【実施例】
【0040】
抗体の発現および産生
本発明の抗体は、以下の通りに発現させて精製してよい。配列番号5(配列番号1の重鎖ポリペプチドをコードする)および配列番号6(配列番号3の軽鎖ポリペプチドをコードする)のDNA配列を含有する発現ベクターを、NS0細胞をトランスフェクトするために用いる。本発現ベクターから生じる抗体は、「抗体1」である。
【0041】
さらに、配列番号17(配列番号13の重鎖ポリペプチドをコードする)および配列番号18(配列番号15の軽鎖ポリペプチドをコードする)のDNA配列を含有する発現ベクターを、NS0細胞をトランスフェクトするために用いる。本発現ベクターから生じる抗体は、「抗体2」である。
【0042】
抗体1または抗体2のいずれかについて、トランスフェクトしたプールを低密度でプレート化して安定発現細胞のクローン性に近い増殖(close−to−clonal outgrowth)を可能にさせる。マスターウェルを、抗体発現についてスクリーニングし次いで産生に用いるために血清を含まない、懸濁培養液中で拡大する。抗体がその中へ分泌された、浄化した培地を、適合した緩衝液、例えばリン酸緩衝食塩水(pH7.4)で平衡化したプロテインAまたはGカラムに適用する。カラムを洗って非特異的な結合成分を除去する。結合した抗体を、pHグラジエント(例えば0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.8から0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH2.5)によって溶離する。抗体画分を、SDS−PAGEによって検出し次いでプールする。さらなる精製は、意図する使用法に応じて、任意である。抗体は、一般的な技術を用いて濃縮および/または除菌ろ過してよい。可溶性凝集体およびマルチマーは、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含めた、一般的な技術によって有効に除去してよい。これらのクロマトグラフィーステップ後の抗体の純度は、99%より高くてよい。産生物は、−70℃で直ちに凍結するかまたは凍結乾燥してよい。
【0043】
ヒトELR
+ CXCケモカインへの結合親和力
Biacore 2000計器およびBiacore 2000 Evaluation Software Version 4.1を、表面プラズモン共鳴分析のために用いる。CM5チップを、製造業者のEDC/NHSアミンカップリング法を用いて調製する。簡単に言えば、EDC/NHSの1:1混合物を10μL/分で7分間注入することによって4個全てのフローセルの表面を活性化する。プロテインAを、10mM酢酸塩、pH4.5緩衝液で100μg/mLに希釈して、10μL/分の流速で7分間注入によって固定化して4個全てのフローセル上に約10,000RUを達成する。未反応の部位は、10μL/分でエタノールアミンの7分間注入でブロックする。10μL/分で30秒間のグリシン(pH1.5)の2つの注入を、任意の非共有結合したタンパク質を除去するために用いる。ランニング緩衝液は、HBS−EP+である。
【0044】
抗体1または抗体2を、ランニング緩衝液で2μg/mLに希釈して、フローセル(Fc)中に約400〜600RUを捕捉する。リガンドを、ランニング緩衝液で100μg/mLから50nMに希釈し次いでランニング緩衝液で3.125nMまで2倍段階希釈する。それぞれのリガンド濃度の重複注入を、100μL/分で150秒間注入してその後に解離段階が続く。解離段階は、全てのリガンドについて1800秒である。全てのフローセルに10mMグリシン(pH1.5)を50μL/分で60秒間注入することにより再生を行う。参照を引いたデータを、Fc2−Fc1、Fc3−Fc1、およびFc4−Fc1として収集する。測定値は、25℃で取得する。それぞれのリガンドについてon−rate(k
on)およびoff−rate(k
off)を、「1:1(物質移動)結合」結合モデルを用いて評価する。親和力(K
D)は、関係式:K
D=k
off/k
onに従って結合反応速度から計算する。
【0045】
ヒトELR
+ CXCケモカインは、抗体1および抗体2との濃度依存性の結合反応を生じる。表1および表2は、抗体1および抗体2についてのk
on、k
off、およびK
D値の概要を示す。これらの結果は、抗体1および抗体2が、7種全てのヒトELR
+ CXCケモカインに高親和性で結合することを実証する。
【表1】
【表2】
【0046】
物理的安定性評価
タンパク質凝集および自己会合は、免疫反応を誘発することなどの、不要な影響を潜在的に悪化させ得るので抗体において望ましくない特性である。したがって、抗体を単量体状態に維持することは、非常に望ましい。凝集体高分子量パーセント(%HMW)は、タンパク質凝集および自己会合の指標である。より高い凝集体%HMWは、タンパク質凝集/自己会合の増加および物理的不安定性の増加を示す。抗体1および抗体2の物理的安定性は、以下の通りに測定する。
【0047】
抗体を、4℃で一晩10mMクエン酸塩、pH6+/−150mMNaCl中に透析する。翌朝、試料を50mg/mLに濃縮し、0.2ミクロンフィルターを通してろ過し、次いで0.02%の最終濃度までTween−80を加える。それぞれの試料を、25℃で所定の時間インキュベーションする。可溶性凝集体形成後に、TSK3000SWXL、寸法30cmx0.78cmの5ミクロンカラムを用いて分析的SECを行う。移動相は、50mMリン酸ナトリウム、pH7、175mM NaCl、流速0.5mL/分である。試料を、1μL注入として適用し280nmで観測して凝集体%HMWの増加を測定する(表3)。
