(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、メンテナンスのためにバルブの軸端へのアクセス性は良好であることが好ましい。バルブの軸端へのアクセス性を向上させるための方法として、シリンダヘッドの側壁とバルブとの間の隙間を大きく確保することが考えられる。しかし、この場合、エンジンが大型化してしまうという問題がある。
【0005】
これに対して、上記のエンジンでは、ヘッドカバーを取り外した状態で、バルブの軸端がシリンダヘッドの端部よりも高い位置に位置することになる。このため、シリンダヘッドの側壁とバルブとの間の隙間を大きく確保せずとも、バルブの軸端へのアクセス性を向上させることができる。このため、エンジンを小型化することができる。
【0006】
しかしながら、合い面がカム軸と同じ高さに配置されると、シリンダヘッドとクランクケースとを締結する締結ボルトのヘッド部が合い面よりも高い位置に位置することになる。製造上の要請によりヘッドカバーの側面の内面には傾斜が設けられているため、ヘッド部が合い面よりも高い位置に位置していると、ヘッド部がヘッドカバーの側面と干渉する可能性がある。
【0007】
締結ボルトのヘッド部とヘッドカバーの側面との干渉を回避するためには、締結ボルトとヘッドカバーの側面との間の距離を大きく確保することが好ましい。しかし、この場合、エンジンが大型化してしまう。
【0008】
本発明の課題は、エンジンを小型化しつつ、バルブの軸端へのアクセス性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るエンジンは、クランク軸と、クランクケースと、シリンダボディと、シリンダヘッドと、バルブと、カム軸と、ヘッドカバーと、第1締結ボルトと、第2締結ボルトと、を備える。クランクケースは、クランク軸を収容する。シリンダボディは、クランクケースに接続される。シリンダヘッドは、シリンダボディに接続される。バルブは、シリンダヘッドに取り付けられる。カム軸は、シリンダヘッドに支持される。ヘッドカバーは、シリンダヘッドの端部と向き合って配置される端部を含み、シリンダヘッドに取り付けられる。
【0010】
第1締結ボルトは、シリンダヘッドとシリンダボディとクランクケースとを締結する。第1締結ボルトは、シリンダヘッドに固定される第1ヘッド部を含む。第2締結ボルトは、シリンダヘッドとシリンダボディとクランクケースとを締結する。第2締結ボルトは、シリンダヘッドに固定される第2ヘッド部を含む。シリンダヘッドの端部を含む第1仮想平面とヘッドカバーの端部を含む第2仮想平面とは、カム軸と重なっている。
【0011】
シリンダヘッドは、カム軸の軸線方向に向き合って配置される第1シリンダ側壁と第2シリンダ側壁とを含む。ヘッドカバーは、第1シリンダ側壁に接続される第1カバー側壁と、第2シリンダ側壁に接続される第2カバー側壁とを含む。シリンダボディのシリンダ軸線方向においてシリンダヘッドからヘッドカバーに向かう方向(以下、「ヘッドカバー側」と呼ぶ)に向かって、第1カバー側壁と第2カバー側壁との間が狭まるように第1カバー側壁の内面は傾斜している。
【0012】
カム軸の軸線方向において第1ヘッド部は、第1シリンダ側壁と第2ヘッド部との間に配置される。カム軸の軸線方向において第2ヘッド部は、第2シリンダ側壁と第1ヘッド部との間に配置される。カム軸の軸線方向における第1シリンダ側壁と第1ヘッド部との間の距離は、カム軸の軸線方向における第2シリンダ側壁と第2ヘッド部との間の距離よりも小さい。クランク軸の軸線を含みシリンダ軸線に垂直な第3仮想平面からのシリンダ軸線方向における第1ヘッド部までの距離は、第3仮想平面からのシリンダ軸線方向における第2ヘッド部までの距離よりも小さい。
【0013】
本態様に係るエンジンでは、シリンダヘッドとヘッドカバーとの合い面となるシリンダヘッドの端部とヘッドカバーの端部とは、カム軸と重なる高さに配置される。このため、バルブの軸端へのアクセス性を向上させることができる。
【0014】
