特許第6105181号(P6105181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6105181殺虫器バランス調整システム、殺虫器バランス調整方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6105181
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】殺虫器バランス調整システム、殺虫器バランス調整方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20170316BHJP
   A01M 1/22 20060101ALI20170316BHJP
   A01M 5/06 20060101ALI20170316BHJP
   B64C 13/16 20060101ALI20170316BHJP
   B64C 17/00 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   B64C39/02
   A01M1/22 A
   A01M5/06
   B64C13/16 A
   B64C17/00
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-567952(P2016-567952)
(86)(22)【出願日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】JP2016069505
【審査請求日】2016年12月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−228803(JP,A)
【文献】 特開2004−249942(JP,A)
【文献】 特開2016−68692(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0151325(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0068892(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
A01M 1/22
A01M 5/06
B64C 13/16
B64C 17/00−17/10
B64D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持棒を介して、プロペラで移動するロボットにぶら下げられた殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整システムであって、
前記ロボットから重力方向に対する前記支持棒の角度が、所定の角度以上になるように、前記殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整手段と、
前記所定の角度のマイナス方向に、前記支持棒と同じ支持棒の先に重りを付け、当該重りの重量を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する重り調整手段と、
を備えることを特徴とする殺虫器バランス調整システム。
【請求項2】
前記重りの重量が、前記殺虫器と略同一の重量である、
ことを特徴とする請求項1に記載の殺虫器バランス調整システム。
【請求項3】
前記ロボットに備えられたプロペラからの風圧を検知するプロペラ風圧検知手段と、
を備え、
前記殺虫器バランス調整手段は、前記検知された風圧を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の殺虫器バランス調整システム。
【請求項4】
前記ロボットが飛行する際に、前記殺虫器が受ける風の抵抗を検知する風抵抗検知手段と、
を備え、
前記殺虫器バランス調整手段は、前記検知された風圧を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の殺虫器バランス調整システム。
【請求項5】
前記ロボットが飛行する際の飛行速度を検知する飛行速度検知手段と、
前記ロボットが飛行する際の飛行高度を検知する飛行高度検知手段と、
を備え、
前記殺虫器バランス調整手段は、前記検知された飛行速度と飛行高度とを計算して、前記殺虫器のバランスを調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の殺虫器バランス調整システム。
【請求項6】
前記ロボットの振動を検知する振動検知手段と、
を備え、
前記殺虫器バランス調整手段は、前記検知された振動を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の殺虫器バランス調整システム。
【請求項7】
支持棒を介して、プロペラで移動するロボットにぶら下げられた殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整方法であって、
