特許第6104902号(P6104902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104902
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】位置決定用超音波CT位置合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20170316BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A61B8/14
   A61B6/03 377
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-517028(P2014-517028)
(86)(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公表番号】特表2014-523293(P2014-523293A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】US2012042382
(87)【国際公開番号】WO2012177470
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年6月4日
(31)【優先権主張番号】61/499,838
(32)【優先日】2011年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/499,849
(32)【優先日】2011年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513164565
【氏名又は名称】シンセス・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Synthes GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バウムガルトナー・エイドリアン
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−513011(JP,A)
【文献】 特開2008−055156(JP,A)
【文献】 特開2001−061861(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0015031(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨位置合わせシステムであって、
骨の標的表面領域をスキャンしてスキャンデータを得るために配置されるスキャナー及び第1通信要素を備える装置と、
骨の第1部分上に配置可能な第1マーカーであって、前記装置に対して複数の次元で前記第1マーカーの位置を示す場所信号を送信するために配置される第2通信要素を備える、第1マーカーと、
前記スキャンデータを前記骨の表面データと比較して、前記表面データに対して前記スキャンデータが重なり合う要素を特定する位置データを発生させ、前記場所信号から場所データを特定し、前記位置データ及び前記場所データを用いて前記骨の表面上の前記第1マーカーの場所を特定するよう配置される、位置合わせユニットと、
骨の第2部分に配置される第2マーカーであって、前記第1マーカー及び前記第2マーカーが互いに通信し、前記第2マーカーに対する前記第1マーカーの位置を含む相対マーカーデータを特定する、第2マーカーと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記スキャンデータが超音波データであり、前記表面データがCTデータである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
基準信号を発生するよう構成された信号発生器を更に備え、
前記第1通信要素及び前記第2通信要素が、第1センサー及び第2センサーであって、それぞれのセンサーは、前記基準信号を感知して、前記信号発生器に対して複数の次元で対応する通信要素の位置を示す対応する場所信号を前記位置合わせユニットに送信するように構成され、
前記位置合わせユニットが、前記場所信号から場所データを特定し、前記装置に対して複数の次元で前記第1マーカーの位置を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記基準信号が電磁信号である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1通信要素が、基準信号を発生するように構成された信号発生器であり、
