(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記扉の前板は、金属製であり、この前板の端部は扉の後ろ面まで延出されて、扉の内板の一部として構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の冷蔵庫。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は、断熱性能を向上するために、外壁部、天井部、底部などの内部に真空断熱材を配設して断熱するとともに、また冷蔵庫の前側の扉の内部にも真空断熱材を配設して断熱性能の向上した断熱扉を構成している。
【0003】
このような真空断熱材を配設した断熱扉の周囲には、ガスケットが取り付けられている。
【0004】
ガスケットは、柔軟性のある材料で構成された中空密閉のエアクッション部およびこのエアクッション部から突出している矢尻状の差込部を有し、この差込部を扉の周囲の内側に形成された凹部に差し込んで装着している。また、ガスケットのエアクッション部の差込部と反対の面には、マグネットが取り付けられ、このマグネットが野菜室の周壁の端部を構成している金属部材を吸着して、野菜室を密閉状態にしている。
【0005】
上述したように、引出し式扉の周囲の内側にガスケットを取り付けた場合には、この引出し式扉の周囲の内側にガスケットの差込部を差し込むための凹部を形成することが必要であるため、断熱性能を向上すべく引出し式扉内に配設された真空断熱材は、前記凹部のために引出し式扉の周囲の部分まで設けることができず、引出し式扉の周囲を除いた部分のみに真空断熱材が配設されているため、引出し式扉の断熱性能は十分ではなく、周囲を含む引出し式扉の全体に真空断熱材を配設して、断熱性能を更に向上した冷蔵庫が要望されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる冷蔵庫の全体を示す斜視図である。同図に示す冷蔵庫1は、最上部に両開き式の観音扉3a、3bで開閉される冷蔵室5を有し、この冷蔵室5の下側に引出し式扉7で開閉される野菜室9が設けられている。また更に、この野菜室9の下側には製氷室11と第1冷凍室13とが横に並んで設けられ、この下側の最下部に第2冷凍室15が設けられている。
【0012】
図2は、
図1に示した冷蔵庫1の野菜室9を水平に切断した横断面図である。同図に示す野菜室9は、引出し式扉7のある前側が開放した左右の側壁11aおよび11bと両者を後端で連結する後壁13からなるほぼ矩形の断面を有し、側壁11a、11bは、前側の左右両端にはガスケット15が取り付けられ、このガスケット15を介して引出し式扉7の左右両端の内側に当接し、野菜室9内を密閉状態に保持している。
【0013】
引出し式扉7は、間隔をあけて配設される前板25と後板27で構成され、これらの前板25と後板27との間に真空断熱材21が配設され、引出し式扉7の断熱性能を向上している。なお、前板25と後板27は、引出し式扉7の左右両側端部で端部同士が突き合うか部分的に重なって野菜室全体を隙間なく囲むように構成されている。また、引出し式扉7の前記ガスケット15に近い左右両端寄りの部分の内側には、野菜室9内に向かって大きく突出する左右のスロート部41a、41bが設けられている。
【0014】
また、野菜室9の側壁11a、11bおよび後壁13も同様に、間隔をあけて配設される内板31と外板33で構成され、これらの内板31と外板33との間に真空断熱材35が配設され、野菜室9の断熱性能を向上している。
【0015】
側壁11a、11bのそれぞれの前側の端部、すなわち引出し式扉7の左右両端の内側に向かう側壁11a、11bの前側端部には、凹部37が形成され、この凹部37内にガスケット15の矢尻状の差込部15aが差し込まれて、ガスケット15が装着されている。ガスケット15は、この差込部15aに連結して、柔軟性のある材料で構成された中空密閉のエアクッション部15bを有し、前記差込部15aがエアクッション部15bから突出するように取り付けられている。
【0016】
