(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105282
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】窓用格子体及び窓用格子体の取付方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/01 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
E06B9/01 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-285071(P2012-285071)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-125838(P2014-125838A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(72)【発明者】
【氏名】平本 直人
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−263465(JP,A)
【文献】
実開昭59−120256(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/01、9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横格子を備えた格子本体と、
前記格子本体を壁面に取り付けるために上下左右の4箇所に取り付けられる固定金具と、
を備えた窓用格子体であって、
前記固定金具は、前記横格子に係合する凹部が形成されたアーム部を備え、
前記固定金具のうち上部の2つの固定金具は、前記凹部に前記横格子が載置可能となるように前記凹部が上向きに取り付けられ、
前記固定金具のうち下部の2つの固定金具は、前記凹部で前記横格子を抑えるように前記凹部が下向きに取り付けられており、
上辺と下辺との間隔が奥側ほど幅狭に形成され、前記凹部の開放部を覆うように前記固定金具に取り付けられる補助金具を備えていることを特徴とする、窓用格子体。
【請求項2】
横格子を備えた格子本体と、
前記格子本体を壁面に取り付けるために上下左右の4箇所に取り付けられる固定金具と、
上辺と下辺との間隔が奥側ほど幅狭に形成され、前記固定金具に取り付けられる補助金具と、を備えた窓用格子体の取付方法であって、
前記固定金具は、前記横格子に係合する凹部が形成されたアーム部を備え、
前記固定金具のうち上部の2つの固定金具を前記凹部が上向きになるように取り付けて、この上部の2つの固定金具の前記凹部に前記横格子を載置した後に、
前記固定金具のうち下部の2つの固定金具を前記凹部が下向きになるように取り付けて、この下部の2つの固定金具の前記凹部で前記横格子を抑え、
前記補助金具を前記凹部の開放部を覆うように取り付け、前記横格子を前記上辺及び前記下辺により挟み込むように固定することを特徴とする、窓用格子体の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、格子本体を壁面に取り付けるために上下左右の四隅に取り付けられる固定金具を備えた窓用格子体、及び、この窓用格子体の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窓飾りなどの窓用格子体を躯体に取り付ける方法としては、ブラケットを格子本体の上下左右4箇所に取り付けて一体とした後に、このブラケットを一体的に取り付けた格子本体を躯体の取付位置に配置し、ブラケットの取付孔に貫通させたタッピングネジを躯体壁面に螺着させて固定する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、このような窓用格子体及び窓用格子体の取付方法の場合、格子本体を躯体の取付位置に位置させた状態でネジ留めを行うため、1人で施工するのは困難である。また、ブラケットを予め格子本体に取り付けてしまうため、躯体への取付位置を予め正確に決めておかなければならない。しかも、躯体にブラケットを固定してしまうと、上下位置の調整は困難であり、左右位置の調整においても格子本体からブラケットを取り外す必要がある。
【0004】