前記ロボットから重力方向に対する前記支持棒の角度が、所定の角度以上になるように、前記殺虫器のバランスを調整するステップと、
前記所定の角度のマイナス方向に、前記支持棒と同じ支持棒の先に重りを付け、当該重りの重量を計算して、前記殺虫器のバランスを調整するステップと、
を備えることを特徴とする殺虫器バランス調整方法。
【請求項8】
支持棒を介して、プロペラで移動するロボットにぶら下げられた殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整システムに、
前記ロボットから重力方向に対する前記支持棒の角度が、所定の角度以上になるように、前記殺虫器のバランスを調整するステップ、
前記所定の角度のマイナス方向に、前記支持棒と同じ支持棒の先に重りを付け、当該重りの重量を計算して、前記殺虫器のバランスを調整するステップ、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持棒を介して、プロペラで移動するロボットにぶら下げられた殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整システム、殺虫器バランス調整方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害救助、空撮、農業等の様々な分野において、ロボットの利用が検討されるとともに、実用化されている。例えば、農業において、ロボットに農薬散布装置や殺虫器を吊り下げ、薬剤散布や害虫駆除を行うことが検討されている。
【0003】
このような構成として、例えば、ヘリコプターに、薬剤等を収納するタンクを吊り下げ、このタンクから薬剤を農地に散布をする構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−243829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、ロボットに、殺虫器や農薬散布装置等の付属品を吊り下げた場合、飛行時におけるプロペラからの風や、外部環境からの風の影響や、飛行により発生する慣性等の影響を受けてしまう。その結果、付属品が望ましい位置とは異なる位置に動いてしまうおそれがあった。例えば、付属品は、ロボットの進行方向とは逆の方向に揺れてしまうことや、強風により、進行方向とは無関係な位置に揺れてしまうことや、殺虫器がロボットの真下に位置した場合、プロペラの風圧により、害虫が殺虫器に飛来することが妨げられてしまうことがあった。
【0006】
本発明の目的は、ロボットにぶら下げられた殺虫器の位置を調整することが可能な殺虫器バランス調整システム、殺虫器バランス調整方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
第1の特徴に係る発明は、支持棒を介して、プロペラで移動するロボットにぶら下げられた殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整システムであって、
前記ロボットから重力方向に対する前記支持棒の角度が、所定の角度以上になるように、前記殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整手段と、
前記所定の角度のマイナス方向に、前記支持棒と同じ支持棒の先に重りを付け、当該重りの重量を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する重り調整手段と、
を備えることを特徴とする殺虫器バランス調整システムを提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明によれば、支持棒を介して、プロペラで移動するロボットにぶら下げられた殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整システムは、前記ロボットから重力方向に対する前記支持棒の角度が、所定の角度以上になるように、前記殺虫器のバランスを調整し、前記所定の角度のマイナス方向に、前記支持棒と同じ支持棒の先に重りを付け、当該重りの重量を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する。
【0010】
ここで、第1の特徴に係る発明は、殺虫器バランス調整システムのカテゴリであるが、方法又はプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【0011】
第2の特徴に係る発明は、前記重りの重量が、前記殺虫器と略同一の重量である、
ことを特徴とする第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムを提供する。
【0012】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムは、前記重りの重量が、前記殺虫器と略同一の重量である。
【0013】
第3の特徴に係る発明は、前記ロボットに備えられたプロペラからの風圧を検知するプロペラ風圧検知手段と、
