特許第6104904号(P6104904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104904反射型面対称結像素子の製造方法、反射型面対称結像素子、前記反射型面対称結像素子を備えた空間映像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104904
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】反射型面対称結像素子の製造方法、反射型面対称結像素子、前記反射型面対称結像素子を備えた空間映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20170316BHJP
   G02B 17/00 20060101ALI20170316BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20170316BHJP
   G02B 27/24 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   G02B5/08 C
   G02B17/00 Z
   G02B5/08 A
   G02B5/00 Z
   G02B27/24
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-518138(P2014-518138)
(86)(22)【出願日】2012年5月30日
(86)【国際出願番号】JP2012063867
(87)【国際公開番号】WO2013179405
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2014年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】598033848
【氏名又は名称】株式会社アスカネット
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】橋川 広和
【審査官】 後藤 亮治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−081300(JP,A)
【文献】 特開2003−057417(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/136578(WO,A1)
【文献】 特開2000−199810(JP,A)
【文献】 特開2004−121978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00 − 5/136
9/00 − 17/08
21/02 − 21/04
25/00 − 25/04
27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数の平板ミラーの光反射主面を同一方向に積し固着させ、前記光反射主面に直交する方向及び平行な方向の両端側面に支持部材を固着させブロック体を、切断面が前記側面と直交かつ前記光反射主面に対して垂直となる方向に等間隔で切断して少なくとも2つのミラーシートを形成する切断工程と、
前記支持部材が固着された状態の2つの前記ミラーシートを、双方の光反射面が直交するよう貼り合わせた後、前記支持部材を取り除く貼り合わせ工程と、
を備えていることを特徴とする反射型面対称結像素子の製造方法。
【請求項2】
複数の第1光反射面が平行に配列された第1ミラーシートと、複数の第2光反射面が平行に配列された第2ミラーシートとが、前記第1光反射面と前記第2光反射面とが直交するように貼り合わされ、互いに直交する前記第1光反射面および前記第2光反射面を有する微小ミラーユニットがマトリクス状に配列されて平板状に形成され、入射光を前記第1光反射面および前記第2光反射面により2回反射する反射型面対称結像素子の製造方法であって、
複数の平板ミラーの光反射主面を同一方向に向けて積層して当該複数の平板ミラーを固着させて平行ミラーブロックを形成する積層工程と、
記光反射主面に対して直交する方向及び前記光反射主面に対して平行な方向の前記平行ミラーブロックの両端側面のそれぞれに支持部材を固着させてブロック体を形成する固着工程と、
切断面が前記支持部材が固着されている側面と直交する方向かつ前記ブロック体を前記光反射主面に対して垂直となる方向となるように等間隔で切断して複数の第1光反射面が平行に配列された第1ミラーシートおよび複数の第2光反射面が平行に配列された第2ミラーシートを少なくとも形成する切断工程と、
前記第1光反射面と前記第2光反射面とが直交するように前記第1ミラーシートと前記第2ミラーシートとを貼り合わせて前記反射型面対称結像素子を形成する貼り合わせ工程と、を備え
前記貼り合わせ工程において、前記支持部材が固着された状態の前記第1ミラーシートと、前記支持部材が固着された状態の前記第2ミラーシートとが、前記第1光反射面と前記第2光反射面とが直交するように貼り合わされ、
前記第1ミラーシートおよび前記第2ミラーシートの双方のそれぞれに固着された支持部材が取り除かれて前記反射型面対称結像素子が形成される、
ことを特徴とする反射型面対称結像素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の反射型面対称結像素子が基板に平面充填された大形の反射型面対称結像素子の製造方法であって、
平面充填されて隣接する反射型面対称結像素子同士のミラーピッチを維持するように当該反射型面対称結像素子の周囲4辺が切削または研磨されていることを特徴とする大形の反射型面対称結像素子の製造方法。
【請求項4】
前記反射型面対称結像素子の周囲4辺に配置された前記平板ミラーの板厚が、平面充填されて隣接する反射型面対称結像素子同士のミラーピッチの1/2ピッチとなる厚みであることを特徴とする請求項に記載の大形の反射型面対称結像素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、被投影物の像を反対側の面対称となる位置に結像させるための反射型面対称結像素子の製造方法、該製造方法によって製造された反射型面対称結像素子、および、前記製造方法によって製造された反射型面対称結像素子を備えた空間映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、被投影物を反対側の面対称となる位置に結像させるための空間映像表示装置として、反射型面対称結像素子を用いてその素子の一方側に置かれた被投影物である物体の像を素子の反対側の面対称となる位置に結像させるものを提案している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような空間映像表示装置で用いられている反射型面対称結像素子1は、図1に示すように、第1ミラーシート3と第2ミラーシート2とを貼り合わせ形成されている。第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々は、図2(A)ないし図2(D)に示すように、複数の平板ミラー5を積層して互いに密着させた平行ミラーブロック10がワイヤソー41で切断されることにより形成されている。
【0004】
第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々における長手部材11は、透明なアクリル樹脂に代表されるプラスチックまたはガラスの平板ミラー5が切断されることにより形成されており、長手方向の長さHが数十mm〜数m程度、短手方向の長さ(すなわち、ミラーピッチW)が数百μmないし数cm前後、切断幅である厚みDが数mm程度である。長手部材11は、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々で数百ないし数万程度用いられている。
【0005】
第1ミラーシート3の長手部材11の長手方向に伸長した一面には、アルミニウムや銀の蒸着あるいはスパッタなどによって光反射面3aが形成されている。第2ミラーシート2の長手部材11の長手方向に伸長した一面には、アルミニウムや銀の蒸着あるいはスパッタなどによって光反射面2aが形成されている。
【0006】
