ100は、コンソール14との無線通信が可能であることを表示する表示器105を有し、表示器105はLEDランプ等によって構成されている。そして、1Chipマイコンは、ハンドスイッチ100とコンソール14との間にペアリングが成立しているか否かを判断し、ペアリングが成立している場合は表示器105を点灯する。
【0026】
一方、コンソール14は、Bluetooth(登録商標)通信モジュール141と、オペレータが操作する入力用インターフェースとして機能するタッチパネルモニター142と、CPU等が搭載され且つコンソール14を制御する1Chipマイコン143と、インジェクター12の制御情報としての操作信号を生成するインジェクター制御回路144とを備える。例えば、オペレータがハンドスイッチ100のスイッチ部103を操作して注入停止を選択した場合、ハンドスイッチ100の1Chipマイコン104は通信モジュール101を介して、コンソール14に注入停止を示す信号を送信する。コンソール14は、通信モジュール141を介して信号を受信し、1Chipマイコン143はインジェクター制御回路144に制御情報としての操作信号を生成させる。そして、1Chipマイコン143は、通信モジュール141を介して操作信号を中継ユニット16等の被受信機器へと送信する。
【0027】
無線方式のハンドスイッチ100を備えることにより、オペレータはコンソール14から離れてインジェクター12を操作することができるため、操作の利便性を高めることができる。また、ハンドスイッチ100は、コンソール14との無線通信が可能であることを表示する表示器105を有している。そのため、オペレータは、インジェクター12をハンドスイッチ100によって操作可能か否かを容易に判断することができる。これにより、ハンドスイッチ100によって操作している最中に、操作不能な状態に陥ることを防止できる。
【0028】
なお、ハンドスイッチ100とコンソール14との通信に利用される無線方式としては、赤外線等を用いた光無線通信を利用することもできる。この場合、ハンドスイッチ100及びコンソール14は、Bluetooth(登録商標)通信モジュール101に代えて、発光部及び受光部を有する。そして、1Chipマイコンは、コンソール14からの光を受光しているか否かを判断し、受光している場合は表示器105を点灯する。また、表示器105は、液晶表示パネル等の他の表示手段であってもよい。
【0029】
[有線及び無線方式の両用形態]
続いて、第1実施形態の医療用撮影システムが、有線方式及び無線方式の両方の通信方式を利用できるコンソール14を備える構成について説明する。
図3に示すように、有線方式の場合、コンソール14は電源−制御ライン(ケーブル)160を介在してシリアル通信を行う。そのため、コンソール14のシリアル通信ポート145には、ケーブル160が接続されており、中継ユニット16としてのシリアル通信−光変換ユニットを介してメインユニット15に操作信号を送信する。シリアル通信−光変換ユニット16は、シリアル通信ポート165と光コネクター166とを有し、電気信号を光信号に変換する。メインユニット15も光コネクター156を有しており、メインユニット15とシリアル通信−光変換ユニット16とは、光コネクター166,156に接続された光ケーブル150を介して送受信を行う。コンソール14から送信された操作信号は、ケーブル160を介してシリアル通信−光変換ユニット16によって受信される。シリアル通信−光変換ユニット16は、受信した操作信号を光信号に変換し、メインユニット15に送信する。メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号を、ケーブル120を介してインジェクター12に送信する。そして、インジェクター12は、受信した制御信号に応じた動作を行う。
【0030】
無線方式の場合は、
図4に示すように、コンソール14のシリアル通信ポート145に通信モジュール141としての無線変換モジュールを取り付ける。具体的には、シリアル通信ポート145に、シリアル−Bluetooth(登録商標)変換モジュール141を取り付ける。そして、中継ユニット16として、Bluetooth(登録商標)−光変換ユニットを配置する。コンソール14から送信された操作信号は、シリアル−Bluetooth(登録商標)変換モジュール141を介してBluetooth(登録商標)−光変換ユニット16により受信される。Bluetooth(登録商標)−光変換ユニット16は、受信した操作信号を光信号に変換し、光ケーブル150を介してメインユニット15に送信する。メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号を、ケーブル120を介してインジェクター12に送信する。そして、インジェクター12は、受信した制御信号に応じた動作を行う。
【0031】
有線及び無線方式の両方の通信方式を利用できるコンソール14を備えることにより、必要に応じて有線方式と無線方式との切り替えを行うことができる。すなわち、有線方式の医療用撮影システムを、無線方式に容易に変更することができる。また、無線方式に変更する場合のコストも低額に抑えることができる。なお、シリアル通信−光変換ユニット16及びBluetooth(登録商標)−光変換ユニット16は、メインユニット15に内蔵させることもできる。
【0032】
[デュアルコンソール]
続いて、第1実施形態の医療用撮影システムが、複数のコンソール146,147(デュアルコンソール)を備える構成について説明する。
図5に示すように、デュアルコンソールを備える場合、医療用撮影システムは、メインコンソール146の他に、他の操作装置としてのサブコンソール147を備える。また、サブコンソール147は、第3の無線送受信ユニットとしてBluetooth(登録商標)通信モジュールが内蔵され、オペレータの操作に応じて操作信号をメインユニット15に送信することができる。医療用撮影システムは、中継ユニット16としてのBluetooth(登録商標)−光変換ユニットを備えている。そして、Bluetooth(登録商標)−光変換ユニット16は、光ケーブル150を介してメインユニット15に接続されている。なお、Bluetooth(登録商標)−光変換ユニット16は、シールド壁3の操作室8側に配置されている。ただし、Bluetooth(登録商標)−光変換ユニットは、床下ピット7、天井ピット6又は機械室4に配置することもできる。
【0033】
オペレータがメインコンソール146又はサブコンソール147を操作すると、その通信モジュールにより操作信号がBluetooth(登録商標)−光変換ユニット16に送信される。そして、Bluetooth(登録商標)−光変換ユニット16が操作信号を光信号に変換し、光ケーブル150を介してメインユニット15に送信する。また、メインコンソール146及びサブコンソール147は、入力用インターフェースとして機能するタッチパネルモニターを有する。そして、メインコンソール146によってインジェクター12を動作させる場合、サブコンソール147はモニターとして機能する。一方、サブコンソール147によってインジェクター12を動作させる場合、メインコンソール146がモニターとして機能する。
【0034】
図6は、デュアルコンソールを備える場合のペアリング処理についてのフローチャートである。以下の説明では、メインコンソール146又はサブコンソール147の内、最初に電源を投入したコンソール14を第1のコンソールといい、次に電源を投入したコンソール14を第2のコンソールという。第1のコンソールの電源を投入すると、第1のコンソールは、中継ユニット16及び光ケーブル150を介してメインユニット15にペアリング要求を発行する。そして、メインユニット15は、中継ユニット16及び光ケーブル150を介して第1のコンソールのペアリング要求に応答する。また、メインユニット15は、ケーブル120を介してインジェクター12に起動を指示する制御信号を送信し、インジェクター12が起動する。その後、メインユニット15は、第1のコンソールとペアリングをする(ステップ10)。これにより、最初に電源を投入した第1のコンソールは、インジェクター12を操作可能なコンソール14となる。
【0035】
次に、第2のコンソールの電源を投入すると、第2のコンソールは第1のコンソールとメインユニット15とにペアリング要求を発行する。第1のコンソールは、第2のコンソールのペアリング要求に応答し、第1のコンソールが第2のコンソールとペアリングをする。一方、メインユニット15は第1のコンソールとペアリング済みなので、第2のコンソールのペアリング要求を拒否する(ステップ11)。そして、後から電源を投入した第2のコンソールは、最初に電源を投入した第1のコンソールから情報データを受信し、当該情報を表示するモニターとして機能する。
【0036】
メインユニット15と第1のコンソールとがペアリングをしている状態で、第2のコンソールへのペアリング切替が発生しない場合は(ステップ12でNO)、ペアリング処理は終了する。一方、オペレータが第2のコンソールへのペアリング切替を選択した場合は、第2のコンソールは第1のコンソールにペアリング解除要求を発行する。メインユニット15と第1のコンソールとのペアリングが解除可能である場合は(ステップ12でYES)、ペアリングが解除される(ステップ13)。そして、第2のコンソールは、中継ユニット16及び光ケーブル150を介してメインユニット15にペアリング要求を発行する。メインユニット15は、中継ユニット16及び光ケーブル150を介して第2のコンソールのペアリング要求に応答する。その後、メインユニット15と第2のコンソールは、ペアリングをする(ステップ14)。また、第1のコンソールは、第2のコンソールとメインユニット15とにペアリング要求を発行する。第2のコンソールは、第1のコンソールのペアリング要求に応答し、第2のコンソールと第1のコンソールとはペアリングをする。一方、メインユニット15は第2のコンソールとペアリング済みなので、第1のコンソールのペアリング要求を拒否する(ステップ15)。すなわち、第2のコンソールは、インジェクター12を操作可能なコンソール14となる。そして、第1のコンソールは、第2のコンソールから情報データを受信し、当該情報を表示するモニターとして機能する。なお、メインユニット15と第1のコンソールとのペアリングが解除不可能である場合、ペアリング処理は終了する(ステップ12でNO)。
【0037】
メインユニット15と第2のコンソールとがペアリングをしている状態で、第1のコンソールへのペアリング切替が発生しない場合は(ステップ16でNO)、ペアリング処理は終了する。一方、オペレータがペアリング切替を選択した場合は、第1のコンソールは第2のコンソールにペアリング解除要求を発行する。メインユニット15と第2のコンソールとのペアリングが解除可能である場合は(ステップ16でYES)、ペアリングが解除される(ステップ17)。そして、ステップ10に戻り、第1のコンソールはメインユニット15にペアリング要求を発行し、メインユニット15と第1のコンソールとがペアリングをする。その後、第2のコンソールは第1のコンソールと中継ユニット16とにペアリング要求を発行する。第1のコンソールは、第2のコンソールのペアリング要求に応答し、第1のコンソールが第2のコンソールとペアリングをする(ステップ10)。一方、メインユニット15は第1のコンソールとペアリング済みなので、第2のコンソールのペアリング要求を拒否する(ステップ11)。すなわち、第1のコンソールがインジェクター12を操作可能なコンソール14となり、第2のコンソールは第1のコンソールの情報を表示するモニターとなる。なお、メインユニット15と第2のコンソールとのペアリングが解除不可能である場合、ペアリング処理は終了する(ステップ16でNO)。
【0038】
デュアルコンソールを備える場合は、操作用のコンソールと表示用のコンソールとを分けて使用することができるため、コンソール14の操作性を向上させることができる。また、上記のペアリング処理を行うことにより、デュアルコンソールを備える医療用撮影システムであっても、各コンソール14によって被制御機器を操作することができる。なお、サブコンソール147は、操作室8外に配置してもよい。例えば、ケーブルを介してサブコンソール147と中継ユニット16とを接続し、サブコンソール147を撮影室2に配置することもできる。
【0039】
[天井ピットに配置された中継ユニット]
図7は、第1実施形態の医療用撮影システムにおいて、中継ユニット16を天井ピット6に配置した変形例を示す。なお、以下の説明においては、特に上述した構成との相違点について説明し、上述した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0040】
図7の医療用撮影システムの撮影室2には、医療用撮影装置としてのMRI撮影装置10(不図示)と、注入装置としてのインジェクター12と、インジェクター12の制御装置としてのメインユニット15とが配置されている。インジェクター12及びメインユニット15は、共にスタンド13上に保持されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター12を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット15に送信する。そのため、コンソール14は、第1の無線送受信ユニットとしての通信モジュール141を内蔵している。また、通信モジュール141とメインユニット15との間における無線通信を中継する中継ユニット16が配置されており、中継ユニット16は無線装置161及び無停電電源162を有する。
【0041】
図7においては、
図1の医療用撮影システムとは異なり、中継ユニット16が天井ピット6に配置されている。そして、中継ユニット16は、コンソール14が送信した制御情報としての操作信号を受信し、光ケーブルからなる制御ライン150を介して当該操作信号をメインユニット15に送信する。制御ライン150は、機械室4を経由して中継ユニット16とメインユニット15とに接続されている。メインユニット15は、電源−制御ライン120によってインジェクター12と接続されている。そして、メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター12に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信され、インジェクター12は制御信号に応じた動作を行う。