この点、特許文献1には、一人の作業で簡単に取付けできると共に、左右方向の取付け位置を調整できるようにした柵が開示されている。この特許文献1記載の柵においては、横向部(横格子)を有する柵本体と、この柵本体を被取付部に取付ける取付金具を備え、その取付金具は第1金具と第2金具を有し、その第1金具は横向部が載置される載置部と横向部の一面が接する支持縦部を備え、前記第2金具は横向部の他面に押しつけられる押え縦部を備え、この押え縦部と支持縦部で横向部を挟持して取付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−263465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した特許文献1記載の技術では、窓開口部の上下左右縁に4つの第1金具を予め固着し、この第1金具に柵本体を載置して仮置きするものであるため、4つの第1金具の取付位置が正確でないとガタつきが発生する可能性がある。また、ネジ留めする箇所も多いため、より簡便に取り付けられる窓用格子体が求められていた。
【0007】
そこで、本発明は、一人の作業で簡単に取付けができ、左右方向の取付け位置を調整できることに加え、容易な作業でガタつきなく取り付けることができる窓用格子体及び窓用格子体の取付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の窓用格子体は、横格子を備えた格子本体と、前記格子本体を壁面に取り付けるために上下左右の4箇所に取り付けられる固定金具と、を備えた窓用格子体であって、前記固定金具は、前記横格子に係合する凹部が形成されたアーム部を備え、前記固定金具のうち上部の2つの固定金具は、前記凹部に前記横格子が載置可能となるように前記凹部が上向きに取り付けられ、前記固定金具のうち下部の2つの固定金具は、前記凹部で前記横格子を抑えるように前記凹部が下向きに取り付けられて
おり、上辺と下辺との間隔が奥側ほど幅狭に形成され、前記凹部の開放部を覆うように前記固定金具に取り付けられる補助金具を備えていることを特徴とする。
【0012】
(請求項
2)
請求項
2に記載の窓用格子体の取付方法は、 横格子を備えた格子本体と、前記格子本体を壁面に取り付けるために上下左右の4箇所に取り付けられる固定金具と、
上辺と下辺との間隔が奥側ほど幅狭に形成され、前記固定金具に取り付けられる補助金具と、を備えた窓用格子体の取付方法であって、前記固定金具は、前記横格子に係合する凹部が形成されたアーム部を備え、前記固定金具のうち上部の2つの固定金具を前記凹部が上向きになるように取り付けて、この上部の2つの固定金具の前記凹部に前記横格子を載置した後に、前記固定金具のうち下部の2つの固定金具を前記凹部が下向きになるように取り付けて、この下部の2つの固定金具の前記凹部で前記横格子を抑え
、前記補助金具を前記凹部の開放部を覆うように取り付け、前記横格子を前記上辺及び前記下辺により挟み込むように固定することを特徴とする、窓用格子体の取付方法。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び
2に記載の発明は上記の通りであり、固定金具のうち上部の2つの固定金具は、凹部に横格子が載置可能となるように凹部が上向きに取り付けられ、固定金具のうち下部の2つの固定金具は、凹部で横格子を抑えるように凹部が下向きに取り付けられる。このため、まず上部の2つの固定金具を壁面に取り付ければ、この上部の2つの固定金具の凹部に格子本体を仮置きできるので、一人でも容易に取付け作業を行うことができる。また、仮置きした状態で格子本体を左右に移動させることで、容易に左右方向の取付け位置を調整することができる。また、上部の2つの固定金具の凹部に格子本体を仮置きした後に下部の2つの固定金具を取り付けることで、4つの固定金具のみで格子本体が抜けないように固定できるため、容易にガタの調整をすることができる。
【0016】
また、請求項
1及び
2に記載の発明は上記の通りであり、前記凹部の開放部を覆うように前記固定金具に取り付けられる補助金具を更に備えているため、更に確実にガタつきなく格子本体を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】窓用格子体の(a)平面断面図(X−X断面図)、(b)一部拡大平面断面図(Z部拡大図)である。
【
図3】窓用格子体の側面断面図(Y−Y断面図)である。
【
図4】固定金具の(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図である。
【