また、第1ミラーシート3の長手部材11の光反射面3aの反対側の面には、つや消しの黒塗料や黒色シートを密着させた光吸収主面8が形成されている。第2ミラーシート2の長手部材11の光反射面2aの反対側の面には、つや消しの黒塗料や黒色シートを密着させた光吸収主面8が形成されている。
【0007】
第1ミラーシート3と第2ミラーシート2とは、図2(E)に示すように、前記第1ミラーシート3の光反射面3aと前記第2ミラーシート2の光反射面2aとが直交するように貼り合わされ、これによって反射型面対称結像素子1が形成されている。
【0008】
また、図3に示すように、第1ミラーシート3の各長手部材11と第2ミラーシート2の各長手部材11とが交差する部分が微小ミラーユニット(単位光学素子)4を構成し、各微小ミラーユニット4の第1ミラーシート3の光反射面3aが第1光反射面であり、第2ミラーシート2の光反射面2aが第2光反射面である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−81300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の反射型面対称結像素子1は、平行ミラーブロック10をワイヤソー41により切断する際に、図4(A)に示すように、平板ミラー5が破断したり、図4(B)に示すように、接着剤の剥離により積層された平板ミラー5が分離したりする問題があった。
【0011】
また、第1ミラーシート3の切断面および第2ミラーシート2の切断面の各々を光学研磨する際に、図4(A)に示すように、平板ミラー5が破断したり、図4(B)に示すように、接着剤の剥離により積層された平板ミラー5が分離したりする問題があった。
【0012】
また、図4(A)に示すような平板ミラー5の破断が発生した場合には、平板ミラー5の破断する方向が当該平板ミラー5の積層方向であるため、平行ミラーブロック10が、破断部Pを中心として前記積層方向に膨らんで樽形状となり、全体的な光学精度が低下してしまう。
【0013】
また、図4(B)に示すような平板ミラー5の分離が発生した場合には、平板ミラー5の分離する方向が光反射主面7に対して平行状であるため、平行ミラーブロック10が、分離部Tを境目として平板ミラー5で反射した光の向きが異なってしまう。
【0014】
そして、破断した平板ミラー5を接着して修復したもので反射型面対称結像素子1を製造した場合には、微小ミラーユニット4を構成する各長手部材11同士の交差する部分のミラーピッチWが大きくずれているとともに、全体的な光学精度が低下しているので、反射型面対称結像素子1としての光学性能が著しく低下してしまうという問題があった。
【0015】
また、分離した平板ミラー5を接着して修復したもので反射型面対称結像素子1を製造した場合には、微小ミラーユニット4を構成する各長手部材11同士の交差する部分のミラーピッチWが大きくずれているとともに、
分離部Tを境目として光学精度の連続性が失われているので、反射型面対称結像素子1としての光学性能が著しく低下してしまうという問題があった。
【0016】
このように、図2(A)ないし図2(E)に示すような製造方法では、光学精度の向上には限度があったため、光学精度が高くて大形となる反射型面対称結像素子1の製造は困難であるという問題があった。
【0017】
そこで、本発明は、例えば、平板ミラーの破断の抑制、接着剤の剥離および平板ミラーの分離の双方の抑制、かつ、光学精度の向上による反射型面対称結像素子の大型化を図ることのできる、反射型面対称結像素子の製造方法、該製造方法で製造された反射型面対称結像素子、および、前記製造方法によって製造された反射型面対称結像素子を備えた空間映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決し目的を達成するために、数の平板ミラーの光反射主面を同一方向に積し固着させ、前記光反射主面に直交する方向及び平行な方向の両端側面に支持部材を固着させブロック体を、切断面が前記側面と直交かつ前記光反射主面に対して垂直となる方向に等間隔で切断して少なくとも2つのミラーシートを形成する切断工程と、前記支持部材が固着された状態の2つの前記ミラーシートを、双方の光反射面が直交するよう貼り合わせた後、前記支持部材を取り除く貼り合わせ工程と、を備えていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】反射型面対称結像素子を示す図である。
図2図1に示す反射型面対称結像素子の製造方法を示す図である。
図3図1に示す反射型面対称結像素子の微小ミラーユニットを示す図である。
図4】平板ミラーの破断および分離を説明するための説明図である。(A)は平板ミラーの破断を模式的に表した図、(B)は平板ミラーの分離を模式的に表した図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子の製造方法を示す図である。(A)は平板ミラーを示す図、(B)は平板ミラーを積層して固着させている形態を示す図、(C)は平行ミラーブロックを示す図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子の製造方法を示す図である。(A)は支持部材を固着させている形態を示す図、(B)はブロック体をワイヤソーで切断する形態を示す図、(C)はミラーシート体を示す図である。
図7】本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子の製造方法を示す図である。(A)は2枚のミラーシート体を貼り合わせている形態を示す図、(B)は2枚のシート体が貼り合わされた形態を示す図である。
図8】本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子の製造方法を示す図である。(A)は反射型面対称結像素子の周囲4辺のミラーピッチを揃える形態を示す図、(B)は反射型面対称結像素子の周囲4辺のミラーピッチが揃えられた形態を示す図である。
図9】本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子を基板に平面充填している形態示す図である。
図10】本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子の製造方法のフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子を備えた空間映像表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子1の製造方法、本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子1、および、本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子1を備えた空間映像表示装置9について説明する。
【0021】
本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子1の製造方法は、複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3と、複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2とが、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように貼り合わされ、互いに直交する前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aを有する微小ミラーユニット4がマトリクス状に配列されて平板状に形成され、入射光Y1を前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aにより2回反射する反射型面対称結像素子1の製造方法であって、複数の平板ミラー5の光反射主面7を同一方向に向けて積層して当該複数の平板ミラー5を固着させて平行ミラーブロック10を形成する積層工程と、少なくとも前記光反射主面7に対して直交する方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに支持部材21を固着させてブロック体10Aを形成する固着工程と、前記ブロック体10Aを前記光反射主面7に対して垂直となる方向に等間隔で切断して複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3および複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2を少なくとも形成する切断工程と、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように前記第1ミラーシート3と前記第2ミラーシート2とを貼り合わせて前記反射型面対称結像素子1を形成する貼り合わせ工程と、を備えていることを特徴としているものである。