前記第2通信要素が、前記基準信号を感知し、前記装置に対して複数の次元で前記第1マーカーの位置を示す場所信号を前記位置合わせユニットに送信するよう構成されたセンサーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記信号発生器及びセンサーが、電磁的及び光学的のうちの1つである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記場所データが、前記装置に対して6つの次元で前記第1マーカーの位置を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記骨の表面上の前記第1マーカー及び前記第2マーカーの対応する場所が、前記装置を用いて特定可能である、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記位置合わせユニットが前記相対マーカーデータを処理し、前記骨の前記表面上の前記第2マーカーの場所を特定する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記骨の前記表面上の前記第1マーカーの場所を示すディスプレイを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2マーカーが、前記第1通信要素と通信する第3通信要素を備え、前記第3通信要素に対して複数の次元で前記第1通信要素の位置を示す場所データを特定する、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記装置が、電磁場発生器及び光場発生器のうちの1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年6月22日出願の米国特許仮出願第61/499,838号、表題「Ultrasound CT Registration for Positioning」、及び2011年6月22日出願の米国特許仮出願第61/499,849号、表題「Ultrasound CT Registration for Positioning」の優先権を主張し、これらの開示全体は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
CT(コンピューター断層撮影)は、高解像度の三次元画像を構成できるため、骨の画像の取得に用いられることが多い。これらの高解像度像は、骨折、靱帯損傷、及び脱臼の識別を容易にし、治療戦略を立てるのに役立つ。しかしながら、CTスキャナーは、治療中に用いるには不便な、大型でかさばる装置である。超音波画像装置はそれよりもかさばらず、治療中の使用に都合がよいが、これらの装置で生成される画像は、CTスキャナーで生成されるものよりも精度が低く、広範囲である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、骨位置合わせシステムに関する。この骨位置合わせシステムは、骨の標的表面領域をスキャンしてスキャンデータを得るために配置されるスキャナー及び第1通信要素を備える装置を有してよい。また、位置合わせシステムは、骨の第1部分に配置可能な第1マーカーも有してよい。第1マーカーは、装置に対して複数の次元で第1マーカーの位置を示す場所信号を送信するために配置される第2通信要素を備えてよい。またシステムは、スキャンデータを骨の表面データと比較して、表面データに対して、スキャンデータが重なり合う要素を特定する位置データを発生させ、場所信号から場所データを判定し、位置データ及び場所データを用いて骨の表面上の第1マーカーの場所を特定する、位置合わせユニットも有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の第1の代表的な実施形態によるシステムの概略図を示す。
図2】本発明の第1の代表的な実施形態によるシステムの斜視図を示す。
図3】本発明の第2の代表的な実施形態によるシステムの斜視図を示す。
図4】本発明の第2の代表的な実施形態によるシステムの概略図を示す。
図5】本発明の第3の代表的な実施形態によるシステムの斜視図を示す。
図6】本発明の第3の代表的な実施形態によるシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の説明文及び付属の図面を参照することで本発明のより深い理解が得られるであろう。なお、図中、同様の要素は同一の参照符号により示されるものとする。本発明は、後の骨の治療のために、骨上のボーンマーカーの場所を位置合わせするシステム及び方法に関する。詳細には、本発明は、ハンドヘルド装置と1つ以上のマーカーの相対的な場所を特定し、骨のCTデータを用いて骨上のマーカーの場所を位置合わせするシステム及び方法に関する。治療中に、骨上の1つ以上のマーカーの位置が位置合わせされると、マーカーの動きを追跡でき、治療中に、追跡情報を用いて、事前に得られたCT画像データを操作して正確に追跡し、かつ骨の1つ以上の部分の位置を表示することができる。
【0006】
