特許第6105198号(P6105198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105198
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】弾球遊技機の樹脂製遊技板
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   A63F7/02 310C
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-243846(P2011-243846)
(22)【出願日】2011年11月7日
(65)【公開番号】特開2013-99384(P2013-99384A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】門矢 周平
【審査官】 柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−151350(JP,A)
【文献】 特開2003−290457(JP,A)
【文献】 特開2011−098155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形により遊技部の所定位置に可変表示装置や一般入賞口等の盤面部品を取り付けるための開口が形成された遊技板本体と、前記遊技板本体の前面と面一となるように前記開口に取り付けられる補助板とを有する弾球遊技機の樹脂製遊技板であって、
前記遊技板本体の開口は、盤面部品の大きさが異なる機種間における同じ位置に設けられていると共に、取り付けられる大きさが異なる盤面部品のいずれもが取り付け可能な大きさにすることで、盤面部品の大きさが異なる機種間で共通する基準開口となるように形成されており、
前記基準開口に前記補助板を取り付けることにより上方の開口と下方の開口に分割されるようになっており、該上方の開口と該下方の開口のそれぞれに盤面部品が取り付けられるようになっていることを特徴とする弾球遊技機の樹脂製遊技板。
【請求項2】
前記上方の開口に装着される盤面部品は、前記遊技板本体の表面に取着される取付フランジ部と、該遊技板本体の裏面に取着される裏側ユニット枠とを備え、
前記盤面部品の取付フランジ部は、前記上方の開口の外周縁に張設されると共に、その外周輪郭が該上方の開口の内周輪郭よりも大きく形成されている請求項1記載の弾球遊技機の樹脂製遊技板。
【請求項3】
前記各機種における盤面部品の取付フランジ部に複数の取付孔を開設すると共に前記遊技板本体の表面であって前記基準開口の外周部に該各取付孔に対応して複数の螺子孔を開設し、これら取付孔と螺子孔はいずれも盤面部品の大きさが異なる機種間で共通した位置に設けられる請求項1又は2記載の弾球遊技機の樹脂製遊技板。
【請求項4】
前記各機種における盤面部品の取付フランジ部の裏面に複数の位置決めボスを突設すると共に前記遊技板本体の表面であって前記基準開口の外周部に該各位置決めボスが嵌合する位置決め孔を開設し、これら位置決めボスと位置決め孔はいずれも盤面部品の大きさが異なる機種間で共通した位置に設けられる請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の弾球遊技機の樹脂製遊技板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機に配置される樹脂製遊技板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば弾球遊技機の一種であるパチンコ遊技機は、遊技板の表面に外・内側レールが渦巻き状に敷設され、該外・内側レールで囲まれた遊技部には可変表示装置、入賞装置などの盤面部品が配置されている。また、遊技部の各所には、該遊技部を流下する遊技球の流下経路に変化を与えるための障害釘、風車が植設されている。
【0003】
近年、遊技板は環境保護の観点や意匠上の観点から、合板に替えて合成樹脂製のものが提案されている。このうち、特に透明な合成樹脂により成形された樹脂製遊技板は、裏側に可変表示装置や各種装飾部材を配置できることから、斬新なデザインを採ることができ興趣が高められるといった利点がある。