を備え、
前記殺虫器バランス調整手段が、前記検知された風圧を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する、
ことを特徴とする第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムを提供する。
【0014】
第3の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムは、前記ロボットに備えられたプロペラからの風圧を検知し、前記検知された風圧を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する。
【0015】
第4の特徴に係る発明は、前記ロボットが飛行する際に、前記殺虫器が受ける風の抵抗を検知する風抵抗検知手段と、
を備え、
前記殺虫器バランス調整手段が、前記検知された風圧を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する、
ことを特徴とする第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムを提供する。
【0016】
第4の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムは、前記ロボットが飛行する際に、前記殺虫器が受ける風の抵抗を検知し、前記検知された風圧を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する。
【0017】
第5の特徴に係る発明は、前記ロボットが飛行する際の飛行速度を検知する飛行速度検知手段と、
前記ロボットが飛行する際の飛行高度を検知する飛行高度検知手段と、
を備え、
前記殺虫器バランス調整手段が、前記検知された飛行速度と飛行高度とを計算して、前記殺虫器のバランスを調整する、
ことを特徴とする第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムを提供する。
【0018】
第5の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムは、前記ロボットが飛行する際の飛行速度を検知し、前記ロボットが飛行する際の飛行高度を検知し、前記検知された飛行速度と飛行高度とを計算して、前記殺虫器のバランスを調整する。
【0019】
第6の特徴に係る発明は、前記ロボットの振動を検知する振動検知手段と、
を備え、
前記殺虫器バランス調整手段が、前記検知された振動を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する、
ことを特徴とする第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムを提供する。
【0020】
第6の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である殺虫器バランス調整システムは、前記ロボットの振動を検知し、前記検知された振動を計算して、前記殺虫器のバランスを調整する。
【0021】
第7の特徴に係る発明は、支持棒を介して、プロペラで移動するロボットにぶら下げられた殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整方法であって、
前記ロボットから重力方向に対する前記支持棒の角度が、所定の角度以上になるように、前記殺虫器のバランスを調整するステップと、
前記所定の角度のマイナス方向に、前記支持棒と同じ支持棒の先に重りを付け、当該重りの重量を計算して、前記殺虫器のバランスを調整するステップと、
を備えることを特徴とする殺虫器バランス調整方法を提供する。
【0022】
支持棒を介して、プロペラで移動するロボットにぶら下げられた殺虫器のバランスを調整する殺虫器バランス調整システムに、
前記ロボットから重力方向に対する前記支持棒の角度が、所定の角度以上になるように、前記殺虫器のバランスを調整するステップ、
前記所定の角度のマイナス方向に、前記支持棒と同じ支持棒の先に重りを付け、当該重りの重量を計算して、前記殺虫器のバランスを調整するステップ、
を実行させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ロボットにぶら下げられた殺虫器の位置を調整することが可能な殺虫器バランス調整システム、殺虫器バランス調整方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、殺虫器バランス調整システム1の概要を示す図である。
図2図2は、殺虫器バランス調整システム1の全体構成図である。
図3図3は、ロボット10の機能ブロック図である。
図4図4は、ロボット10が実行するバランス調整処理を示す図である。
図5図5は、ロボット10の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0026】
