(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105384
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
A47J27/00 103Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-103276(P2013-103276)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-223139(P2014-223139A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】村垣 雅人
(72)【発明者】
【氏名】野間 雄太
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼中 貴大
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−000260(JP,A)
【文献】
特開平11−056606(JP,A)
【文献】
特開2004−290345(JP,A)
【文献】
特開2000−041834(JP,A)
【文献】
特開2013−013790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を入れる調理鍋と、
前記調理鍋を収容すると共に、電源コードを介して電力を供給される調理器本体と、
前記調理器本体内に設置される回路基板と、
前記電源コードを巻回する板状のリブが外周部に形成されたコードリールを収容するコードリール収容部と、
前記コードリール収容部が一体に設けられた、前記回路基板を配設される基板ホルダと、
を備え、
前記基板ホルダは、
中央に位置する基部と、
前記基部の両端に設けられ、横方向外側に向かって斜めに延びる一対の側面部と、
を備え、
前記コードリール収容部は、前記板状のリブを挟み込む保持溝を形成し、一方の前記側面部に設けられ、
前記回路基板は、他方の前記側面部に配設された、調理器。
【請求項2】
前記回路基板は、一対の前記側面部の外側端部の間に位置するように前記基板ホルダに配設された、請求項1に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を配設する基板ホルダを用いた調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内鍋への加熱量を調整する制御装置を有する制御基板と、制御基板を設置する基板ベースとを備えた炊飯器が記載されている。
【0003】
しかし、この炊飯器では、電源コードを巻回するコードリールが基板ベースと別体に設けられているので、部品点数が増加する。また、基板ベースと別にコードリールを配設するスペースが炊飯器本体内に必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−218069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、部品点数を削減すると共に、調理器本体の内部空間に余裕を持たせることができる調理器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
調理物を入れる調理鍋と、
前記調理鍋を収容すると共に、電源コードを介して電力を供給される調理器本体と、
前記調理器本体内に設置される回路基板と、
前記電源コードを巻回するコードリールを収容するコードリール収容部と、
前記コードリール収容部が一体に設けられた、前記回路基板を配設される基板ホルダと、
を備えた。
【0007】
基板ホルダにコードリール収容部を一体に設けることで、調理器を構成する部品点数を削減すると共に、調理器本体の内部空間に余裕を持たせることができる。
【0008】
前記基板ホルダは、
中央に位置する基部と、
前記基部の両端に設けられ、横方向外側に向かって斜めに延びる側面部と、
を備えることが好ましい。
【0009】
上記構成により、基板ホルダの基部を調理器本体の内側面に沿って配置したときに、側面部が調理器本体内部の他の部材と干渉するのを防止しつつ、基板ホルダにコードリール収容部および回路基板を配設する領域を確保できる。
【0010】
例えば、前記コードリール収容部は、一方の前記側面部に設けることができる。
また、前記回路基板は、他方の前記側面部に配設することができる。
【0011】
前記回路基板は、前記側面部の外側端部の間に位置するように前記基板ホルダに配設されることが好ましい。
【0012】
上記構成により、基板ホルダと回路基板とを合わせた全体の体積(寸法)が大きくならず、調理器本体の内部空間に余裕を持たせることができる。また、回路基板と基部との間に所定の隙間を確保できるので、回路基板の放熱性を向上できる。
【0013】
例えば、前記回路基板は、商用電源を直流電圧に変換する電源回路用基板、または前記部品を制御する制御基板である。
【0014】
前記基部に、前記調理器本体内部の部品を冷却するファンを配設することが好ましい。
【0015】
上記構成により、基板ホルダに回路基板、コードリール収容部に加えてファンを配設でき、より一層、調理器本体の内部空間に余裕を持たせることができる。
【0016】
前記調理器本体に、ヒンジ軸を中心に開閉可能に配設され、前記調理鍋を閉蓋する蓋体と、
前記ヒンジ軸に対して前記調理鍋と反対側であって、前記調理器本体の底面に設けられた補助脚と、
を備えることが好ましい。
【0017】
補助脚をヒンジ軸に対して前記調理鍋と反対側であって、前記調理器本体の底面に設けることで、蓋体を開放した際の衝撃で調理器がバウンドしたり、転倒するのを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、部品点数を削減すると共に、調理器本体の内部空間に余裕を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る炊飯器において蓋体が開放した状態を示す斜視図。
【
図4】
図2の基板ホルダとコードリール収容部との下方斜視図。
【
図5】基板ホルダにコードリール収容部と回路基板とを配設した状態を示す底面図。
【
図6】(A)は回路基板の正面図、(B)は回路基板の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、炊飯器を例にして図面に従って説明する。
【0021】
図1に示すように、炊飯器(調理器)10は、炊飯器本体(調理器本体)11と、後述するヒンジ軸23を中心に回動し、炊飯器本体11に開閉可能に取り付けられ、後述する内鍋(調理鍋)15を閉蓋する蓋体12とを備えている。炊飯器本体11には、電源コード14(