また、第1ヘッド部は、第1シリンダ側壁に近い位置に配置され、第1シリンダ側壁に接続される第1カバー側壁の内面は、第1カバー側壁の端部から離れるに従って、カム軸の軸線方向において第1ヘッド部に向かう方向に傾斜している。従って、第1ヘッド部の位置がヘッドカバー側に位置するほど、第1ヘッド部と第1カバー側壁の内面との間の距離が小さくなる。この場合、第1カバー側壁の内面と第1ヘッド部との間にクリアランスを確保するためには、エンジンが大型化してしまう。しかし、本態様に係るエンジンでは、第3仮想平面からのシリンダ軸線方向における第1ヘッド部までの距離は、第3仮想平面からのシリンダ軸線方向における第2ヘッド部までの距離よりも小さい。従って、第1ヘッド部は、シリンダ軸線方向において、第2ヘッド部よりもシリンダボディ側に位置する。このため、エンジンを小型化することができる。なお、シリンダボディ側は、シリンダ軸線方向において、シリンダヘッドからシリンダボディに向かう方向を意味する。
【0015】
さらに、第1シリンダ側壁に対する第1ヘッド部の位置と比べて、第2ヘッド部は、第2シリンダ側壁から離れて配置される。従って、第2ヘッド部は第1ヘッド部よりもヘッドカバー側に配置されても、エンジンの大型化を抑えながら第2カバー側壁と第2ヘッド部との間のクリアランスを確保することができる。また、第2ヘッド部を第1ヘッド部よりもヘッドカバー側に配置することで、第2ヘッド部が第1ヘッド部と同じ高さに配置される場合と比べて、シリンダヘッドの剛性を向上させることができる。以上により、エンジンを小型化しつつ、バルブの軸端へのアクセス性を向上させることができる。
【0016】
好ましくは、第1締結ボルトは、カム軸の軸線方向から見てヘッドカバーと重ならない。この場合、第1締結ボルトがヘッドカバーの端部よりもシリンダボディ側に配置される。これにより、エンジンを小型化することができる。
【0017】
好ましくは、エンジンは、カム軸に設けられるカム軸駆動部をさらに備える。カム軸の軸線方向において、カム軸駆動部は、第2シリンダ側壁と第2ヘッド部との間に配置される。これにより、第2ヘッド部と第2シリンダ側壁とが離れて配置されるため、第1ヘッド部と第1シリンダ側壁との間の距離と比べて、第2ヘッド部と第2シリンダ側壁との間の距離を大きく確保することができる。これにより、エンジンの剛性を大きく確保しても、エンジンを小型化することができる。
【0018】
好ましくは、シリンダヘッドは、カム軸を支持する支持壁を含む。支持壁は、第2締結ボルトが配置される貫通孔を含む。この場合、第2締結ボルトが支持壁の貫通孔に配置されるので、支持壁の大型化を抑えながら、支持壁の強度を向上させることができる。これにより、エンジンを小型化することができる。
【0019】
好ましくは、エンジンは、ロッカー軸と、第1ロッカーアームと、第2ロッカーアームと、切換ピン部材と、アクチュエータと、をさらに備える。ロッカー軸は、シリンダヘッドに支持され、カム軸と平行である。第1ロッカーアームは、ロッカー軸に支持される。第2ロッカーアームは、ロッカー軸に支持され、カム軸の軸線方向に第1ロッカーアームと並んで配置される。切換ピン部材は、カム軸の軸線方向に移動可能であり、第1位置と第2位置とに移動可能に設けられる。切換ピン部材は、第1位置において、第1ロッカーアームと第2ロッカーアームとを連結し、第1ロッカーアーム及び第2ロッカーアームと共に揺動する。切換ピン部材は、第2位置において第1ロッカーアームと第2ロッカーアームとを非連結とする。アクチュエータは、切換ピン部材をカム軸の軸線方向に押圧して、切換ピン部材の位置を第1位置と第2位置とに切り換える。アクチュエータは、エンジンの外部においてヘッドカバーに取り付けられる。
【0020】
この場合、ヘッドカバーにアクチュエータが取り付けられる。このため、アクチュエータをエンジンに近接して配置しても、アクチュエータがシリンダヘッドに取り付けられる場合と比べて、シリンダヘッド内の燃焼室からアクチュエータへの熱影響を抑えることができる。これにより、アクチュエータへの熱影響を抑制しながらエンジンを小型化することができる。
【0021】
好ましくは、アクチュエータは、シリンダ軸線方向から見てヘッドカバーの端部と重なる。この場合、アクチュエータと切換ピン部材との距離が短くなることで、切換ピン部材に必要な駆動力を小さくすることができる。これにより、アクチュエータを小型化することができ、エンジンを更に小型化することができる。
【0022】
