(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、スキー、スノーボード、スケートなどに使用するブーツの靴紐を締め付けるために、ダイヤル(円盤状のつまみ)を回転することによって靴紐を巻き付けることができる靴紐巻取装置が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
これらの靴紐巻取装置に使用する靴紐としては、樹脂と金属の複合材であって強度に優れ、摩擦係数が低く滑りやすいワイヤー状の靴紐を使用しており、それらの靴紐の両端部を靴紐巻取装置に内蔵される靴紐巻取用リールに固定している。
従って、このような靴紐を靴紐巻取用リールに縛り付けることで固定するには、靴紐を強く締め付けてもリールから靴紐の端部が外れないように、靴紐の端部を長めに残す必要がある。
【0004】
しかしながら、靴紐巻取装置の内部には、靴紐を巻き取るためのギヤ機構とか、靴紐を巻き取った状態で維持するためのロック機構や、そのロックを解除するための機構などが収納されており、靴紐巻取用リールから靴紐の端部が飛び出して靴紐巻取装置の内部機構と干渉し、靴紐巻取装置の動作に支障が生じたり、装置が故障し易いという問題がある。
【0005】
特に、このような問題は、摩擦係数が低く滑りやすいワイヤー状の靴紐を使用する靴紐巻取装置を小型化することでより深刻となるため、靴紐巻取装置の小型化を妨げる要因ともなっていた。
【0006】
さらに、このような靴紐巻取装置に内蔵される靴紐巻取用リールにおいては、小型化と耐久性の向上に加え、組み付け作業を行い易くすることが求められており、これらの課題を解決することが、より多種多様な靴に靴紐巻取装置を採用するために必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来の靴紐巻取用リールにおいては、靴紐の端部が飛び出して靴紐巻取装置の内部機構と干渉し、靴紐巻取装置の動作に支障が生じたり、装置が故障することがあり、靴紐巻取装置の耐久性及び信頼性を損ねているということであり、本発明の目的は、靴紐巻取用リールに靴紐の端部を簡単かつ確実に固定することができ、靴紐巻取装置及び靴紐巻取用リールの小型化と耐久性を向上させることができ、さらには、組み付け作業を行い易く、より多種多様な靴に用いることができる靴紐巻取装置に内蔵される靴紐巻取用リールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、「靴に固定されるベース部材のリール収納部内に収納され、ダイヤルによって回転駆動される靴紐巻取用リールであって、
樹脂、金属又はそれらの複合材からなるワイヤー状の靴紐を巻き取るための大径の筒体と、当該筒体の両端部に形成したフランジ部とからなる靴紐巻取ドラムと、
前記靴紐巻取ドラムの内側に配置された小径の筒体からなる回転軸部と、
前記靴紐巻取ドラムの内周面と前記回転軸部の外周面とを連結する環状部と、
前記靴紐巻取ドラムと前記回転軸部と前記環状部とによって形成される環状の溝部と
を備え、
前記靴紐巻取ドラムの外周面側から前記溝部内に導入される靴紐の先端部を挟み込んで当該溝部内に保持するための係止突起を当該溝部内に設けたことを特徴とする靴紐巻取用リール。」を最も主要な特徴とするものである。
【0010】
前記係止突起は、靴紐巻取ドラムの内周面から前記溝部内に突設され、前記回転軸部との間に靴紐を挟み込むことができるものであってもよい。
【0011】
前記靴紐巻取ドラムは、その筒体にワイヤー挿通孔が透設されており、当該ワイヤー挿通孔に挿通された靴紐の先端側を前記係止突起が保持するものであってもよい。
【0012】
また、前記靴紐巻取用リールは、前記ワイヤー挿通孔に挿通された靴紐の先端側を軸心方向外側へ案内するスロープを、前記靴紐巻取ドラムの内周面又は前記回転軸部の外周面に沿った前記溝部内に形成したものであってもよい。
【0013】
