(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モノマーBが1,4-ブタンジオールジアクリレート及び/又はペンタエリスリチルトリアクリレート及び/又はエチレングリコールジメタクリレート及び/又はペンタエリスリチルテトラアクリレートである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【背景技術】
【0002】
大抵の洗濯用及び洗浄用並びに化粧用製剤は、製剤自体又は製剤が適用される繊維製品(textile)、皮膚若しくは髪の表面に良い香りを与えるために芳香剤又は香料を含む。芳香剤又は香料は、大抵2以上の共役二重結合を有する化合物であり、種々の化学物質及び酸化に対して敏感である。したがって、製剤の他の成分(界面活性剤など)との望ましくない相互作用が、フレグランスノート(香調)の変更につながり得る。加えて、芳香剤又は香料は、大部分が高揮発性である。結果として、製剤に最初に添加された芳香剤の大部分が使用前に揮発し、処理表面上に実際に使用された芳香剤の残りもまた短期間内に揮発する。これらの問題を解決するために、芳香剤又は香料をマイクロカプセルに入れて製剤に配合することが既に提案されている。これらのマイクロカプセルによって、有用な芳香剤又は香料を製剤中に比較的均一に分布させ、貯蔵中に他の成分に曝露されることがないようにすることができる。カプセルのシェルを好適に選択することによって、遅延放出又はこすった際の必要に応じた放出などの効果を達成することが可能となる。
【0003】
例えばWO 01/49817には、疎水性材料のカプセル化のための、30〜100質量%の1又は複数のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC
1-C
24-アルキルエステル、0〜70質量%の二官能性又は多官能性モノマー及び0〜40質量%のその他のモノマーの重合により得ることができるシェルを有するマイクロカプセルが記載されている。これらのマイクロカプセルは1〜100μmの平均直径を有し、繊維製品用洗浄剤組成物中又は皮膚若しくは髪などの繊維製品ではない表面用の洗浄剤組成物中に使用される旨報告されている。
【0004】
WO 2010/119020には、疎水性材料のカプセル化のための、1又は複数のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC
1-C
24-アルキルエステル及びメタクリル酸の重合により得ることができるシェルを有するマイクロカプセルが記載されている。ここで、メタクリル酸は20〜60質量%の量で、及び/又は、1,4-ブタンジオールジアクリレートが10〜50質量%の量で、及び/又は、ペンタエリスリチルトリアクリレートが10〜50質量%の量で、及び/又は、エチレングリコールジメタクリレートが10〜50質量%の量でシェル中に存在する。
【0005】
EP 0457 154には、感圧記録材料に使用される発色剤のカプセル化のための、30〜100質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC
1-C
24-アルキルエステル、0〜80質量%の二官能性又は多官能性モノマー及び0〜40質量%のその他のモノマーからなるポリマーのシェルを有するマイクロカプセルが記載されている。
【0006】
WO 2008/071649には、繊維製品、建築材料及び伝熱流体に使用する、疎水性材料のカプセル化のための、30〜90質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC
1-C
24-アルキルエステル、10〜70質量%の二官能性又は多官能性モノマー及び0〜30質量%のその他のモノマーからなるポリマーのシェルを有するマイクロカプセルが記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、本発明は、少なくとも1の芳香剤又は香料から構成される疎水性材料のコア及び以下のモノマー:
(a)1又は複数の(メタ)アクリル酸のC
1-C
24-アルキルエステル(モノマーA)、
(b)1又は複数の二官能性又は多官能性モノマー(モノマーB)、及び
(c)任意に、1又は複数の他のエチレン性不飽和モノマー(モノマーC)
の懸濁重合により得ることができるマイクロカプセルシェルを含むマイクロカプセルであって、
エマルションの製造におけるせん断速度が150〜500rpmの範囲であり、エマルションの製造における撹拌時間が15分〜180分の範囲である、マイクロカプセルに関する。
【0011】
せん断速度に関して、エマルションの製造は、好適には130〜400rpm、より好適には150〜350rpmのせん断速度で達成される。
【0012】
撹拌時間に関して、懸濁重合のエマルションプレミックスは、好適には20分〜90分、より好適には20分〜40分の撹拌時間で達成される。
【0013】