【0048】
50mg/mLの配合物を、25℃で1週間および4週間インキュベーションしてストレス条件下の長期的安定性を評価する。デルタ凝集体%HMWを、1週または4週時点における%HMWから(表3において「初期」と指定されている)時間ゼロにおける凝集体%HMWを引くことにより決定する。1週および4週後、抗体1および抗体2の両方とも1%未満のデルタ%HMWを実証し、従って良好な物理的安定性を実証した。
【表3】
【0049】
抗体1に関する抗体エピトープマッピング
抗体1に関するエピトープを特徴づけるためにウエスタンブロット分析、抗体のいくつかのELR
+ CXCケモカインとの共結晶化、ならびに結合および中和に関する突然変異解析を含めた、複数の手法に取り組む。
【0050】
ウエスタンブロット分析
抗体1が直線状または立体構造エピトープに結合可能かどうかを判定するために、還元および非還元条件を用いてウエスタンブロット分析を実行する。タンパク質の電気泳動を、プレキャストNuPAGE(登録商標) 4〜12% Bis−Trisゲルを用いて実行する。NuPAGE(登録商標) MES SDSランニング緩衝液を、ミニセルの内側(200mL)および外側(少なくとも600mL)チャンバーの両方に加える。ヒトCXCL8の段階希釈(1レーンにつき400ng、100ng、または25ng)を、NuPAGE(登録商標) LDS 4X Sample BufferでNuPAGE(登録商標) 10X Sample Reducing Agent有りまたは無しで作成する。試料を、95℃で2分間加熱する。投入体積は、試料についてはレーン当り10μL、およびSeeBlue Plus2 Prestained Standardマーカーについてはレーン当り5μLである。ゲルを、200Vで35分間室温で流す。
【0051】
タンパク質を、iBlot(登録商標) Transfer Stack、Nitrocellulose、Miniを備えたiBlot(登録商標) Dry Blotting Systemを用いるPVDFに移動する。膜を、ブロッキング溶液(リン酸緩衝食塩水中3%の脱脂乳)中で室温で1時間ブロックする。抗体1を、1μg/mLの最終濃度までブロッキング溶液に加え次いで室温で2時間インキュベーションする。最初のインキュベーションに続いて、抗体/ブロック溶液を除去し、膜を洗浄緩衝液(リン酸緩衝食塩水+0.05%Tween 20)中で15分間3回洗う。膜を、次いでHRP結合ロバ抗−ヒトFcに特異的なIgG二次抗体(ブロッキング溶液中0.1μg/mL)と共に室温で1時間インキュベーションする。二次抗体の除去後、膜を洗浄緩衝液で10分間4回洗う。膜を次いでStable Peroxide SolutionおよびLuminol/Enhancer Solution(Super Signal West Pico Chemiluminescent Substrate)の希釈標準溶液で5分間インキュベーションする。膜を、CL−X Posure(商標) Filmを備えたX線用フィルムカセット内のプラスチックの膜保護具内に30秒間置く。フィルムを、Konica SRX−101システムを用いて現像する。
【0052】
非還元条件下では、400ngのCXCL8濃度において、2つの帯が約17kDaおよび約10kDaで現れた。100ngのCXCL8濃度において、1つの帯が約10kDaで現れた。25ngのCXCL8濃度において、帯は現れなかった。還元条件下では、試験した濃度のいずれにおいても帯は現れなかった。
【0053】
この結果は、抗体1が、非還元の、変性したヒトCXCL8には結合可能であるが、還元の、変性したヒトCXCL8には結合できないことを実証した。したがって、CXCL8における2個のジスルフィド結合は、抗体エピトープを維持するために必要である。これらの結果は、抗体1について立体構造エピトープを実証する。
【0054】
結晶構造分析
抗体1の完全結合表面を測定するためにヒトCXCL8、ならびにカニクイザルCXCL2、CXCL3、およびCXCL7に関してFab/抗原複合体の結晶構造を取得する。野生型切断ヒトCXCL8 1−66、ヒトCXCL8点突然変異体、およびカニクイザルCXCL7は、全てN末端His−SUMOタグを有するE.coliにおいて発現させる。これらのタンパク質をリフォールディングし、タグを切断し、タンパク質を標準的な精製技術によって精製する。カニクイザルCXCL2およびCXCL3は、HEK293 EBNA細胞において発現させ標準的な精製技術によって精製する。ジスルフィド結合の形成は、トリプシン消化物およびマスフィンガープリント分析によって確認し、活性は、好中球走化性アッセイによって確認する。抗体1のFabは、HEK293 EBNA細胞において発現させ標準的な精製技術によって精製する。Fab/抗原複合体を、わずかな過剰モルの抗原をFabに加えることにより形成し、続いてサイズ排除クロマトグラフィー精製により過剰な遊離抗原を除去する。複合体を結晶化し、Buster 2.9.5(Global Phasing Ltd.)を用いて結晶構造を分子置換により溶解する。
【0055】
これらの結晶構造は、抗体1のエピトープがELR
+ CXCケモカインのN末端を含むことを確認したが、これらは、ELR
+ CXCケモカインのFabとβ1−β2ループとの間およびβ2ストランドとβ3ストランドとの間の接触も示した。結晶構造は、結晶構造が重ね合わせ可能であったので、抗体がELR
