(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電気機器の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通している。
【0011】
実施の形態1.
(キッチン内の電気機器)
図1は、実施の形態1に係るキッチン100に設置された電気機器を示す図である。
図1に示すキッチン100には、電気機器として、操作パネル3を備えた誘導加熱調理器200、操作パネル3Aを備えた炊飯器300、及び操作パネル3Bを備えた食器洗浄機400が設置されている。誘導加熱調理器200、炊飯器300、及び食器洗浄機400は、通常動作モードとデモモードという2つの動作モードを有しているという点で共通している。
【0012】
ここで、通常動作モードとは、電気機器がその本来の機能を発揮するように動作する動作モードをいい、誘導加熱調理器200及び炊飯器300においては、被加熱物の加熱を行う加熱手段が動作し、食器洗浄機400においては洗浄槽内に水を噴射する水噴射手段が動作する。
【0013】
デモモード(デモンストレーションモード)とは、電気機器の機能のうち一部の機能が実行されない動作モードをいう。誘導加熱調理器200及び炊飯器300においては、加熱手段や電動機などは動作せず、操作入力や表示及び音声を用いた報知に関わる機能が実行される。また、食器洗浄機400においては、水噴射手段は動作せず、操作入力や表示及び音声を用いた報知に関わる機能が実行される。このデモモードは、店頭やショールームなどに電気機器を展示する際に利用される。店頭やショールームにおいては、購入希望者(以下、使用者)が電気機器を実際に操作できることが望まれるが、加熱手段や水噴射手段等が実際に動作すると不都合が生じうる。また、例えば誘導加熱調理器200が加熱動作を行う際には一般に200V電源が必要とされるところ、店頭やショールームにおいては必要な電源が得られないこともある。そこで、デモモードにおいては、一部の機能を制限しつつ、使用者が電気機器の使用体験を得られるようにしている。
【0014】
以下、本実施の形態1では、電気機器の一例として誘導加熱調理器200の構成を説明するとともに、デモモードについて説明する。
【0015】
(誘導加熱調理器の構成)
図2は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器200の斜視図である。誘導加熱調理器200は、箱状の本体1と、本体1の上に配置され鍋等の被加熱物が載置される天板2とを備える。天板2は、全体が厚さ4mm程度の耐熱強化ガラスや結晶化ガラス等の材料で構成されており、本体1の上面開口外周との間にゴム製パッキンやシール材を介して水密状態に固定される。天板2自体は透明な素材であるが、天板2を通して本体1の内部が露見しないように、天板2の裏面から目隠し用の印刷もしくは塗装が施されている。本実施の形態1に係る誘導加熱調理器200は、天板2上に2つの加熱口5を備えている。天板2の手前側には、操作表示装置16(
図3参照)の前面にタッチパネルが組み合わされて構成された操作パネル3が、加熱口5毎に設けられている。天板2の手前側の左右略中央には、誘導加熱調理器200の動作状態、操作パネル3にて設定された情報、使用者へ報知すべき情報等を表示する情報表示装置4が設けられている。本体1の内部には、開閉自在の扉を有する加熱庫であるグリル6が設けられている。
【0016】
図3は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器200の機能ブロック図である。誘導加熱調理器200は、制御装置7と、温度検出回路8と、インバータ回路9と、加熱コイル10と、グリルヒーター駆動回路11と、グリルヒーター12と、触媒ヒーター駆動回路13と、触媒ヒーター14と、タッチスイッチ15と、表示部駆動回路17及びLED18を有する操作表示装置16と、表示部駆動回路19及び液晶画面20を有する情報表示装置4と、音声合成回路21と、スピーカー22とを備える。
【0017】