【0042】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター12との間のやり取りを、天井ピット6に配置された中継ユニット16を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。
【0043】
[セパレート型のインジェクター]
図8及び
図9は、第1実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター12のメインユニット15が、インジェクター12のスタンド13から離れて配置された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのMRI撮影装置10(不図示)と、注入装置としてのインジェクター12と、インジェクター12の制御装置としてのメインユニット15とが配置されている。
図1の医療用撮影システムとは異なり、メインユニット15はインジェクター12のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター12を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット15に送信する。そのため、コンソール14は、第1の無線送受信ユニットとしての通信モジュール141を内蔵している。また、通信モジュール141とメインユニット15との間における無線通信を中継する中継ユニット16が配置されており、中継ユニット16は無線装置161及び無停電電源162を有する。
【0044】
図8においては、
図1の医療用撮影システムと同様に、中継ユニット16が床下ピット7に配置されている。一方、
図9においては、
図1の医療用撮影システムとは異なり、中継ユニット16が天井ピット6に配置されている。ただし、いずれの変形例においても、中継ユニット16は、コンソール14が送信した制御情報としての操作信号を受信し、光ケーブルからなる制御ライン150を介してメインユニット15に送信する。制御ライン150は、機械室4を経由して中継ユニット16とメインユニット15とに接続されている。また、メインユニット15は、電源−制御ライン120によってインジェクター12と接続されている。そして、メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター12に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信され、インジェクター12は制御信号に応じた動作を行う。
【0045】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター12との間のやり取りを、床下ピット7又は天井ピット6に配置された中継ユニット16を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。
【0046】
[天吊型のインジェクター]
図10は、第1実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター12が天吊部材300を介して天吊された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのMRI撮影装置10(不図示)と、注入装置としてのインジェクター12とが配置されている。
図1の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター12は天吊部材300を介して天井から天吊されている。また、インジェクター12は移動可能であり、撮影室2内の任意の位置で薬液の注入を行うことができる。さらに、
図1の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター12の制御装置としてのメインユニット15は天井ピット6に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター12を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット15に送信する。そのため、コンソール14は、第1の無線送受信ユニットとしての通信モジュール141を内蔵している。また、通信モジュール141とメインユニット15との間における無線通信を中継する中継ユニット16が配置されており、中継ユニット16は無線装置161及び無停電電源162を有する。
【0047】
図10においては、
図1の医療用撮影システムとは異なり、中継ユニット16が天井ピット6に配置されている。中継ユニット16は、コンソール14が送信した制御情報としての操作信号を受信し、光ケーブルからなる制御ライン150を介してメインユニット15に送信する。メインユニット15は、電源−制御ライン120によってインジェクター12と接続されている。そして、メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター12に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信され、インジェクター12は制御信号に応じた動作を行う。
【0048】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター12との間のやり取りを、天井ピット6に配置された中継ユニット16を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。なお、メインユニット15は、撮影室2内に配置することもできる。
【0049】
[デュアル中継ユニット]
図11は、第1実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター12が天吊部材300を介して天吊されると共に、複数の中継ユニット16が設けられている変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのMRI撮影装置10(不図示)と、注入装置としてのインジェクター12とが配置されている。
図1の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター12は天吊部材300を介して天井から天吊されている。また、インジェクター12は移動可能であり、撮影室2内の任意の位置で薬液の注入を行うことができる。さらに、
図1の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター12の制御装置としてのメインユニット15は天井ピット6に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター12を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット15に送信する。そのため、コンソール14は、第1の無線送受信ユニットとしての通信モジュール141を内蔵している。また、
図1の医療用撮影システムとは異なり、通信モジュール141とメインユニット15との間における無線通信を中継する第1及び第2の中継ユニット16が配置されている。第1及び第2の中継ユニット16は、いずれも無線装置161及び無停電電源162を有する。
【0050】
図11においては、
図1の医療用撮影システムとは異なり、第1及び第2の中継ユニット16が天井ピット6に配置されている。第1の中継ユニット16は、コンソール14が送信した制御情報としての操作信号を受信し、第2の中継ユニット16に送信する。そして、第2の中継ユニット16は、光ケーブルからなる制御ライン150を介して、受信した操作信号をメインユニット15に送信する。メインユニット15は、電源−制御ライン120によってインジェクター12と接続されている。そして、メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター12に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信され、インジェクター12は制御信号に応じた動作を行う。
【0051】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター12との間のやり取りを、天井ピット6に配置された中継ユニット16を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。さらに、複数の中継ユニット16を備えることにより、電波が届きにくい環境であっても、無線通信を安定的且つ容易に接続できる。なお、中継ユニット16の数は2つに限られず、3つ以上の中継ユニット16を備えることもできる。
【0052】
[第2実施形態]
第2実施形態の医療用撮影システムは、第1実施形態とは異なり、医療用撮影装置としてコンピュータ断層撮影装置(CT撮影装置)を備える。なお、以下の説明においては、特に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0053】
図12の医療用撮影システムは、医療用撮影装置としてのCT撮影装置20を備え、CT撮影装置20は撮影室2に配置されている。この撮影室2は、周囲が放射線遮蔽性をもったシールド壁3によって囲まれている。シールド壁3に放射線遮蔽性をもたせる手段としては、例えば鉛材等を利用することができる。シールド壁3は、電波遮蔽性を有する場合がある。なお、この電波遮蔽性を有するシールド壁3において、遮蔽部材に隙間が設けられている場合、電波は当該隙間を透過できる。また、遮蔽部材に厚みの薄い部分が設けられている場合、電波は当該部分を透過できる。さらに、遮蔽部材が設けられていない領域が存在する場合、電波は当該領域に回り込んでシールド壁3を透過できる。
【0054】
さらに、撮影室2の上方には天井ピット6が設けられており、撮影室2の周辺又は下方には床下ピット7が設けられている。CT撮影装置20は従来公知のものであり、寝台に横になった患者の所定部位を撮影する。また、撮影室2には、薬液を注入するための注入装置であるインジェクター22が配置されている。
図12のインジェクター22は、キャスター付きのスタンド13上に保持されているので、自由に移動させることができる。また、スタンド13上には、インジェクター22の制御装置としてのメインユニット25が保持されている。メインユニット25は、電源トランス23、無停電電源24、及び後述する第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21を有する
【0055】
撮影室2の外には操作室8が設けられており、操作室8にはインジェクター22等を操作するための、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター22を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット25に送信する。コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141(不図示)が内蔵されている。また、メインユニット25には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21が内蔵されている。そして、コンソール14は第1通信モジュール141によって制御情報としての操作信号を送信し、メインユニット25は第2通信モジュール21によって操作信号を受信する。メインユニット25は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター22に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター22に送信され、インジェクター22は制御信号に応じた動作を行う。
【0056】
コンソール14とメインユニット25との間における無線通信には、例えば2GHz以上、好ましくは2.4GHz〜5GHzの周波数帯が使用されている。なお、以下では、特に説明した場合を除き、Bluetooth(登録商標)を用いた操作例について説明する。オペレータはコンソール14を操作して、制御情報として所定の注入プロトコルをコンソール14に読み込ませる。オペレータの操作にしたがって、コンソール14は、読み込まれた注入条件のデータ及び注入開始の操作信号を第1通信モジュール141によりメインユニット25へと送信する。そして、メインユニット25は、第2通信モジュール21により注入条件のデータ等を受信し、電源−制御ライン120を介してインジェクター22に送信する。
【0057】
次いで、インジェクター22は、受信した注入条件にしたがって注入動作を実施する。注入動作の実施中、インジェクター22は、注入の状況に関するデータを、随時、メインユニット25を介してコンソール14に送信する。コンソール14はこれを受信し、モニターに注入状況としてリアルタイムに表示する。注入動作の実施中、コンソール14は、所定の時間間隔で、コンソール14とインジェクター22とが通信可能な状態に維持されているかどうかを確認する。そして、何らかの原因で通信不能となっていた場合、コンソール14は、所定のアラームをモニター上に表示する。
【0058】
このように、第2実施形態の医療用撮影システムによれば、撮影室2と操作室8とが壁によって分離され且つコンピュータ断層撮影装置を備えた医療用撮影システムにおいて、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的に行うことができる。さらに、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間で引き回すケーブルを省略することができるため、両者を容易に接続することができる。なお、第2通信モジュール21は、インジェクター22のヘッド部分に設けることもできる。
【0059】
[セパレート型のインジェクター]
