特許第6105087号(P6105087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6105087MEMS部品を有するオーバーモールドされたデバイスおよび製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105087
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】MEMS部品を有するオーバーモールドされたデバイスおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   B81B 7/02 20060101AFI20170316BHJP
   B81C 3/00 20060101ALI20170316BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   B81B7/02
   B81C3/00
   H01L25/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-552000(P2015-552000)
(86)(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公表番号】特表2016-508075(P2016-508075A)
(43)【公表日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】EP2013072183
(87)【国際公開番号】WO2014111178
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】102013100388.5
(32)【優先日】2013年1月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】パール, ヴォルフガング
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02907632(FR,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101325823(CN,A)
【文献】 特開2009−226571(JP,A)
【文献】 特開2012−195417(JP,A)
【文献】 特表2009−514691(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/83957(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/229375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00−7/04
B81C 1/00−99/00
H01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な内側接続面(AFI)と電気的な外側接続面(AFA)とを有する1つの基板(T)上に、1つのチップ部品(CK)が配設されて電気的な前記内側接続面(AFI)と導電的に接続されており、1つのMEMS部品(MK)が、前記基板上に載置された、ハウジングキャップとして形成されている1つの半殻(HS)の下に配設されているデバイスであって、
前記ハウジングキャップのハウジング底部には、相互に電気的に接続された内側接続部(KI)および外側接続部(KA)が設けられており、
前記MEMS部品(MK)は前記ハウジングキャップ内に取り付けられ、かつ前記内側接続部(KI)と電気的に導通して接続されており、
前記ハウジングキャップの前記外側接続部(KA)はボンディングワイヤ(WB)によって前記基板(T)の前記内側接続面(AFI)と接続されており、
前記デバイス(1)全体が1つの成形材でカプセル封止されて、少なくとも前記基板の上面と前記チップ部品および前記半殻の側面が成形材で覆われ、前記外側接続面は露出されていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記基板(T)が、1つの電気的絶縁材料から多層に形成されており、上を向いた前記内側接続面(AFI)と、下を向いた前記外側接続面(AFA)と、少なくとも1つの配線面(VE)とを備え、
前記内側接続面は、前記配線面および/または前記外側接続面に、第1の貫通接続部(DK1)によって接続されている、
ことを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデバイスにおいて、
前記MEMS部品(MK)が、弾性の金属バネ部材(FE)により前記ハウジング底部と接続されている
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記デバイス(1)が、前記半殻(HS)の下の前記MEMS部品(MK)への媒質のアクセスを可能とする開口(OE)を備え、
