特許第6105320号(P6105320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105320
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】車両の車体側部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/02 20060101AFI20170316BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20170316BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20170316BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   B62D25/02 A
   B60J5/04 K
   B60J5/00 M
   B62D25/04 A
   B62D25/04 B
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-31744(P2013-31744)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-162237(P2014-162237A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077780
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 泰甫
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】市川 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】喜夛 功
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−206244(JP,A)
【文献】 特開2006−213230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/02
B60J 5/00
B60J 5/04
B62D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側壁の外側面を形成するサイドアウタパネルが、その上部側を構成する上部パネルと下部側を構成する下部パネルとを有し、これら上、下部パネルの互いに対向する両対向端縁部同士を接合し、車体の側壁の前部側に前、後ドア開口を形成し、これら前、後ドア開口に対する前、後ドアの開閉動作を制御する複数のドア制御具をそれぞれ上記前、後ドア開口の開口縁部に取り付けると共に、上記ドア制御具の取り付け部を補強するよう前ドア開口の前部開口縁部、及び前、後ドア開口に挟まれた開口縁部にそれぞれ補強パネルを接合し、上記サイドアウタパネルの後部の上下方向の中途部に車体の前後方向に延びる凹溝を屈曲形成し、上記ドアを車体の前後方向に案内する案内レールを上記凹溝内に取り付けた車両の車体側部構造において、
車体の側面視で、上記各ドア制御具と上記各補強パネルと凹溝とを車体の前後方向に直線状に並ぶよう配置すると共に、上記上、下部パネルの両対向端縁部が全体的に車体の前後方向に直線状に延びるよう形成し、上記両対向端縁部の前部側を上記各ドア制御具と上記各補強パネルとの近傍に位置させる一方、上記両対向端縁部の後部により上記凹溝を形成したことを特徴とする車両の車体側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の側壁の外側面を形成するサイドアウタパネルが互いに別体の上、下部パネルを有して、これら上、下部パネルの互いに対向する両対向端縁部同士を接合した車両の車体側部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両の車体側部構造には、従来、下記特許文献1〜4に示されるものがある。
【0003】
上記特許文献1のものによれば、車体の側壁の前部側にドア開口が形成される。このドア開口に対するドアの開閉動作を制御するチェッカなど複数のドア制御具がそれぞれ上記ドア開口の開口縁部に取り付けられると共に、上記ドア制御具の取り付け部を補強するよう上記開口縁部に補強パネルが接合されている。また、上記特許文献2のものによれば、車体の上記側壁の外側面を形成するサイドアウタパネルの後部の上下方向の中途部に車体の前後方向に延びる凹溝が屈曲形成され、ドアを車体の前後方向に案内する案内レールが上記凹溝内に取り付けられている。