好ましくは、第1締結ボルトは、シリンダ軸線方向から見てアクチュエータと重なる。この場合、エンジンを更に小型化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、エンジンを小型化しつつ、バルブの軸端へのアクセス性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態に係るエンジン1について図面を参照して説明する。本実施形態に係るエンジン1は、水冷式の単気筒エンジンである。
図1は、エンジン1の一部の断面図である。
図1に示すように、エンジン1は、クランク軸2と、クランクケース3と、シリンダ部4とを含む。クランクケース3は、クランク軸2を収容している。シリンダ部4は、シリンダボディ5と、シリンダヘッド6と、ヘッドカバー7とを含む。シリンダボディ5は、クランクケース3に接続されている。シリンダボディ5は、クランクケース3と一体であてもよく、或いは別体であってもよい。シリンダボディ5はピストン8を収容している。ピストン8は、コンロッド9を介してクランク軸2に連結されている。
【0026】
なお、本実施形態において、シリンダボディ5のシリンダ軸線Ax1方向において、シリンダヘッド6からヘッドカバー7に向かう方向を「ヘッドカバー側」と呼ぶ。また、シリンダ軸線Ax1方向においてシリンダヘッド6からシリンダボディ5に向かう方向を「シリンダボディ側」と呼ぶ。
【0027】
シリンダヘッド6は、シリンダボディ5のヘッドカバー側に配置されている。シリンダヘッド6は、シリンダボディ5に取り付けられている。ヘッドカバー7は、シリンダヘッド6のヘッドカバー側に配置されている。ヘッドカバー7は、シリンダヘッド6に取り付けられている。シリンダ軸線Ax1は、クランク軸2の中心軸線Ax2(以下「クランク軸線Ax2」と呼ぶ)に対して垂直である。シリンダヘッド6は、燃焼室11を含む。シリンダヘッド6には、点火プラグ12が取り付けられている。点火プラグ12の先端部は、燃焼室11に臨んで配置されている。点火プラグ12の基端部は、エンジン1の外部に配置されている。シリンダヘッド6とヘッドカバー7とには、動弁機構13が収容されている。
【0028】
動弁機構13は、後述する排気用バルブ24,25と吸気用バルブ26,27とを開閉するための機構である。動弁機構13には、SOHC(Single OverHead Camshaft)式の機構が採用されている。動弁機構13には、吸気用バルブ26,27の開閉のタイミングを切り換える、いわゆる可変動弁機構が採用されている。動弁機構13は、カム軸14を含む。カム軸14は、シリンダヘッド6に支持されている。カム軸14の中心軸線Ax3(以下、「カム軸線Ax3」と呼ぶ)は、シリンダ軸線Ax1に対して垂直である。カム軸線Ax3は、クランク軸線Ax2と平行である。
【0029】
カム軸14は、第1カム軸端部141と第2カム軸端部142とを含む。第1カム軸端部141には第1カム軸駆動部143が設けられている。第1カム軸駆動部143はスプロケットである。第1カム軸駆動部143はカムチェーン15と噛み合っており、カムチェーン15はカム軸14に連結されている。クランク軸2には、第2カム軸駆動部201が設けられている。第2カム軸駆動部201はスプロケットである。第2カム軸駆動部201はカムチェーン15と噛み合っており、カムチェーン15はクランク軸2に連結されている。すなわち、カムチェーン15は、カム軸14の第1カム軸駆動部143とクランク軸2の第2カム軸駆動部201とに巻回されている。クランク軸2の回転が、カムチェーン15を介してカム軸14に伝達されることにより、カム軸14が回転する。
【0030】
シリンダヘッド6とシリンダボディ5とには、カムチェーン室16が設けられている。カムチェーン15は、カムチェーン室16に配置されている。カムチェーン室16は、燃焼室11に対してシリンダ軸線Ax1と垂直な方向に配置されている。すなわち、カムチェーン室16は、燃焼室11とカム軸線Ax3方向に並んで配置されている。
【0031】
第1カム軸端部141には、ウォーターポンプ17が連結されている。ウォーターポンプ17は、カム軸14のカム軸線Ax3方向に配置される。ウォーターポンプ17は冷却液ホース18を介してエンジン1内の図示しない冷却液通路とラジエータ19と接続されている。ウォーターポンプ17は、カム軸14の回転によって駆動されることで、エンジン1の冷却液を循環させる。
【0032】
図2は、シリンダヘッド6及びヘッドカバー7をシリンダ軸線Ax1及びカム軸線Ax3に垂直な方向から見た図である。