【0004】
ところで、可変表示装置、入賞装置等の盤面部品の大きさ、或いはこれらの形状、配置位置等は各機種毎に異なり、各機種に対応させるため盤面部品を取り付ける樹脂製遊技板の開口をさまざまな大きさ・形状にする必要がある。このため、多くの異なる機種のパチンコ遊技機を製造しようとすると、それらに対応させて多種類の樹脂製遊技板を製造することになる。例えば、特許文献1に示される樹脂製遊技板では、平板状の合成樹脂板にルーターによる切削加工によってそれぞれの開口を形成するようにしているので、多くの異なる機種に対応させることは容易であるものの、加工に多くの時間が掛かり生産効率が良くないという欠点がある。また、開口を形成した後に排出される樹脂材料は全て切削屑となって無駄になることから、材料の歩留まりが極めて悪い。特に、大型の可変表示装置や入賞装置を取り付けるため大きな開口を必要とする樹脂製遊技板を製造する際には、多量の切削屑が排出されるので、これを廃材として処分するのに費用が嵩むばかりか、資源の無駄になるという欠点が有る。
【0005】
これに対し、前記欠点を解決する方法として射出成形により樹脂製遊技板を製造することが考えられるが、多くの異なる機種に対応させてそれぞれ金型を製作し、これらによって多種類の樹脂製遊技板を成形しようとすると、生産効率は良いものの、多種類の金型を必要とすることから、金型の製作コストが著しく高くなるという欠点が有る。
【0006】
前記両者に生ずるそれぞれの欠点に鑑み、特許文献2のように射出成形により樹脂製遊技板にあらかじめ盤面部品を取り付けるための開口を形成しておき、次にパチンコ遊技機の機種に応じて開口の必要個所を切削加工して拡張するようにした樹脂製遊技板が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3720829号公報(第3−11頁、図4
【特許文献2】特開2011−98155号公報(第3−5頁、図5図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2に係る樹脂製遊技板にあっては、多くの機種に対して金型の共通化を図ることで金型の製作コストをかなり削減でき、しかも、開口における切削すべき部分が少なくなって材料の歩留まりが良くなり、資源の無駄も少なくなるというものである。しかしながら、急きょ増産等の生産計画の変更が生じた場合は、射出成形後に再度切削加工を必要とすることから、加工時間が掛かることは否めず対応が著しく困難になるという改良すべき課題が残る。
【0009】
そこで、本発明は前記改良すべき点に鑑みてなされたもので、多くの異なる機種に対応して金型の共通化が図られるばかりか、急きょ増産等の生産計画の変更が生じた場合も、容易に対応でき生産効率が落ちることのないようにした弾球遊技機の樹脂製遊技板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明に係る弾球遊技機の樹脂製遊技板は、射出成形により遊技部の所定位置に可変表示装置や一般入賞口等の盤面部品を取り付けるための開口が形成され、異なる機種間における同じ位置の開口であってそれら開口に取り付けられる盤面部品のいずれもが取り付け可能な大きさの開口をそれら異なる機種間で共通する基準開口として形成するようにした遊技板本体と、前記基準開口に該基準開口の一部を塞ぐようにして取り付けられ、前記異なる機種間における各盤面部品を取り付けるに必要な形状の各種の補助板と、を有することを特徴とする。
【0011】
この際、前記基準開口の一部を塞ぐようにして該基準開口に前記補助板を取り付けることにより複数個の開口が形成され、これら開口にそれぞれ盤面部品が取り付けられるようにすることが好ましい。
【0012】
また、前記各機種における盤面部品の取付フランジ部に複数の取付孔を開設すると共に前記遊技板本体の表面であって前記基準開口の外周部に該各取付孔に対応して複数の螺子孔を開設し、これら取付孔と螺子孔とはいずれも異なる機種間で共通した位置に設けられるようにすることが好ましい。
【0013】