当該開口は下から前記基板(T)を貫通して、または上から前記半殻(HS)を貫通して、または上から前記成形材(MM)と前記半殻(HS)を貫通して設けられている、
ことを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記成形材(MM)が、前記半殻の上を向いた主面が成形材で覆われないままとなるように取り付けられていることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記半殻(HS)が、セラミック、半導体材料、金属、ガラス、プラスチック、またはこれらの材料の1つから成る少なくとも1つの層を含む複合材料から成ることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記半殻(HS)がパターニングされた接着剤層を用いて前記基板上に接着されて、前記半殻と前記基板との間に、前記基板に対して閉じた空洞が形成されるようにされていることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項3乃至のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記基板(T)が、平坦に形成された1つの島を備えるリードフレーム(LF)として形成されており、
前記半殻(HS)が前記島上に接着されて、前記半殻と前記リードフレーム(LF)の前記島との間に前記リードフレームに対して閉じた空洞(CV)が形成されるようにされている、
ことを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記MEMS部品(MK)がセンサまたはマイクロフォンとして形成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記チップ部品(CK)が、1つのベアダイ、1つのハウジングされた能動デバイスまたは受動デバイス、または成形処理に耐える別の電気的デバイスであることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のデバイスの製造方法であって、
基板(T)に電気的な内側接続面(AFI)と電気的な外側接続面(AFA)とが設けられ、
1つのSMDハウジングのハウジングキャップとして形成された半殻(HS)を備え、当該半殻はその底部に内側接続部(KI)と外側接続部(KA)とを備え、
1つのMEMS部品(MK)が前記ハウジングキャップ内に取り付けられ、かつ前記内側接続部(KIK)と電気的に接続され、
前記MEMS部品が前記ハウジングキャップと前記基板との間の1つの空洞(CV)内に封止されるように、前記ハウジングキャップが前記基板上に接着され、
さらに1つのチップ部品(CK)が前記基板上に取り付けられ、
前記外側接続部(KA)と前記内側の接続面(AFI)とがボンディングワイヤ(WB)で接続され、
前記デバイス(1)が、1つの成形処理を用いた成形(Molden)により、1つの成形材(MM)でオーバーモールドされて、少なくとも前記基板の表面とチップ部品および前記半殻の側壁が前記成形材で覆われ、しかしながら前記外側接続面(AFA)は前記成形材で覆われないままとなる、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記MEMS部品(MK)が1つのセンサまたは1つのマイクロフォンであって、前記成形(Molden)の前または後に、前記基板(T)、または前記ハウジングキャップ、またはその上に塗布された成形材とともに前記ハウジングキャップを貫通し、前記ハウジングキャップの下の空洞(CV)内のMEMS部品への媒質のアクセスを可能とする開口(OE)が生成されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMEMS部品を有するオーバーモールドされたデバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的に壊れやすくない半導体デバイスは、通例型成形(Molden)によって効率よくハウジングされ、この際成形処理、例えばトランスファ成形処理では、適合したプラスチック材料がチップの周囲に押し付けられて硬化される。しかしながらこの場合、繊細な、または可動な構造を有する機械的に壊れやすいチップ、例えばMEMSデバイスは、その機能が阻害され、または全く不可逆的に損傷されかねない。
【0003】
このためたとえばMEMS部品のような機械的に壊れやすい部品を含むデバイスは、MEMS部品が機械的な損傷から保護される場合にのみ、成形によって通常高い圧力で押圧される前に、トランスファ成形を用いてカプセル封止されてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、外部環境の影響に対する保護を容易に行え、また容易かつ安価に製造される、MEMS部品を有するデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明によれば請求項1に記載のデバイスによって解決される。有利な実施形態およびこのデバイスの製造方法は、更なる請求項に示されている。