【0022】
このように、固着工程において、少なくとも光反射主面7に対して直交する方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに支持部材21を固着させてブロック体10Aを形成するので、切断工程により平行ミラーブロック10を切断する際に、平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して支持部材21が抵抗するようになることから、前記平板ミラー5の破断を抑制することができる。
【0023】
また、切断工程により平行ミラーブロック10を切断する際に、光反射主面7に対して平行となる方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに固着させた支持部材22が、前記平板ミラー5の破断する方向(すなわち、平板ミラー5の積層方向)の変形(図4(A)参照)に抵抗するとともに前記支持部材21との組み合わせによって当該平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して抵抗するので、平板ミラー5の破断をより効果的に抑制することができる。
【0024】
また、切断工程により平行ミラーブロック10を切断する際に、平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して支持部材21が抵抗するので、積層した平板ミラー5同士を固着させている接着剤の剥離を抑制することができる。
【0025】
また、切断工程により平行ミラーブロック10を切断する際に、平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して支持部材21が抵抗するので、接着剤の剥離に伴って平板ミラー5同士が分離してしまうことを抑制することができる。
【0026】
このように、平行ミラーブロック10を切断する際に、平板ミラー5の破断を抑制するとともに、接着剤の剥離を抑制することができ、かつ、平板ミラー5同士の分離を抑制することができるので、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができる。
【0027】
また、平行ミラーブロック10の切断工程における平板ミラー5の破断が該平板ミラー5の積層方向である(図4(A)参照)ことから、切断工程により平板ミラー5の破断が発生してしまった場合であっても、破断が発生した平板ミラー5および破断の発生していない平板ミラー5の前記積層方向への移動を支持部材22と支持部材21とが相乗効果で規制するので、破断が発生した平板ミラー5および破断の発生していない平板ミラー5の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、ブロック体10Aを切断して形成された第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々における全体的な光学精度の低下を抑制することができる。
【0028】
このように、平板ミラー5が破断してしまった場合であっても光学精度の低下を抑制することができるとともに、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができるので、大形の平板ミラー5の積層により形成された平行ミラーブロック10の切断によって、光学精度が高くて大形となる第1ミラーシート3および第2ミラーシート2を得ることができるようになり、大形の反射型面対称結像素子1を製造することができる。
【0029】
また、平行ミラーブロック10の切断工程における接着剤の剥離に伴った平板ミラー5同士の分離が該平板ミラー5の光反射主面7に対して平行状である(図4(B)参照)ことから、切断工程により接着剤の剥離が発生してしまった場合であっても、剥離が発生した平板ミラー5および剥離の発生していない平板ミラー5の前記積層方向への移動を支持部材21が規制するので、剥離していない平板ミラー5の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、ブロック体10Aを切断して形成された第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々における全体的な光学精度の低下を抑制することができる。
【0030】
このように、接着剤の剥離に伴って平板ミラー5同士が分離してしまった場合であっても光学精度の低下を抑制することができるとともに、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができるので、大形の平板ミラー5の積層により形成された平行ミラーブロック10の切断によって、光学精度が高くて大形となる第1ミラーシート3および第2ミラーシート2を得ることができるようになり、大形の反射型面対称結像素子1を製造することができる。
【0031】
したがって、本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子1の製造方法は、平板ミラー5の破断の発生の抑制、該平板ミラー5を固着する接着剤の剥離の抑制、該接着剤の剥離による前記平板ミラー5の分離の抑制、かつ、光学精度の向上による反射型面対称結像素子1の大型化を図ることができる。
【0032】
また、本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子1の製造方法は、切断工程により形成された第1ミラーシート3は、少なくとも第1光反射面3aに対して直交する方向の両端のそれぞれに支持部材21が固着された状態で切断面が光学研磨され、かつ、前記切断工程により形成された第2ミラーシート2は、少なくとも第2光反射面2aに対して直交する方向の両端のそれぞれに支持部材21が固着された状態で切断面が光学研磨されることを特徴としている。
【0033】
このように、第1光反射面3aに対して直交する方向の両端のそれぞれに支持部材21が固着された状態で第1ミラーシート3の切断面を光学研磨し、第2光反射面2aに対して直交する方向の両端のそれぞれに支持部材21が固着された状態で第2ミラーシート2の切断面を光学研磨するので、平板ミラー5を切断工程で切断して形成された長手部材11の前記積層方向に作用する応力に対して支持部材21が抵抗するようになることから、前記長手部材11の破断を抑制することができるとともに、積層した長手部材11同士を固着させている接着剤の剥離を抑制することができ、かつ、長手部材11同士が分離してしまうことを抑制することができる。
【0034】
また、第1ミラーシート3の光学研磨工程における長手部材11の破断が該長手部材11の第1光反射面3aに対して積層方向であり、第2ミラーシート2の光学研磨工程における長手部材11の破断が該長手部材11の第2光反射面2aに対して積層方向であることから、支持部材22が長手部材11の破断する方向(すなわち、長手部材11の積層方向)の変形に抵抗するとともに前記支持部材21との組み合わせによって当該長手部材11の積層方向に作用する応力に対して抵抗するので、長手部材11の破断をより効果的に抑制することができる。
【0035】
