(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記差は、前記第一表示効果の表示から前記以降の表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換えることが、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲を減少させることを示し、前記方法が、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、請求項1に記載の方法。
前記差が閾値以下であることを判定すること、及び、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、請求項1に記載の方法。
前記差が閾値を超えることを判定すること、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための前記データを出力することを含む、請求項1に記載の方法。
前記異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための前記データが、前記第一表示効果を表すデータ値と閾値を表すデータ値との和を表すデータを含む、請求項1に記載の方法。
前記比較が、前記差を表すデータ値を計算するために、前記第一表示効果を表すデータ値を、前記以降の表示効果を表すデータ値と一緒に処理することを含む、請求項1に記載の方法。
前記第一表示効果を表す前記データが、前記第一表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための出力データであり、前記以降の表示効果を表す前記データが、前記エレクトロウェッティング素子が表示すべき意図された表示効果を示す入力データである、請求項1に記載の方法。
前記差に応じて、前記意図された表示効果の代わりに前記異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動すべきかどうかを評価することを含む、請求項8に記載の方法。
a)〜d)の複数のラウンドを実行することを含み、a)〜d)を実行する1ラウンドに対する前記第一表示効果を表す前記データが、a)〜d)を実行する前のラウンドからの出力データである、請求項8に記載の方法。
前記差は、前記第一表示効果の表示から前記以降の表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換えることが、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲を減少させることを示し、前記方法が、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、請求項12に記載の装置。
前記方法が、前記差が閾値以下であることを判定すること、及び、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、請求項12に記載の装置。
前記方法が、前記差が閾値を超えることを判定すること、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための前記データを出力することを含む、請求項12に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、エレクトロウェッティング・デバイスの実施例を表す部分断面図である。この実施例におけるデバイスは、複数のエレクトロウェッティング素子を含むエレクトロウェッティング表示デバイス1であり、エレクトロウェッティング素子は、画素2として、本図にその一つが示されている。画素の水平範囲は、図中の二本の破線3、4によって示されている。画素は、第一の支持プレート5及び第二の支持プレート6を構成する。支持プレートは、各画素に関わる別個の部品であってもよいが、支持プレートは、複数の画素のすべてに共通に共有されてもよい。支持プレートは、ガラスまたはポリマー・サブストレート6、7を含んでもよく、堅くとも、柔らかくともよい。
【0009】
表示デバイスには、表示デバイスが形成する画像すなわち表示を視認可能な視側面8と、後側面9がある。図においては、第一の支持プレート5が後側面9を定義し、第二の支持プレート6が視側面を定義する。択一的に、第一の支持プレートが視側面を定義してもよい。表示デバイスは、反射型、透過型または半透過型であってもよい。表示デバイスは、各セグメントが複数の画素を含み画像が複数のセグメントから構築されるセグメント表示タイプであってもよい。表示デバイスは、アクティブマトリクス駆動表示デバイス、ダイレクト駆動表示デバイスまたはパッシブ駆動表示デバイスであってもよい。複数の画素はモノクロームであってもよい。カラー表示デバイスについては、画素がグループ分けされ、各グループが異なる色を有してもよい。択一的に、個々の画素が、異なる色を示すことが可能であってもよい。
【0010】
支持プレート間のスペース10には、二つの流体が充填される。これら第一流体11及び第二流体12の少なくとも一方が液体であってもよい。第二流体は、第一流体に対して非混和性を有する。第二流体は、導電性または極性があり、水、あるいは塩化カリウムの水溶液などの食塩水でもよい。第二流体は、透明でもよいが、そうではなく、吸収または反射する白に着色されてもよい。第一流体は、非導電性であり、例えば、ヘキサデカンのようなアルカンでもよい、あるいはシリコンオイル等の油でもよい。
【0011】
第一流体は、少なくとも光スペクトルの一部を吸収する。第一流体は、光スペクトルの一部に対して透過性を有し、カラーフィルタを形成してもよい。この目的で、第一流体は、ピグメント粒子、すなわち色素の添加によって着色されてもよい。択一的に、第一流体は、黒、すなわち光スペクトルの実質的にすべての部分を吸収してもよい、あるいは反射してもよい。反射性を有する第一流体は、可視光の全スペクトルを反射させてもよい。この場合はその層が白く見える。あるいはその一部を反射させて色を有するようにしてもよい。
【0012】
支持プレート5は絶縁層13を含む。絶縁層は、透明でもよい、あるいは反射性を有してもよい。絶縁層13は、画素の壁間に延在してもよい。第二流体12と、絶縁層の下に配置される電極との間の短絡を回避するために、絶縁層のレイヤは、図示のように、複数の画素2を覆うように連続的に延在してもよい。絶縁層は、画素2のスペース10に対向する面14を有する。この実施例における面14は、疎水性を有する。絶縁層の厚さは、2マイクロメートル未満でよい、また、1マイクロメートル未満でもよい。
【0013】
絶縁層が疎水層であってもよい。択一的に、疎水層15と、所定の誘電性を有する障壁層16を含んで、図示のように疎水層15がスペース10に対向してもよい。疎水層は、