さらに、前記係止突起は、前記溝部内において約180度離間した位置に各1個配置され、それらの間に前記ワイヤー挿通孔が配置されており、前記スロープは、前記ワイヤー挿通孔と前記係止突起との間の位置に配置されているものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明の靴紐巻取用リールにおいては、溝部内に設けた係止突起によって靴紐の端部を溝部内に簡単かつ確実に保持することができ、靴紐の端部が靴紐巻取ドラムから外れてしまうことを防止できる。
【0015】
さらに、靴紐の端部を長めに残す必要がないため、靴紐巻取用リールから靴紐の端部が飛び出して靴紐巻取装置の内部機構と干渉し、靴紐巻取装置の動作に支障が生じたり、装置が故障するということを確実に防止することができる。
よって、靴紐巻取装置の小型・軽量化及び信頼性・耐久性の向上を図ることができる。
【0016】
前記係止突起を、靴紐巻取ドラムの内周面から前記溝部内に突設され、前記回転軸部との間に靴紐を挟み込むことができるものとすることで、靴紐巻取用リールの溝部内に収まりよく靴紐の端部を保持することができる。
【0017】
前記靴紐巻取ドラムの筒体にワイヤー挿通孔を透設し、当該ワイヤー挿通孔に挿通された靴紐の先端側を前記係止突起によって保持することで、靴紐巻取用リールに対する靴紐の取付状態を強固なものとすることができるばかりか、取付作業効率を優れたものとすることができる。
【0018】
また、前記ワイヤー挿通孔に挿通された靴紐の先端側を軸心方向外側へ案内するスロープを前記溝部内に形成したものとすることで、靴紐巻取用リールから靴紐の端部を引き出して前記ワイヤー挿通孔に靴紐を挿通して縛り付ける作業の効率をより一層優れたものとすることができる。
【0019】
前記係止突起を、前記溝部内において約180度離間した位置に各1個配置し、それらの間に前記ワイヤー挿通孔を配置し、前記スロープを前記ワイヤー挿通孔と前記係止突起との間の位置に配置することで、靴紐巻取用リールに対する靴紐の取付をバランスよく行うことができ、靴紐巻取装置をより一層小型・軽量化することが可能となるばかりか、信頼性・耐久性を極めて優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、「靴に固定されるベース部材のリール収納部内に収納され、ダイヤルによって回転駆動される靴紐巻取用リールであって、
樹脂、金属又はそれらの複合材からなるワイヤー状の靴紐を巻き取るための大径の筒体と、当該筒体の両端部に形成したフランジ部とからなる靴紐巻取ドラムと、
前記靴紐巻取ドラムの内側に配置された小径の筒体からなる回転軸部と、
前記靴紐巻取ドラムの内周面と前記回転軸部の外周面とを連結する環状部と、
前記靴紐巻取ドラムと前記回転軸部と前記環状部とによって形成される環状の溝部と
を備え、
前記靴紐巻取ドラムの外周面側から前記溝部内に導入される靴紐の先端部を挟み込んで当該溝部内に保持するための係止突起を当該溝部内に設けたことを特徴とする靴紐巻取用リール」であって、以下において説明する実施形態などにより好適に具体化することができる。
【0022】
以下、本発明の靴紐巻取用リールを備えた靴紐巻取装置を運動靴に装着した一実施形態について説明する。
【0023】
図1は、靴紐巻取装置1を足首と対応する位置に装備した靴Sを示し、この靴Sは、樹脂被覆された金属製のワイヤーからなる靴紐2によって靴Sの甲部を締め付けることができるようになっている。
【0024】
靴紐巻取装置1は、ベース部材3と、前記靴紐2を巻き取るための靴紐巻取用リール4と、靴紐巻取用リール4の回転及び停止を制御するためのストッパー部材5と、前記靴紐巻取用リール4を回転駆動するためのダイヤル6と、前記ダイヤル6と前記ストッパー部材5とを前記ベース部材3に装着するために前記ベース部材3に対して回転自在に固定される軸部材7と、当該軸部材7にて一端部が軸支されたバネ部材8などから構成されている。
【0025】
前記ベース部材3は、薄板状のU字形フランジ31が前記靴Sに縫い付け固定されることで靴紐巻取装置1を靴Sに固定することができるものであって、前記靴紐巻取用リール4を回転可能に収納するための有底円筒状のリール収納部32を備えている。
【0026】
前記リール収納部32は、その底部中央に前記靴紐巻取用リール4を軸支するための回転軸33が突設されており、また、内周面にはギヤ34が形成されている。
