特許第6105251号(P6105251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105251
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】米飯成形機構および米飯成形方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20170316BHJP
【FI】
   A23L7/10 G
   A23L7/10 F
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-232965(P2012-232965)
(22)【出願日】2012年10月22日
(65)【公開番号】特開2014-82970(P2014-82970A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069213
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 功
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 隆行
【審査官】 北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−145086(JP,U)
【文献】 特開2002−291458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00−7/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯の下半部を成形するための下部成形型と、
該下部成形型を昇降自在に内設した昇降用シリンダ部と、
該昇降用シリンダ部の上部開口側に連通するよう中央に挿入孔を成形するとともに具材が載せられるものとしたトレー状の具材載置部と、
該具材載置部に載置された具材を、前記挿入孔を介して下部成形型上部に係架保持されつつ昇降用シリンダ部内へ押し込むための具材押し込み型と、
前記挿入孔に挿入して米飯の上半部を成形するための上部成形型と、
を備え、
前記下部成形型は、米飯の下半部を球面状に成形するための半球状窪み部を上面に有し、これに対応すべく、前記上部成形型は、米飯の上半部を球面状に成形するための半球状窪み部を下面に有し、
前記上部成形型下面の半球状窪み部の中央には、成形後の米飯の転倒を防止するよう米飯底部を平坦に形成するための中央平面部を有し、
前記具材押し込み型は、前記下部成形型上面の半球状窪み部に対応すべく、下部先端に向って漸次先細りする球面状の押さえ突部を有して成ることを特徴とする米飯成形機構。
【請求項2】
米飯の下半部を成形するための半球状窪み部を上面に有する下部成形型を昇降自在に内設した昇降用シリンダ部の上部開口側に連通するよう中央に挿入孔を有するトレー状の具材載置部に、前記下部成形型を上昇移動させた状態で具材を載せる具材載置工程と、
前記下部成形型上面の半球状窪み部に対応すべく、下部先端に向って漸次先細りする球面状の押さえ突部を有して成る具材押し込み型により前記具材載置部に載せられた具材を押圧し、前記挿入孔を介して下部成形型上部に係架保持しつつ具材を昇降用シリンダ部内へ押し込み移動させる具材押し込み工程と、
前記具材押し込み型を退避させた後予め計量された米飯を昇降用シリンダ部内へ供給する米飯供給工程と、
米飯の上半部を成形するための半球状窪み部を下面に有し且つ下面中央には成形後の米飯の転倒を防止するよう米飯底部を平坦に形成するための中央平面部を有する上部成形型を前記挿入孔を介して昇降用シリンダ部内へ押し込み、当該上部成形型で米飯の上半部を成形し且つ前記下部成形型で米飯の下半部を成形する米飯成形工程と、
を有することを特徴とする米飯成形方法。
【請求項3】
前記上部成形型を退避させた後、前記下部成形型を昇降用シリンダ部の上部開口側へ上昇移動させて、成形後の米飯を前記具材載置部上に露出させて取出可能にさせる米飯取出工程を有して成る請求項記載の米飯成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を例えば球状(手まり形)の寿司に成形するための米飯成形機構および米飯成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手まり寿司を製造する場合には、口中での食感を損なわない程度の硬さを有するよう適度のにぎり圧(押圧力)を付与するための様々な装置工夫がなされている。