好適な実施形態では、本発明によるマイクロカプセルは、10μm〜60μm、好適には25μm〜50μm、さらにより好適には30μm〜45μmの平均直径を有する。
【0014】
マイクロカプセルシェル中に存在するモノマーA、B及びCの量に関しては、好適な範囲が存在する。したがって、以下のモノマー:
(a)20〜60質量%のモノマーA、
(b)20〜60質量%のモノマーB及び
(c)0〜60質量%のモノマーC
の共重合した形態から本質的になる、本発明によるマイクロカプセルは、本発明の好適な実施形態を形成する。
【0015】
別の好適な実施形態は、以下のモノマー:
(a)25〜45質量%のモノマーA、
(b)25〜45質量%のモノマーB、
(c)30〜50質量%のモノマーC
の共重合した形態から本質的になる、本発明によるマイクロカプセルである。
【0016】
モノマーAは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の直鎖状又は分岐状C
1-C
24-アルキルエステル、好適には、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC
1〜C
4-アルキルエステルである。好適なモノマーAは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、オクタデシルアクリレート、イソデシルアクリレートを含む。アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC
1-C
24-アルキルエステルは通常、純粋なアルキルエステルだけでなく、アクリル酸のアルキルアミド又はビニルアルキルエーテルなどの修飾された化合物も意味するものと理解される。例としてはtert-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート及びアクリルアミドがあるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
モノマーAは、メチルメタクリレートが好ましい。
【0018】
モノマーBは、1,4-ブタンジオールジアクリレート(BDA2)及び/又はヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)及び/又はペンタエリスリチルトリアクリレート及び/又はペンタエリスリチルテトラアクリレート(PETIA-ペンタエリスリチルトリアクリレート及びペンタエリスリチルテトラアクリレートの混合物)及び/又はエチレングリコールジメタクリレート(EDGMA)及び/又はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)である。
【0019】
モノマーBは、ペンタエリスリチルトリアクリレート及びペンタエリスリチルテトラアクリレートの混合物(PETIA)又は1,4-ブタンジオールジアクリレート(BDA2)が好ましい。
【0020】
モノマーCは、エチレン性不飽和モノマーである。好適なモノマーCは、メタクリル酸、アクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N-メチレンビスアクリルアミド、エチルジグリコールアクリレート、メチルエチレングリコールメタクリレート、メチルジエチレングリコールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルイミダゾールメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ウレイドメタクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、アリルスルホン酸ナトリウムを含む。モノマーCは、メタクリル酸が好ましい。
【0021】
芳香剤は、所望の嗅覚特性を有する全ての有機物質を意味するものと理解され、香粧品で通常使用される全ての芳香剤を含み、天然、半合成又は合成起源の化合物であり得る。好適な芳香剤は、炭化水素、アルデヒド又はエステルの物質群に分類することができる。芳香剤はまた、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、麝香、パチョリ、バルサム・エッセンス、ビャクダン油、松根油及びシダー油などの構成成分の複雑な混合物を含み得る天然の抽出物及び/又はエッセンスも含む。
【0022】
芳香剤は、純粋な物質として、又は互いの混合物で使用可能である。芳香剤は、単一の疎水性材料としてマイクロカプセルのコアを形成することができる。あるいは、マイクロカプセルは、芳香剤に加えて、芳香剤が溶解又は分散するさらなる疎水性材料を含むことができる。例えば、室温で固体である芳香剤を用いる場合、室温で液体である疎水性材料を溶剤又は分散剤として使用することが有利である。
【0023】
芳香剤又は着臭剤にさらなる疎水性材料を加えることで、この芳香剤の疎水性を高めることも同様に可能である。
