特許第6105066号(P6105066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105066
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】径方向に点火する点火器
(51)【国際特許分類】
   F23Q 3/00 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   F23Q3/00 102E
【請求項の数】29
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-525544(P2015-525544)
(86)(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公表番号】特表2015-524909(P2015-524909A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】US2013052938
(87)【国際公開番号】WO2014022514
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年3月27日
(31)【優先権主張番号】13/564,283
(32)【優先日】2012年8月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516020525
【氏名又は名称】チェントロニクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ケリー、 イーウェン エム.
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−58187(JP,A)
【文献】 特開昭60−165081(JP,A)
【文献】 特開昭47−19237(JP,A)
【文献】 実開昭58−88519(JP,U)
【文献】 実開平2−46398(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23Q 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極と絶縁体とを含む火花点火器であって、
前記複数の電極と前記絶縁体は、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に延びる外面とを有する細長い本体を形成するように構成され、
前記外面は側面と端面とを含み、前記端面は前記第1端部に位置し、前記側面は前記第1端部と前記第2端部との間に延び、
前記火花点火器は径方向に向けられたスパークを生成する火花ギャップを前記側面に形成するように構成され
前記火花点火器は、前記端面が火炎によって生じた火炎放射からの前記火花ギャップの少なくとも部分的な保護を提供するように、前記端面の前記火花ギャップとは反対の側に位置する火炎を形成するように構成されている、火花点火器。
【請求項2】
前記複数の電極は第1電極と第2電極とを含み、前記第2電極の少なくとも一部分が前記側面の少なくとも一部を形成する電極シェルを形成し、前記絶縁体は前記第1電極と前記電極シェルとの間にある、請求項に記載の火花点火器。
【請求項3】
前記電極シェルは前記第1電極の少なくとも一部分を取り囲む、請求項に記載の火花点火器。
【請求項4】
前記側面の一部分が前記端面に隣接し、前記電極シェルは開放端を画定し、前記第1電極は、前記端面と前記端面に隣接する側面の一部分とを形成するキャップを形成するように、前記電極シェルの内側を通って前記開放端から外へ延び、前記火花ギャップは前記キャップの側面と前記電極シェルの開放端との間にある、請求項に記載の火花点火器。
【請求項5】
前記側面は円筒面であり、前記火花ギャップは周方向に延びるギャップである、請求項に記載の火花点火器。
【請求項6】
前記周方向に延びるギャップは前記円筒面の周囲に完全に延びている、請求項に記載の火花点火器。
【請求項7】
前記第1電極は、前記周方向に延びるギャップの第1縁を形成し、前記電極シェルの開放端は、前記周方向に延びるギャップの第2縁を形成する、請求項に記載の火花点火器。
【請求項8】
前記端面は端部径を有し、前記電極シェルは外径を有し、前記端部径は前記外径よりも大きい、請求項に記載の火花点火器。
