【実施例】
【0034】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0035】
<実施例1>
(1)搬送物の搬送システムの構成
本実施例に係る搬送物の搬送システム1は、
図1〜
図4に示すように、トレーラ2のシャーシ2a上に搭載されたコンテナ3の開口端側3aより後方にシャーシ2aが張り出した状態でコンテナ3に対して搬送物Qを搬送するものである。この搬送物の搬送システム1は、シャーシ2aを下方から持ち上げるジャッキ装置5と、このジャッキ装置5の後方に配されるステージ装置6と、を備えている。
【0036】
なお、本実施例では、トレーラ2として、トラクタに連結されたセミトレーラを採用し、コンテナ3として、ドライコンテナを採用するものとする。上記セミトレーラでは、40フィートのドライコンテナを搭載可能なシャーシ上の長尺方向の中央側に20フィートのドライコンテナが搭載され、コンテナの開口端側より後方に所定量(例えば、3メートル等)でシャーシが張り出している。さらに、上記搬送物として、鋼板を巻き回してなるコイル状搬送物を採用するものとする。
【0037】
上記ジャッキ装置5は、トレーラ2が予め決められた所定位置Aに位置するときに、コンテナ3の開口端側3aより後方に張り出したシャーシ2aの直下に位置にするように配設されている(
図1参照)。このジャッキ装置5は、
図5及び
図6に示すように、支持台8と、この支持台8に昇降可能且つ傾動可能に設けられる昇降体9と、を備えている。この支持台8の下側には、床面上を走行可能な複数のキャスタ10が取り付けられている。また、支持台8には、水平軸回りに支軸11が軸支されており、この支軸11には、ベース12が取り付けられている。なお、上記トレーラ2は、バックにより後輪が輪止め(図示省略)に当接して所定位置A(
図1参照)に位置決めされる。
【0038】
上記昇降体9は、ベース12から立ち上げられた左右の支持柱14に沿って移動自在に支持される左右の支持部15と、これら各支持部15の上端側に連結される持上部16と、を備えている。また、ベース12上には、油圧で作動する昇降用シリンダ17が取り付けられている。この昇降用シリンダ17のピストンロッドの先端側には持上部16が連結されている。また、支持台8の後端側には左右の支持片18が立ち上げられ、これら各支持片18の上端側には空気圧で作動する左右の反転用シリンダ19が傾動可能に支持されている。これら各反転用シリンダ19のピストンロッドの先端側は支軸11に連結されている。そして、反転用シリンダ19のピストンロッドが伸縮することで、昇降体9は、起立状態B1と傾倒状態B2との間で反転可能とされている。さらに、昇降体9が起立状態B1であるときに、昇降用シリンダ17のピストンロッドが伸縮することで、昇降体9は、シャーシ2aを下方から持ち上げる持上状態C1とシャーシ2aから所定間隔をもって離れた離間状態C2との間で昇降可能とされている。
【0039】
上記ステージ装置6は、
図1〜
図4に示すように、搬送物Qを載せて搬送する搬送体21と、この搬送体21が走行するステージ22と、このステージ22を支持し且つシャーシ2aの前後方向Pに移動可能とされる移動体23と、この移動体23に設けられ且つステージ22を下方から持ち上げて昇降させるジャッキ機構24と、を備えている。
【0040】
上記搬送体21には、搬送体21をシャーシ2aの前後方向Pに沿って床面上を走行させるためのプッシュチェーン26の一端側が連結されている(
図1参照)。この搬送体21は、
図7及び
図8に示すように、床面を走行する多数の走行輪27を有する左右の本体28と、これら各本体28の一端側からシャーシ2aの前後方向Pに延びる支持体29と、を備えている。これら左右の本体28は、その長尺方向の両端側が連結部材31により互いに連結されている。そして、モータ駆動によりプッシュチェーン26の一端側がステージ22上方で前後方向Pに移動されることで、搬送体21が前方に送り出されたり、後方に引き戻されたりする。
【0041】
上記本体28は、
図9に示すように、走行輪27を回転自在に支持する縦断面略U字状のベース部材32と、このベース部材32の上方を覆うように配設され且つパレット81を支持する縦断面略U字状のパレット支持部材33と、これらベース部材32とパレット支持部材33との間に介装されて圧縮空気の給排により膨縮するチューブ状の膨縮部材34と、を備えている。そして、圧縮空気の供給により膨縮部材34が膨張することで、パレット支持部材33が上昇して床面上に載置されたパレット81を持ち上げる(
図9(a)参照)。一方、圧縮空気の排気により膨縮部材34が収縮することで、上昇状態のパレット支持部材33が下降してパレット81が床面上に載置される(
図9(b)参照)。
【0042】
上記支持体29は、
図7及び
図8に示すように、複数の長尺材を枠組みしてなされている。この支持体29の左右両側には、シャーシ2aの前後方向Pに沿って所定間隔で複数の回転ローラ(本発明に係る「被案内部」として例示する。)36が垂直軸回りに回転自在に支持されている。これら各回転ローラ36は、搬送体21がステージ22上を走行するときにステージ22に設けられたガイド部37に案内される。このガイド部37は、搬送体21の走行方向(すなわち、シャーシ2aの前後方向P)に沿って壁状に延びている。
【0043】
上記ステージ22は、移動体23が後述の待機状態D1であり且つトレーラ2が所定位置Aに位置しているときに、シャーシ2aの後端側を覆うような状態(すなわち、シャーシ2aの後端側に対して上下方向に間隔をもってラップする状態)とされる(
図1参照)。このステージ22の上面側には、
図7及び
図8に示すように、横断面略L字状の左右のガイド38が設けられている。これら各ガイド38の案内によって、クレーン等で吊り下げ移送されるパレット81は、予め決められたステージ22上の所定位置に位置決めされる。
【0044】
上記移動体23は、
図10及び
図11に示すように、シャーシ2aの前後方向Pに延びる左右の本体41を連結材42で連結してなされている。これら各本体41の上面側には、ステージ22の下面側に設けられたスライド部39を昇降自在に支持するガイド部43が設けられている。このガイド部43によりスライド部39が支持案内されることで、移動体23は、ステージ22を昇降可能に支持している。
【0045】
上記移動体23は、
図10及び
図11に示すように、移動体23を床面から浮上させるためのエアベアリング45を備えている。このエアベアリング45は、各本体41の長尺方向の両端側に配設されている。また、エアベアリング45は、多数のエア噴出孔46aが形成された環状のチューブ部46を備えている(