また、第1ミラーシート3の光学研磨工程における長手部材11の破断が該長手部材11の第1光反射面3aに対して積層方向であり、第2ミラーシート2の光学研磨工程における長手部材11の破断が該長手部材11の第2光反射面2aに対して積層方向であることから、光学研磨工程により長手部材11の破断が発生してしまった場合であっても、破断が発生した長手部材11および破断の発生していない長手部材11の前記積層方向への移動を支持部材22と支持部材21とが相乗効果で規制するので、破断していない長手部材11の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々における全体的な光学精度の低下を抑制することができる。
【0036】
また、第1ミラーシート3の光学研磨工程における接着剤の剥離に伴った長手部材11同士の分離が該長手部材11の第1光反射面3aに対して平行状であり、第2ミラーシート2の光学研磨工程における接着剤の剥離に伴った長手部材11同士の分離が該長手部材11の第2光反射面2aに対して平行状であることから、光学研磨工程により長手部材11の接着剤の剥離が発生してしまった場合であっても、剥離が発生した長手部材11および剥離の発生していない長手部材11の前記積層方向への移動を支持部材21が規制するので、剥離していない長手部材11の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々における全体的な光学精度の低下を抑制することができる。
【0037】
また、本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子の製造方法は、貼り合わせ工程において、少なくとも第1光反射面3aに対して直交する方向の両端のそれぞれに支持部材21が固着された状態の第1ミラーシート3と、少なくとも第2光反射面2aに対して直交する方向の両端のそれぞれに支持部材21が固着された状態の第2ミラーシート2とが、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように貼り合わされ、前記第1ミラーシート3および前記第2ミラーシート2の双方のそれぞれに固着された支持部材21が取り除かれて反射型面対称結像素子1が形成されることを特徴としている。
【0038】
このように、少なくとも第1光反射面3aに対して直交する方向の両端のそれぞれに支持部材21が固着された状態の第1ミラーシート3と、少なくとも第2光反射面2aに対して直交する方向の両端のそれぞれに支持部材21が固着された状態の第2ミラーシート2とを貼り合わせているので、第1ミラーシート3と第2ミラーシート2とを貼り合わせるための接着剤が当該第1ミラーシート3および当該第2ミラーシート2の各々の積層された長手部材11同士の接着層に侵入して当該長手部材11同士の平行度が低下する現象の発生を抑制することができ、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の積層された長手部材11同士の平行度を良好に保つことによって、歪みのない良好な空間像を得ることができる。
【0039】
また、本発明の一実施形態にかかる大形の反射型面対称結像素子31の製造方法は、前述の反射型面対称結像素子1が基板33に平面充填された大形の反射型面対称結像素子31の製造方法であって、平面充填されて隣接する反射型面対称結像素子1同士のミラーピッチWを維持するように当該反射型面対称結像素子1の周囲4辺が切削または研磨されていることを特徴としている。
【0040】
このように、反射型面対称結像素子1の周囲4辺を切削または研磨することによって、平面充填されて隣接する反射型面対称結像素子1同士のミラーピッチWが維持されるので、隣接する反射型面対称結像素子1同士の周囲のミラーピッチWと、前記反射型面対称結像素子1の内部のミラーピッチWとを一致させることができ、大形の反射型面対称結像素子31によって投影された実像19を観察する際に、隣接する反射型面対称結像素子1同士の接合部(目地部S)がほとんど目立たなくなり、被投影物18と違和感のない実像19を観察することができる。
【0041】
また、本発明の一実施形態にかかる大形の反射型面対称結像素子31の製造方法は、反射型面対称結像素子1の周囲4辺に配置された前記平板ミラー5の板厚W2が、平面充填されて隣接する反射型面対称結像素子1同士のミラーピッチの1/2ピッチとなる厚みであることを特徴としている。
【0042】
このように、反射型面対称結像素子1の周囲4辺に配置された平板ミラー5の板厚W2を内部に配置された平板ミラー5の1/2ピッチとなる厚みにしているので、平面充填されて隣接する反射型面対称結像素子1同士において、隣接する長手部材11同士で1ピッチのミラーピッチが形成され、前記反射型面対称結像素子1の内部のミラーピッチWと一致させることができ、大形の反射型面対称結像素子31によって投影された実像19を観察する際に、隣接する反射型面対称結像素子1同士の接合部(目地部S)がほとんど目立たなくなり、被投影物18と違和感のない実像19を観察することができる。
【0043】
また、本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子1は、複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3と、複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2とが、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように貼り合わされ、互いに直交する前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aを有する微小ミラーユニット4がマトリクス状に配列されて平板状に形成され、入射光Y1を前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aにより2回反射する反射型面対称結像素子1であって、複数の平板ミラー5の光反射主面7を同一方向に向けて積層して当該複数の平板ミラー5を固着させて平行ミラーブロック10が形成され、少なくとも前記光反射主面7に対して直交する方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに支持部材21を固着させてブロック体10Aが形成され、前記ブロック体10Aを前記光反射主面7に対して垂直となる方向に等間隔で切断して複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3および複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2が少なくとも形成され、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように前記第1ミラーシート2記第2ミラーシートとを貼り合わせて前記反射型面対称結像素子1が形成されたことを特徴としている。
【0044】
このように、少なくとも光反射主面7に対して直交する方向の平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに支持部材21を固着させてブロック体10Aを形成するので、切断工程により平行ミラーブロック10を切断する際に、平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して支持部材21が抵抗するようになることから、平板ミラー5の破断を抑制するとともに、接着剤の剥離を抑制することができ、かつ、平板ミラー5同士の分離を抑制することができる。その結果、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができる。
【0045】
また、平板ミラー5の破断が該平板ミラー5の積層方向であることから、切断工程により平板ミラー5の破断が発生してしまった場合であっても、破断が発生した平板ミラー5および破断の発生していない平板ミラー5の前記積層方向への移動を支持部材22と支持部材21とが相乗効果で規制するので、破断が発生した平板ミラー5および破断の発生していない平板ミラー5の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々における全体的な光学精度の低下を抑制することができる。
【0046】