【請求項9】
前記キャップの側面は、前記第2端部に向かって長手方向に延び且つ第1長さを有する第1側面部分と、前記第2端部に向かって長手方向に延び且つ第2長さを有するタブ部分とを含み、前記第1長さは前記第2長さよりも短く、前記火花ギャップは前記タブ部分の周りに延びる、請求項に記載の火花点火器。
【請求項10】
前記タブ部分は2つの長手方向縁と周方向縁とを有し、前記電極シェルの側面は切り欠きを有する円筒面であり、前記開放端は、前記火花ギャップが周方向及び長手方向に延びるギャップであるように、前記タブから離間し且つ前記タブに対向する縁を形成する、請求項に記載の火花点火器。
【請求項11】
前記電極シェルは前記側面の少なくとも一部を形成し且つ前記端面を形成し、前記電極シェルは前記側面に開口部を画定する第1ギャップ縁を有し、前記第1電極は前記側面の少なくとも一部を形成し且つ前記開口部内に第2ギャップ縁を形成し、前記第1ギャップ縁と前記第2ギャップ縁が前記火花ギャップを画定する、請求項に記載の火花点火器。
【請求項12】
前記第1ギャップ縁と前記第2ギャップ縁は同一形状であり且つ同心である、請求項11に記載の火花点火器。
【請求項13】
前記第1ギャップ縁と前記第2ギャップ縁は、細長い閉曲線であり、前記側面の周囲の半分に限定される、請求項12に記載の火花点火器。
【請求項14】
前記第1ギャップ縁と前記第2ギャップ縁は円形であり且つ同心であり、前記面に形成された複数の火花ギャップが存在する、請求項12に記載の火花点火器。
【請求項15】
電気エネルギー源と、
火花点火器であって、
第1端部と、
第2端部と、
前記第1端部にある端面と、前記第2端部から前記第1端部に向かって延びる側面とを含む外面と、
前記第2端部から前記第1端部に向かって延びる中心電極と、
前記中心電極の少なくとも一部分を取り囲む電極シェルであって、前記側面の少なくとも一部を形成する電極シェルと、
前記中心電極と前記電極シェルとの間の絶縁体と
を有し、
前記中心電極と前記電極シェルと前記絶縁体は径方向に向けられたスパークを生成する火花ギャップを前記側面に形成するように構成され、前記中心電極と前記電極シェルは前記第2端部で前記電気エネルギー源に接続される火花点火器と、
燃料流路を有し、前記燃料流路は前記火花ギャップが前記燃料流路内にあるように前記火花点火器の第1端部を含むハウジングと
を備え
前記火花点火器は、前記端面が火炎によって生じた火炎放射からの前記火花ギャップの少なくとも部分的な保護を提供するように、前記端面の前記火花ギャップとは反対の側に位置する火炎を形成するように構成されている、バーナーパイロット。
【請求項16】
前記側面の一部分が前記端面に隣接し、前記電極シェルは開放端を画定し、前記中心電極は、前記端面と前記端面に隣接する側面の一部分とを形成するキャップを形成するように、前記電極シェルの内側を通って前記開放端から外へ延び、前記火花ギャップは前記キャップの側面と前記電極シェルの開放端との間にある、請求項15に記載のバーナーパイロット。
【請求項17】
前記側面は円筒面であり、前記火花ギャップは周方向に延びるギャップである、請求項16に記載のバーナーパイロット。
【請求項18】
前記周方向に延びるギャップは前記円筒面の周りに完全に延びている、請求項17に記載のバーナーパイロット。
【請求項19】
前記中心電極は、前記周方向に延びるギャップの第1縁を形成し、前記電極シェルは、前記周方向に延びるギャップの第2縁を形成する、請求項18に記載のバーナーパイロット。
【請求項20】
前記端面は端部径を有し、前記電極シェルは外径を有し、前記端部径は前記外径よりも大きい、請求項15に記載のバーナーパイロット。
【請求項21】
前記キャップの側面は、前記第2端部に向かって長手方向に延び且つ第1長さを有する第1側面部分と、前記第2端部に向かって長手方向に延び且つ第2長さを有するタブ部分とを含み、前記第1長さは前記第2長さよりも短く、前記火花ギャップは前記タブ部分の周りに延びる、請求項16に記載のバーナーパイロット。
【請求項22】
前記タブ部分は2つの長手方向縁と周方向縁とを有し、前記電極シェルの側面は、前記火花ギャップが周方向及び長手方向に延びるギャップであるように、前記タブ部分から離間し且つ前記タブ部分に対向する縁を有する切り欠きを有する円筒面である、請求項21に記載のバーナーパイロット。