図2参照)を介して商用電源から電力が供給される。
【0022】
図2を併せて参照すると、炊飯器本体11は、内鍋15と、内鍋15を収容する胴部16と、胴部16の上部に設けられる肩体20と、胴部16の底を閉じる底体27と、肩体20と底体27との間に配設される基板ホルダ36とを備えている。
【0023】
内鍋15は内部に、例えば、飯米および水などの調理物がセットされる公知の鍋である。内鍋15の外周部には、内鍋15を加熱する内鍋ヒータ17が配設されている。胴部16は、上端、下端および側面の一部が開放した筒状である。
【0024】
肩体20は円環状であり、その開口縁部で内鍋15の上端のフランジ部を保持している。肩体20の奥側には、蓋体12を開閉可能に接続するヒンジ接続部22が設けられている。ヒンジ接続部22は上方に向かって延びている。ヒンジ接続部22の両側には、ヒンジ軸23を軸支するヒンジ孔24が形成されている。以下、炊飯器10のヒンジ接続部22側(
図2中、矢印A方向)を奥側、ヒンジ接続部22と反対側を手前側という。
【0025】
底体27は、胴部16の下端に接続すると共に、胴部16の奥側側面を閉じている。胴部16と底体27の奥側には、基板ホルダ36を収容する基板ホルダ収容部28が形成されている。
【0026】
図2および
図4に示すように、基板ホルダ36は、中央に位置する基部37と、基部37の両端部に設けられ、手前側(矢印Aと反対側)に向かって横方向外方に斜めに延びる一対の側面部41,51とを備えている。この構成により、基板ホルダ36の基部37を炊飯器本体11の奥側内側面に沿って配置したときに、側面部41,42が炊飯器本体11内部の他の部材と干渉するのを防止しつつ、基板ホルダ36に、後述するコードリール収容部42および回路基板70を配設する領域を確保できる。基板ホルダ36には複数のねじ孔39が形成されている(
図5参照)。基板ホルダ36は、このねじ孔39に挿通するねじ(図示せず)により肩体20の裏面にねじ止めされる。
【0027】
基部37は側面部41,51を連結し、その長手方向中央部の下側には、奥側に向かって突出する中空のファン設置部38が設けられている。ファン設置部38には、炊飯器本体11内の部品を冷却するファン(図示せず)が設置される。これにより、基板ホルダ36に後述するコードリール収容部42および回路基板70に加えてファンを配設でき、より一層、炊飯器本体11の内部空間に余裕を持たせることができる。
【0028】
一方の側面部(第1側面部)41には、コードリール61を収容するコードリール収容部42が形成されている。このように、基板ホルダ36にコードリール収容部42を一体に設けることで、炊飯器10を構成する部品点数を削減すると共に、炊飯器本体11の内部空間に余裕を持たせることができる。また、基板ホルダ36の形状を有効に活用して、コードリール収容部42を基板ホルダ36に設けることができる。
【0029】
コードリール61は、内部で電源コード14を巻回する、外周部に板状のリブ62が形成された略円形である。コードリール収容部42は正面視略半円形状である。また、コードリール収容部42の下端は開口しており、内部にコードリール61を挿入する空洞部45が形成されている。コードリール収容部42の奥側(矢印A側)外周部の下端には、開口縁部から上方に延びる保持溝47が形成されている。コードリール61を空洞部45に挿入すると、コードリール61のリブ62が保持溝47内に挿入して挟み込まれ、コードリール61はコードリール収容部42内に保持される。
【0030】
他方の側面部(第2側面部)51は正面視略矩形の板状であり、その外側面52には、後述する回路基板70aが配設される(
図5参照)。また、第1側面部41の外側端部43と第2側面部51の外側端部53との間に位置するように、回路基板70bが配設される。この構成により、基板ホルダ36と回路基板70とを合わせた全体の体積(寸法)が大きくならず、炊飯器本体11の内部空間に余裕を持たせることができる。また、回路基板70bと基部37との間に所定の隙間を確保でき、更に、ファンにより回路基板70bが冷却されるので、回路基板70bの放熱性を向上できる。
【0031】
回路基板70は、商用電源からの電力を炊飯器本体11内の部品に供給するために直流電圧に変換する電源回路用基板(図示せず)であってもよく、または部品を制御する制御基板72であってもよい。部品は例えば、内鍋ヒータ17である。
【0032】
図6に示すように、制御基板72bはヒートシンク74と共に、ねじ孔73に挿通するねじ(図示せず)を介して、基板ホルダ36にねじ止めされる。なお、制御基板72の基板ホルダ36への固定は、ねじ止めに限定されず、基板ホルダ36に係止爪(図示せず)を設け、この係止爪で制御基板72の両面を挟み込んで保持してもよく、固定方法は限定されない。
【0033】
図3に示すように、底体27の底面30には、下向きに突出する脚部31と補助脚32とが設けられている。脚部31は、シンクなどの設置面に対して底体27が所定の隙間をもって位置するように設置されている。
【0034】
補助脚32は、ヒンジ軸23に対して内鍋15と反対側であって、炊飯器本体11の底面30に設けられている。補助脚32は円筒形であり、内部に、炊飯器本体11を設置面に対して滑り止めするゴム材が埋め込まれている。なお、補助脚32の配設場所は底体27の奥側端部のみならず、ヒンジ軸23の中心線Lよりも奥側(矢印A側)に配設される限り、特に限定されない。この構成により、蓋体12を開放した際の衝撃で炊飯器10がバウンドしたり、転倒するのを防止できる。
【0035】
本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
基板ホルダ36に関しては、コードリール収容部42を形成すると共に、回路基板70を配設できる限り、その形状および炊飯器本体11内での配置場所は特に限定されない。コードリール収容部42は、基板ホルダ36に形成される限り、その形状および形成される場所は特に限定されない。回路基板70は、電源回路用基板および制御基板72に限定されず、その他の種々の基板であってもよく、基板ホルダ36への配設場所、配設方法は特に限定されない。
【符号の説明】
【0036】
10 炊飯器(調理器)
11 炊飯器本体(調理器本体)
12 蓋体
14 電源コード
15 内鍋(調理鍋)
23 ヒンジ軸
30 底面
32 補助脚
36 基板ホルダ
37 基部
41 第1側面部
42 コードリール収容部
43 外側端部
51 第2側面部
53 外側端部
61 コードリール
70(70a,70b) 回路基板
72(72a,72b) 制御基板