【0024】
好適には、芳香剤又は芳香剤の混合物は、疎水性コア材料の1〜100質量%、好適には20〜100質量%、さらにより好適には40〜99質量%を構成する。疎水性材料は100℃未満の温度、好適には60℃未満の温度、より好適には室温で液体である。
【0025】
本発明によるマイクロカプセルは、安定な水中油型エマルションの油相であって、疎水性材料及び少なくとも1の芳香剤又は香料からなる油相中の、シェルを形成するモノマー又はモノマー混合物をエマルション中で重合することにより得ることができる。したがって、このプロセスは懸濁重合と定義される。重合開始前に、モノマー又はモノマー混合物を水中油型エマルションの分散相を形成する油相中に溶解させることができる。しかしながら、溶媒を分散させ、分散液にモノマー及びフリーラジカル開始剤を添加することもまた可能である。他にも、溶媒及びモノマーを分散させ、その後、分散液にフリーラジカル開始剤だけを添加することも可能である。疎水性材料はエマルション中に極めて十分にマイクロカプセル化されるべきであるので、水への溶解度が制限される疎水性材料のみを使用することが可能で好ましい。溶解度は、好適には5質量%を超えてはならない。
【0026】
一般的な手順としては、水、保護コロイド及び/又はイオン性乳化剤並びに前記油相の混合物を、アンカー式撹拌翼又はMIG-撹拌機を使用して小さいせん断速度で分散させ、所望の油滴径を有する安定な水中油型エマルションを得る。せん断速度は、150rpm〜500rpm(回毎分)、好適には200rpm〜400rpm、より好適には、200rpm〜350rpmの範囲である。
【0027】
油相に使用することができる疎水性材料には、植物油、動物油、鉱油、パラフィン、クロロパラフィン、フルオロ炭化水素及び他の合成油などのあらゆる種類の油が含まれる。代表的な例には、ひまわり油、菜種油、オリーブ油、落花生油、大豆油、ケロセン、ベンゼン、トルエン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、塩素化ジフェニル及びシリコーン油があるが、これらに限定されるものではない。例えばフタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジオクチル、アルキルナフタレン、ドデシルベンゼン、ターフェニル、部分水素化ターフェニル、パルミチン酸エチルヘキシル、カプリン酸/カプリル酸-トリグリセリド、PPG-2ミリスチルエーテルプロピオネート;PPG-5セテス-20;安息香酸C
12-15アルキル、鉱油(CAS:8042-47-5);セテアリルエチルヘキサノエート;ジメチコン;ポリイソブチレンなどの高沸点を有する疎水性材料を用いることも可能である。
【0028】
芳香剤若しくは着臭剤を含むか、又はそれからなる任意の疎水性材料は、その融点と水の沸点との間の温度において、水中に乳化することができるように選択される。低粘度疎水性材料は、<5Pa・sのブルックフィールド粘度(DIN EBN ISO 3219に対して、23℃において、20回転/秒でスピンドル5を用いて測定)を有する。
【0029】
マイクロカプセルのコアは、水中に乳化される疎水性材料によって形成される。その疎水性材料は同時に、カプセルシェルの重合による調製において使用されるモノマー混合物に対する溶媒又は分散剤として働く。次に、調製について前記した安定な水中油型エマルジョンの油相中で重合が起こる。モノマーは本質的に油中に可溶であるが、それらは重合の過程で、個々の油滴において、水中油型エマルジョンの油相にも水相にも溶解せず、油滴と水相の間の界面に移動するオリゴマー及びポリマーを形成する。更に重合する過程で、それらは最終的に疎水性材料をマイクロカプセルのコアとして封入する壁材料を形成する。
【0030】
安定な水中油型エマルジョンを形成するには、一般に保護コロイド及び/又は乳化剤を用いる。好適な保護コロイドは、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン及びN-ビニルピロリドンのコポリマー、ポリビニルアルコール及び部分加水分解ポリビニルアセテートである。特に、ポリビニルアルコールが好ましい。更に、ゼラチン、アラビアガム、キサンタンガム、アルギネート、ペクチン、分解デンプン及びカゼインを用いることも可能である。イオン性保護コロイドも使用可能である。使用されるイオン性保護コロイドは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸及びメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸スルホエチル、メタクリル酸スルホエチル又はメタクリル酸スルホプロピルを含むスルホ含有水溶性ポリマー、及びN-(スルホエチル)マレイミド、2-アクリルアミド-2-アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びホルムアルデヒドのポリマー、さらに、フェノールスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合物であり得る。保護コロイドは通常、エマルジョンの水相に基づいて、0.1〜10質量%の量で加える。イオン性保護コロイドとして用いられるポリマーは好適には、500〜1000000g/mol、好適には1000〜500000g/molの平均モル質量M