+ CXCケモカインの折りたたみを特異的に認識することも実証する。非常に多くの水素結合およびファンデルワールス相互作用も観察された。最も注目すべきは、ELRモチーフの保存されたR6側鎖は、残基W33、Y102、およびY110におけるFab重鎖、ならびに残基W94におけるFab軽鎖によって形成された深い結合ポケットに位置した。野生型切断ヒトCXCL8ケモカインも、残基E99におけるFab重鎖およびN91主鎖カルボニルにおけるFab軽鎖の両方と水素結合する。他の観察された水素結合は、野生型切断ヒトCXCL8ケモカインのL5主鎖カルボニルとFab軽鎖W94主鎖アミドとの間、野生型切断ヒトCXCL8ケモカインのI10主鎖カルボニルとFab重鎖S52側鎖との間、野生型切断ヒトCXCL8ケモカインのK11側鎖とFab重鎖T30およびS31側鎖との間、野生型切断ヒトCXCL8ケモカインのH33側鎖とFab軽鎖W94主鎖カルボニルとの間、A35主鎖アミドとFab重鎖N59側鎖との間、ならびに野生型切断ヒトCXCL8ケモカインのC50主鎖アミドとFab重鎖Y104主鎖カルボニルとの間であった。さらには、野生型切断ヒトCXCL8ケモカインのN末端残基5から13は、N末端がFab重鎖CDR2とCDR3との間の溝に位置するのでFabとの非常に多くの接触を作っていた。加えて、Fab重鎖CDR3ループは、この溝から遠くへ伸びて野生型切断ヒトCXCL8ケモカインのβ2ストランド上の非N末端残基I40、ならびにβ3ストランド上の残基Glu48、Leu49、およびCys50と交わっていた。最後に、野生型切断ヒトCXCL8ケモカインにおけるβ1−β2ループの残基33〜36は、Fab重鎖CDR2に逆らって塊になっている。
【0056】
突然変異分析
抗体1 Fabと野生型ヒトCXCL8との間のいくつかの重要な接触を結晶構造において観察してヒトCXCL8点突然変異体の結合反応速度調査およびU937−huCXCR2蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)中和によってさらに試験する。これらの重要な接触を調査するために、いくつかの点突然変異体(R6A、I10A、A35P、I40A、およびL49A)を、ヒトCXCL8配列(配列番号27)に基づいて作成する。野生型、R6A、I10A、A35P、I40A、およびL49AヒトCXCL8点突然変異体を、標準技術に従って発現し、リフォールディングして、精製する。ジスルフィド結合の形成は、トリプシン消化物およびマスフィンガープリント分析によって確認し、活性は、好中球走化性アッセイによって確認する。
【0057】
結合反応速度を、上述のようにBiacore 2000 Evaluation Software Version 4.1を備えたBiacore 2000計器上で試験する。野生型および突然変異体ヒトCXCL8を、生物活性についておよび抗体1による中和についてU937−huCXCR2アッセイを用いて試験する。U937−huCXCR2は、ヒトCXCR2の発現のためにレトロウイルスで形質導入した単核球細胞株である。
【0058】
CXCL8突然変異体を、V字底96−ウェルポリプロピレンプレートのウェルにおいて0.2%BSAを含有するAssay Bufferで段階希釈する。リガンド濃度は、最終アッセイ濃度の3倍(最終アッセイ濃度は300から0.0051nMの範囲)である。細胞プレートおよびリガンドプレートを、50μLのリガンドを細胞プレートのウェルに移すようにプログラムした蛍光イメージングプレートリーダー(
Fluorescent
Imaging
Plate
Reader)(FLIPR−3、Molecular Devices)に装填する。蛍光は、1秒置きに90秒間記録する。蛍光の変化[デルタ相対蛍光単位(DRFU)、Max RFU−Min RFU]は、10から90の像から計算する。DRFU対log(リガンド濃度)をプロットしてEC
50値をGraph Pad Prismを用いて非線形回帰により決定する。アッセイは、3個のアッセイプレートにおいて3重に重複して実行する。
【0059】
抗体1を、0.2%BSAを含有するAssay Bufferで段階希釈する。抗体濃度は、最終アッセイ濃度の3倍(最終濃度は10から0.0195μg/mlの範囲)である。野生型ヒトCXCL8およびCXCL8突然変異体の原液を、Assay Buffer+0.2%BSAで240nM(8nMの最終アッセイ濃度x30)で調製する。20μLのリガンドを、V字底96−ウェルポリプロピレンプレートのウェル内で180μLの抗体1と混合する。リガンドおよび抗体を、室温で30分間インキュベーションする。細胞プレートおよびリガンド−抗体プレートを、50μLのリガンド−抗体を細胞プレートのウェルに移すようにプログラムした蛍光イメージングプレートリーダー(
Fluorescent
Imaging
Plate
Reader)(FLIPR−3、Molecular Devices)に装填する。蛍光は、1秒置きに90秒間記録する。蛍光の変化(DRFU)を、10から90の像から計算する。DRFU対log(抗体濃度)をプロットしてIC
50値をGraph Pad Prismを用いて非線形回帰により決定する。アッセイは、3個のアッセイプレートにおいて3重に重複して実行する。
【0060】
結合反応速度、生物活性、および中和結果を、表4に概説する。測定値は、25℃で取得する。それぞれのリガンドについてon−rate(k
on)およびoff−rate(k
off)を、「1:1(物質移動)結合」結合モデルを用いて評価する。親和力(K
D)は、関係式:K
D=k
off/k
onに従って結合反応速度から計算する。
【0061】
突然変異のいくつかは、受容体(EC