[殺虫器バランス調整システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である殺虫器バランス調整システム1の概要を説明するための図である。殺虫器バランス調整システム1は、ロボット10から構成される。
【0027】
ロボット10は、図示していない情報端末からの指示や予め自身に設定されたプログラム等に基づいて、所定の経路を自身が有するプロペラを駆動することにより飛行する無人航空機である。
【0028】
ロボット10は、支持棒100、殺虫器200、重り300、調整部400、プロペラ410を備える。ロボット10は、調整部400を、自身の底部に備える。支持棒100は、調整部400に接続される。
【0029】
支持棒100は、一方の端部に殺虫器200が接続され、他方の端部に重り300が接続される。支持棒100は、棒状の形状であり、その中心部は折り曲げられた形状であり、折り曲げ箇所の頂点が調整部400に接続される。中心部が動くことにより、殺虫器200と重り300との位置を調整する。支持棒100の中心部から一方の端部までの長さと、中心部から他方の端部までの長さとは、略同一である。なお、中心部を動かす構成に替えて、支持棒100の一方の端部と他方の端部との間の角度を可変とする構成であってもよい。この場合、殺虫器200側の支持棒の角度Aと、重り300側の支持棒の角度Bとを其々別個に調整する構成や、同一角度に調整する構成や、その他の構成であればよい。
【0030】
殺虫器200は、電撃殺虫器や粘着式捕虫器等である。殺虫器200の上部と支持棒100とが接続される。
【0031】
重り300は、球形上の重量物である。殺虫器200と重り300とは、その重量が略同一である。重り300の表面の所定箇所と支持棒100とは接続される。なお、殺虫器200と重り300とは、その重量が異なっていてもよい。
【0032】
調整部400は、ロボット10の底面に位置し、風圧センサ、加速度センサ、高度計等の各種センサ類を備える。例えば、調整部400は、プロペラ410からの風圧やロボット10の飛行時に受ける風の抵抗の検知等を実行する風圧センサ、ロボット10から発生する振動を検知する加速度センサ、ロボット10の飛行速度や飛行高度を検知する高度計、殺虫器200や重り300の重量を検知する重量計等を備える。ロボット10は、調整部400において検知した各種センサ類の情報を、殺虫器200又は重り300の情報として取得する。なお、各種センサ類は、調整部400ではなく、殺虫器200又は重り300が備える構成であってもよい。この場合、ロボット10は、殺虫器200が検知した各種センサの情報を有線又は無線接続等により取得する構成であればよいし、その他の構成により取得する構成であってもよい。
【0033】
ロボット10は、調整部400が検知した情報を取得し、殺虫器200及び重り300の位置を調整する。
【0034】
なお、支持棒100、殺虫器200、重り300の形状は適宜変更可能であり、上述した構成に限られない。また、支持棒100の中心部から一方の端部までの長さと、中心部から他方の端部までの長さとは、異なっていてもよい。
【0035】
ロボット10は、図示していない情報端末の指示や、専用コントローラからの指示や、所定のプログラムに基づいてプロペラ410を駆動することにより離陸する(ステップS01)。
【0036】
ロボット10は、重力方向に対する支持棒100の角度が所定の角度以上になるように、殺虫器200のバランスを調整する(ステップS02)。ロボット10は、支持棒100の中心部から、重力方向に下した点線で示す中心線110と、殺虫器200が接続された側の支持棒100との間の角度Aが、所定の角度以上になるように、支持棒100の角度を調整し、殺虫器200の位置を調整する。所定の角度とは、例えば、殺虫器200が、プロペラ410の真下ではない位置にくるときの、中心線110と支持棒100との間の角度や、殺虫器200がロボット10の周囲よりも離れた位置にくるときの、中心線110と支持棒100との間の角度である。
【0037】
ロボット10は、重り300の重量を計算し、支持棒100の角度を、殺虫器200のバランスを調整した角度のマイナス方向に、重りの位置を調整する(ステップS03)。ロボット10は、中心線110と重り300が接続された側の支持棒100との間の角度Bが、角度Aのマイナス方向に同一の角度となるように、支持棒100の位置を調整する。すなわち、例えば、角度Aが60度である場合、角度Bが−60度となる位置に支持棒100の位置を調整する。
【0038】
なお、殺虫器200と重り300との重量が異なる場合、重り300の重量と、角度Aとに基づいて、角度Bを計算する構成であってもよい。この場合、計算した角度Bに基づいて、支持棒100の位置を調整する。また、重り300の重量と、角度Aとに基づいて、角度Bを計算するとともに、支持棒100の長さを計算し、計算した角度Bと支持棒100の長さとに基づいて、重り300の位置を調整する構成であってもよい。
【0039】