図13参照)。また、移動体23の一端側には、空気圧により作動する移動用シリンダ48のピストンロッドの先端側が連結されている。そして、チューブ部46に供給される圧縮空気がエア噴出孔46aから床面に向かって噴出することで、エアベアリング45と床面との間に微小な空気膜が形成されて移動体23が床面から浮上される。その浮上状態で移動用シリンダ48のピストンロッドが伸縮することで、移動体23は、待機状態D1(
図1参照)と待機状態D1から前方端に移動した前進状態D2(
図3参照)との間で移動可能とされている。
【0046】
上記移動体23は、
図11に示すように、移動体23の移動方向と交差する方向に出没可能な案内ローラ(本発明に係る「被案内部」として例示する。)50を備えている。この案内ローラ50は、各本体41の長尺方向の両端側に取り付けられた案内用シリンダ51のピストンロッドの先端側に垂直軸回りに回動自在に支持されている。また、案内ローラ50は、
図13(a)に示すように、案内用シリンダ51のピストンロッドが伸長することで、突出状態となって床面上に設けられた長尺状のガイド部52に案内される。一方、移動体23が前進してコンテナ3の開口端側3aとステージ22の先端側との間隔が所定量以下となったときに、案内ローラ50は、
図13(b)に示すように、案内用シリンダ51のピストンロッドが短縮することで、没入状態となってガイド部52から離間して案内を解除する。
【0047】
上記ジャッキ機構24は、
図10及び
図11に示すように、移動体23の本体41の長尺方向の両端側に設けられている。このジャッキ機構24は、モータ54の回転力がギヤボックス55を介して伝達されてネジ(図示省略)により昇降する昇降体56を備えている。この昇降体56は、
図12(a)に示すように、ステージ22に下方から当接してステージ22を昇降させる。一方、前側のジャッキ機構24の昇降体56は、
図12(b)に示すように、昇降体56とともにステージ22が下降されてシャーシ2a上に載せられるとステージ22から離間して当接を解除する。
【0048】
上記ステージ22は、その前端部の左右両側に係止機構61を備えている(
図2参照)。この係止機構61は、
図14に示すように、ステージ22に対してシャーシ2aの前後方向Pに移動自在に支持された支持部62を備えている。この支持部62には、略L字状の揺動レバー63が垂直軸回りに揺動自在に支持されている。この揺動レバー63には、その一端側に第1係止ピン65が設けられ、その他端側に空気圧で作動する揺動用シリンダ66のピストンロッドの先端側が連結されている。この揺動用シリンダ66は、支持部62に垂直軸回りに揺動自在に支持されている。また、ステージ22には、空気圧で作動する引込用シリンダ67が取り付けられている。この引込用シリンダ67のピストンロッドの先端側には支持部62が連結されている。そして、揺動用シリンダ66のピストンロッドが伸長することで、揺動レバー63が揺動されて、
図15(a)に示すように、第1係止ピン65がコンテナ3の隅金具70に形成された第1挿入孔71にシャーシ2aの幅方向から挿入する。その挿入状態で引込用シリンダ67のピストンロッドを短縮することで、
図15(b)に示すように、支持部62とともに第1係止ピン65が後方に引き込まれる。このとき、コンテナ3の開口端側3aとステージ22の前端側とが互いに当接して接続される。
【0049】
上記ステージ22の前端部の左右両側には、
図14に示すように、空気圧で作動するスライド用シリンダ69が取り付けられている。このスライド用シリンダ69のピストンロッドの先端側には第2係止ピン68が設けられている。そして、ステージ22が前進することで、第2係止ピン68がコンテナ3の隅金具70に形成された第2挿入孔72にシャーシ2aの前後方向Pから挿入する。なお、上記第2係止ピン68が第2挿入孔72に挿入した状態より、スライド用シリンダ69のピストンロッドが短縮することで第2挿入孔72から第2係止ピン68が迅速に抜け出される。
【0050】
上記ステージ22の前端部には、渡り板機構75が設けられている(
図1参照)。この渡り板機構75は、
図16に示すように、ステージ22の前端側に水平軸回りに揺動自在に支持された渡り板76を備えている。また、ステージ22には、空気圧で作動する揺動用シリンダ77が水平軸回りに揺動自在に支持されている。この揺動用シリンダ77のピストンロッドの先端側には渡り板76の軸支側が連結されている。そして、揺動用シリンダ77のピストンロッドが伸縮することで、渡り板76は、コンテナ3の開口端側3aの床面に受け渡される受渡状態E1とコンテナ3の床面から離間する離間状態E2との間で揺動可能とされている。
【0051】
(2)パレットの構成
本実施例1に係るパレット81は、
図17に示すように、パレット本体82と、このパレット本体82の上部に配される支持部83と、パレット本体82の下部に配されて床面に接地する脚部84と、を備えている。このパレット本体82は、金属製の長尺材を略矩形状に枠組みしてなされている。また、パレット本体82の横幅寸法は、コンテナ3の左右の側壁の間隔と略同じとされている(
図2参照)。また、パレット本体82の下部には、上記搬送体21が進入可能な空間S(
図9参照)が形成されている。
【0052】
上記支持部83は、コイル状搬送物Qの外周面を支持するように互いに向き合う一対の第1斜面87を有している。また、脚部84は、支持部83に支持されたコイル状搬送物Qの軸心と略直交する方向に延びている。また、脚部84の長尺方向の長さは、パレット81が収容されるコンテナ3の床面の長尺方向の長さの略1/4とされている(
図23(b)参照)。
【0053】
上記パレット本体82には、支持部83に支持されたコイル状搬送物Qの軸心方向に延びるレール88が設けられている。このレール88には、コイル状搬送物Qの軸端面を支持する一対の第1支持片89がスライド可能に取り付けられている。この第1支持片89は、コイル状搬送物Qの軸心方向の長さに応じてレール88上での取付位置を調整可能とされている。
【0054】
ここで、上記コイル状搬送物Qが所定値以上の大重量(例えば、12〜13.5ton等;「大単重」とも呼ばれる。)を有するコイル状搬送物Q2であるときには、パレット81に大重量用アタッチメント93が取り付けられる(
図19参照)。また、上記コイル状搬送物Qが所定値以上の大外径(例えば、φ1420〜1660mm等)を有するコイル状搬送物Q3であるときには、パレット81に大外径用アタッチメント94が取り付けられる(
図21参照)。さらに、上記コイル状搬送物Qが大重量で且つ大外径を有するコイル状搬送物Q4であるときには、パレット81に大重量用アタッチメント93及び大外径用アタッチメント94が取り付けられる(
図22参照)。
【0055】
なお、上記コイル状搬送物Qが通常の重量(例えば、12ton未満)で且つ通常の外径(例えば、φ1420mm未満)を有するコイル状搬送物Q1ときには、大重量用及び大外径用アタッチメント93、94を用いることなくパレット1をそのまま使用する(
図17参照)。
【0056】
