特許第6105194号(P6105194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105194
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】弾球遊技機の樹脂製遊技板
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   A63F7/02 310C
   A63F7/02 312Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-222007(P2011-222007)
(22)【出願日】2011年10月6日
(65)【公開番号】特開2013-81537(P2013-81537A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】足立 一夫
【審査官】 酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−047365(JP,A)
【文献】 特開2011−098155(JP,A)
【文献】 特開平11−151350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形により所定位置に盤面部品を取り付けるための開口が形成され、盤面部品の大きさが異なる機種間で大きさが異なる盤面部品の取り付けが可能な大きさの開口をそれら盤面部品の大きさが異なる機種間で共通する基準開口として形成するようにした遊技板本体と、
前記遊技板本体の基準開口に取り付けられ、前記遊技板本体の表面に取着される取付フランジ部と、該遊技板本体の裏面に取着される裏側ユニットとを備えた盤面部品とを有し、
前記盤面部品の取付フランジ部は、前記基準開口の外周面に張設されると共に、その外周輪郭が該基準開口の内周輪郭よりも大きく形成されており、
前記遊技板本体の表面であって前記基準開口の外周部には複数の遊技板側取付孔が開設されていると共に、
前記盤面部品における取付フランジ部には前記各遊技板側取付孔に対応位置してフランジ部側取付孔が開設され、
これら遊技板側取付孔とフランジ部側取付孔はいずれも盤面部品の大きさが異なる機種間で共通した位置に設けられ、
さらに、前記遊技板本体の基準開口における裏面側の内周縁に沿って該基準開口内に突出する裏覆板条部を設け、前記裏覆板条部に沿って該裏覆板条部と前記取付フランジ部側に設けられるカバー部とにより囲われ上端に球入口、下端に球出口を開設した球通路が形成される弾球遊技機の樹脂製遊技板。
【請求項2】
前記遊技板本体の表面であって前記基準開口の外周部に位置決め孔を設けると共に該基準開口に取り付けられる盤面部品における取付フランジ部の裏面には該位置決め孔に嵌合する位置決めボスを設け、これら位置決め孔と位置決めボスはいずれも盤面部品の大きさが異なる機種間で共通した位置に設けられる請求項1記載の弾球遊技機の樹脂製遊技板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機に配置される樹脂製遊技板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば弾球遊技機の一種であるパチンコ遊技機は、遊技板の表面に外・内側レールが渦巻き状に敷設され、該外・内側レールで囲まれた遊技部には可変表示装置、入賞装置などの盤面部品が配置されている。また、これら盤面部品の周辺には、遊技部を流下する遊技球の流下経路に変化を与えるための障害釘、風車が植設されている。
【0003】
近年、遊技板は環境保護の観点や意匠上の観点から、合板に替えて合成樹脂製のものが提案されている。このうち、特に透明な合成樹脂により成形された樹脂製遊技板は、裏側に可変表示装置や各種装飾部材を配置できることから、斬新なデザインを採ることができ興趣が高められるといった利点がある。
【0004】
ところで、可変表示装置、入賞装置等の盤面部品の大きさ、或いはこれらの形状、配置位置等は各機種毎に異なり、各機種に対応させるため盤面部品を取り付ける樹脂製遊技板の開口をさまざまな大きさ・形状にする必要がある。このため、多くの異なる機種のパチンコ遊技機を製造しようとすると、それらに対応させて多種類の樹脂製遊技板を製造することになる。例えば、特許文献1に示される樹脂製遊技板では、平板状の合成樹脂板にルーターによる切削加工によってそれぞれの開口を形成するようにしているので、多くの異なる機種に対応させることは容易であるものの、加工に多くの時間が掛かり生産効率が良くないという欠点がある。また、開口を形成した後に排出される樹脂材料は全て切削屑となって無駄になることから、材料の歩留まりが極めて悪い。特に、大型の電子ディスプレイや役物を取り付けるため大きな開口を必要とする樹脂製遊技板を製造する際には、多量の切削屑が排出されるので、これを廃材として処分するのに費用が嵩むばかりか、資源の無駄になるという欠点が有る。
