特許第6105110号(P6105110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6105110
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】二輪車用のカバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 19/00 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   B62J19/00
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-31944(P2016-31944)
(22)【出願日】2016年2月23日
【審査請求日】2016年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】506061705
【氏名又は名称】平山産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 林八
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭28−008223(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3189859(JP,U)
【文献】 実開昭53−106956(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3136242(JP,U)
【文献】 実公昭05−002194(JP,Y1)
【文献】 特開平10−152084(JP,A)
【文献】 実開昭61−191983(JP,U)
【文献】 実開平02−060693(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3112350(JP,U)
【文献】 特許第4864601(JP,B2)
【文献】 登録実用新案第3040524(JP,U)
【文献】 特開2003−081161(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103770870(CN,A)
【文献】 特開2000−219179(JP,A)
【文献】 実公昭48−033902(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車の前輪側を覆うためのフロント部と、前記二輪車の後輪側を覆うためのリア部とを含み、
前記フロント部と前記リア部とは、前記二輪車の前後方向の所定領域でオーバーラップするように設定されており、
前記フロント部および前記リア部には、それぞれ個別に前記二輪車に装着した状態を保持するための固定手段が設けられており、
前記フロント部は、その後部および下部が開放されているとともに、前部が前記二輪車の前輪に引っ掛けられるような袋形状に形成され、かつ前記前輪からシートの前端に至るまでの領域を覆うような寸法に設定されており、
前記リア部は、その前部および下部が開放されているとともに、後部が前記二輪車の後輪に引っ掛けられるような袋形状に形成され、かつ前記後輪からシートを経てフロントフォークの手前に至るまでの領域を覆うような寸法に設定されており、
前記リア部の固定手段は、当該リア部の左側構成面または右側構成面の前端の上下方向中間部位に設けられる上側のプラグと、前記右側構成面または左側構成面の前端の上下方向中間部位に設けられかつ前記上側のプラグに連結可能とされる上側のソケットと、前記左側構成面または右側構成面の前端の下側に設けられる下側のプラグと、前記右側構成面または左側構成面の前端の下側に設けられかつ前記下側のプラグに連結可能とされる下側のソケットとを含み、
かつ、前記固定手段の使用時には、前記上側のプラグまたはソケットを前記二輪車のフロントフォークの左右一方から前方に回り込ませて左右他方から後方に引き寄せて前記上側のソケットまたはプラグに近づけて連結することにより、前記左側構成面の前端の上下方向中間部位と前記右側構成面の前端の上下方向中間部位とを前記フロントフォークの長手方向中間部位に巻き付ける状態にし、
前記下側のプラグまたはソケットを前記二輪車の前輪の前下部の左右一方から前方に回り込ませて左右他方から後方に引き寄せて前記下側のソケットまたはプラグに近づけて連結することにより、前記左側構成面の前下部と前記右側構成面の前下部とを前記前輪の前下部に巻き付ける状態にする、ことを特徴とする二輪車用のカバー。
【請求項2】
請求項1に記載の二輪車用のカバーにおいて、
前記フロント部の固定手段は、前記後部の開放部分に設けられる胴部絞りベルトと、この胴部絞りベルトの一端側と他端側とを連結可能に当該一端側および他端側に設けられるプラグおよびソケットとを含み、
かつ、前記固定手段の使用時には、前記プラグまたはソケットを前記二輪車の前輪と後輪との間の下部空間に前記二輪車の幅方向一方から他方へ向けて差し入れて前記ソケットまたはプラグに近づけて連結することにより、前記胴部絞りベルトを前記二輪車の前輪と後輪との間に巻き掛ける状態にする、ことを特徴とする二輪車用のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車を覆うためのカバーに関する。前記二輪車は、例えば自動二輪車または自転車等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のカバーとして、例えば特許文献1,2に記載されているようなカバーが知られている。
