特許第6105294号(P6105294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105294
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   H02K7/116
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-3677(P2013-3677)
(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2014-135869(P2014-135869A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良隆
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−002496(JP,A)
【文献】 特開2002−364713(JP,A)
【文献】 特開平10−146016(JP,A)
【文献】 特開2005−160161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00−7/20
F16D 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される駆動軸を有するモータ本体と、
前記駆動軸と同軸上に配置され前記駆動軸の回転駆動力により回転される従動軸を有し前記駆動軸の回転を減速して出力する減速機構と、
前記駆動軸と前記従動軸との間に配置され前記駆動軸の先端部と前記従動軸の基端部とを連結し前記駆動軸の回転駆動力を前記従動軸に伝達するカップリング装置と
を備え、
前記カップリング装置は、前記駆動軸及び前記従動軸の何れか一方に軸方向から当接してスラスト荷重を受けるボールと、前記駆動軸及び前記従動軸の何れか他方と前記ボールとの間に介在されるとともに前記駆動軸及び前記従動軸の何れか他方に軸方向から当接しスラスト荷重を受ける中間スラスト部材と、前記中間スラスト部材を保持するとともに前記従動軸の基端部に一体回転可能に連結され前記駆動軸と前記従動軸との間の回転の伝達を行う回転伝達部材とを有しており、
前記回転伝達部材は、樹脂材料から形成され、
前記中間スラスト部材は、前記回転伝達部材に一体成形されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
回転駆動される駆動軸を有するモータ本体と、
前記駆動軸と同軸上に配置され前記駆動軸の回転駆動力により回転される従動軸を有し前記駆動軸の回転を減速して出力する減速機構と、
前記駆動軸と前記従動軸との間に配置され前記駆動軸の先端部と前記従動軸の基端部とを連結し前記駆動軸の回転駆動力を前記従動軸に伝達するカップリング装置と
を備え、
前記カップリング装置は、前記駆動軸及び前記従動軸の何れか一方に軸方向から当接してスラスト荷重を受けるボールと、前記駆動軸及び前記従動軸の何れか他方と前記ボールとの間に介在されるとともに前記駆動軸及び前記従動軸の何れか他方に軸方向から当接しスラスト荷重を受ける中間スラスト部材と、前記中間スラスト部材を保持するとともに前記従動軸の基端部に一体回転可能に連結され前記駆動軸と前記従動軸との間の回転の伝達を行う回転伝達部材とを有しており、
前記回転伝達部材は、樹脂材料から形成され、
前記回転伝達部材には、前記従動軸の回転を検出するためのセンサマグネットが一体成形されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項に記載のモータにおいて、
前記センサマグネットは、前記回転伝達部材と回転方向に係合する規制部を有することを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項又は請求項に記載のモータにおいて、
前記回転伝達部材は、軸方向に凹設された圧入凹部と、前記圧入凹部の底面から軸方向に突出し周方向に離間して並ぶ複数の連結保持部とを有し、
前記従動軸は、その基端部に複数の前記連結保持部の内側に圧入される圧入部を有し、
前記センサマグネットは、環状をなし前記圧入凹部の外周に配置されるとともに前記センサマグネットの内側に複数の前記連結保持部が配置されていることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているように、車両用サンルーフ装置やパワーウインド装置の駆動源には、回転駆動される駆動軸を有するモータ本体と、駆動軸の回転を減速して出力する減速機構を有する減速部とが一体に組み付けられたモータが一般的に用いられている。そして、減速機構は、カップリング装置を介して駆動軸と連結された従動軸を備えており、駆動軸の回転はカップリング装置を介して従動軸に伝達される。尚、駆動軸は、その先端部においてカップリング装置に連結されるとともに、従動軸は、その基端部においてカップリング装置に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−143804号公報
【特許文献2】特開2002−364713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サンルーフ装置に用いられるモータの従動軸とパワーウインド装置に用いられるモータの従動軸とは、カップリング装置に連結される基端部の形状が互いに異なっている。そのため、サンルーフ装置に用いられるモータの従動軸をパワーウインド装置に用いられるモータに流用したり、パワーウインド装置に用いられる従動軸をサンルーフ装置に用いられるモータに流用したりすることが難しく、従動軸の汎用性が低かった。そして、モータを用いる装置に応じて複数種類の従動軸を製造することになり、結果的に製造コストが高くなっていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、従動軸の汎用性を高めることができるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するモータは、回転駆動される駆動軸を有するモータ本体と、前記駆動軸と同軸上に配置され前記駆動軸の回転駆動力により回転される従動軸を有し前記駆動軸の回転を減速して出力する減速機構と、前記駆動軸と前記従動軸との間に配置され前記駆動軸の先端部と前記従動軸の基端部とを連結し前記駆動軸の回転駆動力を前記従動軸に伝達するカップリング装置とを備え、前記カップリング装置は、前記駆動軸及び前記従動軸の何れか一方に軸方向から当接してスラスト荷重を受けるボールと、前記駆動軸及び前記従動軸の何れか他方と前記ボールとの間に介在されるとともに前記駆動軸及び前記従動軸の何れか他方に軸方向から当接しスラスト荷重を受ける中間スラスト部材と、前記中間スラスト部材を保持するとともに前記従動軸の基端部に一体回転可能に連結され前記駆動軸と前記従動軸との間の回転の伝達を行う回転伝達部材とを有しており、前記回転伝達部材は、樹脂材料から形成され、前記中間スラスト部材は、前記回転伝達部材に一体成形されている