【0005】
これに対し、前記欠点を解決する方法として射出成形により樹脂製遊技板を製造することが考えられるが、多くの異なる機種に対応させてそれぞれ金型を製作し、これらによって多種類の樹脂製遊技板を成形しようとすると、生産効率は良いものの、多種類の金型を必要とすることから、金型の製作コストが著しく高くなるという欠点が有る。
【0006】
前記両者に生ずるそれぞれの欠点に鑑み、特許文献2のように射出成形により樹脂製遊技板にあらかじめ盤面部品を取り付けるための開口を形成しておき、次にパチンコ遊技機の機種に応じて開口の必要個所を切削加工して拡張するようにした樹脂製遊技板が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3720829号公報(第3−11頁、図4
【特許文献2】特開2011−98155号公報(第3−5頁、図5図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2に係る樹脂製遊技板にあっては、多くの機種に対して金型の共通化を図ることで金型の製作コストをかなり削減でき、しかも、開口における切削すべき部分が少なくなって材料の歩留まりが良くなり、資源の無駄も少なくなるというものである。しかしながら、急きょ増産等の生産計画の変更が生じた場合は、射出成形後に再度切削加工を必要とすることから、加工時間が掛かることは否めず対応が著しく困難になるという改良すべき課題が残る。
【0009】
そこで、本発明は前記改良すべき点に鑑みてなされたもので、多くの異なる機種に対応して金型の共通化が図られるばかりか、急きょ増産等の生産計画の変更が生じた場合も、容易に対応でき生産効率が落ちることのないようにした弾球遊技機の樹脂製遊技板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明に係る弾球遊技機の樹脂製遊技板は、射出成形により所定位置に盤面部品を取り付けるための開口が形成され、異なる機種間でのいずれの盤面部品も取り付け可能な大きさの開口をそれら異なる機種間で共通する基準開口として形成するようにした遊技板本体と、前記基準開口に取り付けられ、外周面に張設される取付フランジ部の外周輪郭が前記基準開口の内周輪郭よりも大きく形成された盤面部品と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記遊技板本体の基準開口における裏面側の内周縁に沿って該基準開口内に突出する裏覆板条部を設け、前記裏覆板条部に沿って該裏覆板条部と前記取付フランジ部側に設けられるカバー部とにより囲われ上端に球入口、下端に球出口を開設した球通路が形成されることが好ましい。
【0012】
更に、前記遊技板本体の表面であって前記基準開口の外周部に複数の遊技板側取付孔を開設すると共に前記盤面部品における取付フランジ部には前記各遊技板側取付孔に対応位置してフランジ部側取付孔を開設し、これら遊技板側取付孔とフランジ部側取付孔とはいずれも異なる機種間で共通した位置に設けられることが好ましい。
【0013】
更にまた、前記遊技板本体の表面であって前記基準開口の外周部に位置決め孔を設けると共に該基準開口に取り付けられる盤面部品における取付フランジ部の裏面には該位置決め孔に嵌合する位置決めボスを設け、これら位置決め孔と位置決めボスとはいずれも異なる機種間で共通した位置に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、異なる機種間でのいずれの盤面部品も取り付け可能な大きさの開口をそれら異なる機種間で共通する基準開口として形成するようにした遊技板本体と、基準開口に取り付けられ、外周面に張設される取付フランジ部の外周輪郭が基準開口の内周輪郭よりも大きく形成された盤面部品と、を有する。これにより、多くの異なる機種間で遊技板本体が共通化できて異なる機種の盤面部品における取付フランジ部が遊技板本体の表面における基準開口の外周部に当接することになって、該盤面部品が大小関係なくそのまま取り付けられることになり、従来のように機種毎の盤面部品に対応させて開口の内周面における必要個所を切削加工する必要もない。よって、急きょ増産等の生産計画に変更が生じた場合にも、迅速に対応できるという効果がある。
【0015】