図13は、第2実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター22のメインユニット25が、インジェクター22のスタンド13から離れて配置された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのCT撮影装置20(不図示)と、注入装置としてのインジェクター22と、インジェクター22の制御装置としてのメインユニット25とが配置されている。
図12の医療用撮影システムとは異なり、メインユニット25はインジェクター22のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター22を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット25に送信する。
【0060】
コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。また、メインユニット25には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21が内蔵されている。そして、コンソール14は第1通信モジュール141によって制御情報としての操作信号を送信し、メインユニット25は第2通信モジュール21によって操作信号を受信する。メインユニット25は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター22に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター22に送信され、インジェクター22は制御信号に応じた動作を行う。
【0061】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター22との間のやり取りを、第1通信モジュール141及び第2通信モジュール21を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。
【0062】
[天吊型のインジェクター]
図14は、第2実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター22が天吊部材300を介して天吊された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのCT撮影装置20(不図示)と、注入装置としてのインジェクター22とが配置されている。
図12の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター22は天吊部材300を介して天井から天吊されている。また、インジェクター22は移動可能であり、撮影室2内の任意の位置で薬液の注入を行うことができる。さらに、
図12の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター22の制御装置としてのメインユニット25は天井ピット6に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター22を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット25に対して送信する。
【0063】
コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。また、メインユニット25には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21が内蔵されている。そして、コンソール14は第1通信モジュール141によって制御情報としての操作信号を送信し、メインユニット25は第2通信モジュール21によって操作信号を受信する。メインユニット25は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター22に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター22に送信され、インジェクター22は制御信号に応じた動作を行う。
【0064】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター22との間のやり取りを、第1通信モジュール141及び第2通信モジュール21を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。
【0065】
[中継ユニット]
図15は、第2実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター22が天吊部材300を介して天吊されると共に、中継ユニット16が設けられている変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのCT撮影装置20(不図示)と、注入装置としてのインジェクター22とが配置されている。
図12の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター22は天吊部材300を介して天井から天吊されている。また、インジェクター22は移動可能であり、撮影室2内の任意の位置で薬液の注入を行うことができる。さらに、
図12の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター22の制御装置としてのメインユニット25は天井ピット6に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター22を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット25に対して送信する。
【0066】
コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。また、メインユニット25には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21が内蔵されている。さらに、
図12の医療用撮影システムとは異なり、コンソール14とメインユニット25との間における無線通信を中継する中継ユニット16が天井ピット6に配置されており、中継ユニット16は無線装置161及び無停電電源162を有する。そして、コンソール14は、第1通信モジュール141によって制御情報としての操作信号を送信し、中継ユニット16は無線装置161によって操作信号を受信する。中継ユニット16は受信した操作信号をメインユニット25に送信し、メインユニット25は第2通信モジュール21によって操作信号を受信する。メインユニット25は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター22に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター22に送信され、インジェクター22は制御信号に応じた動作を行う。
【0067】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター22との間のやり取りを、天井ピット6に配置された中継ユニット16を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。さらに、中継ユニット16を備えることにより、電波が届きにくい環境であっても、無線通信を安定的且つ容易に接続できる。なお、中継ユニット16の数は1つに限られず、2つ以上の中継ユニット16を備えることもできる。
【0068】
[第3実施形態]
第3実施形態の医療用撮影システムは、第1及び第2実施形態とは異なり、医療用撮影装置としてアンギオ撮影装置を備える。なお、以下の説明においては、特に第1及び第2実施形態との相違点について説明し、第1及び第2実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0069】
図16の医療用撮影システムは、医療用撮影装置としてのアンギオ撮影装置30を備え、アンギオ撮影装置30は撮影室2に配置されている。この撮影室2は、周囲が放射線遮蔽性をもったシールド壁3によって囲まれている。シールド壁3に放射線遮蔽性をもたせる手段としては、例えば鉛材等を利用することができる。シールド壁3は、電波遮蔽性を有する場合がある。なお、この電波遮蔽性を有するシールド壁3において、遮蔽部材に隙間が設けられている場合、電波は当該隙間を透過できる。また、遮蔽部材に厚みの薄い部分が設けられている場合、電波は当該部分を透過できる。さらに、遮蔽部材が設けられていない領域が存在する場合、電波は当該領域に回り込んでシールド壁3を透過できる。
【0070】
さらに、撮影室2の上方には天井ピット6が設けられており、撮影室2の周辺又は下方には床下ピット7が設けられている。アンギオ撮影装置30は従来公知のものであり、寝台に横になった患者の所定部位を撮影する。また、撮影室2には、薬液を注入するための注入装置であるインジェクター32が配置されている。
図16のインジェクター32は、キャスター付きのスタンド13上に保持されているので、自由に移動させることができる。撮影室2の外には操作室8が設けられており、操作室8にはインジェクター32等を操作するための、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター32を動作させる操作信号を、インジェクター32の制御装置としてのメインユニット35に制御情報として送信する。
【0071】
コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141(不図示)が内蔵されている。また、メインユニット35には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21(不図示)が内蔵されている。そして、コンソール14は、第1通信モジュール141によって制御情報としての操作信号を送信し、メインユニット35は第2通信モジュール21によって操作信号を受信する。メインユニット35は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター32に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター32に送信され、インジェクター32は制御信号に応じた動作を行う。
【0072】
コンソール14とメインユニット35との間における無線通信には、例えば2GHz以上、好ましくは2.4GHz〜5GHzの周波数帯が使用されている。なお、以下では、特に説明した場合を除き、Bluetooth(登録商標)を用いた例について説明する。例えば、オペレータはコンソール14を操作して、制御情報として所定の注入プロトコルをコンソール14に読み込ませる。オペレータの操作にしたがって、コンソール14は、読み込まれた注入条件のデータ及び注入開始の操作信号を第1通信モジュール141によりメインユニット35へと送信する。そして、メインユニット35は、第2通信モジュール21により注入条件のデータ等を受信し、電源−制御ライン120を介してインジェクター32に送信する。
【0073】
次いで、インジェクター32は、受信した注入条件にしたがって注入動作を実施する。注入動作の実施中、インジェクター32は、注入の状況に関するデータを、随時、メインユニット35を介してコンソール14に送信する。コンソール14はこれを受信し、モニターに注入状況としてリアルタイムに表示する。注入動作を実施中、コンソール14は、所定の時間間隔で、コンソール14とインジェクター32とが通信可能の状態に維持されているかどうかを確認する。そして、何らかの原因で通信不能となっていた場合、コンソール14は、所定のアラームをモニター上に表示する。
【0074】
このように、第3実施形態の医療用撮影システムによれば、撮影室2と操作室8とが壁によって分離され且つアンギオ撮影装置30を備えた医療用撮影システムにおいて、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的に行うことができる。さらに、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間で引き回すケーブルを省略することができるため、両者を容易に接続することができる。なお、第2通信モジュール21は、インジェクター32のヘッド部分に設けることもできる。
【0075】
[セパレート型のインジェクター]
図17及び
図18は、第3実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター32のメインユニット35が、インジェクター32のスタンド13から離れて配置された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのアンギオ撮影装置30(不図示)と、注入装置としてのインジェクター32と、インジェクター32の制御装置としてのメインユニット35とが配置されている。
図16の医療用撮影システムとは異なり、
図17においてはメインユニット35がインジェクター32のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。一方、
図18においては、操作室8に隣接して機械室4が設けられており、メインユニット35がインジェクター32のスタンド13から離れて機械室4に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター32を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット35に送信する。
【0076】
コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。また、メインユニット35には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21が内蔵されている。そして、コンソール14は、第1通信モジュール141によって操作信号を送信し、メインユニット35は第2通信モジュール21によって操作信号を受信する。メインユニット35は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター32に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター32に送信され、インジェクター32は制御信号に応じた動作を行う。