上記大重量用アタッチメント93は、
図18及び
図19に示すように、脚部84に着脱可能に取り付けられて床面に接地し且つ脚部84より長く延びる長尺状の脚部材95を備えている。これら各脚部材95は、脚部84の長尺方向の長さのより長く延びている。具体的には、脚部材95の長尺方向の長さは、脚部84の長尺方向の長さの略2倍とされている。
【0057】
上記大外径用アタッチメント94は、
図20及び
図21に示すように、支持部83又はパレット本体82に着脱可能に取り付けられ且つその取り付け状態で第1斜面87より上方に位置する第2斜面96を有する支持部材97を備えている。具体的には、第2斜面96は、第1斜面87の上端側から斜め上方に延びるように第1斜面87の上方で且つ横方に位置している(
図23(a)参照)。また、第1斜面87及び第2斜面96の水平に対する傾斜角は略同じとされている。
【0058】
なお、上記大外径用アタッチメント94を使用する場合には、パレット本体82から第1支持片89を取り外して、第1支持片89より高さ寸法の大きな第2支持片98をパレット本体82に取り付ける。
【0059】
上述の各種のコイル状搬送物Q1〜Q4を積載したパレット81のコンテナ3への収容形態としては、例えば、
図23(a)に示すように、コンテナ3の長尺方向の中央に大外径用アタッチメント94付きで大外径のコイル状搬送物Q3を積載したパレット81を配置するとともに、コンテナ3の長尺方向の両側にスペーサ91を介してアタッチメント無しでコイル状搬送物Q1を積載したパレット81を配置する形態が挙げられる。また、例えば、
図23(b)に示すように、コンテナ3の長尺方向に沿ってアタッチメント無しでコイル状搬送物Q1を積載したパレット81を並べて配置することができる。さらに、例えば、
図23(c)に示すように、コンテナ3の長尺方向に沿ってスペーサ92を介してアタッチメント無しでコイル状搬送物Q1を積載したパレット81を並べて配置することができる。
【0060】
また、例えば、
図24(a)に示すように、コンテナ3の長尺方向の両端側にスペーサ90を介してアタッチメント無しでコイル状搬送物Q1を積載したパレット81を配置することができる。また、例えば、
図24(b)に示すように、コンテナ3の長尺方向の中央に大重量用アタッチメント93付きで大重量のコイル状搬送物Q2を積載したパレット81を配置するとともに、コンテナ3の長尺方向の両側にアタッチメント無しでコイル状搬送物Q1を積載したパレット81を配置することができる。さらに、例えば、
図24(c)に示すように、コンテナ3の長尺方向に沿って大重量用アタッチメント93付きで大重量のコイル状搬送物Q2を積載したパレット81を並べて配置することができる。
【0061】
(3)搬送物の搬送システムの作用
次に、上記構成の搬送物の搬送システム1の搬入(「バンニング」とも称される。)作用について説明する。なお、本実施例では、コンテナ3内に、大重量のコイル状搬送物Q2を積載した大重量用アタッチメント93付きパレット81(以下、「搬送物積載パレット81」とも称する。)を2つ並べて収容するものとする(
図24(c)参照)。
【0062】
先ず、
図25(a)に示すように、コンテナ3の開口端側3aの扉を開放させたトレーラ2をバックで所定位置Aに位置させる。次に、ジャッキ装置5において、反転用シリンダ19のピストンロッドの伸長により昇降体9を起立状態B1とし、その起立状態B1で昇降用シリンダ17のピストンロッドの伸長により昇降体9を上昇させて持上状態C1とする(
図5参照)。すると、
図25(b)に示すように、ジャッキ装置5によりコンテナ3の開口端側3aより後方に張り出したシャーシ2aが下方から持ち上げられる。次いで、
図25(c)に示すように、移動用シリンダ48のピストンロッドの伸長により、エアベアリング45で床面から浮上した待機状態D1の移動体23が前進される。
【0063】
上記移動体23の前進中には、ジャッキ機構24によりステージ22が下降されてステージ22の下面とシャーシ2aの上面とが近接する(具体的には、近接センサーによりステージ22は、シャーシ2aの上面から20mm上方の位置で自動停止する。)とともに、案内用シリンダ51のピストンロッドの伸長により案内ローラ50が突出状態とされてガイド部52に案内される(
図13(a)参照)。一方、移動体23の前進の終了間近(すなわち、移動体23が前進状態D2となる直前)には、案内用シリンダ51のピストンロッドの短縮により案内ローラ50が没入状態とされてガイド部52の案内が解除される(
図13(b)参照)。そして、移動体23が前進状態D2となると、第2係止ピン68がコンテナ3の隅金具70の第2挿入孔72に挿入されるとともに、係止機構61により第1係止ピン65がコンテナ3の隅金具70の第1挿入孔71に挿入されて後方へ引き込まれる(
図15(b)参照)。
【0064】
すると、コンテナ3の開口端側3aとステージ22の先端側とがシャーシ2aの前後方向Pに当接して接続され、シャーシ2aに対してステージ22が幅方向及び前後方向に正確に位置決めされる。次いで、揺動用シリンダ77のピストンロッドの伸長により渡り板76がコンテナ3の開口端側3aの床面に受け渡されて受渡状態E1となる(
図16参照)。その後、ジャッキ機構24によりステージ22が更に下降されてシャーシ2a上に載せられる。このとき、前側のジャッキ機構24の昇降体56は、ステージ22から離間して当接が解除されており(
図12(b)参照)、コンテナ3の床面とステージ22の床面とが略面一となっている。
【0065】
次に、
図26(a)に示すように、クレーン等で吊り下げ移送される搬送物積載パレット81をステージ22上の所定位置に積み降ろす。このとき、搬送物積載パレット81の下方には搬送体21が待機している。次いで、
図26(b)に示すように、搬送体21は、膨縮部材34に圧縮空気が供給されて搬送物積載パレット81を床面から持ち上げる(
図9(a)参照)とともに、プッシュチェーン26(
図1参照)によりステージ22上からコンテナ3内に向かって走行される。その後、搬送体21は、膨縮部材34から圧縮空気が排気されて搬送物積載パレット81をコンテナ3の床面に載置する(
図9(b)参照)。次に、コンテナ3内に収容する搬送物積載パレット81の個数に応じて上述の作用を繰り返すことで、コンテナ3内に所定数の搬送物積載パレット81が搬入される。
【0066】
上述のように一連の搬入作業が終了すると、
図26(c)に示すように、ステージ装置6がセット前の状態に戻される。具体的には、渡り板76がコンテナ3の開口端側3aの床面から離間され、ジャッキ機構24によりステージ22がシャーシ2a上から僅かに上昇される。この状態で、係止機構61により第1係止ピン65が第1挿入孔71から抜け出されるとともに、移動用シリンダ48の短縮により移動体23が後進して第2係止ピン68が第2挿入孔72から抜け出される。次いで、ジャッキ装置5によるシャーシ2aの持ち上げが解除される。