【0006】
1つのMEMS部品と1つの機械的にそれほど壊れやすくないチップ部品とを含むデバイスに対して、これら2つ以上の部品を1つの基板上に配設し、このデバイス全体を成形材でカプセル封止して、少なくともこの基板の上面とチップ部品およびMEMS部品の側面が成形材で覆われるようにすることを提案する。このチップ部品が基板上に直にかつ保護無しに取り付けられている一方で、MEMS部品は半殻(Halbschale)の下に配設される。この半殻は、基板と半殻との間に空洞が生成されるようにこの基板上に戴置されており、またこの空洞が基板に対して封止されかつこのMEMS部品を収容することができるようになっている。この基板は、内側および外側の電気的接続面(複数)を有し、MEMS部品およびチップ部品は、これら内側接続面と接続されている。外側接続面は成形材によって覆われておらず、すなわち露出されている。
【0007】
上記の1つのMEMS部品と上記の1つまたは複数のチップ部品とを有するデバイスは、1つの機能的ユニットを形成し、1つのモジュールとなっていてよい。
したがって協働して1つの機能を果たすように構成された部品(複数)を含んでいてよい。
【0008】
こうしてMEMS部品を半殻の下に配設することにより、基板を半殻用のハウジング蓋として利用することができ、MEMS全体をハウジングすることが不要となる。MEMS部品を十分に堅牢な半殻と基板とによって形成された空洞内に配設することにより、MEMS部品の損傷の虞れなしに、デバイスを安全にトランスファ成形によってカプセル封止することができる。
【0009】
1つの実施形態においては、上記の基板は、1つの電気的絶縁材料から多層に構築されており、上向きの内側接続面と下向きの外側接続面を備える。この多層基板の内部には、少なくとも1つの配線面が設けられており、この配線面は上記の内側接続面および外側接続面と第1の貫通接続部によって接続されている。
【0010】
1つの実施形態においては、上記のチップ部品および上記の半殻の下に配設された上記のMEMS部品は、上記の基板の表面(上面)上に配設されている。この実施形態においては、少なくともこの基板の上面とチップ部品およびMEMS部品の側面(複数)が成形材で覆われるように、この成形材は基板上に取り付けられている。
【0011】
基板に向いていない側のチップ部品の上面および上記のMEMS部品を覆う半殻も、成形材で覆われていてよい。しかしながらチップ部品または半殻の少なくとも1つの上面を、成形材と面一に仕上げることも可能である。これは特に、上面に機械的に壊れやすい構造や、例えば腐食作用のような外部環境の影響を受けやすい構造をもたない部品について可能である。
【0012】
1つの実施形態においては、上記半殻は、例えばSMDハウジングに使用されるようなハウジングキャップ(Gehaeusewanne)である。このハウジングキャップは、内側接続部と外側接続部を持つハウジング底部を有し、ここでこのハウジング底部はデバイスにおいては上を向いている。ここおよび以下では、「上」という相対的な配置は、「下に」配置された基板に関連付けられており、基板から部品への方向における配置を指すものである。
【0013】
この実施形態においては、上記のMEMS部品(複数)は直に基板上に取り付けられているのではなく、ハウジングキャップの内部に取り付けられ、ハウジングキャップ内部に設けられた内側接続部と電気的に導通して接続される。ハウジング底部を貫通する第2の貫通接続部を介してこれらの内側接続部と接続されているハウジングキャップの外側接続部は、ボンディングワイヤによって上記の基板の内側接続面と接続される。こうしてここではハウジングキャップのSMD接続部(=外側接続部)が、ワイヤボンディング用の接続部位として流用されている。この時ボンディングワイヤの保護のために、成形材が適合した厚さで取り付けられており、ハウジングキャップとボンディングワイヤ(複数)は成形材で完全に封止されて保護されている。通常はハウジングキャップよりも低い高さを有するチップ部品も、成形材で完全に覆われている。
【0014】
上記のハウジングキャップは基板の上面と堅く結合されているが、ここで様々な結合技術が適用できる。このハウジングキャップは、簡単に接着剤を用いて基板上に固定されていてよい。接着剤層がハウジングキャップの下側縁部全体に取り付けられていれば、接着によってハウジングキャップと基板との間の空洞を、その際同時に十分気密に封止することができる。こうして一方で成形処理中に成形材が空洞内に侵入することがなく、他方でハウジングキャップと基板との間に十分堅固な機械的結合が得られる。
【0015】