【0077】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター32との間のやり取りを、第1通信モジュール141及び第2通信モジュール21を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。
【0078】
[天吊型のインジェクター]
図19は、第3実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター32が天吊部材300を介して天吊された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのアンギオ撮影装置30(不図示)と、注入装置としてのインジェクター32とが配置されている。
図16の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター32は天吊部材300を介して天井から天吊されている。また、インジェクター32は移動可能であり、撮影室2内の任意の位置で薬液の注入を行うことができる。さらに、
図16の医療用撮影システムとは異なり、操作室8に隣接して機械室4が設けられており、インジェクター32の制御装置としてのメインユニット35は機械室4に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター32を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット35に送信する。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター32を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット35に送信する。
【0079】
コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。また、メインユニット35には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21が内蔵されている。そして、コンソール14は、第1通信モジュール141によって制御情報としての操作信号を送信し、メインユニット35は第2通信モジュール21によって操作信号を受信する。メインユニット35は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター32に送信する。この制御信号は、制御ライン120を介してインジェクター32に送信され、インジェクター32は制御信号に応じた動作を行う。
【0080】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター32との間のやり取りを、第1通信モジュール141及び第2通信モジュール21を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。
【0081】
[中継ユニット]
図20は、第3実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター32が天吊部材300を介して天吊されると共に、中継ユニット16が設けられている変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのアンギオ撮影装置30(不図示)と、注入装置としてのインジェクター32とが配置されている。
図16の医療用撮影システムとは異なり、インジェクター32は天吊部材300を介して天井から天吊されている。また、インジェクター32は移動可能であり、撮影室2内の任意の位置で薬液の注入を行うことができる。さらに、
図16の医療用撮影システムとは異なり、操作室8に隣接して機械室4が設けられており、インジェクター32の制御装置としてのメインユニット35は機械室4に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクターを動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット35に送信する。
【0082】
コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。また、メインユニット35には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21が内蔵されている。さらに、
図16の医療用撮影システムとは異なり、コンソール14とメインユニット35との間における無線通信を中継する中継ユニット16が床下ピット7に配置されており、中継ユニット16は無線装置161及び無停電電源162を有する。そして、コンソール14は、第1通信モジュール141によって制御情報としての操作信号を送信し、中継ユニット16は無線装置161によって操作信号を受信する。中継ユニット16は受信した操作信号をメインユニット35に送信し、メインユニット35は第2通信モジュール21によって操作信号を受信する。メインユニット35は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター32に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター32に送信され、インジェクター32は制御信号に応じた動作を行う。
【0083】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター32との間のやり取りを、床下ピット7に配置された中継ユニット16を介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。さらに、中継ユニット16を備えることにより、電波が届きにくい環境であっても、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。なお、中継ユニット16の数は1つに限られず、2つ以上の中継ユニット16を備えることもできる。
【0084】
[第4実施形態]
第4実施形態の医療用撮影システムは、第1実施形態とは異なり、光無線通信を使用した無線方式を利用している。なお、以下の説明においては、特に第1乃至第3実施形態との相違点について説明し、第1乃至第3実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0085】
図21の医療用撮影システムは、医療用撮影装置としてのMRI撮影装置10(不図示)を備え、MRI撮影装置10は撮影室2に配置されている。この撮影室2は周囲が電磁遮蔽性をもったシールド壁3によって囲まれており、撮影室2に隣接して機械室4が設けられている。さらに、撮影室2の上方には天井ピット6が設けられており、撮影室2の周辺又は下方には床下ピット7が設けられている。また、撮影室2には、薬液を注入するための注入装置であるインジェクター12が配置されている。
図21のインジェクター12は、キャスター付きのスタンド13上に保持されているので、自由に移動させることができる。また、インジェクター12の制御装置としてのメインユニット15も、スタンド13上に保持されている。撮影室2の外には操作室8が設けられており、操作室8にはインジェクター12等を操作するための、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター12を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット15に送信する。
【0086】
コンソール14及びメインユニット15と通信を行うために、第1光無線通信ユニット41が撮影室2と機械室4とを隔てるフィルターボックス5を貫通して配置されている。そして、第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン160を介して、コンソール14に接続されている。また、メインユニット15は、無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42を有している。第1光無線通信ユニット41及び第2光無線通信ユニット42は、発光部411,421としてのLED(発光ダイオード)と、受光部412,422としてのフォトダイオードを有する。なお、発光部としては、赤外線発光ダイオード、赤外線レーザー、電球、蛍光灯等を使用することができ、受光部としては、イメージセンサ等を使用することもできる。
【0087】
図21において、破線は光路を示し、発光部411及び受光部422と、発光部421及び受光部412とは直線光路で結ばれている。ただし、直線光路で結ばれている構成には限定されず、発光部411及び発光部421から出射された光を受光部422及び受光部412において受光できれば、これらの配置位置は適宜設定できる。さらに、発光部411及び受光部412と、発光部421及び受光部422との間には、ガラス等の光透過性部材を介在させることができる。例えば、発光部411及び受光部412の前方に、防塵用のガラス部材を配置することができる。また、光としては、例えば可視光又は赤外線が使用される。なお、特に説明した場合を除き、以下では可視光を用いた例について説明する。
【0088】
コンソール14は、電源−制御ライン160を介して制御情報としての操作信号を第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット15に送信する。メインユニット15は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター12に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信され、インジェクター12は制御信号に応じた動作を行う。
【0089】
第4実施形態において、オペレータはコンソール14を操作して、制御情報として所定の注入プロトコルをコンソール14に読み込ませる。オペレータの操作にしたがって、コンソール14は、読み込まれた注入条件のデータ及び注入開始の操作信号を第1光無線通信ユニット41へと送信する。そして、第1光無線通信ユニット41は、受信した注入条件のデータを、メインユニット15に送信する。メインユニット15は、第2光無線通信ユニット42によって注入条件のデータ等を受信し、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信する。
【0090】
次いで、インジェクター12は、受信した注入条件にしたがって注入動作を実施する。注入動作の実施中、インジェクター12は、注入の状況に関するデータを、随時、メインユニット15及び第1光無線通信ユニット41を介してコンソール14に送信する。コンソール14はこれを受信し、モニターに注入状況としてリアルタイムに表示する。注入動作の実施中、コンソール14は、所定の時間間隔で、コンソール14とインジェクター12とが、第1光無線通信ユニット41及びメインユニット15を介して通信可能な状態に維持されているかどうかを確認する。そして、何らかの原因で通信不能となっていた場合、コンソール14は、所定のアラームをモニター上に表示する。
【0091】
このように、第4実施形態の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター12との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的に行うことができる。さらに、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間で引き回すケーブルを省略することができるため、両者を容易に接続することができる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。
【0092】
[セパレート型のインジェクター]
図22は、第4実施形態の医療用撮影システムにおいて、インジェクター12のメインユニット15が、インジェクター12のスタンド13から離れて配置された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのMRI撮影装置10(不図示)と、注入装置としてのインジェクター12と、インジェクター12の制御装置としてのメインユニット15とが配置されている。
図21の医療用撮影システムとは異なり、
図22においてはメインユニット15がインジェクター12のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター12を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット15に送信する。
【0093】
コンソール14及びメインユニット15と通信を行うための第1光無線通信ユニット41は、
図21とは異なり、撮影室2と天井ピット6とを隔てるシールド壁3を貫通して配置されている。そして、第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン160を介して、コンソール14に接続されている。また、メインユニット15は、無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42を有している。コンソール14は、電源−制御ライン160を介して制御情報としての操作信号を第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット15に送信する。メインユニット15は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター12に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信され、インジェクター12は制御信号に応じた動作を行う。