【0067】
次に、上記構成の搬送物の搬送システム1の搬出(「デバンニング」とも称される。)作用について説明する。なお、本実施例では、コンテナ3内には、大重量のコイル状搬送物Q2を積載した大重量用アタッチメント93付きパレット81(以下、「搬送物積載パレット81」とも称する。)が2つ並べて収容されているものとする(
図24(c)参照)。
【0068】
先ず、
図27(a)に示すように、コンテナ3の開口端側3aの扉を開放させたトレーラ2をバックで所定位置Aに位置させる。次に、ジャッキ装置5において、反転用シリンダ19のピストンロッドの伸長により昇降体9を起立状態B1とし、その起立状態B1で昇降用シリンダ17のピストンロッドの伸長により昇降体9を上昇させて持上状態C1とする(
図5参照)。すると、
図27(b)に示すように、ジャッキ装置5によりコンテナ3の開口端側3aより後方に張り出したシャーシ2aが下方から持ち上げられる。次いで、
図27(c)に示すように、移動用シリンダ48のピストンロッドの伸長により、エアベアリング45で床面から浮上した待機状態D1の移動体23が前進される。
【0069】
上記移動体23の前進中には、ジャッキ機構24によりステージ22が下降されてステージ22の下面とシャーシ2aの上面とが近接する(具体的には、近接センサーによりステージ22は、シャーシ2aの上面から20mm上方の位置で自動停止する。)とともに、案内用シリンダ51のピストンロッドの伸長により案内ローラ50が突出状態とされてガイド部52に案内される(
図13(a)参照)。一方、移動体23の前進の終了間近(すなわち、移動体23が前進状態となる直前)には、案内用シリンダ51のピストンロッドの短縮により案内ローラ50が没入状態とされてガイド部52の案内が解除される(
図13(b)参照)。そして、移動体23が前進状態D2となると、第2係止ピン68がコンテナ3の隅金具70の第2挿入孔72に挿入されるとともに、係止機構61により第1係止ピン65がコンテナ3の隅金具70の第1挿入孔71に挿入されて後方へ引き込まれる(
図15(b)参照)。
【0070】
すると、コンテナ3の開口端側3aとステージ22の先端側とがシャーシ2aの前後方向Pに当接して接続され、シャーシ2aに対してステージ22が幅方向及び前後方向に正確に位置決めされる。次いで、揺動用シリンダ77のピストンロッドの伸長により渡り板76がコンテナ3の開口端側3aの床面に受け渡されて受渡状態E1となる(
図16参照)。その後、ジャッキ機構24によりステージ22が下降されてシャーシ2a上に載せられる。このとき、前側のジャッキ機構24の昇降体56は、ステージ22から離間して当接が解除されており(
図12(b)参照)、コンテナ3の床面とステージ22の床面とが略面一となっている。
【0071】
次に、
図28(a)に示すように、プッシュチェーン26(
図1参照)によりステージ22上の搬送体21がコンテナ3内に向かって走行される。そして、搬送体21は、コンテナ3内に載置された搬送物積載パレット81の直下に位置した状態で、膨縮部材34に圧縮空気が供給されて搬送物積載パレット81を床面から持ち上げる(
図9(a)参照)とともに、プッシュチェーン26によりステージ22に向かって走行される。次いで、搬送体21は、
図28(b)に示すように、膨縮部材34から圧縮空気が排気されて搬送物積載パレット81をステージ22の床面に載置する(
図9(b)参照)。その後、クレーン等により搬送物積載パレット81をステージ22上から移送する。次に、コンテナ3内に収容された搬送物積載パレット81の個数に応じて上述の作用を繰り返すことで、コンテナ3内から所定数の搬送物積載パレット81が搬出される。
【0072】
上述のように一連の搬出作業が終了すると、
図28(c)に示すように、ステージ装置6がセット前の状態に戻される。具体的には、渡り板76がコンテナ3の開口端側3aの床面から離間され、ジャッキ機構24によりステージ22がシャーシ2a上から僅かに上昇される。この状態で、係止機構61により第1係止ピン65が第1挿入孔71から抜け出されるとともに、移動用シリンダ77の短縮により移動体23が後方に向かって移動されて第2係止ピン68が第2挿入孔72から抜け出される。次いで、ジャッキ装置5によるシャーシ2aの持ち上げが解除される。
【0073】
(4)実施例の効果
以上より、本実施例の搬送物の搬送システム1によると、シャーシ2aを下方から持ち上げるジャッキ装置5と、ジャッキ装置5の後方に配されるステージ装置6と、を備え、ステージ装置6は、搬送物Qを載せて搬送する搬送体21と、搬送体21が走行するステージ22と、ステージ22を支持し且つシャーシ2aの前後方向Pに移動可能とされる移動体23と、移動体23に設けられ且つステージ22を下方から持ち上げて昇降させるジャッキ機構24と、を備える。そして、ジャッキ装置5によりシャーシ2aを下方から持ち上げた状態で、移動体23が前方へ移動すること及びジャッキ機構24によりステージ22が下降することで、コンテナ3の開口端側3aとステージ22の先端側とが接続するようにシャーシ2a上にステージ22を載せて、その状態で、搬送物Qを載せた搬送体21がステージ22及びコンテナ3の床面上を走行することでコンテナ3に対して搬送物Qを搬送する。これにより、トレーラ2のシャーシ2a上に搭載されたコンテナ3に対して搬送物Qを容易且つ迅速に搬送することができる。また、コンテナ3の開口端側3aより後方にシャーシ2aが張り出した状態でのコンテナ輸送となるので、コンテナ3に対して搬送物Qを最大積載量まで積載することができる。その結果、コンテナ輸送の効率を高めることができる。
【0074】
特に、本実施例の搬送物の搬送システム1によると、コンテナ3に対して最大で30.48ton(コンテナ自重を含む。)の搬送物Qを積載できることにより、同じ出荷量でもコンテナ本数を少なくすることができる。その結果、作業時間の削減、収益の向上、及びコンテナドレー費の削減を図ることができる。また、シャーシ2aに対するステージ装置6のセット作業を半自動化させたことにより、作業時間の削減と、作業者の「勘、コツ、経験」等に頼る作業を無くし、誰でも作業することができる。さらに、搬送体21による搬送作業により、作業者への肉体的負担を大幅に軽減することができる。特に、本実施例では、エアで浮かせて人が押して走行する搬送車に比べて、一度の搬送での搬送量を大きくできる。さらに、従来のようにシャーシを改造して昇降可能なデッキ構造を備える必要がなく、トレーラ側が簡易な構造となる。
【0075】
また、本実施例では、搬送体21は、搬送体21がステージ22上を走行するときにステージ22に設けられたガイド部37に案内される回転ローラ36を備える。これにより、搬送体21の走行中に回転ローラ36がガイド部37に案内されることで、搬送体21の蛇行が抑制される。
