(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
縦主板と該縦主板の上端側に形成される被挿入部と、該被挿入部よりも下方で前記縦主板側に形成されると共に排水孔を有する排水室部と、該排水室部と隣接し且つ仕切り壁部に形成された連通孔によって前記排水室部と連通する主樋状部と、取付板部とからなる縦枠と、水下主板と被挿入部と該被挿入部形成位置よりも下方に形成されると共に前記被挿入部先端よりも内方に突出する水下樋状部とからなる水下横枠と水上主板と被挿入部と該被挿入部形成位置よりも下方に形成されると共に前記被挿入部先端よりも内方に突出する水上樋状部とからなる水上横枠と、前記被挿入部に支持される採光板とからなり、前記縦枠が平行に配置され、前記水下横枠の水下樋状部と、前記水上横枠の水上樋状部のそれぞれの長手方向両端部は、前記縦枠の前記主樋状部の内部側に位置するように配置されてなる採光板支持体が前記取付板部を介して金属折板屋根板から構成された外囲体の所定位置に形成された採光開口部に装着され、両前記縦枠の主樋状部にのみ切除部が形成され、前記水下横枠の水下樋状部と、前記水上横枠の水上樋状部の長手方向両端部分は前記切除部に嵌め込まれてなることを特徴とする採光外囲体。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の採光外囲体を施工する場合において、採光板の支持枠体は、多くの部材からなり、これらを組み合わせて組み立てる作業では、多数の種々のボルト・ナット或いはビス等の固着具を使用することになり、施工に当たって極めて面倒且つ困難である。ひいては作業時間も多く、全体作業効率を低下させる要因となっていた。
【0005】
特に、採光板を支持する場合に少なくとも2部材でその採光板の両面を挟持しつつ、屋根,壁等の外囲体の開口箇所に部材を適宜装着しながら施工するタイプのものが多い。そのために、採光板と枠体との防水構造は、特に重要であり、確実に施工されることが要求される。一般的に、防水構造を構成する部材としては、ガスケット,ゴム等のシールが使用される。
【0006】
しかし、防水に関する部材に信頼性のあるものを使用したとしても、施工が不良であったり、或いは施工が良好であっても、部材の品質に問題があると、確実な防水性は期待することができず、さらに経年変化によって防水性が劣化することもある。本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、極めて簡易な構成で採光外囲体からの漏れ水を外部に排水することができる採光外囲体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、縦主板と該縦主板の上端側に形成される被挿入部と、該被挿入部よりも下方で前記縦主板側に形成されると共に排水孔を有する排水室部と、該排水室部と隣接し且つ仕切り壁部に形成された連通孔によって前記排水室部と連通する主樋状部と、
取付板部とからなる縦枠と、水下主板と被挿入部と該被挿入部形成位置よりも下方に形成されると共に前記被挿入部先端よりも内方に突出する水下樋状部とからなる水下横枠と水上主板と被挿入部と該被挿入部形成位置よりも下方に形成されると共に前記被挿入部先端よりも内方に突出する水上樋状部とからなる水上横枠と、前記被挿入部に支持される採光板とからなり、前記縦枠が平行に配置され、前記水下横枠の水下樋状部と、前記水上横枠の水上樋状部のそれぞれの長手方向両端部は、前記縦枠の前記主樋状部の内部側に位置するように配置されてなる採光板支持体が前記取付板部を介して金属折板屋根板から構成された外囲体の所定位置に形成された採光開口部に装着され、
両前記縦枠の主樋状部にのみ切除部が形成され、前記水下横枠の水下樋状部と、前記水上横枠の水上樋状部の長手方向両端部分は前記切除部に嵌め込まれてなる採光外囲体としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0008】