50)に対する活性がノックアウトされ、したがって、中和について試験することはできなかった。A35P突然変異は、受容体に対する完全な活性を有するにもかかわらず中和活性が完全に無効化されていることが留意される。これらの結果は、抗体結合に肝要なCXCL8抗原の結合界面内の重要な接触(R6、I10、A35、I40、およびL49)を強調する。
【表4】
【0062】
概して、抗体1に関するエピトープマッピング分析は、抗原の結合界面がELR
+ CXCケモカインのN末端(アミノ酸5〜13)、β1−β2ループ(アミノ酸33〜36)、ならびにβ2およびβ3ストランド(アミノ酸40、48〜50)を含むことを実証した。抗体結合に肝要なこの界面内の重要な接触には、CXCL8(配列番号27)におけるアミノ酸R6、I10、A35、I40、およびL49が含まれる。
【0063】
中和アッセイ
ヒトCXCR2−トランスフェクトHMEC細胞を用いたヒトELR+ CXCケモカインのin vitroでの中和
ELR
+ CXCケモカインの全てがCXCR2受容体に結合し得るので、in vitro調査のためにCXCR2発現細胞を選択した。HMEC−huCXCR2は、ヒトCXCR2受容体の発現のためにレトロウイルスで形質導入した不死化ヒト内皮細胞株である。ヒトCXCR2発現HMEC細胞は、ヒト、カニクイザル、ラット、およびマウスELR
+ CXCケモカインに反応して細胞内Ca
2+流入を誘導することができる。細胞内Ca
2+流入は、蛍光イメージングプレートリーダー(
Fluorescent
Imagine
Plate
Reader)(FLIPR)によって検出され得る。ケモカイン中和はしたがって、これらのケモカインによって誘導される細胞内Ca
2+流入も中和するべきである。
【0064】
HMEC−huCXCR2を、37℃で5%CO
2中10%ウシ胎児血清、2xGlutaMax、1x非必須アミノ酸、1μg/mLのヒドロコルチゾン、10ng/mLのヒト上皮成長因子、および0.4μg/mLのピューロマイシンを添加したMCDB 31培地内に保持する。培養物を、サブコンフルエント(sub−confluent)な密度(50〜80%コンフルエント)に維持した。細胞を、TrypLE Expressで採取し、細胞密度を、完全培養培地中3x10
5細胞/mLに調節して、100μLの細胞懸濁液を、黒色透明底アッセイプレートのウェルに播種する。細胞プレートを、室温で30分間インキュベーションして細胞をウェルの底に沈降させた後にプレートを、37℃で5%CO
2中で一晩インキュベーションする。それぞれのアッセイプレートについて、Fluo−4NW試薬の1個のバイアルの内容物を、10mLのAssay Bufferおよび100μLのプロベネシド中に懸濁させて1xFluo−4NW試薬を作成する。インキュベーション後、培養培地を吸引して100μLの1xFluo−4NW溶液をアッセイプレートのそれぞれのウェルに加える。プレートを、37℃で30分間その後さらに室温で30分間インキュベーションして光から保護する。抗体1を、0.2%BSAを含有するAssay Bufferで段階希釈する。抗体濃度は、3x最終アッセイ濃度(最終濃度は10〜0.0195μg/mLの範囲)である。リガンドの原液を、Assay Buffer+0.2%BSAで300nM(10nMの最終アッセイ濃度x30)で調製する。20μLのリガンドを、V字底96−ウェルポリプロピレンプレートのウェル内で180μLの抗体と混合する。リガンドおよび抗体を、室温で30分間インキュベーションする。細胞プレートおよびリガンド−抗体プレートを、50μLのリガンド−抗体を細胞プレートのウェルに移すようにプログラムした蛍光イメージングプレートリーダー(
Fluorescent
Imagine
Plate
Reader)(FLIPR−3、Molecular Devices)に装填する。蛍光は、90秒間毎秒記録する。蛍光の変化(DRFU)を、10から90の像から計算する。DRFU対log(抗体濃度)をプロットしてIC
50値をGraph Pad Prismを用いて非線形回帰により決定する。アッセイは、3個のアッセイプレート上で3重に重複して実行する。データを、反復試験の平均として表わす。
【0065】
表5に結果を概説する。これらの結果は、抗体1が、7種全てのヒトELR
+ CXCケモカインを中和することができたことを実証する。IC
50値は、抗体のμg/mLとして表わされる(標準偏差は括弧内)。CXCL8の72アミノ酸および77アミノ酸形態の両方を用いた。データは、2〜5反復試験の平均である。
【表5】
【0066】
初期段階のヒト好中球を用いたヒトCXCL8またはCXCL1誘導走化性のin vitroでの中和
CXCR1およびCXCR2の両方を天然に発現している細胞における抗体1の中和活性を測定するためにヒト好中球を用いる走化性アッセイを選択した。健常人からの末梢血を、2個の10mLナトリウムヘパリンチューブに引き込む。好中球を単離するために、5mLの血液を、4個の15mLチューブ中で5mLのポリモルホプレップ上に層化する。チューブを、470xg、18℃で30分間遠心分離する。血漿および最上部の細胞帯(単核細胞)は、取り出して破棄する。第2の帯(好中球)は、4個のチューブからプールして等体積のPBSを加える。チューブを、400xg、18℃で10分間遠心分離する。ペレットを、12mLのPBSで洗い、前のように遠心分離して、11mLのHBSS/BSA(7.5mg/mL BSA、HBSS)でペレットを再懸濁させる。60x10