この後詳細に説明するように、本発明は、CT画像データによって骨上に配置された1つ以上のマーカーの場所を位置合わせし、医療処置(例えば、骨固定処置など)の実施に役立つシステム及び方法を目的とする。本発明による代表的なシステム及び方法は、術中手技による、1つ以上のマーカーの位置の迅速かつ容易な位置合わせを可能にする。本発明の代表的な実施形態は、治療中に骨の第1部分を処置するとき、移動データを用いて骨の動きを示すためのCT画像を操作できるように、携帯型装置を利用して、CT画像上の骨の第1及び第2部分の第1及び第2マーカーの場所を設定するために位置合わせされたデータを得るシステム及び方法について説明する。当業者には当然のことながら、代表的な実施形態は、それぞれ骨の第1及び第2部分に配置された第1及び第2マーカーについて説明するが、第1及び第2マーカーを、互いに隣接する第1及び第2骨に、又は任意のその他実質的に剛性の身体構造に配置することもでき、処置中に、その構造について事前に得られたCT画像を操作して、構造の動きを示すことができる。
【0007】
図1に示されるように、本発明の代表的な実施形態によるシステム100は、超音波データ120(例えば、超音波画像データ)を得て、トラッキングシステム104に送信するように構成される、ハンドヘルド装置102を備える。トラッキングシステム104は、超音波データ120の収集前に得られたCTデータ122(例えば、CT画像)を用いて超音波データ120を位置合わせし、CTデータ122で表される骨などのCT画像に対して、ハンドヘルド装置102の位置に対応するCTデータ122上の場所を特定する。当業者には当然のことながら、超音波画像を得るために、ハンドヘルド装置102は、例えば、超音波スキャナー110などの任意の既知の携帯型超音波画像装置を用いてよい。ハンドヘルド装置102は、電磁場発生器200の信号発信器114から発する電磁場を感知する電磁センサー112も有する。電磁信号発信器114は、第1マーカー106の第1マーカー電磁センサー124によっても感知される電磁場を発生する。ハンドヘルド装置102の電磁センサー112及び第1マーカーセンサー124は、信号発信器114によって発せられる信号を受信すると、それぞれ装置データ126及びマーカーデータ128を送信することによってトラッキングシステム104と通信する。装置データ126及びマーカーデータ128は、電磁場発生器200に対する、それぞれ装置102及びマーカー106の場所に関する情報を提供する。トラッキングシステム104は、装置データ126及びマーカーデータ128を使用して、ハンドヘルド装置102に対する第1マーカー106の位置を特定する。
【0008】
収集された情報を利用して、トラッキングシステム104は、超音波データ120をCTデータ122に対して位置合わせし(例えば互いに関連付ける)、例えば骨に対してハンドヘルド装置102の場所を特定する、第1マーカー106に対してハンドヘルド装置102の場所を位置合わせする、及び、CTデータ122で表される画像上の第1マーカー106の場所を特定し、ディスプレイ118に表示してよい。更なる実施形態では、電磁信号発信器114は、第2マーカー132の第2マーカー電磁センサー125と通信し、ハンドヘルド装置102に対する第2マーカー132の場所を特定して、例えば、CTデータ122で表される骨108の画像に対して、第2マーカー132の場所を特定する。このように、第1マーカー106及び第2マーカー132が断片化した骨の第1部分及び第2部分上に位置する実施形態では、骨上の第1マーカー106及び第2マーカー132の場所を、骨片の処置に先立って位置合わせしてよい。このように位置合わせすると、CTデータ122を操作し、骨108の第1部分及び第2部分に対応するCTデータ122で表される画像を互いに対して動かすことによってその動きを表示することにより、第1マーカー106及び第2マーカー132が、骨の第1部分及び第2部分の互いに対する動きの追跡に使用されるようにできる。例えば、CTデータ122を操作して、第1マーカー106及び第2マーカー132の動きに基づいて、骨108の第1部分と第2部分との間の相対移動をディスプレイ118に表示できる。
【0009】
ハンドヘルド装置102のスキャナー110は、2D超音波画像を撮影して超音波データ120を得ることができる。続いて、システム100は、CTデータ122で表される画像部分と輪郭が類似する部分について超音波データ120全体を調べ、骨108の同一部分に対応する超音波データ120及びCTデータ122の部分を特定する。しかしながら、超音波データ120及びCTデータ122は類似点を複数有することがあり、骨108の同一部分を示すこれらの特定されたデータ部分間で確実に正しく位置合わせするためには、ハンドヘルド装置102が、別々の期間にわたって何枚かの2D超音波画像を撮影する必要がある。2D超音波画像の必要枚数は、例えば、骨の輪郭の一様性、並びに、それぞれ超音波データ120及びCTデータ122の詳細度合いによって決められる。例えば、大きく実質的に一様な領域を有する長い骨では、各超音波データ120とCTデータ122との間で位置合わせを得るために、より頻回の超音波スキャンを要してもよい。したがって、複数の候補場所のうちの1つが、CTデータ122で表される画像の選択部分に正確に対応すると確認されるまで、CTデータ122の複数の候補場所を特定し、追加の超音波データ120(例えば超音波画像)を収集してもよい。