【0076】
また、本実施例では、搬送体21は、床面を走行する走行輪27を有する本体28と、本体28の一端側からシャーシ2aの前後方向Pに延びる支持体29と、を備え、回転ローラ36は、支持体28の左右両側にシャーシ2aの前後方向Pに沿って所定間隔で複数配設されている。これにより、搬送体21の蛇行が更に確実に抑制される。
【0077】
また、本実施例では、ステージ22は、コンテナ3の隅金具70に形成された挿入孔71に係止ピン65をシャーシ2aの幅方向から挿入して後方へ引き込む係止機構61を備える。これにより、シャーシ2a上にステージ22を載せるときに、係止機構61により係止ピン65が挿入孔71に挿入されて後方へ引き込まれることで、コンテナ3の開口端側3aとステージ22の先端側とがシャーシ2aの前後方向Pに当接又は近接される。そして、ステージ22は、シャーシ2aに対して幅方向及び前後方向に正確に位置決め固定された状態で載せられる。
【0078】
また、本実施例では、移動体23は、移動体23がシャーシ2aの前後方向Pに移動するときに床面に設けられたガイド部52に案内される案内ローラ50を備える。これにより、移動体23の移動中に案内ローラ50がガイド部52に案内されることで、移動体23の蛇行が抑制される。その結果、挿入孔71への係止ピン65の挿入性が高められる。
【0079】
また、本実施例では、案内ローラ50は、移動体23の移動方向と交差する方向に出没可能であるので、シャーシ2a上にステージ22を載せるときに、移動体23の前方への移動の終了間近で案内ローラ50を没入状態とすることで、移動体23の位置をシャーシ2aの幅方向に微調整することができる。その結果、挿入孔71への係止ピン65の挿入性が高められる。
【0080】
また、本実施例では、移動体23は、床面に向かって空気を噴射して床面から移動体23を浮上させるエアベアリング45を備える。これにより、移動体23の位置をシャーシ2aの幅方向に微調整することができる。その結果、コンテナ3の隅金具70の挿入孔71に係止ピン65を容易に挿入させることができる。
【0081】
また、本実施例では、搬送物Qは、パレット81に積載されるコイル状搬送物であり、コイル状搬送物が所定値以上の重量を有するときには、パレット81に大重量用アタッチメント93が取り付けられ、コイル状搬送物が所定値以上の外径を有するときには、パレット81に大外径用アタッチメント94が取り付けられる。これにより、コイル状搬送物の幅広い仕様に対応することができる。
【0082】
さらに、本実施例では、パレット81は、パレット本体82と、パレット本体82の上部に配され且つコイル状搬送物の外周面を支持するように互いに向き合う一対の第1斜面87を有する支持部83と、パレット本体82の下部に配されて床面に接地し且つ支持部83に支持されたコイル状搬送物の軸心と交差する方向に延びる長尺状の脚部84と、を備える。そして、上記大重量用アタッチメント93は、脚部84に着脱可能に取り付けられて床面に接地し且つ脚部84より長く延びる長尺状の脚部材95を備え、上記大外径用アタッチメント94は、支持部83又はパレット本体82に着脱可能に取り付けられ且つその取り付け状態で第1斜面87より上方に位置する第2斜面96を有する支持部材97を備える。これにより、パレット81に対する大重量用アタッチメント93及び大外径用アタッチメント94の着脱性が高められる。
【0083】
<実施例2>
次に、本実施例2に係る搬送物の搬送システムについて説明する。なお、本実施例2に係る搬送物の搬送システムにおいて、上記実施例1に係る搬送物の搬送システム1と略同じ構成部位には同符号を付けて詳説を省略する。
【0084】
(1)搬送物の搬送システムの構成
本実施例に係る搬送物の搬送システム101は、
図29〜
図32に示すように、トレーラ2のシャーシ2a上に搭載されたコンテナ3の開口端側3aより後方にシャーシ2aが張り出した状態でコンテナ3に対して搬送物を搬送するものである。この搬送物の搬送システム101は、シャーシ2aを下方から持ち上げるジャッキ装置5と、このジャッキ装置5の後方に配されるステージ装置102と、を備えている。
【0085】
上記ステージ装置102は、搬送物Qを載せて搬送する搬送体104と、この搬送体104が走行するステージ105と、このステージ105を支持し且つシャーシ2aの前後方向Pに移動可能とされる移動体23と、この移動体23に設けられ且つステージ105を下方から持ち上げて昇降させるジャッキ機構24と、を備えている。
【0086】
上記搬送体104には、搬送体104をシャーシ2aの前後方向Pに沿って床面上を走行させるためのプッシュチェーン107の一端側が連結されている(
図29参照)。この搬送体104は、
図33及び
図34に示すように、床面を走行する多数の走行輪108を有する左右の本体109と、これら各本体109の一端側からシャーシ2aの前後方向Pに延びる支持体110と、を備えている。これら左右の本体109は、その長尺方向の両端側が連結部材111により互いに連結されている。そして、モータ駆動によりプッシュチェーン107の一端側がステージ105上方で前後方向Pに移動されることで、搬送体104が前方に送り出されたり、後方に引き戻されたりする。
【0087】
上記本体109は、
図35に示すように、走行輪108を回転自在に支持する縦断面略U字状のベース部材116と、このベース部材116の上方を覆うように配設され且つパレット81を支持する縦断面略U字状のパレット支持部材117と、これらベース部材116とパレット支持部材117との間に介装されて圧縮空気の給排により膨縮するチューブ状の膨縮部材118と、を備えている。そして、圧縮空気の供給により膨縮部材118が膨張することで、パレット支持部材117が上昇して床面上に載置されたパレット81を持ち上げる(
図35(a)参照)。一方、圧縮空気の排気により膨縮部材118が収縮することで、上昇状態のパレット支持部材117が下降してパレット81が床面上に載置される(
図35(b)参照)。
【0088】
上記支持体110は、
図33及び
図34に示すように、複数の長尺材を枠組みしてなされている。この支持体110の左右両側には、シャーシ2aの前後方向Pに沿って所定間隔で複数の回転ローラ(本発明に係る「被案内部」として例示する。)36が垂直軸回りに回転自在に支持されている。これら各回転ローラ36は、搬送体104がステージ105上を走行するときにステージ105に設けられたガイド部37に案内される。このガイド部37は、搬送体104の走行方向(すなわち、シャーシ2aの前後方向P)に沿って壁状に延びている。
【0089】
上記ステージ105は、
図33及び