このように、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができ、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度の低下を抑制することができるので、大形の反射型面対称結像素子1を製造することができる。
【0047】
したがって、本発明の一実施形態にかかる反射型面対称結像素子1は、平板ミラー5の破断の発生の抑制、該平板ミラー5を固着する接着剤の剥離の抑制、該接着剤の剥離による前記平板ミラー5の分離の抑制、かつ、光学精度の向上による反射型面対称結像素子1の大型化を図ることができる。
【0048】
また、本発明の一実施形態にかかる空間映像表示装置9は、複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3と、複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2とが、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように貼り合わされ、互いに直交する前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aを有する微小ミラーユニット4がマトリクス状に配列されて平板状に形成され、入射光Y1を前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aにより2回反射する反射型面対称結像素子1を備えた空間映像表示装置9であって、複数の平板ミラー5の光反射主面7を同一方向に向けて積層して当該複数の平板ミラー5を固着させて平行ミラーブロック10が形成され、少なくとも前記光反射主面7に対して直交する方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに支持部材21を固着させてブロック体10Aが形成され、前記ブロック体10Aを前記光反射主面7に対して垂直となる方向に等間隔で切断して複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3および複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2が少なくとも形成され、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように前記第1ミラーシート3と前記第2ミラーシート2とを貼り合わせて前記反射型面対称結像素子1が形成されたことを特徴としている。
【0049】
このように、少なくとも光反射主面7に対して直交する方向の平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに支持部材21を固着させてブロック体10Aを形成するので、切断工程により切断する際に、平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して支持部材21が抵抗するようになることから、平板ミラー5の破断(図4(A)参照)を抑制するとともに、接着剤の剥離を抑制することができ、かつ、平板ミラー5同士の分離(図4(B)参照)を抑制することができる。その結果、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができる。
【0050】
また、平板ミラー5の破断が該平板ミラー5の積層方向である(図4(A)参照)ことから、切断工程により平板ミラー5の破断が発生してしまった場合であっても、破断が発生した平板ミラー5および破断の発生していない平板ミラー5の前記積層方向への移動を支持部材22と支持部材21とが相乗効果で規制するので、破断が発生した平板ミラー5および破断の発生していない平板ミラー5の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々における全体的な光学精度の低下を抑制することができる。
【0051】
このように、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができ、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度の低下を抑制することができるので、大形の反射型面対称結像素子31を製造することができる。
【0052】
したがって、本発明の一実施形態にかかる空間映像表示装置9は、平板ミラー5の破断の発生の抑制、該平板ミラー5を固着する接着剤の剥離の抑制、該接着剤の剥離による前記平板ミラー5の分離の抑制、かつ、光学精度の向上による反射型面対称結像素子1の大型化を図ることができる。
【実施例】
【0053】
本発明の一実施例にかかる反射型面対称結像素子1の製造方法、反射型面対称結像素子1、および、反射型面対称結像素子1を備えた空間映像表示装置9について図5ないし図11を参照して説明する。
【0054】
図5ないし図8は、本発明の一実施例にかかる反射型面対称結像素子1の製造方法を示している。図9は、本発明の一実施例にかかる大形の反射型面対称結像素子31の製造方法を示している。図10は、本発明の一実施例にかかる大形の反射型面対称結像素子31の製造方法を示すフローチャートである。図11は、本発明の一実施例にかかる空間映像表示装置9を示している。
【0055】
図5(A)に示すように、複数の平板ミラー5が準備される。平板ミラー5は、例えば、一辺の長さHが数十mm〜数m程度、板厚(すなわち、ミラーピッチW)が数百μmないし数cm前後に形成された正方形の薄板状となっている。また、平板ミラー5は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)等のアクリル樹脂、高い均質度をもったガラスなど、透明な光学材料が用いられる。
【0056】
また、平板ミラー5は、一方の主面が光反射主面7とされ、他方の主面が光吸収主面8とされている。光反射主面7は、アルミニウムや銀の蒸着、スパッタ膜、あるいは銀等の金属反射膜によって形成されている。なお、光反射主面7は、金属以外の光反射膜であってもよい。光吸収主面8は、つや消しの黒塗料や黒色シートを密着させて形成されている。
【0057】
次に、図5(B)および図5(C)に示すように、複数の平板ミラー5が、光反射主面7を同一方向(図示例では、下方向)に向けて積層し、平行ミラーブロック10が形成される(積層工程)。
【0058】
このとき、複数の平板ミラー5は、樹脂または接着剤によって固着される。接着剤は、例えば、常温硬化する熱硬化型接着剤が用いられる。熱硬化型接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤などの公知のものが用いられる。
【0059】
なお、平板ミラー5の光吸収主面8に、錫、銀、アルミニウム等の金属膜を蒸着等の方法により予め形成しておき、平板ミラー同士を半田付け、ロウ付け等の接合技術を用いた平面接合により固定してもよい。
【0060】
次に、図6(A)および図6(B)に示すように、光反射主面7に対して直交となる方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに支持部材としての第1支持部材21が固着され、光反射主面7に対して平行となる方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに支持部材としての第2支持部材22が固着されて、ブロック体10Aが形成される(固着工程)。
【0061】
このとき、第1支持部材21および第2支持部材22は、PMMA樹脂等のアクリル樹脂板、ガラス板、陶板、金属板などの板状部材が用いられる。なお、板状部材は、後述する切断工程または光学研磨工程においては、平板ミラー5の硬さと大きく相違していないものが望ましい。
【0062】
また、第1支持部材21および第2支持部材22の各々は、樹脂または接着剤によって固着される。接着剤は、例えば、常温硬化する熱可塑型接着剤が用いられる。熱可塑型接着剤としては、公知のものが用いられる。
【0063】
次に、図6(B)および図6(C)に示すように、ブロック体10Aは、ダイヤモンドが粒子化された砥石を金属または樹脂製のワイヤに供給または付着させて切断を行うワイヤソー41によって、光反射主面7に対して垂直となる矢印方向aに等間隔で切断され、複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート体3A、および、複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート体2Aが形成される(切断工程)。