6個の細胞を、12mLのHBSS/BSAおよび5μMのCMFDAに懸濁させて37℃で30分間インキュベーションする。インキュベーション後、チューブを遠心分離して細胞をペレット化し、12mLのHBSS/BSAで1回洗い、次いで細胞を12mLのHBSS/BSAに再懸濁させる(5x10
6細胞/mL)。
【0067】
抗体1およびアイソタイプ対照(ヒトIgG4抗体)を、HBSS/BSA(希釈剤1)を用いて1495nMに希釈し次いでHBSS/BSAで1:5に段階希釈する。CXCL8は、HBSS/BSAで20nMに希釈する。CXCL1は、HBSS/BSAで10.1nMに希釈する。
【0068】
70μLの抗体1またはHBSS/BSAを、70μLのCXCL8溶液またはCXCL1溶液のいずれかと混合して室温で約30分間インキュベーションする。30μLの混合物を、3重に重複したChemoTxプレートの下方のチャンバーウェルに分注する。HBSS/BSAのみを含有するウェル(ケモカインまたは抗体を含まない)は、バックグラウンド信号を示すであろう。ChemoTxフィルターを下方のチャンバー上に置いて50μL(250,000細胞)をそれぞれのウェルの上に分注する。ChemoTxプレートを、37℃、5%CO
2で3時間インキュベーションする。インキュベーション後、細胞をPBSで天面からすすいでChemoTxフィルターを除去する。蛍光は、底部検出器のみを用いて(Wallac Victor
3 1420計数器)485/535を示す。バックグラウンドウェル(HBSS/BSAのみ)の平均蛍光を、試験ウェル蛍光から引き、平均および標準偏差をExcelにおいて計算する。
【0069】
5nMのCXCL8濃度において、抗体1(MW 150,000kDa)のIC
50は、26.4(±0.236)nMであった。10nMのCXCL8濃度において、抗体1のIC
50は、43.7(±0.086)nMであった。5nMのCXCL1濃度において、抗体1のIC
50は、18.5(±0.158)nMであった。20nMのCXCL1濃度において、抗体1のIC
50は、40.3(±0.112)nMであった。CXCL1およびCXCL8の全ての試験した濃度において、アイソタイプ対照抗体は、走化性に影響しなかった。データは、走化活性はアイソタイプ対照抗体による影響を受けなかったが抗体1は用量依存的にヒトCXCL8またはCXCL1の走化活性をブロックし得ることを示す。
【0070】
マウスにおけるin vivoでの急性DSS大腸炎モデル
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)は、最も一般的に用いられる潰瘍性大腸炎(UC)のモデルである。本モデルにおいて、DSSは、飲料水に加えられてUCに類似する急性疾患を誘導する化学性刺激物である。DSS大腸炎の急性期は、粘膜および粘膜下組織への好中球の漸増、および増加したELR
+ CXCケモカインの発現によって特徴付けられる。しかしながら、DSSへの慢性暴露は、激しい消化管損傷および有意な体重減少を引き起こし、大腸炎モデルにおいては適さない。本モデルの急性の性質に対応するために、抗体1を、その好中球の漸増および大腸炎の発症を阻害する能力を試験するために予防的方法で用いる。本モデルにおいて留意すべきは、マウスCXCL5(LIX)タンパク質が、結腸組織(Kwon 2005)において有意に増加するが、抗体1はこのマウスケモカインを中和しないことである。
【0071】
C57BL/6マウス、8〜10週齢、重量18〜22g、を取得する。血液を、心臓穿刺によって収集して分析しベースラインを定める。大腸炎を誘導するために、マウスは、飲料水において2.5%DSS(MW=36,000〜50,000)を5日間(1〜5日目)、その後に続いてDSSを含まない水(急性炎症を反映する)を6日間受ける。対照健常マウスは、水のみを受ける(「DSS無し」群)。DSSを受けているマウスは、0、2、4、および8日目に皮下注射によってヒトIgG4対照抗体(25mg/kg)または抗体1(25mg/kg)を投薬する。体重を、毎日記録する。それぞれの処置のために用いたマウスの数は、9匹である(健常「DSS無し」群において用いられる5匹の健常マウスを除く)。本調査は、4重に実行する。
【0072】
表6に示すように、ヒトIgG4対照抗体を受けたDSSマウスは、5日目から8日目の間に劇的に体重減少した。大腸炎の誘導前および疾患の急性期の間に抗体1を受けたDSSマウスは、ヒトIgG4対照抗体で処置したDSSマウスの5日目から8日目の間の体重減少よりも少ない体重減少を示した(8日目におけるIgG4対照の初期体重85.3%に対して抗体1の初期体重94.0%)。これらの結果は、抗体1の全身投与がDSS誘導大腸炎における体重減少を効果的に軽減したことを実証し、抗体1がある種のマウスELR
+ CXCケモカインの活性を中和して結腸への好中球漸増を減少するという結論を裏付ける。
【表6】
【0073】
786−O腎明細胞異種移植モデルにおけるin vivoでの中和
786−O腎細胞腫(RCC)細胞を、マトリゲルと1:1で混合して無胸腺ヌード雌マウスの右脾腹の皮下に1注射当り3.0x10
6細胞で移植する。100mm
3に達した腫瘍体積を有する786−O異種移植担持マウスに、対照で処置したマウス(IgG4および10%ビヒクル)のようなスニチニブ処理下でもマウスの腫瘍成長が進行し始めるまで連続的な投与計画下で10mg/kgのスニチニブを1日2回強制経口投与した。スニチニブ療法中に腫瘍成長が進行していたマウスを、無作為に2つの群に分けた。一方の群は、スニチニブを10mg/kgで1日2回に加えて対照IgG4抗体を20mg/kgで週1回受ける。もう一方の群は、スニチニブ(suninitib)を10mg/kgで1日2回に加えて抗体1を20mg/kgで週1回受ける。平均腫瘍体積(括弧内は標準誤差)を、表7に示す。スニチニブ処置への抗体1の追加は、腫瘍成長を経時的に有意に減少し(p<0.0001)、抗体1がスニチニブ処置に対して明細胞RCC腫瘍を再感作したことを示した。