図1に概略的に示すが、テフロン(商標)AF1600から形成されてもよい。障壁層16は、サブストレートの平面に対して直角な方向における厚さが、100ナノメートル〜150ナノメートルであってもよく、また、酸化シリコンまたは窒化シリコンのような無機材料、または、これらのスタック(例えば、酸化シリコン・窒化シリコン・酸化シリコン)、あるいはポリイミドまたはパリレンのような有機材料から形成されてもよい。障壁層は、異なる誘電率を有する多数の層を備えてもよい。
【0014】
面14の疎水特性は、第一流体11を絶縁層13へ優先的に付着させる。その理由は、第一流体が、第二流体12よりも絶縁層13の面に対する高い湿潤度を有するためである。湿潤度は、固体の表面に対する流体の相対的な親和性に関する。湿潤度は、流体と固体の表面との接触角によって測定してもよい。接触角は、流体固体境界面における流体及び固体間の表面張力の違いによって決定される。例えば、表面張力の差が大きいことは、疎水性を示す可能性がある。
【0015】
各画素2は、支持プレート5の一部として電極17を含む。図示の実施例では、そのような電極17が、画素毎に一つ設けられている。電極17は、絶縁層13によって流体から分離されており、近隣の画素の電極は、非導電層によって分離されている。いくつかの実施例における絶縁層13と電極17との間には、さらに多くの層を配置してもよい。電極17は、いかなる所望の形状または形態であってもよい。画素の電極17には、図に概略的に示す信号ライン18によって電圧信号が供給される。導電性を有する第二流体12に接触している電極へは、第二の信号ライン19が結合されている。この電極は、第二流体によって流体的に相互接続され、壁によって途切れることなくその流体を共有する場合、すべての画素に対して共通なものであってもよい。画素2は、信号ライン18及び19間に加える電圧Vによって制御可能である。サブストレート7上の電極17は、表示制御装置へ結合される。マトリックス状に配置された画素を含む表示デバイスにおいては、電極は、サブストレート7上の制御ラインのマトリックスへ結合できる。
【0016】
この実施例における第一流体11は、画素の横断面に従う壁20によって、一つの画素に閉じ込められている。画素の横断面は、どのような形状であってもよい。画素がマトリックス状に配置された場合、横断面は、通常、正方形状または長方形状である。絶縁層13から突出する構造として壁を表しているが、その代わりに、親水層、あるいは疎水性がより小さな層などの、第一流体をはじく支持プレートの表面層であってもよい。壁は、第一から第二の支持プレートへ延在していてもよいが、そうではなく、
図1に示すように第一の支持プレートから第二の支持プレートへ部分的に延在してもよい。破線3及び4によって示す画素の範囲は、壁20の中心によって区画される。破線21及び22によって示す画素の壁間の面14の領域は、表示領域23と呼ばれ、この領域に対して表示効果が現れるのである。表示効果は、第一及び第二流体が、表示領域によって区画された面に接合する程度に依存し、このことは、上記説明の印加電圧Vの大きさに依存する。したがって、印加電圧Vの大きさが、エレクトロウェッティング素子内における第一及び第二流体の構成を決定するのである。エレクトロウェッティング素子を一つの流体構成から異なる流体構成へ切り換えると、各々、第二流体の表示領域面への接合程度は増加または減少し、第一流体の表示領域面への接合程度は減少または増加してもよい。
【0017】
図2は、第一の支持プレートの疎水層を表す平面図に、長方形状画素のマトリックスを示す。
図1の破線3及び4に対応する、
図2に示す中央画素の範囲が、破線25によって示されている。線26が、壁の内側境界を示す。この線は、表示領域23の縁でもある。
【0018】
電極間に電圧が印加されていないとき、すなわちエレクトロウェッティング素子がオフ状態にあるとき、第一流体11は、
図1に示すように、壁20間で層を形成する。電圧印加は、例えば、
図1中の破線形状24で示すように、第一流体を壁に対して収縮させる。印加電圧の大きさに依存させて制御可能な第一流体の形状は、画素を光バルブとして作動させるために用いられ、表示領域23に表示効果を提供する。例えば、第二流体の表示領域との接触面を増加させるよう流体を切り換えて、画素が提供する表示効果の明るさを増加させてもよい。
【0019】
図4は、上記説明のようなエレクトロウェッティング素子を制御するためのコントロール装置の実施例を概略的に表す。この装置は、エレクトロウェッティング表示デバイスに、例えばマトリックスとして配置された複数のエレクトロウェッティング素子を制御する。この実施例におけるコントロール装置は、エレクトロウェッティング素子(複数可)の、いわゆるダイレクト駆動のためのものであり、支持プレート6に取り付けられる集積回路の形態を採ってもよい。そのようなコントロール装置は、本技術において周知であるアクティブ・マトリックス型ディスプレイが採用している場合もある。コントロール装置28は、制御ロジック及び切換ロジックを含む。この装置は、複数の信号ライン30と共通信号ライン32によって、各エレクトロウェッティング素子へ結合される。各電極信号ライン30は、コントロール装置28から、各々異なる電極17への出力に結合される。共通信号ラインは、電極を介して第二流体10へ結合される。一つまたは複数の入力データ・ライン34も含まれ、これらによって、コントロール装置は、エレクトロウェッティング素子の各々に対する所望の表示効果を示すデータで指示を受けることが可能である。この入力データは、例えば、ビデオ・データであってもよい。
【0020】
コントロール装置の実施例は、入力データ・ライン34から、表示すべき画像に関する入力データを受信する図示の表示コントローラ36等のコントローラ、例えばマイクロコントローラを含む。
【0021】
表示コントローラは、信号ライン30、32を介して電極17と第二の流体との間に印加される電圧を制御するように構成される。この電圧によって、エレクトロウェッティング素子内に電界が提供され、第一及び第二流体の構成が決定され、また、エレクトロウェッティング素子が提供する表示効果も決定される。表示コントローラは、各画素に対する少なくとも一つの信号レベルのタイミング及び/または信号レベルを制御する。
【0022】
表示コントローラの出力38は、信号分配器及びデータ出力ラッチ40のデータ入力へ結合される。信号分配器は、例えばドライバを介して、表示デバイスへ結合された複数の出力に対して、着信データを分配する。信号分配器は、特定な画素が特定な表示効果を提供すべきことを示すデータ入力が、その画素へ結合された出力へ送信されるよう計らう。この分配器は、シフト・レジスタであってもよい。入力データはシフト・レジスタ内へクロック同期され、ラッチ・パルスを受信した際に、シフト・レジスタのコンテンツが出力ラッチへコピーされる。出力ラッチは、ドライバ・アセンブリ42へ結合された一つまたは複数の出力を有する。ラッチの出力は、コントロール装置内の一つまたは複数のドライバ・ステージ44の入力へ結合される。各ドライバ・ステージの出力は、信号ライン30及び32を介して対応する画素へ結合される。入力データ34に応答して、ドライバ・ステージは、画素の一つがそれに対応する表示効果を提供するように設定するための、表示コントローラによって設定された信号レベルの電圧を出力する。