制御装置7は、1又は複数のマイクロコンピュータを内蔵しており、商用電源(図示せず)から電源が供給されて、誘導加熱調理器200の各部を制御する制御手段の中心的な役割を果たす。
【0018】
温度検出回路8は、天板2の上に載置される被加熱物の温度を検知する温度センサ(図示せず)、及びグリル6の庫内温度を検出する温度センサ(図示せず)等から出力される信号を取得し、各部の温度情報として制御装置7に出力する。
【0019】
インバータ回路9及び加熱コイル10は、加熱口5の上に載置される鍋等の被加熱物を誘導加熱する加熱手段である。インバータ回路9は、制御装置7から出力される制御信号に基づいてスイッチング素子をオン、オフ制御し、加熱コイル10に高周波電流を供給する。加熱コイル10に高周波電流が供給されると、天板2の加熱口5の上に載置された被加熱物に渦電流が流れ、被加熱物が加熱される。
図3では一組のインバータ回路9及び加熱コイル10を示しているが、2つの加熱口5のそれぞれに対応して二組のインバータ回路9及び加熱コイル10が設けられており、各インバータ回路9は制御装置7によって個別に駆動される。
【0020】
グリルヒーター駆動回路11及びグリルヒーター12は、グリル6内に収容される被加熱物を加熱する加熱手段である。グリルヒーター12は、輻射式の電気加熱源である。グリルヒーター駆動回路11は、制御装置7に制御されて、グリルヒーター12を駆動する。
【0021】
触媒ヒーター駆動回路13及び触媒ヒーター14は、グリル6からの排気通路内に配置された脱臭用の触媒(図示せず)を加熱する加熱手段である。触媒ヒーター駆動回路13は、制御装置7に制御されて、触媒ヒーター14を駆動する。
【0022】
タッチスイッチ15及び操作表示装置16は、
図2に示した操作パネル3を構成する部材である。操作パネル3は、操作表示装置16の前面に、タッチスイッチ15を有するタッチパネル(図示せず)が組み合わされて構成されている。
図3ではタッチスイッチ15と操作表示装置16を一つずつ図示しているが、本実施の形態1では
図2に示したように2つの加熱口5それぞれに対応して2つの操作パネル3が設けられており、タッチスイッチ15と操作表示装置16も2つずつ設けられている。また、図示しないが、グリル6に対する操作入力を行う操作パネル3も設けられている。
【0023】
タッチパネルは、透過性を有するパネルと、使用者の指等が触れた位置を検出するタッチスイッチ15とを有する。タッチパネルには、静電容量方式、光学方式、超音波方式、抵抗膜方式等、種々の方式のものがあるが、任意の方式のものを用いることができる。例えば静電容量方式のタッチパネルを採用する場合には、天板2の一部をタッチパネルのパネルとして用いる。この場合、光が透過する天板2の裏面に、透明性の導電性フィルムなどの電極で構成された操作入力部としてのタッチスイッチ15を複数配置し、その下に操作表示装置16を配置することができる。このようにすると、透明な電極はその下に配置される操作表示装置16の表示を妨げないので、操作表示装置16に画面表示される表示の上(天板2の上)を使用者が触って操作することができる。そして、使用者の指などが、電極の配置位置に対応する天板2の上面に接触すると、電極の静電容量の変化によりタッチスイッチ15が使用者の操作入力を検知し、検知した情報を制御装置7に出力する。なお、本実施の形態1では、静電容量方式のタッチパネルを例に説明し、天板2のうちタッチパネルのパネルとして用いられる部分をパネル24(
図4参照)と称する。なお、タッチスイッチ15を構成する電極は、透明性を有するものに限定されない。
【0024】
操作表示装置16は、LED(発光ダイオード)18と、LED18を駆動する表示部駆動回路17とを備え、本発明の操作表示部に相当する。詳細は後述するが、LED18の点灯状態と消灯状態とを切り替えることにより、パネル24の上から操作入力可能な操作入力部301〜312が視認される(
図4参照)。なお、LED18に代えて、任意の発光手段を用いてもよい。
【0025】
