(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方の遷移金属の不完全酸化物を含んで構成される膜厚が10nm〜80nmの熱リソグラフィー用レジスト層と、前記熱リソグラフィー用レジスト層が表面に成膜された基板と、を含んで構成される熱リソグラフィー用レジスト基板を、相対湿度30%以下の雰囲気で保管して、前記熱リソグラフィー用レジスト基板の不完全酸化状態を保つことを特徴とするレジスト基板の保管方法。
前記熱リソグラフィー用レジスト基板は、(保管前後の透過率差/保管前の透過率)×100(%)で示される保管前後の透過率の変化が1%以下であることを特徴とする請求項1に記載のレジスト基板の保管方法。
前記レジスト層は、前記遷移金属の不完全酸化物からなるアモルファス無機材料を含んで構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレジスト基板の保管方法。
前記レジスト層は、前記遷移金属の不完全酸化物のほか、遷移金属以外の元素が添加されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のレジスト基板の保管方法。
前記遷移金属以外の元素は、アルミニウム(Al)、炭素(C)、ホウ素(B)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のレジスト基板の保管方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、以下具体的に説明する。
本発明の発明者は、遷移金属の不完全酸化物を含んで構成されるレジストを熱リソグラフィーに適用する場合に生じる不具合の原因が、遷移金属の不完全酸化物の価数が膜内において不均一であること、そして、この価数が経時変化することにあると見出した。さらに、この膜内における不均一性およびその経時変化は、遷移金属膜形成後の雰囲気湿度および温度、特に雰囲気湿度の影響を大きく受けることを見出した。
【0019】
熱リソグラフィーに適用される熱レジストは数十nmの薄膜であるため、雰囲気湿度による酸化雰囲気の影響を受けやすい。遷移金属の不完全酸化物は、本来、熱力学的に準安定状態であるため、酸化により完全酸化物へ変化しやすく、完全酸化物へと変化すると透明になり光吸収性がほとんどなくなる。すると、熱レジストに必要な特性のうち、(1)照射された光を吸収し、熱エネルギーに変える、という特性が消失してしまう。
【0020】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、遷移金属の不完全酸化物を含んで構成されるレジストの不完全酸化状態を一定に保ち、遷移金属の不完全酸化物の価数の経時変化を抑制することが、解像度の安定性、大面積での均一性の改善につながるとの着想に至った。そして、この着想に基づいて、遷移金属の不完全酸化物を含んで構成されるレジストの不完全酸化状態を一定に保つためのレジスト基板の保管方法を見出した。
【0021】
本発明のレジスト基板の保管方法では、少なくとも、遷移金属の不完全酸化物を含んで構成されるレジスト層と、このレジストが表面に成膜された基板と、から構成されるレジスト基板を、相対湿度30%以下の雰囲気で保管する。相対湿度30%以下の雰囲気で保管することにより、レジスト層の酸化が抑えられて、レジストの化学的性質の1つである光線透過率の変化が抑えられる。
【0022】
なお、相対湿度が30%より高い雰囲気で保管される場合、この相対湿度によりレジスト層の酸化が進み、レジストの化学的性質である光線透過率が大きく低下するため好ましくない。
【0023】
本発明における遷移金属の不完全酸化物を含んで構成されるレジストは、モリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方の不完全酸化物を含んで構成されることが好ましい。ここで、モリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方の不完全酸化物とは、この不完全酸化物における酸素の含有量が、モリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方のとりうる価数に応じた化学量論組成の酸素含有量より小さい化合物と定義する。
【0024】
モリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方の不完全酸化物を含んで構成されるレジストは、紫外線領域から可視光〜赤外線領域まで光吸収性を有しており、さらに、現像性、ドライエッチング性も高いため、熱リソグラフィー用レジストとして好適である。
【0025】
モリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方の酸化物の一例として、化学式MoO
3で表される酸化モリブデンについて説明する。酸化モリブデン(化学式MoO
3)の酸化状態を、組成割合Mo
1−xO
xに換算すると、x=0.75の場合が完全酸化物であるのに対して、0<x<0.75で表される場合に化学量論組成より酸素含有量が不足した不完全酸化物であるといえる。
【0026】
また、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属では1つの元素が価数の異なる酸化物を形成可能なものがあるが、この場合には、遷移金属のとりうる価数に応じた化学量論組成より実際の酸素含有量が不足している場合を不完全酸化物の範囲内とする。たとえば、モリブデン(Mo)は、先に述べた3価の酸化物(MoO