【請求項23】
前記電極シェルは前記側面の少なくとも一部及び前記端面を形成し、前記電極シェルは前記側面において前記電極シェルに開口部を画定する第1ギャップ縁を有し、前記中心電極は、前記側面の少なくとも一部を形成し、且つ、前記第1ギャップ縁と第2ギャップ縁が前記火花ギャップを画定するように、前記開口部内に前記第2ギャップ縁を形成する、請求項15に記載のバーナーパイロット。
【請求項24】
前記第1ギャップ縁と前記第2ギャップ縁は同一形状であり且つ同心である、請求項23に記載のバーナーパイロット。
【請求項25】
前記第1ギャップ縁と前記第2ギャップ縁は、細長い閉曲線であり、前記側面の周囲の半分に限定される、請求項24に記載のバーナーパイロット。
【請求項26】
前記第1ギャップ縁と前記第2ギャップ縁は円形であり且つ同心であり、前記面に形成された複数の火花ギャップが存在する、請求項24に記載のバーナーパイロット。
【請求項27】
燃料ガスに点火する方法であって、
点火端を有する流路に燃料ガスを導入することと、
前記燃料ガスに点火し且つ前記点火端に火炎を生成するためにスパークを生成することと
を含み、
前記流路は前記点火端に開口部を画定し、前記流路は側面と端面とを有するスパークチップにある第1端部で終端する細長い点火器本体を有する火花点火器を含み、前記スパークチップは前記流路の点火端に隣接して配置され
前記火花点火器は、径方向に向けられたスパークを生成する火花ギャップを前記側面に形成するように構成され、
前記火花点火器は、前記端面が火炎によって生じた火炎放射からの前記火花ギャップの少なくとも部分的な保護を提供するように、前記端面の前記火花ギャップとは反対の側に位置する火炎を形成するように構成されている、方法。
【請求項28】
前記燃料ガスは前記細長い点火器本体に沿って流れる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記スパークは前記燃料ガスの流れと垂直に前記燃料ガス内へ径方向外側に発射される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火システムに関するものであり、より詳細にはバーナー及びバーナーパイロット用の火花点火器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスバーナーパイロットは、(メインバーナと比較して)低流量のガス状燃料空気混合物の燃焼によって安定したパイロット火炎を生成するために使用される装置である。パイロット火炎は、より大きなメインバーナ、又は点火しにくい燃料に点火するために使用される。ガスパイロットの設計は、通常、点火システムを含む。ガスバーナーパイロット、ならびにフレアシステムのような他のシステムに使用される点火システムの一般的なタイプの一つは、高エネルギー点火(HEI)である。
【0003】
HEIシステムは、通常、スパークロッドに大電流パルスを通すために、容量放電エキサイタを利用する。大電流パルスは、多くの場合1kAよりも大きい。HEIシステム用の火花点火器(スパークプラグ、スパークロッド又は点火器プローブとしても知られる)は、一般に、絶縁体に囲まれた中心電極と、絶縁体を覆う外側導電性シェルとを用いて、スパークロッドの軸方向を向いた点火端に、中心電極と外側伝導シェルとのエアギャップ、すなわち、中心電極と外側電極シェル又は導電性シェルとのギャップが形成されるように構成されている。火花ギャップとも呼ばれるこのエアギャップにおいて、高エネルギースパークが、中心電極と外側導電性シェルとの間を通過することができる。多くの場合、火花発生(スパーキング)を容易にするために、このギャップにある絶縁材料に半導体材料が貼り付けられる。HEIシステムは、低温、重質燃料(重質ガス又は重油)、コーキング又は他の残骸による点火プラグの汚染、蒸気パージ又は雨による水分の存在などの悪条件下で強力な高エネルギースパークを維持する能力を有する。
【0004】
過去のHEI火花点火器の設計は、軸方向を向く面でスパークを発生させた(以下、「軸方向指向火花点火器」と称する)。スパークエネルギーに影響を与える1つの変数は、点火器の軸方向を向く面にあるエアギャップの大きさである。エアギャップが増大するにつれて、スパーク事象の間に放出されるエネルギーの量も増加する。エアギャップのサイズは、一般に、1mmから2mmである。