請求項2の発明を、請求項1において、前記水下横枠の水下主板は、前記水上横枠の水上主板よりも低く形成されてなる採光外囲体としたことにより上記課題を解決した。
【0009】
請求項3の発明を、請求項1又は2のいずれか1項の記載において、前記仕切り壁部の連通孔には前記主樋状部から前記排水室のみに水が流れる排水弁が装着されてなる採光外囲体としたことにより、部品数を最小限とし、且つ施工作業を簡単なものとし、作業効率を向上させ、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、極めて簡単な構成にて、採光装置の採光板を採光板支持体に支持装着するガスケットからたとえ雨水が浸入したとしても、その雨水を採光板支持体の外部に迅速且つ効率的に排水することができる。
【0011】
上記効果を詳述すると、採光板支持体を構成する主樋状部,水下樋状部及び水上樋状部のそれぞれの先端部分は、縦枠,水下横枠及び水上横枠のそれぞれの被挿入部の先端よりも突出する構成としたものである。
【0012】
したがって、主樋状部,水下樋状部及び水上樋状部のそれぞれの被挿入部に挿入装着されるガスケットの略直下位置に主樋状部,水下樋状部及び水上樋状部が位置する構造となる。雨漏りは、ガスケットの装着箇所で発生し易く、しかも、ガスケットは、構成部品の中でも最も厳しい状況に晒され、硬化したり、ひび割れ等による水密性の劣化が起こりやすいものである。
【0013】
このように、被挿入部或いは該被挿入部に挿入装着されるガスケットが経年変化により劣化したり、或いは初期からその装着状態が不具合であったために雨漏りが発生し易い状態となった場合等において、前記ガスケット箇所から、たとえ、雨漏りが生じたとしても、本発明における採光板支持体では、ガスケット箇所から漏れ出した雨水を、確実に主樋状部,水下樋状部及び水上樋状部に送り込むことができる。
【0014】
そして、主樋状部に流入した雨水は、連通孔を介して排水室部に流れ、該排水室部の水下側に形成された排水孔から確実に枠体の外部に雨水を排出することができる。よって、本発明の採光外囲体における採光板支持体では、採光板の周囲から浸入する雨水を室内に落下させることなく、採光板支持体の外部に確実且つ効率的の排出することが出来るものである。
【0015】
さらに請求項1の発明では、前記縦枠の主樋状部には、切除部が形成され、前記水下横枠の水下樋状部と、前記水上横枠の水上樋状部の長手方向両端部分は前記切除部に嵌め込まれる構成としたことにより、両縦枠と水下横枠及び水上横枠の組付を強固にすることができる。また、枠体全体としては、高さ方向を低く設定することができ、採光板支持体をコンパクトにまとめることができる。
【0016】
請求項2の発明では、採光板支持体における前記水下横枠の水下主板は、前記水上横枠の水上主板よりも低く形成される構成により、本発明における採光板支持体が装着された外囲体の勾配が緩い(角度が小さい)場合であったとしても、雨水は採光板支持体に装着された採光板の上面を水上側から水下側に亘って良好に流れることができる。
【0017】
つまり、水下横枠の水下主板の上端と、採光板の上面との間に構成される段差部分の高さを最小限とし、略同一面となるように構成したものである。したがって、採光板の水下側における雨水の流れに対して障害となる物はほとんど存在しない構造にすることができ、採光板支持体及び採光板を水上側から水下側に円滑に流れるようにすることができる。
【0018】
特に、採光板支持体が装着される外囲体の水上側と水下側との勾配が緩く(小さく)、雨水の流れに勢いが付き難くなり、雨水が溜まり易くなる条件の場合において、本発明の採光外囲体は極めて好適な構造である。
【0019】
請求項3の発明では、前記仕切り壁部の連通孔には前記主樋状部から前記排水室のみに水が流れる排水弁が装着されたことにより、排水室部側に雨水が溜まっても、主樋状部に雨水が逆流することが防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、本発明は、
図1,
図2等に示すように、採光板支持体Aと、採光板4と、外囲体Bとから構成される。前記採光板支持体Aは、主に縦枠1と水下横枠2と水上横枠3とから構成される。