図34に示すように、搬送体104が走行する移動側ステージ121と、この移動側ステージ121をシャーシ2aの前後方向Pに移動可能に支持し且つジャッキ機構24により昇降される固定側ステージ122と、を備えている。この移動側ステージ121の下面側には、固定側ステージ122の上面を走行する複数の走行輪123が設けられている。また、移動側ステージ121の上面側には、横断面略L字状の左右のガイド124が設けられている。これら各ガイド124の案内によって、クレーン等で吊り下げ移送されるパレット81は、予め決められた移動側ステージ121上の所定位置に位置決めされる。
【0090】
上記移動側ステージ121の後端側には、
図36に示すように、搬送体104に設けられた穴状の被係合部126に係脱可能な係合レバー127が揺動可能に設けられている。この係合レバー127の先端側が被係合部126に係合することで、プッシュチェーン107(
図29参照)の動力が搬送体104を介して移動側ステージ121に伝達されて、移動側ステージ121は、固定側ステージ122に対してシャーシ2aの前後方向Pに移動される。一方、係合レバー127の被係合部126への係合を解除することで、移動側ステージ121が停止したままでプッシュチェーン107により搬送体104のみが前後方向Pに移動される。さらに、移動側ステージ121は、その前端部の左右両側に着脱可能に係止機構61を備えている(
図30参照)。
【0091】
上記固定側ステージ122の下面側には、
図29に示すように、下方に延びるスライド部129が設けられている。このスライド部129は、移動体23に設けられたガイド部39に昇降可能に支持されている。これらガイド部39によりスライド部129が支持案内されることで、移動体23は、固定側ステージ122(すなわち、ステージ105)を昇降可能に支持している。さらに、ジャッキ機構24を構成する昇降体56は、固定側ステージ122に下方から当接して固定側ステージ122を昇降させる。
【0092】
ここで、所定位置Aに位置するトレーラ2のシャーシ2aの両側方には、
図29及び
図30に示すように、左右の補助ジャッキ装置131が備えられている。これら各補助ジャッキ装置131は、トレーラ2のシャーシ2a上に搭載されたコンテナ3の開口端側3aより後方にシャーシ2aが張り出さない状態でコンテナ3に対して搬送物Qを搬送するために使用される。
【0093】
上記補助ジャッキ装置131は、移動体23の前部の左右両側に設けられている(
図30参照)。この補助ジャッキ装置131は、
図37及び
図38に示すように、移動体23の先端側の左右両側に設けられている。ベース台132と、このベース台132から立ち上がる支持壁133と、この支持壁133に設けられたガイドレール134に沿って昇降可能に支持される昇降体135と、を備えている。この昇降体135には、そのピストンロッドの先端側に第3係止ピン137を設けてなる出没用シリンダ138が備えられている。また、昇降体135は、ベース台132上に設けられた昇降用モータ139により駆動されるスクリュウジャッキ141を介して昇降される。そして、トレーラ2が所定位置Aに位置するときに、出没用シリンダ138のピストンロッドが伸長することで、第3係止ピン137がトレーラ2のシャーシ2a上に搭載されたコンテナ3の隅金具70の第1挿入孔71にシャーシ2aの幅方向から挿入する。その挿入状態で、昇降用モータ139により昇降体135が上昇することで、昇降体135によりコンテナ3が持ち上げられる。
【0094】
(2)搬送物の搬送システムの作用
次に、上記構成の搬送物の搬送システム101の搬入(「バンニング」とも称される。)作用について説明する。なお、本実施例では、コンテナ3内に、大重量のコイル状搬送物Q2を積載した大重量用アタッチメント93付きパレット81(以下、「搬送物積載パレット81」とも称する。)を2つ並べて収容するものとする(
図24(c)参照)。
【0095】
先ず、
図39(a)に示すように、コンテナ3の開口端側3aの扉を開放させたトレーラ2をバックで所定位置Aに位置させる。次に、ジャッキ装置5において、反転用シリンダ19のピストンロッドの伸長により昇降体9を起立状態B1とし、その起立状態B1で昇降用シリンダ19のピストンロッドの伸長により昇降体9を上昇させて持上状態C1とする(
図5参照)。すると、
図39(b)に示すように、ジャッキ装置5によりコンテナ3の開口端側3aより後方に張り出したシャーシ2aが下方から持ち上げられる。次いで、移動側ステージ121の係合レバー127を搬送体104の被係合部126に係合させる(
図36参照)。その後、
図39(c)に示すように、プッシュチェーン107(
図29参照)により搬送体104とともに移動側ステージ121が固定側ステージ122上を前進される。
【0096】
次に、
図40(a)に示すように、移動用シリンダ48のピストンロッドの伸長により、エアベアリング45で床面から浮上した待機状態D1の移動体23が前進される。この移動体23の前進中には、ジャッキ機構24により固定側ステージ122が下降されて移動側ステージ121の下面とシャーシ2aの上面とが近接するとともに、案内用シリンダ51のピストンロッドの伸長により案内ローラ50が突出状態とされてガイド部52に案内される(
図13(a)参照)。一方、移動体23の前進の終了間近(すなわち、移動体23が前進状態D2となる直前)には、案内用シリンダ51のピストンロッドの短縮により案内ローラ50が没入状態とされてガイド部52の案内が解除される(
図13(b)参照)。そして、移動体23が前進状態D2となると、第2係止ピン68がコンテナ3の隅金具70の第2挿入孔72に挿入されるとともに、係止機構61により第1係止ピン65がコンテナ3の隅金具70の第1挿入孔71に挿入されて後方へ引き込まれる(
図15(b)参照)。
【0097】
すると、コンテナ3の開口端側3aと移動側ステージ121の先端側とがシャーシ2aの前後方向Pに当接して接続され、シャーシ2aに対して移動側ステージ121が幅方向及び前後方向に正確に位置決めされる。次いで、ジャッキ機構24により固定側ステージ122が更に下降されてシャーシ2a上に移動側ステージ121が載せられる。このとき、コンテナ3の床面と移動側ステージ121の床面とが略面一となっている。
【0098】
次に、
図40(b)に示すように、クレーン等で吊り下げ移送される搬送物積載パレット81を移動側ステージ121上の所定位置に積み降ろす。このとき、搬送物積載パレット81の下方には搬送体104が待機している。そして、移動側ステージ121の係合レバー127を搬送体104の被係合部126から外して係合を解除する(
図36参照)。次いで、
図40(c)に示すように、搬送体104は、膨縮部材118に圧縮空気が供給されて搬送物積載パレット81を床面から持ち上げる(
図35(a)参照)とともに、プッシュチェーン107(
図29参照)により移動側ステージ121上からコンテナ3内に向かって走行される。その後、搬送体104は、膨縮部材118から圧縮空気が排気されて搬送物積載パレット81をコンテナ3の床面に載置する(