また、遊技板本体の基準開口における裏面側の内周縁に沿って該基準開口内に突出する裏覆板条部を設け、該裏覆板条部に沿って該裏覆板条部と前記取付フランジ部側に設けられるカバー部とにより囲われ上端に球入口、下端に球出口が開設された球通路を形成するようにすれば、遊技板本体に球通路が設けられることになり、その分、基準開口に取付けられる盤面部品にスペース的な余裕ができ、例えば前側における装飾部の設計が球通路に邪魔されることなく自由に行なえるという効果がある。この裏覆板条部を上下方向に長く形成するようにすれば、前記球入口の上下方向における位置が比較的自由に選択できて可変表示装置11の設計が容易になる。
【0016】
更に、遊技板本体の表面であって基準開口の外周部に設けられる遊技板側取付孔と盤面部品における取付フランジ部に開設されるフランジ部側取付孔、及び基準開口の外周部に設けられる位置決め孔と取付フランジ部の裏面に設けられる位置決めボスとを、いずれも異なる機種間で共通した位置に設けるようにすれば、異なる機種間での遊技板本体に共通化が図られ、量産もし易いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明が適用されるパチンコ遊技機の正面図。
図2】遊技板本体の前から見た斜視図。
図3】遊技板本体の後から見た斜視図。
図4】遊技板本体と取付フランジ部とを示す斜視図。
図5】遊技板本体に可変表示装置を取り付ける状態を示す平面断面図。
図6】遊技板本体に可変表示装置を取り付けた状態を示す平面断面図。
図7】遊技板本体に異なる機種の可変表示装置を取り付けた状態を示す平面断面図。
図8】他の実施の形態に係る樹脂製遊技板が適用されるパチンコ遊技機の正面図。
図9】同遊技板本体の前から見た斜視図。
図10】同遊技板本体に可変表示装置を取り付けた状態の平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る弾球遊技機の樹脂製遊技板の最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機といった弾球遊技機に適用されるが、この内、本発明はパチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1は、本発明が適用されるパチンコ遊技機の正面図である。まず、パチンコ遊技機P1について説明する。
【0019】
パチンコ遊技機P1は、縦長長方形状の機枠1の前面に樹脂製遊技板2が配設される本体枠(図示せず。)が開閉自在に軸着され、また、該本体枠の前面に樹脂製遊技板2の前面を覆う透明板保持枠3及びこの下方に位置して前板4が同じく開閉自在に軸着されている。透明板保持枠3は中央に窓開口5が開設されており、該窓開口5にガラス板または合成樹脂板からなる透明板6が取着されている。そして、該透明板6で塞がれる窓開口5を介して前記樹脂製遊技板2前面が視認できるようになっている。前板4の前面には、打球発射位置(図示せず。)に供給する遊技球および賞球として払い出される遊技球を貯留する球受皿7が設けられている。また、その一側に、前記打球発射位置に一個ずつ供給される遊技球を樹脂製遊技板2の遊技部2aに打ち込む打球力調整ハンドル8が装着されている。
【0020】
前記樹脂製遊技板2は遊技板本体9を有し、その前面に外側レール10aと内側レール10bとが渦巻き状に敷設され、該外・内側レール10a,10bにより囲われるようにして遊技部2aが形成される。該遊技部2aには、その中央に盤面部品(盤面部品とは、「樹脂製遊技板の遊技部に装着される各種部品や装置」をいう。)である可変表示装置11が配置されている。該可変表示装置11は樹脂製遊技板2の表面に当接して固定される取付フランジ部12が設けられると共に、該取付フランジ部12に囲まれるようにして透口13が形成され、その後方に表示器14が配置されている。この場合、取付フランジ部12と表示器14とは分離されているが、一体に形成するようにしても良い。該表示器14の前面には、縦3列の7セグメント表示部14aが設けられ、後記する入賞球の検出により各図柄を一定時間ランダムに変化させるようになっている。
【0021】
また、前記可変表示装置11における表示器14の前側に、中央部を低くした棚状のステージ15が形成されている。これは、可変表示装置11の内側へ入った遊技球をステージ15に導き、該ステージ15上面をその上面に沿って左右方向に転動させるためである。そして、ステージ15上面を左右方向に転動する遊技球は次第に減衰して中央部から落下する。落下した遊技球は、その下方に位置して後記する始動入賞口16に入賞する機会が多くなる。可変表示装置11の外周縁には、前記ステージ15と連なり遊技部2aを流下する遊技球が入る導入口15aが設けられ、該導入口15aに入った遊技球はステージ15に導かれることになる。