情報表示装置4は、誘導加熱調理器200の動作状態、操作パネル3にて設定された情報、使用者へ報知すべき情報等を表示するものであり、本発明の情報表示部に相当する。情報表示装置4は、液晶画面20と、液晶画面20を駆動する表示部駆動回路19とを備える。
【0026】
音声合成回路21及びスピーカー22は、各種情報を使用者に聴覚的に報知する音声出力部である。音声合成回路21は、制御装置7によって制御され、報知すべき音声を合成する。音声合成回路21が合成した音声信号は、スピーカー22に出力され、スピーカー22から音声が出力される。
【0027】
(操作パネルの構成)
図4は、実施の形態1に係る操作パネル3を示す図である。
図4では、右側の加熱口5に対応した操作パネル3を示しているが、左側の加熱口5に対応した操作パネル3も同様の構成である。パネル24は、厚さ4mm程度の透過性を有するガラス板からなる天板2の一部である。このパネル24の裏面の全体には、黒色、グレー、ベージュ等の任意の色の塗装が施されており、操作入力すべき位置を示す枠と、その操作入力に対応する機能を示す文字については、その塗装は施されておらず抜かれている。パネル24の裏面に印刷された枠に対応した位置には、電極を有するタッチスイッチ15が配置されており、これ以降の説明では、タッチスイッチ15の各々が配置された領域を、操作入力部301〜312と区別して称する。
【0028】
パネル24の下には、操作入力部301〜312に対応した位置、より詳しくはパネル24において枠や文字を表現するために印刷が抜かれた箇所に光が当たるようにして、LED18(
図3参照)が配置されている。LED18(
図3参照)が点灯すると、パネル24の印刷が抜かれた箇所に光が当たり、パネル24の上側からは操作入力部301〜312を示す枠や文字が点灯しているように視認される構成である。各LED18は、個別に点灯、消灯、及び減光が切り替えられる。
【0029】
図4(a)は、すべてのLED18が点灯していてすべての操作入力部301〜312が視認可能な状態を示している。一方、
図4(b)は、すべてのLED18が消灯していて操作入力部301〜312が視認できない状態を示している。誘導加熱調理器200の電源がOFFのときには、
図4(b)に示すように操作パネル3の操作入力部301〜312は使用者には見えない状態になっている。
【0030】
通常動作モードで動作しているときには、そのときに操作入力可能な操作入力部のみが表示されるようになっており、
図4(c)の例では操作入力部311のみが表示されている。このように、操作入力を受け付けることのできる操作入力部と、操作入力を受け付けることができない操作入力部とを区別して表示し、操作入力部のみを使用者に視認可能にすることで、使用者が迷い無く操作できるようにしている。
【0031】
(デモモードの動作)
誘導加熱調理器200のデモモードの動作を説明する。本実施の形態1のデモモードには、手動デモと自動デモという2種類のデモ動作があり、誘導加熱調理器200に設けられたスイッチ(図示せず)等を切り替えることで、いずれかが選択的に実行される。手動デモは、操作パネル3への使用者の操作入力に応じて、誘導加熱調理器200が表示及び音声報知等に関するデモ動作を行うものである。自動デモは、使用者が操作パネル3に操作入力を行わなくとも、誘導加熱調理器200が自動的に一連の操作入力が行われた場合の表示及び音声報知等に関するデモ動作を行うものである。
【0032】
まず、手動デモについて説明する。
図5は、実施の形態1に係るデモモードにおける操作パネル3の動作例を説明する図である。
通常動作モードで動作している状態において、制御装置7が、操作パネル3に対する特殊操作、あるいは専用のデモモード開始スイッチへの入力等、デモモードの開始を指示する操作入力を検出すると、その操作入力を開始トリガーとして、デモモードでの動作を開始する。ここでは、予め手動デモを実行するような設定がなされているものとする。
【0033】
図5(a)は、手動デモを開始した状態の操作パネル3を示している。手動デモを開始すると、操作パネル3は、すべての操作入力部301〜312を表示させる。このように操作パネル3を全表示状態にすることで、操作パネル3への操作で実行されるすべての機能を使用者に示すことができる。