【0007】
この構成によれば、従動軸は、その基端部が回転伝達部材に連結されることによりカップリング装置に連結されている。例えば、従動軸の基端部が回転伝達部材と同様の形状をなす場合には、当該従動軸は当該回転伝達部材を有するモータの専用の部品となる。これに対し、上記構成のモータでは、従動軸と回転伝達部材とは別体に形成されているため、従動軸の基端部の形状を他のモータに対応した形状とすることが可能となる。従って、従動軸の汎用性を高めることが可能となる。また、回転伝達部材は、中間スラスト部材が駆動軸及び従動軸の何れか他方に軸方向から当接することによって、駆動軸及び従動軸に対する軸方向の位置決めがなされる。従って、回転伝達部材の組付けを容易に行うことができる。
【0008】
の構成によれば、中間スラスト部材を回転伝達部材に一体成形するため、当該中間スラスト部材を保持した回転伝達部材を容易に製造することができる。また、回転伝達部材が樹脂材料から形成されるため、同回転伝達部材が例えば金属材料から形成される場合に比べて同回転伝達部材を軽量化することができる。
【0009】
上記課題を解決するモータ回転駆動される駆動軸を有するモータ本体と、前記駆動軸と同軸上に配置され前記駆動軸の回転駆動力により回転される従動軸を有し前記駆動軸の回転を減速して出力する減速機構と、前記駆動軸と前記従動軸との間に配置され前記駆動軸の先端部と前記従動軸の基端部とを連結し前記駆動軸の回転駆動力を前記従動軸に伝達するカップリング装置とを備え、前記カップリング装置は、前記駆動軸及び前記従動軸の何れか一方に軸方向から当接してスラスト荷重を受けるボールと、前記駆動軸及び前記従動軸の何れか他方と前記ボールとの間に介在されるとともに前記駆動軸及び前記従動軸の何れか他方に軸方向から当接しスラスト荷重を受ける中間スラスト部材と、前記中間スラスト部材を保持するとともに前記従動軸の基端部に一体回転可能に連結され前記駆動軸と前記従動軸との間の回転の伝達を行う回転伝達部材とを有しており、前記回転伝達部材は、樹脂材料から形成され、前記回転伝達部材には、前記従動軸の回転を検出するためのセンサマグネットが一体成形されている。
この構成によれば、従動軸は、その基端部が回転伝達部材に連結されることによりカップリング装置に連結されている。例えば、従動軸の基端部が回転伝達部材と同様の形状をなす場合には、当該従動軸は当該回転伝達部材を有するモータの専用の部品となる。これに対し、上記構成のモータでは、従動軸と回転伝達部材とは別体に形成されているため、従動軸の基端部の形状を他のモータに対応した形状とすることが可能となる。従って、従
動軸の汎用性を高めることが可能となる。また、回転伝達部材は、中間スラスト部材が駆動軸及び従動軸の何れか他方に軸方向から当接することによって、駆動軸及び従動軸に対する軸方向の位置決めがなされる。従って、回転伝達部材の組付けを容易に行うことができる。
【0010】
この構成によれば、センサマグネットを回転伝達部材に一体成形するため、当該センサマグネットを保持した回転伝達部材を容易に製造することができる。また、回転伝達部材が樹脂材料から形成されるため、同回転伝達部材が例えば金属材料から形成される場合に比べて同回転伝達部材を軽量化することができる。
【0011】
上記モータにおいて、前記センサマグネットは、前記回転伝達部材と回転方向に係合する規制部を有することが好ましい。
この構成によれば、回転伝達部材と回転方向に係合する規制部によって、センサマグネットの回転伝達部材に対する相対回転が阻止される。従って、センサマグネットは良好に回転伝達部材と一体回転することができる。
【0012】
上記モータにおいて、前記回転伝達部材は、軸方向に凹設された圧入凹部と、前記圧入凹部の底面から軸方向に突出し周方向に離間して並ぶ複数の連結保持部とを有し、前記従動軸は、その基端部に複数の前記連結保持部の内側に圧入される圧入部を有し、前記センサマグネットは、環状をなし前記圧入凹部の外周に配置されるとともに前記センサマグネットの内側に複数の前記連結保持部が配置されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、複数の連結保持部は周方向に離間して設けられているため、圧入部を複数の連結保持部の内側に圧入したときにセンサマグネットに加わる該センサマグネットを内側から径方向外側に押圧する力が軽減される。従って、回転伝達部材への圧入部の圧入によってセンサマグネットが割れることを抑制することができる。また、複数の連結保持部の内側に圧入部を圧入するだけで従動軸を回転伝達部材に連結することができるため、組付けを容易に行うことができる。更に、センサマグネットが圧入凹部から軸方向にずれた位置に配置される場合に比べて、センサマグネットが一体成形された回転伝達部材が軸方向に大型化されることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のモータによれば、従動軸の汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態のモータの平面図。
図2】カップリング装置の分解斜視図。
図3】カップリング装置の断面図。
図4】カップリング装置及びウォーム軸の断面図。
図5】(a)は回転伝達部材の側面図、(b)は回転伝達部材の断面図(図5(a)におけるA−A断面図)。
図6】(a)はウォーム軸の基端部の正面図、(b)はウォーム軸の側面図。