このギヤ34は、前記ストッパー部材5に形成した爪51と協働してラチェット機構を構成し、靴紐2を巻き付ける方向(正回転)にのみ前記爪51が移動できるように、断面が「のこぎり波」状に形成されている。
【0027】
さらに、前記ベース部材3には、前記リール収納部32の底部に開口する靴紐引出口35が2ヶ所形成され、前記靴紐巻取用リール4に巻き付けられた靴紐2を前記リール収納部32から外部に引き出すことができるようになっている。
【0028】
前記靴紐巻取用リール4は、靴紐2を巻き取るための靴紐巻取ドラム41と、前記靴紐巻取ドラム41の内側に配置された回転軸部42と、前記靴紐巻取ドラム41の内周面と前記回転軸部42の外周面とを連結する環状部43と、前記靴紐巻取ドラム41と前記回転軸部42と前記環状部43とによって形成される環状の溝部44とを備えている。
前記靴紐巻取ドラム41は、靴紐2を巻き取るための大径の筒体41aと、当該筒体41aの両端部に形成したフランジ部41bとから構成され、前記回転軸部42は、前記靴紐巻取ドラム41の内側に配置された小径の筒体から構成されている。
【0029】
前記回転軸部42の内面側には、前記ベース部材3の前記回転軸33が挿入され、リール収納部32内にて靴紐巻取用リール4が回転可能となっている。
前記リール4の前記溝部44は、ベース部材3の底部に面する側(以後、説明の便宜上「下側」といい、その反対側を「上側」という。)に配置され、前記靴紐巻取ドラム41の外周面側から前記溝部44内に導入される靴紐2の先端部を挟み込んで当該溝部44内に保持するための係止突起45を当該溝部44内に設けたものとなっている。
【0030】
前記係止突起45は、靴紐巻取ドラム41の内周面であって前記溝部44の上縁近傍位置から前記溝部44内に突設され、前記回転軸部42との間に靴紐2を挟み込み、溝部44の底部側(環状部43側)に靴紐2を押さえ込んで保持することができるようになっている。
前記靴紐巻取用リール4は、前記ワイヤー挿通孔47に挿通された靴紐2の先端側を軸心方向外側(溝部44の上方)へ案内するスロープ48を前記靴紐巻取ドラム41の内周面に沿った前記溝部44内に形成したものとなっている。
前記係止突起45は、前記溝部44内において約180度離間した位置に各1個配置され、それらの間に前記ワイヤー挿通孔47が3個配置されており、前記スロープ48は、前記ワイヤー挿通孔47と前記係止突起45との間の位置に配置されている。
前記靴紐巻取用リール4の上側には、前記靴紐巻取ドラム41の内周面に沿って複数のフィン46が形成されており、前記ストッパー部材5の下側に形成されたフィン52と噛合することで、ダイヤル6の回転を靴紐巻取用リール4に伝達できるようになっている。
【0031】
前記ストッパー部材5は、その四隅に突設した取付用爪部53が前記ダイヤル6に透設した係合穴61に係合することで、前記ダイヤル6の内側(下側)に嵌合してダイヤル6と一体化するものであり、前記リール4と前記ダイヤル6との間に介在してダイヤル6の回転を靴紐巻取用リール4に伝達できるロック状態と、靴紐巻取用リール4が自由に回転できるようにダイヤル6から靴紐巻取用リール4を切り離した解除状態とを実現することができるようになっている。
【0032】
前記軸部材7は、一体化した前記ダイヤル6とストッパー部材5とを前記ベース部材3に対して回転自在に装着するために、ネジ9によって前記ベース部材3に固定されるものであって、一体化した前記ダイヤル6とストッパー部材5とを前記ベース部材3に接近させたロック位置と当該ベース部材3から離した解除位置との間で移動可能な状態で保持し案内することができるようになっている。
【0033】
前記軸部材7は、四角柱状に形成されており、その軸心方向と直交する方向にて当該軸部材の対向する2つの側部を切り欠いて形成した軸受部71に対し、前記バネ部材8に形成した直線状の一端部(軸部81)が挿入されることで、当該バネ部材8を回動可能に軸支するようになっている。即ち、前記バネ部材8は、前記軸部材7の約180度離間した位置に各1個配置されている。
【0034】
さらに、前記軸部材7が四角柱状であるため、前記軸受部71の強度を高め、前記軸部材7の小型化にも資することができる。