【0003】
具体的には特許文献1に示すように、円柱形のシャリ原料(米飯)を、最終商品の安定性を良くするために底面を平らにしたほぼ球形に成形し、寿司ネタ(具材)をその頂部に載置した後に、球形のシャリを再度成形型で押し付けて最終製品とする手まり寿司の製造方法と装置が存在する。
【0004】
すなわち、特許文献1によれば、円柱形のシャリ原料は、上型が中型と下型から分離されて上方に退避しているとき、中型及び下型内に投入される。その後、上型がピストン駆動機構によって中型上に下降し、シャリ原料を球状に成形する。そして、再び、上型を上昇退避させたのち、適当な厚みと大きさに切った各種の寿司ネタを中型内の球状シャリの上に載置し、再び、上型を中型上に下降して成形し、最終製品である手まり寿司を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−340605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1によれば、上型の上昇退避後に、各種の寿司ネタを中型内の球状シャリ上に載置する際に、当該寿司ネタを保持しておく機構が無いため寿司ネタが球状シャリ上でずれてしまう虞がある。また、寿司ネタの載置後には、上型を中型上に下降して再度の成形が行われるため、この時点でも寿司ネタが上型の押し込みによってずれてしまう虞がある。しかも、上型による再度の成形によって、シャリ原料の表側のみならず内側まで硬く握られてしまい、表面はしっかり、中はふんわりとした食感の良い手まり寿司は形成できない。
【0007】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、具材のずれ込みを防止しつつ当該具材と米飯とを一緒に成形可能にすることで、表面は型崩れせずにしっかりと、中はふんわりとした食感の良い手まり寿司の完成度を向上させることができる米飯成形機構および米飯成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る米飯成形機構にあっては、
米飯の下半部を成形するための下部成形型と、
該下部成形型を昇降自在に内設した昇降用シリンダ部と、
該昇降用シリンダ部の上部開口側に連通するよう中央に挿入孔を成形するとともに具材が載せられるものとしたトレー状の具材載置部と、
該具材載置部に載置された具材を、前記挿入孔を介して下部成形型上部に係架保持されつつ昇降用シリンダ部内へ押し込むための具材押し込み型と、
前記挿入孔に挿入して米飯の上半部を成形するための上部成形型と、
を備え、
前記下部成形型は、米飯の下半部を球面状に成形するための半球状窪み部を上面に有し、これに対応すべく、前記上部成形型は、米飯の上半部を球面状に成形するための半球状窪み部を下面に有し、
前記上部成形型下面の半球状窪み部の中央には、成形後の米飯の転倒を防止するよう米飯底部を平坦に形成するための中央平面部を有し、
前記具材押し込み型は、前記下部成形型上面の半球状窪み部に対応すべく、下部先端に向って漸次先細りする球面状の押さえ突部を有して成ることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る米飯成形方法にあっては、
米飯の下半部を成形するための半球状窪み部を上面に有する下部成形型を昇降自在に内設した昇降用シリンダ部の上部開口側に連通するよう中央に挿入孔を有するトレー状の具材載置部に、前記下部成形型を上昇移動させた状態で具材を載せる具材載置工程と、
前記下部成形型上面の半球状窪み部に対応すべく、下部先端に向って漸次先細りする球面状の押さえ突部を有して成る具材押し込み型により前記具材載置部に載せられた具材を押圧し、前記挿入孔を介して下部成形型上部に係架保持しつつ具材を昇降用シリンダ部内へ押し込み移動させる具材押し込み工程と、
前記具材押し込み型を退避させた後予め計量された米飯を昇降用シリンダ部内へ供給する米飯供給工程と、