【0005】
中心電極と電極シェルと半導体材料は、点火器の耐用期間にわたって火花発生が起こるときに腐食する。点火器は、一般に、半導体が磨耗した場合に又は電極腐食によってエアギャップが大きくなりすぎた場合に、その耐用期間の終わりに達する。従って、燃料点火によってより高いエネルギーが放出される可能性が高いために比較的大きなエアギャップを有する要求がある一方、エアギャップサイズの増大に伴って問題に直面する。エアギャップサイズの増大は、中心電極及び/又は電極シェルに使用される材料が少ないことにより点火器寿命が短くなること、又は、増大した外側シェル直径と結果として増加した材料とにより点火器がより大きく、高コストになることを意味する。使用される材料のサイズ又は量を著しく増大させることなく、且つ点火器寿命に悪影響を与えることなく、ギャップサイズの増大を可能にする点火器を有することが望ましいであろう。
【0006】
上記の考察に加えて、点火器の寿命は、半導体材料の火炎放射への曝露によって短縮される可能性がある。一部のバーナーパイロットの構成では、火炎は、点火器の半導体材料が火炎放射にさらされる位置に定着することがある。火炎放射は半導体材料に損傷を与え、それにより一般に点火器の寿命が短くなる。従って、バーナーパイロットの設計においてこの問題を回避することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、複数の電極と絶縁体とを含み、複数の電極と絶縁体が、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に延びる外面とを有する細長い本体を形成するように構成される火花点火器が提供される。火花点火器は、径方向に向けられたスパークを生成するように構成される。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、電気エネルギー源と、火花点火器と、ハウジングとを含むバーナーパイロットが提供される。火花点火器は、第1端部と、第2端部と、外面と、中心電極と、電極シェルと、絶縁体とを有する。外面は、第1端部にある端面と、第2端部から第1端部に向かって延びる側面とを有する。中心電極は、第2端部から第1端部に向かって延びる。電極シェルは、中心電極を取り囲み、且つ側面の少なくとも一部を形成する。絶縁体は、中心電極と外側電極シェルとの間にある。中心電極と電極シェルと絶縁体は、径方向に向けられたスパークを生成する火花ギャップを側面に形成するように構成され、中心電極と電極シェルは、第2端部で電気エネルギー源に接続される。ハウジングは、火花ギャップが燃料流路内にあるように、火花点火器の第1端部を含む燃料流路を有する。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態によれば、燃料ガスに点火する方法であって、点火端を有する流路に燃料ガスを導入することと、燃料に点火し且つ点火端に火炎を生成するために径方向に向けられたスパークを生成することとを含み、流路は点火端に開口部を画定し、流路は側面と端面とを有するスパークチップにある第1端部で終端する細長い点火器本体を有する火花点火器を含み、スパークチップが流路の点火端に隣接して配置される、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来技術の火花点火器の部分断面斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるバーナーパイロットの壁透視斜視図である。
図3】本発明の実施形態による火花点火器の部分断面斜視図である。
図4図3に示した実施形態による点火器チップの断面図である。
図5】本発明の他の実施形態による点火器チップの正面図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態による点火器チップの正面図である。
図7】本発明のさらに他の実施形態による点火器チップの正面図であり、火炎放射遮蔽を示している。
図8A】本発明のさらに別の実施形態による点火チップの異なる角度からの立面図である。
図8B】本発明のさらに別の実施形態による点火チップの異なる角度からの立面図である。