図7】回転伝達部材が連結されたウォーム軸の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、モータの一実施形態について説明する。
図1に示すように、モータ1は、回転力(トルク)を発生するモータ本体2と、モータ本体2に連結された減速部3とを備えている。尚、本実施形態のモータ1は、サンルーフ装置の駆動源として用いられるものである。
【0017】
モータ本体2を構成するヨークハウジング(以下、ヨークとする)11は、有底筒状をなしている。このヨーク11の開口部には、外側に向かって延びるフランジ部11aが形成されている。そして、ヨーク11の内周面には複数のマグネット12が固着されるとともに、ヨーク11の底部中央には軸受13が設けられている。
【0018】
ヨーク11の内部には、マグネット12の内側となる位置にロータ14が配置されている。ロータ14は、略円柱状をなす駆動軸としての回転軸15と、回転軸15に固定された電機子コア16と、電機子コア16に巻装された電機子コイル17と、回転軸15に固定された整流子18とを有する。回転軸15の基端部(図1において右側の端部)は、前記軸受13によって軸支されている。また、回転軸15の先端部(図1において左側の端部)は、ヨーク11の開口部から同ヨーク11の外部に突出している。そして、回転軸15の先端部におけるヨーク11の外部に突出した先端部は、二面幅形状をなす連結部15aとなっている。そして、回転軸15に固定された前記電機子コア16は、ヨーク11の内部で前記マグネットと径方向に対向する。また、前記整流子18は、回転軸15における電機子コア16と連結部15aとの間に固定されている。そして、整流子18には前記電機子コイル17が電気的に接続されている。
【0019】
また、ヨーク11の開口部には、電気絶縁性を有する樹脂材料よりなるブラシホルダ21が同ヨーク11の開口部を閉塞するように配置されている。ブラシホルダ21は、前記軸受13と共に回転軸15を軸支する軸受22を保持している。尚、回転軸15の先端部は、ブラシホルダ21を貫通して減速部3側に突出している。また、ブラシホルダ21は、前記電機子コイル17に給電するための複数の給電用ブラシを保持している。これらの給電用ブラシは前記整流子18の外周面に摺接する。
【0020】
前記減速部3を構成するギヤハウジング31は、該ギヤハウジング31におけるヨーク11側の端部に前記フランジ部11aに連結される固定部31aを有する。ギヤハウジング31は、固定部31aとフランジ部11aとで前記ブラシホルダ21を挟むように固定部31aがフランジ部11aに突き合わされた状態で、螺子32によってヨーク11と締結されている。
【0021】
また、ギヤハウジング31には、前記回転軸15の連結部15aが配置される収容凹部31bが形成されている。更に、ギヤハウジング31には、収容凹部31bの底部から回転軸15と反対方向に軸方向に沿って延びるウォーム軸収容部31cが形成されている。このウォーム軸収容部31cの軸方向の両端部には、それぞれ軸受33,34が設けられている。そして、ウォーム軸収容部31c内には、回転軸15と同軸となるように従動軸としてのウォーム軸35が配置されるとともに、該ウォーム軸35は、その軸方向の両端部が軸受33,34によって軸支されている。ウォーム軸35は、回転軸15と同軸上に配置されているため、同ウォーム軸35の回転軸線L2は回転軸15の回転軸線L1と一致している。このウォーム軸35の基端部(モータ本体2側の端部)は、収容凹部31b内に配置されたカップリング装置41によって回転軸15と連結されている。
【0022】
また、ギヤハウジング31は、ウォーム軸収容部31cの側方にホイール収容部31dを有する。このホイール収容部31dの内部には、ウォーム軸35と噛合するウォームホイール36が回転可能に収容されている。このウォームホイール36は、ウォーム軸35と共に減速機構37を構成するものである。また、ウォームホイール36の径方向の中央部には、ウォームホイール36の軸方向に延びる出力軸36aが同ウォームホイール36と一体回転可能に設けられている。出力軸36aの先端部(図1において紙面奥側の端部)はギヤハウジング31の外部に突出するとともに、該出力軸36aの先端部には、車両の天井部に設けられたルーフパネルを開閉作動させるためのサンルーフ駆動機構が連結される。そして、ウォーム軸35の回転は、該ウォーム軸35とウォームホイール36とによって減速されて出力軸36aから出力される。出力軸36aが回転されると、サンルーフ駆動機構が駆動されてルーフパネルが開閉作動される。
【0023】
また、ギヤハウジング31は、ウォーム軸収容部31cに対してホイール収容部31dと反対側となる位置に基板収容部31eを有する。この基板収容部31eの内部には、モータ本体2の駆動を制御するための制御IC等が搭載された回路基板が収容されている。
【0024】
図2に示すように、前記カップリング装置41は、駆動連結部材51、ボール61、ダンパ部材71、回転伝達部材81及び中間スラスト部材111を有する。
駆動連結部材51は樹脂材料から形成されている。そして、駆動連結部材51を構成する基部52は、円板状をなすとともに、該基部52の径方向の中央部には、円柱状をなす挿入部53が一体に形成されている。挿入部53は、基部52から軸方向の一端側(図2において左側であってウォーム軸35側)に突出するとともに、基部52と同軸となるように形成されている。そして、駆動連結部材51には、基部52及び挿入部53の径方向の中央部を軸方向に貫通する連結孔54が形成されている。図1及び図2に示すように、連結孔54の内周面は、前記回転軸15の連結部15aの外形形状に対応した二面幅形状をなしている。また、連結孔54における挿入部53の先端部側の端部には、その内周面が略半球状をなすボール収容部55が設けられている。そして、駆動連結部材51は、挿入部53の先端と反対側から連結孔54に連結部15aが挿入されることにより、回転軸15と一体回転可能に連結されている。
【0025】