【0003】
このカバーは、下側が開放されたワンピースの袋とされている。このようなカバーは、一般に、二輪車への装着を容易とするために外形サイズを比較的大きく設定しておき、雨や風等によって全体がバタつかないようにするため、ならびに車体から簡単に外れないようにするために、固定手段を装備するようになっている。
【0004】
上記特許文献1では、前記固定手段として、絞り紐と、面ファスナーとを用いている。前記絞り紐は、カバーの下側開放部分の外周縁に設置されていて、車体後端側で絞り操作することによって前記下側開放部分を窄ませるようになっている。前記面ファスナーは、カバーの下側開放部分において車体前後方向の中間部位に設置されていて、当該下側開放部分を車体幅方向に狭めるようになっている。
【0005】
上記特許文献2では、前記固定手段として、絞り紐を用いている。この絞り紐は、カバーの下側開放部分の外周縁に設置されていて、車体後端側で絞り操作することによって前記下側開放部分を窄ませるようになっている。
【0006】
その他にも、例えば特許文献3には、二輪車の上下左右の全域を覆うようにするカバーが記載されている。このカバーは、装着前の状態で矩形状に形成されており、それを設置場所に広げた状態で敷いておき、当該カバーにおいて車体幅方向のセンターに二輪車を載せてから、当該カバーにおいて車体幅方向の両端を二輪車の上方で突き合わせるように2つ折りにし、この突き合わせ部分をスライドファスナーで閉じることにより、二輪車に装着するようになっている。
【0007】
さらに、例えば特許文献4には、自動二輪車のマフラー部分を覆うようにしたバイクマフラー用熱カバーが記載されている。このカバーは、自動二輪車の車体前後方向の後半領域のみを覆う外形寸法の袋とされていて、耐熱性材料で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3112350号公報
【特許文献2】特許第4864601号公報
【特許文献3】実用新案登録第3040524号公報
【特許文献4】実用新案登録第3189859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1,2は、大型自動二輪車等のように車体前後方向の寸法が大きい場合だと、二輪車の前輪側にカバーを被せておいて、作業者が二輪車の側方から後方に移動しながら二輪車の後輪側にカバーを被せるように作業しなければならないので、二輪車にカバーを1人で被せることが難しいと言える。
【0010】
また、上記特許文献3は、カバーを地面に広げた状態で二輪車を載せる際に、仮に前記載せた位置がカバーにおける車体幅方向のセンターから左右方向にずれてしまうと、その後でカバーを2つ折りにする作業が困難になるので、二輪車をカバー上に載せる作業をやり直す必要がある等、面倒であるとともに、比較的大きな作業スペースを確保する必要があると言える。
【0011】
さらに、上記特許文献4は、二輪車の全体を覆うものでなく、バイクの後半領域のみを覆うだけの外形寸法になっているために、その他の部分を覆うには、上記特許文献1〜3のようなカバーを用いる必要がある。
【0012】
このような事情に鑑み、本発明は、二輪車用のカバーにおいて、二輪車に比較的タイトにフィットするスリムな形状にできるようにしながら、二輪車に1人で比較的簡単に装着可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る二輪車用のカバーは、二輪車の前輪側を覆うためのフロント部と、前記二輪車の後輪側を覆うためのリア部とを含み、前記フロント部と前記リア部とは、前記二輪車の前後方向の所定領域でオーバーラップするように設定されており、前記フロント部および前記リア部には、それぞれ個別に前記二輪車に装着した状態を保持するための固定手段が設けられており、前記フロント部は、その後部および下部が開放されているとともに、前部が前記二輪車の前輪に引っ掛けられるような袋形状に形成され、かつ前記前輪からシートの前端に至るまでの領域を覆うような寸法に設定されており、前記リア部は、その前部および下部が開放されているとともに、後部が前記二輪車の後輪に引っ掛けられるような袋形状に形成され、かつ前記後輪からシートを経てフロントフォークの手前に至るまでの領域を覆うような寸法に設定されており、前記リア部の固定手段は、当該リア部の左側構成面または右側構成面の前端の上下方向中間部位に設けられる上側のプラグと、前記右側構成面または左側構成面の前端の上下方向中間部位に設けられかつ前記上側のプラグに連結可能とされる上側のソケットと、前記左側構成面または右側構成面の前端の下側に設けられる下側のプラグと、前記右側構成面または左側構成面の前端の下側に設けられかつ前記下側のプラグに連結可能とされる下側のソケットとを含み、かつ、前記固定手段の使用時には、前記上側のプラグまたはソケットを前記二輪車のフロントフォークの左右一方から前方に回り込ませて左右他方から後方に引き寄せて前記上側のソケットまたはプラグに近づけて連結することにより、前記左側構成面の前端の上下方向中間部位と前記右側構成面の前端の上下方向中間部位とを前記フロントフォークの長手方向中間部位に巻き付ける状態にし、前記下側のプラグまたはソケットを前記二輪車の前輪の前下部の左右一方から前方に回り込ませて左右他方から後方に引き寄せて前記下側のソケットまたはプラグに近づけて連結することにより、前記左側構成面の前下部と前記右側構成面の前下部とを前記前輪の前下部に巻き付ける状態にする、ことを特徴としている。
【0014】