また、ガスケット15のエアクッション部15bの前側の内部、すなわちエアクッション部15bの引出し式扉7に面する前側の内部には、マグネット15cが取り付けられ、このマグネット15cは、引出し式扉7の左右両端の樹脂製の後板27の部分に取り付けられている図示しない金属片を磁気的に吸着し、野菜室を密閉状態にし、その断熱性能を向上している。
【0017】
以上のように構成される第1の実施形態において、ガスケット15は、側壁11a、11bの前側端部に設けられていて、引出し式扉7にはガスケット15がなく、従ってガスケット15を取り付けるための凹部も引出し式扉7にないため、引出し式扉7内の真空断熱材21は引出し式扉7の左右両端も含んで、引出し式扉7の全体に設けることができ、引出し式扉7の断熱性能を著しく向上できるとともに、真空断熱材21を使用することで、引出し式扉7の厚さも薄く構成でき、引出し式扉7で開閉される野菜室9の内部容量を増大することができる。
【0018】
図3は、本発明の第2の実施形態に係わる冷蔵庫の野菜室などの引出し式扉に適用される引出し式扉の右側端部と野菜室の右側壁の前側端部とを示す断面図である。なお、同図は、野菜室の引出し式扉の右側端部と野菜室の右側壁の前側端部とを示した図であるが、引出し式扉の左側端部と野菜室の左側壁の前側端部の構造も同様な構造のものであり、図の簡単化のために省略している。
【0019】
図3において、野菜室の引出し式扉17は、前板25の裏面に真空断熱材21が接着などにより密接に取り付けられているが、この真空断熱材21は、引出し式扉17の端部まで延出して引出し式扉17の内部全体に配設されている。引出し式扉17の前側を覆っている前板25は、引出し式扉17の端部を覆うように引出し式扉17の端部で内側に折曲して、折曲側部25aを構成しているが、この前板25の折曲側部25aの後方に伸びた端部には、後板27の2つに割れた先端部27aが嵌合している。
【0020】
前板25の裏側に取り付けられた真空断熱材21の端部の裏側の角部近くには、金属製の磁着板53が配設されているが、引出し式扉17の後板27は、この磁着板53を覆うように磁着板53の裏側を通って、左方に延出した部分はスロート部41bを形成するように後方に延出し、また右方においては磁着板53を超えた後に折曲し、前記2つに割れた先端部27aを構成している。なお、磁着板53が設けられている後板27の部分は、僅かに凹んで、磁着板53を収納し易いように構成されている。
【0021】
野菜室の右側壁51の前側端部には、ガスケット45が取り付けられている。右側壁51は、間隔をあけて配設される外板47と内板49を有し、両者の間には、真空断熱材35が配設されているが、内板49は、引出し式扉17に向かって延出してから側壁51の前側端部を構成するように外板47に向かって折曲し、この折曲部にガスケット45の矢尻状の差込部45aが挿入される凹部51aが形成されている。内板49は、凹部51aを形成した後、その延出先端部は、外板47の右側壁51の前側端部で折曲し、この折曲端部で構成されるフック部47aに係合している。
【0022】
また同様に、ガスケット45は、差込部45aに連結して、柔軟性のある材料で構成された中空密閉のエアクッション部45bを有し、前記差込部45aがエアクッション部45bから突出するように取り付けられている。そして、このエアクッション部45bの前側の内部、すなわちエアクッション部15bの引出し式扉7に面する前側の内部には、マグネット45cがエアクッション部45b内で短く伸びた挟持部で挟まれるように取り付けられ、このマグネット45cは、引出し式扉17の端部に設けられた前記磁着板53を吸着し、野菜室を密閉状態にし、その断熱性能を向上している。
【0023】
以上のように構成される第2の実施形態においては、ガスケット45は、側壁51の前側端部に設けられていて、引出し式扉17にはガスケット45がなく、従ってガスケット45を取り付けるための凹部も引出し式扉17にないため、引出し式扉17内の真空断熱材21は引出し式扉17の端部を含んで、引出し式扉17の全体に設けることができ、引出し式扉17の断熱性能を著しく向上できるとともに、真空断熱材21を使用することで、引出し式扉17の厚さも薄く構成でき、引出し式扉17で開閉される野菜室の内部容量を増大することができる。
【0024】