【0004】
また、車体の側壁の外側面を形成するサイドアウタパネルの高さ寸法が大きくて、このサイドアウタパネルの形成に際し、一般に市場に流通するプレスコイル材の板幅寸法では対応できないような場合には、特許文献3,4のもののように、上記サイドアウタパネルが、その上部側を構成する上部パネルと、この上部パネルとは別個に形成されて下部側を構成する下部パネルとを有することとし、これら上、下部パネルの互いに対向する両対向端縁部同士が接合されることによって、上記サイドアウタパネルが形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−82143号公報
【特許文献2】実開平7−17622号公報
【特許文献3】特開平1−297380号公報
【特許文献4】特開昭63−101178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の技術では、サイドアウタパネルは、上、下部パネルを互いに個別に形成して、その両対向端縁部同士を互いに接合することとしているが、このような構造のものは、上記サイドアウタパネルを一枚のパネルで一体的に形成した場合に比べ、上記両対向端縁部同士の接合部の剛性が不足しがちとなる。
【0007】
そこで、上記両対向端縁部同士の接合部に所望の剛性を確保しようとして、別途の補強材を設けることが考えられる。しかし、これでは、車体側部の部品点数が増えて、その構成が複雑になったり、質量が増加したりし、この結果、車体側部の生産性が低下して、生産コストが高価になるおそれを生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車両の車体側部に所望の剛性が確保できるようにし、かつ、このようにした場合でも、車体側部の生産性が良好に維持されて、その生産が安価にできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、車体2の側壁9の外側面を形成するサイドアウタパネル11が、その上部側を構成する上部パネル49と下部側を構成する下部パネル50とを有し、これら上、下部パネル49,50の互いに対向する両対向端縁部49a,50a同士を接合し、車体2の側壁9の前部側に前、後ドア開口14,15を形成し、これら前、後ドア開口14,15に対する前、後ドア16,17の開閉動作を制御する複数のドア制御具31をそれぞれ上記前、後ドア開口14,15の開口縁部に取り付けると共に、上記ドア制御具31の取り付け部を補強するよう前ドア開口14の前部開口縁部20、及び前、後ドア開口14,15に挟まれた開口縁部21にそれぞれ補強パネル32を接合し、上記サイドアウタパネル11の後部の上下方向の中途部に車体2の前後方向に延びる凹溝44を屈曲形成し、上記ドア17を車体2の前後方向に案内する案内レール45を上記凹溝44内に取り付けた車両の車体側部構造において、
車体2の側面視(図1)で、上記各ドア制御具31と上記各補強パネル32と凹溝44とを車体2の前後方向に直線状に並ぶよう配置すると共に、上記上、下部パネル49,50の両対向端縁部49a,50aが全体的に車体2の前後方向に直線状に延びるよう形成し、上記両対向端縁部49a,50aの前部側を上記各ドア制御具31と上記各補強パネル32との近傍に位置させる一方、上記両対向端縁部49a,50aの後部により上記凹溝44を形成したことを特徴とする車両の車体側部構造である。
【0010】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、次の如くである。
【0012】
請求項1の発明は、車体の側壁の外側面を形成するサイドアウタパネルが、その上部側を構成する上部パネルと下部側を構成する下部パネルとを有し、これら上、下部パネルの互いに対向する両対向端縁部同士を接合し、車体の側壁の前部側に前、後ドア開口を形成し、これら前、後ドア開口に対する前、後ドアの開閉動作を制御する複数のドア制御具をそれぞれ上記前、後ドア開口の開口縁部に取り付けると共に、上記ドア制御具の取り付け部を補強するよう前ドア開口の前部開口縁部、及び前、後ドア開口に挟まれた開口縁部にそれぞれ補強パネルを接合し、上記サイドアウタパネルの後部の上下方向の中途部に車体の前後方向に延びる凹溝を屈曲形成し、上記ドアを車体の前後方向に案内する案内レールを上記凹溝内に取り付けた車両の車体側部構造において、