この構成では、カバーをフロント部とリア部との2つにセパレートしているから、二輪車に装着するときに、一人でも比較的簡単に装着することが可能になる。特に、本発明に係るカバーは、その装着対象となる二輪車が大型自動二輪車である場合に、特に有利となる。そのことに伴い、前記フロント部および前記リア部を二輪車に比較的タイトにフィットするスリムな形状にすることが可能になる。
【0015】
このようにスリムな形状にできることに加えて、前記フロント部および前記リア部を二輪車に装着した状態を前記固定手段により保持できるようにしているから、二輪車に装着した前記フロント部および前記リア部が雨や風等によってばたつくことを抑制できるとともに外れることを防止できるようになる。しかも、上記リア部の固定手段が前記リア部の左側構成面と右側構成面とを二輪車に密着させた状態にしやすくなるので、二輪車に装着したリア部が雨や風等によりばたつくことを抑制する効果ならびに外れることを防止する効果が向上する。
【0016】
したがって、本発明に係るカバーは、二輪車に比較的タイトにフィットするスリムな形状にできるようにしながら、二輪車に1人で比較的簡単に装着することが可能になる。
【0018】
また、上記のように前記フロント部と前記リア部とを前記二輪車の前後方向の所定領域でオーバーラップさせていれば、前記フロント部と前記リア部とを前記二輪車に装着したときに、例えば前記フロント部と前記リア部とが二輪車の前後方向所定領域で重なり合うことになって、二輪車の前後方向全域を覆うようになる。
【0019】
これにより、前記二輪車が雨や風等に曝されなくなるというカバー本来の保護機能を確実に確保できるようになるとともに、前記二輪車の姿を外側から認識できなくなるなど、盗難防止に役立つようになる。
【0022】
さらに、上記カバーにおいて、前記フロント部の固定手段は、前記後部の開放部分に設けられる胴部絞りベルトと、この胴部絞りベルトの一端側と他端側とを連結可能に当該一端側および他端側に設けられるプラグおよびソケットとを含み、かつ、前記固定手段の使用時には、前記プラグまたはソケットを前記二輪車の前輪と後輪との間の下部空間に前記二輪車の幅方向一方から他方へ向けて差し入れて前記ソケットまたはプラグに近づけて連結することにより、前記胴部絞りベルトを前記二輪車の前輪と後輪との間に巻き掛ける状態にする、構成とすることができる。
【0023】
この構成では、前記フロント部の固定手段を特定している。この特定により、前記フロント部の左側構成面と右側構成面とを二輪車に密着させた状態にしやすくなるので、二輪車に装着したフロント部が雨や風等によりばたつくことを抑制する効果ならびに外れることを防止する効果が向上する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る二輪車用のカバーは、二輪車に比較的タイトにフィットするスリムな形状にできるようにしながら、二輪車に1人で比較的簡単に装着することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る二輪車用のカバーの一実施形態で、二輪車に装着した状態を示す斜視図である。
図2図1のカバーを二輪車に装着していない状態を示す斜視図である。
図3図1においてリア部のみを二輪車に装着した状態を示す平面図である。
図4図2のフロント部の縫製前の状態を示す平面展開図である。
図5図2のリア部の縫製前の状態を示す平面展開図である。
図6】本発明に係る二輪車用のカバーの他実施形態で、二輪車に装着した状態を示す斜視図である。
図7図6のカバーを二輪車に装着していない状態を示す斜視図である。
図8図6においてリア部のみを二輪車に装着した状態を示す平面図である。
図9図7のフロント部の縫製前の状態を示す平面展開図である。
図10図7のリア部の縫製前の状態を示す平面展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1から図5に、本発明の一実施形態を示している。図中、1は二輪車、2は二輪車用のカバーを示している。
【0030】
この実施形態では、二輪車1として、いわゆるネイキッドタイプと呼ばれるものが例示されている。
【0031】
カバー2は、分離されているフロント部3とリア部4とを組み合わせた構成、つまりツーピース構造になっている。フロント部3とリア部4とは、二輪車1の前後方向の所定領域でオーバーラップするように設定されている。
【0032】
フロント部3は、図1に示すように、その後部および下部が開放されているとともに、前部が二輪車1の前輪11に引っ掛けられるような袋形状に形成されていて、二輪車1において前輪11からシート14の前端(燃料タンク13の後端)に至るまでの領域を覆うような寸法に形成されている。
【0033】
フロント部3の前部は、前から後に向かって斜め上向きに傾斜した形状になっていて、その最上位置からさらに後に向かって下向きに傾斜した形状になっている。
【0034】
このフロント部3の前下部には、当該前下部を前輪11の前下側部位の外形に倣う形状にするための絞り部31が設けられている。この前下部には不図示の前輪ロック部材(チェーン、U字形ロックあるいはリンク連結部材等)を挿通するための鍵孔ベルト32が設けられている。
【0035】
さらに、フロント部3には、それを二輪車1に装着した状態を保持するための固定手段(符号省略)が設けられている。この固定手段は、胴部絞りベルト5a、プラグ5b、ソケット5cを含む構成になっている。
【0036】
胴部絞りベルト5aは、フロント部3において前開放部分の周縁に取り付けられており、二輪車1のエンジン15の下側に巻き掛けられるものである。
【0037】
プラグ5bおよびソケット5cは、ワンタッチで連結または連結解除されるように構成されたものであって、公知の汎用品とされているので、その詳細な説明は割愛する。