【0064】
このとき、第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々は、ブロック体10Aの切断幅とおなじとなる厚みDとなり、厚みDは数mm程度とされる。
【0065】
また、このとき、図6(B)に示すように、第1支持部材21と第2支持部材22とが平行ミラーブロック10に対して枠状に配置されて固着した状態でブロック体10Aが切断されるので、平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して第1支持部材21が抵抗するようになり、また、平板ミラー5の積層方向に対して直交となる方向に作用する応力に対して第2支持部材22が抵抗するようになり、さらに、第1支持部材21と第2支持部材22とが枠状となることで機械的強度が向上するようになることから、切断工程における平板ミラー5の破断を抑制することができ、積層した平板ミラー5同士を固着させている接着剤の剥離を抑制することができ、接着剤の剥離に伴って平板ミラー5同士が分離してしまうことを抑制することができる。
【0066】
このように、ブロック体10Aを切断する際に、平板ミラー5の破断を抑制するとともに、接着剤の剥離を抑制することができ、かつ、平板ミラー5同士の分離を抑制することができるので、第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々の光学精度を向上させることができる。
【0067】
また、ブロック体10Aの切断工程における平板ミラー5の破断が該平板ミラー5の積層方向であることから、切断工程により平板ミラー5の破断が発生してしまった場合であっても、破断が発生した平板ミラー5および破断の発生していない平板ミラー5の前記積層方向への移動を第2支持部材22と第1支持部材21とが相乗効果で規制するので、破断していない平板ミラー5の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、ブロック体10Aを切断して形成された第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々における全体的な光学精度の低下を抑制することができる。
【0068】
なお、ブロック体10Aの切断後に、切断面の表面粗さを改善するために精密研磨(光学研磨)などを行う場合の切断幅は、前記厚みDに光学研磨による削りしろを加えた幅とし、研磨後の第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々が厚みDとなるようにする。また、第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々の縦横がほぼ等しくなるように、積層工程における平板ミラー5の積層数を定めることが望ましい。
【0069】
次に、第1ミラーシート体3Aは、第1支持部材21が切断されることにより形成された第1支持体25と、第2支持部材22が切断されることにより形成された第2支持体26とが固着された状態、すなわち、図6(C)に示すように、第1支持体25と第2支持体26とが第1ミラーシート体3Aに対して枠状に配置されて固着した状態で、切断面が光学研磨される(光学研磨工程)。
【0070】
また、第2ミラーシート体2Aは、第1支持部材21が切断されることにより形成された第1支持体25と、第2支持部材22が切断されることにより形成された第2支持体26とが固着された状態、すなわち、図6(C)に示すように、第1支持体25と第2支持体26とが第2ミラーシート体2Aに対して枠状に配置されて固着した状態で、切断面が光学研磨される(光学研磨工程)。
【0071】
このとき、図6(C)に示すように、第1支持体25と第2支持体26とが第1ミラーシート体3Aに対して枠状に配置されて固着した状態で、当該第1ミラーシート体3Aの切断面が光学研磨され、第1支持体25と第2支持体26とが第2ミラーシート体2Aに対して枠状に配置されて固着した状態で、当該第2ミラーシート体2Aの切断面が光学研磨されるので、平板ミラー5が切断されることにより形成された長手部材11の積層方向に作用する応力に対して第1支持体25が抵抗するようになり、また、長手部材11の積層方向に対して直交となる方向に作用する応力に対して第2支持体26が抵抗するようになり、さらに、第1支持体25と第2支持体26とが枠状となることで機械的強度が向上するようになることから、光学研磨工程における長手部材11の破断を抑制することができ、積層された長手部材11同士を固着させている接着剤の剥離を抑制することができ、接着剤の剥離に伴って長手部材11同士が分離してしまうことを抑制することができる。
【0072】
このように、第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々を光学研磨する際に、長手部材11の破断を抑制するとともに、接着剤の剥離を抑制することができ、かつ、長手部材11同士の分離を抑制することができるので、第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々の光学精度を向上させることができる。
【0073】
また、第1ミラーシート体3Aの光学研磨工程における長手部材11の破断が、平板ミラー5が切断されることにより形成された光反射主面7としての第1光反射面3aに対して交差する方向(すなわち、長手部材11の積層方向)であることから、光学研磨工程により長手部材11の破断が発生してしまった場合であっても、破断が発生した長手部材11および破断の発生していない長手部材11の前記積層方向への移動を第2支持体26と第1支持体25とが相乗効果で規制するので、破断していない長手部材11の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、切断面が光学研磨された第1ミラーシート体3Aの全体的な光学精度の低下を防止することができる。
【0074】
また、第2ミラーシート体2Aの光学研磨工程における長手部材11の破断が、平板ミラー5が切断されることにより形成された光反射主面7としての第2光反射面2aに対して交差する方向(すなわち、長手部材11の積層方向)であることから、光学研磨工程により長手部材11の破断が発生してしまった場合であっても、破断が発生した長手部材11および破断の発生していない長手部材11の前記積層方向への移動を第2支持体26と第1支持体25とが相乗効果で規制するので、破断していない長手部材11の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、切断面が光学研磨された第2ミラーシート体2Aの全体的な光学精度の低下を防止することができる。
【0075】
次に、図7(A)および図7(B)に示すように、第1光反射面3aと第2光反射面2aとが直交するように、第1ミラーシート体3Aと第2ミラーシート体2Aとが貼り合わされて、反射型面対称結像素子1が形成される(貼り合わせ工程)。
【0076】
第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々は、樹脂または接着剤によって固着される。接着剤は、例えば、常温硬化する紫外線硬化型接着剤が用いられる。紫外線硬化型接着剤としては、公知のものが用いられる。
【0077】
このとき、第1ミラーシート体3Aには、第1光反射面3aに対して直交する方向の両端のそれぞれに第1支持体25が固着されるとともに、第2ミラーシート体2Aには、第2光反射面2aに対して直交する方向の両端のそれぞれに第2支持体26が固着されるので、第1ミラーシート体3Aと第2ミラーシート体2Aとを貼り合わせるための接着剤が当該第1ミラーシート体3Aおよび当該ミラーシート体2Aの各々の積層された長手部材11同士の接着層に侵入して当該長手部材11同士の平行度が低下する現象の発生を抑制することができ、第1ミラーシート体3Aおよび第2ミラーシート体2Aの各々の積層された長手部材11同士の平行度を良好に保つことができる。このため、反射型面対称結像素子1は、歪みのない良好な空間像を得ることができる。