米飯の上半部を成形するための半球状窪み部を下面に有し且つ下面中央には成形後の米飯の転倒を防止するよう米飯底部を平坦に形成するための中央平面部を有する上部成形型を前記挿入孔を介して昇降用シリンダ部内へ押し込み、当該上部成形型で米飯の上半部を成形し且つ前記下部成形型で米飯の下半部を成形する米飯成形工程と、
を有することを特徴とする。
【0010】
前記上部成形型を退避させた後、前記下部成形型を昇降用シリンダ部の上部開口側へ上昇移動させて、成形後の米飯を前記具材載置部上に露出させて取出可能にさせる米飯取出工程を有して成る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、具材のずれ込みを防止しつつ当該具材と米飯とを一緒に成形可能にすることで、表面はしっかり、中はふんわりとした食感の良い手まり寿司の完成度を向上させることができる。
【0012】
本発明に係る米飯成形機構にあっては、特に、
米飯の下半部を成形するための下部成形型と、
該下部成形型を昇降自在に内設した昇降用シリンダ部と、
該昇降用シリンダ部の上部開口側に連通するよう中央に挿入孔を形成するとともに具材が載せられるものとしたトレー状の具材載置部と、
該具材載置部に載置された具材を、前記挿入孔を介して下部成形型上部に係架保持されつつ昇降用シリンダ部内へ押し込むための具材押し込み型と、
前記挿入孔に挿入して米飯の上半部を成形するための上部成形型と、
を備えたので、
具材載置部により具材は保持されたままの状態で具材押し込み型によって昇降用シリンダ部内へ押し込まれることから、具材のずれ込みを確実に防止しつつ当該具材を米飯と一緒に成形可能にする。
【0013】
前記下部成形型は、米飯の下半部を球面状に成形するための半球状窪み部を上面に有し、これに対応すべく、前記上部成形型は、米飯の上半部を球面状に成形するための半球状窪み部を下面に有して成るので、全体が球状となった手まり寿司を容易に成形することができると共に、表面は型崩れせずにしっかりと、中はふんわりとした食感の良い手まり寿司の完成度を向上させることができる。
【0014】
前記上部成形型下面の半球状窪み部の中央には、成形後の米飯の転倒を防止するよう米飯底部を平坦に形成するための中央平面部を有して成るので、成形後の米飯の転倒を防止するための米飯底部の平坦部を容易に形成することができる。
【0015】
前記具材押し込み型は、前記下部成形型上面の半球状窪み部に対応すべく、下部先端に向って漸次先細りする球面状の押さえ突部を有して成るので、具材に圧潰損傷を与えることなく昇降用シリンダ部内で具材を下降移動させることができ、且つ下降移動中においては具材は押さえ突部と下部成形型上面とにより保持されているため、下降移動時及び下降移動後の具材の位置ずれも生じない。
【0016】
本発明に係る米飯成形方法にあっては、
米飯の下半部を成形するための半球状窪み部を上面に有する下部成形型を昇降自在に内設した昇降用シリンダ部の上部開口側に連通するよう中央に挿入孔を有するトレー状の具材載置部に、前記下部成形型を上昇移動させた状態で具材を載せる具材載置工程と、
前記下部成形型上面の半球状窪み部に対応すべく、下部先端に向って漸次先細りする球面状の押さえ突部を有して成る具材押し込み型により前記具材載置部に載せられた具材を押圧し、前記挿入孔を介して下部成形型上部に係架保持しつつ具材を昇降用シリンダ部内へ押し込み移動させる具材押し込み工程と、
前記具材押し込み型を退避させた後予め計量された米飯を昇降用シリンダ部内へ供給する米飯供給工程と、
米飯の上半部を成形するための半球状窪み部を下面に有し且つ下面中央には成形後の米飯の転倒を防止するよう米飯底部を平坦に形成するための中央平面部を有する上部成形型を前記挿入孔を介して昇降用シリンダ部内へ押し込み、当該上部成形型で米飯の上半部を成形し且つ前記下部成形型で米飯の下半部を成形する米飯成形工程と、
を有するので、具材のずれ込みを確実に防止できると同時に、表面は型崩れせず、手で握った手まり寿司と同様のふっくら感及び食感を再現できる簡易で小型且つ低コストの構成による手まり寿司の米飯成形方法を容易に提供することができる。
【0017】
前記上部成形型を退避させた後、前記下部成形型を昇降用シリンダ部の上部開口側へ上昇移動させて、成形後の米飯を前記具材載置部上に露出させて取出可能にさせる米飯取出工程を有して成るので、成形後の米飯(手まり寿司)を型崩れせずに容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を実施するための一形態を示す米飯成形機構全体の斜視図である。