【0094】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター12との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。
【0095】
[中継ユニット]
図23は、第4実施形態の医療用撮影システムにおいて、中継ユニット16が設けられている変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのMRI撮影装置10(不図示)と、注入装置としてのインジェクター12とが配置されている。
図21の医療用撮影システムとは異なり、
図23においてはメインユニット15がインジェクター12のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター12を動作させる操作信号を、中継ユニット16を介してメインユニット15に制御情報として送信する。そのため、コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての通信モジュール141が内蔵されている。
【0096】
中継ユニット16は、無線装置161及び無停電電源162を有し、天井ピット6に配置されている。また、メインユニット15と通信を行うための第1光無線通信ユニット41は、
図21とは異なり、撮影室2と天井ピット6とを隔てるシールド壁3を貫通して配置されている。そして、第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン400を介して、中継ユニット16に接続されている。また、メインユニット15は、第2の無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42を有している。コンソール14は、通信モジュール141により制御情報としての操作信号を送信する。中継ユニット16は、無線装置161により操作信号を受信し、電源−制御ライン400を介して第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット15に送信する。メインユニット15は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット15は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター12に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター12に送信され、インジェクター12は制御信号に応じた動作を行う。
【0097】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター12との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。さらに、中継ユニット16を備えることにより、電波が届きにくい環境であっても、撮影室2内のインジェクター12と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。なお、中継ユニット16の数は1つに限られず、2つ以上の中継ユニット16を備えることもできる。
【0098】
[CT撮影装置]
図24は、第4実施形態の医療用撮影システムにおいて、CT撮影装置20が設けられている変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのCT撮影装置20(不図示)と、注入装置としてのインジェクター22とが配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター22を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット25に送信する。
【0099】
コンソール14及びメインユニット25と通信を行う第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン160を介して、コンソール14に接続されている。また、
図21とは異なり、メインユニット25は、電源トランス23及び無停電電源24と、無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42とを有している。コンソール14は、電源−制御ライン160を介して、制御情報としての操作信号を第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット25に送信する。メインユニット25は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット25は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター22に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター22に送信され、インジェクター22は制御信号に応じた動作を行う。
【0100】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター222との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。
【0101】
[セパレート型のインジェクター]
図25は、第4実施形態の医療用撮影システムにおいて、CT撮影装置20を備えると共に、インジェクター22のメインユニット25が、インジェクター22のスタンド13から離れて配置された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのCT撮影装置20(不図示)と、注入装置としてのインジェクター22と、インジェクター22の制御装置としてのメインユニット25とが配置されている。
図21の医療用撮影システムとは異なり、
図25においてはメインユニット25がインジェクター22のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター22を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット25に送信する。
【0102】
コンソール14及びメインユニット25と通信を行うための第1光無線通信ユニット41は、
図21とは異なり、撮影室2と天井ピット6とを隔てるシールド壁3を貫通して配置されている。そして、第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン160を介して、コンソール14に接続されている。また、
図21とは異なり、メインユニット25は、電源トランス23及び無停電電源24と、無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42とを有している。コンソール14は、電源−制御ライン160を介して制御情報としての操作信号を第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット25に送信する。メインユニット25は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット25は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター22に送信する。この制御信号は、制御ライン120を介してインジェクター22に送信され、インジェクター22は制御信号に応じた動作を行う。
【0103】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター22との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。
【0104】
[中継ユニット]
図26は、第4実施形態の医療用撮影システムにおいて、CT撮影装置20及び中継ユニット16が設けられている変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのCT撮影装置20(不図示)と、注入装置としてのインジェクター22とが配置されている。
図21の医療用撮影システムとは異なり、
図23においてはメインユニット25がインジェクター22のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター22を動作させる操作信号を、中継ユニット16を介してメインユニット25に制御情報として送信する。そのため、コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。
【0105】
中継ユニット16は、無線装置161及び無停電電源162を有し、天井ピット6に配置されている。また、メインユニット25と通信を行うための第1光無線通信ユニット41は、
図21とは異なり、撮影室2と天井ピット6とを隔てるシールド壁3を貫通して配置されている。そして、第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン400を介して、中継ユニット16に接続されている。また、
図21とは異なり、メインユニット25は、電源トランス23及び無停電電源24と、第2の無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42とを有している。コンソール14は、通信モジュール141により制御情報としての操作信号を中継ユニット16に送信する。中継ユニット16は、電源−制御ライン400を介して、受信した操作信号を第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット25に送信する。メインユニット25は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット25は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター22に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター22に送信され、インジェクター22は制御信号に応じた動作を行う。
【0106】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター22との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。さらに、中継ユニット16を備えることにより、電波が届きにくい環境であっても、撮影室2内のインジェクター22と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。なお、中継ユニット16の数は1つに限られず、2つ以上の中継ユニット16を備えることもできる。
【0107】
[アンギオ撮影装置]
図27は、第4実施形態の医療用撮影システムにおいて、アンギオ撮影装置30が設けられている変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのアンギオ撮影装置30(不図示)と、注入装置としてのインジェクター32とが配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター32を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット35に送信する。
【0108】
コンソール14及びメインユニット35と通信を行うための第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン160を介して、コンソール14に接続されている。また、メインユニット35は、無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42を有している。そして、コンソール14は、電源−制御ライン160を介して制御情報としての操作信号を第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット35に送信する。メインユニット35は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット35は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター32に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター32に送信され、インジェクター32は制御信号に応じた動作を行う。
【0109】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター32との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。
【0110】
[セパレート型のインジェクター]
図28は、第4実施形態の医療用撮影システムにおいて、アンギオ撮影装置30を備えると共に、インジェクター32のメインユニット35が、インジェクター32のスタンド13から離れて配置された変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのアンギオ撮影装置30(不図示)と、注入装置としてのインジェクター32と、インジェクター32の制御装置としてのメインユニット35とが配置されている。
図21の医療用撮影システムとは異なり、
図28においてはメインユニット35がインジェクター32のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター32を動作させる制御情報としての操作信号をメインユニット35に送信する。
【0111】
コンソール14及びメインユニット35と通信を行うための第1光無線通信ユニット41は、