更に、前記各機種における盤面部品の取付フランジ部の裏面に複数の位置決めボスを突設すると共に前記遊技板本体の表面であって前記基準開口の外周部に該各位置決めボスが嵌合する位置決め孔を開設し、これら位置決めボスと位置決め孔とはいずれも異なる機種間で共通した位置に設けられるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、射出成形により遊技部の所定位置に可変表示装置や一般入賞口等の盤面部品を取り付けるための開口が形成され、異なる機種間における同じ位置の開口であってそれら開口に取り付けられる盤面部品のいずれもが取り付け可能な大きさの開口をそれら異なる機種間で共通する基準開口として形成するようにした遊技板本体と、基準開口に該基準開口の一部を塞ぐようにして取り付けられ、異なる機種間における各盤面部品を取り付けるに必要な形状の各種の補助板と、を有する。これにより、多くの異なる機種間で遊技板本体が共通化できて、多くの機種の遊技板本体に、必要な場合は補助板を使用することにより、大小関係なく盤面部品がそのまま取り付けられることになる。よって、従来の如く機種毎の盤面部品に対応させて遊技板本体の開口の内周面における必要個所をルーター加工機により切削加工する必要もなく、急きょ増産等の生産計画に変更が生じた場合にも、迅速に対応できるという効果を奏する。
【0015】
この際、基準開口の一部を塞ぐようにして該基準開口に補助板を取り付けることにより複数個の開口が形成され、これら開口にそれぞれ盤面部品が取り付けられるようにすれば、開口が簡単に形成され遊技板本体が迅速に製造できる。
【0016】
更に、各機種における盤面部品の取付フランジ部に開設される複数の取付孔と遊技板本体の表面であって基準開口の外周部に開設される複数の螺子孔、及び各機種における盤面部品の取付フランジ部の裏面に突設される複数の位置決めボスと遊技板本体の表面であって基準開口の外周部に開設される位置決め孔、をいずれも異なる機種間で共通した位置に設けるようにすれば、異なる機種間での共通化が高められ組み付け時の生産性を更に向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明が適用される樹脂製遊技板の正面図。
図2】可変表示装置を分解して示す遊技板本体の表から見た斜視図。
図3】補助板を分解して示す遊技板本体の裏から見た斜視図。
図4】補助板を取り付けた状態の遊技板本体の平面断面図。
図5】可変表示装置を取り付けた状態の遊技板本体の平面断面図。
図6】他の補助板を取り付けた遊技板本体の正面図。
図7】他の補助板を取り付けた樹脂製遊技板の正面図。
図8】補助板を取り付けない遊技板本体の正面図。
図9】補助板を取り付けない樹脂製遊技板の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る弾球遊技機の樹脂製遊技板の最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機といった弾球遊技機に適用されるが、この内、本発明はパチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1は、本発明が適用される樹脂製遊技板の正面図である。
【0019】
樹脂製遊技板A1は、図示しないパチンコ遊技機の本体枠に装着され、その前面を覆う透明板保持枠の窓開口を通して前側から視認できるようになっている。先に、樹脂製遊技板A1について説明する。
【0020】
樹脂製遊技板A1は、やや縦長の方形状の遊技板本体1を有し、その前面に外側レール2aと内側レール2bとが渦巻き状に敷設され、該外・内側レール2a,2bに囲われるようにして遊技部aが形成されている。該遊技部aには、その中央に盤面部品(盤面部品とは、「樹脂製遊技板の遊技部に装着される各種部品や装置」をいう。)である可変表示装置3が配置されている。該可変表示装置3は樹脂製遊技板A1の表面に当接して固定される取付フランジ部4が外周縁に周設されると共に、該取付フランジ部4に囲まれるようにして透口5が形成され、その後方に表示器6が配置されている。
【0021】