【0022】
まず、採光板支持体Aは、縦枠1,水下横枠2及び水上横枠3から構成された長方形或いは正方形等の方形状の枠体である〔
図1(A),
図4等参照〕。縦枠1は、被挿入部12と、排水室部13と、主樋状部14と、取付部15とから構成される。縦主板11は、垂直状の壁面体であり、該縦主板11の上端側に被挿入部12が形成される。
【0023】
排水室部13は、前記被挿入部12よりも下方で且つ前記縦主板側11に形成されると共に底部11bの所定位置に排水孔13aが形成される。主樋状部14は、排水室部13と仕切り壁部11aを介して隣接するように形成される。そして、主樋状部14は、仕切り壁部11aに形成された連通孔11cによって前記排水室部13と連通する。取付部15は、前記排水室部13の下部に位置して形成される〔
図2(A)参照〕。
【0024】
ここで、採光板支持体Aの内方側とは、略方形状の枠の内方側のことを言う〔
図2(D),
図4参照〕。そして、前記縦枠1における内方側とは、前記採光板支持体Aの内方に面する側のことであり、採光板4の幅方向両端を支持した場合に、両縦枠1,1が対向する側の面のことをいう。また、採光板支持体Aの前後方向とは、外囲体Bに装着した状態で、水上側と水下側とを結ぶ方向のことをいう〔
図1(A),(B)参照〕。
【0025】
前記被挿入部12は、下支持片12aと、上支持片12bとから構成され、下支持片12aと上支持片12bとの間に採光板4がガスケット51を介して装着されるようになっている〔
図3(A)参照〕。排水室部13は、前後方向に直交する断面が略長方形状に形成される。排水室部13には、主樋状部14が隣接して形成される。具体的には、前記排水室部13と主樋状部14とは、前述したように、仕切り壁部11aにより仕切られる。該仕切り壁部11aは、前記縦主板11の内方側面と略平行に形成されている。
【0026】
前述したように、前記仕切り壁部11aには、前記連通孔11cが形成され、排水室部13と隣接する主樋状部14とは、前記連通孔11cによって、雨水が流れるように連通される。また、前記排水室部13は、周囲が包囲された管路状に形成され、後述するように主樋状部14に溜まった雨水を排水するための部屋を構成するものである。主樋状部14は上方が開放された構造である〔
図2(A),
図3(A)参照〕。
【0027】
連通孔11cには、排水弁6が装着される(
図3参照)。該排水弁6は、前記主樋状部14側から排水室部13側への水の流れのみが可能であり、その反対で排水室部13から主樋状部14側への水の流れは不可能となっている〔
図3(A)参照〕。その排水弁6は、弁枠体6aに揺動扉6bが開閉自在にピン等で枢支されたものである。
【0028】
揺動扉6bは、排水室部13側に向かって一方にのみ開くことができるようになっており、その反対側、つまり主樋状部14側に向かって開くことができないようになっている(
図3参照)。その弁枠体6aは、ゴム,合成樹脂材等にて形成され、前記連通孔11cに密着状態に装着することができるようになっている。また、前記主樋状部14と排水室部13とを仕切る仕切り壁部11aには、連通孔11cのみが形成され、該連通孔11cに前記排水弁6が装着されない実施形態も存在する。
【0029】
主樋状部14は、前記縦枠1の内側面より水平方向に突出するように形成された部位であり、その樋溝状部分は、縦主板11の前後方向(長手方向)に沿って形成されている。該主樋状部14は、底部14a,立上り側片14bとから構成されている。
【0030】
主樋状部14の採光板支持体Aにおける内方側の先端部分は、前記被挿入部12の先端よりも採光板支持体Aの内方中心側に突出する構成となっている〔
図1(C),
図2(A),
図3等参照〕。つまり、前記主樋状部14の立上り側片14bの位置は、前記被挿入部12の内方側先端よりも採光板支持体Aの内方中心側に位置している。
【0031】
また、立上り側片14bの水下側端部と水上側端部には略長方形状の切除部14c,14cがそれぞれ形成されている〔
図2(A),