図4は、本発明の第3の実施形態に係わる冷蔵庫の野菜室などの引出し式扉に適用される引出し式扉の右側端部と野菜室の右側壁の前側端部とを示す断面図である。なお、同図は、野菜室の引出し式扉の右側端部と野菜室の右側壁の前側端部とを示した図であるが、引出し式扉の左側端部と野菜室の左側壁の前側端部の構造も同様な構造のものであり、図の簡単化のために省略している。
【0025】
図4において、側壁11bの前側端部のガスケット15が設けられている構造は、
図2に示した構造と同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付している。また、引出し式扉は、符号57で示すが、前板25の内側に真空断熱材21が接着等により密接して取り付けられとともに、真空断熱材21を挟んで対向した後板27が配設され、この後板27の端部寄りの部分には前記スロート部41bが内側に向かって大きく突出して設けられている。
【0026】
そして、側壁11bの前側端部のガスケット15に対向する前板25の右側端部は、後方に折曲して、引出し式扉57の折曲側部25aを構成してから直角に内側に折曲し、折曲部25bを構成し、それから更にこの折曲した先端が引出し式扉57内に向かうように折曲して、折曲片25cを構成している。また、引出し式扉57の右側端部において後板27は、鉤型に折曲して、凹部27bを構成し、この凹部27bに前記折曲片25cが係合している。
【0027】
このように構成される引出し式扉57の端部においては、金属製の前板25の折曲部25bがガスケット15のマグネット15cに対向して設けられているため、引出し式扉57を閉じた時には、前板25の折曲部25bは、ガスケット15のマグネット15cに密接に近接し、マグネット15cの吸着力により吸着され、引出し式扉57の端部と側壁11bの前側端部とを密閉状態に閉塞し、野菜室9の内部を断熱状態に保持するとともに、またガスケット15は、側壁11bの前側端部に設けられていて、引出し式扉57にはガスケットがなく、従ってガスケットを取り付けるための凹部も引出し式扉にないため、引出し式扉57内の真空断熱材21は引出し式扉の端部を含んで、引出し式扉の全体に設けることができ、引出し式扉の断熱性能を著しく向上できるとともに、真空断熱材21を使用することで、引出し式扉の厚さも薄く構成でき、引出し式扉で開閉される野菜室の内部容量を増大することができる。
【0028】
図5は、本発明の第4の実施形態に係わる冷蔵庫の野菜室などの引出し式扉に適用される引出し式扉の右側端部と野菜室の右側壁の前側端部とを示す断面図である。なお、同図は、野菜室などの引出し式扉の右側端部とその右側壁の前側端部とを示した図であるが、引出し式扉の左側端部と野菜室などの左側壁の前側端部の構造も同様な構造のものであり、図の簡単化のために省略している。
【0029】
図5において、右側壁51の前側端部のガスケット45が設けられている構造は、
図3においてマグネット45cがエアクッション部45b内においてエアクッション部45bの内壁で両側から挟まれるように設けられているのに対して
図5ではエアクッション部45bの内壁で囲まれていることを除いて、
図3に示した構造とほぼ同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0030】
図5における引出し式扉67は、前面がガラス69で覆われて構成され、このガラス69の内側に真空断熱材21が接着等により密接に取り付けられている。また、引出し式扉67の側端部は、プラスチック製の側板71が取り付けられ、この側板71の前側寄りの一部は、ガラス69の内側に沿うように引出し式扉67内に延出して、ガラス平行部71aを構成し、このガラス平行部71aよりも前側の側板71の端部は、ガラス69の端部を前記ガラス平行部71aとの間で挟んで保持するように折曲し、ガラス保持部71bを構成している。
【0031】
また、側板71の中程よりも後側であって、右側壁51に向かう後側寄りの部分には、段部71cが形成され、この段部71cの上に後板27の折曲した水平端部27cの一端が載置されている。この後板27の水平端部27cの他端は、上方に延出してから水平に伸びて、スロート部41bを構成する後板27に続いている。前記水平端部27cの上には、鋼板などからなる断面が下向きコの字状の磁着板73がガスケット45のマグネット45cに対向するように載置されている。