【0023】
第一及び第二流体をオフ状態からオン状態へ切り換える電圧を印加した場合、第一流体は、
図1に図解するように収縮してもよい。しかし、いくつかの状況にあっては、第一流体は、このように収縮しなくともよい。代わりに、第一流体は、断片化してもよい、すなわち分裂、複数の部分に分かれてもよい。すなわち、面14上には、
図1中の破線24で示すような一つの収縮部ではなく、第一流体の複数の断片が生じることになる。各破片は、面上に、一見ランダムに分布してもよい。この断片化によって、エレクトロウェッティング素子が提供する表示効果の品質は、低減する場合がある。オフ状態であるときに、また、いくつかの状況では、流体がオン状態にある場合に、流体に電圧を印加すると断片化が発生することがある、ということに注目すべきである。
【0024】
いずれの理論にも束縛されずに述べれば、断片化の原因は、オフ状態にある流体へ電圧を印加すると、例えば、流体移動が、面上の他の複数の位置で始まる前に一箇所で開始されるのではなく、第一及び第二流体の移動が、面上の複数の異なる位置で実質的に同時に開始されるためである、と思われる。本文で用いる用語「実質的に同時に」は、異なる位置での流体移動開始タイミングが、断片化を生じるようなものであることを意味する。いくつかのケースにおける断片化は、第一及び第二流体間のメニスカスの周縁、すなわち、リムに沿った点ではなく、むしろ、面上の第一流体のボディ内で開始されて発生する可能性がある。連続するラインに沿う部分で流体移動が開始されるというよりは、むしろ、多数の開始箇所は、相互から不連続、すなわち面上で相互から分離しているのかも知れない。多数の箇所での開始は、例えば、エレクトロウェッティング素子の表面上の粒子及び/または製造不良に起因している可能性がある。断片化は、後に説明するように、第一の表示効果から以降の表示効果へ切り換わる際に発生し得る。注目すべきは、表示領域面への第二流体の接触範囲を減少させるように切り換わるときには、後に説明するように、断片化が発生しない可能性があることである。
【0025】
分かっていることは、第一及び第二流体の一つの構成から異なる構成へエレクトロウェッティング素子を切り換える際の、第一流体の断片化の可能性は、流体が切り換わる前の流体構成に対する印加電圧と、流体が切り換わった後の流体構成に対する印加電圧との差に依存していることである。例えば、黒色表示効果を提供可能なオフ状態に対応する構成から、白色表示効果を提供可能な、第一流体が完全に収縮する流体構成へ直接的に流体を切り換えるのに必要な印加電圧の変化は、オフ状態の構成から、面の90%に第一流体が接合する構成へ流体を切り換える印加電圧の変化に比べ、より断片化を生じる可能性がある。過度に高い電圧があまりに急速に適用されると断片化が発生する可能性がある。したがって、本文で説明する実施例における切り換え電圧の大きさは、一連のフレームに渡る等、より長時間に渡って段階的に印加されてもよい、それによって、他の表示効果を介して所望の表示効果へ素子を間接的に駆動して、断片化を低減または阻止する。そのような間接駆動は、所望の表示効果の代わりに異なる表示効果が表示されるので、直観的なものではない。
【0026】
後述する実施例によれば、
図1及び2を用いて説明する等の、エレクトロウェッティング素子の制御方法が提供される。その方法は、
図3のフローチャートとして表され、以下のことを含む。
a)エレクトロウェッティング素子による表示のための第一表示効果を表すデータを受信すること。
b)第一表示効果の表示後のエレクトロウェッティング素子による表示のための以降の表示効果を表すデータを受信すること。
c)第一表示効果の表示と以降の表示効果の表示との間における第二流体が面に接合する範囲の変化を示す差を判定するために、第一表示効果を表すデータを前記以降の表示効果を表すデータに比較すること。及び
d)前記差に応じて、第一表示効果の表示後に連続的に、以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるようにエレクトロウェッティング素子を駆動するデータを選択的に出力すること。
【0027】
そのような方法は、エレクトロウェッティング素子の表示効果の品質を改善する。第一表示効果を表すデータと、下記に説明する第二表示効果などの、以降の表示効果を表すデータとを比較することによって、エレクトロウェッティング素子は、必要に応じて以降の表示効果の代わりに、異なる表示効果へ素子を駆動することによって、第一流体の断片化の発生の可能性を低減または解消するように駆動されてもよい。第二表示効果の代わりに異なる表示効果を提供するにもかかわらず、表示される表示効果の品質は、第一流体の断片化が発生する可能性が減少または解消されるので、改善される可能性がある。
【0028】
下記に説明する実施例による方法は、エレクトロウェッティング素子が一つの表示効果から他の表示効果へ切り換えられることにより第二流体の表示領域面への接合範囲が増加または減少するときはいつでも、実行されてもよい。しかし、断片化は、第二流体の接合面を増加させるように切り換わる場合に観察されるが、第二流体の接合面を低減させるように切り換わる場合、例えば、オフ状態へ切り換わる場合は、そうではない。したがって、いくつかの実施例では、比較から判定された差が、第一表示効果から以降の表示効果へのエレクトロウェッティング素子の切り換えが、第二流体の面に接合する範囲を増加させることを示す場合、その差に応じて、データ出力は選択的である。そうではなく、この差が、第一表示効果から以降の表示効果へのエレクトロウェッティング素子の切り換えが、第二流体の面に接合する範囲を減少させることを示す場合、データ出力は、第一表示効果の後に連続的に以降の表示効果を表示するようエレクトロウェッティング素子を駆動することが目的である。
【0029】
さて、そのような方法の実施例を、
図5a〜5eを参照して説明する。この実施例の表示コントローラ36は、プロセッサ44と少なくとも一つのメモリ46を含んで図示されている。
【0030】