1つの実施形態においては、上記のMEMS部品は、ハウジングキャップ内で弾性の金属バネ部材を介してハウジング底部と接続される。これらの弾性バネ部材は、MEMS部品の低応力での固定を保証する。MEMS部品には、その後せいぜいなおバネ部材のバネ圧が作用し得る。これらのバネ部材は板バネとして形成されていてよく、板バネの一端はハウジング底部上に設置され、他端は例えば段状に折り曲げられてこのハウジング底部に対するクリアランス距離を持つようにされている。この他端はMEMS部品にも固着されている。これらの金属バネ部材は十分に堅固な機械的結合を保証し、同時にハウジングキャップの内側接続部との電気的接続を生成する。これらの金属バネ部材は更に、ハウジング底部に平行なレベル面内で曲げられていてよく、こうしてこれらの金属バネ部材は、ハウジング底部に垂直な方向に弾性的に変位可能であるのみならず、吊り下げレベル面においても弾性的に変位可能である。
【0016】
1つの実施形態においては、本発明によるデバイスは、上記の半殻の下のMEMS部品への媒質のアクセスを可能とする開口を有している。ここでこの開口は基板を貫通するものであってよく、従って下から上記の空洞へアクセスするものであってよい。この開口を上から上記の半殻を貫通して設けることも可能である。成形材がこの半殻を上から覆う場合、開口は成形材も貫通して設けられている。
【0017】
基板を貫通する開口は、部品の取り付け前に既に設けられていてよい。上記の半殻の開口も、カプセル封止および成形の前に生成されてもよいし、その後に生成されてもよい。この半殻の上面が成形材で覆われないままになる実施形態では、この開口は半殻の取り付け前に既に設けられていてよく、したがって他のいかなる処置なしに成形処理に対して保護されている。
【0018】
例えば1つのセンサについて必要とされるような、MEMS部品と外部環境パラメタとの相互作用が望ましい場合には、媒質のMEMS部品へのアクセスが必要である。マイクロフォンとして形成されたMEMS部品も、この開口を通じてアクセスされ、音の進入が可能となる。気圧センサとして形成されたMEMS部品についても同様である。。
【0019】
本発明によるデバイスの1つの実施形態においては、上記の半殻は、トランスファ成形処理に対し機械的耐久性のない材料から成るか、またはトランスファ成形処理に対し機械的耐久性のない構造を有する。それにもかかわらずこの場合、上を向いたこの半殻の主面が成形材で覆われないままとなるように成形材が投入されデバイスの周りにオーバーモールドされる場合、トランスファ成形処理をカプセル封止に用いることができる。この場合上を向いた半殻の主面は、好ましくは平坦とされ、成形材の表面と面一となっている。これには、トランスファ成形で使用される圧力が、最大の面である半殻の上面に作用せず、側壁にのみ作用し、この側壁は面が小さいために成形処理に対してより堅牢性を示すという利点がある。この場合この実施形態においては、上記の半殻の材料は、ポリマーから成るかポリマーを含有していてよい。
【0020】
別の実施形態においては、上記の半殻は、セラミック、半導体材料、金属、ガラス、プラスチック、およびこれらの材料のうち1つを含有する複合材料から選択された機械的に堅牢な材料から成る。この半殻は、個々の層の異なる特性を互いに組み合わせるため、多層であってよく、例えば電気的絶縁特性が機械的に堅牢な材料と組み合わされ、導電特性が電気的絶縁材料と組み合わされ、または電磁遮蔽特性が電気的絶縁特性と組み合わされる。
【0021】
半殻の固定は接着剤層を用いて行われ、この接着剤層は、半殻と基板の間に閉じた空洞が形成されるようにこの基板上に取り付けられる。
【0022】
もう1つの実施形態によれば、上記の基板は平坦に形成された島を有するリードフレームである。この島の面積は、少なくとも、その上に接着された半殻とともに閉じた空洞を形成する大きさとなっており、ここでこの空洞内には上記のMEMS部品が封止されている。成形材によるカプセル封止は、外側接続面を形成するリードフレームの接続ラグ(Anschlussfahnen;複数)だけが露出されたままであるように、リードフレーム全体を包囲する。ここで成形材は上からデバイスに押圧されるとともに、下からリードフレームにも押圧される。1つの実施形態においては、ここでリードフレームの接続導体部(複数)または接続レグ(Anschlussbeine;複数)だけが成形材から突出する。
【0023】
基板としてのリードフレームには、安価に製造可能で、導電路とはんだ面あるいはチップ部品とMEMS部品の接続のために、内側接続面および外側接続面をさらなる手段なしに直接使用できるという利点がある。デバイスの第一義的な最適化目標が最小必要面積でない場合にも、このようにリードフレームには利点がある。
【0024】
もう1つの実施形態においては、上記のMEMS部品は直に基板の内側接続面に取り付けられている。これはSMD実装方法において行われてよく、またはバンプ接続部(複数)により行われてよく、または導電性接着剤を用いた接着によって行われてよい。
【0025】