【0010】
図2は、骨108のCT画像を用いて、骨108上の第1マーカー106及び第2マーカー132の場所を位置合わせするシステム100の使用法を示す。電磁センサー112は、電磁場発生器200に対するハンドヘルド装置102の位置及び/又は向きを含む、装置データ126を提供する。詳細には、当業者には当然のことながら、センサー112として既知のセンサーを利用し、ハンドヘルド装置102と電磁場発生器200との間のX、Y、及びZ軸上の距離を示す第1、第2、及び第3次元、並びに、電磁場発生器200に対するハンドヘルド装置102の角度回転に関する3つの次元(すなわち、ロール−ピッチ−ヨー)を含む、6つの次元で、ハンドヘルド装置102の角度方向のデータを提供してよい。この装置データ126は、トラッキングステーション104に同様に送信される。
【0011】
電磁場発生器200の電磁信号発信器114は、第1電磁センサー124及びトラッキングステーション104と通信し、信号発信器114に対する第1マーカー106の位置及び/又は向きを含むマーカーデータ128を提供する。詳細には、信号発信器114は、信号を第1マーカー電磁センサー124に発信し、センサーは第1マーカー106の位置及び/又は向きを、電磁場発生器200に対して6つの次元で感知する。6つの次元には、第1マーカー電磁センサー124からのX、Y、及びZ軸に沿った信号発信器114の距離に関する3つの次元と、第1マーカー電磁センサー124に対する信号発信器114の角度回転に関する(すなわち、ロール−ピッチ−ヨー)3つの次元が含まれる。続いて、このマーカーデータ128をトラッキングステーション104に送信する。
【0012】
トラッキングステーション104は、コンピュータ又はプロセッサー116及びディスプレイ118を含む他の処理装置であってよい。超音波データ120、CTデータ122、装置データ126及びマーカーデータ128は、例えば、トラッキングステーション104のメモリ130に保存してよく、第1マーカー106をCTデータ122に位置合わせするのに用いてよい。プロセッサー116は、超音波データ120とCTデータ122を互いに関連付け、CTデータ122中の骨108の画像に対するハンドヘルド装置102の位置を特定する。続いて、プロセッサー116は、装置データ126及びマーカーデータ128を用いてCTデータ122に対する第1マーカー106の場所を特定できる。また、第1マーカー106の場所もディスプレイ118上に表示してよい。プロセッサー106は、超音波データ120及びCTデータ122をそれぞれリアルタイムに位置合わせし、CTデータ122によって表される画像上の第1マーカー106の場所を特定して、システムのユーザーに、位置合わせプロセスの完了に関してリアルタイムな情報を与えることができる。
【0013】
第1マーカー106の位置合わせ後、第2マーカー132を骨108の第2部分上に配置してよい。このように、第1マーカー106の位置合わせが完了すると、第2マーカー132について上記位置合わせ手順を繰り返し、その場所を位置合わせしてよい。各第1マーカー106及び第2マーカー132の両方の場所がCTデータ122に対して特定されると、骨108の第1及び第2部分の相対移動を示す操作されたCT画像が、外科医又は他のユーザーが観察可能なディスプレイ118上に表示されて骨折の整復を可視化できるように、第1マーカー106と第2マーカー132との間の相対移動を、連続的に追跡してモニターできる。
【0014】
図1及び2に示される実施形態は、第1マーカー106及び第2マーカー132が配置された骨108が骨折している状況について説明している。骨折により、それぞれにマーカーを配置する2つ、3つ、4つなどの骨片が得られ、その場所を続いて位置合わせし、後のある時点で、骨片が移動させながら、マーカーの相対移動、したがってマーカーと関連する骨片の相対移動をCT画像上で追跡できる。骨が1つであるが、骨切り術によって2片以上に分割されるときに、位置合わせシステム100の別の使用法がある。この状況では、第1マーカー106の位置合わせした場所を用いて、第1マーカー106の位置合わせされた場所を参照して、第1マーカーに対する第2の、及び後続するマーカーの場所を特定することによって、CTデータを有する第2の、及び後続する各マーカーの場所を特定して位置合わせできる。
【0015】