図5aを参照する。入力データIDnは、表示コントローラへ、特に、入力インターフェイス(図示せず)を介してこの実施例のプロセッサへ入力48される。図におけるIDは、入力データを表し、nは、エレクトロウェッティング素子による表示を意図して入力データによって表された表示効果を指す。入力データIDnは、第一表示効果と一つまたは複数の以降の表示効果とに対応する入力データを含む。この実施例における入力データIDnは、入力第一表示効果ID1に対応する入力データID1、及び、各々第二、第三及び第四の以降の入力表示効果に対応する入力データID2、ID3、ID4を含む。表示コントローラ36は、少なくとも一つの表示効果DEnを表示するためにエレクトロウェッティング素子を駆動するよう、出力インターフェイス(図示せず)を介してデータを出力50する。この場合のDEは、表示効果を指し、nは、出力データが表す表示効果を指す。
図5eを参照する。この実施例においては、表示効果DEnに対する出力データは、第一表示効果DE1と一つまたは複数の以降の表示効果に対応してそれらを表すデータを含む。この実施例における以降の表示効果は、エレクトロウェッティング素子が表示すべき第二DE2、第三DE3及び第四DE4の表示効果を含む。出力データが表す表示効果DEnは、下記に説明するように、対応する入力データIDnが表す表示効果とは異なってもよい。
【0031】
入力データ及び/または出力データは、所定のグレースケール・レベルに対応させて、所定の表示効果を表示するためにエレクトロウェッティング素子に印加すべき電圧レベル値を表してもよい。択一的に、入力データ及び/または出力データは、所定の表示効果を表示するためのビット深度値を表してもよい。例えば、255ビット深度スキームにおいて、ビット深度0は、黒色表示効果、すなわち、エレクトロウェッティング素子のオフ状態を表してもよい。ビット深度255は、白色表示効果、すなわち、第一流体を完全に収縮させた表示効果を表してもよい。この実施例における第一、第二、第三及び第四の表示効果に対する入力データID1、ID2、ID3、ID4は、各々、0、255、255、255のビット深度値を表す。この実施例における第一、第二、第三及び第四の表示効果DE1、DE2、DE3、DE4に対する出力データは、各々、0、100、200、255のビット深度値を表す。入出力データの以降の表示効果の各々は、例えば60Hzのフレーム・レートでエレクトロウェッティング素子を駆動するための、以降の表示フレームに対応する。
【0032】
図5a〜5eは、順番に、各入力表示効果に対する表示コントローラによる入力データ処理を示す。このように、上記説明の、a)〜d)の複数ラウンドが実行されてもよい。
【0033】
図5aを参照する。第一表示効果のための入力データID1が、プロセッサ44へ入力48される。入力データID1は、エレクトロウェッティング素子のオフ状態に対応する黒色表示効果を表す。入力データID1は、
図5aに図示するように、プロセッサ44によって処理され、プロセッサが、保存のためのメモリ46へ、エレクトロウェッティング素子による表示のための第一表示効果DE1を表すデータを出力52する。そのあと、第一表示効果DE1に対するデータは、エレクトロウェッティング素子による表示のために出力50される。出力第一表示効果DE1は、入力データID1の第一表示効果と同じである。一つの実施例においては、これは、第一表示効果に対する入力データID1が、入力データのシーケンスにおける最初であるためである。すなわち、比較を実行するための以前の入力表示効果がないことを意味する。
【0034】
第一表示効果を表すデータDE1がメモリ46から出力50されるとき、
図5bに示すように、第二表示効果のための入力データID2がプロセッサ44へ入力48される。したがって、プロセッサ44は、以降の表示効果を表すデータ、このケースでは第二表示効果に対する入力データID2を受信する。さらに、第一表示効果を表す出力データDE1がプロセッサ44へ入力54される。したがって、表示コントローラ、この実施例においては特にプロセッサが、第一表示効果を表すデータDE1を受信する。第一表示効果を表すデータDE1は、上記方法のa)〜d)を実行する先のラウンドから出力されたデータであってもよい。
【0035】
プロセッサは、第一表示効果DE1と入力データID2の第二表示効果との間の差を判定するために、第一表示効果を表すデータDE1を、入力データID2の第二表示効果を表すデータに比較する。したがって、この比較は、差を表すデータ値を計算するために、以降の表示効果を表すデータ値と一緒に第一表示効果を表すデータ値を処理することを含む。この差は、表示される第一表示効果DE1と、表示されることを意図した第二表示効果との間における、表示領域面に対する第二流体の接合範囲の変化を示すものである。したがって、この差は、第一表示効果DE1の表示から、意図された第二表示効果の表示へ、エレクトロウェッティング素子を切り換えるのに印加すべき印加電圧の変化を示すものである。
【0036】
その差に応じて、プロセッサは、第一表示効果DE1の表示後に連続的に、入力データID2の第二表示効果を表示させるようにエレクトロウェッティング素子を駆動するための、または、第一表示効果DE1の表示後に連続的に、入力データID2の第二表示効果とは異なる第二表示効果を表示させるようにエレクトロウェッティング素子を駆動するための、いずれかの第二表示効果を表すデータDE2を出力する。したがって、その差に応じて、意図された第二表示効果の代わりに異なる第二表示効果を表示させるようにエレクトロウェッティング素子を駆動すべきかどうかが評価される。本文の用語「連続的に」は、表示効果を表示させるように素子を駆動する各々の駆動作用間の周期は、時間変化してもよいが、それら周期の間に、他の表示効果へ素子を駆動する駆動作用が全く存在しない、と理解すべきである。このようにすれば、第一表示効果を表示するように素子が駆動された周期の直後に、素子は、差に応じて、第二表示効果または異なる第二表示効果を表示するように駆動される。
【0037】
この実施例においては、プロセッサによって出力52された第二表示効果を表すデータDE2は、100のビット深度値を有する第二表示効果を表すデータであり、255のビット深度値を有する入力データの第二表示効果を表すデータとは異なる。したがって、エレクトロウェッティング素子は、最初に、黒色第一表示効果へ、それから、入力データID2の意図された白色第二表示効果ではなく、暗灰色の第二表示効果へ駆動される。この場合、暗灰色表示効果は、黒色表示効果よりも高い輝度を有する。
【0038】
第二表示効果を表す入力データID2と同じ、あるいは異なる第二表示効果を表すデータDE2を出力すべきかどうかの決定は、比較からの差が閾値以下であるかどうか、または、差が閾値を超えているかどうかに依存する。この差が閾値以下である場合は、出力第二表示効果DE2は、入力データの第二表示効果ID2と同じである。しかし、この差が閾値を超える場合、出力第二表示効果DE2は、入力データの第二表示効果ID2とは異なる。
【0039】