【0032】
上述したように構成される本実施形態の引出し式扉67の端部においては、鋼板などからなる磁着板73がガスケット45のマグネット45cに対向して設けられているため、引出し式扉67を閉じた時には、磁着板73がガスケット45のマグネット45cに密接し、マグネット45cの吸着力により吸着され、引出し式扉67の端部と側壁11bの前側端部とを密閉状態に閉塞し、野菜室9の内部を断熱状態に保持することができるとともに、またガスケット45は、右側壁51の前側端部に設けられていて、引出し式扉67にはガスケットがなく、従ってガスケット45を取り付けるための凹部も引出し式扉67にないため、引出し式扉67内の真空断熱材21は引出し式扉の端部を含んで、引出し式扉67の全体に設けることができ、引出し式扉67の断熱性能を著しく向上できるとともに、真空断熱材21を使用することで、引出し式扉67の厚さも薄く構成でき、引出し式扉67で開閉される野菜室の内部容量を増大することができる。
【0033】
図6は、本発明の第5の実施形態に係わる冷蔵庫の野菜室などの引出し式扉に適用される引出し式扉の右側端部と野菜室の右側壁の前側端部とを示す断面図である。なお、同図は、野菜室の引出し式扉の右側端部と野菜室の右側壁の前側端部とを示した図であるが、引出し式扉の左側端部と野菜室の左側壁の前側端部の構造も同様な構造のものであり、図の簡単化のために省略している。
【0034】
図6において、側壁11bの前側端部のガスケット15が設けられている構造は、
図2および
図4に示した構造と同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付している。また、本実施形態の引出し式扉77は、
図5と同様に、前面がガラス69で覆われて構成され、このガラス69の内側に真空断熱材21が接着等により密接に取り付けられている。また、引出し式扉77の側端部は、プラスチック製の側板71が取り付けられ、この側板71の前側寄りの一部は、折曲してから、ガラス69の内側に沿うように引出し式扉77内に延出して、ガラス平行部71aを構成し、このガラス平行部71aを超えた側板71の前側の端部は、ガラス平行部71aよりも前側に僅か突出し、この突出部でガラス69が引出し式扉77の外側に移動しないように保持している。
【0035】
引出し式扉77の側板71の側壁11bに向かう他端は、真空断熱材21を超えた所で折曲して、折曲片71dを構成し、この折曲片71dは、後板27のスロート部41bを超えてから真空断熱材21に沿って側壁11bの方に延出してくる後板27の端部27dとの間で鋼板などからなるほぼT字状の磁着板75の下垂部75aを挟持している。
【0036】
この磁着板75の下垂部75aの上側の水平部75bは、ガスケット15のマグネット15cに対向するように配設されている。また、磁着板75の下垂部75aの下端は、外側に折曲して、側板71の折曲片71dの下側に入り込んで、磁着板75が簡単にはずれないようになっている。
【0037】
本実施形態の引出し式扉77の端部においても、鋼板などからなる磁着板75がガスケット15のマグネット15cに対向して設けられているため、引出し式扉77を閉じた時には、磁着板75がガスケット15のマグネット15cに密接し、マグネット15cの吸着力により吸着され、引出し式扉77の端部と側壁11bの前側端部とを密閉状態に閉塞し、野菜室9の内部を断熱状態に保持することができるとともに、またガスケット15は、側壁11bの前側端部に設けられていて、引出し式扉77にはガスケットがなく、従ってガスケット15を取り付けるための凹部も引出し式扉77にないため、引出し式扉77内の真空断熱材21は引出し式扉の端部を含んで、引出し式扉77の全体に設けることができ、引出し式扉77の断熱性能を著しく向上できるとともに、真空断熱材21を使用することで、引出し式扉77の厚さも薄く構成でき、引出し式扉77で開閉される野菜室の内部容量を増大することができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。