図35(b)参照)。次に、コンテナ3内に収容する搬送物積載パレット81の個数に応じて上述の作用を繰り返すことで、コンテナ3内に所定数の搬送物積載パレット81が搬入される。
【0099】
上述のように一連の搬入作業が終了すると、
図41に示すように、ステージ装置102がセット前の状態に戻される。具体的には、移動側ステージ121の係合レバー127を搬送体104の被係合部126に係合させる(
図36参照)。そして、ジャッキ機構24により移動側ステージ121がシャーシ2a上から僅かに上昇される。この状態で、係止機構61により第1係止ピン65が第1挿入孔71から抜け出されるとともに、移動用シリンダ48の短縮により移動体23が後進して第2係止ピン68が第2挿入孔72から抜け出される。次いで、プッシュチェーン107(
図29参照)により搬送体104とともに移動側ステージ121が固定側ステージ122上を後進する。次いで、ジャッキ装置5によるシャーシ2aの持ち上げが解除される。
【0100】
次に、上記構成の搬送物の搬送システム101の搬出(「デバンニング」とも称される。)作用について説明する。なお、本実施例では、コンテナ3内には、大重量のコイル状搬送物Q2を積載した大重量用アタッチメント93付きパレット81(以下、「搬送物積載パレット81」とも称する。)が2つ並べて収容されているものとする(
図24(c)参照)。
【0101】
先ず、
図42(a)に示すように、コンテナ3の開口端側3aの扉を開放させたトレーラ2をバックで所定位置Aに位置させる。次に、ジャッキ装置5において、反転用シリンダ19のピストンロッドの伸長により昇降体9を起立状態B1とし、その起立状態B1で昇降用シリンダ17のピストンロッドの伸長により昇降体9を上昇させて持上状態C1とする(
図5参照)。すると、
図42(b)に示すように、ジャッキ装置5によりコンテナ3の開口端側3aより後方に張り出したシャーシ2aが下方から持ち上げられる。次いで、移動側ステージ121の係合レバー127を搬送体104の被係合部126に係合させる(
図36参照)。その後、
図42(c)に示すように、プッシュチェーン107(
図29参照)により搬送体104とともに移動側ステージ121が固定側ステージ122上を前進される。
【0102】
次に、
図43(a)に示すように、移動用シリンダ48のピストンロッドの伸長により、エアベアリング45で床面から浮上した待機状態D1の移動体23が前進される。この移動体23の前進中には、ジャッキ機構24により固定側ステージ122が下降されて移動側ステージ121の下面とシャーシ2aの上面とが近接するとともに、案内用シリンダ51のピストンロッドの伸長により案内ローラ50が突出状態とされてガイド部52に案内される(
図13(a)参照)。一方、移動体23の前進の終了間近(すなわち、移動体23が前進状態D2となる直前)には、案内用シリンダ51のピストンロッドの短縮により案内ローラ50が没入状態とされてガイド部52の案内が解除される(
図13(b)参照)。そして、移動体23が前進状態D2となると、第2係止ピン68がコンテナ3の隅金具70の第2挿入孔72に挿入されるとともに、係止機構61により第1係止ピン65がコンテナ3の隅金具70の第1挿入孔71に挿入されて後方へ引き込まれる(
図15(b)参照)。
【0103】
すると、コンテナ3の開口端側3aと移動側ステージ121の先端側とがシャーシ2aの前後方向Pに当接して接続され、シャーシ2aに対して移動側ステージ121が幅方向及び前後方向に正確に位置決めされる。次いで、ジャッキ機構24により固定側ステージ122が更に下降されてシャーシ2a上に移動側ステージ121が載せられる。このとき、コンテナ3の床面と移動側ステージ121の床面とが略面一となっている。
【0104】
次に、移動側ステージ121の係合レバー127を搬送体104の被係合部126から外して係合を解除する(
図36参照)。そして、
図43(b)に示すように、プッシュチェーン107(
図29参照)により移動側ステージ121上の搬送体104がコンテナ3内に向かって走行される。そして、搬送体104は、コンテナ3内に載置された搬送物積載パレット81の直下に位置した状態で、膨縮部材118に圧縮空気が供給されて搬送物積載パレット81を床面から持ち上げる(
図35(a)参照)とともに、プッシュチェーン107により移動側ステージ121に向かって走行される。次いで、搬送体104は、
図43(c)に示すように、膨縮部材118から圧縮空気が排気されて搬送物積載パレット81を移動側ステージ121の床面に載置する(
図35(b)参照)。その後、クレーン等により搬送物積載パレット81を移動側ステージ121上から移送する。次に、コンテナ3内に収容された搬送物積載パレット81の個数に応じて上述の作用を繰り返すことで、コンテナ3内から所定数の搬送物積載パレット81が搬出される。
【0105】
上述のように一連の搬出作業が終了すると、
図44に示すように、ステージ装置102がセット前の状態に戻される。具体的には、移動側ステージ121の係合レバー127を搬送体104の被係合部126に係合させる(
図36参照)。そして、ジャッキ機構24により移動側ステージ121がシャーシ2a上から僅かに上昇される。この状態で、係止機構61により第1係止ピン65が第1挿入孔71から抜け出されるとともに、移動用シリンダ48の短縮により移動体23が後進して第2係止ピン68が第2挿入孔72から抜け出される。次いで、プッシュチェーン107により搬送体104とともに移動側ステージ121が固定側ステージ122上を後進する。次いで、ジャッキ装置5によるシャーシ2aの持ち上げが解除される。
【0106】
次に、上記構成の補助ジャッキ装置131を用いた搬送物の搬送作用について説明する。なお、本実施例では、トレーラ2において、20フィートのドライコンテナを搭載可能なシャーシ2a上に20フィートのドライコンテナが搭載され、コンテナ3の開口端側3aより後方にシャーシ2aが張り出していないものとする。また、補助ジャッキ装置31を用いて搬送物を搬送する際には、移動側ステージ121から係止機構61を取り外しておく。
【0107】
先ず、
図45(a)に示すように、コンテナ3の開口端側3aの扉を開放させたトレーラ2をバックで所定位置Aに位置させる。次に、コンテナ3の開口端側3aの隅金具70をアンロックしてコンテナ3とシャーシ2aとの連結状態を解除する。次いで、
図45(b)に示すように、エアベアリング45にエアを供給して移動体23を床面から浮上させ、その状態より移動用シリンダ48のピストンロッドの伸長により移動体23を前進させる。すると、補助ジャッキ装置131に設けられたガイド142(
図37参照)がコンテナ3の隅金具70に当たって案内され、移動体23が前進状態D2となる。その後、出没用シリンダ138のピストンロッドの伸長により第3係止ピン137を第1挿入孔71内に挿入し(