また、前記軸部材7の前記軸受部71は、型抜きを考慮して中央部付近の内径が最も小さく形成されている。
【0035】
前記バネ部材8は、全体が略U字形に湾曲形成されており、湾曲した他端側のバネ部82が、一体化した前記ダイヤル6とストッパー部材5の内面に設けた係止部62に当接するようになっている。
前記バネ部材8の他端部(バネ部82)が当接する前記係止部62は、前記ダイヤル6とストッパー部材5の境界部分に楔状に形成したバネ収納空間63の外端最狭部に設けられている。
そして、この一体化した前記ダイヤル6とストッパー部材5がロック位置から解除位置まで移動することで、靴紐巻取用リール4をロック状態から解除状態に切替可能としている。
【0036】
さらに、当該ロック位置と解除位置との間の位置に前記バネ部材8のバネ部82が最も軸部材側に圧縮される反転位置が存在するように設定されている。
前記ダイヤル6の上側には、円盤状のキャップ10が嵌合して靴紐巻取装置1内部にゴミなどが入り込まないようになっている。
【0037】
なお、キャップ10の中央部には透孔11が形成されており、この透孔11を介してキャップ10の内側(下側)のネジ9を操作してベース部材3から靴紐巻取用リール4、ダイヤル6、軸部材7を取り外せるようになっている。
【0038】
樹脂及び金属の複合材からなるワイヤー状の靴紐2としては、直径0.11〜0.13mmのステンレス製の素線を49本撚り合わせたワイヤーロープにスウェージングマシンにて加工を加え、ナイロン樹脂にて被覆したものを好適に用いることができる。
【0039】
次に、上記にて説明した靴紐巻取装置1の各部品を組み付けて製造する方法について説明する。
まず、靴紐巻取装置1のベース部材3に靴紐巻取用リール4を装着するため、2ヶ所の靴紐引出口35にそれぞれ靴紐2の先端を挿入し、リール収納部32側からその靴紐2の両端部を引き出す。
そして、靴紐巻取用リール4に6ヶ所設けたワイヤー挿通孔47に靴紐2の先端を縫うようにして順次挿通し、さらに溝部44内の係止突起45によって挟み込むようにすることで、靴紐2の両端を靴紐巻取用リール4に対して簡単かつ確実に固定することができる。その後、靴紐巻取用リール4をリール収納部32内に配置する。
この靴紐2をワイヤー挿通孔47に挿通する方法としては、例えば、
図4(b)に示す方法と、
図4(c)に示す方法が挙げられる。
何れの方法による場合であっても、前記ワイヤー挿通孔47に挿通された靴紐2の先端は、スロープ48によって靴紐巻取用リール4の軸心方向外側へ、即ち、溝部44の外側へ案内されるため、靴紐2の先端を次の前記ワイヤー挿通孔47へ挿通する作業を迅速に行うことができる。
【0040】
次に、ストッパー部材5をダイヤル6の内側(下側)に嵌合することで、ストッパー部材5をダイヤル6と一体化させ、それらに軸部材7及びバネ部材8を組み付ける。
【0041】
この場合、前記バネ部材8は、前記軸部材7が前記ダイヤル6に形成された略四角形状の軸穴64とストッパー部材5に形成された略四角形状の軸穴54に挿入されるのであるが、当該バネ部材8のバネ部82がダイヤル6の軸穴64を拡げた拡張部から前記バネ収納空間63に挿入され、さらに当該バネ部82がバネ収納空間63の内端側から外端最狭部側へ回動するように案内されて前記ダイヤル6に組み付けられる。
なお、軸部材7の上端部に形成したフランジ72がダイヤル6の軸穴64の縁に形成した係止段部65に当接するため、ダイヤル6が軸部材7から外れることはない。
【0042】
前記バネ部材8のバネ部82がバネ収納空間63の内端側から外端最狭部側へ回動するように案内されるのは、ストッパー部材5の軸穴54の縁に上側(ダイヤル側)を向いた斜面55が形成されているためである。
【0043】
上記手順にてストッパー部材5、ダイヤル6、軸部材7及びバネ部材8を組み付けた後、ネジ9を軸部材7の軸心に沿って透設したネジ挿入孔73に挿通し、軸部材7などをベース部材3に装着する。
【0044】
最後にキャップ10をダイヤル6に嵌め込むことで、靴紐巻取装置1を組み付けることができる。
メンテナンス又は修理のために靴紐巻取装置1を分解する際には、キャップ10の透孔11からネジ回しを挿入し、ネジ9を外すことで、組み付けられたストッパー部材5、ダイヤル6、軸部材7及びバネ部材8をベース部材3から取り外すことができる。