【0022】
可変表示装置11の下方であって遊技部2aに、始動入賞口16とその真下に近接して位置し一対の可動翼片17a,17aを遊技球が入賞し得ない起立位置と遊技球が入賞可能な逆ハの字状に開く傾動位置とに変換する可変始動口17が設けられる。また、その下方に、開閉扉18aが前側に回動し一度に多くの遊技球が入賞し得る大入賞口18が配設されている。可変表示装置11の一側であって遊技部2aに、遊技球が通過することにより該遊技球を検出する通過チャッカー19が配置され、遊技部2aの下側であって内側レール10bの内側に複数の一般入賞口20が設けられている。また、内側レール10bの最下部に、遊技部2aを流下するもいずれにも入賞しなかったアウト球を遊技部2aの外側へ排出させるためのアウト球口21が開設されている。更に、遊技部2aの所定の位置には、流下する遊技球の方向を変化させる障害釘22や風車23が配設されている。
【0023】
そこで、例えば打球発射位置から遊技部2aに打ち込まれた遊技球が始動入賞口16に入賞すると、可変表示装置11における表示器14の7セグメント表示部14aの図柄が変動を繰り返し、所定時間が経過した後に停止する。同様に、通過チャッカー19を遊技球が通過すると、該遊技球を検知して遊技者には分からないところで抽選が行なわれ、それに当たると前記可変始動口17の一対の可動翼片17a,17aが予め決められた時間の間開き、遊技球を入賞し得るようにしている。このようにして、始動入賞口16または可変始動口17に遊技球が入賞する毎に、前記表示器14の各7セグメント表示部14aの図柄が変動する。その図柄の変動が停止して各7セグメント表示部14aの図柄が例えば「777」に揃ったときは、遊技者に有利な特別遊技状態となる。この状態では、大入賞口18の開閉扉18aが前側に回動して一定の時間または所定個数の遊技球が検出されるまでの間開放され、その後、開閉扉18aが閉まる。この動作を1ラウンドとし、一定条件を満たす限り最終的に15ラウンドまで繰り返され、一度に多くの入賞球が得られるようになっている。
【0024】
次に、前記パチンコ遊技機P1の樹脂製遊技板2を構成する遊技板本体9について詳しく説明する。図2は遊技板本体の前から見た斜視図、図3は遊技板本体の後から見た斜視図である。本実施の形態では、遊技板本体9は、所定の成形用金型によりポリカーボネイト樹脂、ABS樹脂、アクリロニトリル樹脂等の合成樹脂を射出成形することにより成形され、無色透明、有色透明、不透明のいずれであっても良い。そして、遊技板本体9は図2図3に示すように長方形板状に一体成形され、10mm程度の肉厚を有し表面9aが平坦に形成されている。
【0025】
前記遊技板本体9の表面9aを正面から見てその中央部やや右に寄った位置に、可変表示装置11を取り付けるための第一開口24が形成される。また、その下方に始動入賞口16と可変始動口17とを取り付けるための第二開口25が形成され、更に、その下方に大入賞口18を取り付けるための第三開口26が形成されている。更にまた、第一開口24の一側に通過チャッカー19を取り着けるための第四開口27が形成され、第三開口26の両側には一般入賞口20を取り付けるための第五開口28,28が形成されている。これら第一乃至第五開口24〜28のうち、盤面部品である可変表示装置11が取り付けられる第一開口24が一番大きい。そこで、異なる機種間におけるいずれの盤面部品、例えば可変表示装置11を取り付け可能な大きさの開口である第一開口24をそれら異なる機種間で共通する基準開口として形成している。よって、他の機種のパチンコ遊技機におけるいずれの可変表示装置11も取り付けられることになる。例えば、多くの異なる機種における基準開口である第一開口24をすべて前面が平行となるようにして一直線上にならべ、これらを一直線と平行な方向から投影した場合に、それら重ねた基準開口の最も大きい外周輪郭が選ばれる。
【0026】
一方、異なる機種間の各可変表示装置11は、その大きさが大小いろいろ有るが、いずれの可変表示装置11も基準開口としての第一開口24に取り付けられるとき、取付フランジ部12の外周輪郭12aが第一開口24の内周輪郭24aよりも大きく形成されている。また、遊技板本体9の表面9aであって第一開口24の外周部38に複数の位置決め孔29が設けられると共に、可変表示装置11における取付フランジ部12の裏面12bには、該各位置決め孔29に嵌合する位置決めボス30が設けられている。しかも、これら位置決め孔29と位置決めボス30とは、いずれも異なる機種間で共通した位置に設けられる。