図4を参照して上述した通り、操作入力部301〜312は、操作可能なもののみが選択的に表示されるようになっており、通常動作モードにおいては使用者に迷いのない操作を促すことができるが、店頭やショールームなどでの展示シーンにおいては、操作入力部の一部しか表示されていないと、使用者は誘導加熱調理器200のすべての機能を把握しにくい。しかし、本実施の形態1のように、手動デモを開始したときにすべての操作入力部301〜312を視認可能にすることで、使用者は知りたい情報を一覧して得ることができる。
【0034】
図5(a)の表示と同期して、スピーカー22にて使用者の操作を促す音声を出力する。例えば、「デモモードで動作しています。操作してください。」等の音声を出力して、デモモードで操作していることを使用者に知らせる。このように操作パネル3におけるデモ動作と連動して音声を出力することで、使用者に誘導加熱調理器200の機能及び操作方法をより分かりやすく伝えることができる。
【0035】
図5(a)の状態で、操作パネル3の操作入力部301〜312のいずれかに操作入力がなされると、操作パネル3は、
図5(b)に示す表示に遷移する。
【0036】
図5(b)は、
図5(a)の状態で何らかの操作入力が行われたときの表示例を示している。
図5(b)の例では、操作パネル3は、右側の加熱口5での加熱を開始する前の待機状態の表示を行っており、加熱の「切/入」を設定する操作入力部311が表示されている。このように、手動デモにおいて最初に何らかの操作入力が行われたとき、すなわち店頭等で誘導加熱調理器200の前で足を止めた使用者が操作を行ったときに、加熱口5で加熱を行う際に最初に操作すべき操作入力部311を表示することで、使用者が操作する際の迷いを低減することができる。なお、
図5(b)では一つの操作入力部(操作入力部311)を表示する例を示しているが、加熱手段の動作仕様に応じて、操作入力が可能な操作入力部であれば複数の操作入力部を表示してもよい。
【0037】
図5(b)の表示と同期して、スピーカー22にて使用者に操作を促す音声を出力する。例えば、「調理を始めるには使いたいヒーターの切入のボタンを押してください」等の音声を出力する。
【0038】
図5(b)の状態で、操作入力部311に操作入力が行われると、操作パネル3は、
図5(c)の表示に遷移する。
【0039】
図5(c)は、加熱の「切/入」を設定する操作入力部311に対して加熱開始を指示する操作入力が行われた後の状態を示している。
図5(c)の例では、操作パネル3は、調理モードを選択する操作入力部309と、火力を上昇させる操作入力部310と、加熱の切入を設定する操作入力部311と、火力を低下させる操作入力部312とを表示している。
【0040】
図5(c)の表示と同期して、スピーカー22にて使用者に次の操作を促す音声を出力する。例えば、「調理を始めるには、火力のボタンを押してください。調理メニューを選ぶときはモードのボタンを押してください。」等の音声を出力する。
【0041】
図5(c)の状態で、操作入力部309に操作入力が行われると、操作パネル3は、
図5(d)の表示に遷移する。
【0042】
図5(d)は、調理モードを設定する操作入力部309に操作入力が行われた後の状態を示している。
図5(d)に示すように、操作パネル3には、調理モードとして設定可能な機能に対応した操作入力部301〜306が表示される。具体的には、タイマー調理を示す操作入力部301、煮込み調理を示す操作入力部302、揚げ物調理を示す操作入力部303、予熱調理を示す操作入力部304、ゆでもの調理を示す操作入力部305、湯沸かし調理を示す操作入力部306が表示される。また、操作入力部309〜312も表示を継続している。
【0043】
図5(d)の表示と同期して、スピーカー22にて使用者に操作を促す音声を出力する。例えば、「調理メニューを選んでください。」等の音声を出力する。
【0044】
図5(d)の状態で、揚げ物調理を示す操作入力部303に操作入力が行われると、操作パネル3は、