図2.1】図中(a)は昇降用シリンダ部内での下部成形型の上昇移動状態(具材載置工程)を示す断面図、(b)は具材載置部に載せられた具材を具材押し込み型により昇降用シリンダ部内へ押し込み移動させた状態(具材押し込み工程)を示す断面図、(c)は米飯供給部から予め計量された米飯を昇降用シリンダ部内へ供給する状態(米飯供給工程)を示す断面図である。
図2.2】図中(d)は上部成形型を昇降用シリンダ部内へ押し込むことで米飯を成形する状態(米飯成形工程)を示す断面図、(e)は成形後の米飯を具材載置部上に露出させて取出可能にさせる状態(米飯取出工程)を示す断面図である。
図3】手まり寿司の完成品の一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は(b)のX−X断面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の一形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明に係る米飯成形機構Pは、図1図2に示すように、間欠回転するターンテーブル1と、ターンテーブル1上方に配した米飯供給部2とを備えている。そして、後述する昇降用シリンダ部5内で下部成形型7を上昇移動させた状態で後述する具材載置部3に具材Rを載せる具材載置工程Aと、具材載置部3に載せられた具材Rを後述する具材押し込み型11により押圧して下部成形型7上部に係架保持しつつ具材Rを昇降用シリンダ部5内へ押し込み移動させる具材押し込み工程Bと、米飯供給部2から予め計量された米飯Qを昇降用シリンダ部5内へ供給する米飯供給工程Cと、上部成形型12を昇降用シリンダ部5内へ押し込み、当該上部成形型12及び下部成形型7で米飯Qを成形する米飯成形工程Dと、下部成形型7を昇降用シリンダ部5の上部開口側へ上昇移動させることで成形後の米飯Qを具材載置部3上に露出させて取出可能にさせる米飯取出工程Eと、によって概ね構成されている。
【0020】
尚、本実施形態においては、上記した米飯成形機構Pはターンテーブル1構造となっていて、各部作業工程はテーブル回転方向に沿って実行されるが、これに限らず直線のコンベア構造となっていて、各部作業工程は、直線のコンベアに沿って実行されても良いことは勿論である。
【0021】
ターンテーブル1の上面には回転方向に沿って等間隔ごとに具材Rを載せるための平面視矩形トレー状となった具材載置部3が凹設されており、具材載置部3の中央に形成された挿入孔4を介して当該具材載置部3と連通する筒状の昇降用シリンダ部5が垂設されている。このときターンテーブル1の回転方向に沿って具材載置部3の長手方向が向けられており、具材載置部3の狭幅方向の長さに対し前記挿入孔4の内径が若干大きく突出している。なお、この挿入孔4の内径は、昇降用シリンダ部5の内径と同じであって、後述する球状の米飯Q(完成後の手まり寿司)の外径に相当する。このように具材載置部3と昇降用シリンダ部5とが挿入孔4を介して連通することにより、断面略T字形の連通空間部6が形成される(図2(a)、図2(e)参照)。
【0022】
また、ターンテーブル1には、図1図2(a)に示すように、米飯Qの下半部を例えば球面状に成形するための半球状窪み部7aを上面に有する下部成形型7が昇降用シリンダ部5内に昇降自在となって配されている。すなわち、昇降用シリンダ部5の下端側には、挿入孔4の内径よりも小径の開口部8が形成されており、下部成形型7下側の小径ロッド状の脚部9が挿通され、脚部9の下端が昇降駆動機構(図示せず)に連繋されることで、下部成形型7が昇降用シリンダ部5内で昇降自在となるようにしてある。そして、下部成形型7は昇降用シリンダ部5内において予め挿入孔4側の上昇位置に移動されており、具材載置部3に載せられている具材Rを下部成形型7の上面(半球状窪み部7a)によって保持されることで、具材Rが昇降用シリンダ部5内に不用意に落ち込むのを未然に阻止できるようにしている。
【0023】