図37参照)、エアベアリング45のエアを抜く。次に、ジャッキ141を伸ばしてコンテナ3を略水平まで持ち上げる。次に、固定側ステージ122を下降させ、コンテナ3の床面と移動側ステージ121の床面との高さレベルが合わされる。その後、コンテナ3と移動側ステージ121との間で搬送体104による搬送物Qの搬送が行われる。
【0108】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の搬送物の搬送システム101によると、上述の搬送物の搬送システム1と略同様の作用・効果を奏するとともに、ステージ105は、搬送体104が走行する移動側ステージ121と、移動側ステージ121をシャーシ2aの前後方向Pに移動可能に支持し且つジャッキ機構24により昇降される固定側ステージ122と、を備える。これにより、固定側ステージ122に対して移動側ステージ121をシャーシ2aの前後方向Pに移動させてスライド位置を変更することで、コンテナ3の開口端側3aより後方にシャーシ2aが張り出した状態でコンテナ3に搬送物Qを搬送できるとともに、コンテナ3の開口端側3aより後方にシャーシ2aが張り出さない状態でコンテナ3に搬送物Qを搬送することができる。
【0109】
さらに、本実施例では、搬送体104には、搬送体104を走行させるプッシュチェーン107が連結されており、移動側ステージ121には、搬送体104に設けられた被係合部126に係脱可能な係合レバー127が揺動可能に設けられている。これにより、係合レバー127を被係合部126に係合させることで、プッシュチェーン107により搬送体104とともに移動側ステージ121をシャーシ2aの前後方向Pに移動させることができる。
【0110】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、シャーシ2a上にステージ22又は移動側ステージ121を載せるときに、移動体23を前進させつつステージ22又は移動側ステージ121を下降させるようにしたが、これに限定されず、例えば、移動体23の前進とステージ22又は移動側ステージ121の下降とを所定の順序で別々に行うようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施例では、シャーシ2a上にステージ22又は移動側ステージ121を載せるときに、コンテナの開口端側とステージ22又は移動側ステージ121の先端側とを当接させて接続するようにしたが、これに限定されず、例えば、コンテナの開口端側とステージ22又は移動側ステージ121の先端側とを近接させて接続するようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施例では、シリンダ66、67により駆動される係止機構61を例示したが、これに限定されず、例えば、モータにより駆動される係止機構としてもよい。また、上記実施例では、係止ピン65の挿入用の駆動原(シリンダ66)と引き込み用の駆動原(シリンダ67)とを備える係止機構61を例示したが、これに限定されず、例えば、単一の駆動原(例えば、シリンダ、モータ等)により係止ピン65の挿入動作及び引込動作を実施する係止機構としてもよい。
【0113】
また、上記実施例では、係止機構61によりコンテナ3の隅金具70の挿入孔71に係止ピン65を挿入して後方へ引き込み、その後、ステージ22又は移動側ステージ121を下降させてシャーシ2a上に載せるようにしたが、これに限定されず、例えば、ステージ22又は移動側ステージ121を下降させてシャーシ2a上に載せて、その後、係止機構61によりコンテナ3の隅金具70の挿入孔71に係止ピン65を挿入して後方へ引き込むようにしてもよい。
【0114】
また、上記実施例では、昇降用シリンダ17で作動されるジャッキ装置5を例示したが、これに限定されず、例えば、昇降用モータで作動されるジャッキ装置としてもよい。
【0115】
また、上記実施例では、昇降用モータ54で作動されるジャッキ機構24を例示したが、これに限定されず、例えば、昇降用シリンダで作動されるジャッキ機構としてもよい。さらに、上記実施例では、ネジ式のジャッキ機構24を例示したが、これに限定されず、例えば、ラック式のジャッキ機構としてもよい。
【0116】
また、上記実施例では、プッシュチェーン26、107により走行される搬送体21、104を例示したが、これに限定されず、例えば、走行用モータ(例えば、回転軸を有するモータの他にリニアモータも含む。)により自走する搬送体としたり、エアで浮かせて人やシリンダが押すことで走行される搬送体としたりしてもよい。
【0117】
また、上記実施例では、エアで浮かせてシリンダ48が押すことで走行される移動体23を例示したが、これに限定されず、例えば、エアで浮かせて人が押すことで走行される移動体としたり、走行用モータ(例えば、回転軸を有するモータの他にリニアモータも含む。)により自走する移動体としたりしてもよい。
【0118】
また、上記実施例では、搬送体21の被案内部として、ガイド部37に案内されるローラ36を例示したが、これに限定されず、例えば、ガイド部37に案内されるボール、摺動部、無端状ベルト等を採用してもよい。
【0119】
また、上記実施例では、移動体23の被案内部として、ガイド部52に案内されるローラ50を例示したが、これに限定されず、例えば、ガイド部52に案内されるボール、摺動部、無端状ベルト等を採用してもよい。
【0120】
また、上記実施例では、ステージ22がシャーシ2a上に載せられるときに、前側のジャッキ機構24の昇降体56がステージ22から離間して当接を解除するようにしたが、これに限定されず、例えば、前側及び後側のジャッキ機構24の昇降体56がステージ22から離間して当接を解除するようにしてもよい。
【0121】
また、上記実施例では、係合レバー127が係脱する穴状の被係合部126を例示したが、これに限定されず、例えば、突起状や凹状の被係合部としてもよい。
【0122】
また、上記実施例では、トレーラ2としてセミトレーラを例示したが、これに限定されず、例えば、フルトレーラ等を採用してもよい。
【0123】
また、上記実施例では、コンテナ3としてドライコンテナを例示したが、これに限定されず、例えば、リーファコンテナ、オープントップコンテナ等を採用してもよい。
【0124】
さらに、上記実施例では、搬送物Qとしてコイル状搬送物を例示したが、これに限定されず、例えば、板状、長尺状、塊状搬送物等を採用してもよい。なお、上記搬送物の材質としては、例えば、例えば、鋼材、ステンレス鋼材、アルミニウム材、プラスチック材、ガラス材、石材(例えば、墓石等)、木材等を挙げることができる。
【0125】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0126】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。