図5(e)の表示に遷移する。
【0045】
図5(e)は、揚げ物調理を示す操作入力部303に操作入力が行われた後の状態を示している。
図5(e)に示すように、操作パネル3には、揚げ物調理であることを示す操作入力部303と、火力を上昇させる操作入力部310と、加熱の切入を設定する操作入力部311と、火力を低下させる操作入力部312とが表示される。
【0046】
図5(e)の表示と同期して、スピーカー22にて使用者に次の操作を促す音声を出力する。例えば、「180℃で予熱を始めます。揚げ物の温度は上げ下げのボタンを押すことで変えられます。」等の音声を出力する。デモモードであるので実際には加熱は行われないが、このような音声を出力することで、使用者は誘導加熱調理器200の実際の動きを体験することができる。
【0047】
手動デモでの動作中において、所定の期間、使用者から操作入力が行われなかった場合には、操作パネル3は、すべての操作入力部301〜312を表示状態にする。具体的には、制御装置7に設けられた図示しないタイマーにて、操作パネル3に最後に操作入力が行われてからの経過時間を計測し、経過時間が閾値を超えたことを開始トリガーとして、操作パネル3は、すべての操作入力部301〜312を表示状態にする。このようにすることで、手動デモを体験していた使用者が立ち去った後には、他の使用者に対して誘導加熱調理器200の機能を伝えることができる。
【0048】
また、人感センサを誘導加熱調理器200に設け、手動デモでの動作中において、人感センサが人の存在を感知しない時間が閾値を超えた場合に、それを開始トリガーとして、操作パネル3が、すべての操作入力部301〜312を表示状態にする。
図6は、実施の形態1の変形例に係る誘導加熱調理器200の斜視図である。
図6に示す例では、本体1の前面に、人の存在の有無を検知する人感センサ26が設けられている。この人感センサ26は、誘導加熱調理器200の概ね前方を検知視野とし、視野内の人の存在の有無を示す信号を、制御装置7に出力する。このように人感センサ26が人の存在を感知しない時間が閾値を超えたときにすべての操作入力部301〜312を表示することで、店頭やショールームにおいて使用者が入れ替わった場合でも、新たな使用者に対して誘導加熱調理器200の機能を速やかに知らしめることができる。
【0049】
次に、自動デモについて説明する。
通常動作モードで動作している状態において、制御装置7が、操作パネル3に対する特殊操作、あるいは専用のデモモード開始スイッチへの入力等、自動デモの開始を指示する操作入力を検出すると、その操作入力を開始トリガーとして、自動デモを開始する。
【0050】
自動デモを開始すると、操作パネル3は、手動デモと同様に
図5(a)に示すように、すべての操作入力部301〜312を表示させる全表示状態に移行する。このようにすることで、誘導加熱調理器200の操作パネル3のすべての機能を使用者に示すことができる。
【0051】
操作パネル3においてすべての操作入力部301〜312が表示された状態で、操作パネル3の操作入力部301〜312のいずれかに操作入力がなされると、自動デモを開始し、予め記憶装置(図示せず)に記憶されたデモモードのパターンに従って操作パネル3の操作入力部301〜312の表示と非表示とを順番に適宜切り替える。このとき、使用者が操作パネル3を操作しなくとも、操作パネル3は所定の操作を受け付けたときと同様にして操作入力部301〜312の表示、非表示を順次切り替えていく。
【0052】
使用者が実際に操作を行わなくとも、操作を受けたときと同様の動作を誘導加熱調理器200が自動的に行う自動デモを設けることで、説明員のいない無人展示の場面においても、使用者の興味を惹きつける効果を増大させることができるとともに、効率的に誘導加熱調理器200の説明を行うことができる。したがって、誘導加熱調理器200の展示に係る人件費及び販促ツール(貼り紙等)の費用を削減することができる。
【0053】