図8C】本発明のさらに別の実施形態による点火チップの異なる角度からの立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明及び図面は、燃料空気混合物を炉に供給するメインバーナと、メインバーナに隣接する燃料空気混合物に点火するためのバーナーパイロットとを有する炉で使用されるタイプの火花点火器及びバーナーパイロットを示す。本発明は、このような炉のためのバーナーパイロットとの関連で説明されているが、当然のことながら、本発明の火花点火器は、燃料用の点火システムとしてより広く適用可能であり、フレアシステムのような他のシステムに適用することができる。
【0012】
次に図1を参照すると、先行技術の軸方向に向けられた火花点火器100が示されている。火花点火器100は、絶縁体(図示せず)によって囲まれる中心電極102と、絶縁体を覆う外側導電性シェル又は電極シェル106とを、火花点火器の点火端108に中心電極102と外側電極シェル106とのエアギャップ110、すなわち中心電極と外側電極シェルとのギャップが形成されるように有している。多くの場合、火花発生(スパーキング)を容易にするために、このギャップにおいて絶縁材料に半導体材料が貼り付けられる。火花ギャップとも呼ばれるこのエアギャップ110において、高エネルギーのスパークが、中心電極102と外側導電性シェル106との間を通過することができる。
【0013】
ハウジング114は、火花点火器100を取り囲んでいる。ハウジング114は、火花点火器100を囲む燃料チャネル115を形成する。ハウジング114の端部116は開口部を形成する。燃料は、燃料チャネル115を通り且つ火花点火器100の長手方向軸と平行な概ね軸方向に開口部に向かって流れる。
【0014】
図1からわかるように、エアギャップ110は、点火端108の端面、すなわち軸方向を向く面112に位置する。従って、火花点火器100は、軸方向に向けられたスパークを、すなわち、端面112に及び端面112から離れるように火花点火器の長手方向軸に沿って方向付けられたスパークを生じる。燃料は、軸方向を向く面112の下流で火花によって点火され、軸方向を向く面112に隣接して火炎を生じる。火炎及び火花ギャップ110のこの位置は、火花ギャップ及び任意の半導体材料が火炎放射にさらされ、火炎放射により損傷を受けることを意味する。
【0015】
一方図2〜4を参照すると、本発明の一実施形態によるバーナーパイロット200が示されている。バーナーパイロット200は、ハウジング202を有する。ハウジング202は、主管又は管部分204と、電子機器筐体216と、燃料導入管218とから構成される。管部分204は、第1端部208及び第2端部210を有する壁206と、壁206によって画定される長手方向の燃料流路又は燃料チャネル212とを有する。第2端部210は電子機器筐体216に接続され、壁206は第1端部208の開口部214を画定する。第2端部210又はその近傍には、燃料チャネル212が電子機器筐体216と流体連通しないように、ひいては燃料が電子機器筐体216に入る可能性がないように、燃料チャネル212を封止する封止装置220がある。
【0016】
燃料導入管218は、燃料源(図示せず)及び管部分204の長手方向の燃料流路212と流体連通する。一般に、燃料空気混合物は、燃料空気混合物が概ね長手方向に第1端部208に向かって流れ、開口部214から流出するように、管218を通して流路212に導入される。
【0017】
長手方向流路212の内部で流路212に沿って長手方向に延びるのは、火花点火器300である。一般に、火花点火器300は、封止装置220と構造支持体222とによって適所に保持される。構造支持体222は、燃料空気混合物の流れの妨害を制限するために穴を開けられることができ、火花点火器300の第1端部302に到達する前に長手方向通路212内で燃料と空気の予混合を誘導するために旋回要素又は拡散要素に成形することができる。
【0018】
火花点火器300は、管部分204の内部であるが管部分204の第1端部208の近くに位置する第1端部又は点火器チップ302と、電子機器筐体216内に延びる第2端部304とを有する。図3及び図4から最もよくわかるように、火花点火器300は、中心電極306と、絶縁スリーブ又は絶縁管308と、外側電極シェル又は電極管310とから構成される。中心電極306と絶縁スリーブ308と電極シェル310は、一般に、中心電極306が電極シェル310の中心を通って延び、且つ絶縁スリーブ308が2つの電極間の電気伝導を防止するために中心電極306と電極シェル310との間に配置される状態で、火花点火器300の点火器チップ302から第2端部304に延びる。