また、基部52における挿入部53の周囲には、同挿入部53と同様に軸方向に延びる3つの第1係合部56が設けられている。これら第1係合部56は、基部52における挿入部53が突出した側の軸方向の端面において、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)となる3箇所に形成されている。各第1係合部56は、駆動連結部材51の中心軸線L3方向から見た形状が略台形状をなす柱状をなしている。そして、各第1係合部56は、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなるように形成されている。また、各第1係合部56の周方向の両端面は、軸方向と平行をなし且つ径方向に沿った平面状をなしている。更に、各第1係合部56における径方向内側の側面と挿入部53の外周面との間には、隙間57が設けられている。
【0026】
前記ボール収容部55には、球体状のボール61が配置されている。ボール61の外周面の曲率は、ボール収容部55の内周面の曲率と略等しく形成されている。そして、ボール収容部55に配置されたボール61は、回転軸15の連結部15aの先端面に軸方向から当接する。
【0027】
前記ダンパ部材71は、駆動連結部材51と回転伝達部材81との間に介在されて回転伝達時の衝撃を吸収するものである。このダンパ部材71は、ゴムよりなり弾性を有する。そして、ダンパ部材71は、円筒状の芯部72と、該芯部72の外周面から径方向外側に突出した6つの緩衝部73とから構成されている。
【0028】
芯部72の径方向の中央部に設けられた貫通孔74の直径は、前記駆動連結部材51の挿入部53の外径と略等しく形成されている。また、芯部72の厚さ(径方向の厚さ)は、駆動連結部材51に設けられた前記隙間57の径方向の幅と略等しく形成されている。
【0029】
6つの緩衝部73は、芯部72の外周面において周方向に等角度間隔(本実施形態では60°間隔)となる6箇所に形成されている。各緩衝部73は、軸方向から見た形状が略台形状をなすとともに、軸方向に沿って延びている。また、各緩衝部73は、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなるように形成されている。更に、各緩衝部73における周方向の幅は、前記第1係合部56の周方向の幅と略等しく形成されている。また、各緩衝部73における径方向の長さは、前記第1係合部56の径方向の長さと略等しく形成されている。そして、各緩衝部73の周方向の両端面は、軸方向と平行をなし且つ径方向に沿った平面状をなしている。また、ダンパ部材71において、周方向に隣り合う緩衝部73間の空間は、緩衝凹部75となっている。ダンパ部材71は、6個の緩衝部73を有することから、6個の緩衝凹部75を有する。これら6個の緩衝凹部75は、周方向に等角度間隔(本実施形態では60°間隔)に形成されている。そして、各緩衝凹部75は、軸方向から見た形状が第1係合部56と同様の形状をなしている。即ち、各緩衝凹部75は、軸方向から見た形状が略台形状をなしており、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなっている。更に、各緩衝凹部75の周方向の幅は、第1係合部56の周方向の幅と等しく形成されている。
【0030】
図2及び図3に示すように、ダンパ部材71は、貫通孔74に挿入部53が挿入された状態で駆動連結部材51と組み付けられている。そして、芯部72は、駆動連結部材51の隙間57に配置されている。更に、6個の緩衝凹部75のうち周方向に1つおきの3個の緩衝凹部75であって周方向に等角度間隔(即ち120°間隔)となる3個の緩衝凹部75には、それぞれ第1係合部56が軸方向から挿入されている。即ち、各第1係合部56は、周方向に隣り合う緩衝部73間に介在されている。
【0031】
前記回転伝達部材81は、樹脂材料から形成されている。図2及び図5(b)に示すように、回転伝達部材81の本体部82は略円柱状をなしている。この本体部82の外径は、前記基部52の外径と略等しい。本体部82の径方向の中央部には、円環状をなす挿入部83が一体に形成されている。挿入部83は、本体部82から軸方向の一端側(図5(b)において右側であってウォーム軸35と反対側)に突出するとともに、本体部82と同軸となるように形成されている。挿入部83の外径は、前記ダンパ部材71の貫通孔74の直径と略等しく形成されている。
【0032】
また、本体部82における挿入部83の周囲には、同挿入部83と同様に軸方向に延びる3つの第2係合部84が設けられている。これら第2係合部84は、本体部82における挿入部83が突出した側の端面において、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)となる3箇所に形成されている。各第2係合部84は、前記第1係合部56と同様の形状をなしている。即ち、各第2係合部84は、回転伝達部材81の中心軸線L4方向から見た形状が略台形状をなす柱状をなしている。尚、回転伝達部材81の中心軸線L4は、本体部82の中心軸線と同じである。そして、各第2係合部84は、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなるように形成されている。また、各第2係合部84の周方向の両端面は、軸方向と平行をなし且つ径方向に沿った平面状をなしている。更に、各第2係合部84における径方向内側の側面と挿入部83との間には、隙間85が設けられている。この隙間85の径方向の幅は、駆動連結部材51に設けられた前記隙間57の径方向の幅と等しい。
【0033】
また、図5(a)及び図5(b)に示すように、本体部82は、同本体部82における第2係合部84と反対側の軸方向の端面から軸方向に凹設された圧入凹部86を有する。圧入凹部86は、回転伝達部材81の中心軸線L4方向から見た形状が円形状をなしている。そして、圧入凹部86の内周面86aは、回転伝達部材81の中心軸線L4を中心とする円筒状をなしている。
【0034】