3)が最も安定であるが、その他に1価の酸化物(MoO)も存在する。この場合には組成割合Mo
1−xO
xに換算すると、0<x<0.5の範囲内であるとき化学量論組成より酸素含有量が不足した不完全酸化物であるといえる。
【0027】
なお、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属の酸化物の酸化度合(価数)は、市販の分析装置で分析可能である。たとえば、EDX(エネルギー分散型X線検出装置)や、XRF(蛍光X線分析装置)、X線光電子分光分析装置などの分析装置で分析可能である。
【0028】
このようなモリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属の不完全酸化物は、従来からの露光装置に搭載されているレーザー装置などの光、すなわち紫外光、可視光あるいは熱線に対して吸収を示し、それらを照射されることでその化学的性質が変化する。その結果、無機レジストでありながら現像工程において露光部と未露光部とでエッチング速度に差が生じることとなり、いわゆる選択比が得られる。また、モリブデン(Mo)やタングステン(W)等の遷移金属の不完全酸化物からなるレジスト材料は、膜粒子サイズが小さいために未露光部と露光部との境界部のパターンが明瞭なものとなり、分解能を高めることができる。
【0029】
本発明におけるレジスト基板を構成するレジスト層は、遷移金属の不完全酸化物からなるアモルファス無機材料を含んで構成されることが好ましい。たとえば、モリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方の不完全酸化物からなるアモルファス無機材料を含んで構成されることが好ましい。アモルファス無機材料を含んで構成されたレジスト層は、レジスト層を構成する結晶粒子サイズが小さいため、未露光部と露光部との境界部のパターンが明瞭なものとなり、分解能を高めることができる。
【0030】
一方、レジスト層を構成する結晶粒子サイズが小さいことは、レジスト層が酸化雰囲気の影響を受けやすく、遷移金属の不完全酸化状態が変化しやすいことを意味している。しかしながら、レジストを構成する結晶粒子サイズが小さい場合であっても、本発明の保管方法を適用して相対湿度30%以下の雰囲気で保管することにより、レジスト層の酸化を抑えることが可能となる。
【0031】
また、本発明におけるレジスト基板を構成するレジスト層は、遷移金属の不完全酸化物のほか、遷移金属以外の元素が添加されて構成されていることが好ましい。遷移金属以外の元素を添加することにより、遷移金属の不完全酸化物の結晶粒が小さくなるので、露光部と未露光部との境界部がさらに明瞭となり、分解能の向上が図られる。また、露光感度も改善される。
【0032】
なお、この場合にも、レジスト層を構成する結晶粒子サイズが小さくなるので、レジスト層が酸化雰囲気の影響を受けやすく、遷移金属の不完全酸化状態が変化しやすくなる。しかしながら、レジストを構成する結晶粒子サイズが小さい場合であっても、本発明の保管方法を適用して相対湿度30%以下の雰囲気で保管することにより、レジスト層の酸化を抑えることが可能となる。
【0033】
遷移金属以外の元素としては、アルミニウム(Al)、炭素(C)、ホウ素(B)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)のうち、少なくとも1つであるとより好ましい。遷移金属以外の元素としては、レジストに必要とされる特性に応じて適宜選択することができる。たとえば、赤外光付近の光を露光に使用する場合は、その波長域の吸収が大きい、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)を添加すればよく、紫外線域であれば、アルミニウム(Al)を添加すればよい。
【0034】
本発明におけるレジスト基板を構成する基板は、遷移金属の不完全酸化物を含んで構成されるレジスト層が成膜でき、さらに、このレジスト層を露光することができれば特に制限されるものではない。たとえば、合成石英や溶融石英に代表される石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスに代表されるガラスや、プラスチック、シリコン、アルミナ、チタンカーバイド、ニッケルのうちの少なくとも1種からなる基板が適用できる。
【0035】
基板としては、露光感度が高い石英、ガラス、プラスチック、シリコン、アルミナ、チタンカーバイド、ニッケルのうちの少なくとも1種からなる基板を用いることが好ましい。感度の高さの順序は、熱伝導率の順序に対応している。熱伝導率が小さい基板ほど露光時の温度上昇が大きいため、温度上昇に伴うレジスト材料の化学的性質の変化がより大きくなるためである。
【0036】
また、基板の形状としては、後工程のレジスト露光工程で連続的に微細パターンを形成できれば特に制限されるものではない。ウェハー状、四角形状などの平板状の基板だけでなく、円筒型の基板を適用することもできる。特に、円筒型の基板であると、形成されるパターン面積の制限が少なくなるため好ましい。
【0037】
本発明におけるレジスト基板を構成するレジスト層は、スパッタリング法または蒸着法により形成されることが好ましい。これらの方法により、表面が十分に平滑とされた基板上に、遷移金属の不完全酸化物を含んで構成されるレジスト層を成膜できる。具体的な成膜方法としては、たとえば、遷移金属の単体からなるターゲットを用いて、アルゴンおよび酸素雰囲気中でスパッタリング法により成膜を行う方法が挙げられる。この場合には、真空雰囲気中の酸素ガス濃度を変えることにより、遷移金属の不完全酸化物の酸化度合を制御できる。