なお、自動デモにおいても、手動デモと同様に、操作パネル3の表示の遷移に同期してスピーカー22から音声を出力してもよい。また、複数の加熱口5及びグリル6に対応して設けられた複数の操作パネル3の自動デモを、順次実行してもよい。
具体的には例えば、まず「右側の加熱口をお使いになる場合は」のように自動デモを行う対象を特定する音声を出力し、続けて、右側の加熱口5の操作パネル3の操作入力部301〜312のすべてを表示させる。その後は、所定の操作手順にしたがって、使用者が行う操作を音声で出力し、その操作が行われたものとして操作パネル3が表示を切り替える。例えば、「右の加熱口の入切キーを押します」という音声を出力し、続けて、右側の加熱口5の操作パネル3は、右の加熱口5の入切キーである操作入力部311が操作されたときと同じ表示を行う。
そして、右側の加熱口5の操作パネル3に関する自動デモが終了すると、続けて、左側の加熱口5及びグリル6に関する自動デモを行う。
【0054】
自動デモの一連のデモ動作が終了した後、所定の期間、使用者から操作入力が行われなかった場合には、操作パネル3は、すべての操作入力部301〜312を表示状態にする。具体的には、制御装置7に設けられた図示しないタイマーにて、自動デモの一連のデモが終了してからの経過時間を計測し、経過時間が閾値を超えたことを開始トリガーとして、操作パネル3は、すべての操作入力部301〜312を表示状態にする。このようにすることで、自動デモを見終わった使用者が立ち去った後には、他の使用者に対して誘導加熱調理器200の機能を伝えることができる。
【0055】
また、自動デモでの動作中において、
図6に示した人感センサ26が人の存在を感知しない時間が閾値を超えた場合に、それを開始トリガーとして、操作パネル3が、すべての操作入力部301〜312を表示状態にする。このように人感センサ26が人の存在を感知しない時間が閾値を超えたときにすべての操作入力部301〜312を表示することで、店頭やショールームにおいて使用者が入れ替わった場合でも、新たな使用者に対して誘導加熱調理器200の機能を速やかに知らしめることができる。
【0056】
なお、デモモードにおいて開始トリガーを検出した場合に、操作パネル3がすべての操作入力部301〜312を表示状態にするときには、通常動作モードでの操作パネル3の表示と比べて、輝度及び照度のいずれか又は両方を低下させてもよい。このようにすることで、デモモードで動作している誘導加熱調理器200の消費電力を低減することができる。店頭やショールームなど、複数の誘導加熱調理器200や他の電気機器が設置されている環境であっても、消費電力を抑制しつつ、使用者への効率的な展示を行うことができる。
【0057】
また、上記説明では、手動デモ及び自動デモにおいて、誘導加熱調理器200の機能を操作パネル3に表示するとともに音声出力することを説明したが、デモモードに報知する情報はこれに限定されない。例えば、誘導加熱調理器200の製造者の情報(製造メーカーの紹介文)、誘導加熱調理器200の型番、価格及び概略の製品仕様のうち一以上の情報を、情報表示装置4やスピーカー22にて報知してもよい。このようにすることで、説明員がいなくても、使用者に誘導加熱調理器200に関する情報を伝えることができ、人件費を削減することができる。また、誘導加熱調理器200に関する情報を表示する看板等の販売ツールを別途設けなくてもよいので、販売ツール製作に係るコストを削減することができる。
【0058】
以上のように、本実施の形態1では、デモモードにおいて開始トリガーが検出されると、操作パネル3はすべての操作入力部301〜312を表示する全表示状態での表示を行う。このため、誘導加熱調理器200に搭載されている機能であって操作パネル3で実行されるすべての機能を、使用者は一覧的に容易に得ることができる。したがって、店頭やショールームでの展示場面において、誘導加熱調理器200の機能の紹介に要する説明員や貼り紙製作等のコストを低減することができる。
【0059】
なお、本実施の形態1では、手動デモと自動デモとを選択的に切り替えて実行することを説明したが、手動デモと自動デモのいずれか一方を設けてもよい。
【0060】
実施の形態2.