wを有する。
【0031】
重合は通常、フリーラジカルを形成する重合開始剤の存在下で行われる。これに関して、通常使用される量、例えば、重合すべきモノマーの質量に基づいて0.1〜5質量%の量で、全ての一般的な過酸化化合物及びアゾ化合物を用いることが可能である。油相又はモノマーに可溶な重合開始剤が好ましい。その例としては、過酸化ネオデカン酸t-ブチル、過酸化ピバリン酸t-ブチル、過酸化ピバリン酸t-アミル、過酸化ジラウロイル、過酸化2-エチルヘキサン酸t-アミルなどがある。
【0032】
水中油型エマルジョンの重合は、典型的には20〜100℃、好適には40〜90℃で行う。典型的に、重合は、標準圧力で行うが、高圧又は減圧で、例えば0.5〜20 barの範囲で行うこともできる。重合速度は、温度及び重合開始剤の量の選択によって公知の方法で制御することができる。重合温度に達したら、重合を更なる期間にわたり、例えば2〜6時間にわたって適切に続けることで、モノマーの変換を完了させる。
【0033】
重合時に、重合反応混合物の温度を連続的又は定期的に変える、例えば、連続的又は定期的に上昇させる操作モードが特に好ましい。これは、例えば、昇温を行うプログラムを用いて行われる。
【0034】
これに関して、合計重合時間を2以上の期間に分けることができる。第1の重合期間は、重合開始剤の緩やかな分解を特徴とする。第2の重合期間及び更にそれ以上の重合期間では、反応混合物の温度を上昇させて、重合開始剤の分解を促進する。温度は、1段階若しくは2以上の段階で上昇させるか、又は、直線的若しくは非直線的に連続的に上昇させることができる。重合の開始と終了の間の温度差は、60℃以下であり得る。概して、この差は3〜40℃、好適には3〜30℃である。
【0035】
前記の手順のいずれかによって得られたマイクロカプセル分散液を次に、一般的な方法で噴霧乾燥させることができる。噴霧乾燥されたマイクロカプセルの再分散を促進するため、追加量の乳化剤及び/又は保護コロイドを分散液に加えてから噴霧乾燥を行っても良い。好適な乳化剤及び保護コロイドは、マイクロカプセル分散液の製造との関連で前記したものである。概して、水系マイクロカプセル分散液は、スプレーミストと並流又は向流、好適には並流で流す熱気流中に噴霧される。熱気流の入口温度は、典型的には、100〜200℃、好適には120〜160℃の範囲であり、気流の出口温度は通常、30〜90℃、好適には60〜80℃の範囲である。水系マイクロカプセル分散液は、例えば、1物質若しくは多物質ノズルによって、又は回転ディスクによって噴霧することができる。
【0036】
噴霧乾燥されたマイクロカプセルは通常、サイクロン又はフィルター分離装置を用いて堆積させる。
【0037】
このようにして得ることができるマイクロカプセルは、好適には25〜50μm、より好適には25〜45μm、最も好適には30〜45μmの範囲の平均直径を有する。
【0038】
本発明のマイクロカプセルは、揮発性物質を蒸発から効果的に保護するという利点を有する。
【0039】
布製品(fabric)用及びホームケア用製剤
本発明は、さらに、前記のようなマイクロカプセルを含む布製品用及びホームケア用組成物を提供する。1の実施形態では、本発明の布製品用及びホームケア用組成物は、液体又は固体の洗濯洗剤組成物である。別の実施形態では、本発明の布製品用及びホームケア用組成物は、液体の布製品用柔軟剤及びコンディショナーである。他の実施形態では、本発明の布製品用及びホームケア用組成物は、硬質表面洗浄組成物であり、好適には硬質表面洗浄組成物が不織布基材に含浸する。本明細書で使用する「含浸」は、不織布基材の少なくとも一部分に硬質表面洗浄組成物が染み込むように、好適には硬質表面洗浄組成物が不織布基材に十分に染み渡るように、硬質表面洗浄組成物が不織布基材と接触して置かれることを意味する。
【0040】
別の実施形態では、布製品用及びホームケア用組成物は、液体の食器手洗い用組成物、固体の自動食器洗浄用組成物、液体の自動食器洗浄用組成物、及び自動食器洗浄用組成物のタブ/ユニット剤形などの食器用洗浄組成物である。
【0041】
ごく典型的には、本明細書の布製品用及びホームケア用組成物、例えば、洗濯洗剤、洗濯洗剤添加剤、硬質表面洗浄剤、合成及び石鹸ベースの洗濯用棒状固形石ケン(laundry bar)、布製品用柔軟剤及び布製品用処理用液体、固体、並びに全ての種類の処理物品などは、幾つかの補助剤を必要とするが、漂白添加剤などの単純に配合された特定の製品は、例えば、酸素漂白剤及び本明細書に記載の界面活性剤しか必要としない場合がある。好適な洗濯又は洗浄補助材料の包括的なリストは、WO 99/05242に見出すことができる。