【0038】
プラグ5bは、胴部絞りベルト5aの左端寄りの所定位置に取り付けられており、また、ソケット5cは、胴部絞りベルト5aの右端に取り付けられている。なお、プラグ5bは、胴部絞りベルト5aの左端側に対する取り付け位置を任意に変更できるように構成されている。
【0039】
そして、プラグ5bを二輪車1の前輪11と後輪12との間(エンジン15)の下部空間に二輪車1の幅方向一方(左)から幅方向他方(右)へ向けて差し入れて、ソケット5cに近づけて連結すると、胴部絞りベルト5aがエンジン15の下側部位に巻き掛けられる状態になる。これにより、フロント部3が二輪車1に装着された状態で保持される。
【0040】
リア部4は、図1および図3に示すように、その前部および下部が開放されているとともに、後部が二輪車1の後輪12に引っ掛けられるような袋形状に形成されていて、二輪車1において後輪12からシート14を経てフロントフォーク17の手前に至るまでの領域を覆うような寸法に形成されている。
【0041】
このリア部4は、全体的に見て横長の長方体形状に形成されている。このリア部4の前端側は、前から後に向かって斜め上向きに傾斜した形状になっている。
【0042】
このリア部4の左側構成面45における前後方向中間部位の下側には二輪車1のサイドスタンド16を外へ突き出せるようにするためのスタンド孔41が設けられている。また、左側構成面45の後寄りの下部には不図示の後輪ロック部材(チェーン、U字形ロックあるいはリンク連結部材等)を挿通するための鍵孔42が設けられている。さらに、左側構成面45および右側構成面46の各後下部には、当該各後下部およびそれらで挟まれる部位を後輪12の後下側部位の外形に倣う形状にするための絞り部43,44が設けられている。右側構成面46の絞り部44の下端側には、前記後輪ロック部材を挿通するための鍵孔47が設けられている。
【0043】
そして、リア部4には、それを二輪車1に装着した状態を保持するための固定手段(符号省略)が設けられている。この固定手段は、上側のプラグ6aおよびソケット6bと、下側のプラグ7aおよびソケット7bとを含む構成になっている。
【0044】
上側のプラグ6aおよびソケット6bと、下側のプラグ7aおよびソケット7bとは、それぞれ互いにワンタッチで連結または連結解除されるように構成されたものであって、公知の汎用品とされているので、その詳細な説明は割愛する。
【0045】
上側のプラグ6aは、リア部4の左側構成面45の前斜辺212の長手方向中間部位に取り付けられており、また、上側のソケット6bは、リア部4の右側構成面46の前斜辺213の長手方向中間部位に取り付けられている。
【0046】
具体的には、リア部4の前開放部分の長手方向中間部位に長手方向中間部位が縫合されたベルト6cの左端寄りの所定位置に上側のプラグ6aが取り付けられており、また、ベルト6cの右端に上側のソケット6bが取り付けられている。なお、上側のプラグ6aは、ベルト6cの左端側に対する取り付け位置を任意に変更できるように構成されている。そして、上側のプラグ6aとソケット6bとを、フロントフォーク17の長手方向中間部位の前方で連結する。
【0047】
下側のプラグ7aは、リア部4の左側の前斜辺212の下側に一端側が縫合された長尺ベルト7cの自由端寄りの所定位置に取り付けられている。また、下側のソケット7bは、リア部4の右側の前斜辺213の下側に短尺ベルト7dの自由端に取り付けられている。なお、下側のプラグ7aは、長尺ベルト7cの自由端側に対する取り付け位置を任意に変更できるように構成されている。そして、下側のプラグ7aとソケット7bを、前輪11の前下部の前方で連結する。
【0048】
このような上下のプラグ6a,7aおよびソケット6b,7bにより、リア部4が二輪車1に装着された状態で保持される。
【0049】
なお、前記したフロント部3およびリア部4の布生地としては、柔軟性及び透湿防水性を有する材料(例えばポリエステル樹脂、あるいはポリエステル樹脂に透湿防水性を有する合成樹脂フィルムを重ね合わせたもの等)とされるが、その他に、前記柔軟性及び透湿防水性を有する材料からなる布生地の裏側に、柔軟性、透湿防水性ならびに車体に傷をつけにくい性質を有する材料(例えば合成繊維製の不織布等)からなる裏地を重ね合わせることが可能である。さらに、リア部4において二輪車1のマフラー20が当たる部位には、前記柔軟性及び透湿防水性を有する材料からなる布生地に、耐熱性に優れた布生地(ふっ素系樹脂の織布等)を貼り合わせることも可能である。
【0050】
このようなフロント部3およびリア部4は、共に、図4および図5に示すような適宜の布生地を裁縫することにより製作される。
【0051】
具体的に、フロント部3の製作手順を説明する。まず、図4に示す前辺101の上下方向(長手方向)の中間点102と中間切り欠き103の最深位置104とを結ぶ仮想直線からなる折り目線105を山折りすることにより、当該折り目線105よりも上側の面と下側の面とを重ね合わせる。これにより、前記下側の面が縫製後の左側構成面34となり、前記上側の面が縫製後の右側構成面35となる。
【0052】
この状態において、左側構成面34の前端と右側構成面35の前端とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合するとともに、中間切り欠き103の片半分領域の内縁106と残り片半分領域の内縁107とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合する。
【0053】