図21とは異なり、撮影室2と天井ピット6とを隔てるシールド壁3を貫通して配置されている。そして、第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン160を介して、コンソール14に接続されている。また、メインユニット35は、無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42を有している。コンソール14は、電源−制御ライン160を介して制御情報としての操作信号を第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット35に送信する。メインユニット35は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット35は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター32に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター32に送信され、インジェクター32は制御信号に応じた動作を行う。
【0112】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター32との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。
【0113】
[中継ユニット]
図29は、第4実施形態の医療用撮影システムにおいて、アンギオ撮影装置30及び中継ユニット16が設けられている変形例を示す。撮影室2には、医療用撮影装置としてのアンギオ撮影装置30(不図示)と、注入装置としてのインジェクター32とが配置されている。
図21の医療用撮影システムとは異なり、
図29においてはメインユニット35がインジェクター32のスタンド13から離れて、好ましくは撮影室2の端に配置されている。撮影室2外の操作室8には、操作装置としてのコンソール14が配置されている。また、コンソール14は、オペレータによる操作に応じて、インジェクター32を動作させる操作信号を、中継ユニット16を介してメインユニット35に制御情報として送信する。そのため、コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。
【0114】
中継ユニット16は、無線装置161及び無停電電源162を有し、天井ピット6に配置されている。また、メインユニット35と通信を行うための第1光無線通信ユニット41は、
図21とは異なり、撮影室2と天井ピット6とを隔てるシールド壁3を貫通して配置されている。そして、第1光無線通信ユニット41は、電源−制御ライン400を介して、中継ユニット16に接続されている。また、メインユニット35は、第2の無線送受信ユニットとしての第2光無線通信ユニット42を有している。コンソール14は、中継ユニット16を介して制御情報としての操作信号を第1光無線通信ユニット41に送信する。第1光無線通信ユニット41は、受信した操作信号に応じた光信号を発光部411によりメインユニット35に送信する。メインユニット35は第2光無線通信ユニット42の受光部422により光信号からなる操作信号を受信する。そして、メインユニット35は、受信した操作信号に応じた制御信号をインジェクター32に送信する。この制御信号は、電源−制御ライン120を介してインジェクター32に送信され、インジェクター32は制御信号に応じた動作を行う。
【0115】
このように、本変形例の医療用撮影システムによれば、撮影室2外に配置されたコンソール14と、撮影室2内に配置されたインジェクター32との間のやり取りを、光無線通信ユニットを介して行うことができる。そのため、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。また、光無線通信を使用した無線方式を利用しているため、ノイズによって撮影に悪影響を与える恐れがなくなる。さらに、中継ユニット16を備えることにより、電波が届きにくい環境であっても、撮影室2内のインジェクター32と撮影室2外のコンソール14との間における無線通信を安定的且つ容易に接続できる。なお、中継ユニット16の数は1つに限られず、2つ以上の中継ユニット16を備えることもできる。
【0116】
[第5実施形態]
以下に第5実施形態として、
図13に示された医療用撮影システムの変形例を示す。第5実施形態の医療用撮影システムは、
図13とは異なり、メインユニット25に代えて電源ボックス310を備える。なお、以下の説明においては、特に第1乃至第4実施形態との相違点について説明し、第1乃至第4実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0117】
図30の医療用撮影システムは、医療用撮影装置としてのCT撮影装置20を備え、CT撮影装置20は撮影室2に配置されている。この撮影室2は、周囲が放射線遮蔽性をもったシールド壁3によって囲まれている。また、撮影室2には、薬液を注入するための注入装置であるインジェクター22が配置されている。撮影室2の外には操作室8が設けられており、操作室8にはインジェクター22等を操作するための、操作装置としてのコンソール14が配置されている。そして、コンソール14には、第1の無線送受信ユニットとしての第1通信モジュール141が内蔵されている。また、電源ボックス310には、第2の無線送受信ユニットとしての第2通信モジュール21が内蔵されている。さらに、インジェクター22には、1Chipマイコン等からなる制御装置2144が一体的に設けられている。
【0118】
コンソール14は、第1通信モジュール141によって、インジェクター22を動作させる制御情報としての操作信号を、電源ボックス310を介して制御装置2144に送信する。また、電源ボックス310の第2通信モジュール21は、第1通信モジュール141により送信された操作信号を受信する。そして、第2通信モジュール21は、操作信号を、制御ライン320を介してインジェクター22の制御装置2144へ送信する。制御装置2144は、受信した操作信号に応じた制御信号を生成し、インジェクター22は制御信号に応じた動作を行う。このように、インジェクター22の制御装置2144が制御信号を生成する機能を有しているため、電源ボックス310とインジェクター22とを接続する制御ライン320(ケーブル)の太さを小さくすることができる。また、スタンド13(天吊する場合には天吊部材300)の内部に、制御ライン320を容易に通すことができる。
【0119】
図31は、コンソール14の内部構成を示し、タッチパネルモジュールを取り除いた状態の概略図である。コンソール14のハウジング140には、不図示のタッチパネルモジュールと対向するようにI/F回路基板1444がネジ止めされている。すなわち、タッチパネルモジュール側を前面とした場合に、I/F回路基板1444は、ハウジング140の背面側の壁に設けられている。そして、I/F回路基板1444の上方隅部近辺には、第1通信モジュール141が配置されている。なお、不図示のタッチパネルモジュールには1Chipマイコン143が設けられており、1Chipマイコン143はCPU、ROM、RAM、I/F等を有している。そして、インジェクター22は、1Chipマイコン143のROMに実装されたプログラムに対応して動作する。また、RAMには、使用できるシリンジ又は延長チューブなどの識別データが登録されている。
【0120】
第1通信モジュール141はチップアンテナ1411を有しており、チップアンテナ1411がコンソール14の載置面に対して上方且つ外方を向くように、第1通信モジュール141が配置されている。また、第1通信モジュール141は、1Chipマイコン143が設けられたタッチパネルモジュールと対向している。また、タッチパネルモジュールに接続されるフレキシブルケーブル1441(先端図示略)は、I/F回路基板1444上の端子に接続されている。コンソール14において、このように第1通信モジュール141を配置することにより、電波特性への悪影響を抑制することができる。なお、チップアンテナ1411とは別にハウジング140の外側にアンテナ17を設けてもよい。この場合には、電波遮蔽性を有する材料によってハウジング140を形成することができる。
【0121】
図32は、電源ボックス310の内部構成を示し、長手方向に延在する一対の長手壁の一方を取り除いた状態の概略図である。電源ボックス310のハウジング350には、スイッチング電源3523を制御する電源回路基板354がネジ止めされている。そして、スイッチング電源3523が設けられた電源回路基板354は、ハウジング350の長手方向に延在する他方の長手壁上に配置されている。さらに、長手壁と直交する方向に延在する一対の側壁の第1側壁351の内面には、第2通信モジュール21が配置されている。なお、ハウジング350の長手壁及び側壁の端部には、いずれもハウジング350に向かって張り出すフランジ部が設けられており、フランジ部を介して互いに固定されている。
【0122】
第2通信モジュール21には不図示のケーブルを介してアンテナ17が接続されている。そして、アンテナ17は、第2通信モジュール21が配置された第1側壁351の外面において、電源ボックス310の載置面に対して上方の隅部近辺に配置されている。また、第1側壁351と対向する第2側壁352には、電源コネクター353と、電源コネクター353の上方に配置された接続コネクター355とが設けられている。そして、第2通信モジュール21は接続コネクター355と略対向する高さに配置されている。また、スイッチング電源3523は、不図示のケーブルを介して電源コネクター353に接続されており、電源ライン200を介して交流電源に接続される。そして、第2通信モジュール21は、不図示のケーブルを介して接続コネクター355に接続されており、制御ライン320を介してインジェクター22に接続される。電源ボックス310において、このように第2通信モジュール21及びアンテナ17を配置することにより、電波特性への悪影響を抑制することができる。なお、ハウジング350の外側にアンテナ17が設けられているので、ハウジング350は電波遮蔽性を有する材料から形成することができる。
【0123】
なお、電源ボックス310には、バッテー又は無停電電源が内蔵されていてもよい。このような電源ボックス310によれば、停電時又は電源ライン200が外部電源に届かないときにインジェクター22の動作を継続させることができる。また、電源ボックス310は、スタンド13上に配置させることもできる。このような電源ボックス310によれば、撮影室2内外での移動が多い場合、例えば患者の位置に応じてインジェクター22を移動させる場合に、制御ライン320が外れてしまうことがない。
【0124】
続いて、第5実施形態の医療用撮影システムにおいて、コンソール14の第1通信モジュール141と、電源ボックス310の第2通信モジュール21との間の通信が途絶した場合の制御について説明する。
【0125】
薬液の注入を行う場合、オペレータはコンソール14を操作して、所定の注入プロトコルをコンソール14に読み込ませる。オペレータの操作にしたがって、コンソール14は、読み込まれた注入条件のデータ及び注入開始の操作信号を第1通信モジュール141により電源ボックス310へと送信する。そして、電源ボックス310は、第2通信モジュール21により操作信号を受信し、制御ライン320を介してインジェクター22に送信する。次いで、インジェクター22では、受信した操作信号に応じた制御信号が生成され、当該制御信号に応じた動作が実施される。この注入動作の実施中、インジェクター22は、注入の状況に関するデータを、随時、電源ボックス310を介してコンソール14に送信する。コンソール14はこれを受信し、モニターに注入状況としてリアルタイムに表示する。注入動作の実施中、コンソール14は、所定の時間間隔で、コンソール14と電源ボックス310とが通信可能な状態に維持されているかどうかを確認する。
【0126】
このように薬液の注入を行うときに、何らかの原因でマスターであるコンソール14とスレーブである電源ボックス310とが通信不能となることがある。この場合、コンソール14及びインジェクター22は、コンソール14と電源ボックス310との通信を復旧するように動作する。すなわち、コンソール側の制御部としての1Chipマイコン143(以下、制御部143という)は、第2通信モジュール21との間の通信を復旧するように、第1通信モジュール141を制御する。また、注入装置側の制御装置として機能する、インジェクター22の制御装置2144は、第1通信モジュール141との間の通信を復旧するように、第2通信モジュール21を制御する。なお、制御装置2144は、インジェクター22のハウジング内に設けられた1Chipマイコン等によって構成され、電源ボックス310から送信される操作信号に基づいてインジェクター22を制御する。
【0127】
[ペアリング処理時の通信途絶]
図33は、ペアリング処理時に第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間に通信途絶が生じた場合の制御を説明し、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の通信を示している。まず、制御部143は、第1通信モジュール141に接続要求を送信させる。正常な状態であれば、コンソール14が電源ボックス310からの肯定応答を受信して、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間に接続が成立する。しかし、電源ボックス310の電源が入っていない等、何らかの原因で通信が途絶している場合、電源ボックス310は接続要求に対して応答しない。そのため、コンソール14と電源ボックス310との間の接続も成立しない(接続成立を示すSTO信号がHighのままである)。例えば、制御部143は、1秒間で10回又は5回の接続要求を送信させたにも関わらず、第1通信モジュール141が肯定応答を受信しない場合に接続が成立していないと判断する。
【0128】