図2を再度参照すると、システム100を利用する第1の代表的な手技が示される。電磁場発生器200は、先に説明した6つの次元で感知可能な電磁場を発生する。電磁場発生器200は、少なくとも2つのコイル(図示せず)を含む。なお、図2の実施形態は、第1センサー124を含む第1マーカー106のみを示しているが、第2マーカー132又は任意の複数の追加のマーカーを、本発明の範囲から逸脱することなく使用できる。ハンドヘルド装置102は、例えば、有線接続又は無線接続によってトラッキングステーション104に接続される。第1マーカー106も、有線接続を介してトラッキングステーション104に接続されてよいが、無線接続も想定される。図2の実施形態は、上で開示した操作様式と実質的に類似する方法で操作を行う。具体的には、骨108のCTスキャンを行い、CTデータ122をトラッキングシステム104に提供する。第1マーカー106を骨108の第1部分に配置し、超音波スキャナー110を用いて骨108の第1部分をスキャンする。なお、示されるような第1マーカー106の位置は単に例示であり、本発明の範囲から逸脱することなく、第1マーカー106を骨108上の任意の場所に配置してよい。超音波データ120及び装置データ126はそれぞれ、第1マーカー106のマーカーデータ128と共にトラッキングステーション104に送信され、例えばメモリ130に保存されて、必要に応じてプロセッサー116を介してアクセスされる。プロセッサー116は、超音波データ120及びCTデータ122を比較かつ互いに関連付けてデータを位置合わせする、すなわち、超音波データ120及びCTデータ122中の重なり合う要素を特定する。続いて、電磁場発生器200に対するハンドヘルド装置102の位置を示す装置データ126、及び電磁場発生器200に対する第1マーカー106の場所を示すマーカーデータ128を用いて、プロセッサー116は、CTデータ122に対する第1マーカー106の場所を特定する。具体的には、プロセッサー116は、第1マーカー106の電磁場発生器200に対する3D空間中の位置と向きを特定して、マーカーデータ128を特定し、ハンドヘルド装置102の第1センサー112で装置データ126を特定する。プロセッサー116は、マーカーデータ128及び装置データ126を使用して、第1マーカー106のハンドヘルド装置102に対する相対的な場所を特定する。プロセッサー116はまた、超音波データ120を使用して、ハンドヘルド装置102の場所をCTデータ122と結び付け、CT画像中の骨108に対するハンドヘルド装置102の相対的な場所を特定する。ハンドヘルド装置102に対する第1マーカー106の場所、及び骨108のCT画像に対するハンドヘルド装置102の場所を知ることで、プロセッサーは、骨108のCT画像に対する第1マーカー106の場所を特定し、それによって、CTデータ122上の第1マーカー106、したがって骨108の場所を位置合わせする。第1マーカー106及びCTデータ122の相対的な場所は、ディスプレイ118上に表示してよい。
【0016】
第1マーカー106がCTデータ122に対して位置合わせされると、第1マーカー106の位置合わせについて記載したものと同じプロセスを用いて、任意の数の追加のマーカー(図示せず)について位置合わせプロセスを繰り返してよい。各追加のマーカーについて、超音波スキャナー110を用いて、位置合わせされるボーンマーカーが位置する骨の部分をスキャンする。このように、位置合わせ手順中の骨片の動きを補正することができる。骨108が1つである状況では、第1マーカー106に対して第2マーカー132の位置を検出し、CTデータ122に対して第2マーカー132の場所を特定することができる。第2マーカー132の相対的な場所も、ディスプレイ118上に表示してよい。当業者に理解されるように、この相対位置合わせプロセスを、例えば、骨108が1つであり、第1マーカーが第2マーカーと通信してその場所を位置合わせする、骨切り術で用いることができる。しかしながら、骨切り術においては、ユーザーは、第1マーカー及び第2マーカーを個別にトラッキングステーション104に位置合わせしてもよいことに留意されたい。
【0017】
本発明の別の実施形態では、2種類の異なる骨、例えば、脊椎骨に配置された第1及び第2マーカーを用いて、脊柱側弯症の治療に位置合わせプロセスを用いることができる。かかる実施形態では、先にも詳述したように、第1及び第2マーカーをトラッキングステーション104と個別に位置合わせする。したがって、第1マーカー106及び第2マーカー132の両方の場所が特定されていると、ユーザーは、第1骨及び第2骨を互いに対して動かし、その結果として第1マーカー106及び第2マーカー132を互いに対して動かすことができる。第1マーカー106と第2マーカー132との間の動きを用いて、CTデータ122で表される画像を操作すると、マーカー106、マーカー132の動きで表される第1骨と第2骨との間の動きがディスプレイ118上に示され、治療中にユーザーが骨の動きをモニターできる。本発明による代表的なシステム及び方法は、第1マーカー106及び第2マーカー132の場所が、体内のマーカーの位置に対してではなく、電磁場発生器200に対して獲得されるため、不注意による骨や骨片の動きを補正する。更に別の脊柱側弯症固定術では、当業者に理解されるように、2D超音波スライス画像を用いて3D画像の蓄積の必要性を省くことによって、3D超音波を使用することができる。骨折した骨の離れた部分上に配置された第1及び第2マーカーによる骨折した骨の固定術では、脊柱側弯症固定術で用いられるものと実質的に類似する位置合わせプロセスを使用してよい。