また、圧入凹部86の底面86bには、該底面86bから軸方向に突出した3つの連結保持部87が設けられている。これらの連結保持部87は本体部82と一体に形成されている。3つの連結保持部87は、圧入凹部86の底面86bにおいて周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)となる3箇所に形成されており、周方向に隣り合う連結保持部87同士は周方向に離間している。各連結保持部87は、回転伝達部材81の中心軸線L4方向から見た形状が略台形状をなす柱状をなしている。そして、各連結保持部87は、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなるように形成されている。また、各連結保持部87における周方向の両端面は、軸方向(即ち回転伝達部材81の中心軸線L4方向)と平行をなし且つ径方向に沿った平面状をなしている。そして、3つの連結保持部87の周方向の幅は互いに等しくなっている。また、周方向に隣り合う各連結保持部87間の空間は、係合隙間88となっている。3つの係合隙間88は、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)に形成されている。各係合隙間88は、軸方向から見た形状が略台形状をなしており、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなっている。更に、3つの係合隙間88の周方向の幅は互いに等しくなっている。また、3つの連結保持部87の径方向外側の側面である外側面87aは、回転伝達部材81の中心軸線L4方向から見ると、同中心軸線L4上の任意の点を中心とする同一円に沿って湾曲している。そして、各連結保持部87の外側面87aと圧入凹部86の内周面86aとの間には緩衝隙間89が設けられている。各連結保持部87と圧入凹部86の内周面86aとの間にそれぞれ緩衝隙間89が設けられたことにより、各連結保持部87と圧入凹部86の内周面86aとは径方向に離間している。また、各連結保持部87の径方向内側の側面である内側面87bは、回転伝達部材81の中心軸線L4方向から見ると、同中心軸線L4上の任意の点を中心とする同一円に沿って湾曲している。即ち、3つの連結保持部87の内側面87bの曲率は等しい値となっている。
【0035】
また、回転伝達部材81は、ウォーム軸35の回転を検出するためのセンサマグネット101を保持している。このセンサマグネット101は、円環状をなすとともに、N極とS極とが周方向に交互に着磁されている。センサマグネット101の外径は本体部82の外径より大きく、センサマグネット101の内径は圧入凹部86の直径よりも大きい。そして、センサマグネット101は、本体部82の外周であって圧入凹部86の外周となる位置に配置されている。更に、センサマグネット101は、3つの前記連結保持部87の外周に位置している。また、センサマグネット101には規制部101aが形成されている。規制部101aは、センサマグネット101における周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)となる2箇所にそれぞれ形成されている。各規制部101aは、センサマグネット101における軸方向の一端面(本実施形態では圧入凹部86の開口部側の軸方向の端面)から軸方向に凹設されている。そして、センサマグネット101における軸方向の一端面であって規制部101aが形成された側の軸方向の端面は、本体部82を構成するマグネット保持部90によって被覆されている。更に、マグネット保持部90を構成する樹脂材料の一部が規制部101aに入り込み同規制部101aに係合している。即ち、規制部101aは回転伝達部材81と回転方向に係合している。また、センサマグネット101の内周縁部は、本体部82の内部に埋設されている。尚、センサマグネット101は、回転伝達部材81に一体成形されている。
【0036】
また、回転伝達部材81は前記中間スラスト部材111を保持している。中間スラスト部材111は、略円柱状をなしている。そして、中間スラスト部材111の軸方向の一端面(図5(b)において右側の端面)は軸方向と直交する平面状をなす駆動側スラスト面111aとなっており、同中間スラスト部材111の軸方向の他端面(図5(b)において左側の端面)は軸方向と直交する平面状をなす従動側スラスト面111bとなっている。また、中間スラスト部材111の軸方向の中央部には係止凹部111cが形成されている。係止凹部111cは、中間スラスト部材111の外周面から径方向内側に凹設されるとともに、同中間スラスト部材111の周方向に沿った環状の溝状をなしている。このような中間スラスト部材111は、回転伝達部材81に一体成形されており、同中間スラスト部材111の軸方向の中央部が回転伝達部材81に埋設されている。また、中間スラスト部材111は、該回転伝達部材81の中心軸線L4と該中間スラスト部材111の中心軸線とが一致するように回転伝達部材81の径方向の中央部に配置されている。更に、中間スラスト部材111は、駆動側スラスト面111aが本体部82における第2係合部84側で挿入部83の径方向の中央部から外部に露出し、且つ従動側スラスト面111bが圧入凹部86の底面86bの径方向の中央部から同圧入凹部86の内部に露出するように回転伝達部材81に対して配置されている。そして、駆動側スラスト面111a及び従動側スラスト面111bは、回転伝達部材81の中心軸線L4と直交している。また、回転伝達部材81を構成する樹脂材料の一部が係止凹部111cの内部に入り込んで同係止凹部111c内に充填されている。従って、中間スラスト部材111は、係止凹部111c内に充填された樹脂材料によって回転伝達部材81に対する中心軸線L4方向の相対移動が阻止されている。
【0037】
図6(a)及び図6(b)に示すように、前記ウォーム軸35の基端部には、同ウォーム軸35に回転伝達部材81を連結するための従動連結部121が形成されている。従動連結部121は、圧入部122と、連結係合部123と、鍔部125とを有する。
【0038】
圧入部122は、ウォーム軸35の基端部において、同ウォーム軸35の径方向の中央部からウォーム軸35の先端部と反対側に軸方向に突出している。圧入部122は、円柱状をなしており、その中心軸線L5は、ウォーム軸35の回転軸線L2と一致している。また、図5(a)及び図6(b)に示すように、圧入部122の半径R1は、3つの前記連結保持部87の内側面87bの曲率半径R2と等しいか若干大きい値となっている。即ち、圧入部122の外径D1は、3つの連結保持部87の内径D2と等しいか若干大きい値となっている。更に、圧入部122は、同圧入部122の先端面から軸方向に凹設された挿入凹部122aを有する。挿入凹部122aは、圧入部122の径方向の中央部に形成されるとともに、軸方向から見た形状が円形状をなしている。また、図5(b)及び図6(a)に示すように、挿入凹部122aの内周面は円筒状をなすとともに、同挿入部53の内径は、前記中間スラスト部材111の外径と略等しく形成されている。