【0027】
遊技板本体9の表面9aにおける第一開口24の外周部38であって所定位置に複数の遊技板側取付孔31が開設されている。可変表示装置11における取付フランジ部12は、中央に開設された透口13の裏側の周縁に後方へ突出する環状枠部47が形成されている。前記ステージ15はこの環状枠部47の内底面に形成されることになる。そして、取付フランジ部12には各遊技板側取付孔31に対応位置してフランジ部側取付孔32が開設されている。これら遊技板側取付孔31とフランジ部側取付孔32とは、いずれも異なる機種間で共通した位置に設けられる。
【0028】
遊技板本体9の裏面9bには、その外周縁に沿って後方へ額縁状に突出する外縁リブ33が一体に設けられている。また、遊技板本体9の四隅部には、貫通孔34a〜34dが設けられているが、このうち、三ヶ所の貫通孔34a〜34cは遊技機本体9をパチンコ遊技機P1内に組み付けるための位置合わせ用または遊技板に障害釘22を打ち込むための下穴加工工程において加工機に遊技板本体9を設置するための位置合わせ用として使用される。残りの一つの貫通孔34は、遊技部品で用いる配線通し用として使用される。35は、外・内側レール10a,10bを取り付けるために遊技板本体9の所定の弧状線に沿って多数設けられた差込孔である。これら差込孔35には、外・内側レール10a,10bの一側縁寄りに沿って適宜間隔で取着される固定ピン(図示せず。)が打ち込まれる。遊技板本体9の裏面9bであって各差込孔35が設けられた位置に、円柱形ボス状に突出する固植用部36が設けられ、これらの中心に前記差込孔35が貫通状に形成されている。各固植用部36の先端面には、横断状に前記差込孔35と連通する切り溝37が形成されている。
【0029】
通常、各種盤面部品が取り付けられる樹脂製遊技板2が組み立てられ完成する途中にあっては、第一乃至第五開口24〜28が形成された遊技板本体9の表面9aに障害釘22や風車23を打ち込む工程がある。また、続いて外・内側レール10a,10bの一側寄りに取着された固定ピン(図示せず。)を表面9a側から各差込孔35に打ち込んで、外・内側レール10a,10bを遊技板本体9の表面9aに敷設する工程がある。そして、これら障害釘22、風車23、外・内側レール10a,10bが取り付けられた遊技板本体9を次の工程に移動させるまで、表面9aを上にした状態で一時多段に積み重ねておく場合がある。
【0030】
このとき、上段の各固植用部36先端の切り溝37に下段の外・内側レール10a,10bの上側縁を差し込む。これにより、下段の障害釘22や風車23の上端と上段の遊技板本体9の裏面9bとの間には、固植用部36のほぼ長さ分の間隔が開き、下段の障害釘22や風車23が上段の遊技板本体9の裏面9bに当接して必要もなく曲がったり、これらによって上段に位置する遊技板本体9の裏面9bを傷付けるといったことがないようにしている。
【0031】
各盤面部品は、障害釘22、風車23及び外・内側レール10a,10bが取り付けられた後に取り付けられることになるが、ここでは便宜上、第一開口24に可変表示装置11を取り付ける方法を説明する。図5に示すように可変表示装置11は遊技板本体11の表面に取着される取付フランジ部12と、遊技板本体9の裏面に取着される裏側ユニット枠48とを有する。該裏側ユニット枠48は、中央に前記取付フランジ部12の透口13と対応する支持開口49が形成され、該支持開口49に前記表示器14が取着されることになる。また、裏側ユニット枠48には外周に取付片50が周設され、適宜位置にビス挿通孔51が設けられている。そこで、図4乃至図6に示すように遊技板本体9の表面9aにおける第一開口24の外周部38に取付フランジ部12の裏面12bを当接させると共に、各位置決め孔29に各位置決めボス30を嵌合する。図4では、遊技板本体9の表面9a上の二点差線による形状が取付フランジ部12の外周輪郭12aの形状と一致し、その内側が表面9aの外周部38となる。このとき、各フランジ部側取付孔32と各遊技板側取付孔31とが一致して連通する。そこで、各フランジ部側取付孔32を介して各遊技板側取付孔31にそれぞれビス39を螺締する。これにより、取付フランジ部12がずれることなくしっかりと固定される。
【0032】
また、遊技板本体9の裏面9bには表示器14が取り付けられた裏側ユニット枠48を当接させ、取付片50の各ビス挿通孔51と遊技板本体9に予め設けられた遊技板側取付孔31aとを合致させ、裏側から各ビス挿通孔51を介して遊技板側取付孔31aにビス52を螺締する。これにより、裏側ユニット枠48がしっかりと固定される。この裏側ユニット枠48には、前記表示器14の他に例えば装飾用の可動物を設けるようにしても良い。