【0019】
図示のように、火花点火器300は、高エネルギー点火器(HEI)プローブである。従って、火花点火器300は、エネルギー源から火花ギャップに大電流パルス(多くの場合1kAよりも大きい)を通過させ、それによって、火花ギャップにスパークを生じるのに適していなければならない。HEIプローブの目的は、高い点火力を提供することである。低温、重質燃料(重質ガス又は重油)、コーキング又は他の残骸による点火プラグの汚染、蒸気パージ又は雨による水分の存在を有する用途では、主燃料は点火しにくいが、HEIシステムはこれらの悪条件において強力な高エネルギースパークを維持する能力を有している。
【0020】
HEIシステムは、一般に、火花点火器と、火花点火器に高エネルギーパルスを供給するための容量放電システムとを有する。図2に示すように、電子機器筐体216は、その内部に位置するエキサイタ224を有する。エキサイタ224は、エキサイタ224に電力を供給する電源(図示しないが、一般に電子機器筐体216の外側に位置する)に接続されている。エキサイタ224は、当技術分野で知られ且つ、後述するように、火花点火器300に急速な電気パルスを供給し、従って、火花点火器の火花ギャップにスパークを起こすのに適している、任意の高エネルギーエキサイタであることができる。例えば、エキサイタ224は、容量放電装置とすることができる。
【0021】
火花点火器300は、その第2端部304において、中心電極306がエキサイタ224の第1端子(一般に高電圧端子)に接続され、且つ電極シェル310が電気的に接地することができるエキサイタ224の第2端子(一般に低電圧端子)に接続されるように、エキサイタ224に接続される。
【0022】
次に図3及び4を参照して、火花点火器300及び点火器チップ302をさらに説明する。上述のように、火花点火器300は、中心電極306と、絶縁システム(通常は絶縁スリーブ又は絶縁308を含む)と、電極シェル310とを用いて構成される。電極シェル310は、直径が約0.25から0.75インチ(6.35から19.05ミリメートル)であることができる。火花点火器300は、同心の絶縁スリーブと同心の電極管とによって覆われた中心電極を有するものとして示されているが、後述するように、スパークチップ302と調和する任意の他の好適な設計を有することができることを理解すべきである。一般に、火花点火器300は、互いに電気的に分離されている第1電極と第2電極とを有するが、電極の対向する端部に電荷を印加すると径方向に向けられたスパークを生じるように構成された端部を有する。従って、例えば、第1及び第2電極は、結果として(限定されないが)以下に説明する実施形態のような径方向に向けられたスパークを生成するのに適したスパークチップとなる限りは、それらの間に挟まれた絶縁体を有する円筒形火花点火器ロッドの2つの半部を形成することができる。
【0023】
点火器チップ302は、側面316と端面318とで構成される外面314を含む。側面316は、通常は、点火器チップ302の端面318と、火花点火器300の第2端部304との間に延びている。点火器チップ302は、図からわかるように、軸方向を向く面である端面318で終端する。一般に、本発明による点火器は、火花ギャップ312が火花点火器300の側面316のような径方向を向く面にあるように構成される。図3及び4には、電極シェル310が火花点火器300の第2端部304から延び且つ電極シェルの開放端322を画定する縁320で終端する側面の一部分を形成する実施形態が示されている。電極306は、第2端部304から、電極シェル310の内側を通って、電極シェルの開放端322から外へ延びている。電極306の開放端322から外へ延びる部分は、端面318と、端面318に隣接する側面316の一部分であるキャップ側面326とを形成する、キャップ324を形成する。火花ギャップ312は、キャップ324の側面326と電極シェル310の開放端322との間に、又は、より詳細には、キャップの縁328と電極シェル310の縁320との間に位置する。
【0024】