前述の実施の形態1では、操作パネル3に設けられた操作入力部301〜312は、予め決まった機能を有するものであった。一方、本実施の形態2で示す操作パネル3の操作入力部は、機能が切り替えられるものである。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0061】
図7は、実施の形態2に係る操作表示装置16Aの機能ブロック図である。本実施の形態2では、操作パネル3の操作表示装置16Aは、
図3で示したLED18に代えて、液晶画面25を備えている。また、
図3で示したLED18を駆動する表示部駆動回路17に代えて、液晶画面25を駆動する表示部駆動回路17Aを備えている。液晶画面25は、ドットマトリクス型の液晶画面であり、任意の文字及び図形を表示できる。操作パネル3を操作するときに使用者が触れるパネル24(天板2の一部)には、目隠し用の印刷及び塗装を設けず、天板2の上から操作表示装置16の液晶画面25を視認できるようにする。そのほかの構成については、
図3と同様である。
【0062】
操作表示装置16Aの表示部駆動回路17Aは、外部から電源供給を受けて表示部駆動回路17Aの各回路に電源を供給する電源回路171と、制御装置7との間で信号の授受を行うインターフェース部172と、表示用メモリー173と、表示コントローラー174と、コモンドライバー175と、セグメントドライバー176とを備える。表示コントローラー174は、液晶画面25に表示する表示データを生成して表示用メモリー173に記憶させる。コモンドライバー175は、入力される水平同期信号に同期してコモン電極に印加する電圧を順次切り替え、セグメントドライバー176は、液晶画面25のセグメント電極に表示用メモリー173の表示データに対応した電圧を印加する。
【0063】
図8は、実施の形態2に係る操作パネル3を示す図である。
図8(a)は、誘導加熱調理器200に電源が投入されておらず、液晶画面25が表示を行っていない状態を示している。
図8(a)に示すように、操作パネル3のパネル24の裏面には、操作入力すべき位置を枠で示す印刷が施された操作入力部301A〜308Aが設けられている。パネル24の下の操作入力部301A〜308Aに対応した位置には、タッチスイッチ15の電極が配置されている。なお、操作入力部301A〜308Aに対応した枠をパネル24に印刷で設けるのではなく、同様の枠を液晶画面25に表示してもよい。
【0064】
図8(b)は、誘導加熱調理器200に電源が投入され、操作パネル3の液晶画面25に、操作入力部301A〜308Aにて入力可能な機能を示す表示がなされた状態を示している。液晶画面25は、操作入力部301A〜308Aの表示内容を切り替えるとともに、制御装置7は、操作入力部301A〜308Aの表示内容の切り替えに合わせて操作入力部301A〜308Aが操作されたときの機能を切り替える。このように、本実施の形態2の操作パネル3は、各操作入力部301A〜308Aが複数の機能を有するので、操作パネル3の大型化を抑制しつつ、多種多様な操作入力を受け付けることができる。
【0065】
次に、実施の形態2に係る誘導加熱調理器200のデモモードの動作を説明する。ここでは、手動デモを例に説明する。
図9は、実施の形態2に係るデモモードにおける操作パネル3の動作例を説明する図である。
通常動作モードで動作している状態において、制御装置7が、操作パネル3に対する特殊操作、あるいは専用のデモモード開始スイッチへの入力等、手動デモの開始を指示する操作入力を検出すると、その操作入力を開始トリガーとして、手動デモを開始する。
【0066】
図9(a)は、手動デモを開始した状態の操作パネル3を示している。手動デモを開始すると、操作パネル3は、すべての操作入力部301A〜308Aを表示させる。本実施の形態2では、操作入力部301A〜308Aの機能及び表示が切り替えられるが、操作入力部301A〜308Aには使用者が最も頻繁に使う機能を示す表示を行うのが好ましい。このようにすることで、誘導加熱調理器200の操作パネル3の機能を一覧的に使用者に示すことができる。
【0067】
図9(a)の表示と同期して、スピーカー22にて使用者の操作を促す音声を出力する。例えば、「デモモードで動作しています。操作してください。」等の音声を出力して、デモモードで操作していることを使用者に知らせる。
【0068】
図9(a)の状態で、調理メニューを設定する操作入力部308Aに操作入力が行われると、操作パネル3は、
図9(b)の表示に遷移する。
【0069】
図9(b)では、操作入力部301A〜305Aの表示が
図9(a)から切り替わり、操作入力部301A〜305Aには設定可能な調理メニューが表示されている。
【0070】
図9(b)の表示と同期して、スピーカー22にて使用者に次の操作を促す音声を出力する。例えば、「調理メニューを選んでください。」等の音声を出力する。