また、図1図2(b)に示すように、この下部成形型7に対応すべくターンテーブル1上方には、具材載置部3に載せられた具材Rを押圧し、挿入孔4を介して具材Rを下部成形型7上部に係架保持しつつ昇降用シリンダ部5内へ押し込み移動させるための具材押し込み型11が上下昇降自在に設けられている。すなわち、この具材押し込み型11は、前記下部成形型7上面の半球状窪み部7aに対応すべく、下部先端に向って漸次先細りする球面状(断面略半月状)の押さえ突部11aを有して成り、具材押し込み型11の押圧に際し、具材Rを押さえ突部11aと下部成形型7上部の半球状窪み部7aとの間で略断面U字状となって保持しつつ当該下部成形型7と共に具材Rを昇降用シリンダ部5内へ押し込み移動させるものとなっている。
【0024】
また、図1図2(c)に示すように、この下部成形型7に対応すべくターンテーブル1上方には、米飯計量部内に左右一対の解しローラ群2aが配され、下側排出口には供給米飯Qの重量をリアルタイムに測定し、この計量に応じて開放もしくは切断可能とする2枚一対の計量シャッタ2bが左右へ開閉自在に配されて成る米飯供給部2が設けられている。なお、この米飯供給部2は、本実施形態における一例に過ぎず、その他の供給機構であっても良く、さらにはこのような機構を使用せずに作業員自らの手作業にて投入供給しても良い。
【0025】
また、図2(d)に示すように、この下部成形型7に対応すべくターンテーブル1上方には、米飯Qの上半部を球面状に成形するための半球状窪み部12aを下面に有する上部成形型12が上下昇降自在に設けられている。また、この上部成形型12下面の半球状窪み部12aの中央には、成形後の米飯Qの転倒を防止するよう米飯Q底部を平坦部13(図3参照)が成形されるための中央平面部12bが形成されている。
【0026】
次に、以上のように構成された実施形態における米飯製造方法の手順の一例について説明する。
【0027】
具材載置工程Aにおいては、図2(a)に示すように、昇降用シリンダ部5内で下部成形型7を上部開口側(挿入孔4側)へ上昇移動させた状態で具材載置部3に具材Rを載せる。このとき、具材載置部3に載せられている具材Rは、下部成形型7の上面(半球状窪み部7a)によって保持されることで、具材Rが昇降用シリンダ部5内に不用意に落ち込むのが防止される。
【0028】
具材押し込み工程Bにおいては、図2(b)に示すように、具材載置部3に載せられた具材Rを具材押し込み型11により押圧し、前記挿入孔4を介して下部成形型7上部に係架保持しつつ具材Rを昇降用シリンダ部5内へ押し込み移動させる。これにより具材Rのずれ込みが確実に防止される。
【0029】
米飯供給工程Cにおいては、図2(c)に示すように、具材押し込み型11を退避させた後、米飯供給部2から予め計量された米飯Qを昇降用シリンダ部5内へ供給する。
【0030】
米飯成形工程Dにおいては、図2(d)に示すように、上部成形型12を挿入孔4を介して昇降用シリンダ部5内へ押し込む。これにより上部成形型12で米飯Qの上半部が成形されると同時に下部成形型7で米飯の下半部が成形される。これにより、表面は型崩れせず、手で握った手まり寿司と同様のふっくら感及び食感が再現される。
【0031】
米飯取出工程Eにおいては、図2(e)に示すように、上部成形型12を退避させた後、下部成形型7を昇降用シリンダ部5の上部開口側、すなわち挿入孔4位置よりも具材載置部3の若干上方側へ上昇移動させる。これにより、米飯Qは具材載置部3上に露出され、図3に示す完成された球状(手まり形)の米飯Qの取り出しが可能となる。
【0032】
この完成後の米飯Qは、図3に示すように、上面側より具材Rが包み込まれた全体略球状(手まり形)の塊となり、底部となる下面側には転倒防止用の平坦部13が形成される。なお、具材Rとしては、従来の寿司等のネタとなるような食材であればその種類は問わない。
【符号の説明】
【0033】
A 具材載置工程
B 具材押し込み工程
C 米飯供給工程
D 米飯成形工程
E 米飯取出工程
P 米飯成形機構
Q 米飯
R 具材
1 ターンテーブル
2 米飯供給部
2a 解しローラ群
2b 計量シャッタ
3 具材載置部
4 挿入孔
5 昇降用シリンダ部
6 連通空間部
7 下部成形型
7a 半球状窪み部
8 開口部
9 脚部
11 具材押し込み型
11a 押さえ突部
12 上部成形型
12a 半球状窪み部
12b 中央平面部
図1
図2.1】
図2.2】
図3