図示されるように、絶縁体308は、電極シェル310内で電極306の周りに、2つの電極が電気的に接触しないように同心状に延びる。さらに、火花ギャップ312は、電極306と電極シェル310との間にあり、電極306と電極シェル310が電気的に接触しないように、絶縁体308まで下方に延びている。また、火花ギャップ312の底部には、絶縁体上に置かれた半導体材料330が存在し得る。半導体材料330は、電極306と電極シェル310との間の導電経路を形成する。この半導体は絶縁体自体に貼り付けられたフィルムであることができる。この半導体は、エネルギー源が電極306に点火パルスを加えたときに低レベルの電流が半導体内を通過することを可能にすることによって、火花点火器300のスパーク開始を支援する。半導体を流れるこの低レベルの電流は、火花ギャップ312において電流の経路の上に小さなイオン化空気ゾーンを作り出す。この小さなイオン化空気通路は、電流フローのための低インピーダンス経路である。経路が確立されると、電気エネルギーは、回路インピーダンスを除いて抵抗されずに流れることができ、それによって火花ギャップ312に非常に高い電流及びエネルギーのスパークを生成する。
【0025】
図3及び4に示すように、電極306と絶縁体308と電極シェル310は円筒状であり、火花ギャップ312は円筒形側面316の周りに完全に周方向に延びている。当然のことながら、絶縁体を火花ギャップ内に延ばすか又は半導体材料を火花ギャップの一部分に制限することによって周囲に部分的にのみ延びる火花ギャップのように、他の形状も本発明の範囲内にある。例えば、側面316は正方形又は長方形の断面を有し、火花ギャップは正方形又は長方形の辺の1つ、2つ又は3つのみを横切って延びることができる。
【0026】
火花ギャップ312で発生した火花は、火花点火器300の長手方向軸に垂直に且つ管部分204を流れる燃料空気混合物内へと外側に発射され、従って、矢印313で示すように、燃料空気混合物の流れに垂直に発射される。図示の実施形態では、火花点火器は円筒状であり、従ってスパークは、径方向外側に発射される。しかしながら、長手方向軸に垂直な類似のスパーク発射は、正方形、長方形、三角形又は楕円形の断面を有する火花点火器のような他の構成に適用され、一般に、本明細書において「径方向に向けられたスパーク」と称される。スパークは、燃料空気混合物に点火して、端面318の下流に位置する火炎を形成する。すなわち、火炎は端面318の火花ギャップ312とは反対の側に位置する。従って、キャップ324は、火炎から発生する火炎放射から火花ギャップ312と半導体材料330を保護するように作用する。次に図7を参照すると、火炎332は端面318の下流に示されている。わかるように、矢印334によって示される火炎放射は、端面318によって遮断される。この実施形態では、端面318の外径336(本明細書では「端部径」とも呼ばれる)は、電極シェル310の外径338よりも大きい。従って、より大きな端部径336によって遮蔽効果が増大する。図示のように、端部キャップは、その直径が端部径336よりも小さいが電極シェル310の外径338に等しいか外径338よりも大きいことができる縁径340を有するキャップギャップ縁328に向かって減少するように、部分円錐側面326を有することができる。
【0027】
図5及び6を参照すると、本発明によるスパークチップ400の代替実施形態を見ることができる。図5及び6では、以下に説明する他の実施形態と同様に、類似の部品には類似の符号が付けられている。図5及び図6は、端面318と側面316の第1部分とを含む外面314の一部分を形成する電極シェル310を示す。電極シェル310は、側面316において開口部404を画定する第1ギャップ縁402を有する。一般に、電極シェル310は、開口部404内を除いて、外面314のすべてを形成することができる。電極306は電極シェル310と同心状に延び、2つの電極が電気的に接触しないように、絶縁スリーブ308が電極シェル310と電極306と同心で且つ電極シェル310と電極306との間にある。電極306は、開口部404内で絶縁スリーブ308を通って上に延びることにより、側面316の第2部分を形成する。このようにして、電極306は、第1ギャップ縁402と第2ギャップ縁406が火花ギャップ312を画定するように開口部404内に第2ギャップ縁406を形成する。