この実施例における閾値は、第一流体の断片化を発生させずに、一つの表示効果から他の表示効果へエレクトロウェッティング素子を切り換える際の、表示領域面に対する第二流体の接合範囲における最大変化に対応する。このため、この閾値は、断片化が発生する前の表示効果における最大許容変化に対応させてもよい。この閾値は、断片化を生じ得る表示領域面へ接合する第二流体の範囲の所定変化へ、ビット深度値または電圧値の各々を対応させてもよい。この実施例は、閾値に対するビット深度値と表示効果を表すデータとに関連させて説明しているが、更なる実施例では、代わりに、閾値と、表示効果を表すデータが電圧値に関係するケースも想定される。
【0040】
したがって、第二表示効果に対する入力データID2が閾値を超える場合、すなわち、第一表示効果DE1から、意図された第二表示効果への表示効果の変化が断片化を生じることを意味する場合、プロセッサは、入力データID2の意図された第二表示効果とは異なる第二表示効果を表すデータDE2を出力する。この実施例においては、したがって、プロセッサは、断片化の発生を低減または阻止するために、第一表示効果DE1からの表示効果変化を限定する、すなわち制限する。この実施例においては、プロセッサは、第一表示効果プラス閾値を表して表示される第二表示効果DE2に対するデータ、すなわち、第一表示効果を表すデータ値と閾値を表すデータ値の和を表すデータを出力する。したがって、入力データ及び出力データがビット深度値を表し、閾値もビット深度値であるこの実施例においては、この例の閾値が100であり、第一表示効果を表すデータ値DE1と入力データID2の第二表示効果を表すデータ値との差が、255−0=255である。これは閾値を超えるため、出力第二表示効果DE2は、0+100=100である。
【0041】
上記説明のように、表示効果の切り換えが、第二流体の表示領域面との接合を増加させる場合に、断片化が発生する可能性がある。したがって、本実施例においては、出力第二表示効果DE2が、入力データID2の意図された第二表示効果とは異なり、且つ第一表示効果DE1に比べ、第二流体による面接合の範囲がより大きい場合、異なる第二表示効果DE2が出力される。そのケースでなければ、すなわち、意図された第二表示効果における第二流体による面接合の範囲が、第一表示効果DE1に比べ、より小さい場合、第二表示効果を表す出力データDE2は、入力データID2の意図された第二表示効果と同じである。
【0042】
図5bを用いて説明したプロセスは、
図5c〜5eを使用して以下に説明するように、入力データIDn表示効果の各々に対して順番に繰り返される。
【0043】
図5cを参照する。第二表示効果に対するデータDE2が、第一表示効果DE1の後に連続的に、今、エレクトロウェッティング素子による表示のために出力50された。第三の表示効果に対する入力データID3が、プロセッサ44へ入力48され、第二表示効果を表すデータDE2に比較される。この第二表示効果データDE2は、プロセッサへフィードバック54されている。この実施例における入力データID3は、255のビット深度値、すなわち白色状態を表す。ビット深度値100の第二表示効果を表すデータDE2とビット深度値255の入力データID3との差は、閾値100よりも大きい。したがって、プロセッサは、意図された第三の表示効果とは異なる第三の表示効果を表すデータDE3を出力する。したがって、第三の表示効果DE3は、第二表示効果DE2ビット深度値プラス閾値のデータ値、すなわち、100+100=200によって表される。これは、明灰色の第三表示効果DE3に相当し、ビット深度値255の意図された白色表示効果に代わるものである。
【0044】
図5dを参照する。第三表示効果に対するデータDE3が、第二表示効果DE2の後に連続的に、今、エレクトロウェッティング素子による表示のために出力50された。第四表示効果に対する入力データID4が、プロセッサ44へ入力48され、第三表示効果を表すデータDE3に比較される。この実施例における入力データID4は、255のビット深度値、すなわち白色状態を表す。ビット深度値200の第三表示効果を表すデータDE3と255の入力データID4との差は、閾値100未満である。したがって、プロセッサは、入力データID4の意図された第四表示効果と同じ第四表示効果を表すデータDE4、すなわち、255のビット深度値を出力する。
【0045】
図5eを参照する。入力データが、これ以上なく、且つ第四表示効果DE4が、今、エレクトロウェッティング素子による表示のために出力された。
【0046】
図5a〜5eの実施例で説明の、プロセッサによって実行されるアルゴリズムは、以下のように記述されてもよい。
(IDn−DEn−1)>Tならば、DEn=IDn+Tであり、そうでなければ、DEn=IDnである。この場合のTは閾値である。ゆえに、
図5a〜5eの実施例については、各表示効果に対する入力データが、ビット深度値ID1=0、ID2=255、ID3=255、ID4=255であり、表示効果を表す対応出力データが、ビット深度値DE1=0、ID2=100、ID3=200、ID4=255である。
【0047】
図5a〜5eに説明の実施例は、一つのエレクトロウェッティング素子に関わるが、同方法が、表示デバイスの複数のエレクトロウェッティング素子の各々のエレクトロウェッティング素子に対して実行されてもよいことは理解すべきである。したがって、メモリ46は、一つの表示フレームに対する各エレクトロウェッティング素子の表示効果を表すデータを保存してもよい。したがって、メモリは、フレーム・バッファとして作用する。
【0048】
更なる実施例も想定される。例えば、
図5a〜5eを用いて上記に説明した実施例では、表示効果を表す第二、第三及び第四の入力データは、255のビット深度を有し、アルゴリズムによるビット深度値100の増分で、ビット深度0の第一表示効果DE1の表示から、段階的にビット深度255の第四表示効果の表示へエレクトロウェッティング素子を駆動するための十分な数のフレームを提供する。しかし、更なる実施例では、第一表示効果が、0のビット深度値を有してもよく、第二の意図された表示効果が、200のビット深度を有してもよく、第三表示効果が、0のビット深度値を有してもよい。この場合、最終所望ビット深度200へエレクトロウェッティング素子を駆動するための、閾値100による段階的な第二表示効果ではフレームが不十分である。このことに対処する一つの実施例は、上記説明のアルゴリズムを適用することであり、第二表示効果が、例えば、100のビット値を有することを意味する。もう一つの実施例は、第一フレームの後に連続的に、すなわち、第一表示効果に対応する第一フレームと第二表示効果に対応する第二フレームとの間に、少なくとも一つの中間フレームを挿入することである。少なくとも一つの中間フレームは、上記説明の比較に基づいて、すなわち、iiに従って出力される少なくとも一つの異なる表示効果に対応してもよい。中間フレームの異なる表示効果へエレクトロウェッティング素子を駆動した後に、データは、意図された第二表示効果に従って第二表示効果を表示するようにエレクトロウェッティング素子を駆動するように出力されてもよい。このように、中間フレームを追加することによって、エレクトロウェッティング素子は、ビット深度値0、それから100、それから200と駆動されてもよい。この場合の0及び200値は、各々、第一及び第二フレームに対応する。したがって、この実施例における中間フレームのようなものを追加することは、第一表示フレームから第二表示フレームへエレクトロウェッティング素子を駆動するフレーム・レートを2倍にし、より遅いフレーム・レートなしに所望の表示効果を提供する。この原理は、複数の中間表示効果を追加するために、更なる実施例に適用されてもよい。これによって、フレーム・レートをさらに増大させてもよい。