1つの実施形態においては、上記のMEMS部品はセンサとして、またはマイクロフォンとして形成されている。この実施形態においては、更に上述の開口が半殻または基板に形成されている。
【0026】
1つの実施形態によれば、上記のチップ部品は、ベアダイ(Bare Die)、ハウジングされた能動デバイスもしくは受動デバイス、またはトランスファ成形処理に耐えるその他の電子デバイスである。
【0027】
以下で実施例とこれに関連した図を用いて、本発明をより詳細に説明する。これに並行してこのデバイスの製造方法も説明する。これらの図は、概略的に作図されており縮尺は忠実でなく、従ってこれらの図から絶対的な寸法の指示も相対的な寸法の指示も用いられてはならない。これらの図の個々の部分は、より理解し易いように拡大または縮小して示されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】下に開口のあるカプセル封止された1つのデバイスを、概略断面図で示す。
図2】上に開口のある1つのデバイスを示す。
図3】MEMS部品(複数)が基板上に固定された1つのデバイスを示す。
図4】成形材が半殻の上面レベル(Oberkante)と面一である1つのデバイスを示す。
図5】第1の実施形態例による1つのデバイスの製造の種々の処理段階の1つを示す。
図6】第1の実施形態例による1つのデバイスの製造の種々の処理段階の1つを示す。
図7】第1の実施形態例による1つのデバイスの製造の種々の処理段階の1つを示す。
図8】第1の実施形態例による1つのデバイスの製造の種々の処理段階の1つを示す。
図9】第2の実施形態例による1つのデバイスの製造の種々の処理段階の1つを示す。
図10】第2の実施形態例による1つのデバイスの製造の種々の処理段階の1つを示す。
図11】第2の実施形態例による1つのデバイスの製造の種々の処理段階の1つを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は1つの第1の実施形態を示し、ここでMEMS部品MKは、SMDハウジングとして形成された半殻HSのハウジングキャップ内に固定されている。このハウジングキャップ内でのMEMS部品MKの電気的並びに機械的固定は、金属のバネ部材を介して行われる。これらのバネ部材は、例えば段状に曲げられ、好ましくはハウジング底部に平行に一方向に折り曲げられた金属ストリップとして形成されている。これらの金属バネ部材は、この段の第1のレベル面でハウジングキャップの内側接続部KIに接続し、ハウジングキャップの底部から離れた第2のレベル面でMEMS部品MKに接続している。MEMS部品MKはバンプを介してバネ部材と結合されていてよい。
【0030】
半殻HSつまりハウジングキャップは、逆さまに基板T上に接着されており、こうしてこのハウジングキャップは基板Tとともに空洞CVを封止している。弾性のバネ部材FEによってMEMS部品は空洞CV内に弾性的に吊り下げられ、機械的に壊れやすい部分が基板にもハウジングキャップにも直接接触しないようにされている。
【0031】
さらに基板の表面に少なくとも1つのチップ部品CK、たとえば半導体デバイスが取り付けられている。この半導体デバイスはMEMS部品の制御用のASICであってよい。図示されている実施形態では第1のチップ部品CK1の上面上に、断面がより小さい第2のチップ部品CK2が接着されている。
【0032】
図1においては、チップ部品およびMEMS部品のすべての電気的接続はボンディングワイヤWBによって行われている。ハウジングキャップの外側接続部KAは、たとえば基板の内側接続面AFIと第1のボンディングワイヤWBにより接続されている(図の左側に示されている)。第2のボンディングワイヤが、ハウジングキャップ殻HSのもう一つの外側接続部KAを第1のチップ部品CK1の接続部に接続している。さらにもう1つのボンディングワイヤWBが、第1のチップ部品CK1をこの第1のチップ部品上に固定された第2のチップ部品CK2に接続している。もう1つのボンディングワイヤが、第1のチップ部品を基板Tのもう1つの内側接続面AFIと接続している。こうしてデバイス1のすべての部品がボンディングワイヤによって相互に回路接続されている。従って、第1の貫通接続部(複数)DK1が内側接続面を反対側の面に配設された外側接続面AFAと接続している、単層の基板Tを備えれば十分である。
【0033】
代替として、上記の部品(複数)の回路接続を、基板T内の配線面によって設けることも可能であり、その場合基板Tは多層に形成されていてよい。
【0034】
図示されている実施形態においては、MEMS部品は、例えば気圧、大気中の湿度および大気組成用のセンサ、またはマイクロフォンであり、従って媒質進入用の開口OEを必要とし、この開口OEはここでは基板を貫通して空洞CVの内部に通じるように設けられている。
【0035】
MEMS部品は他のセンサ、例えば磁場用センサとして形成されていてもよく、その場合は開口を必要としない。
【0036】