【0078】
また、このとき、第1ミラーシート体3Aの長手部材11の第1光反射面3aと、第2ミラーシート体2Aの長手部材11の第2光反射面2aとの交差する部分が微小ミラーユニット(単位光学素子)4を構成し、微小ミラーユニット4毎に第1光反射面3aと第2光反射面2aとが互いに直交となる関係にある。
【0079】
次に、第1ミラーシート体3Aと第2ミラーシート体2Aとが貼り合わされた反射型面対称結像素子1は、図8(A)に示すように、第1支持体25および第2支持体26が取り除かれる(支持部材の除去工程)。
【0080】
このとき、第1ミラーシート体3Aと第2ミラーシート体2Aとが貼り合わされて形成された反射型面対称結像素子1は、例えば、第1支持体25および第2支持体26を固着させている熱可塑型接着剤が軟化する温度にまで加熱されることにより、第1支持体25および第2支持体26が容易に取り外される。
【0081】
なお、第1支持体25および第2支持体26を固着させる接着剤が水溶性の場合には、第1ミラーシート体3Aと第2ミラーシート体2Aとが貼り合わされた反射型面対称結像素子1を水に浸漬させることにより接着剤を膨潤させ、第1支持体25および第2支持体26が容易に取り外される。
【0082】
次に、図8(A)および図8(B)に示すように、第1支持体25および第2支持体26が取り除かれた反射型面対称結像素子1は、後述する平面充填工程において、平面充填されて隣接する反射型面対称結像素子1同士のミラーピッチW(すなわち、平板ミラー5の板厚)を維持するように、反射型面対称結像素子1の周囲4辺が切削または研磨される(ピッチ調整工程)。
【0083】
このとき、図8(A)に示すように、反射型面対称結像素子1の周囲4辺に配置され、かつ、平板ミラー5が切断されることにより形成された長手部材11としての周縁長手部材12の板厚W2が、後述する平面充填工程において、図8(B)に示すように、平面充填されて隣接する反射型面対称結像素子1同士のミラーピッチW(すなわち、平板ミラー5の板厚)の1/2ピッチとなる厚みとされる。
【0084】
このように、反射型面対称結像素子1の周囲4辺に配置された周縁長手部材12の板厚W2が1/2ピッチとなる厚みであるので、後述する平面充填工程において、隣接する周縁長手部材12同士で1ピッチとなり、反射型面対称結像素子1の内部のミラーピッチWと一致する。
【0085】
次に、図9に示すように、平滑な基準面を有する基板33に、反射型面対称結像素子1が平面充填(タイリング)され、大形の反射型面対称結像素子31が形成される(平面充填工程)。このように、図10に示すフローチャートに沿って、平板ミラー5から大形の反射型面対称結像素子31が得られる。
【0086】
平滑な基準面を有する基板33は、例えば、PMMA樹脂等の光学樹脂、あるいは、光学ガラスなど、平滑度の高い光学材料が用いられる。
【0087】
このとき、第1ミラーシート3の第1光反射面3a同士が平行となるとともに、第2ミラーシート2の第2光反射面2a同士が平行となるように、反射型面対称結像素子1が基板33に平面充填される。
【0088】
また、このとき、隣接する周縁長手部材12同士で形成される1ピッチが、反射型面対称結像素子1の内部のミラーピッチWと一致するので、図11に示すように、大形の反射型面対称結像素子31を備えた空間映像表示装置9において、前記大形の反射型面対称結像素子31によって投影された実像19を観察する際に、隣接する反射型面対称結像素子1同士の接合部(目地部(図9参照)S)がほとんど目立たなくなり、被投影物18と違和感のない実像19を観察することができる。
【0089】
かかる大形の反射型面対称結像素子31を備えた空間映像表示装置9においては、例えば、図11に示すように、被投影物18が大形の反射型面対称結像素子31の一方の面側(図示例では、下側)に配置され、被投影物18からの入射光Y1が大形の反射型面対称結像素子31に対して斜めに入射するようにされる。
【0090】
また、大形の反射型面対称結像素子31の他方の面側(図示例では、上側)に観察者の目Eが位置し、大形の反射型面対称結像素子31について被投影物18と面対称となる空間位置に実像19、すなわち空間映像が形成される。図8(B)における反射型面対称結像素子1の両端部A2,B2は、図11に示す大形の反射型面対称結像素子31の対向角A2,B2に対応している。
【0091】
そして、図3および図11に示すように、入射光Y1は、矢印Y1方向で第1ミラーシート3の第1光反射面3aに反射され、その反射光Y2は、矢印Y2方向で第2ミラーシート2の第2光反射面2aに反射され、その反射光Y3は、矢印Y3方向で観察者に向けて進み、このように2回反射させて鏡映像が作り出されている。
【0092】
また、大形の反射型面対称結像素子31の法線Kに対する観察方向の角度をθ、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の光学屈折率をnとすると、ブロック体10Aの切断幅とおなじとなる第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の厚みDは、
【0093】
【数1】
【0094】
の如く表すことができる。Xは大形の反射型面対称結像素子31の中での法線Kに対する光線軸の傾き角である。各値の例としては次の通りである。
θ=60度、W=1mm、n=1.5の場合には、Dが約2.0mmとなる。
θ=45度、W=1mm、n=1.5の場合には、Dが約2.6mmとなる。
θ=30度、W=1mm、n=1.5の場合には、Dが約4.0mmとなる。
【0095】
本実施例によれば、複数の平板ミラー5の光反射主面7を同一方向に向けて積層して当該複数の平板ミラー5を固着させて平行ミラーブロック10を形成する積層工程と、少なくとも前記光反射主面7に対して直交する方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに第1支持部材21を固着させてブロック体10Aを形成する固着工程と、前記ブロック体10Aを前記光反射主面7に対して垂直となる方向に等間隔で切断して複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3および複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2を少なくとも形成する切断工程と、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように前記第1ミラーシート3と前記第2ミラーシート2とを貼り合わせて反射型面対称結像素子1を形成する貼り合わせ工程と、を備えた反射型面対称結像素子1の製造方法により当該反射型面対称結像素子1を製造するので、切断工程によりブロック体10Aを切断する際に、平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して第1支持部材21が抵抗するようになることから、前記平板ミラー5の破断を抑制することができるとともに、積層した平板ミラー5同士を固着させている接着剤の剥離を抑制することができ、かつ、接着剤の剥離に伴って平板ミラー5同士が分離してしまうことを抑制することができる。
【0096】
このように、ブロック体10Aを切断する際に、平板ミラー5の破断を抑制するとともに、接着剤の剥離を抑制することができ、かつ、平板ミラー5同士の分離を抑制することができるので、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができる。
【0097】
また、ブロック体10Aの切断工程における平板ミラー5の破断が該平板ミラー5の積層方向であることから、切断工程により平板ミラー5の破断が発生してしまった場合であっても、破断が発生した平板ミラー5および破断の発生していない平板ミラー5の積層方向への移動を第2支持部材22と第1支持部材21とが相乗効果で規制するので、破断していない平板ミラー5の光学上の相対的な位置を所定の位置に保持することができ、ブロック体10Aを切断して形成された第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々における全体的な光学精度の低下を抑制することができる。