続いて、図4に示す下側切り欠き108の片半分領域の内縁109と残り片半分領域の内縁110とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合する。さらに、図3に示す後下辺111に別体の布生地112を縫合して継ぎ足す。
【0054】
この後、左側構成面34において中間切り欠き103に隣り合う後斜辺113と、右側構成面35において中間切り欠き103に隣り合う後斜辺114と、前記継ぎ足し用の布生地38の自由端縁とに対して胴部絞りベルト5aの長手方向中間部位を縫合するとともに、当該胴部絞りベルト5aの左側部位および右側部位を通すための輪状のベルト通し33を縫合する。この段階では、胴部絞りベルト5aの左端寄りの所定位置にプラグ5bが取り付けられていて、胴部絞りベルト5aの右端にソケット5cが縫合されているものとする。
【0055】
次に、リア部4の製作手順を説明する。まず、図5において、下側(縫製後の後側)に設けられている凹状切り欠き201の左辺および右辺にそれぞれ沿う位置で上下方向に延長する仮想直線からなる折り目線202,203をそれぞれ山折りする。
【0056】
この状態では、当該2つの折り目線202,203のうちの左側の折り目線202よりも左側の面が縫製後の左側構成面45となり、右側の折り目線203よりも右側の面が縫製後の右側構成面46となる。
【0057】
この状態において、左側構成面45の後辺204と右側構成面46の後辺205とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合するとともに、前記後辺204の右側部位と前記後辺205の左側部位とを凹状切り欠き201の内縁に重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合する。
【0058】
続いて、左側構成面45の切り欠き206の前半分領域の内縁207と後半分領域の内縁208とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合することにより、絞り部43を作る。一方、右側構成面46の切り欠き209の前半分領域の内縁210と後半分領域の内縁211とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合することにより、絞り部44を作る。なお、右側構成面46の切り欠き209の内縁210,211の重ね合わせ部分については、部分的に縫合しないようにすることによって、鍵孔47を作るようにしている。
【0059】
この後、左側の前斜辺212から右側の前斜辺213に跨る領域にベルト6cの長手方向中間部位を縫合する。この段階では、ベルト6cの左端寄りの所定位置にプラグ6aが取り付けられていて、ベルト6cの右端にソケット6bが取り付けられているものとする。
【0060】
さらに、左側の前斜辺212の左端に長尺ベルト7cの一端側を縫合するとともに、右側の前斜辺213の右端に短尺ベルト7dの一端側を縫合する。この段階では、長尺ベルト7cの自由端寄りの所定位置にプラグ7aが取り付けられていて、短尺ベルト7dの自由端にソケット7bが縫合されているものとする。
【0061】
次に、上記したフロント部3とリア部4を二輪車1に装着する手順を説明する。
【0062】
まず、準備段階として、二輪車1のハンドル18を左側に目一杯に動かすことによりハンドルロックできる状態にしておいて、サイドスタンド16を使って左側に傾いた姿勢にする。
【0063】
このような姿勢の二輪車1の後輪12側からリア部4の前開放部分を被せることにより、リア部4の絞り部43,44を後輪12の後下側に引っ掛けるようにしながら、後輪12からシート14を経てエンジン15に至るまでの領域を覆う状態にする。
【0064】
この後、二輪車1を直立する姿勢にして、二輪車1のサイドスタンド16をリア部4のスタンド孔41内に差し入れ、それから二輪車1を左側に傾いた姿勢に戻す。なお、前記準備段階において、二輪車1をそのセンタースタンド(図示省略)を使って直立姿勢にする場合には、サイドスタンド16をスタンド孔41内に差し入れるための動作は不要になる。
【0065】
この状態において、リア部4の上側のプラグ6aを二輪車1の2本のフロントフォーク17の左外側から前方に回り込ませるとともに右外側から後方に引き寄せて、ソケット6bに近づけて連結する。これにより、図3に示すように、ベルト6cがフロントフォーク17の長手方向中間部位に巻き掛けられるようになる。
【0066】
続いて、下側のプラグ7aを二輪車1の前輪11の前下部の左側から前方に回り込ませるとともに右側から後方に引き寄せて、下側のソケット7bに近づけて連結する。これにより、図1に示すように、長尺ベルト7cと短尺ベルト7dとが前輪11の前下部に巻き付けられるようになる。
【0067】
このようにした結果、図3に示すように、リア部4において左側構成面34と右側構成面35とがエンジン15から後輪12に至るまでの二輪車1の側面領域に密着された状態になる。この状態では、リア部4が前後左右のいずれの方向に引っ張られても外れなくなる。
【0068】
そして、二輪車1の前輪11側からフロント部3の後開放部分を被せることにより、フロント部3の絞り部31を前輪11の前下側に引っ掛けるようにしながら、ハンドル18から燃料タンク13の後端に至るまでの領域を覆う状態にする。このとき、フロント部3の最上部がハンドル18の右側バックミラー19の上端に引っ掛かった状態になる。
【0069】
この状態において、フロント部3のプラグ5bを二輪車1の前輪11と後輪12との間(エンジン15)の下部空間に二輪車1の左側から右側へ向けて差し入れて、ソケット5cに近づけて連結する。