また、前記可変表示装置3における表示器6の前側に、中央部を低くした棚状のステージ7が形成されている。これは、可変表示装置3の内側へ入った遊技球をステージ7に導き、該ステージ7上面をその上面に沿って左右方向に転動させるためである。そして、ステージ7上面を左右方向に転動する遊技球は次第に減衰して中央部から落下する。落下した遊技球は、その下方に位置して後記する始動入賞口9に入賞する機会が多くなる。可変表示装置3の外周縁には、前記ステージ7と連なり遊技部aを流下する遊技球が入る導入口8が設けられ、該導入口8に入った遊技球はステージ7に導かれることになる。
【0022】
可変表示装置3の下方であって遊技部aに、始動入賞口9とその真下に近接して位置し一対の可動翼片10a,10aを遊技球が入賞し得ない起立位置と遊技球が入賞可能な逆ハの字状に開く傾動位置とに変換する可変始動入賞口10が設けられる。また、その下方に、開閉扉11aが前側に回動し一度に多くの遊技球が入賞し得る大入賞口11が配設されている。可変表示装置3の一側であって遊技部aに、遊技球が通過することにより該遊技球を検出する通過チャッカー12が配置され、遊技部aの下側であって内側レール2bの内側に中央の大入賞口11を挟んでその両側に位置して複数の一般入賞口13が設けられている。また、内側レール2bの最下部に、遊技部aを流下するもいずれにも入賞しなかったアウト球を遊技部aの外側へ排出させるためのアウト球口14が開設されている。更に、遊技部aの所定の位置には、流下する遊技球の方向を変化させる障害釘15や風車16が配設されている。
【0023】
そこで、例えば図示しない打球発射位置から遊技部aに打ち込まれた遊技球が始動入賞口9に入賞すると、可変表示装置3における表示器6の図柄が変動を繰り返し、所定時間が経過した後に停止する。同様に、通過チャッカー12を遊技球が通過すると、該遊技球を検知して遊技者には分からないところで抽選が行なわれ、それに当たると前記可変始動入賞口10の一対の可動翼片10a,10aが予め決められた時間の間開き、遊技球を入賞し得るようにしている。このようにして、始動入賞口9または可変始動入賞口10に遊技球が入賞する毎に、前記表示器6の図柄が変動する。その図柄の変動が停止して例えば「777」に揃ったときは、遊技者に有利な特別遊技状態となる。この状態では、大入賞口11の開閉扉11aが前側に回動して一定の時間または所定個数の遊技球が検出されるまでの間開放され、その後、開閉扉11aが閉まる。この動作を1ラウンドとし、一定条件を満たす限り最終的に15ラウンドまで繰り返され、一度に多くの入賞球が得られるようになっている。
【0024】
次に、前記樹脂製遊技板A1について詳しく説明する。図2は可変表示装置を分解して示す遊技板本体の表から見た斜視図、図3は補助板を分解して示す遊技板本体の裏から見た斜視図である。本実施の形態では、遊技板本体1は、所定の成形用金型によりポリカーボネイト樹脂、ABS樹脂、アクリロニトリル樹脂等の合成樹脂を射出成形することにより成形され、無色透明、有色透明、不透明のいずれであっても良い。そして、遊技板本体1は図2図3に示すように長方形板状に一体成形され、10mm程度の肉厚を有し表面1aが平坦に形成されている。
【0025】
前記遊技板本体1の表面1aを正面から見てその中央部やや右に寄った位置に、大型の盤面部品である可変表示装置3を取り付けるための第一開口17が形成される。該第一開口17は正面から見てほぼ横に長い楕円状をなすと共に右側下縁が下方へ落ち込んでいる。また、第一開口17の下方に始動入賞口9と可変始動入賞口10とを一緒に取り付けるための円形状の第二開口18が形成され、更にその下方に大入賞口11を取り付けるための略T字形の第三開口19が形成されている。更にまた、第一開口17の一側に通過チャッカー12を取り付けるための小さい横長楕円形状の第四開口20が形成され、第四開口20の下方に複数の一般入賞口13を取り付けるための弓状の第五開口21が形成されている。これら第一乃至第五開口17乃至21のうち、盤面部品である可変表示装置3が取り付けられる第一開口17が一番大きい。
【0026】