【表7】
【0074】
SKOV3−Luc卵巣がん異種移植モデルにおけるin vivoでの中和
SKOV3−Lucは、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現するヒト卵巣がん細胞株である。SKOV3−Luc細胞は、しばしばin vivoで用いられてヒト卵巣腺がん腫瘍成長を確立する。
【0075】
SKOV3−Luc卵巣がん細胞を、マトリゲルと1:1で混合して無胸腺ヌード雌マウスの右脾腹の皮下に1注射当り3.0x10
6細胞で移植する。マウスを、異種移植片が平均腫瘍体積200mm
3に成長した後の腫瘍体積に従ってベースライン時に4つの群に無作為化した。マウスは、対照IgG4抗体(2.5mg/kg 週1回)、シスプラチン(2.5mg/kg 週1回)、抗体1(20mg/kg 週1回)、またはシスプラチン(2.5mg.kg 週1回)と抗体1(20mg/kg 週1回)との組み合わせのいずれかを腹腔内注入により受けた。腫瘍成長を表8に示す。シスプラチン単剤療法は、アイソタイプ対照と比較して統計的に有意な腫瘍成長阻害を示さなかった。しかしながら、シスプラチンと抗体1との組み合わせは、アイソタイプ対照およびシスプラチン単剤療法と比較して統計的に有意な腫瘍成長阻害(p≦0.001)を示し、抗体1がSKOV3−Luc卵巣がん異種移植モデルにおける化学療法を相乗効果的に増強することを示した。
【表8】
【0076】
配列表
抗体1重鎖アミノ酸配列:配列番号1
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYEFTSYWIHWVRQAPGQGLEWMGNISPNSGSANYNEKFKSRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREGPYSYYPSREYYGSDLWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
抗体1重鎖可変領域:配列番号2
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYEFTSYWIHWVRQAPGQGLEWMGNISPNSGSANYNEKFKSRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREGPYSYYPSREYYGSDLWGQGTLVTVSS
抗体1軽鎖アミノ酸配列:配列番号3
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISNNLHWYQQKPGQAPRLLIYYTSRSVSGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCGQNNEWPEVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
抗体1軽鎖可変領域:配列番号4
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISNNLHWYQQKPGQAPRLLIYYTSRSVSGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCGQNNEWPEVFGGGTKVEIK
抗体1重鎖DNA配列:配列番号5
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGTGCTGAAGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCATCTGGCTACGAGTTCACCAGCTACTGGATTCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAAATATTTCTCCTAATAGTGGTAGTGCTAACTACAATGAGAAGTTCAAGAGCAGAGTCACCATGACCAGGGACACGTCCACGAGCACAGTCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGGGCCCTTACAGTTATTATCCGAGTAGGGAGTACTATGGCTCTGACCTCTGGGGGCAAGGGACCCTAGTCACAGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTCCTGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT
抗体1軽鎖DNA配列:配列番号6
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAAAGTATCAGCAATAACCTACACTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATTATACTTCCCGGTCCGTCTCTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTGGACAGAATAACGAGTGGCCTGAGGTGTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
抗体1/抗体2LCDR1:配列番号7