この場合、制御部143は、所定の時間の間(例えば1分間)、第1通信モジュール141に接続要求を所定の間隔で繰り返し送信させる。そして、制御部143は、第1通信モジュール141に接続要求を送信させている間に、オペレータに接続待ち状態であることを伝えるための画像又は文字等をタッチパネルモニター142に表示させる。さらに、制御部143は、所定の時間が経過すると、オペレータに電源が入っているか否かの確認を促すような画像又は文字等をタッチパネルモニター142に表示させる。この確認指示の表示としては、例えば「電源が入っているか確認して下さい」の文字がある。この確認指示を見たオペレータが電源ボックス310の電源を入れると、制御装置2144は接続要求に対する肯定応答を第2通信モジュール21に送信させる。第1通信モジュール141が肯定応答を受信すると、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の接続が成立する(STO信号はLowとなる)。そして、制御部143は、確認指示の表示を消して次の処理へと進み、通信を復旧する制御が完了する。なお、
図33の説明においては、制御部143は、オペレータに接続待ち状態であることを伝えるための画像又は文字等をタッチパネルモニター142に表示させている。しかし、制御部143は、タッチパネルモニター142に画像又は文字等を表示させずに、確認指示を表示させてもよい。
【0129】
[ペアリング成立後の通信途絶]
図34は、ペアリング成立後に第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間に通信途絶が生じた場合の制御を説明し、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の通信を示している。電源ボックス310が通信不能エリアに移動された等、何らかの原因で通信が途絶している場合、制御部143は、第1通信モジュール141に接続要求を再び送信させる。しかし、通信が途絶しているので電源ボックス310は接続要求に対して応答しない。そのため、コンソール14と電源ボックス310との間の接続も成立しない。このようにペアリング成立後に通信が途絶した場合、制御部143は、第1通信モジュール141が肯定応答を受信するまで、第1通信モジュール141に接続要求を所定の間隔で繰り返し送信させる。そして、電源ボックス310が通信可能エリアに移動される等、通信途絶が解消されると、制御装置2144は第2通信モジュール21に接続要求に対する肯定応答を送信させる。第1通信モジュール141が肯定応答を受信すると、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の接続が成立する。そして、制御部143は、次の処理へと進み、通信を復旧する制御が完了する。
【0130】
[注入アイドル状態での通信途絶1]
図35は、注入アイドル状態において、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間に通信途絶が生じた場合に、コンソール14から電源ボックス310へコマンドが送信されたときの制御を説明する。
図35も、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の通信を示している。なお、注入アイドル状態とは、インジェクター22が薬液を注入していない薬液注入前後の状態を意味する。まず、注入アイドル状態において、制御部143が、第1通信モジュール141に注入開始信号等のコマンドを送信させる。電源ボックス310が通信不能エリアに移動された等、何らかの原因で通信が途絶している場合、電源ボックス310はコマンドに対して応答しない。この場合、制御部143は、第1通信モジュール141に接続要求を再び送信させる。しかし、通信が途絶しているので電源ボックス310は接続要求に対して応答しない。そのため、コンソール14と電源ボックス310との間の接続も成立しない。すると、制御部143は、第1通信モジュール141が肯定応答を受信するまで、第1通信モジュール141に接続要求を所定の間隔で繰り返し送信させる。
【0131】
そして、通信途絶が解消されると、制御装置2144は接続要求に対する肯定応答を第2通信モジュール21に送信させる。第1通信モジュール141が肯定応答を受信すると、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の接続が成立する。そして、制御部143は、通信が途絶していたことを通知する切断通知コマンドを、第1通信モジュール141に送信させる。第2通信モジュール21が切断通知コマンドを受信すると、制御装置2144は、第1通信モジュール141へ切断通知コマンドを第2通信モジュール21に送信させる。また、制御装置2144は、切断通知コマンドを送信すると共に、インジェクター22の動作を一旦停止させる。さらに、制御装置2144は、インジェクター22をチェックモードに移行させ、チェックモードの解除を禁止する。ここで、チェックモードとは、注入準備が完了するまで薬液の注入を禁止するモードのことである。チェックモードは、インジェクター22又はコンソール14のチェックボタンを押すことにより解除することができる。通常は、注入準備が完了した後に、オペレータがチェックボタンを押す。
【0132】
一方、第1通信モジュール141が切断通知コマンドを受信すると、コンソール14の制御部143は、第2通信モジュール21へインジェクター22の情報(注入装置の情報)を要求する情報要求コマンドを第1通信モジュール141に送信させる。第2通信モジュール21が情報要求コマンドを受信すると、制御装置2144は、第1通信モジュール141へインジェクター22の現在の情報を第2通信モジュール21に送信させる。制御部143は、受信した注入装置の情報を取得し、注入装置の状態に応じた指令コマンドを作成して送付する。また、取得した情報に基づいて制御部143は、薬液の注入が可能な状態であるか否かを判断し、注入可能と判断すれば、第1通信モジュール141に再接続コマンドを送信させる。さらに、通信途絶中にハンドスイッチ100によって注入を停止する操作があった場合には、制御部143は第1通信モジュール141に注入を停止するスイッチコマンドを電源ボックス310へ送信させる。これにより、通信の途絶が解消した後に薬液の注入を停止することができる。
【0133】
再接続コマンドを受信すると、制御装置2144は、第2通信モジュール21に再接続コマンドを送信させる。また、制御装置2144は、インジェクター22を動作可能に設定する。一方、制御部143は、再接続コマンドを受信すると、接続待ち状態の表示を消して、インジェクター22を操作できるようにコンソール14を設定する。その後、薬液の注入を行う場合には、オペレータがインジェクター22又はコンソール14のチェックボタンを押すことにより、チェックモードを解除する。これにより、注入アイドル状態から注入状態へと移行できるようになり、通信を復旧する制御が完了する。
【0134】
このように、インジェクター22の動作が一旦停止し、インジェクター22がチェックモードに移行することにより、通信途絶中に薬液が注入されることを防止し、薬液の注入をより安全に行うことができる。なお、制御装置2144は、インジェクター22の動作を停止させると共に、インジェクター22の手動操作を禁止させることもできる。さらに、制御装置2144は、チェックモードの解除を禁止せず、単にインジェクター22をチェックモードに移行させてもよい。こ場合、チェックモードは、インジェクター22又はコンソール14のチェックボタンを押すことにより解除することができる。
【0135】
インジェクター22の情報とは、インジェクター22のステータス情報、チェックモードのオン/オフ情報、スタンバイモードのオン/オフ情報、インジェクター22に装着されたシリンジの情報、ICタグの装着/非装着情報、薬液注入のステータス情報、薬液注入のフェーズ情報等が含まれる。さらに、インジェクター22のステータス情報には、初期化状態、注入アイドル状態、プランジャーのマニュアル移動状態、注入状態、注入一時停止状態、注入停止状態、注入終了状態、ワーニング状態、又はエラー状態等に、インジェクター22があることを示す情報が含まれる。また、シリンジの情報には、シリンジのタイプ、シリンジの装着/非装着、シリンジ内の薬液の残量等を示す情報が含まれる。また、注入ステータス情報には、注入遅れ状態、注入状態、注入待機状態等に、インジェクター22があることを示す情報が含まれる。
【0136】
[注入アイドル状態での通信途絶2]
図36は、注入アイドル状態において、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間に通信途絶が生じた場合に、電源ボックス310からコンソール14へコマンドが送信されたときの制御を説明する。
図36も、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の通信を示している。まず、注入アイドル状態において、制御装置2144は、第2通信モジュール21に注入プロトコルの送信要求等のコマンドを送信させる。電源ボックス310が通信不能エリアに移動された等、何らかの原因で通信が途絶している場合、コンソール14はコマンドに対して応答しない。この場合、制御装置2144は、第2通信モジュール21が接続要求を受信するまでインジェクター22を待機させる。一方、制御部143は、第1通信モジュール141が肯定応答を受信するまで、第1通信モジュール141に接続要求を所定の間隔で繰り返し送信させる。
【0137】
通信途絶が解消し、第2通信モジュール21が接続要求を受信すると、制御装置2144は、第2通信モジュール21に接続要求に対する肯定応答を送信させる。第1通信モジュール141が肯定応答を受信すると、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の接続が成立する。そして、制御装置2144は、第2通信モジュール21に通信が途絶していたことを通知する切断通知コマンドを送信させる。また、制御装置2144は、インジェクター22の動作を一旦停止させると共に、インジェクター22をチェックモードに移行させ、チェックモードの解除を禁止する。
【0138】
第1通信モジュール141が切断通知コマンドを受信すると、制御部143は第1通信モジュール141にインジェクター22の情報を要求する情報要求コマンドを送信させる。第2通信モジュール21が情報要求コマンドを受信すると、制御装置2144は、第1通信モジュール141へインジェクター22の現在の情報を第2通信モジュール21に送信させる。制御部143は、受信した注入装置の情報を取得し、注入装置の状態に応じた指令コマンドを作成して送付する。また、取得した情報に基づいて制御部143は、薬液の注入が可能な状態であるか否かを判断し、注入可能と判断すれば、第1通信モジュール141に再接続コマンドを送信させる。さらに、通信途絶中にハンドスイッチ100によって注入を停止する操作があった場合には、制御部143は第1通信モジュール141に注入を停止するスイッチコマンドを送信させる。
【0139】
再接続コマンドを受信すると、制御装置2144は、第2通信モジュール21に再接続コマンドを送信させる。また、制御装置2144は、インジェクター22を動作可能に設定する。再接続コマンドを受信すると、制御部143は、接続待ち状態の表示を消して、インジェクター22を操作できるようにコンソール14を設定する。その後、薬液の注入を行う場合、インジェクター22又はコンソール14のチェックボタンを押すことにより、オペレータがチェックモードを解除する。これにより、注入アイドル状態から注入状態へと移行できるようになり、通信を復旧する制御が完了する。
【0140】
[注入状態での通信途絶]
図37は、薬液の注入中に第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間に通信途絶が生じた場合に、電源ボックス310からコンソール14へコマンドが送信されたときの制御を説明する。
図37も、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の通信を示している。まず、注入状態において、制御装置2144が、第2通信モジュール21に薬液残量を示すコマンド等を送信させる。電源ボックス310が通信不能エリアに移動された等、何らかの原因で通信が途絶している場合、コンソール14はコマンドに対して応答しない。この場合、制御部143は、第1通信モジュール141が肯定応答を受信するまで、第1通信モジュール141に接続要求を所定の間隔で繰り返し送信させる。
【0141】
通信途絶が解消し、第2通信モジュール21が接続要求を受信すると、制御装置2144は、第2通信モジュール21に接続要求に対する肯定応答を送信させる。第1通信モジュール141が肯定応答を受信すると、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の接続が成立する。そして、制御装置2144は、第2通信モジュール21に通信が途絶していたことを通知する切断通知コマンドを送信させる。このとき、通信が途絶している間も、制御装置2144は、インジェクター22に動作を続行させ薬液は注入され続ける。すなわち、薬液の注入中に通信が途絶した場合、制御装置2144は、切断通知コマンドを送信するように第2通信モジュール21を制御すると共に、インジェクター22の動作を続行させる。
【0142】
第1通信モジュール141が切断通知コマンドを受信すると、制御部143は第1通信モジュール141にインジェクター22の情報を要求する情報要求コマンドを送信させる。第2通信モジュール21が情報要求コマンドを受信すると、制御装置2144は、第1通信モジュール141へインジェクター22の現在の情報を第2通信モジュール21に送信させる。このとき、制御装置2144は、通信が途絶している間の情報は消去し(上書きし)、インジェクター22の現在の情報を送信する。制御部143は、受信した注入装置の情報を取得し、注入装置の状態に応じた指令コマンドを作成して送付する。また、制御部143は、取得した情報に基づいて薬液の注入が可能な状態であるか否かを判断し、注入可能と判断すれば、第1通信モジュール141に再接続コマンドを送信させる。さらに、通信が途絶している間にハンドスイッチ100によって注入を停止する操作があった場合には、制御部143は第1通信モジュール141に注入を停止するスイッチコマンドを電源ボックス310へ送信させる。再接続コマンドを受信すると、制御装置2144は、第2通信モジュール21に再接続コマンドを送信させる。再接続コマンドを受信すると、制御部143は、接続待ち状態の表示を消す。これにより、通信を復旧する制御が完了する。