そこで、異なる機種間におけるいずれの盤面部品、例えば可変表示装置3を取付可能な大きさの開口である第一開口17をそれら異なる機種間で共通する基準開口として形成している。よって、他の機種のパチンコ遊技機におけるいずれの可変表示装置3も取り付けられることになる。例えば異なる機種における基準開口である第一開口17を重ね投影した場合の最も大きい外周輪郭が選ばれる。
【0027】
本発明にあっては、前記第一開口17に該第一開口17の一部、すなわち図3に示すように右側下縁の落ち込み部b、を一部塞ぐようにして所定形状の補助板22が取り付けられるようになっている。該補助板22は、遊技部aの一部をなすものであり、遊技板本体1と同じ合成樹脂材から成形され、厚さも遊技板本体1(少なくとも遊技部a)と同じである。また、該補助板22は、第一開口17に対する異なる機種における可変表示装置3によって大きさや形が異なり、それぞれの可変表示装置3が第一開口17に取り付けられる必要形状に形成されている。
【0028】
図3図4に示すように補助板22の両側縁には複数の取付片23が突設されると共に各取付片23にビス挿通孔24が開設されている。一方、遊技板本体1の裏面1bには、第一開口17における落ち込み部bの外周部に前記各取付片23に対応位置して各取付片23が嵌る嵌合凹部51が形成され、該各嵌合凹部51にビス孔25が設けられている。そして、補助板22を遊技板本体1の裏側から第一開口17の落ち込み部bに配置し、各嵌合凹部51に各取付片23を嵌め各ビス挿通孔24を介して各ビス孔25にビス26を螺締めすることにより、補助板22が取り付けられる。これら嵌合凹部51と取付片23とは、いずれも異なる機種間で共通した位置に設けられる。
【0029】
補助板22は、遊技板本体1とは異なる別個独立の金型により製作されるほか、遊技板本体1の金型で直接制作するようにしても良い。例えば、遊技板本体1を成形する金型の遊技板本体1の第一開口17に位置する個所に補助板22が成形されるようにし、遊技板本体1と補助板22とを同時に成形するようにすれば、生産性を向上させることができる。また、補助板22を遊技板本体1の裏側から取り付けるようにしたのは、遊技板本体1の表面1aと補助板22の表面22aとの間に段差ができ難く、綺麗に仕上げられるからである。ただ、支障がなければ補助板22を遊技板本体1の前側から取り付けるようにしても良い。
【0030】
前記第一開口17は補助板22を取り付けることにより、その上方の開口17aと下方の開口17bとに分割される。上方の開口17aは当機種の可変表示装置3が取り付けられる。また、下方の開口17bは前記遊技板本体1に開設され一般入賞口13を取り付けるための第五開口21と第二開口18を挟んだ反対側にほぼ左右対称となるように形成されている。そして、この下方の開口17bに一般入賞口13が取り付けられる。
【0031】
このようにして、遊技板本体1に補助板22が取り付けられた後に、該補助板22を含めて遊技板本体1の表面に障害釘15や風車16が植設され、続き第一開口17における上・下方の開口17a,17b、及び第二乃至第五開口18乃至21にそれぞれ前記可変表示装置3を始め各盤面部品が取り付けられることになる。
【0032】
遊技板本体1の表面1aにおける上方の開口17aの外周部27であって所定位置に複数の螺子孔28が設けられている。可変表示装置3における取付フランジ部4は、中央に開設された透口5の裏側の周縁に後方へ突出する環状枠部30が形成されている。前記ステージ7はこの環状枠部30の内底面に形成されることになる。そして、取付フランジ部4には前記各螺子孔28に対応位置して取付孔31が開設されている。これら螺子孔28と取付孔31とは、いずれも異なる機種間では共通した位置に設けられる。
【0033】
同様に、上方の開口17aの外周部に複数の位置決め孔32が設けられると共に、可変表示装置3の取付フランジ部4の裏面には前記各位置決め孔32に嵌合する位置決めボス33が突設されている。しかも、これら位置決め孔32と位置決めボス33も異なる機種間では共通した位置に設けられている。
【0034】
一方、異なる機種間の各可変表示装置3は、その大きさが大小いろいろ有るが、いずれの可変表示装置3も基準開口としての上方の開口17aに取り付けられたとき、取付フランジ部4の外周輪郭が上方の開口17aの内周輪郭よりも大きく形成されている。
