(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
操作面に振動を付与する振動付与機構を備えた操作装置の一例としては、プッシュ操作可能なタッチパネル装置と、タッチパネル装置が操作入力を受け付けた際に、操作者の手指に対して振動刺激操作感を呈示する触覚呈示装置とを備えた操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1に記載された操作装置は、下方に向けて開口した樹脂製のボディにタッチパネル装置及び触覚呈示装置を組み込んでおり、ボディの下方開口に樹脂製のカバー体を締付固定することで、カバー体及びボディの間には、所要の空間が確保されている。
【0004】
カバー体の上面には、コネクタを搭載した制御基板が設置されており、カバー体及びボディの間の空間内には、フレキシブルなフラットケーブルがS字状に引き回し配線されており、フラットケーブルを介して制御基板とタッチパネル装置のタッチセンサ基板とが電気的に接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の操作装置は、フラットケーブルをタッチセンサ基板から制御基板にかけてボディの内部にS字状に引き回して配線しており、フラットケーブルの上下方向にテンションが掛けられている。
【0007】
その構造上、触覚呈示装置の作動によりタッチパネル装置を上下方向に振動フィードバックさせると、フラットケーブルのテンションの影響を受けながら、タッチパネル装置が上下方向に振動することになり、フラットケーブルのテンションによってタッチパネル装置の振動高さが不安定になる場合がある。そのため、タッチパネル装置の振動高さの制御が阻害されることを防止する対策が望まれる。
【0008】
従って、本発明の目的は、テンションの影響を受けることなく、安定して振動フィードバック制御を行うことができるフラットケーブルの配線構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、操操作面に対する物理的な操作を検出して検出信号を出力する操作機構と、前記操作機構と対向して配置され、前記検出信号に基づいて前記操作機構に振動を与える駆動信号を出力する制御基板と、前記操作機構と前記制御基板とを電気的に接続するフラットケーブルと、を備え、前記フラットケーブルは、前記操作機構から前記制御基板にかけて前記操作機構の移動方向へ延びる引き回し部を有し、前記引き回し部は、前記制御基板に沿って引き回すための曲げ角で屈曲した屈曲部を有し
、前記屈曲部は、前記操作機構に振動を与えたとき、前記制御基板に沿って延びる引き回し部の移動軌跡に沿って移動するように配置されてなることを特徴とするフラットケーブルの配線構造を構成している。
【0010】
本発明に係るフラットケーブルの配線構造としては、前記引き回し部は、前記操作機構の裏面から前記制御基板に向けて垂れ下がる第1の引き回し部と、前記制御基板の裏面に沿って延びる第2の引き回し部とからなり、前記屈曲部は、前記第1の引き回し部と前記第2の引き回し部とが交差する部位を折り曲げて形成されてなることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フラットケーブルのテンションの影響を受けずに、安定して振動フィードバック制御を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0015】
(操作装置の全体構成)
図1において、全体を示す符号1は、本実施の形態における代表的な操作装置の構成部品を模式的に例示している。
【0016】
図示例による操作装置1は、特に限定されるものではないが、例えば空調装置、オーディオ装置やナビゲーション装置等の車載機器の作動を制御するための操作信号を出力する車両用のタッチパネルに好適に用いられる。操作装置1は、例えば車室内の図示しないセンターコンソール等の運転席周辺部に配置されており、同じく図示を省略したディスプレイに配線を介して接続される。
【0017】
操作装置1は、プッシュ操作可能なタッチパネル機構20と、タッチパネル機構20が操作入力を受け付けた際に、操作者の手指に対して振動刺激操作感を呈示する触覚呈示機構40とを備えており、操作者の手指でタッチパネルをタッチ操作すると、例えばタッチパネルの表面上の位置がタッチセンサにより検出され、この位置に対応した位置検出信号がディスプレイ上の項目ボタンを選択決定する遠隔操作式の入力装置として構成される。