デバイス1は、ここには図示されていないさらなるチップ(複数)部品CKまたはさらなるMEMS部品(複数)MKを含んでいてよい。デバイス全体が上面から成形材MMでカプセル封止されている。成形材はここでは基板の表面を覆っており、全表面およびボンディングワイヤがカプセル封止されるように、すべてのチップ部品およびMEMS部品覆って厚く取り付けられている。トランスファ成形処理によってこの成形材MMに、立方体または直方体状に形成された空間形状が与えられる。すべての外側接続面AFAはデバイス1の下面に配設されており、このデバイスを外部の周辺回路と電気的に接続するのに用いられる。
【0037】
成形材MMは好ましくは熱硬化性ポリマーであり、この熱硬化性ポリマーは機械的強度を高めかつ電気的絶縁を高めるために、好ましくは電気絶縁性充填剤で充填されている。
【0038】
図2はもう1つの実施形態を示し、ここでは図1と異なりMEMS部品MKは標準的なバンプ接続部EU1によって、ハウジングキャップとして形成された半殻HSの内側接続部KIと接続されている。更に媒質が空洞CV内にアクセスできるようにするために、開口OEが上から成形材およびハウジングキャップを貫通して設けられている。この開口OEは、第1の処理ステップにおいて成形材を貫通して形成されてよく、その際ハウジングキャップの表面のふさわしい部分が露出される。次いで第2の処理ステップで開口はハウジングキャップの底部を貫通して設けられる。これには、機械的除去処理またはドリル処理、並びに条件付きではあるが化学的および物理的エッチング処理が用いられる。
【0039】
いわゆる「テープアシスト成形(Tape-Assisted Mold)」処理では、オーバーモールドされるデバイスの1つの表面を露出したままにすることができる。
そこでデバイスあるいはMEMS部品の、開口のために予定された表面の領域を露出したままとするために、これを利用することができる。
【0040】
図3はもう1つの実施形態を示し、ここではMEMS部品MKは第2のバンプ接続部BU2によって基板T上に直に電気的および機械的に固着されている。MEMS部品は半殻HSの下に封止されており、半殻HSは基板の表面上に接着されている。この半殻は機械的に堅牢な均一な材料から成っていてよく、または多層の複合体として実施されていてよい。この実施形態では、上から成形材および半殻HSを貫通して設けられた開口OEが有利である。しかしながら下から基板Tを貫通して設けられた開口を排除するものでない。
【0041】
この実施形態においてはMEMS部品MKの電気的接続は、基板を貫通して下からのみ可能である。従って配線は好ましくは基板T内で配線面VEを用いて行われる。チップ部品CKは図示のようにボンディングワイヤWBと接続されていてよい。しかしながらチップ部品CKをSMD部品として基板上にはんだ付けすることも可能である。
【0042】
図4は機械的にさほど堅牢でない材料から成る半殻HSを使用できる実施形態を示す。チッブ部品とMEMS部品の配設は、図3による実施形態のように行われる。機械的にさほど堅牢でない半殻HSにトランスファ成形処理により負荷がかからないように、成形材MMは半殻の上面レベルまでしか射出されないため、半殻の上面は成形材MMの表面と面一である。この場合も開口OEは半殻を貫通して設けられている。代替として開口は基板を貫通して空洞内に通じるように設けられてもよい。
【0043】
図3および図4は、低いデバイス高さに合わせて最適化された実施形態を示している。この実施形態においては、図3および図4のように、チップ部品を低い部品高で実施するか、またはチップ部品の積み重ねを避けることが望ましいかもしれない。しかしながら、十分に薄いチップ部品は、積み重ねられて互いに電気的に接続することができる。
【0044】
図5図8は当該デバイスの製造における異なる処理段階を概略断面図で示す。
【0045】
図5はデバイスの部品、具体的には多層基板T,チップ部品CK,MEMS部品MK,およびハウジングキャップとして形成された半殻HSを互いに分離して示す。図6は、例えば導電性接着剤により、またははんだもしくはバンプ接続部により、MEMS部品が、ハウジングキャップHSの内側で底部に接着されている処理段階を示す。チップ部品も同様に接続または接着されていてよい。図示されているのはSMD実装方法によって固定されたチップ部品CKである。続いて半殻が基板Tの表面上に接着されて、基板と半殻との間に空洞が生じ、MEMS部品MKはこの空洞内に配置されて安全に封止されている。MEMS部品と基板Tとの電気的接続は、内側接続面AFIを半殻HSの上面上の外側接続部に接続するボンディングワイヤによって行われる。
【0046】
図8はトランスファ成形処理実施後の構造を示す。トランスファ成形処理ではボンディングワイヤを含む全部品が完全に成形材中に埋め込まれるように、成形材MMがデバイスの表面に押圧される。続いて開口OEが設けられてよく、開口は用途に応じて、上から成形材と半殻HSを貫通して、または下から基板を貫通して空洞CVに通じるように設けられてよい。代替として開口は半殻に予め用意されていてもよく、その後成形の際露出されたままにされる。