【0070】
これにより、胴部絞りベルト5aがエンジン15の下側部位に巻き掛けられるようになる。この状態では、フロント部3の左側構成面34および右側構成面35が前輪11に密着されるとともにリア部4の左側構成面45および右側構成面46の前側領域に密着されるようになるので、フロント部3が前後左右のいずれの方向に引っ張られても外れなくなる。
【0071】
このようにして二輪車1にフロント部3およびリア部4を装着すると、図1に示すように、フロント部3とリア部4とが二輪車1の前後方向所定領域でオーバーラップする状態になって二輪車1の前後方向全域を覆うようになるとともに、フロント部3およびリア部4の左側構成面34,45と右側構成面35,46とが二輪車1の前後方向全域に密着する状態になる。
【0072】
これにより、二輪車1が雨や風等に曝されなくなるというカバー2本来の保護機能を確実に確保できるようになるとともに、フロント部3およびリア部4が雨や風等によりばたつくことを抑制できるとともに外れることを防止できるようになる。その他、二輪車1の前後方向全域が隠されることになるので、二輪車1の姿を外側から認識できなくなるなど、盗難防止に役立つようになる。
【0073】
ところで、フロント部3およびリア部4を二輪車1に装着した状態では、前記した不図示の前輪ロック部材や後輪ロック部材を装着することが可能であるが、それらの装着動作については、一般的なワンピースタイプのカバーのそれと同様であるので、ここでの説明は割愛する。
【0074】
そして、上記フロント部3およびリア部4を取り外す場合には、フロント部3のプラグ5bをソケット5cから離脱させておいて、フロント部3の最上部を斜め上向きにかつ前方に引っ張ることで、比較的簡単に外すことが可能になる。
【0075】
また、リア部4についても、下側のプラグ7aをソケット7bから離脱させるとともに、上側のプラグ6aをソケット6bから離脱させておいて、リア部4の前上側を斜め上向きにかつ後方に引っ張ることで、比較的簡単に外すことが可能になる。
【0076】
以上説明したように本発明を適用した実施形態では、カバー2をフロント部3とリア部4との2つにセパレートしているから、二輪車1に装着するときに、一人でも比較的簡単に装着することが可能になる。そのことに伴い、フロント部3およびリア部4をその二輪車1に比較的タイトにフィットするスリムな形状にすることが可能になる。このようにスリムな形状にできることに伴い、二輪車1への装着状態において、雨や風等によってフロント部3およびリア部4がばたつくことを抑制できるとともに外れることを防止できるようになる。
【0077】
このようなことから、本発明を適用した実施形態のカバー2は、二輪車1に比較的タイトにフィットするスリムな形状にできるようにしながら、二輪車1に1人で比較的簡単に装着することが可能になる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0079】
(1)図6から図10には、スクータータイプと呼ばれる二輪車1に適したカバー2を例に挙げている。
【0080】
このカバー2についても、分離されているフロント部3とリア部4とを組み合わせたツーピース構造になっている。フロント部3とリア部4とは、二輪車1の前後方向の所定領域でオーバーラップせずに離隔するように設定されている。
【0081】
フロント部3は、図6に示すように、その後部および下部が開放されているとともに、前部が二輪車1の前輪11に引っ掛けられるような袋形状に形成されていて、二輪車1において前輪11からフロントカウル25およびセンターカウル26の前後方向の中間部位に至るまでの領域を覆うような寸法に形成されている。
【0082】
このフロント部3は、全体的に縦長の長方体形状に形成されている。フロント部3の前部は、前から後に向かって斜め上向きに傾斜した形状になっていて、その最上位置からさらに後に向かって下向きに傾斜した形状になっている。
【0083】
このフロント部3の前下部は、前輪11の前下側部位の外形に倣う形状に縫製されていて、この前下部には不図示の前輪ロック部材(チェーン、U字形ロックあるいはリンク連結部材等)を挿通するための鍵孔ベルト32が設けられている。また、フロント部3の後側には、前開放部分を拡大するためのスライドファスナー36が設けられている。
【0084】
さらに、フロント部3には、それを二輪車1に装着した状態を保持するための固定手段(符号省略)が設けられている。この固定手段は、プラグ8a、ソケット8bを含む構成になっている。
【0085】
プラグ8aおよびソケット8bは、互いにワンタッチで連結または連結解除されるように構成されたものであって、公知の汎用品とされているので、その詳細な説明は割愛する。
【0086】
プラグ8aは、フロント部3の後右下部に一端側が縫合された長尺ベルト8cの自由端寄りの任意の位置に取り付けられている。また、ソケット8bは、フロント部3の後左下部に一端側が縫合された短尺ベルト8dの自由端に取り付けられている。なお、プラグ8aは、長尺ベルト8cの自由端側に対する取り付け位置を任意に変更できるように構成されている。
【0087】
そして、プラグ8aとソケット8bをセンターカウル26の下側で連結すると、長尺ベルト8cと短尺ベルト8dとがセンターカウル26の下側に巻き付けられる状態になる。これにより、フロント部3が二輪車1に装着された状態で保持される。
【0088】
リア部4は、図7および図8に示すように、その前部および下部が開放されているとともに、後部が二輪車1の後輪12に引っ掛けられるような袋形状に形成されていて、二輪車1においてリアカウル27からシート14の前端に至るまでの領域を覆うような寸法に形成されている。