図3(B)参照〕。該切除部14cには、後述する水下横枠2の水下樋状部23及び水上横枠3の水上樋状部33の長手方向両端が配置される。該排水室部13の底部11b箇所には、排水孔13aが形成されており、主樋状部14内の水は、
連通孔11cを介して排水室部13から外部へ排水されるようになっている。
【0032】
次に、取付部15は、採光板支持体Aを屋根,壁等の外囲体Bに装着する役目をなすものである〔
図1(C),
図3(A)参照〕。取付部15は、前記排水室部13の下端より略垂下状に形成された板片形状のものであって、後述する連結部材7とビス等の固着具を介して、採光板支持体Aを外囲体Bの採光開口部S箇所に装着するものである〔
図1,
図3(A)等参照〕。
【0033】
次に、前記水下横枠2は、水下主板21と該水下主板21の上端側に形成される被挿入部22と、該水下主板21の前記被挿入部22の形成位置よりも下方に形成されると共に前記被挿入部22の先端よりも内方に突出する水下樋状部23とから構成される〔
図2(B),
図5(B)参照〕。
【0034】
水下横枠2の被挿入部22は、前述した、縦枠1の被挿入部12の構成と略同等であり、下支持片22aと上支持片22bとから構成される。また、該上支持片22bと前記水下主板21の上端とは高さ位置が一致する構造である〔
図2(B),
図5(B)参照〕。
【0035】
そして、水下横枠2の被挿入部22と、縦枠1の被挿入部12とが直角状に隣り合うように接合することによって、採光板支持体Aの水下側における隅角が構成する〔
図2(D)参照〕。前記縦枠1の下支持片12aと上支持片12bと同様に、水下横枠2の下支持片22aと上支持片22bの間に採光板4がガスケット51を介して装着されるようになっている。
【0036】
前記水下樋状部23は、前述したように、被挿入部22の下方に形成され、樋底面23aと立上り側片23bとからなり、これらによって断面略L字形状に形成される〔
図2(B),
図5(B)参照〕。水下樋状部23の採光板支持体Aにおける内方側の先端部分は、前記被挿入部22の先端よりも採光板支持体Aの内方中心側に突出する構成となっている〔
図2(B)等参照〕。つまり、前記水下樋状部23の立上り側片23bの位置は、前記被挿入部22の内方側先端よりも採光板支持体Aの内方中心側に位置している。
【0037】
また、水下主板21の外面側には水平状に突出する支持片24が形成されている。該支持片24は、外囲体Bに装着したときの安定性を確保する役目をなすと共に、水下主板21の高さの下端基準位置となる〔
図5(B)参照〕。
【0038】
水上横枠3は、前記水下横枠2と一部の形状を除いて、略同等の構成であり、水上主板31と該水上主板31の上端側に形成される被挿入部32と、該水上主板31の前記被挿入部32形成位置よりも下方に形成されると共に前記被挿入部32の先端よりも内方に突出する水上樋状部33とから構成される〔
図2(C),
図5(A)参照〕。
【0039】
前記被挿入部32は、前述した縦枠1の被挿入部12及び水下横枠2の被挿入部22等と略同等の構成であり、下支持片32aと上支持片32bとから構成される。水上樋状部33の採光板支持体Aにおける内方側の先端部分は、前記被挿入部32の先端よりも採光板支持体Aの内方中心側に突出する構成となっている〔
図2(B)等参照〕。つまり、前記水上樋状部33の立上り側片33bの位置は、前記被挿入部32の内方側先端よりも採光板支持体Aの内方中心側に位置している。
【0040】
また、該上支持片32bと前記水上主板31の上端とは高さ位置が一致する構造である〔
図2(C),
図5(A)参照〕。そして、水上横枠3の被挿入部32と、縦枠1の被挿入部12とが直角状に隣り合うように接合することによって、採光板支持体Aの水上側における隅角が構成する〔
図2(D)参照〕。縦枠1の下支持片12aと上支持片12bと同様に、水上横枠3の下支持片32aと上支持片32bの間に採光板4がガスケット51を介して装着されるようになっている。
【0041】