【0042】
一般的な洗浄補助剤としては、以上で既に定義した材料を除いて、ビルダー、酵素、前記した以外のポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、触媒物質などがある。本明細書の他の洗浄補助剤としては、起泡促進剤、抑泡剤(消泡剤)など、各種の活性成分若しくは特化材料、例えば、前記以外の分散性ポリマー(例えば、BASF社(BASF Corp.)若しくはローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から得られるもの)、カラースペックル(color speckles)、シルバーケア(silvercare)、曇り防止剤及び/又は耐食剤、染料、フィラー、殺菌剤、アルカリ源、ヒドロトロープ、酸化防止剤、酵素安定化剤、プロ香料、香料、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、並びに、液体製剤の場合、溶媒、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、増白剤、抑泡剤、染料、構造弾性化剤(structure elasticizing agents)、布製品柔軟剤、磨耗防止剤、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに他の布製品ケア剤、表面及び皮膚ケア剤を挙げることができる。このような他の洗浄補助剤の好適な例及び使用レベルは、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812 B1号及び同第6,326,348 B1号に見出される。
【0043】
組成物溶液のpHは、洗浄すべきターゲット表面に対して最も効果的になるように選択され、pH約5〜約11の広い範囲にわたる。組成物は、溶液中で約200ppm〜約10,000ppmの濃度で用いられることが好ましい。水温は、約5℃〜約100℃の範囲が好ましい。
【0044】
洗濯洗浄組成物での使用の場合、組成物は、溶液(又は洗浄液)中で約200ppm〜約10000ppmの濃度で用いられることが好ましい。水温は、約5℃〜約60℃の範囲が好ましい。水:布製品の比率は、約1:1〜約20:1が好ましい。
【0045】
化粧用製剤
本発明は、さらに、前記のようなマイクロカプセルを含む化粧用製剤を提供する。例えば、液体マイクロカプセル製剤又はマイクロカプセル粉末は特に皮膚用又はヘアケア用製剤に使用することができる。本発明によるマイクロカプセルは界面活性剤含有製剤に特に適している。
【0046】
化粧用製剤は、本発明によるマイクロカプセルを、組成物の総量に基づいて、好適には約0.01〜20質量%、特に好適には0.05〜10質量%、特には0.1〜5質量%の量で含む。
【0047】
好適な実施形態では、化粧用製剤は、ヘアケア用製剤、すなわち、シャンプー又はヘアコンディショナーである。
【0048】
別の好適な実施形態では、化粧用製剤は皮膚ケア用製剤である。
【0049】
一般に、本発明による化粧用製剤では、pHは、身体と接して使用するように適合させる。本発明による化粧用製剤のpHは、好適には少なくとも3、より好適には少なくとも4である。例えば、pHは少なくとも5、より好適には少なくとも5.5であり得る。pHは、好適には10以下、より好適には9以下、最も好適には8以下である。化粧用製剤のpHはまた、身体のpHに適合させて、7以下であり得る。
【0050】
本発明の化粧用製剤は、少なくとも1の界面活性剤を、好適には製剤の総量の1質量%〜40質量%含むことが好ましい。本発明の化粧用製剤は、少なくとも1の界面活性剤を、より好適には少なくとも5質量%含む。本発明の化粧用製剤は、少なくとも1の界面活性剤を、好適には20質量%以下、より好適には15質量%以下含む。
【0051】
1又は複数の界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、例えば、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルファ-オレフィンスルホネート、特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、並びに、アンモニウム及びトリエタノールアミン塩、の群から選択され得る。アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、分子中に、1〜10のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位、好適には1〜3のエチレンオキシド単位を有し得る。
【0052】
これらは、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンを含む。
【0053】