【0039】
図5(a)、図6(a)及び図6(b)に示すように、圧入部122の外周面における周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)となる3箇所の各々に連結係合部123が形成されている。即ち、3個の連結係合部123は、周方向には、回転伝達部材81の3つの係合隙間88と同じ間隔で形成されている。各連結係合部123は、圧入部122の外周面から径方向外側に突出している。また、各連結係合部123は、ウォーム軸35の回転軸線L2方向から見た形状が略台形状をなす柱状をなしている。更に、各連結係合部123は、圧入部122の基端から先端に亘って同圧入部122の軸方向に沿って形成されている。また、各連結係合部123は、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなるように形成されている。更に、各連結係合部123における周方向の両端面は、軸方向(即ちウォーム軸35の回転軸線L2方向)と平行をなし且つ径方向に沿った平面状をなしている。そして、各連結係合部123の周方向の幅は前記係合隙間88の周方向の幅と略等しく、3つの連結係合部123の周方向の幅は互いに等しい。更に、各連結係合部123の径方向の長さは、前記連結保持部87の径方向の長さ以下となっている。また、周方向に隣り合う各連結係合部123間の空間は、連結凹部124となっている。3つの連結凹部124は、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)、即ち3つの前記連結保持部87の周方向の間隔と同じ間隔に形成されている。各連結凹部124は、軸方向から見た形状が略台形状をなしており、径方向外側に向かうに連れて周方向の幅が広くなっている。更に、各連結凹部124の周方向の幅は前記連結保持部87の周方向の幅と略等しく形成されており、3つの連結凹部124の周方向の幅は互いに等しくなっている。
【0040】
また、周方向に隣り合う連結係合部123間には、それぞれ鍔部125が形成されている。各鍔部125は、周方向に隣り合う連結係合部123間において、圧入部122の基端部から径方向外側に延出されており、圧入部122及び周方向の両側の連結係合部123と一体に形成されている。これらの鍔部125は連結係合部123を補強している。
【0041】
このような従動連結部121を基端部に有することにより、ウォーム軸35は、パワーウインド装置の駆動源として用いられるモータに流用可能となっている。即ち、本実施形態のウォーム軸35の基端部の形状(即ち従動連結部121の形状)は、パワーウインド装置に用いられるモータに備えられるウォーム軸(従動軸)の基端部の形状と同じ形状をなしており、パワーウインド装置に用いられるモータを構成するカップリング装置に連結可能となっている。そして、図7に示すように、ウォーム軸35は、この従動連結部121によって回転伝達部材81と一体回転可能に連結されている。図4及び図7に示すように、従動連結部121の圧入部122は、3つの連結保持部87の内側に圧入されている。更に、従動連結部121の3つの連結係合部123は、回転伝達部材81の3つの係合隙間88に軸方向から挿入されている。その一方で、3つの連結凹部124には、3つの連結係合部123が軸方向から挿入されている。従って、圧入部122の外周面と連結保持部87の内側面87bとによってウォーム軸35と回転伝達部材81とが軸方向に固定されるとともに、連結保持部87と連結係合部123とが回転方向に係合することにより、ウォーム軸35と回転伝達部材81とが一体回転可能となっている。また、圧入凹部86の内部に突出した中間スラスト部材111が挿入凹部122aに挿入されるとともに、挿入凹部122aの底面に従動側スラスト面111bが軸方向から当接している。
【0042】
尚、3つの連結保持部87の内側に圧入部122を圧入すると、3つの連結保持部87は圧入部122によって径方向外側に押圧される。各連結保持部87の径方向外側には、圧入凹部86の内周面との間に緩衝隙間89が設けられているため、圧入部122の圧入によって3つの連結保持部87の外径が大きくなるように変形したとしても、その変形は緩衝隙間89によって吸収される。従って、3つの連結保持部87の内側への圧入部122の圧入による押圧力が3つの連結保持部87を介してセンサマグネット101に伝達されることを抑制できる。
【0043】
また、図2及び図7に示すように、回転伝達部材81は、ダンパ部材71の貫通孔74に駆動連結部材51と反対側から挿入部83が挿入された状態でダンパ部材71及び駆動連結部材51と組み付けられている。そして、中間スラスト部材111の駆動側スラスト面111a側の端部が貫通孔74に挿入されて同駆動側スラスト面111aがボール61に軸方向から当接するとともに、芯部72における回転伝達部材81側の軸方向の端部が隙間85に配置されている。更に、図3に示すように、6個の緩衝凹部75のうち周方向に1つおきの3個の緩衝凹部75であって第1係合部56が挿入されていない3個の緩衝凹部75には、それぞれ第2係合部84が軸方向から挿入されている。即ち、各第2係合部84は、周方向に隣り合う緩衝部73間に介在されている。そして、周方向に隣り合う第1係合部56と第2係合部84との間にはそれぞれ緩衝部73が介在されている。
【0044】
図1及び図2に示すように、このように組み付けられた駆動連結部材51及び回転伝達部材81は同軸上に配置(即ち互いの中心軸線L3,L4が一致するように配置)されている。また、前記基板収容部31eに収容された前記回路基板には、前記センサマグネット101の外周面と径方向に対向する位置にホールICが搭載されている。このホールICは、センサマグネット101と共にウォーム軸35の回転情報(回転速度、回転位置等)を検出する回転センサを構成するものである。そして、ホールICは、回転伝達部材81と共にウォーム軸35と一体回転するセンサマグネット101の回転による該センサマグネット101の磁界の変化に応じたパルス信号を出力する。