【0049】
更なる実施例では、エレクトロウェッティング素子が切り換えられる前の表示効果に応じて、複数の閾値が存在してもよい。例えば、オフ状態から切り換える際に、第二流体の面に接合する範囲に任意の変化をもたらすためには、エレクトロウェッティング素子がオフ状態でない表示効果から切り換える場合に必要な電圧に比べ、より大きな電圧が必要な場合がある。これは、例えば、オフ状態からの切り換えの際の、流体の面及び壁との追加の表面張力を克服しなければならないことによる。したがって、閾値は、エレクトロウェッティング素子をオフ状態から切り換えるための最小閾値以上であってもよい。さらに、エレクトロウェッティング素子がオフ状態にある場合、第一流体層は、オフ状態でない表示効果に対して部分的に収縮されたときの第一流体の厚さに比べ、より薄い厚さを有する。より薄い第一流体では、より厚い第一流体層に比べ、第一流体は、より断片化する可能性がある。したがって、エレクトロウェッティング素子が切り換えられる前の表示効果に応じて、異なる閾値が用いられてもよい。例えば、オフ状態からの切り換えの際に低閾値が用いられてもよいが、第一流体層がより厚いオン状態からの切り換えの際には、高閾値が用いられてもよい。いくつかの実施例では、第一流体の収縮度の上昇に応じて、表示効果の切り換えの際の閾値を増加させてもよい。
【0050】
上記に閾値100の実施例を示したが、閾値(複数可)は、エレクトロウェッティング素子の特定な構造パラメータと駆動に使用される電圧の大きさに応じる断片化の可能性に依存するため、代替実施例においては、閾値が異なる場合も想定される。閾値(複数可)は、エレクトロウェッティング素子の製造時に決定されてもよい。その時に、表示コントローラは、それに応じた閾値(複数可)でプログラムされてもよい。
【0051】
図5a〜5eを用いた上記実施例では、第一表示効果に対する入力データID1の前に、表示効果は全く与えられていない。これは、エレクトロウェッティング素子が、入力データを受信する前にオフ状態にあってもよいためである。そうであれば、素子を駆動するための第一表示効果DE1を決定するための、第一表示効果の入力データID1との比較に、オフ状態に対応する表示効果を表すデータが、素子の開始表示効果としてプロセッサによって使用されてもよい。上記実施例における入力データID1は、オフ状態に対応するため、異なる表示効果ではない第一表示効果DE1が素子へ出力される。
【0052】
上記実施例においては、比較に使用される以降の表示効果は、第二表示効果である。更なる実施例においては、エレクトロウェッティング素子の表示効果を決定するための出力データを決定するために、異なる、あるいは複数の以降の表示効果が比較に使用されてもよいことが想定される。
【0053】
上記実施例における閾値は、表示領域面に対する第二流体の接合範囲における、断片化の発生のない最大変化に対応する。他の実施例における閾値は、第二流体接合範囲の最大変化よりも低い、断片化の発生のないものに対応してもよい。
【0054】
上記説明の実施例における表示コントローラは、プロセッサを含む。このプロセッサは、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、専用集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリート・ゲートまたはトランジスターロジック、離散のハードウェア構成要素、または本文で説明する機能を実行するように設計された、任意の適切なそれらの組み合わせであってもよい。プロセッサは、コンピューティング・デバイスの組み合わせとして実施されてもよい。例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた一つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成であってもよい。プロセッサは、一つまたは複数のバスを介して、上記のメモリ46等の一つまたは複数のメモリから情報を読む、あるいはメモリへ情報を書き込むように連結させてもよい。プロセッサは、さらに、あるいは択一的に、プロセッサ・レジスタ等のメモリを含んでもよい。これらのメモリのどれかが、上記説明のように表示効果データを保存してもよい。そのようなメモリは、また、コンピュータ可読命令、すなわちコンピュータ・ソフトウェアを含む非一時的なコンピュータ可読記憶メディアであってもよい。ソフトウェアは、実行されると、少なくとも一つのプロセッサに、本文で説明の実施例による方法、例えば上記説明のアルゴリズムを実行させる。したがって、そのようなコンピュータ・ソフトウェアは、本文の実施例の方法を実行するように適応されている。一つまたは複数のメモリは、プロセッサ・キャッシュを含んでもよく、異なるレベルが異なる容量及びアクセス速度を有するマルチレベル階層キャッシュを含んでもよい。メモリは、さらに、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び他の揮発性記憶デバイスを含んでもよい。
【0055】
表示コントローラは、アナログ駆動スキームを用いてエレクトロウェッティング素子を駆動するように構成されてもよい。代替駆動スキームも想定される。例えば、半アナログ・スキーム(パルス幅変調(PWM)を有するアナログ)を用いてもよい。そのような半アナログ・スキームにおける表示効果は、電圧の振幅と電圧印加時間の組み合わせによって決定される。他の実施例においては、パルス幅変調スキームが用いられてもよい。
【0056】
以下の条項セクションに、更なる実施例を提示する。
【0057】
どの実施例に関して説明された特徴も、単独で、あるいは説明された他の特徴との組み合わせで使用されてもよく、また、他の実施例の一つまたは複数の特徴との組み合わせ、または他の実施例との組み合わせで使用されてもよいことは理解すべきである。さらに、上記に説明のない相当案及び修正案も、付随の請求項の範囲を逸脱せずに用いられてもよい。