図5】補助金具の(a)正面図、(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態に係る窓用格子体10は、窓51の外側の少なくとも一部を覆うように取り付けられる窓飾りであり、
図1に示すように、格子本体11の上下左右の4箇所をそれぞれ固定金具20と補助金具30とで固定したものである。
【0020】
格子本体11は、上下に複数(本実施形態においては2本)の横格子12を備えており、この横格子12の間に複数の縦格子13を架設することで面材を形成している。
【0021】
固定金具20は、躯体の壁面50に固定ネジ41(例えばタッピングネジ)によって固定される部材である。この固定金具20は、
図4に示すように、壁面固定部21とアーム部24とが直交して設けられることで、平面視略L字形を形成する金具である。なお、壁面固定部21とアーム部24との間の角部内側には補強リブ28が設けられている。
【0022】
壁面固定部21は、
図2及び
図3に示すように、躯体の壁面50に当接して固定される部位である。この壁面固定部21には、
図4に示すように、固定ネジ41を貫通させるために上下に2つの孔が設けられている。詳しくは、上部には上下方向に延びる長孔22が設けられており、下部には真円形状の固定孔23が設けられている。このため、固定金具20を壁面50に固定する際には、まず長孔22に固定ネジ41を貫通させて固定をすることで、長孔22に沿って上下方向に位置調整をできるようになっている。そして上下位置が確定したら、固定孔23に固定ネジ41を貫通させて本固定をすることができる。なお、固定金具20を壁面50に取り付ける際には、後述する側面支持部26が内向きとなるように取り付けることで、側面支持部26や補助金具30を内側に隠すことができ、意匠性を向上させることができる。
【0023】
アーム部24は、
図2及び
図3に示すように、壁面固定部21を壁面50に固定したときに壁面50に対して直交方向に突出する部位である。このアーム部24の先端付近には横格子12に係合する凹部25が形成されている。この凹部25は、
図4に示すように、前辺25aと下辺25bと後辺25cとによって前後と下方とを囲まれた略コ字状で形成されている。なお、アーム部24の先端には上方に突出するように立上り片29が設けられており、凹部25の前辺25aはこの立上り片29の内側部によって形成されている。この凹部25は、格子本体11の横格子12の横幅(奥行き方向の幅)よりもやや大きく設定されており、横格子12が奥行き方向にやや余裕をもって係合するように形成されている。
【0024】
凹部25の壁面50側の側部には、
図4に示すように、アーム部24に対して略直角、かつ、壁面固定部21とは逆方向に突出する側面支持部26が設けられている。この側面支持部26は、後辺25cと連続する面を有しており、凹部25に係合した横格子12の側面に当接可能となっている(
図2(b)参照)。
【0025】
また、アーム部24には上下に2つのネジ孔27が設けられている。このネジ孔27は、凹部25よりも壁面50側に設けられ、後述する補助金具30を固定するために使用される。なお、このネジ孔27は水平方向に延びる長孔として形成されており、補助金具30の水平方向の固定位置を調整できるように形成されている。
【0026】
補助金具30は、
図5に示すように、中間片32の上下に上片31と下片33とが略平行に設けられた略コ字状のフラットな金具である。この補助金具30の略コ字状の内側は、格子本体11の横格子12と係合する係合部34となっている。この係合部34は、上辺34aと側辺34bと下辺34cとによって上下と側方とを囲まれた略コ字状で形成されており、上辺34aと下辺34cとの間隔は奥側(中間片32寄り)に行くに従って幅狭となっている。そして、最奥部における上辺34aと下辺34cとの間隔は横格子12の縦幅と略同じ幅となっており、固定金具20に補助金具30を奥まで取り付けたときに、上辺34aと下辺34cとで横格子12の上下をしっかりと固定できるように形成されている。
【0027】
この補助金具30は、上片31と下片33との先端付近に設けられたネジ孔35によって固定金具20のアーム部24に固定される。アーム部24に固定するときには、アーム部24の内側面(側面支持部26が突出している面)に沿って、壁面50に向かって前方向から補助金具30を差し込む。そして、固定金具20のネジ孔27と補助金具30のネジ孔35とを貫通するように小ネジ42を取り付け、上下2箇所で固定する。これにより、