【0038】
レジスト層は、たとえば、モリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方を含んだターゲットを用いて、アルゴン(Ar)および酸素(O
2)雰囲気中で、スパッタリング法により成膜できる。このとき、チャンバー内への導入ガスの全流量に対して、酸素(O
2)を5〜20%とする。また、ガス圧は通常のスパッタリングのガス圧(1〜10Pa)とすることができる。
【0039】
また、ターゲットを用いた酸素雰囲気中でのスパッタリング法のほか、あらかじめ所望量の酸素を含有する遷移金属の不完全酸化物からなるターゲットを用いてアルゴン雰囲気中でスパッタリングを行うことによっても、遷移金属の不完全酸化物からなるレジスト層を同様に成膜することができる。
【0040】
さらに、スパッタリング法のほか、蒸着法によってもモリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属の不完全酸化物からなるレジスト層を成膜することができる。
【0041】
レジスト層の膜厚は、任意に設定可能であるが、たとえば、10nm〜80nmの範囲内とすることができる。
【0042】
本発明におけるレジスト基板は、レジスト露光工程においてレジスト層を選択的に露光され、レジスト現像工程において所定のパターンが現像される。これにより、レジスト原盤が形成される。
【0043】
レジスト露光工程では、光、すなわち、紫外光、可視光あるいは熱線を発射するレーザー装置などを搭載した従来からの露光装置が用いられる。特に、光源装置が小型化であり、かつ、安価である半導体レーザーを用いることが好ましい。熱リソグラフィー法に対応する熱反応型レジストは、半導体レーザーによって微細パターンを形成することが可能であるため、露光に用いる光は半導体レーザーが好ましい。
【0044】
レジスト露光工程で形成されるパターンは、ナノオーダーの微細パターンであり、ピッチが50nm以上1μm以下であることが好ましい。パターンの形状は、特に限定されるものではなく、ライン・アンド・スペース(L/S)、ドット、長穴パターンなどが挙げられる。これらの形状が1つの基材の中で混同されていてもよく、また、異なるピッチが混在していてもよい。
【0045】
本発明のレジスト基板におけるレジスト層は、紫外光、可視光あるいは熱線を照射されることによってその化学的性質が変化し、アルカリまたは酸に対するエッチング速度が露光部と未露光部とで異なり、いわゆる選択比が得られた状態となる。
【0046】
なお、レジスト基板は、レジスト露光工程前まで相対湿度30%以下の雰囲気で保管されているため、遷移金属の不完全酸化物を含んで構成されるレジスト層の不完全酸化状態は一定に保たれている。したがって、熱レジストとして必要な、照射された光を吸収し熱エネルギーに変えるという特性は消失しておらず、良好に露光を行うことができる。
【0047】
レジスト現像工程では、パターン露光されたレジスト層が現像されて、所定の露光パターンに応じた凹凸構造が形成されてなるレジスト原盤が得られる。
【0048】
現像処理としては、酸またはアルカリ等の液体によるウェットプロセスによって選択比を得ることが可能であり、使用目的、用途、装置設備等に応じて適宜使い分けることが可能である。
【0049】
ウェットプロセスに用いられるアルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウム水酸化溶液、KOH、NaOH、Na
2CO
3等の無機アルカリ水溶液等を単独または混合溶液として用いることができる。一方、ウェットプロセスに用いられる酸現像液としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、フッ酸などを用いることができる。
【0050】
また、現像液中に過酸化水素や過酸化マンガンなどの電位調整剤などを加えることも可能である。さらに、現像液中に界面活性剤などを添加して現像性を向上させることも可能である。また、レジスト材料によっては、まず酸現像液で現像した後に、アルカリ現像液で現像して目的の現像を達成する方法を採用してもよい。
【0051】
このようにして得られる凹凸構造が形成されたレジスト原盤は、光ディスクなどの光学デバイス、ワイヤグリッド偏光板などの光学材料、表示デバイス、磁気デバイスなどのさまざまな用途に供される。
【0052】
以上説明したように、本発明のレジスト基板の保管方法によれば、従来からの安価な露光装置が使え、高精度の微細加工ができるモリブデン(Mo)とタングステン(W)の両方、またはいずれか一方の不完全酸化物を含んで構成される熱レジストの不完全酸化状態を一定に保ち、経時変化を抑制することができるため、解像度の安定性、大面積の均一性を改善することが可能となる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例をもとに本発明をより具体的に説明する。なお、下記実施形態における材料、使用組成、処理工程などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能である。そのため、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0054】
<実施例1>