一般に、第1ギャップ縁402と第2ギャップ縁406は、同じ形状を有することができ、同心であることができる。図5に示すように、第1ギャップ縁402と第2ギャップ縁406は、円形の火花ギャップ408を形成するように円形であり且つ同心である。図6に示すように、第1ギャップ縁402と第2ギャップ縁406は、楕円形の火花ギャップ410を形成するように楕円形である。図5及び6に示した実施形態において、側面には単一の火花ギャップ又は複数の火花ギャップが存在することができ、これらの火花ギャップは、側面の周囲に分布させることができ、又は側面の一部分に限定することができる。例えば、図5では、複数の円形の火花ギャップ408が、側面316の周囲に均等に分布している。図6では、単一の楕円形の火花ギャップ410が、側面316の周囲の半分以下に制限されている。
【0028】
次に図8A、8B及び8Cを参照すると、スパークチップ500のさらなる実施形態を見ることができる。図8A〜8Cの実施形態は、キャップ324がキャップ324から延びるタブ502を有することを除いて、電極306がキャップ324を形成する図3及び4の実施形態と同様である。従って、キャップ324は、第1側面部分504と、タブ502とを含む。第1側面部分504は、端面318に隣接する側面316の一部分であり、火花点火器300の第2端部303(図2参照)に向かって第1長さだけ長手方向に延びている。タブ502は、端面318に隣接する側面の第2部分であり、火花点火器300の第2端部303に向かって第2長さだけ長手方向に延びている。第1側面部分504の第1長さは、タブ502の第2長さよりも短い。図からわかるように、これは、タブ502が、2つの長手方向部分と周方向部分とを有する縁を有することを意味する。同様に、電極シェル310は、2つの長手方向部分と周方向部分とを有する縁を有するノッチ506を有している。従って、火花ギャップは、第1周方向部分508と、第1長手方向部分510と、第2周方向部分512と、第2長手方向部分514とを有する、長手方向及び周方向に延びるギャップである。
【0029】
上記の実施形態では、半導体は、効率的にスパーク方向を縮小するために、火花ギャップにおいて絶縁体の表面の一部分のみに置くことができる。例えば、図8A〜Cに示した実施形態では、火花ギャップの第1周方向部分508は、絶縁体表面上に半導体材料を有することができないが、第1長手方向部分510と第2周方向部分512と第2長手方向部分514は絶縁体表面上に半導体材料を有することができる。このようにして、タブの周りのギャップに限定されたスパークの生成をもたらす。
【0030】
さらに、本発明の火花点火器、その動作及び本発明の方法を説明するために、以下の実施例を示す。
(実施例)
3つの点火器チップを、各点火器チップがもはや点火されなくなるまで各点火器チップに繰り返し点火することによって寿命試験した。対照例1及び対照例2は、軸方向に向けられたスパークチップであり、実施例1は、図3及び4に示される本発明の実施形態による径方向に向けられたスパークチップである。各点火器チップ用の電極材料(中心及びシェル)は、スペシャルマテリアルズ社というグループ会社によりINCONEL600の商標で販売されているオーステナイト系ニッケルクロムベースの超合金から製造した。点火チップは、毎秒15スパークのスパークレートを生じ且つ30秒オン30秒オフのデューティサイクルを有する、4ジュール蓄エネルギーのエキサイタに接続した。点火器チップに関するさらなる情報及び寿命試験の結果を表Iに示す。
【0031】
【表I】
【0032】
表Iからわかるように、本発明の径方向に向けられたスパークチップ(実施例1)は、従来の軸方向に向けられたスパークチップ(対照例1及び対照例2)のどちらよりも著しく長いスパーク寿命を有していた。実施例1は、対照例1より218パーセント長いスパーク寿命を、対照例2よりも179パーセント長いスパーク寿命を有していた。
【0033】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察又は本明細書に開示された本発明の実施から、当業者には明らかであろう。従って、前述の明細書は本発明の単なる例示と見なされ、その真の範囲は以下の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C