好適な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート又は-プロピオネート、アルキルアンホジアセテート又は-ジプロピオネートである。
【0054】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はコカンホプロピオネートナトリウムを使用することができる。
【0055】
好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、直鎖状又は分岐状であり得るアルキル鎖において6〜20の炭素原子を有する脂肪族アルコール又はアルキルフェノールとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モルあたり約6〜60モルである。加えて、アルキルアミンオキシド、モノ又はジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシド又はソルビタンエーテルエステルが好適である。
【0056】
さらに、ヘアケア用製剤は、陽イオン性界面活性剤、例えば、四級アンモニウム化合物、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘントリメチルアンモニウムメトスルフェートを含むことができる。
【0057】
加えて、本発明によるヘアケア用製剤は、1又は複数のレオロジー調節剤、例えば、塩化ナトリウム、PEG-55、プロピレングリコールオレエート、PEG-120メチルグルコースジオレエートなど、他にも、1又は複数の防腐剤、別の活性成分、及び補助添加剤並びに水を含むことができる。
【0058】
本発明によるヘアケア用製剤では、特定の効果を達成するために、任意に、1又は複数の別の成分、例えばコンディショニングポリマーを使用することができる。これらのコンディショニングポリマーは、例えば、INCI名がポリクオタニウム(Polyquaternium)である陽イオン性ポリマー、特に、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー、ジエチルスルフェートにより四級化された、N-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー;陽イオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4及び-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)を含む。また、タンパク質加水分解物、及びシリコーン化合物をベースとしたコンディショニング物質、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン又はシリコーン樹脂を使用することも可能である。別の好適なシリコーン化合物は、ジメチコンコポリオール(CTFA)及びアミノ官能化シリコーン化合物、例えば、アモジメチコン(CTFA)である。加えて、陽イオン性グアー(guar)誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド(INCI)を使用することができる。
【0059】
本発明によるヘアケア用製剤中に含まれる、別の好適な化粧品に許容される成分はまた、非イオン性ポリマー、シロキサン含有、水溶性又は水分散性ポリマー、例えばポリエーテルシロキサンであり得る。
【0060】
別の好適な成分は、例えば、直鎖状ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、環状シロキサン及びそれらの混合物である。ポリジメチルシロキサン及びポリ(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量は、約1000〜150000 g/molの範囲が好ましい。好適な環状シロキサンは、4〜8員環を有する。好適な環状シロキサンは、例えば、シクロメチコンの名前で市販されている。
【0061】
本発明によるコポリマーを使用する特定のヘアケア用組成物はヘアコンディショナーである。本発明のポリマーが有用である第2の特定の水性組成物は、シャンプー、特にコンディショニングシャンプーである。ヘアコンディショナー又はコンディショニングシャンプーの典型的な成分は、前記のコポリマー及び界面活性剤以外に、4〜6.75、好適には4.5〜6.75、より好適には5〜6.5のpHを得るために十分な塩基又は酸;及びシリコーン、真珠光沢剤(pearlizing agents)、ビタミン、オイル、芳香剤、染料、殺生物剤を含む任意の成分を含む。
【実施例】
【0062】
以下、実施例によって本発明を更に説明する。
【0063】
%での数字は、別段で明瞭に言及されていない限り、質量パーセントである。
【0064】
表1に示す全てのマイクロカプセルは以下の手順により調製した。
【0065】
I)
マイクロカプセル合成