【0058】
条項
1.第一流体と前記第一流体に混ざらない第二流体、及び
面を構成するエレクトロウェッティング素子の表示効果が、印加電圧に応じて前記第一及び前記第二流体が前記面に接合する範囲に依存する、前記エレクトロウェッティング素子の制御方法であって、
a)前記エレクトロウェッティング素子による表示のための第一表示効果を表すデータを受信すること、
b)前記第一表示効果の表示後に、前記エレクトロウェッティング素子による表示のための以降の表示効果を表すデータを受信すること、
c)前記第一表示効果の表示と前記以降の表示効果の表示との間における、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲の変化を示す差を判定するために、前記第一表示効果を表すデータを前記以降の表示効果を表すデータに比較すること、及び
d)前記差に応じて、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを選択的に出力することを含む方法。
【0059】
2.前記差は、前記第一表示効果の表示から前記以降の表示効果の表示へエレクトロウェッティング素子を切り換えることが、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲を減少させることを示し、前記方法が、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、条項1に記載の方法。
【0060】
3.前記差が閾値以下であることを判定すること、及び、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、条項1に記載の方法。
【0061】
4.前記差が閾値を超えることを判定すること、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための前記データを出力することを含む、条項1に記載の方法。
【0062】
5.前記閾値が、前記第一流体の断片化なしに、一つの表示効果の表示からもう一つの表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換える際の、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲の最大変化に対応する、条項4に記載の方法。
【0063】
6.前記第一流体の前記断片化が、一つの表示効果の表示からもう一つの表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換える際の、前記第一及び第二流体の移動の開始に起因し、前記面上の複数の分離位置で実質的に同時に発生する、条項5に記載の方法。
【0064】
7.前記閾値が、ビット深度値または電圧値の一つまたは複数に対応する、条項4に記載の方法。
【0065】
8.前記異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータが、前記第一表示効果を表すデータ値と閾値を表すデータ値の和を表すデータを含む、条項1に記載の方法。
【0066】
9.前記第一表示効果を表す前記データ値が、前記第一表示効果のビット深度値を示し、前記閾値が、一つの表示効果のビット深度値ともう一つの表示効果のビット深度値とのビット深度値差を示し、前記ビット深度値差が、前記第一流体の断片化なしに、前記一つの表示効果の表示から前記もう一つの表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換える際の、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲の変化を表す、条項8に記載の方法。
【0067】
10.前記第一表示効果を表す前記データ値が、前記第一表示効果を表示するために印加すべき電圧を示し、前記閾値が、一つの表示効果を表示するための電圧ともう一つの表示効果を表示するための電圧との電圧差を示し、前記電圧差が、前記第一流体の断片化なしに、前記一つの表示効果の表示から前記もう一つの表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換える際の、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲の変化を表す、条項8に記載の方法。
【0068】
11.前記エレクトロウェッティング素子が前記第一表示効果を表示する際の前記第二流体による前記面に接合する前記範囲が、前記エレクトロウェッティング素子が前記以降の表示効果を表示する際の前記第二流体による前記面に接合する前記範囲よりも少なく、前記第一表示効果が、前記以降の表示効果よりも低い輝度を有する、条項1に記載の方法。
【0069】
12.前記第一表示効果及び前記以降の表示効果が、前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための、各々、第一フレーム及び以降のフレームに対応し、異なる表示効果が、前記第一フレームと前記以降のフレームとの間に追加された中間フレームに対応する、条項1に記載の方法。
【0070】
13.前記中間フレームの前記追加が、前記第一表示フレームから前記以降の表示フレームへ前記エレクトロウェッティング素子を駆動する前記フレーム・レートを2倍にする、条項12に記載の方法。
【0071】
14.前記比較が、前記差を表すデータ値を計算するために、前記第一表示効果を表すデータ値を、前記以降の表示効果を表すデータ値と一緒に処理することを含む、条項1に記載の方法。
【0072】
15.前記第一表示効果を表す前記データ値及び前記以降の表示効果を表す前記データ値が、各々、ビット深度値または電圧値である、条項14に記載の方法。
【0073】
16.前記第一表示効果を表す前記データが、前記第一表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための出力データであり、前記以降の表示効果を表す前記データが、前記エレクトロウェッティング素子が表示すべきと意図された表示効果を示す入力データである、条項1に記載の方法。
【0074】
17.前記差に応じて、前記意図された表示効果の代わりに前記異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動すべきかどうかを評価することを含む、条項16に記載の方法。
【0075】
18.a)〜d)の複数のラウンドを実行することを含み、a)〜d)を実行する1ラウンドのための前記第一表示効果を表す前記データが、a)〜d)を実行する前のラウンドからの出力データである、条項16に記載の方法。
【0076】
19.前記第一表示効果を表す前記データが、前記第一表示効果を表す前記データを保存する少なくとも一つのメモリから出力される、条項16に記載の方法。