【0098】
このように、平板ミラー5が破断してしまった場合であっても光学精度の低下を抑制することができるとともに、第1ミラーシート3および第2ミラーシート2の各々の光学精度を向上させることができるので、大形の平板ミラー5の積層により形成されたブロック体10Aの切断によって、光学精度が高くて大形となる第1ミラーシート3および第2ミラーシート2を得ることができるようになり、大形の反射型面対称結像素子31を製造することができる。
【0099】
したがって、平板ミラー5の破断の発生の抑制、該平板ミラー5を固着する接着剤の剥離の抑制、該接着剤の剥離による前記平板ミラー5の分離の抑制、かつ、光学精度の向上による反射型面対称結像素子1の大型化を図ることのできる空間映像表示装置9を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明にかかる反射型面対称結像素子1の製造方法は、空間中に映像を表示する素子の製造方法として利用でき、本発明にかかる反射型面対称結像素子1は、空間中に映像を表示する素子として利用でき、本発明にかかる空間映像表示装置9は、立体映像表示装置または応用光学装置として利用できる。また、本発明にかかる空間映像表示装置9は、3次元ディスプレイ、立体テレビ、カーオーディオ装置やカーナビゲーション装置等の車載表示装置、テレビ電話など、種々の表示装置として利用することができる。
【0101】
(付記1)複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3と、複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2とが、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように貼り合わされ、互いに直交する前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aを有する微小ミラーユニット4がマトリクス状に配列されて平板状に形成され、入射光Y1を前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aにより2回反射する反射型面対称結像素子1の製造方法であって、
複数の平板ミラー5の光反射主面7を同一方向に向けて積層して当該複数の平板ミラー7を固着させて平行ミラーブロック10を形成する積層工程と、
少なくとも前記光反射主面7に対して直交する方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに第1支持部材21を固着させてブロック体10Aを形成する固着工程と、
前記ブロック体10Aを前記光反射主面7に対して垂直となる方向に等間隔で切断して複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3および複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2を少なくとも形成する切断工程と、
前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように前記第1ミラーシート3と前記第2ミラーシート2とを貼り合わせて前記反射型面対称結像素子1を形成する貼り合わせ工程と、を備えていることを特徴とする反射型面対称結像素子1の製造方法。
【0102】
(付記2)複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3と、複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2とが、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように貼り合わされ、互いに直交する前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aを有する微小ミラーユニット4がマトリクス状に配列されて平板状に形成され、入射光Y1を前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aにより2回反射する反射型面対称結像素子1であって、
複数の平板ミラー5の光反射主面7を同一方向に向けて積層して当該複数の平板ミラー5を固着させて平行ミラーブロック10が形成され、
少なくとも前記光反射主面7に対して直交する方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに第1支持部材21を固着させてブロック体10Aが形成され、
前記ブロック体10Aを前記光反射主面7に対して垂直となる方向に等間隔で切断して複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3および複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2が少なくとも形成され、
前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように前記第1ミラーシート3と前記第2ミラーシート2とを貼り合わせて前記反射型面対称結像素子1が形成されたことを特徴とする反射型面対称結像素子1。
【0103】
(付記3)複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3と、複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2とが、前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように貼り合わされ、互いに直交する前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aを有する微小ミラーユニット4がマトリクス状に配列されて平板状に形成され、入射光Y1を前記第1光反射面3aおよび前記第2光反射面2aにより2回反射する反射型面対称結像素子1を備えた空間映像表示装置9であって、
複数の平板ミラー5の光反射主面7を同一方向に向けて積層して当該複数の平板ミラー5を固着させて平行ミラーブロック10が形成され、
少なくとも前記光反射主面7に対して直交する方向の前記平行ミラーブロック10の両端のそれぞれに第1支持部材21を固着させてブロック体10Aが形成され、
前記ブロック体10Aを前記光反射主面7に対して垂直となる方向に等間隔で切断して複数の第1光反射面3aが平行に配列された第1ミラーシート3および複数の第2光反射面2aが平行に配列された第2ミラーシート2が少なくとも形成され、
前記第1光反射面3aと前記第2光反射面2aとが直交するように前記第1ミラーシート3と前記第2ミラーシート2とを貼り合わせて前記反射型面対称結像素子1が形成されたことを特徴とする空間映像表示装置9。
【0104】
これらの反射型面対称結像素子1の製造方法、反射型面対称結像素子1、および、空間映像表示装置9によれば、平板ミラー5の積層方向に作用する応力に対して第1支持部材21が抵抗するようになるので、平板ミラー5の破断の抑制、接着剤の剥離および平板ミラー5の分離の双方の抑制、かつ、光学精度の向上による反射型面対称結像素子1の大型化を図ることができる。
【0105】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 反射型面対称結像素子
2 第2ミラーシート
2A 第2ミラーシート体
2a 第2光反射面
3 第1ミラーシート
3A 第1ミラーシート体
3a 第1光反射面
4 微小ミラーユニット
5 平板ミラー
7 光反射主面
9 空間映像表示装置
10 平行ミラーブロック
10A ブロック体
18 被投影物
19 実像
21 第1支持部材(支持部材)
22 第2支持部材(支持部材)
25 第1支持体(支持部材)
26 第2支持体(支持部材)
31 大形の反射型面対称結像素子
33 基板
D 切断幅
K 法線
m 切断線
W ミラーピッチ
W2 ミラーピッチ
Y1 入射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11