【0045】
メンテナンス又は修理が必要な場合としては、靴紐2が切断した場合、又はリール収納部32内で靴紐2が絡まった場合が多いため、ストッパー部材5、ダイヤル6、軸部材7及びバネ部材8が組み付けられたままベース部材3から取り外すことができることは、メンテナンス又は修理作業を効率化する上で極めて有効である。
【0046】
なお、本実施形態の靴紐巻取装置1において各部材を構成する材料としては、強度、耐久性、弾力性などを考慮し、一例として以下のものを用いたが、これらの材料に限定されるものではない。
ベース部材3・・・ナイロン
靴紐巻取用リール4、ストッパー部材5、軸部材7・・・POM(ポリアセタール)
ダイヤル6・・・ナイロンとその周囲にTPE(熱可塑性エラストマー)
バネ部材8・・・ステンレス鋼
ネジ9・・・炭素鋼
キャップ10・・・ABS樹脂
【0047】
上記のように構成された靴紐巻取装置1の使用方法について説明する。
靴Sを履いた後に、靴紐2を締め付けるには、靴紐巻取装置1のダイヤル6を前記ベース部材3に接近させたロック位置にてダイヤル6を回転操作し、靴紐2を靴紐巻取用リール4に巻き付ける。
この場合、ストッパ部材5の爪51がギヤ34に当接することで、靴紐2が緩む方向に靴紐巻取用リール4が回転することはない。
【0048】
また、ロック位置と解除位置の間の位置に前記バネ部材8が最も圧縮される反転位置を設定してあるため、ダイヤル6がロック位置にある状態では、バネ部材8が
図5の左側に示す状態となっており、ダイヤル6をロック位置に保持する。
この時、バネ部材8は、軸部材7を持ち上げダイヤル6を下に押さえる方向を向いている。
【0049】
次に、靴紐2の締め付けを緩めるには、靴紐巻取装置1のダイヤル6を上側へ引く。
この時、バネ部材8は圧縮され、その反発力に抗してさらに上側にダイヤル6を引くことで、前記バネ部材8が最も圧縮される反転位置を越え、当該ロック位置と解除位置との間でバネ部材8が圧縮される方向が切り替わることにより、ダイヤル6をベース部材3から離した解除位置に移動させる(
図5の右側に示す状態)。
この時、バネ部材8は、軸部材7を下に押さえダイヤル6を持ち上げる方向を向いている。
【0050】
当該バネ部材8の他端部(バネ部82)は、前記ダイヤル6の内面に設けた係止部
62と常時当接しており、部品の摩耗を防ぐことができる。
【0051】
バネ部材8がロック位置と解除位置との間で明確に切り替わるため、操作性に優れるばかりか、前記ダイヤル6位置の状態を把握することも容易である。
上記のように前記ダイヤル6がロック位置から解除位置に移動すると、靴紐巻取用リール4のフィン46とストッパー部材5のフィン52との噛合が解除され、靴紐巻取用リール4が自由に回転できるようになり、靴紐2が緩められる。
【0052】
逆に、前記ダイヤル6を解除位置からロック位置に移動させるように下方へ押さえ付けると、前記バネ部材8が最も圧縮される反転位置を逆向きに越え、靴紐巻取用リール4のフィン46とストッパー部材5のフィン52とが再び噛合することとなるため、靴紐巻取用リール4に靴紐2を巻き取って靴紐2を締め付けることが可能となる。
【0053】
なお、本明細書中において、「ダイヤル」とは、靴紐巻取用リール4を回転駆動するための操作部として機能するものであれば特に形状が限定されるものではなく、多角形状のものであってもよい。
【0054】
本発明は図示した例のように配線した靴紐2を締め付けるための靴紐巻取装置1用の靴紐巻取用リールに限定されるものではなく、靴Sの異なる部分を締め付ける靴紐2を締め付けるための靴紐巻取装置に内蔵されるものとして具体化して実施してもよい。
【0055】
さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で靴紐巻取装置及び靴紐巻取用リールの各部の材質、形状、寸法、角度、設置位置、大きさ、数などを適宜変更して実施してもよい。
例えば、係止突起45を回転軸部42側から溝部44内に突設して実施したり、スロープ48を回転軸部42の外周面に沿うようにして設けて実施してもよい。