【0089】
このリア部4は、全体的に見て横長の長方体形状に形成されている。このリア部4の前端側は、前から後に向かって斜め上向きに傾斜した形状になっている。
【0090】
このリア部4の左側構成面45における前後方向中間部位の下側には二輪車1のサイドスタンド16を外へ突き出せるようにするためのスタンド孔41が設けられている。また、左側構成面45の後寄りの下部には不図示の後輪ロック部材(チェーン、U字形ロックあるいはリンク連結部材等)を挿通するための鍵孔42が設けられている。さらに、左側構成面45および右側構成面46の各後下部は、後輪12の後下側部位の外形に倣う形状に縫製されている。左側構成面45の後下端と右側構成面46の後下端とには、それぞれ前記後輪ロック部材を挿通するための鍵孔42,47が設けられている。
【0091】
そして、リア部4には、それを二輪車1に装着した状態を保持するための固定手段(符号省略)が設けられている。この固定手段は、プラグ9a、ソケット9bを含む構成になっている。
【0092】
プラグ9aおよびソケット9bは、ワンタッチで連結または連結解除されるように構成されたものであって、公知の汎用品とされているので、その詳細な説明は割愛する。
【0093】
プラグ9aは、リア部4の前開放部分の右下側に一端側が縫合された長尺ベルト9cの自由端寄りの任意の位置に取り付けられている。ソケット9bは、リア部4の前開放部分の左下側に一端側が縫合された短尺ベルト9dの自由端に取り付けられている。なお、プラグ9aは、長尺ベルト9cの自由端側に対する取り付け位置を任意に変更できるように構成されている。
【0094】
そして、プラグ9aとソケット9bとを、センターカウル26の下側で連結すると、長尺ベルト9cと短尺ベルト9dとがセンターカウル26の下側に巻き付けられる状態になる。これにより、リア部4が二輪車1に装着された状態で保持されることになる。
【0095】
このようなフロント部3およびリア部4は、図9および図10に示すような適宜の布生地を裁縫することにより製作される。
【0096】
具体的に、フロント部3の製作手順を説明する。まず、図9に示す左辺301の長手方向中間点302と右辺303の長手方向中間点304とを結ぶ仮想直線からなる折り目線305を山折りすることにより、当該折り目線305よりも左側の面と右側の面とを重ね合わせる。これにより、前記左側の面が縫製後の前方構成面34aとなり、前記右側の面が縫製後の後方構成面35aとなる。
【0097】
この状態において、前方構成面34aの左側湾曲辺306と後方構成面35aの左側湾曲辺307とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合するとともに、前方構成面34aの右側湾曲辺308と後方構成面35aの右側湾曲辺309とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合する。
【0098】
続いて、図9に示す前方切り欠き310において前半分領域の内縁311と後半分領域の内縁312とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合する。
【0099】
この後、後方切り欠き313における左半分領域の内縁314に短尺ベルト8dの一端側を縫合する一方、後方切り欠き313における右半分領域の内縁315に長尺ベルト8cの一端側を縫合する。この段階では、長尺ベルト8cの自由端寄りの所定位置にプラグ8aが取り付けられていて、短尺ベルト8dの自由端にソケット8bが縫合されているものとする。
【0100】
次に、リア部4の製作手順を説明する。まず、図10において、左側布生地401(左側構成面45に相当)の右辺402を中央布生地405の左辺406の長手方向中間部位に縫合し、右側布生地408(右側構成面46に相当)の左辺409を中央布生地405の右辺407の長手方向中間部位に縫合する。
【0101】
続いて、当該中央布生地405の前側約1/3の領域と後側約1/3の領域とを下向きに折り曲げるとともに、左側布生地401および右側布生地408をそれぞれ下向きに折り曲げる。
【0102】
この状態において、左側布生地401の前辺403と中央布生地405の左辺406における前側約1/3の領域とを縫合するとともに、右側布生地408の前辺410と中央布生地405の右辺407において前側約1/3の領域とを縫合する。
【0103】
さらに、左側布生地401の後辺404と中央布生地405の左辺406における後側約1/3の領域とを縫合するとともに、右側布生地408の後辺411と中央布生地405の右辺407における後側約1/3の領域とを縫合する。
【0104】
なお、左側布生地401の後辺404の左端側と中央布生地405の左辺406の下端側とを部分的に縫合しないようにすることによって、鍵孔42を作るようにしている。また、右側布生地408の後辺411の右端側と中央布生地405の右辺407の下端側とを部分的に縫合しないようにすることによって、鍵孔47を作るようにしている。
【0105】
続いて、中央布生地405の切り欠き412の左半分領域の内縁413と右半分領域の内縁414とを重ね合わせて、この重ね合わせ部位を縫合することにより、リア部4の後下部を幅狭にするとともに前方向に湾曲させる。
【0106】
この後、左側布生地401の前辺403の左端側に短尺ベルト9dの一端側を縫合し、さらに、右側布生地408の前辺410の右端側に長尺ベルト9cの一端側を縫合する。この段階では、長尺ベルト9cの自由端寄りの所定位置にプラグ9aが取り付けられていて、短尺ベルト9dの自由端にソケット9bが縫合されているものとする。