また、ロボット10は、プロペラ410からの風圧、殺虫器200が受ける風の抵抗、飛行速度、飛行高度、自身の振動のいずれか又は複数を組み合わせた情報を計算し、この計算結果と角度Aとに基づいて、角度Bを計算し、殺虫器200と重り300とのバランスを調整する構成であってもよい。
【0040】
ロボット10は、離陸時と同様の指示等に基づいて、飛行する(ステップS04)。
【0041】
ロボット10は、飛行時における、調整部400に備えられた各種センサの情報を取得する(ステップS05)。例えば、ロボット10は、プロペラ410からの風圧やロボット10の飛行時に受ける風の抵抗の情報や、ロボット10から発生する振動の情報や、ロボット10の飛行速度や飛行高度の情報を取得する。
【0042】
ロボット10は、殺虫器200の動きを検知し、再度、重力方向に対する支持棒100の角度が所定の角度以上になるように、殺虫器200のバランスを調整し、重り300の位置を調整する(ステップS06)。この処理は、上述したステップS02及びステップS03の処理と同様である。なお、ステップS06において、ステップS05において取得した各種情報に基づいて、殺虫器200のバランスを調整する構成であってもよい。例えば、ロボット10は、プロペラからの風圧、殺虫器が受ける風の抵抗、自身の飛行速度、飛行高度、自身の振動のいずれかの情報又は複数を組み合わせた情報を計算することにより、殺虫器200及び重り300の動きを調整する構成であってもよい。
【0043】
以上が、殺虫器バランス調整システム1の概要である。
【0044】
[殺虫器バランス調整システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である殺虫器バランス調整システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態である殺虫器バランス調整システム1のシステム構成を示す図である。殺虫器バランス調整システム1は、ロボット10から構成される。
【0045】
ロボット10は、後述の機能を備えた上述した無人航空機である。上述した通り、ロボット10は、自身の底部に設けた調整部400を介して、支持棒100が接続され、支持棒100を介して、殺虫器200及び重り300がぶら下げられる。支持棒100、殺虫器200、重り300及び調整部400は、上述した構成である。調整部400は、支持棒100の位置を調整する。調整部400は、折り曲げ箇所から殺虫器200までの支持棒100の角度を調整する。また、調整部400は、折り曲げ箇所から重り300までの支持棒100の角度を調整する。調整部400は、支持棒100の折り曲げ箇所から一方の端部までの角度と、支持棒100の折り曲げ箇所から他方の端部までの角度とを其々別個に調整可能である。
【0046】
なお、支持棒100、殺虫器200、重り300の材質、大きさ、長さ、設置位置、設置方法等は、適宜変更可能である。また、調整部400の構成を省き、ロボット10に直接支持棒100が接続される構成であってもよい。
【0047】
以下の説明において、支持棒100の殺虫器200までの長さと、重り300までの長さとは、略同一であるものとする。また、殺虫器200までの重量と、重り300の重量とは、略同一であるものとする。
【0048】
[各機能の説明]
図3に基づいて、本発明の好適な実施形態である殺虫器バランス調整システム1の機能について説明する。図3は、ロボット10の機能ブロック図を示す図である。
【0049】
ロボット10は、制御部11として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、図示していない通信部として、他の機器と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity)対応デバイス等を備える。また、ロボット10は、入出力部14として、調整部400に備えられたモータやロボットアーム等の支持棒100を動かす駆動デバイスや、調整部400に備えられた各種センサが検知した情報を取得する情報取得デバイスや、プロペラを駆動させて飛行する飛行デバイス等の各種デバイスを備える。
【0050】
ロボット10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部14と協働して、飛行モジュール40、調整モジュール41を実現する。
【0051】
[バランス調整処理]
図4に基づいて、殺虫器バランス調整システム1が実行するバランス調整処理について説明する。図4は、ロボット10が実行するバランス調整処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0052】
図5は、本実施形態におけるロボット10の一例を示す図である。なお、図1及び図2において説明した構成については、その詳細な説明は省略する。
【0053】