【0143】
このように、通信が途絶している間も薬液の注入が続行されることより、薬液の注入し直す必要がなくなる。そのため、患者の体に与える負担を小さくすることができる。また、制御装置2144は、通信が途絶している間の情報を消去するので、記憶領域を小さくすることができる。なお、制御部143は、注入終了予定時間を算出し、予定時間を過ぎた後もなお通信が復旧しない場合には、エラー表示をタッチパネルモニター142に表示させる。また、制御装置2144は、注入続行に代えて、インジェクター22の動作を一旦停止させると共に、インジェクター22をチェックモードに移行させてもよい。もしくは、制御装置2144は、注入続行に代えて、タッチパネルモニター142にインジェクター22の動作の停止要否の選択画像を表示させてもよい。また、インジェクター22の動作の停止要否の選択は、オペレータが予め初期設定により選択しておくこともできる。
【0144】
また、記憶領域に余裕があれば、制御装置2144は、通信が途絶している間の情報を記憶しておき、インジェクター22の情報として第2通信モジュール21に送信させてもよい。さらに、患者の体に取り付けられる漏れセンサーが、通信が途絶している間に薬液の漏れを検知した場合、漏れセンサーは、注入を停止するコマンドをコンソール14又はインジェクター22に有線又は無線で送信することもできる。これにより、薬液の漏れが生じた場合に、インジェクター22に注入を停止させることができる。
【0145】
[ステータス不一致の場合]
図37において、コンソール14がインジェクター22の情報を取得したときに、当該情報に基づくステータスと、コンソール14の制御部143が予測するステータスとが異なる場合の制御について
図38を参照して説明する。
図38も、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21との間の通信を示している。例えば、ステータスが異なる場合とは、制御部143が注入中と予測していることに反して、注入装置の情報に注入終了を示す情報が含まれている場合等である。なお、情報要求コマンドを送信するまでは、
図37に示す例と同じであるので、その説明は省略する。
【0146】
まず、コンソール14の制御部143は、注入プロトコルに基づきインジェクター22の現在のステータスを予測する。また、コンソール14の制御部143は、取得したインジェクター22の情報に基づくインジェクター22のステータスと、予測したステータスとを比較する。そして、予測したステータスと相違する場合、コンソール14の制御部143は、第2通信モジュール21へ初期化コマンドを第1通信モジュール141に送信させる。第2通信モジュール21が初期化コマンドを受信すると、制御装置2144は、インジェクター22を初期化させると共に、第2通信モジュール21に初期化コマンドを送信させる。第1通信モジュール141が初期化コマンドを受信すると、制御部143は、コンソール14を初期化させる。初期化処理の終了後に、インジェクター22及びコンソール14は注入アイドル状態へ移行する。これにより、通信を復旧する制御が完了する。
【0147】
なお、初期化処理とは、コンソール14とインジェクター22とをそれぞれリセットして再起動する処理である。これにより、モジュール検索及びペアリング処理を経て、コンソール14とインジェクター22とが注入アイドル状態へ移行する。そのため、コンソール14が取得した情報が示すステータスと、コンソール14の制御部143が予測するステータスとが異なる場合であって、どちらが正しいのか判別がつかないときであっても、コンソール14とインジェクター22とを注入アイドル状態へ移行することができる。なお、一方のステータスが正しいと判別できる場合は、制御部143又は制御装置2144が、正しいステータスに合わせてステータスを変更してもよい。
【0148】
図33から
図38の例で説明した上述の制御は、制御部143又は制御装置2144のROM等のコンピュータ読み取り可能な内部記録媒体に実装されたプログラムにより実現される。すなわち、当該プログラムが、制御部143又は制御装置2144に上述の各処理を実行させることにより、上記制御が実現されている。また、当該プログラムは、コンピュータ読み取り可能な外部記録媒体に記憶されていてもよい。この場合は、制御部143又は制御装置2144が、当該外部記録媒体から読み取ったプログラムにより上記制御が実現される。
【0149】
以上説明した第5実施形態の医療用撮影システムによれば、通信が途絶した場合であっても薬液の注入に悪影響を与えずに通信を復旧することができる。また、第5実施形態の医療用撮影システムにおいては、アンテナ17を有する電源ボックス310がインジェクター22のスタンド13から離れて配置されている。これにより、電源ボックス310、すなわちアンテナ17を配置する位置は、患者の近傍には限定されない。そのため、患者の近傍では通信環境が悪い場合であっても、撮影室2内の通信環境が良い場所に電源ボックス310を移動させることができる。
【0150】
また、
図33乃至
図38の例では、コンソール14と電源ボックス310との間の通信が途絶した場合の制御について説明した。しかし、コンソール14は、ハンドスイッチ100等の他の装置との間の通信が途絶した場合にも、同様の制御を行うことができる。また、コンソール14と通信する装置の数は1つには限られず、コンソール14と2つ以上の装置とが同時に通信してもよい。
【0151】
なお、電源ボックス310は、インジェクター22と一体に構成することもでき、インジェクター22に対して着脱可能に構成することもできる。さらに、コンソール14のタッチパネルに代えて、ポータブルの汎用表示装置をコンソール14に接続することもできる。この場合、インジェクター22は、汎用表示装置を介して入力される操作信号に従って操作される。さらに、第1通信モジュール141と第2通信モジュール21に代えて、第1及び第2の光無線通信ユニットを用いることもできる。また、インジェクター22は、天吊部材を介して天吊させることもできる。
【0152】
さらに、インジェクター22には、第2通信モジュール21を設けることもできる。この場合、インジェクター22を無線方式のハンドスイッチ100で直接操作することもできる。また、インジェクター22又はスタンド13には、ポータブルのタッチパネルモジュールを操作装置として取り付けることもできる。この場合、オペレータは、タッチパネルモジュールを使用することにより、任意の場所でインジェクター22を操作することができる。なお、操作装置としてのタッチパネルモジュールは、インジェクター22と一体的に設けられ、表示操作装置として使用することもできる。また、当該表示操作装置は、インジェクター22と可動に接続されていてもよい。
【0153】
また、第5実施形態の制御は、第1乃至第4実施形態及び各変形例において、コンソールと、メインユニット、中継ユニット又は光無線通信ユニットとの間の通信が途絶した場合の制御に適用することもできる。例えば、コンソールの無線送受信ユニットと中継ユニットとの間の通信が途絶した後に、コンソールの無線送受信ユニットと中継ユニットとの間の接続が成立すると、制御装置は、コンソールの無線送受信ユニットへ通信が途絶していたことを通知する切断通知コマンドを中継ユニットに送信させることができる。また、第1の光無線通信ユニットと第2の光無線通信ユニットとの間の通信が途絶した後に、第1の光無線送受信ユニットと第2の光無線通信ユニットとの間の接続が成立すると、制御装置は、第1の光無線通信ユニットへ通信が途絶していたことを通知する切断通知コマンドを第2の光無線通信ユニットに送信させることができる。
【0154】
[医療用撮影装置と注入装置との連動]
続いて、
図30を参照して、第5実施形態の医療用撮影システムにおける、医療用撮影装置(CT撮影装置20)と注入装置(インジェクター22)との連動について説明する。
【0155】
本変形例のCT撮影装置20は不図示の無線送受信ユニットとして、撮影装置側通信モジュールを備えている。そして、薬液の注入が開始されると、電源ボックス310は、第2通信モジュール21を介して薬液の注入が開始された旨の信号をCT撮影装置20へ送信する。そして、CT撮影装置20は、撮影装置側通信モジュールを介して当該信号を受信する。また、薬液の注入を開始する場合、オペレータはCT撮影装置20を操作して、撮影装置側通信モジュールを介して薬液の注入を開始する旨の操作信号を電源ボックス310へ送信することもできる。操作信号を受信した電源ボックス310は、インジェクター22に操作信号を送信し、薬液の注入が開始される。そして、薬液の注入を開始すると、電源ボックス310は、第2通信モジュール21を介して薬液の注入が開始された旨の信号をCT撮影装置20へ送信する。
【0156】
また、薬液の注入中には、電源ボックス310は、第2通信モジュール21を介して薬液の注入状況を示す情報をCT撮影装置20へ送信する。具体的に電源ボックス310は、注入速度、注入量、注入時間、及びフェーズ時間等の情報を送信する。また、コンソール14は、第1通信モジュール141を介して薬液の注入プロトコルを示す情報をCT撮影装置20へ送信する。具体的にコンソール14は、フェーズ種別、量割合、注入速度、注入量、及び圧力リミット等の情報を送信する。そして、薬液の注入を開始する前に、オペレータはCT撮影装置20を操作し、撮影装置側通信モジュールを介して薬液の注入プロトコルを設定し、コンソール14又は電源ボックス310へ送信することができる。さらに、薬液の注入中にも、オペレータはCT撮影装置20を操作し、撮影装置側通信モジュールを介して薬液の注入プロトコルを変更し、コンソール14又は電源ボックス310へ送信することができる。また、CT撮影装置20は、注入を停止するコマンドをコンソール14又はインジェクター22に送信することもできる。これにより、撮影を停止する場合等に、インジェクター22に注入を停止させることができる。
【0157】
このような変形例に係る医療用撮影システムによれば、CT値を見ながら薬液の注入速度を調整することができる。また、インジェクター22が、CT撮影装置20から曝射タイミング情報を取得して、適切な注入条件を設定することができる。さらに、コンソール14が薬液のRFID情報CT撮影装置20に送信して、CT撮影装置20がX線量を予め設定することにより、被曝を抑えることができる。さらに、コンソール14がPACS、HIS、RIS等に圧力グラフを含む注入結果情報を送信して、当該情報を記録させることもできる。これにより、薬液情報(RFID情報)をCT撮影装置20からの画像データ等に付随させることができる。また、送信したRFID情報は、薬液の会計処理に利用することもできる。なお、本変形例において使用できる医療用撮影装置はCT撮影装置に限られず、アンギオ撮影装置等の各種の撮影装置を使用することもできる。また、コンソール14及びインジェクター22は、複数の異なる医療用撮影装置と有線又は無線で接続することもできる。例えば、コンソール14及びインジェクター22は、CT撮影装置及びアンギオ撮影装置と有線又は無線で接続することができる。この場合、CT撮影装置用のインジェクターと、アンギオ撮影装置用のインジェクターとを利用することもできる。さらに、コンソール14及びインジェクター22は、PACS、HIS、RIS等と有線又は無線で接続することもできる。
【0158】
以上、本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態に反しない範囲で変更された発明、及び上記実施形態と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施形態及び変形例は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。例えば、上記各医療用撮影システムは、ハンドスイッチ100、又は複数のコンソール14を備える構成に変更できる。なお、いずれの実施形態においても、コンソール14の代わりに、無線方式のハンドスイッチ100によってメインユニット又はインジェクターとの間における無線通信を行うこともできる。さらに、いずれの実施形態においても、サブコンソール147として、インジェクター12のヘッド部分に内蔵又は外付けされたタッチパネル式コンソールを配置することができる。
【0159】
また、中継ユニット16の配置場所は、無線方式の通信ラインを介してコンソール14と送受信を行うことが可能であればよい。そのため、中継ユニット16は、床下ピット7、天井ピット6及び機械室4の他、任意の場所に配置することができる。さらに、中継ユニット16と、メインユニット15又はインジェクター22とは、無線方式で接続することもできる。また、第4実施形態の医療用撮影システムは、天吊型のインジェクター32を備える構成に変更できる。さらに、第4実施形態において、第1光無線通信ユニット41は、撮影室2と操作室8とを隔てるシールド壁3に設けることもできる。
【0160】
また、本発明の趣旨に反しない限り、上記実施形態及び変形例で説明した撮影装置以外の撮影装置にも本発明を適用することができる。すなわち、本発明を適用し得る撮影装置としては、MRI撮影装置、CT撮影装置、アンギオ撮影装置、PET装置、SPECT装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置、超音波診断装置、血管撮影装置等の各種医療用撮影装置がある。
【0161】
なお、上記実施形態で説明した無線方式以外の無線方式も利用することができる。例えば、撮影室2内にスピーカ、マイクロフォン及び音声認識手段を配置し、音声を利用してインジェクター15を操作する構成が考えられる。この場合、オペレータが発した操作音声又は入力した操作信号に対応した音声をスピーカから出力し、この音声を撮影室2内のマイクロフォンで取得する。そして、取得した音声を音声認識手段が操作信号に変換して、メインユニット15に送信する。
【0162】
この出願は2012年4月10日に出願された日本国特許出願第2012−089661号からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。