RASQSISNNLH
抗体1/抗体2LCDR2:配列番号8
YTSRSVS
抗体1/抗体2LCDR3:配列番号9
GQNNEWPEV
抗体1/抗体2HCDR1:配列番号10
GYEFTSYWIH
抗体1/抗体2HCDR2:配列番号11
NISPNSGSANYNEKFKS
抗体1HCDR3:配列番号12
EGPYSYYPSREYYGSDL
抗体2重鎖アミノ酸配列:配列番号13
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYEFTSYWIHWVRQAPGQGLEWMGNISPNSGSANYNEKFKSRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREGPYSYYPSRQYYGSDLWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
抗体2重鎖可変領域:配列番号14
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYEFTSYWIHWVRQAPGQGLEWMGNISPNSGSANYNEKFKSRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREGPYSYYPSRQYYGSDLWGQGTLVTVSS
抗体2軽鎖アミノ酸配列:配列番号15
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISNNLHWYQQKPGQAPRLLIYYTSRSVSGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCGQNNEWPEVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
抗体2軽鎖可変領域:配列番号16
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISNNLHWYQQKPGQAPRLLIYYTSRSVSGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCGQNNEWPEVFGGGTKVEIK
抗体2重鎖DNA配列:配列番号17
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGTGCTGAAGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCATCTGGCTACGAGTTCACCAGCTACTGGATTCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAAATATTTCTCCTAATAGTGGTAGTGCTAACTACAATGAGAAGTTCAAGAGCAGAGTCACCATGACCAGGGACACGTCCACGAGCACAGTCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGGGCCCTTACAGTTATTATCCGAGTAGGCAGTACTATGGCTCTGACCTCTGGGGGCAAGGGACCCTAGTCACAGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTCCTGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT
抗体2軽鎖DNA配列:配列番号18
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAAAGTATCAGCAATAACCTACACTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATTATACTTCCCGGTCCGTCTCTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTGGACAGAATAACGAGTGGCCTGAGGTGTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
抗体2HCDR3:配列番号19
EGPYSYYPSRQYYGSDL
HCDR3コンセンサス配列:配列番号20
EGPYSYYPSRXaaYYGSDL
(配列中、XaaはEまたはQである)
ヒトGro−アルファ(CXCL1):配列番号21
ASVATELRCQCLQTLQGIHPKNIQSVNVKSPGPHCAQTEVIATLKNGRKACLNPASPIVKKIIEKMLNSDKSN
ヒトGro−ベータ(CXCL2):配列番号22
APLATELRCQCLQTLQGIHLKNIQSVKVKSPGPHCAQTEVIATLKNGQKACLNPASPMVKKIIEKMLKNGKSN
ヒトGro−ガンマ(CXCL3):配列番号23
ASVVTELRCQCLQTLQGIHLKNIQSVNVRSPGPHCAQTEVIATLKNGKKACLNPASPMVQKIIEKILNKGSTN
ヒトENA−78(CXCL5):配列番号24
AAVLRELRCVCLQTTQGVHPKMISNLQVFAIGPQCSKVEVVASLKNGKEICLDPEAPFLKKVIQKILDGGNKEN
ヒトGCP−2(CXCL6):配列番号25
VSAVLTELRCTCLRVTLRVNPKTIGKLQVFPAGPQCSKVEVVASLKNGKQVCLDPEAPFLKKVIQKILDSGNKKN
ヒトNAP−2(CXCL7):配列番号26