【0018】
代表的な実施形態では、ハンドヘルド装置102である超音波スキャナーとして、超音波スキャン用Siemens X150及びVF 10−5ベクトル変換器を挙げてよい。プロセッサー116は、データ収集及び可視化用にPrinceton SCRが開発した有効なMMGIFusionソフトウェア、及び自動CT−超音波位置合わせ用にCAMP,Technical University of Munich and SCR,Princetonが開発したIVUS(Interventional Ultrasound)ソフトウェアのプロトタイプを利用できる。しかしながら、当業者には当然のことながら、これは単に代表的な実施形態であり、上記のようにシステム100の利用を容易にするのであれば、他のシステムを利用してよい。
【0019】
図3〜4は、本発明による別の代表的なマーカー位置合わせシステム及び方法を示す。図3〜4のシステム及び方法は、第1マーカー電磁センサー124を備える骨108上に配置可能な第1マーカー106を含む。この実施形態では、電磁場発生器200はハンドヘルド装置102に配置される。ハンドヘルド装置102及び第1マーカー電磁センサー124は、有線接続又は無線接続によってトラッキングステーション104に接続される。図3のシステム及び方法は、図1及び2について上で開示したものと同様に操作する。しかしながら、電磁場発生器200がハンドヘルド装置102に配置されるため、第1マーカー106の電磁場発生器200に対する6つの次元における位置及び向きによって、プロセッサー116にマーカーデータ128が提供される。図3〜4のシステムでは、プロセッサー116は、ハンドヘルド装置102に付随する第1センサーと装置データ126がない状態で、1つ以上のマーカーの場所を位置合わせできる。具体的には、第1マーカー電磁センサー124は、ハンドヘルド装置102に対する第1マーカー106の位置及び/又は向きを含むマーカーデータ128を提供し、超音波データ120とCTデータ122とを比較し、骨108のCT画像に対するハンドヘルド装置102の位置及び/又は向きを位置合わせする。続いて、マーカーデータ128及びハンドヘルド装置102の位置合わせされた場所を用いて、マーカーデータと骨108のCT画像に対するハンドヘルド装置102の位置合わせされた場所を関連付けることによって、CTデータ122によって表される画像上の第1マーカー106の場所を位置合わせする。
【0020】
図5〜6は、本発明の別の実施形態によるシステム及び方法を示す。このシステム及び方法は、電磁場発生器200が光場発生器400(例えば発光アレイ)に置き換わった以外は、図3〜4で説明したものと実質的に同じである。具体的には、送受器102は、第1マーカー106に連結される光学追跡装置300と通信できる。図3〜4に示される実施形態について記載された方法に従って、光学追跡装置300は、第1マーカー106のトラッキングステーション104との配置及び位置合わせを容易にする。
【0021】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明の構造及び方法に様々な改変及び変更を行うことが可能である点は当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内であることが意図される。
【0022】
〔実施の態様〕
(1) 骨位置合わせシステムであって、
骨の標的表面領域をスキャンしてスキャンデータを得るために配置されるスキャナー及び第1通信要素を備える装置と、
骨の第1部分上に配置可能な第1マーカーであって、前記装置に対して複数の次元で前記第1マーカーの位置を示す場所信号を送信するために配置される第2通信要素を備える、第1マーカーと、
前記スキャンデータを前記骨の表面データと比較して、前記表面データに対して前記スキャンデータが重なり合う要素を特定する位置データを発生させ、前記場所信号から場所データを特定し、前記位置データ及び前記場所データを用いて前記骨の表面上の前記第1マーカーの場所を特定するよう配置される、位置合わせユニットと、
を備える、システム。
(2) 前記スキャンデータが超音波データであり、前記表面データがCTデータである、実施態様1に記載のシステム。
(3) 基準信号を発生するよう構成された信号発生器を更に備え、
前記第1通信要素及び前記第2通信要素が、第1センサー及び第2センサーであって、それぞれのセンサーは、前記基準信号を感知して、前記信号発生器に対して複数の次元で対応する通信要素の位置を示す対応する場所信号を前記位置合わせユニットに送信するように構成され、