【0018】
下方に向けて開口したケース状に形成された樹脂製のボディ2には、タッチパネル機構20及び触覚呈示機構40のそれぞれの構成部品が組み込まれる。ボディ2の下方開口を覆う樹脂製のカバー体3を図示しないビスにより締付固定することで、タッチパネル機構20及び触覚呈示機構40を一体化した操作装置1が構成される。
【0019】
ボディ2の一側部には、第1〜第3の3個の操作ノブ4,4,4が一列に設けられる。ボディ2の他側部には、第4の操作ノブ5が設けられる。第1〜第4の操作ノブ4,5のそれぞれは、図示しないプッシャを介して制御基板6に搭載されたプッシュスイッチ4a,5aをオンオフ操作可能に配置される。
【0020】
(タッチパネル機構の構成)
タッチパネル機構20は、操作面に対する物理的な操作を検出して検出信号を出力する機能を有する操作機構として構成されており、タッチセンサ基板23とシート状のタッチパネル24とを導電性テープ25により接合した状態で、樹脂製の平面矩形状のベース21と樹脂製の矩形枠状のフレーム22との間に組み付けられる。なお、物理的な操作としては、例えば操作面に対するプッシュ操作が挙げられる。
【0021】
タッチセンサ基板23は、例えば静電容量を検出する静電容量方式のタッチセンサであり、タッチセンサ基板23に搭載されたコネクタ23aがフレキシブルなフラットケーブル7を介して制御基板6に搭載されたコネクタ6aと電気的に接続される。制御基板6は、タッチパネル機構20及び触覚呈示機構40を制御する制御回路等を構成しており、タッチセンサ基板23からの検出信号に基づいてタッチパネル24に振動を与えるための駆動信号を出力する駆動回路を有している。
【0022】
一方のタッチパネル24は、シール性を有する両面テープ26を介してフレーム22の枠部22aの裏面に接合され、その枠部22aの開口に操作面を露出させた状態でプッシュ操作可能に配置される。
【0023】
タッチパネル機構20の外周部分には、矩形枠状のシールド部材27が覆うように配置される。このシールド部材27は、制御基板6の接地回路に電気的に接続される。
【0024】
ベース21の上面には、クリック部材28を介してタッチセンサ基板23が弾性的に支持される。クリック部材28は、ベース21に貫通して形成された孔部を通してボディ2のベース対向面に突出して形成された柱状部2aに接触して支持される。クリック部材28の配置位置は、タッチパネル機構20の初期の停止位置を基準とした位置であり、タッチパネル24の基準位置Z
0として設定される。
【0025】
ベース21の下面には、ボディ2に形成された貫通孔に係合する複数の弾性係合片21aと、ボディ2に形成された案内孔に沿って案内移動する一対の案内片21b,21bと、操作者の手指に触覚刺激操作感を呈示する触覚呈示機構40に連動する連結片21cとが延在している。
【0026】
一対の案内片21bには、プッシュ操作時におけるタッチパネル機構20の傾き動作を抑制するスタビライザ29の両端が取り付けられる。連結片21cは、タッチパネル機構20の位置を検出する図示しない位置センサに対応して配置される。
【0027】
(触覚呈示機構の構成)
触覚呈示機構40は、スタビライザ29と交差してボディ2に回転可能に固定される支持軸41の一端に固定されるリンク部材42と、正逆回転可能なモータ43の出力軸に固定される回転カム部材44とを備えている。
【0028】
リンク部材42には、トーションバネ45が取り付けられる。トーションバネ45は、リンク部材42を一方向に向けて常に付勢するように構成される。リンク部材42と一体回転する支持軸41の他端には、リンク部材42の位置を検出するエンコーダ46と、タッチパネル24のプッシュ操作のオンオフを検出するエンタースイッチ47とが取り付けられる。
【0029】
エンコーダ46は、エンコーダスリット板46aとフォトインタラプタ46bとからなるロータリエンコーダである。エンコーダスリット板46aは、ベース21の上下移動に伴い回転するので、ベース21に固定されているタッチパネル24の動きを高分解能で検出する。
【0030】
一方のエンタースイッチ47は、エンタースイッチ板47aとフォトインタラプタ47bとからなる。エンタースイッチ板47aは、支持軸41に取り付けられているので、ベース21に固定されているタッチパネル24のエンター動作を検出する。