図5に示した状態を説明する。図5において、ロボット10は、調整部400、プロペラ410を備える。調整部400は、ロボット10の底面下部に位置する。ロボット10は、プロペラ410を駆動することにより、離陸、飛行、着陸等を実行する。駆動部400は、支持棒100が接続される。調整部400は、図示していないモータやロボットアーム等を備える。ロボット10は、調整部400を駆動することにより、支持棒100の位置を制御する。調整部400は、例えば、支持棒100の折り曲げ箇所の頂点の角度を、変更することにより、殺虫器200と重り300との位置を調整する。調整部400は、上述した各種センサを備える。ロボット10は、各種センサにより検知したプロペラからの風圧、外部環境からの風圧、自身の進行方向、飛行速度、飛行高度、自身の振動等を取得する。ロボット10は、調整部400に備えられた各種センサにより検知した情報を、殺虫器200又は重り300に対する情報であるものと判断する。
【0054】
なお、上述した通り、各種センサは、殺虫器200又は重り300に設けられる構成であってもよい。
【0055】
折り曲げ箇所から重力方向を示す基準線110と、この基準線110から殺虫器200が接続された側の支持棒100までの間の角度を角度A、この基準線110から重り300が接続された側の支持棒100までの間の角度を角度Bとする。調整部400は、この角度A及び角度Bを調整することにより、殺虫器200及び重り300の位置を調整する。この角度Aは、プロペラ410からの風の影響を受けない角度であることが望ましい。例えば、殺虫器200がプロペラ410の真下に来ない角度であることが望ましい。また、角度Bは、角度Aのマイナス方向の角度と同一である。換言するなら、角度Aと角度Bとはその絶対値が同一の値である。例えば、角度Aが60度であるとき、調整部400は、角度Bが60度となるように調整する。この場合、殺虫器200と重り300とが同一の重量であることが望ましい。もちろん、殺虫器200と重り300とが異なる重量であってもよいが、この場合、角度Bの値や支持棒100の重り300側の長さを調整することが望ましい。
【0056】
なお、角度Bは、必ずしも角度Aと同一である必要性はない。調整部400は、例えば、プロペラからの風、外部環境からの風、飛行速度、飛行高度、飛行により発生する慣性、自身の振動、重り300の重量、支持棒100の長さ等の影響を考慮し、角度Bの値を調整する構成であってもよい。
【0057】
また、支持棒100の動きの制御は、上述した構成に限らず、他の構成であってもよい。例えば、支持棒100が伸縮可能な形状であり、支持棒100の長さを調整する構成であってもよいし、支持棒100の一方の端部又は他方の端部のみの角度を調整する構成であってもよいし、殺虫器200や重り300の取付位置を調整する構成であってもよいし、これらを組み合わせた構成であってもよい。
【0058】
飛行モジュール40は、図示していない情報端末の指示や、専用コントローラからの指示や、所定のプログラム等に基づいてプロペラ410を駆動することにより離陸する(ステップS10)。
【0059】
調整モジュール41は、重力方向に対する支持棒100の角度が所定の角度以上になるように、殺虫器200のバランスを調整する(ステップS11)。ステップS11において、調整モジュール41は、支持棒100の角度Aが、殺虫器200がプロペラ410の真下に来ない場所に位置する角度に調整する。
【0060】
調整モジュール41は、各種センサが検知した情報を取得する(ステップS12)。調整モジュール41は、プロペラからの風圧、外部環境からの風圧、飛行速度、飛行高度、殺虫器200の重量、重り300の重量、ロボット10の振動の情報を取得する。なお、本実施形態においては、殺虫器200と重り300とは略同一の重量であるものとして説明するが、異なっていてもよい。このとき、調整モジュール41は、殺虫器200の重量と重り300の重量との差に基づいて、角度Bの値をさらに調整する構成であればよい。
【0061】
調整モジュール41は、ステップS11において、調整した殺虫器200側の支持棒100の角度Aと、取得した情報とに基づいて、重り300の位置を調整する(ステップS13)。調整モジュール41は、重り300の位置を調整することにより、重り300と殺虫器200とのバランスを調整する。例えば、ステップS13において、調整モジュール41は、角度Aの位置と同じ角度Bの位置に重り300側の支持棒100の位置を調整する。また、調整モジュール41は、プロペラからの風圧や、殺虫器200が受ける風の抵抗や、飛行高度や、飛行速度や、ロボット10の振動等の各種センサが検知した情報と、角度Aの値とを計算することにより、角度Bの値を調整し、重り300側の支持棒100の位置を調整する。例えば、飛行速度が速い値を検知した場合、殺虫器200は、実際の位置よりも角度Aが鋭角になる状態になるため、角度Bをその角度に合わせた角度に調整する。また、他の情報に対しても同様である。また、これらのいずれか又は複数を組み合わせることにより、角度Bの値を計算する構成であってもよい。
【0062】
なお、ステップS13において、殺虫器200の重量と重り300の重量とが異なっている場合、角度Bの値を、より鈍角又はより鋭角に変更する構成であればよい。また、ステップS13において、重り300が存在しない構成であっても、角度Bの値を調整することにより、殺虫器200のバランスを調整する構成であってもよい。