AELRCMCIKTTSGIHPKNIQSLEVIGKGTHCNQVEVIATLKDGRKICLDPDAPRIKKIVQKKLAGDESAD
ヒトIL−8(CXCL8):配列番号27
SAKELRCQCIKTYSKPFHPKFIKELRVIESGPHCANTEIIVKLSDGRELCLDPKENWVQRVVEKFLKRAENS
本発明は以下を提供する。
[1]
ヒトGro−アルファ、Gro−ベータ、Gro−ガンマ、ENA−78、GCP−2、NAP−2、およびIL−8を中和する抗体。
[2]
前記抗体は、以下のアミノ酸:Arg6、Ile10、Arg35、Ile40においてIL−8(配列番号27)に結合する、請求項1に記載の抗体。
[3]
前記抗体は、Leu49においてIL−8(配列番号27)にさらに結合する、請求項2に記載の抗体。
[4]
前記抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)を含む軽鎖であって、前記LCVRが、LCDR1(RASQSISNNLH(配列番号7))、LCDR2(YTSRSVS(配列番号8))、およびLCDR3(GQNNEWPEV(配列番号9))を含む、前記軽鎖と、重鎖可変領域(HCVR)を含む重鎖であって、前記HCVRが、HCDR1(GYEFTSYWIH(配列番号10))、HCDR2(NISPNSGSANYNEKFKS(配列番号11))、およびHCDR3(EGPYSYYPSRXaaYYGSDL(配列番号20))(配列中、XaaはEまたはQである)を含む、前記重鎖とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
[5]
前記LCVRのアミノ酸配列は、配列番号4または16でありかつ前記HCVRのアミノ酸配列は、配列番号2または配列番号14である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体。
[6]
前記抗体が軽鎖および重鎖を含み、前記軽鎖のアミノ酸は配列番号3または15であり、かつ前記重鎖のアミノ酸は配列番号1または13である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体。
[7]
ヒトGro−アルファ、Gro−ベータ、Gro−ガンマ、ENA−78、GCP−2、NAP−2、およびIL−8に結合する抗体であって、前記抗体は、軽鎖および重鎖を含み、前記軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVR)を含みかつ前記重鎖は、重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRは、LCDR1、LCDR2、LCDR3を含みかつ前記HCVRは、HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む(ここで、LCDR1は、RASQSISNNLH(配列番号7)であり、LCDR2は、YTSRSVS(配列番号8)であり、LCDR3は、GQNNEWPEV(配列番号9)であり、HCDR1は、GYEFTSYWIH(配列番号10)であり、HCDR2は、NISPNSGSANYNEKFKS(配列番号11)であり、かつHCDR3は、EGPYSYYPSRXaaYYGSDL(配列番号20)(配列中、Xaaは、EまたはQ)である)、抗体。
[8]
前記HCVRのアミノ酸配列は、配列番号2または配列番号14である、請求項7に記載の抗体。
[9]
前記LCVRのアミノ酸配列は、配列番号4または16である、請求項7に記載の抗体。
[10]
前記HCVRのアミノ酸配列は、配列番号2でありかつ前記LCVRのアミノ酸配列は、配列番号4である、請求項7に記載の抗体。
[11]
前記重鎖のアミノ酸配列は、配列番号1でありかつ前記軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号3である、請求項7に記載の抗体。
[12]
前記抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有する2本の重鎖および配列番号3のアミノ酸配列を有する2本の軽鎖を含む、請求項7に記載の抗体。
[13]
配列番号1または13のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド配列を含み、かつ配列番号3または15のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む、DNA分子。
[14]
請求項13に記載のDNA分子を含む哺乳動物細胞であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の抗体を発現する能力を有する、細胞。
[15]
請求項1〜12のいずれか一項に記載の抗体を産生するプロセスであって、請求項14に記載の哺乳動物細胞を前記抗体が発現するような条件下で培養するステップと、前記発現した抗体を回収するステップとを含む、プロセス。
[16]
請求項15に記載のプロセスによって産生される、抗体。
[17]
患者における潰瘍性大腸炎、腎がん、または卵巣がんを治療する方法であって、請求項1〜12および16のいずれか一項に記載の抗体の治療的有効量を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[18]
療法における使用のための、請求項1〜12および16のいずれか一項に記載の抗体。
[19]
潰瘍性大腸炎、腎がん、または卵巣がんの治療における使用のための、請求項1〜12および16のいずれか一項に記載の抗体。