【0047】
図9〜11は第2の処理変形実施例による、デバイス1の製造における異なる処理段階を示す。ここでは基板Tとして、例えばパターニングあるいは打ち抜き加工された板金ストリップ(Blechstreifen)から成るリードフレームLHが使用される。基本的にこのリードフレームは内側接続部を有し、これらの内側接続部は外向きの接続ラグと接続されている。内側接続面はチップ部品CKおよびMEMS部品MKの接続に用いられる。代替としてリードフレームの下面が成形材と面一であってよい。こうしてSMD実装方法によって取扱い可能なデバイスを得ることができる。
【0048】
図9は部品を互いに分離して示す。MEMS部品MKはここでも、SMDハウジングのハウジングキャップHSとして形成された半殻HSの内にとりつけられ、そこで電気的および機械的にこの半殻の内側接続部と接続される。チップ部品CKは直に基板T上、つまりこの基板の対応する内側接続面上に、例えば接着またははんだ付けによって結合されてよい。半殻は内部に固定されたMEMS部品とともに、リードフレームの島状に形成された接続プレート上に接着されて、ハウジングキャップがリードフレームの島状の接続面によって封止されるようにされる。半殻HSの電気的接続、およびこれによるMEMS部品の電気的接続は、外側接続部KAをリードフレーム上の対応する接続面と接続するボンディングワイヤWBを介して行われる。図10はこの処理段階での構造を示す。
【0049】
次のステップで、デバイス全体、つまりリードフレーム、およびボンディングワイヤを含むリードフレーム上に固定された部品が、トランスファ成形処理において成形材でオーバーモールドされ、こうしてリードフレームの接続ラグ(複数)として形成されている基板の外側接続部だけが、成形材から突き出ている。続いてこれらのリードフレームの接続ラグは、ボードまたは他の外部周辺回路上へのデバイス1の取り付けを容易にするために、さらに下向きに曲げられてよい。
【0050】
開口を設けることは図示されていないが、開口はここでも上から成形材とハウジングキャップのハウジング底部を貫通して穿孔されてよい。しかしながら、下から成形材とリードフレームの島状部分を貫通して穿孔することにより、ハウジングキャップの下の空洞への媒質のアクセスを下側から行わせることも可能である。
【0051】
本発明は、上記実施形態例および図に示された実施形態に限定されない。むしろ各図に示された特徴は、他の図の他の特徴と組み合せることができる。したがって事実上どの実施例でも、開口が上から半殻を貫通して設けられても、または下から基板を貫通して設けられてもよい。大部分の実施例ではMEMS部品のハウジングキャップ内での固着は、その実施例とは関わりなく、種々の実施例で説明されたあらゆる様々なやり方で行われてよい。ハウジングキャップの詳細な実施形態も、第2の貫通接続部によって互いに接続された内側接続部と外側接続部とを有する限り、図示の実施形態に限定されない。ハウジングキャップに配線面を設けることも可能である。ハウジングキャップとして形成されていてよい半殻は、好ましくは基板上に接着されているが、このことは他の適合した気密な固定形態を排除するものでない。ハウジングキャップの基板との接続は、好ましくはボンディングワイヤにより行われる。チップ部品の固定と電気的接続も、本発明とは関わりなく、ボンディング、接着またはワイヤ接続によって行われてよい。成形材は、トランスファ成形処理または類似の処理に使用可能で、デバイス用の所望の堅さ、湿気および化学物質に対する透過性、電気的絶縁性、熱伝導性並びに耐経年変化性に関する特性を備える任意の材料であってよい。
【0052】
もう1つの最適化されるべき特性は、成形材の熱膨張係数であってよく、成形材の硬化の際の不要な応力を避けるために、成形材の熱膨張係数は好ましくは部品の熱膨張係数に合わせられている。本発明によるデバイスは任意の数のチップ部品を備えてよい。これらのチップ部品は相並んで基板上に配設されていてよく、または、適合した小さな部品高の場合は、これらは積み重ねられていてよい。
この際、上に向かって設置面が小さくなるのが有利であるが、これは積層体内で下に位置するチップ部品に接続することがより容易にできるからである。
【符号の説明】
【0053】
1 : デバイス
T : 基板
AFI,AFA : 内側電気接続面および外側電気接続面
CK : チップ部品
MK : MEMS部品
HS : 半殻
MM : 成形材
VE : 配線面
DK1 : (基板を貫通する)第1の貫通接続部
DK2 : (半殻を貫通する)第2の貫通接続部
KI,KA : 内側接続部および外側接続部
WB : ボンディングワイヤ
FE : 金属バネ部材
OE : 基板または半殻に設けられた開口
LF : リードフレーム
AL : 接着剤層
LFI : 島
CV : (半殻の下の)空洞
BU : バンプ接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11