車体の側面視で、上記各ドア制御具と上記各補強パネルと凹溝とを車体の前後方向に直線状に並ぶよう配置すると共に、上記上、下部パネルの両対向端縁部が全体的に車体の前後方向に直線状に延びるよう形成し、上記両対向端縁部の前部側を上記各ドア制御具と上記各補強パネルとの近傍に位置させている。
【0013】
このため、上記ドア開口の開口縁部へのドア制御具の取り付け部を補強する上記補強パネルを利用して、上記上、下部パネルの両対向端縁部の前部側同士の接合部をも補強させることができる。よって、上記両対向端縁部の前部側同士の接合部の剛性は、上記補強パネルの利用により簡単な構成によって向上させることができる。この結果、車両の車体側部に所望の剛性を確保できると共に、車体側部の生産性が良好に維持されて、その生産を安価にすることができる。
【0014】
また、本発明によれば、車体の側面視で、上記各ドア制御具と上記各補強パネルと凹溝とを車体の前後方向に直線状に並ぶよう配置すると共に、上記上、下部パネルの両対向端縁部が全体的に車体の前後方向に直線状に延びるよう形成し、上記両対向端縁部の後部により上記凹溝を形成している。
【0015】
ここで、上記凹溝は、前記したようにサイドアウタパネルの一部を屈曲させることにより形成されたものであって、剛性が大きい部分となる。このため、上記両対向端縁部の後部により上記凹溝を形成すれば、上記両対向端縁部の後部同士の接合部の剛性は、別途の補強材を設けることなく、簡単な構成で向上させることができる。この結果、この点でも、車両の車体側部に所望の剛性を確保できると共に、車体側部の生産性が良好に維持されて、その生産を安価にすることができる。
【0016】
また、上記したように凹溝を上記両対向端縁部の後部により形成した場合には、これら両対向端縁部の接合部は車体の外側方から容易に見えがちとなる。しかし、前記したように凹溝内には案内レールが取り付けられるため、上記接合部が容易に見えることは上記案内レールによって防止される。よって、上記サイドアウタパネルが上、下部パネルを有して、これらの両対向端縁部同士を接合させた場合でも、車体側部の外観上の見栄えは良好に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車体の側面図である。
図2図1のII−II線矢視拡大断面図である。
図3図1のIII−III線矢視拡大断面図である。
図4図3のIV−IV線矢視断面図である。
図5図1のV−V線矢視拡大断面図である。
図6】サイドアウタパネルを上、下部パネルに展開した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の車両の車体側部構造に関し、車両の車体側部に所望の剛性が確保できるようにし、かつ、このようにした場合でも、車体側部の生産性が良好に維持されて、その生産が安価にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0019】
即ち、車両の車体側部構造においては、車体の側壁の前部側にドア開口が形成される。このドア開口に対するドアの開閉動作を制御する複数のドア制御具がそれぞれ上記ドア開口の開口縁部に取り付けられる。上記ドア制御具の取り付け部を補強するよう上記開口縁部に補強パネルが接合される。上記側壁の外側面を形成するサイドアウタパネルの後部の上下方向の中途部に車体の前後方向に延びる凹溝が屈曲形成される。上記ドアを車体の前後方向に案内する案内レールが上記凹溝内に取り付けられる。上記サイドアウタパネルが、その上部側を構成する上部パネルと下部側を構成する下部パネルとを有し、これら上、下部パネルの互いに対向する両対向端縁部同士が接合される。
【0020】
車体の側面視で、上記各ドア制御具と凹溝とが車体の前後方向に直線状に並ぶよう配置される。上記両対向端縁部が全体的に車体の前後方向に直線状に延びるよう形成される。上記両対向端縁部の前部側が上記各ドア制御具近傍に位置させられる。一方、上記両対向端縁部の後部により上記凹溝が形成される。
【実施例】
【0021】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0022】
図1〜5において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
【0023】
車両1は、板金製の車体2と、この車体2に懸架されて、この車体2を走行路面3上に支持する前、後車輪4,5とを備えている。この車体2の内部が車室8とされ、この車室8の側面は車体2の側壁9により形成される。この側壁9は、その内側面を形成するサイドインナパネル10と、外側面を形成するサイドアウタパネル11とを有し、これら両パネル10,11は、車体2の幅方向で互いに少し離れて対面し、各外縁部が互いに強固に接合されている。