前記水上樋状部33は、樋底面33aと立上り側片33bとからなり、これらによって断面略L字形状に形成される。また、水上主板31の外面側には水平状に突出する支持片34が形成されている。支持片34は、外囲体Bに装着したときの安定性を確保する役目をなすと共に、水上主板31の高さの下端基準位置となる〔
図5(A)参照〕。したがって、採光板支持体Aにおいて、前記水下横枠2の支持片24と、水上横枠3の支持片34との高さ方向の位置は同一となるように構成される。
【0042】
そして、前記水下横枠2の水下主板21の下端基準位置とした支持片24からの高さHaは、水上横枠3の水上主板31の下端基準位置とした支持片34からの高さHbよりも低く形成されている(
図5参照)。具体的には、水下主板21の横幅の両端を残して中間箇所を低く形成したものである〔
図2(B),(C),
図5等参照〕。
【0044】
上記構成では、水下横枠2の水下主板21は高さを低く設定すると共に、被挿入部22も下支持片22aと上支持片22bとの間隔も狭くし、特に上支持片22bと、被挿入部22にガスケット51を介して挿入される採光板4の上面との間に生じる段差を最小限とし、段差の高さ寸法を微小なものとした〔
図5(B)参照〕。
【0045】
このような構成にすることによって、採光板4を装着した採光板支持体Aでは、該採光板支持体Aに装着された採光板4上面の水上側から水下側に向かって良好に流れることができ、雨水が採光板支持体Aに装着された採光板4上に留まることを防止することができる。特に、本発明における採光板支持体Aを装着する外囲体Bの水上側から水下側の方向における勾配が緩い場合の雨水の流れを良好なものとするには好適な構成となる。
【0046】
次に、連結部材7は、外囲体Bに形成された採光開口部Sにおいて、幅方向に対向する建築用板8,8の連結用屈曲部83,83に装着され、該連結用屈曲部83,83に前記縦枠1,1を採光開口部Sに取り付ける役目をなすものである〔
図1(C),
図3(A)参照〕。連結部材7は、前記採光開口部Sの長手方向と略同等寸法の長尺部材であり柔軟な合成樹脂,ウレタン,ゴム等が使用される。
【0047】
連結部材7は、正方形等の断面略方形状に形成され、その一側面部の形状は、外囲体Bを構成する建築用板8の連結用屈曲部83の外方側の形状に等しい形状に形成されている〔
図1(C),
図3(A)参照〕。具体的には、その連結用屈曲部83が馳締タイプとした場合には、その馳箇所の形状に沿うように円弧形状の凹部が連結部材7の一側面に形成されたものである。また、連結部材7は、採光開口部Sと水密性及び防水性を確保するものである。
【0048】
次に、採光板4は、ガラス,アクリル等の透明又は乳白色等であり、ガラス板の場合には網入りガラスが使用されることもある。また、ガスケット51は、採光板4の幅方向端部が挿入される挿入溝51aが形成されることもあり、その外部には前記被挿入部12,22,32の上下端縁に係止する被係止溝51b,51bが形成されている。
【0049】
ただし、水下横枠2の被挿入部22に装着されるガスケット51は、他のガスケット51とは形状が僅かに異なり、挿入溝51aの上端の肉厚が他のガスケット51よりも薄く形成されている(
図5等参照)。
【0050】
また、ガスケット51と共に、シール材52が使用され、具体的には。前記ガスケット51は前記採光板4を支持する役目をなし、シール材52は採光板支持体Aを構成する縦枠1,水下横枠2及び水上横枠3の各被挿入部12,22及び32と採光板4との隙間を水密的に収める役目をなすものである。
【0051】
採光板支持体Aは、ガスケット51が縦枠1,水下横枠2及び水上横枠3のそれぞれの被挿入部12,22及び32に装着される。そして、2本の縦枠1,1を平行に配置し、両縦枠1,1の水下側となる位置には水下横枠2が装着され、両縦枠1,1の水上側となる位置には水上横枠3が装着される〔
図1(A),(B),
図2(D)参照〕。
【0052】
このとき水下横枠2の水下樋状部23は、両縦枠1,1の主樋状部14,14の水下側端部に形成される切除部14c,14cに挿入するように装着される(
図2,
図3及び