【0033】
前記遊技板本体9の表面9aであって第一開口24の外周部に設けられる位置決め孔29と、該第一開口24に取り付けられる可変表示装置11における取付フランジ部12の裏面に設けられ該位置決め孔29に嵌合する位置決めボス30と、はいずれも異なる機種間で共通した位置に設けられている。よって、異なる機種間の遊技板本体9に共通性が図られ、異なる機種間の遊技板本体9であっても量産し易い。
【0034】
図7は、遊技板本体に異なる機種の可変表示装置を取り付けた状態を示す平面断面図である。なお、本発明と同一部位は同一番号を付すことにより詳しい説明は省略する。これは、本発明に係る前記パチンコ遊技機P1とは異なる機種の可変表示装置11aを取り付けた状態である。しかも、この可変表示装置11aは本発明に係る可変表示装置11よりも小さい。具体的には、この可変表示装置11aにおける表示器14の大きさが第一開口24の大きさに対してかなり小さい。このように、表示器14の大きさが第一開口24に対してかなり小さい場合でも、この可変表示装置11aにおける取付フランジ部12の外周輪郭12aは第一開口24の内周輪郭24aよりも大きく形成されているので、何ら支障なく本発明に係る可変表示装置11と同様に第一開口24に取り付けられる。
【0035】
図8は、他の実施の形態に係る樹脂製遊技板が適用されるパチンコ遊技機の正面図、図9は、同遊技板本体の前から見た斜視図、図10は、同遊技板本体に可変表示装置を取り付けた状態の平面断面図である。このパチンコ遊技機P2は、本発明に係るパチンコ遊技機P1と構成がほとんど同じなので、同一部位は同一番号を付すことにより詳しい説明は省略する。このパチンコ遊技機P2は、図9図10に示すように遊技板本体9の裏面9b側の第一開口24における一側の内周縁40に沿って第一開口24内に突出する裏覆板条部41が設けられている。
【0036】
一方、第一開口24に取り付けられる可変表示装置11における取付フランジ部12の一側、すなわち裏覆板条部41と同じ側に、該裏覆板条部41に対応位置させて取付フランジ部12の内側縁から延出し裏面が開放するカバー部42が設けられている。そして、取付フランジ部12と裏側ユニット枠48を遊技板本体9に取り付けたとき、図10に示すように前記裏覆板条部41に沿って該裏覆板条部41とカバー部42とにより囲われるようにして遊技球が流下する球通路43(所謂、「ワープ通路」という。)が形成される。該球通路43には、図8に示すように上端外面に遊技部2aを流下する遊技球が入り得る球入口44が開設され、下端内面には前記表示器14の前側に形成されたステージ15に連なる球出口45が開設されている。そこで、前記球入口44から球通路43内に入った遊技球は、下端の球出口45からステージ15の上面に導かれる。該ステージ15上面を転動する遊技球は左右に移動しつつ減衰して中央部に寄り、最終的にほぼ中央から落下する。
【0037】
このように、遊技板本体9に球通路43が設けられることにより、その分、可変表示装置11における取付フランジ部12及び裏側ユニット枠48にスペース的な余裕ができ、例えば前側における装飾部の設計が球通路43に邪魔されることなく自由に行なえる。
【0038】
本発明にあっては、異なる機種間でのいずれの盤面部品である可変表示装置11も取り付け可能な大きさの第一開口24をそれら異なる機種間で共通する基準開口として形成するようにした遊技板本体9と、第一開口24に取り付けられ、外周面に張設される取付フランジ部12の外周輪郭12aが第一開口24の内周輪郭24aよりも大きく形成された可変表示装置11と、を有する。これにより、多くの異なる機種間で遊技板本体9が共通化できて異なる機種の可変表示装置11における取付フランジ部12が遊技板本体9の表面における第一開口24の外周部38に当接することになって、該可変表示装置11が大小関係なくそのまま取り付けられることになり、従来のように機種毎の可変表示装置11に対応させて開口の内周面における必要個所を切削加工する必要もない。
【符号の説明】
【0039】
9 遊技板本体
11 盤面部品(可変表示装置)
11a 盤面部品(可変表示装置)
12 取付フランジ部
12a 外周輪郭
24 基準開口(第一開口)
24a 内周輪郭
29 位置決め孔
30 位置決めボス
31 遊技板側取付孔
31a 遊技板側取付孔
32 フランジ部側取付孔
38 外周部
40 内周縁
41 裏覆板条部
42 カバー部
43 球通路
44 球入口
45 球出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10