【0024】
上記側壁9の前部側に、車室8の内外を連通させる前、後ドア開口14,15が形成される。これらドア開口14,15をそれぞれ車体2の外側方から開閉可能に閉じる前、後ドア16,17が設けられる。上記側壁9における前ドア開口14の前部開口縁部がフロントピラー20とされる。また、上記側壁9における前、後ドア開口14,15に挟まれた部分、つまり、前ドア開口14の後部開口縁部および後ドア開口15の前部開口縁部がセンタピラー21とされる。上記フロントピラー20の内部に設けられ、このフロントピラー20を補強するピラー補強パネル22が設けられる。また、上記センタピラー21の内部に設けられ、このセンタピラー21を補強するピラー補強パネル23が設けられる。上記フロントピラー20とセンタピラー21とは、それぞれ断面が中空閉断面構造とされて、車体2の骨格部材を構成している。
【0025】
上記前、後ドア16,17は、それぞれその下部を構成するドア本体24と、上部を構成してこのドア本体24に支持されるドアウィンド25とを有している。上記ドア本体24は、板金製であって、車体2の幅方向で少し離れて対面し、その外縁部が互いに接合されるドアインナ、ドアアウタパネル26,27を有し、十分の剛性を有している。
【0026】
上記前、後ドア16,17の開閉動作をそれぞれ制御する複数のドア制御具31が、上記前、後ドア開口14,15の開口縁部のサイドアウタパネル11に取り付けられる。また、この開口縁部への上記ドア制御具31の各取り付け部を補強するよう、上記開口縁部に板金製補強パネル32がスポット溶接S1により強固に接合される。
【0027】
具体的には、上記ドア制御具31は、上記前ドア16の前端縁部を上記フロントピラー20のサイドアウタパネル11に枢支させる上下一対の枢支具35,35と、上記前ドア開口14を全閉にした前ドア16の後端部を上記センタピラー21のサイドアウタパネル11に係脱可能に係止させるストライカ36と、図2中一点鎖線で示すように、上記枢支具35,35の枢支軸心37を中心として上記前ドア16を車体2の外側方に回動させ、上記前ドア開口14を全開にしたとき、それ以上の前ドア16の回動を規制するドアチェッカ38と、上記後ドア開口15を全閉にした後ドア17の前端部を上記センタピラー21のサイドアウタパネル11に係脱可能に係止させる他のストライカ39とを有している。
【0028】
上記各枢支具35とドアチェッカ38とは、上記フロントピラー20のサイドアウタパネル11に締結具41により取り付けられる。また、上記ストライカ36と他のストライカ39とは、上記センタピラー21のサイドアウタパネル11に締結具42,43により取り付けられる。
【0029】
上記側壁9の後部を構成する上記サイドアウタパネル11の後部の上下方向の中途部に、車体2の外側方に向かって開口し、かつ、前後方向に延びる凹溝44が屈曲形成される。車体2の前後方向に長く延びる案内レール45が上記凹溝44内に収容されてこの凹溝44の底板に締結具46により取り付けられる。上記後ドア17の上記側壁9側の面にローラ47が支持されており、このローラ47が上記案内レール45内をその長手方向に転動することにより、上記後ドア17が車体2の前後方向に案内されるようになっている。そして、上記後ドア17の前方移動により上記後ドア開口15が閉じられ、後方移動により上記後ドア開口15が開かれる。
【0030】
ここで、上記凹溝44は、上記サイドアウタパネル11の一部を屈曲させることにより形成されたものであって、剛性が大きい部分とされる。このため、上記凹溝44内に収容されてこの凹溝44の底板に取り付けられる上記案内レール45は、上記サイドアウタパネル11に対し強固に支持される。よって、上記後ドア17は、上記案内レール45を介し側壁9に対し強固に支持されることから、上記案内レール45の案内により安定した前後移動が得られる。
【0031】
図6において、上記サイドアウタパネル11は、その上部側を構成する上部パネル49と、下部側を構成する下部パネル50とを有している。これら上、下部パネル49,50はそれぞれのプレスコイル材で個別に形成される。上記上、下部パネル49,50の互いに対向する両対向端縁部49a,50a同士が重ね合わされてスポット溶接S2により互いに強固に接合され、これにより、上記サイドアウタパネル11が形成される。
【0032】