【0063】
飛行モジュール40は、離陸時と同様の処理により、飛行する(ステップS14)。
【0064】
調整モジュール41は、各種センサが検知する情報を取得する(ステップS15)。ステップS15において、調整モジュール41は、上述したステップS12の処理と同様の情報を取得する。
【0065】
調整モジュール41は、殺虫器200の位置を取得する(ステップS16)。ステップS16において、調整モジュール41は、角度Aの値を取得することにより、殺虫器200の位置を取得する。
【0066】
なお、調整モジュール41は、角度Aの値の他に、支持棒100の長さ等の他の構成により、殺虫器200の位置を取得する構成であってもよい。
【0067】
調整モジュール41は、殺虫器200の位置が、所定の角度以上であるか否かを判断する(ステップS17)。ステップS17において、調整モジュール41は、例えば、殺虫器200が、風や慣性の影響により、離陸時における位置とは異なる位置に存在しているか否か、プロペラからの風の影響を受ける位置に存在しているか否か等を判断する。
【0068】
ステップS17において、調整モジュール41は、殺虫器200の位置が、所定の角度以上であると判断した場合(ステップS17 YES)、後述するステップS20の処理を実行する。
【0069】
一方、ステップS17において、調整モジュール41は、殺虫器200の位置が、所定の角度以上ではないと判断した場合(ステップS17 NO)、再度、ステップS11及びステップS13の処理と同様の処理を実行する(ステップS18,S19)。調整モジュール41は、ステップS18及びステップS19において、ステップS15において取得した情報を使用する。
【0070】
飛行モジュール40は、着陸するか否かを判断する(ステップS20)。ステップS20において、飛行モジュール40は、図示していない情報端末からの着陸指示や、所定の経路の飛行が完了したか否か、電池残量が所定の値以下になったか否か等に基づいて、着陸するか否かを判断する。
【0071】
ステップS20において、飛行モジュール40は、着陸しないと判断した場合(ステップS20 NO)、ステップS14の処理を再度実行する。
【0072】
一方、ステップS20において、飛行モジュール40は、着陸すると判断した場合(ステップS20 YES)、本処理を終了する。
【0073】
このようにすることにより、支持棒100を介してロボット10にぶら下げられた殺虫器200の位置が、ロボット10の真下ではない所定の角度以上になるように調整することが可能となる。さらには、プロペラ410からの風圧、飛行中に受ける風抵抗、飛行速度、飛行高度、振動を計算して、殺虫器200のバランスを調整することが可能となる。
【0074】
なお、ロボット10は、上述した角度A及び角度Bと、各種センサが検知した情報とを対応付けて記憶し、学習する構成であってもよい。例えば、ロボット10は、風圧、飛行速度、飛行高度、振動等において、既に学習済みの情報を検知した場合、記憶した角度A及び角度Bの位置に支持棒100の位置を調整し、殺虫器200及び重り300の位置を調整する構成であってもよい。また、ロボット10は、記憶した各種情報、角度A及び角度Bの値に基づいて、今後殺虫器200又は重り300の位置を変更するタイミングを予測して、殺虫器200又は重り300の位置を調整する構成であってもよい。例えば、天気予報、プログラムされた飛行経路、日時等の情報に基づいて、実際のセンサの検知結果を取得するよりも以前に、殺虫器200又は重り300の位置を調整する構成であってもよい。
【0075】
このようにすることにより、ロボット10は、支持棒100にさらに、殺虫器200以外の物品をぶら下げた場合や、突風が発生したりした場合であっても、飛行するうちに、自動で最適な制御内容を判断することが可能となる。
【0076】
以上が、バランス調整処理である。
【0077】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
1 殺虫器バランス調整システム、10 ロボット、100 支持棒、200 殺虫器、300 重り、400 調整部
【要約】
【課題】ロボットにぶら下げられた殺虫器の位置を調整することが可能な殺虫器バランス調整システム、殺虫器バランス調整方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】支持棒100を介して、プロペラ410で移動するロボット10にぶら下げられた殺虫器200のバランスを調整する殺虫器バランス調整システム1は、前記ロボット10から重力方向に対する前記支持棒100の角度が、所定の角度以上になるように、前記殺虫器200のバランスを調整し、前記所定の角度のマイナス方向に、前記支持棒100と同じ支持棒100の先に重り300を付け、当該重り300の重量を計算して、前記殺虫器200のバランスを調整する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5