【0077】
20.条項1に記載の複数のエレクトロウェッティング素子を構成する前記エレクトロウェッティング表示デバイスの制御方法であって、条項1に記載の方法に従って前記複数の前記エレクトロウェッティング素子の少なくとも一つを制御することを含む、前記方法。
【0078】
21.少なくとも一つのエレクトロウェッティング素子を制御するための装置であって、前記装置が、
少なくとも一つのプロセッサ、及び
コンピュータ・プログラム命令を含む少なくとも一つのメモリを構成し、
前記少なくとも一つのメモリと前記コンピュータ・プログラム命令が、前記少なくとも一つのプロセッサで、前記装置に、
エレクトロウェッティング素子の制御方法を実行させるように構成されており、
第一流体と前記第一流体に混ざらない第二流体、及び
面を構成するエレクトロウェッティング素子の表示効果が、印加電圧に応じて前記第一及び第二流体が前記面に接合する範囲に依存する前記エレクトロウェッティング素子の方法が、
a)前記エレクトロウェッティング素子による表示のための第一表示効果を表すデータを受信すること、
b)前記第一表示効果の表示後に、前記エレクトロウェッティング素子による表示のための以降の表示効果を表すデータを受信すること、
c)前記第一表示効果の表示と前記以降の表示効果の表示との間における、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲の変化を示す差を判定するために、前記第一表示効果を表すデータを前記以降の表示効果を表すデータに比較すること、及び
d)前記差に応じて、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを選択的に出力することを含む、前記装置。
【0079】
22.前記差は、第一表示効果の表示から前記以降の表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換えることが、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲を減少させることを示し、前記方法が、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、条項21に記載の装置。
【0080】
23.前記方法が、前記差が閾値以下であることを判定すること、及び、第一表示効果の表示後に連続的に、以降の表示効果を表示させるようにエレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、条項21に記載の装置。
【0081】
24.前記方法が、前記差が閾値を超えることを判定すること、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための前記データを出力することを含む、条項21に記載の装置。
【0082】
25.前記閾値が、前記第一流体の断片化なしに、一つの表示効果の表示からもう一つの表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換える際の、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲の最大変化に対応する、条項24に記載の装置。
【0083】
26.各々が、第一流体と前記第一流体に混ざらない第二流体、及び面を構成するエレクトロウェッティング素子の表示効果が、印加電圧に応じて前記第一及び第二流体が前記面に接合する範囲に依存する複数のエレクトロウェッティング素子、及び、前記複数のエレクトロウェッティング素子の少なくとも一つを制御するための条項21に記載の装置を構成するエレクトロウェッティング表示デバイス。
【0084】
27.コンピュータ可読命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を構成するコンピュータ・プログラム製品であって、前記コンピュータ可読命令が、コンピュータ化デバイスに、エレクトロウェッティング素子の制御方法を実行させるように前記コンピュータ化デバイスによって実行可能であり、
第一流体と前記第一流体と混ざらない第二流体、及び
面を構成する前記エレクトロウェッティング素子の表示効果が、印加電圧に応じて前記第一及び第二流体が前記面に接合する範囲に依存する前記エレクトロウェッティング素子の方法が、
a)前記エレクトロウェッティング素子による表示のための第一表示効果を表すデータを受信すること、
b)前記第一表示効果の表示後に、前記エレクトロウェッティング素子による表示のための以降の表示効果を表すデータを受信すること、
c)前記第一表示効果の表示と前記以降の表示効果の表示との間における、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲の変化を示す差を判定するために、前記第一表示効果を表すデータを前記以降の表示効果を表すデータに比較すること、及び
d)前記差に応じて、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを選択的に出力することを含む、コンピュータ・プログラム製品。
【0085】
28.前記差は、前記第一表示効果の表示から前記以降の表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換えることが、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲を減少させることを示し、前記方法が、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、条項27に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【0086】
29.前記方法が、前記差が閾値以下であることを判定すること、及び、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するためのデータを出力することを含む、条項27に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【0087】
30.前記方法が、前記差が閾値を超えることを判定すること、前記第一表示効果の表示後に連続的に、前記以降の表示効果の代わりに異なる表示効果を表示させるように前記エレクトロウェッティング素子を駆動するための前記データを出力することを含む、条項27に記載のコンピュータ・プログラム製品。
31.前記閾値が、前記第一流体の断片化なしに、一つの表示効果の表示からもう一つの表示効果の表示へ前記エレクトロウェッティング素子を切り換える際の、前記第二流体が前記面に接合する前記範囲の最大変化に対応する、条項30に記載のコンピュータ・プログラム製品。