レジスト基板における基板として、直径2インチのガラス基板を用いた。このガラス基板上に、スパッタリング法によりタングステン(W)の不完全酸化物からなるレジスト膜を成膜した。スパッタリング法では、タングステン(W)の単体からなるスパッタターゲットを用い、アルゴンと酸素との混合雰囲気でスパッタリングを行い、酸素ガス濃度を変えて、タングステン(W)の不完全酸化物の酸化度合を制御した。
【0055】
堆積したレジスト層をエネルギー分散型X線検出装置にて解析したところ、組成割合W
1−xO
xで表したときにx=0.62であった。また、レジスト層の膜厚は40nmとした。
【0056】
得られたレジスト基板を温度25℃、湿度30%の恒温恒湿槽内で10日間保管した。保管前後の透過率の変化率を、次式で算出した。透過率評価の際の透過光の波長は405nmであった。
透過率の変化率(%)=(保管前後の透過率差)/(保管前の透過率)×100
【0057】
結果を表1に示す。
【表1】
【0058】
保管後のレジスト基板にL/Sのパターンを以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:8mW
送りピッチ:300nm
【0059】
このあと、露光の終了したレジスト基板を、アルカリ現像液により現像した。アルカリ現像液としてはテトラメチルアンモニウム水酸化溶液を用い、現像時間は30分とした。現像終了後には純水及びイソプロピルアルコールにより充分に洗浄し、エアブロー等で乾燥させてプロセスを終了した。
【0060】
得られたパターンはピッチ300nmでパターン幅160nmのL/Sパターンであった。
【0061】
<実施例2>
レジスト基板における基板として、直径2インチのガラス基板を用いた。このガラス基板上に、スパッタリング法によりモリブデン(Mo)の3価の不完全酸化物からなるレジスト膜を成膜した。スパッタリング法は、モリブデン(Mo)の単体からなるスパッタターゲットを用い、アルゴンと酸素との混合雰囲気でスパッタリングを行い、酸素ガス濃度を変えて、モリブデン(Mo)の不完全酸化物の酸化度合を制御した。
【0062】
堆積したレジスト層をエネルギー分散型X線検出装置にて解析したところ、組成割合Mo
1−xO
xで表したときにx=0.60であった。また、レジスト層の膜厚は40nmとした。
【0063】
得られたレジスト基板を温度25℃、湿度30%の恒温恒湿槽内で10日間保管した。波長405nmにおける保管前後の透過率の変化率を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
保管後のレジスト基板にL/Sのパターンを以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:8mW
送りピッチ:500nm
【0065】
このあと、露光の終了したレジスト基板を、アルカリ現像液により現像した。アルカリ現像液としてはテトラメチルアンモニウム水酸化溶液を用い、現像時間は30分とした。現像終了後には純水及びイソプロピルアルコールにより充分に洗浄し、エアブロー等で乾燥させてプロセスを終了した。
【0066】
得られたパターンはピッチ500nmでパターン幅200nmのL/Sパターンであった。
【0067】
<比較例1、2>
実施例1と同様に、ガラス基板上にW
1−xO
xで示されるタングステン(W)の不完全酸化物からなるレジスト膜を形成した。堆積したレジスト層をエネルギー分散型X線検出装置にて解析したところ、組成割合W
1−xO
xで表したときにx=0.62であった。
【0068】
得られたレジスト基板を温度25℃において、湿度50%(比較例1)、湿度80%(比較例2)の恒温恒湿槽内で10日間保管した。波長405nmにおける保管前後の透過率の変化率を測定した。結果を表1に示す。
【0069】
保管後のレジスト基板にL/Sのパターンを以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:8mW
送りピッチ:300nm
【0070】
このあと、露光の終了したレジスト基板を、アルカリ現像液により現像した。アルカリ現像液としてはテトラメチルアンモニウム水酸化溶液を用い、現像時間は30分とした。現像終了後には純水及びイソプロピルアルコールにより充分に洗浄し、エアブロー等で乾燥させてプロセスを終了した。
【0071】
得られた基板には、明瞭なパターンは得られていなかった。
【0072】
<比較例3、4>
実施例2と同様にして、ガラス基板上にMo
1−xO
xで表したときにx=0.60で示されるレジスト膜を形成した。
【0073】
得られたレジスト層付き基板を温度25℃において、湿度50%(比較例3)、湿度80%(比較例4)の恒温恒湿槽内で10日間保管した。波長405nmにおける保管前後の透過率の変化率を測定した。結果を表1に示す。
【0074】
保管が終わったレジスト基板にL/Sのパターンを以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:8mW
送りピッチ:500nm
【0075】
このあと、露光の終了したレジスト基板を、アルカリ現像液により現像した。アルカリ現像液としてはテトラメチルアンモニウム水酸化溶液を用い、現像時間は30分とした。現像終了後には純水及びイソプロピルアルコールにより充分に洗浄し、エアブロー等で乾燥させてプロセスを終了した。
【0076】
得られた基板には、明瞭なパターンは得られていなかった。
【0077】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。