【0031】
正逆回転可能なモータ43は、ハウジング48に保持されており、ハウジング48が図示しないビスを介してボディ2に締付固定される。モータ43は、制御基板6に電気的に接続されるコードを有するターミナル49と、モータ43に帯電した静電気を制御基板6の接地回路に逃がすグランドクリップ50とを介して電気的に接続される。
【0032】
回転カム部材44は、モータ43の往復回転運動をタッチパネル機構20の往復直線運動に変換する運動変換部材であり、リンク部材42のカムフォロア面に当接しつつ所定の角度をもって回転するように構成されている。回転カム部材44のカム面がリンク部材42のカムフォロア面に当接した状態で、所定の移動量をもってタッチパネル24を押し上げる振動フィードバック力を付与する動作が行われる。
【0033】
(フラットケーブルの配線構造)
触覚呈示機構40の作動によってタッチパネル24に振動フィードバック力を付与するとき、フラットケーブル7のテンションに左右されることなく、タッチパネル24の振動高さを制御することが肝要である。
【0034】
そこで、本実施の形態に係る操作装置1において主要な基本の構成は、触覚呈示機構40の作動によってタッチパネル24に振動フィードバック力を付与するとき、タッチパネル24に作用するテンションの反力(抵抗力)を低減するためのフラットケーブル7の配線構造にある。従って、上記のように構成された操作装置1は、本実施の形態に係る一構成例を示しており、その構成部品の形状や構造などは、図示例に限定されるものではない。
【0035】
フラットケーブル7としては、例えば導体を平行に並べた配線材であるフレキシブルフラットケーブル(FFC)、あるいは銅箔からなる配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板(FPC)等が用いられる。フラットケーブル7の一端部には、タッチセンサ基板23のコネクタ23aに電気的に接続される固定接点部が形成されるとともに、フラットケーブル7の他端部には、制御基板6のコネクタ6aに電気的に接続される固定接点部が形成されている。
【0036】
フラットケーブル7は、
図2に示すように、第1の引き回し部7bと第2の引き回し部7cとを所要の曲げ角θに屈曲したL字状の屈曲部7aを有している。この屈曲部7aは、第1の引き回し部7bと第2の引き回し部7cとが交差する交差線上に配置されている。第1の引き回し部7bは、タッチセンサ基板23の裏面から制御基板6の裏面側に向けて互いに反対方向に僅かに湾曲して垂れ下がる構成とされている。一方の第2の引き回し部7cは、制御基板6の裏面に沿って僅かに湾曲して延びる構成とされており、屈曲部7aが制御基板6の裏面側に凸状に配置されている。
【0037】
図示例に限定されるものではないが、屈曲部7aは、約90°程度の曲げ角θに折り曲げて賦形されている。フラットケーブル7の制御基板6側の固定接点部から屈曲部7aまでの引き回し距離D1は、屈曲部7aからタッチセンサ基板23側の固定接点部までの引き回し距離D2よりも短く設定されている。タッチパネル24を基準位置Z
0に位置決めすることで、フラットケーブル7の曲げ角θ及び引き回し距離D1,D2が一義的に決定される。
【0038】
図2及び
図3に示すように、触覚呈示機構40の作動によってタッチパネル24を振動させたとき、フラットケーブル7の第1の引き回し部7bは、タッチパネル24の上下方向の振動に追従して移動する。
【0039】
第1の引き回し部7bの移動により、フラットケーブル7の屈曲部7aは、制御基板6側の固定接点部を支点とする移動方向に向かう応力を受けて、制御基板6の裏面に沿って延びる第2の引き回し部7cの移動軌跡に沿って移動することになり、第2の引き回し部7cを撓み変形させる。この撓み変形によりタッチパネル24に作用する反力が吸収される。
【0040】
このようなフラットケーブル7の配線構造は、第2の引き回し部7cと、第2の引き回し部7cの撓み変形の起点となる屈曲部7aとによって反力受部を構成している。この反力受部は、タッチパネル24の上下方向の振動によって制御基板6側の固定接点部を支点として動く。
【0041】