【0035】
図3に示すように遊技板本体1の裏面1bには、その外周縁に沿って後方へ額縁状に突出する外縁リブ34が一体に設けられている。また、遊技板本体1の四隅部には、貫通孔35a〜35dが設けられているが、このうち、三ヶ所の貫通孔35a〜35cは遊技板本体1をパチンコ遊技機内に組み付けるための位置合わせ用または遊技板本体1に障害釘15を打ち込むための下穴加工工程において加工機に遊技板本体1を設置するための位置合わせ用として使用される。残りの一つの貫通孔35dは、遊技部品で用いる配線通し用として使用される。36は、外・内側レール2a,2bを取り付けるために遊技板本体1の所定の弧状線に沿って多数設けられた差込孔である。これら差込孔36には、外・内側レール2a,2bの一側縁寄りに沿って適宜間隔で取着される固定ピン(図示せず。)が打ち込まれる。遊技板本体1の裏面1bであって各差込孔36が設けられた位置に、円柱形ボス状に突出する固植用部37が設けられ、これらの中心に前記差込孔36が貫通状に形成されている。各固植用部37の先端面には、横断状に前記差込孔36と連通する切り溝38が形成されている。
【0036】
通常、各種盤面部品が取り付けられる樹脂製遊技板A1が組み立てられ完成する途中にあっては、第一乃至第五開口17〜21が形成された遊技板本体1の表面1aに障害釘15や風車16を打ち込む工程がある。また、続いて外・内側レール2a,2bの一側寄りに取着された固定ピン(図示せず。)を表面1a側から各差込孔36に打ち込んで、外・内側レール2a,2bを遊技板本体1の表面1aに敷設する工程がある。そして、これら障害釘15、風車16、外・内側レール2a,2bが取り付けられた遊技板本体1を次の工程に移動させるまで、表面1aを上にした状態で一時多段に積み重ねておく場合がある。
【0037】
このとき、上段の各固植用部37先端の切り溝38に下段の外・内レール2a,2bの上側縁を差し込む。これにより、下段の障害釘15や風車16の上端と上段の遊技板本体1の裏面1bとの間には、固植用部37のほぼ長さ分の間隔が開き、下段の障害釘15や風車16が上段の遊技板本体1の裏面1bに当接して必要もなく曲がったり、これらによって上段に位置する遊技板本体1の裏面1bを傷付けるといったことがないようにしている。
【0038】
各盤面部品は、障害釘15、風車16及び外・内側レール2a,2bが取り付けられた後に取り付けられることになるが、ここでは便宜上、第一開口17に可変表示装置3を取り付ける方法を説明する。図5に示すように可変表示装置3は遊技板本体1の表面1aに取着される取付フランジ部4と、遊技板本体1の裏面1bに取着される裏側ユニット枠39とを有する。該裏側ユニット枠39は、中央に前記取付フランジ部4の透口5と対応する支持開口40が形成され、該支持開口40に前記表示器6が取着されることになる。また、裏側ユニット枠39には外周に取付片41が周設され、適宜位置にビス挿通孔42が設けられている。
【0039】
そこで、遊技板本体1の表面1aにおける第一開口17の外周部27に取付フランジ部4の裏面を当接させると共に、各位置決め孔32に各位置決めボス33を嵌合する。図2における遊技板本体1の表面1a上の二点差線による形状が取付フランジ部4の外周輪郭の形状と一致し、その内側が表面1aの外周部27となる。このとき、各取付孔31と各螺子孔28とが一致して連通する。そこで、各取付孔31を介して各螺子孔28にそれぞれ螺子50を螺締する。これにより、取付フランジ部4がずれることなくしっかりと固定される。
【0040】
また、遊技板本体1の裏面1bには表示器6が取り付けられた裏側ユニット枠39を当接させ、取付片41の各ビス挿通孔42と遊技板本体1に予め設けられたビス孔43とを合致させ、裏側から各ビス挿通孔42を介してビス孔43にビス44を螺締する。これにより、裏側ユニット枠39がしっかりと固定される。この裏側ユニット枠39には、前記表示器6の他に例えば装飾用の可動物を設けるようにしても良い。
【0041】