図5等参照)。また、水上横枠3の水上樋状部33は、両縦枠1,1の主樋状部14,14の水上側端部に形成される切除部14c,14cに挿入するように装着される。また、両縦枠1,1の主樋状部14,14に前記切除部14c,14cが形成されない実施形態も存在する(
図6参照)。この実施形態では、水下樋状部23及び水上樋状部33は、単に主樋状部14,14の立上り側片14bの上端に設置されることになる。
【0053】
次に、外囲体Bを構成する建築用板8,8,…には、種々のタイプが存在する。特に、大別すると、折板タイプ,フラットタイプ及び瓦棒タイプである。建築用板8の第1タイプは、
図1(A),(B)に示すように、馳締折板タイプであり、主板81の幅方向両側に傾斜状の立上り側部82,82が形成され、前記連結用屈曲部83,83が馳締による連結構造としたものである。
【0054】
すなわち、建築用板8,8,…の両連結用屈曲部83,83の内、その一方を下馳部83aとし、他方を上馳部83bとしたものである。そして、母屋,胴縁等の構造材85上に所定間隔をおいて配置固着された受具84,84,…に複数の建築用板8,8が並設され、隣接する建築用板8,8の対向する連結用屈曲部83,83が、前記受具84上において吊子と共に下馳部83aと上馳部83bとが順次馳締めされることによって、屋根,壁等の外囲体Bが施工される〔
図1(A),(B)参照〕。
【0055】
第1タイプの建築用板8において、隣接する建築用板8,8,…を適宜に離間させ、対向する下馳部83aと上馳部83bとの間には所定の間隔が形成され、これを採光開口部Sとする。該採光開口部S箇所に位置する前記下馳部83aと前記上馳部83bに連結部材7がそれぞれの装着され、該連結部材7により採光板支持体Aと共に採光板4等が装着され採光装置が構成される。
【0056】
前記採光開口部Sにおいて幅方向に隣接対向する建築用板8,8における下馳部83aと上馳部83bは、馳部固定吊子86によって、前記受具84上に固定される〔
図1(C),
図3(A)参照〕。馳部固定吊子86は、長手方向に沿って長尺形成された部材であり、下馳用と上馳用が存在し、前記下馳部83aに対してはその上面側方を覆うようにして受具84上に固定し、上馳部83bに対してはその下面側に入り込むようにして受具84上に固定する〔
図1(C)参照〕。
【0057】
また、建築用板8の第2タイプは、嵌合折板タイプであり、主板81の幅方向両側に立上り側部82,82が形成され、両立上り側部82,82上に、嵌合部屈曲部83c,83cが形成されたものである。そして、第1タイプの建築用板8による外囲体Bの施工と同様に、構造材85上に所定間隔をおいて配置固着された受具84,84,…に複数の建築用板8,8が並設され、隣接する建築用板8,8の対向する連結用屈曲部83,83が、前記受具84上に吊子と共に両嵌合部屈曲部83c,83cが固定されると共にキャップ材83dが被せられて嵌合固定され、屋根,壁等の外囲体Bが構成されるものである(
図7参照)。
【0058】
建築用板8の第2タイプにおいて、前記採光開口部Sに採光板支持体Aを装着する構造は、第1タイプの建築用板8の場合と略同様であり、採光開口部Sにおいて幅方向に隣接対向する建築用板8,8における両嵌合部屈曲部83c,83cは、嵌合吊子87によって、前記受具84上に固定される〔
図7(B)参照〕。
【0059】
採光装置の装着箇所では、隣接する建築用板8,8を適宜に離間させ、対向する両連結用屈曲部83,83には、所定の間隔が形成され、これが採光開口部Sとなる。該採光開口部S箇所に前記連結部材7が装着され、該連結部材7により採光板支持体A,Aとともに採光板4等が装着され採光装置が構成される。
【0060】
外囲体Bの採光開口部Sに採光板支持体Aが装着された状態で、該採光板支持体Aの水下側には面戸91が装着される〔
図1(A),(B),
図5(B)参照〕。該面戸91は、前記水下横枠2の支持片24を利用して固着される。
【0061】
面戸91は、水下横枠2の支持片24の下面側にビス等の固着具を介して装着されると共に、外囲体B側では、隣接する建築用板8,8の対向する立上り側部82,82によって構成される谷状部に配置される〔