【0045】
次に、本実施形態のモータ1の作用を説明する。
モータ1では、モータ本体2の駆動時には、電機子コイル17に電流が供給されることによりロータ14が回転される。即ち、回転軸15が回転駆動される。すると、回転軸15の回転が駆動連結部材51に伝達されて、駆動連結部材51が回転軸15と一体回転する。そして、駆動連結部材51に伝達された回転軸15の回転は、第1係合部56から緩衝部73を介して第2係合部84に伝達され、回転伝達部材81が回転される。更に、第2係合部84から回転伝達部材81に伝達された回転軸15の回転は、連結保持部87から連結係合部123及び圧入部122に伝達され、ウォーム軸35が回転伝達部材81と一体回転する。こうして、回転軸15の回転は、カップリング装置41を介してウォーム軸35に伝達される。尚、このとき、回転軸15及びウォーム軸35のスラスト荷重は、ボール61及び中間スラスト部材111が受ける。
【0046】
また、モータ本体2の駆動時には、ウォーム軸35と一体回転する回転伝達部材81と共にセンサマグネット101が一体回転する。そして、センサマグネット101の回転による該センサマグネット101の磁界の変化に応じたパルス信号をホールICが出力する。このパルス信号に基づいて制御ICがウォーム軸35の回転情報を検出し、その検出結果に基づいて電機子コイル17への給電が制御される。
【0047】
また、本実施形態のモータ1においては、ウォーム軸35の基端部に設けられた従動連結部121は、パワーウインド装置に用いられるモータに備えられるウォーム軸(従動軸)の基端部の形状と同じ形状をなしている。そのため、ウォーム軸35をパワーウインド装置に用いられるモータに流用可能となっている。そして、ウォーム軸35の基端部に設けられた従動連結部121に回転伝達部材81を連結することにより、当該ウォーム軸35は、サンルーフ装置に用いられる本実施形態のモータ1に対応した形状となる。更に、別体に形成された回転伝達部材81をウォーム軸35に連結するときには、回転伝達部材81が保持した中間スラスト部材111がウォーム軸35に軸方向から当接することにより、同回転伝達部材81のウォーム軸35に対する軸方向の位置決めがなされる。
【0048】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)ウォーム軸35は、その基端部に設けられた従動連結部121が回転伝達部材81に連結されることによりカップリング装置41に連結されている。例えば、ウォーム軸35の基端部が回転伝達部材81と同様の形状をなす場合には、当該ウォーム軸35は当該回転伝達部材81を有するモータの専用の部品となる。これに対し、本実施形態のモータ1では、ウォーム軸35と回転伝達部材81とは別体に形成されているため、ウォーム軸35の基端部の形状を他のモータに対応した形状とすることができる。即ち、ウォーム軸35は、回転伝達部材81を備えない構成の他のモータにも用いることができる。従って、ウォーム軸35の汎用性を高めることができる。また、回転伝達部材81は、中間スラスト部材111がウォーム軸35に軸方向から当接することによって、ウォーム軸35に対する軸方向の位置決めがなされる。従って、ウォーム軸35に対する回転伝達部材81の組付けを容易に行うことができる。また、中間スラスト部材111は、回転軸15に軸方向から当接したボール61にも軸方向から当接しているため、これにより、回転軸15に対する回転伝達部材81の軸方向の位置決めがなされる。
【0049】
(2)中間スラスト部材111を回転伝達部材81に一体成形するため、当該中間スラスト部材111を保持した回転伝達部材81を容易に製造することができる。また、回転伝達部材81が樹脂材料から形成されるため、同回転伝達部材81が例えば金属材料から形成される場合に比べて同回転伝達部材81を軽量化することができる。
【0050】
(3)センサマグネット101を回転伝達部材81に一体成形するため、当該センサマグネット101を保持した回転伝達部材81を容易に製造することができる。
(4)回転伝達部材81と回転方向に係合する規制部101aによって、センサマグネット101の回転伝達部材81に対する相対回転が阻止される。従って、センサマグネット101は良好に回転伝達部材81と一体回転することができる。その結果、センサマグネット101を用いたウォーム軸35の回転情報の検出が精度良く行われる。
【0051】
(5)3つの連結保持部87は周方向に離間して設けられているため、圧入部122を3つの連結保持部87の内側に圧入したときにセンサマグネット101に加わる該センサマグネット101を内側から径方向外側に押圧する力が軽減される。従って、回転伝達部材81への圧入部122の圧入によってセンサマグネット101が割れることを抑制することができる。また、3つの連結保持部87の内側に圧入部122を圧入するだけでウォーム軸35を回転伝達部材81に連結することができるため、組付けを容易に行うことができる。更に、センサマグネット101は、圧入凹部86の外周に配置されている。従って、センサマグネット101が圧入凹部86から軸方向にずれた位置に配置される場合に比べて、センサマグネット101が一体成形された回転伝達部材81が軸方向に大型化されることを抑制することができる。
【0052】
(6)3つの連結保持部87の内側に圧入部122を圧入したときに3つの連結保持部87が圧入部122によって径方向外側に押圧されて径方向外側に変形したとしても、各連結保持部87の径方向外側に緩衝隙間89があるため、各連結保持部87から圧入凹部86の内周面86aに径方向外側への押圧力が伝達され難くなっている。従って、圧入部122を3つの連結保持部87の内側に圧入したときに、センサマグネット101を径方向外側に押圧する力が連結保持部87からセンサマグネット101へより伝達され難くなっている。その結果、回転伝達部材81への圧入部122の圧入によってセンサマグネット101が割れることを更に抑制することができる。
【0053】
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、圧入凹部86の内周面86aと各連結保持部87の外側面87aとの間に緩衝隙間89が設けられている。しかしながら、圧入凹部86の内周面86aと各連結保持部87の外側面87aとの間に緩衝隙間89を設けなくてもよい。この場合、各連結保持部87は、圧入凹部86の内周面86aから径方向内側に突出するように形成される。このようにしても上記実施形態の(5)と同様の効果を得ることができる。