図2及び
図3に示すように、横格子12の側面は固定金具20の側面支持部26(及び凹部25の後辺25c)と補助金具30の係合部34の側辺34bとで挟み込まれて確実に固定され、横格子12の上下面は補助金具30の上辺34aと下辺34cとで挟み込まれて確実に固定される。なお、上辺34aと下辺34cとの間隔は奥側に行くに従って次第に狭くなるように形成されているため、補助金具30を取り付ける際に、横格子12に対して係合部34を差し込み易くなっている。
【0028】
次に、
図6を参照しつつ、窓用格子体10の取付方法について説明する。
【0029】
まず、
図6(a)に示すように、上部の2つの固定金具A、Bを凹部25が上向きになるように取り付ける。このとき、まず固定金具A、Bの長孔22を使用して壁面50に固定ネジ41を打ち込む。この状態では、固定金具A、Bは長孔22の上下幅の分だけ上下に位置調整可能な状態となっている。そして、固定金具A、Bの平行位置(上下位置)を調整したのちに固定金具A、Bの固定孔23を使用して壁面50に固定ネジ41を打ち込み、本固定を行う。
【0030】
上部の固定金具A、Bを取り付けたら、
図6(b)に示すように、この上部の固定金具A、Bの凹部25に対して、格子本体11の上部の横格子12を載置する。
【0031】
その後、
図6(c)に示すように、下部の2つの固定金具C、Dを凹部25が下向きになるように取り付ける。このとき、固定金具C、Dの凹部25によって、下部の横格子12を抑えるようにすることで、格子本体11が固定金具20から抜けないように固定できるとともに、上下にガタつきが発生しないように固定することができる。
【0032】
下部の2つの固定金具C、Dを固定ネジ41で固定したら、
図6(d)に示すように、固定金具20の凹部25の開放部を覆うように補助金具30を取り付ける。そして、小ネジ42で固定金具20と補助金具30とを固定し、窓用格子体10の取り付けが完了する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、固定金具20のうち上部の2つの固定金具A、Bは、凹部25に横格子12が載置可能となるように凹部25が上向きに取り付けられ、固定金具20のうち下部の2つの固定金具C、Dは、凹部25で横格子12を抑えるように凹部25が下向きに取り付けられる。このため、まず上部の2つの固定金具A、Bを壁面50に取り付ければ、この上部の2つの固定金具A、Bの凹部25に格子本体11を仮置きできるので、一人でも容易に取付け作業を行うことができる。また、仮置きした状態で格子本体11を左右に移動させることで、容易に左右方向の取付け位置を調整することができる。また、上部の2つの固定金具A、Bの凹部25に格子本体11を仮置きした後に下部の2つの固定金具C、Dを取り付けることで、4つの固定金具20のみで格子本体11が抜けないように固定できるため、容易にガタの調整をすることができる。
【0034】
また、前記凹部25の開放部を覆うように前記固定金具20に取り付けられる補助金具30を更に備えているため、更に確実にガタつきなく格子本体11を固定することができる。
【0035】
なお、上記した実施形態においては、アーム部24の先端において上方に突出するように立上り片29を設け、この立上り片29の内側部によって凹部25の前辺25aを形成したが、この立上り片29は省略してもよい。すなわち、横格子12の外側部は補助金具30の側辺34bで保持されるため、立上り片29を省略することも可能である。
【0036】
また、上記した実施形態においては、補助金具30を使用したが、固定金具20のみで格子本体11を固定してもよい。また、補助金具30を使用する場合でも、補助金具30の形状は略コ字状に限らず、固定金具20の凹部25の開放部を覆うものであればよい。例えばL字状の補助金具30を使用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 窓用格子体
11 格子本体
12 横格子
13 縦格子
20 固定金具
21 壁面固定部
22 長孔
23 固定孔
24 アーム部
25 凹部
25a 前辺
25b 下辺
25c 後辺
26 側面支持部
27 ネジ孔
28 補強リブ
29 立上り片
30 補助金具
31 上片
32 中間片
33 下片
34 係合部
34a 上辺
34b 側辺
34c 下辺
35 ネジ孔
41 固定ネジ
42 小ネジ
50 壁面
51 窓
A、B 上部の固定金具
C、D 下部の固定金具