前記遊技板本体1の表面1aであって第一開口17の外周部27に設けられる位置決め孔32と、該第一開口17に取り付けられる可変表示装置3における取付フランジ部4の裏面に設けられ該位置決め孔32に嵌合する位置決めボス33と、はいずれも異なる機種間で共通した位置に設けられている。よって、異なる機種間の遊技板本体1に共通性が図られ、異なる機種間の遊技板本体1であっても量産し易い。
【0042】
前記遊技板本体1と補助板22とは同じ厚さであって両前面が共に面一となるが、それら境界線は前側から視認でき見栄えが悪い。よって、補助板22を恰も遊技板本体1の一部であると見せるべく、その境界線を隠すための装飾隠蔽部を設けるようにしている。例えば、図7に示すように補助板45に取り付けられた入賞口48の取付板48aの周囲四隅部から前記境界線を隠すように装飾隠蔽部としての隠蔽板部29を延設するようにしても良い。または、図示は省略するが境界線を隠すように樹脂材を設けるか印刷を施すようにしても良い。
【0043】
補助板22の前面には、例えば障害釘15や風車16が植設されるが、本来、補助板22は遊技板本体1と同一であるので、遊技板本体1に補助板22を取り付けた後に補助板22を含め遊技板本体1の前面全体に障害釘15や風車16が一緒に植設される。
【0044】
図6は他の補助板を取り付けた遊技板本体の正面図、図7は他の補助板を取り付けた樹脂製遊技板の正面図である。なお、他の補助板を取り付けた遊技板本体と樹脂製遊技板とは前記遊技板本体と樹脂製遊技板と構成上似ているので、同一部位は同一番号を付して詳しい説明は省略する。
【0045】
この遊技板本体1−2は、補助板45に開口46が開設されている。また、第一開口17は、前記補助板45により分けられ、その上方に開口17cが形成されると共に下方に開口17dが形成されている。該補助板45の取付方法は前記方法と同じである。
【0046】
この場合は、図7に示すように樹脂製遊技板A2における開口17cに可変表示装置3aが取り付けられる。また、補助板45の開口46に、開閉扉47が前後に回動して開閉し遊技球を受け入れ入賞させる入賞口48が取り付けられ、補助板45の下方の開口17dに一般入賞口13が取り付けられる。このようにすることにより、遊技部aのレイアウトの変更が自由に行なえることになる。
【0047】
図8,9は補助板22,45を使用しない場合である。この場合は、図8に示すように遊技板本体1−3の第一開口17に補助板22が設けられていない。また、図9に示すように樹脂製遊技板A3の向かって左側のみ一般入賞口13が有り、右側にはない。そして、第一開口17に可変表示装置3bが取り付けられる。この可変表示装置3bは、正面から見て右側に大きく装飾部49が形成されている。このように、機種によって補助板22,45を使ったり使わなかったりする。また、同じ機種でも盤面部品が異なる場合は、大きさ・形状の異なった補助板22,45が使用される。
【0048】
以上のように、本発明にあっては、多くの異なる機種間で遊技板本体1が共通化できて、多くの機種の遊技板本体1に、必要な場合は補助板22,45を使用することにより、大小関係なく盤面部品がそのまま取り付けられることになる。よって、従来の如く機種毎の盤面部品に対応させて遊技板本体1の開口の内周面における必要個所をルーター加工機により切削加工する必要もなく、急きょ増産等の生産計画に変更が生じた場合にも、迅速に対応できる。
【符号の説明】
【0049】
1 遊技板本体
1−2 遊技板本体
3 盤面部品(可変表示装置)
3a 盤面部品(可変表示装置)
3b 盤面部品(可変表示装置)
4 取付フランジ部
9 盤面部品(始動入賞口)
10 盤面部品(可変始動入賞口)
11 盤面部品(大入賞口)
12 盤面部品(通過チャッカー)
13 盤面部品(一般入賞口)
17 基準開口(第一開口)
17a 開口
17b 開口
17c 開口
17d 開口
22 補助板
27 外周部
28 螺子孔
31 取付孔
32 位置決め孔
33 位置決めボス
45 補助板
46 開口
A1 樹脂製遊技板
A2 樹脂製遊技板
A3 樹脂製遊技板
a 遊技部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9