【0071】
図9(b)の状態で、揚げ物調理を示す操作入力部302Aに操作入力が行われると、操作パネル3は、
図9(c)の表示に遷移する。
【0072】
図9(c)は、揚げ物調理を示す操作入力部302Aに操作入力が行われた後の状態を示している。
図9(c)に示すように、操作パネル3には、揚げ物調理であることを示す操作入力部302Aと、火力を低下させる操作入力部301Aと、火力を上昇させる操作入力部305Aと、タイマーを設定する操作入力部306Aと、加熱の切入を設定する操作入力部307Aと、調理メニューを設定する操作入力部308Aとが表示される。
【0073】
図9(c)の表示と同期して、スピーカー22にて使用者に次の操作を促す音声を出力する。例えば、「180℃で予熱を始めます。揚げ物の温度は上げ下げのボタンを押すことで変えられます。」等の音声を出力する。デモモードであるので実際には加熱は行われないが、このような音声を出力することで、使用者は誘導加熱調理器200の実際の動きを体験することができる。
【0074】
なお、詳細な説明は割愛するが、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に自動デモを行うことができる。
【0075】
なお、本実施の形態2では、液晶画面25にて操作表示装置16Aの操作入力部301A〜308Aの表示を実現する例を示したが、実施の形態1と同様に、パネル24に施した印刷とパネル24の下側に設けられるLED等の発光手段とで、操作入力部301A〜308Aを表示することもできる。具体的には、透明な天板2の一部であるパネル24の裏面に、黒色、グレー、ベージュ等の任意の色の塗装を施し、操作入力部301A〜308Aを示す枠と文字に相当する部分については塗装を施さずに抜いておく。このとき、一つの操作入力部に対し、異なる機能を示す文字を、位置を変えて複数配置しておく。例えば、
図9に示す操作入力部301Aの例では、
図9(a)のように枠の上半分に「<」を配置するとともに、
図9(b)のように枠の下半分に「煮込み」を配置する。また、枠と、枠内の上半分と、枠内の下半分とに、それぞれ独立の発光手段を設ける。そして、パネル24に何も表示させる必要がないときには、すべての発光手段を消灯することで、パネル24のみが視認され、デザインをすっきりさせることができる。また、枠、枠内の上半分、及び枠内の下半分に設けられた発光手段を点灯させることで、枠や文字等が使用者に視認される。そのほか、操作入力部301A〜308Aを示す枠や文字のうちの一部は、パネル24の上側から視認されるように印刷にて構成してもよい。例えば、
図8(a)で図示されている枠や図柄については、パネル24の裏面に印刷で描いておき、枠の中に表示される文字等については、発光手段の点灯状態を切り替えることで、視認状態を切り替える。このようにすると、発光手段の点灯状態によらず操作入力部301A〜308Aの位置は使用者に常時視認され、また、発光手段を減らすことができるためコスト削減できる。
【0076】
実施の形態3.
実施の形態3では、本発明の電気機器の構成を、
図1の炊飯器300に適用した例を説明する。炊飯器300には、使用者の操作入力を受け付ける複数の操作入力部を備えた操作パネル3Aが設けられている。炊飯器300に設けられる操作パネル3Aは、操作入力部の具体的な機能及び表示は異なるものの基本的な構成は実施の形態1又は実施の形態2の操作パネル3と同様である。そして、炊飯器300は、手動デモと自動デモのいずれか又は両方を実行するデモモードを有しており、デモモードにおいて開始トリガーを検出すると、操作パネル3Aはすべての操作入力部を表示する。このようにすることで、実施の形態1、2と同様の効果を得ることができる。
【0077】
実施の形態4.
実施の形態4では、本発明の電気機器の構成を、
図1の食器洗浄機400に適用した例を説明する。食器洗浄機400には、使用者の操作入力を受け付ける複数の操作入力部を備えた操作パネル3Bが設けられている。食器洗浄機400に設けられる操作パネル3Bは、操作入力部の具体的な機能及び表示は異なるものの基本的な構成は実施の形態1又は実施の形態2の操作パネル3と同様である。そして、食器洗浄機400は、手動デモと自動デモのいずれか又は両方を実行するデモモードを有しており、デモモードにおいて開始トリガーを検出すると、操作パネル3Bはすべての操作入力部を表示する。このようにすることで、実施の形態1、2と同様の効果を得ることができる。
【0078】
本発明の電気機器は、
図1に示した誘導加熱調理器200、炊飯器300、及び食器洗浄機400のほか、複数の操作入力部の表示が選択的に切り替えられる操作パネルを備えたものであれば、例えば電子レンジや冷蔵庫等の他の電気機器に適用することもでき、同様の作用効果を得ることができる。