【0107】
次に、上記したフロント部3とリア部4を二輪車1に装着する手順を説明する。
【0108】
まず、準備段階として、二輪車1のハンドル18を左側に目一杯に動かすことによりハンドルロックできる状態にしておいて、サイドスタンド16で左側に傾いた姿勢にする。
【0109】
このような姿勢の二輪車1の後輪12側からリア部4の前開放部分を被せることにより、リア部4の後下部を後輪12の後下側に引っ掛けるようにしながら、後輪12からシート14の前端に至るまでの領域を覆う状態にする。
【0110】
この状態において、リア部4のプラグ9aを二輪車1のセンターカウル26の下部空間に二輪車1の右側から左側へ向けて差し入れて、ソケット9bに近づけて連結する。
【0111】
これにより、図8に示すように、長尺ベルト9cと短尺ベルト9dとがセンターカウル26の下側に巻き付けられるとともに、リア部4において左側構成面45の前下部と右側構成面46の前下部とがセンターカウル26の下側に密着された状態になる。この状態では、リア部4が前後左右のいずれの方向に引っ張られても外れなくなる。
【0112】
そして、二輪車1の前輪11側からフロント部3の後開放部分を被せることにより、フロント部3の前下部を前輪11の前下側に引っ掛けるようにしながら、フロントカウル25からセンターカウル26の前後方向中間部位に至るまでの領域を覆う状態にして、スライドファスナー36を閉じる。このとき、フロント部3の最上部がハンドル18の右側バックミラー19の上端に引っ掛かった状態になる。
【0113】
この状態において、フロント部3のプラグ8aを二輪車1のセンターカウル26の前方下部空間に二輪車1の左側から右側へ向けて差し入れて、ソケット8bに近づけて連結する。
【0114】
これにより、図6に示すように、長尺ベルト8cと短尺ベルト8dとがセンターカウル26の下側に巻き付けられるとともに、フロント部3の後左下部とフロント部3の後右下部とがセンターカウル26の下側に密着する状態になる。この状態では、フロント部3が前後左右のいずれの方向に引っ張られても外れなくなる。
【0115】
このようにして二輪車1にフロント部3およびリア部4を装着すると、フロント部3およびリア部4が雨や風等によりばたつくことを抑制できるとともに外れることを防止できるようになる。
【0116】
ところで、フロント部3およびリア部4を二輪車1に装着した状態では、前記した不図示の前輪ロック部材や後輪ロック部材を装着することが可能であるが、それらの装着動作については、一般的なワンピースタイプのカバーのそれと同様であるので、ここでの説明は割愛する。
【0117】
そして、フロント部3およびリア部4を二輪車1から取り外す場合には、フロント部3のプラグ8aをソケット8bから離脱させておいて、フロント部3の最上部を斜め上向きにかつ前方に引っ張ることで、比較的簡単に外すことが可能になる。
【0118】
また、リア部4についても、プラグ9aをソケット9bから離脱させておいて、リア部4の前上側を斜め上向きにかつ後方に引っ張ることで、比較的簡単に外すことが可能になる。
【0119】
以上説明したように、この実施形態においても、上記実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0120】
但し、この実施形態では、二輪車1のセンターカウル26の前後方向所定領域をフロント部3およびリア部4で意図的に覆うようにしていない。このようにしている理由を説明する。二輪車1がスクータータイプである関係より、仮にフロント部3およびリア部4をセンターカウル26の前後方向所定領域でオーバーラップさせるようにしていると、雨が降った後で前記オーバーラップ領域の上側に雨水が溜まることが予想される。このような雨水が溜まることを防止するために、フロント部3およびリア部4を意図的にオーバーラップさせずに、センターカウル26の前後方向所定領域を露呈させるようにしているのである。
【0121】
(2)上記実施形態に示した固定手段は、一実施形態であって、これのみに限定されるものではなく、例えば面ファスナー、あるいはそれ以外の公知の部材等とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、二輪車用のカバーに好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 二輪車
11 前輪
12 後輪
14 シート
17 フロントフォーク
2 カバー
3 フロント部
31 絞り部
34 左側構成面
35 右側構成面
4 リア部
43 左側の絞り部
44 右側の絞り部
45 左側構成面
46 右側構成面
5a 胴部絞りベルト
5b プラグ
5c ソケット
6a 上側のプラグ
6b 上側のソケット
6c ベルト
7a 下側のプラグ
7b 下側のソケット
7c 長尺ベルト
7d 短尺ベルト
【要約】
【課題】二輪車用のカバー2において、二輪車1に比較的タイトにフィットするスリムな形状にできるようにしながら、二輪車1に1人で比較的簡単に装着可能とする。
【解決手段】カバー2は、二輪車1の前輪11側を覆うためのフロント部3と、二輪車1の後輪12側を覆うためのリア部4とを含む構成とされている。フロント部3およびリア部4には、それぞれ個別に二輪車1に装着した状態を保持するための固定手段(5a,5b,5c,6a,6b,6c,7a,7b,7c,7d)が設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10