図1で示すように、車体2の側面視において、上記ドア制御具31のうちの各ストライカ36,39およびドアチェッカ38と、各補強パネル32と、凹溝44とは車体2の前後方向に直線状に並ぶよう配置され、かつ、互いに接合された上記両対向端縁部49a,50aは全体的に車体2の前後方向に直線状に延びるよう形成される。そして、上記両対向端縁部49a,50aの前部側は、上記各ストライカ36,39およびドアチェッカ38と各補強パネル32との近傍(重なることを含む)に位置させられ、その一方、上記両対向端縁部49a,50aの後部により上記凹溝44の底板が形成される。
【0033】
上記構成によれば、車体2の側面視(図1)で、両対向端縁部49a,50aが全体的に車体2の前後方向に直線状に延びるよう形成されている。
【0034】
このため、車体2の側面視で、仮に、上記サイドアウタパネル11が有する上、下部パネル49,50の両対向端縁部49a,50aが屈曲した形状である場合に比べて、上記上、下部パネル49,50の形状は簡素にでき、その分、これら上、下部パネル49,50の形成が容易にできる。また、上記両対向端縁部49a,50a同士のスポット溶接S2による接合作業も容易にできる。
【0035】
また、車体2の側面視(図1)で、各ドア制御具31のうちの各ストライカ36,39とドアチェッカ38とを車体2の前後方向に直線状に並ぶよう配置すると共に、両対向端縁部49a,50aが全体的に車体2の前後方向に直線状に延びるよう形成し、上記両対向端縁部49a,50aの前部側を上記各ドア制御具31近傍に位置させている。
【0036】
このため、上記前ドア開口14,15の開口縁部へのドア制御具31の取り付け部を補強する上記補強パネル32を利用して、上記上、下部パネル49,50の両対向端縁部49a,50aの前部側同士の接合部をも補強させることができる。よって、上記両対向端縁部49a,50aの前部側同士の接合部の剛性は、上記補強パネル32の利用により簡単な構成によって向上させることができる。この結果、車両1の車体2側部に所望の剛性を確保できると共に、車体2側部の生産性が良好に維持されて、その生産を安価にすることができる。
【0037】
また、前記したように、車体2の側面視(図1)で、上記各ドア制御具31と凹溝44とを車体2の前後方向に直線状に並ぶよう配置すると共に、上記両対向端縁部49a,50aが全体的に車体2の前後方向に直線状に延びるよう形成し、上記両対向端縁部49a,50aの後部により上記凹溝44を形成している。
【0038】
ここで、上記凹溝44は、前記したようにサイドアウタパネル11の一部を屈曲させることにより形成されたものであって、剛性が大きい部分となっている。このため、上記両対向端縁部49a,50aの後部により上記凹溝44を形成すれば、上記両対向端縁部49a,50aの後部同士の接合部の剛性は、別途の補強材を設けることなく、簡単な構成で向上させることができる。この結果、この点でも、車両1の車体2側部に所望の剛性を確保できると共に、車体2側部の生産性が良好に維持されて、その生産を安価にすることができる。
【0039】
また、上記したように凹溝44の特に底板を上記両対向端縁部49a,50aの後部により形成した場合には、これら両対向端縁部49a,50aのスポット溶接S2による接合部は車体2の外側方から容易に見えがちとなる。しかし、前記したように凹溝44内には案内レール45が取り付けられるため、上記接合部が容易に見えることは上記案内レール45によって防止される。よって、上記サイドアウタパネル11が上、下部パネル49,50を有して、これらの両対向端縁部49a,50a同士をスポット溶接S2により接合させた場合でも、車体2側部の外観上の見栄えは良好に維持される。
【0040】
また、上記上、下部パネル49,50の両対向端縁部49a,50a同士の接合はスポット溶接S2によるものである。このため、仮に、上記接合をアーク溶接によってする場合に比べ、上記接合後のサイドアウタパネル11に歪が発生することは抑制され、よって、強固で見栄えのよいサイドアウタパネル11の形成ができる。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
2 車体
8 車室
9 側壁
10 サイドインナパネル
11 サイドアウタパネル
14 ドア開口
15 ドア開口
16 ドア
17 ドア
20 フロントピラー
21 センタピラー
31 ドア制御具
32 補強パネル
35 枢支具
36 ストライカ
37 枢支軸心
38 ドアチェッカ
39 ストライカ
41 締結具
42 締結具
43 締結具
44 凹溝
45 案内レール
46 締結具
49 上部パネル
49a 対向端縁部
50 下部パネル
50a 対向端縁部
S スポット溶接
図1
図2
図3
図4
図5
図6