【0054】
・上記実施形態では、センサマグネット101は、圧入凹部86の外周となる位置に配置されている。しかしながら、センサマグネット101は、回転伝達部材81に保持される場合において、圧入凹部86から軸方向にずれた位置に配置されてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、回転伝達部材81は、3つの連結保持部87を有する。しかしながら、回転伝達部材81が有する連結保持部87の数は、2つ若しくは4つ以上であってもよい。この場合、複数の連結保持部87の数に応じて、周方向に隣り合う連結保持部87間にそれぞれ連結係合部123が配置されるように同連結係合部123の数が設定される。また、回転伝達部材81は、円環状をなす連結保持部87を1つのみ備えた構成であってもよい。この場合、従動連結部121は、連結係合部123を備えない。そして、円環状の回転伝達部材81の内側に円柱状の圧入部122が圧入されることにより、回転伝達部材81がウォーム軸35に一体回転可能に連結される。
【0056】
・上記実施形態では、回転伝達部材81は、圧入部122が3つの連結保持部87の内側に圧入されることによりウォーム軸35と一体回転可能に連結されている。しかしながら、回転伝達部材81は、ウォーム軸35と一体回転可能に連結されるのであれば、圧入部122を3つの連結保持部87の内側に圧入する以外の構成でウォーム軸35と連結されてもよい。例えば、回転伝達部材81とウォーム軸35とは接着により一体回転可能に連結されてもよい。また、回転伝達部材81に連結孔54と同様の孔又は穴を設けるとともに、ウォーム軸35の基端部に連結部15aと同様の従動連結部121を設け、当該従動連結部121を回転伝達部材81に挿入することにより回転伝達部材81とウォーム軸35とを一体回転可能に連結してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、センサマグネット101に設けられる規制部101aの数は、2つに限らず、1つ若しくは3つ以上であってもよい。また、規制部101aはセンサマグネット101に軸方向に凹設されるものに限らない。例えば、規制部101aは、センサマグネット101の内周面に径方向外側に凹設されたものであってもよい。また、例えば、規制部101aは、センサマグネット101の表面から突出する凸部であってもよい。この場合、規制部101aは、回転伝達部材81を構成する樹脂材料の内部に埋設されることにより回転伝達部材81と回転方向に係合する。このようにしても上記実施形態の(4)と同様の効果を得ることができる。また、センサマグネット101は、必ずしも規制部101aを備えなくてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、センサマグネット101は、回転伝達部材81に一体成形されている。しかしながら、センサマグネット101は、必ずしも回転伝達部材81に一体成形されなくてもよい。例えば、センサマグネット101は、回転伝達部材81の外周面に接着剤等によって固着されてもよい。また、センサマグネット101は、回転伝達部材81ではなく駆動連結部材51に保持されてもよい。また、センサマグネット101は、カップリング装置41を構成する部品ではなく、回転軸15、ウォーム軸35及びウォームホイール36の何れかに一体回転可能に固定されてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、中間スラスト部材111は、回転伝達部材81に一体成形されている。しかしながら、中間スラスト部材111は、回転伝達部材81にて保持されるのであれば、回転伝達部材81に一体成形されていなくてもよい。例えば、中間スラスト部材111は、回転伝達部材81に接着固定されてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、ボール61は、回転軸15に軸方向から当接する。しかしながら、ボール61は、ウォーム軸35と中間スラスト部材111との間に介在されてウォーム軸35に軸方向から当接するものであってもよい。この場合、中間スラスト部材111が回転軸15に軸方向から当接する。
【0061】
・カップリング装置41は、ボール61、回転伝達部材81及び中間スラスト部材111を最低限備えた構成であればよい。例えば、カップリング装置41は、ダンパ部材71を備えず、第1係合部56と第2係合部84とが回転方向に直接係合する構成であってもよい。また、カップリング装置41が駆動連結部材51を備えない場合には、回転軸15及びウォーム軸35の両方が回転伝達部材81に連結される。
【0062】
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記圧入凹部の内周面と各前記連結保持部における径方向外側の側面との間には緩衝隙間が設けられていることを特徴とする。
【0063】
この構成によれば、複数の連結保持部の内側に圧入部を圧入したときに複数の連結保持部が圧入部によって径方向外側に押圧されて径方向外側に変形したとしても、各連結保持部の径方向外側に緩衝隙間があるため、各連結保持部から圧入凹部の内周面に径方向外側への押圧力が伝達され難くなっている。従って、圧入部を複数の連結保持部の内側に圧入したときに、センサマグネットを径方向外側に押圧する力が連結保持部からセンサマグネットへより伝達され難くなっている。その結果、回転伝達部材への圧入部の圧入によってセンサマグネットが割れることを更に抑制することができる。
【符号の説明】
【0064】
2…モータ本体、15…駆動軸としての回転軸、35…従動軸としてのウォーム軸、37…減速機構、41…カップリング装置、61…ボール、81…回転伝達部材、86…圧入凹部、86b…底面、87…連結保持部、101…センサマグネット、101a…規制部、111…中間スラスト部材、122…圧入部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7