マイクロカプセルを製造するために、以下の物質を使用した:
オイル1:40℃での粘度が約68mm
2/sであり、凝固点が-21℃である、高圧下で水素化された鉱油(ホワイトオイル)。
オイル2:カプリル/カプリン-トリグリセリド(JCIC:カプリル/カプリン酸トリグリセリド)
着臭剤A:ダイアル(Dial) M(C)
保護コロイド:
保護コロイド1:メチルヒドロキシプロピルセルロース(ブルックフィールド粘度(20℃、20rpm、2%で)90〜125mPasを有する)、5質量%水溶液
保護コロイド2:ポリビニルアルコール溶液:10質量%水溶液、加水分解度79%、平均重合度PW:1900
【0066】
モノマー略称:
MMA:メチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
BDA2:1,4-ブタンジオールジアクリレート
PETIA:ペンタエリスリチルトリ-/テトラアクリレート。
【0067】
実施例1
水相:
257.06 g:水
81.87 g:保護コロイド1
20.47 g:保護コロイド2
0.91 g:2.5質量%の亜硝酸ナトリウム水溶液
油相:
153.83 g:着臭剤A
35.91 g:オイル
14.28 g:MMA
19.04 g:PETIA
14.28 g:MAA
供給液1:
0.95 g:tert-ブチルペルオキシネオデカノエート
供給液2:
6.97 g:10質量%のtert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液
供給液3:
9.76 g:10%アスコルビン酸水溶液。
【0068】
最初に水相を室温で入れた。油相及び供給液1を予混合した。油相及び供給液1の混合物の添加後、アンカー式撹拌翼を使用して、250rpmで、40分間分散させた。形成したエマルションを60分以内で70℃に加熱し、さらに60分以内で85℃に加熱し、85℃で2時間維持した。形成したマイクロカプセル分散液に供給液1を添加した。混合物を冷却して室温とする途中で、供給液2を50分以内で計量投入した。形成したマイクロカプセル分散液は、固形分含有率40.4%及び粒径37.4μm(フラウンホーファー回折によって測定、体積平均により決定)を有していた。
【0069】
II)
洗濯用製剤における試験
芳香剤漏出試験:
0.5質量%のカプセル化芳香剤等価物を含む布製品用柔軟剤試料を、密封されたガラス瓶中に37℃の温度で2ヵ月の貯蔵に付した。1gのIsoluteバルク収着剤Type HM-N(Separtis GmbH製、スイス)を、10mlのn-ペンタン及び2gの布製品用柔軟剤基剤と混合した。混合物を、磁気撹拌機上で最大速度にて30分間撹拌した。相分離が完了した後に、有機相をエッペンドルフ管に移送し、フリーザー(-18℃)中で15分間貯蔵した。その後、低温のエッペンドルフ管を、最大速度にて15秒間エッペンドルフ遠心分離機中で遠心分離した。透明なペンタン相を、GCバイアルに移送し、さらに精製せずに、スプリット-スプリットレス(split-splitless)毛細管ガスクロマトグラフィーにより分析した。芳香剤の漏出結果を表1に示す。
【0070】
放出挙動の分析:
前記の布製品用柔軟剤の実施例を、乾燥布におけるその嗅覚性能についても試験した。
35gの各柔軟剤試料を、ミーレ(Miele)フロントローディング式自動洗濯機において、40℃のクイック洗浄設定、900rpmの回転速度で、標準量の洗濯物を洗濯するために使用した。標準量は、数枚のテリータオル地試験布(白いフェイスクロス、25×25cm)を含む、2.5kgの洗濯物から構成された。次に、試験フランネルを、制御された条件下で、回転式乾燥機(ミーレ回転式乾燥機を「カップボードドライ」に設定)と室内ライン乾燥の両方により乾燥した。
【0071】
洗濯24時間後に、試験布の性能を、このような評価について経験・訓練を積んだ、8人の専門の官能試験員のパネルにより評価した。各官能試験員は布を個別に採点し、その後、結果を統計学的に有意に、照合、平均化及び分析する。全ての場合において、布は、受け取ったまま(「手拭きなし」)及び制御した手拭きによりカプセルのいくつかを破壊した(「手拭き」)後に評価される。
【0072】
標準的な0〜10の採点システムを使用する。ここで:
0 - 臭気なし
2 - 臭気がほとんど知覚できない
4 - 弱い香りではあるが知覚できる
6 - 容易に知覚できる
8 - 強い
10 - 非常に強い
表1の結果は、「手拭き」評価について、貯蔵なしの布製品用柔軟剤試料(「フレッシュ」)及び37℃で4週間貯蔵のもの(「貯蔵」)の両方の乾燥布性能の結果を示し、フレッシュ試料については、ライン及び回転式乾燥機の別々の採点を示し、貯蔵試料については、2つの採点の平均を示す。
【0073】
したがって、特定の性能が前記のようなマイクロカプセルにおいて示され、前記マイクロカプセルは、芳香剤漏出試験により測定される芳香剤漏出パーセンテージが10質量%未満である。
【0074】
【表1】