図1(A),(B)及び
図5(B)参照〕。
【0062】
また、採光板支持体Aが装着された外囲体Bの水上側領域には、覆い材92が装着される〔
図1(A),(B),
図5(A)参照〕。該覆い材92は平坦状の頂面板92aの幅方向両端から側板92b,92bが形成されたものである。覆い材92は、頂面板92aの(水下側の)端縁を採光板支持体Aの水上主板31の上端箇所に当接させるか、或いは水上横枠3の被挿入部32の上支持片22bに重合させるようにして配置される。
【0063】
そして、頂面板92aは、外囲体Bの採光板支持体Aが装着された位置から水上側の領域で、隣接する山形部間に構成された谷部を覆うものである。したがって、頂面板92aによって、雨水は、採光板支持体Aの装着箇所における水上側より水下側に向かって採光板4上を良好に流れることができる。覆い材92の側板92b,92bは、建築用板8の傾斜状の立上り側部82,82に沿うようにして配置され、防水性を有するビス等の固着具にて固着される。
【0064】
次に、本発明の作用について説明する。この作用とは、採光板支持体Aに装着された採光板4の周囲から浸入した雨水を、採光板支持体Aの外部に迅速に排水する作用のことである。前述した雨水の浸入とは、例えば採光板4を採光板支持体Aに装着するためのガスケット51及びシール材52の長期間に亘って生じる性能劣化によって起きるものである。ガスケット51及びシール材52は、採光板支持体Aを構成する縦枠1,水下横枠2及び水上横枠3のそれぞれの被挿入部12,22,32に装着されたものである。
【0065】
また、採光板支持体Aにおいて、前記主樋状部14,水下樋状部23及び水上樋状部33の樋幅方向のそれぞれの先端は、縦枠1,水下横枠2及び水上横枠3のそれぞれの被挿入部12,22,32の先端よりも突出する構成である。
【0066】
したがって、被挿入部12,22,32或いは劣化したガスケット51の直下位置に前記主樋状部14,水下樋状部23及び水上樋状部33が位置することになり、前記被挿入部12,22,32に装着されたそれぞれのガスケット51の位置から雨漏りが生じても主樋状部14,水下樋状部23及び水上樋状部33に漏れた雨水が確実に入り込むことができる(
図3,
図4参照)。
【0067】
採光板支持体Aからの雨水の浸入は、通常、採光板4の周囲から生じる。まず、両縦枠1,1の被挿入部12,12に装着されたガスケット51箇所から浸入した雨水は、そのまま、主樋状部14,14に流れ込み、両主樋状部14,14を水上側から水下側に向かって流れる(
図3,
図4参照)。
【0068】
前記採光板支持体Aの水下側における水下横枠2の被挿入部22に装着されたガスケット51箇所から浸入した雨水は、水下樋状部23に流れ込み、該水下樋状部23の長手方向両端に交わる前記両主樋状部14,14に向かって流れる〔
図3(B),
図4参照〕。
【0069】
さらに、採光板支持体Aの水下側における水上横枠3の被挿入部32から浸入した雨水は、水上樋状部33に流れ込み、該水上樋状部33の長手方向両端に交わる前記両主樋状部14,14の水上側の部分に向かって流れ、さらに両主樋状部14,14の水上側から水下側に向かって流れる〔
図3(A),
図4参照〕。
図4では、雨漏りの水の流れを点線矢印にて示してある。
【0070】
前記両主樋状部14,水下樋状部23及び水上樋状部33を流れる雨水は、連通孔11cに装着された排水弁6から排水室部13に流れ込み、さらに該排水室部13に形成された排水孔13aから採光板支持体Aの外部で、且つ外囲体Bの外部に排水される(
図3,
図4参照)。
【0071】
このように、ガスケット51は、経年変化により劣化したり、或いは初期からその装着状態が不具合であったために雨漏りが発生し易い状態となった場合等において、前記ガスケット51箇所から、たとえ、雨漏りが生じたとしても、本発明における採光板支持体Aでは、ガスケット51箇所から漏れ出した雨水を、採光板支持体の外部に確実且つ効率的の排出することが出来るものである。