前記位置合わせユニットが、前記場所信号から場所データを特定し、前記装置に対して複数の次元で前記第1マーカーの位置を示す、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記基準信号が電磁信号である、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記第1通信要素が、基準信号を発生するように構成された信号発生器であり、
前記第2通信要素が、前記基準信号を感知し、前記装置に対して複数の次元で前記第1マーカーの位置を示す場所信号を前記位置合わせユニットに送信するよう構成されたセンサーである、実施態様1に記載のシステム。
【0023】
(6) 前記信号発生器及びセンサーが、電磁的及び光学的のうちの1つである、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記場所データが、前記装置に対して6つの次元で前記第1マーカーの位置を示す、実施態様1に記載のシステム。
(8) 骨の第2部分に配置される第2マーカーを更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記骨の表面上の前記第1マーカー及び前記第2マーカーの対応する場所が、前記装置を用いて特定可能である、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記第1マーカー及び前記第2マーカーが互いに通信し、前記第2マーカーに対する前記第1マーカーの位置を含む相対マーカーデータを特定する、実施態様8に記載のシステム。
【0024】
(11) 前記位置合わせユニットが前記相対マーカーデータを処理し、前記骨の前記表面上の前記第2マーカーの場所を特定する、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記骨の前記表面上の前記第1マーカーの場所を示すディスプレイを更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(13) 前記第2マーカーが、前記第1通信要素と通信する第3通信要素を備え、前記第3通信要素に対して複数の次元で前記第1通信要素の位置を示す場所データを特定する、実施態様8に記載のシステム。
(14) 前記装置が、電磁場発生器及び光場発生器のうちの1つを備える、実施態様1に記載のシステム。
(15) 骨位置合わせの方法であって、
スキャナー及び第1通信要素を備える装置を用いて骨の標的表面領域をスキャンして、スキャンデータを得ることと、
骨の第1部分上に第1マーカーを配置することであって、前記第1マーカーが第2通信要素を備え、前記第2通信要素が、前記第2通信要素に対して複数の次元で前記第1通信要素の位置を示す場所信号を送信するために配置される、ことと、
位置合わせユニットを用いて、前記スキャンデータを前記骨の表面データと比較して、前記表面データに対して前記スキャンデータが重なり合う要素を特定する位置データを発生させ、前記場所信号から場所データを特定し、前記位置データ及び前記場所データを用いて前記骨の表面上の前記第1マーカーの場所を特定することと、
を含む、方法。
【0025】
(16) 前記スキャンデータが超音波データであり、前記表面データがCTデータである、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記第1通信要素が電磁信号発信器であり、前記第2通信が電磁センサーである、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記場所データが、前記第1マーカーに対して6つの次元で前記装置の位置を示す、実施態様15に記載の方法。
(19) 骨の第2部分上に第2マーカーを配置することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記第2マーカーに対する前記第1マーカーの位置を示す相対マーカーデータを特定することを更に含み、骨の前記第2部分が骨の前記第1部分との固定された空間関係を有する、実施態様19に記載の方法。
【0026】
(21) 前記相対マーカーデータを処理し、前記骨の前記表面上の前記第2マーカーの場所を特定することを更に含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記第2マーカーの第3通信要素に対する前記第1通信要素の位置を複数の次元で示す場所データを特定することを更に含み、骨の前記第2部分は骨の前記第1部分との固定されていない空間関係を有する、実施態様19に記載の方法。
(23) 前記骨の前記表面上の前記第1マーカーの場所をディスプレイ上に示すことを更に含む、実施態様15に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6