タッチパネル24から第1の引き回し部7bを経て第2の引き回し部7cへ伝達される応力に対する反力(抵抗力)が低減することで、フラットケーブル7の屈曲部7aの位置変位が安定化する。タッチパネル24に作用するフラットケーブル7のテンションの反力を緩和させることになり、振動するタッチパネル24がフラットケーブル7の反力に左右されない。
【0042】
なお、図示例では、第2の引き回し部7cを制御基板6の裏面に沿って引き回し配線することで、第1の引き回し部7bの垂れ下がりによる制御基板6との干渉やタッチパネル24の振動時における制御基板6との干渉が防止されているが、これに限定されるものではない。制御基板6と第2の引き回し部7cとが干渉しないならば、第2の引き回し部7cを制御基板6の表面に沿って引き回し配線しても構わない。
【0043】
また、フラットケーブル7については、余裕をもって僅かに湾曲して引き回された使用例を示したが、フラットケーブル7の引き回しに余裕がある場合に限られるものではない。
【0044】
フラットケーブル7の引き回しに余裕がなく、フラットケーブル7が制御基板6側の固定接点部から屈曲部7aにかけて直線状に引き回されるとともに、屈曲部7aからタッチセンサ基板23側の固定接点部にかけて直線状に引き回される場合であっても、タッチパネル24の振動時において、フラットケーブル7による反力の影響を抑えることができる。
【0045】
(実施の形態の効果)
以上のように構成されたフラットケーブル7の配線構造によれば、上記効果に加えて、次の効果が得られる。
【0046】
フラットケーブル7の屈曲部7aだけに反力を受けるだけでなく、第2の引き回し部7cによって反力を受けることが可能になる。その結果、タッチパネル機構20の振動時において、タッチパネル24がフラットケーブル7から受ける反力(抵抗力)を低減させるとともに、フラットケーブル7の反力(抵抗力)に左右されることなく、タッチパネル24を安定した振動高さに維持することが可能になる。
【0047】
タッチパネル24に作用するフラットケーブル7の反力(抵抗力)の経時変化が起こり難くなり、フラットケーブル7の形状を長期間にわたり安定化させることができる。
【0048】
タッチパネル24を基準位置Z
0に位置決めすることで、フラットケーブル7の曲げ角θ及び引き回し距離D1,D2を一義的に決定することができるため、タッチパネル24に作用するフラットケーブル7の反力(抵抗力)が安定する。従って、タッチパネル24の振動高さを安定させることができる。
【0049】
[適用例]
本発明における操作装置1の代表的な構成例を実施の形態及び図示例を挙げて説明したが、次に示すような適用例も可能である。
【0050】
上記実施の形態及び図示例では、自動車に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば建設機械や農業機械などの各種の車両に効果的に適用できることは勿論である。
【0051】
車載機器に限らず、例えばゲーム機、パーソナルコンピュータや携帯電話機などの各種の端末装置に適用することができることは勿論である。
【0052】
タッチパネル機構20以外の操作機構を備えた各種の操作入力装置であっても、上記触覚呈示機構40によって操作感触を与えることは可能であり、例えばマウス、キーボードや押釦スイッチなどにも適用することができる。
【0053】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係る代表的な実施の形態及び図示例を例示したが、上記実施の形態及び図示例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。従って、上記実施の形態及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【解決手段】フラットケーブルの配線構造は、操作面に対する物理的な操作を検出して検出信号を出力するタッチパネル機構20と、タッチパネル機構20と対向して配置され、検出信号に基づいてタッチパネル機構20に振動を与えるための駆動信号を出力する制御基板6と、タッチパネル機構20と制御基板6とを電気的に接続するフラットケーブル7とを備えている。フラットケーブル7は、タッチパネル機構20から制御基板6にかけてタッチパネル機構20の移動方向へ延びる引き回し部を有し、引き回し部は、制御基板6に沿って引き回すための曲げ角で屈曲した屈曲部7aを有している。