図3は、シリンダヘッド6及びヘッドカバー7をシリンダ軸線Ax1及びカム軸線Ax3に垂直な方向から見た断面図である。なお、
図2及び
図3では、ウォーターポンプ17は、シリンダヘッド6及びヘッドカバー7から取り外されている。
【0033】
シリンダヘッド6は、第1端部601と第2端部602とを含む。第1端部601は、シリンダ軸線Ax1方向においてヘッドカバー7の端部701と向き合って配置される。第2端部602は、シリンダ軸線Ax1方向においてシリンダボディ5の端部と向き合って配置される。第1端部601と第2端部602とは、シリンダ軸線Ax1に対して垂直な方向に延びている。
【0034】
図3に示すように、シリンダヘッド6の第1端部601を含む第1仮想平面P1とヘッドカバー7の端部701を含む第2仮想平面P2とは、カム軸14と重なっている。詳細には、第1仮想平面P1と第2仮想平面P2とは、カム軸線Ax3よりヘッドカバー側に位置している。なお、シリンダヘッド6の第1端部601とヘッドカバー7の端部701との間には、ガスケット21が挟持されている。
【0035】
シリンダヘッド6は、第1シリンダ側壁603と第2シリンダ側壁604とを含む。第1シリンダ側壁603と第2シリンダ側壁604とは、カム軸線Ax3方向に向き合って配置される。第2シリンダ側壁604は、第1シリンダ側壁603よりもカムチェーン室16に近い。第2シリンダ側壁604は、第1シリンダ側壁603よりも第1カム軸駆動部143に近い。
【0036】
ヘッドカバー7は、第1カバー側壁702と第2カバー側壁703とを含む。第1カバー側壁702と第2カバー側壁703とは、カム軸線Ax3方向に向き合って配置される。第1カバー側壁702は、第1シリンダ側壁603のヘッドカバー側に位置しており、第1シリンダ側壁603に接続される。第2カバー側壁703は、第2シリンダ側壁604のヘッドカバー側に位置しており、第2シリンダ側壁604に接続される。第2カバー側壁703は、第1カバー側壁702よりもカムチェーン室16に近い。第2カバー側壁703は、第1カバー側壁702よりも第1カム軸駆動部143に近い。
【0037】
図4及び
図5は、シリンダヘッド6の内部の斜視図である。
図6は、シリンダヘッド6の内部をシリンダ軸線Ax1方向から見た図である。
図6に示すように、第1シリンダ側壁603は、第1突出壁部605と第2突出壁部606と凹部607とを含む。第1突出壁部605と第2突出壁部606とは、カム軸線Ax3方向においてシリンダヘッド6の外方へ突出した形状を有する。凹部607は、第1突出壁部605と第2突出壁部606との間に位置している。凹部607は、カム軸線Ax3方向においてシリンダヘッド6の内方に向かって凹んだ形状を有する。上述した点火プラグ12は、第1シリンダ側壁603に取り付けられている。点火プラグ12の基端部は、第1シリンダ側壁603の凹部607に配置されている。すなわち、点火プラグ12の基端部は、第1突出壁部605と第2突出壁部606との間に配置されている。
【0038】
シリンダヘッド6は、第3シリンダ側壁608と第4シリンダ側壁609とを含む。第3シリンダ側壁608と第4シリンダ側壁609とは、カム軸線Ax3及びシリンダ軸線Ax1に垂直な方向に並んで配置される。第3シリンダ側壁608には、排気管(図示せず)の接続部610が設けられている。
図4に示すように、第4シリンダ側壁609には、吸気管(図示せず)の接続部611が設けられている。
【0039】
シリンダヘッド6は、第1支持壁612と第2支持壁613とを含む。第1支持壁612と第2支持壁613とは、カム軸線Ax3方向に並んで配置されている。第1支持壁612と第2支持壁613とは、カム軸14を回転可能に支持している。
図3に示すように、第1支持壁612は、第1軸受22を介してカム軸14を支持している。第2支持壁613は、第2軸受23を介してカム軸14を支持している。第1支持壁612と第2支持壁613とは、第1カム軸駆動部143と第1シリンダ側壁603との間に配置されている。第2支持壁613は、第1支持壁612よりも第1カム軸駆動部143に近い。第2支持壁613は、カム軸線Ax3方向において第1支持壁612と第1カム軸駆動部143との間に配置されている。第1支持壁612の頂上部は、シリンダヘッド6の第1端部601よりもヘッドカバー側に位置している。第2支持壁613の頂上部は、シリンダヘッド6の第1端部601よりもヘッドカバー側に位置している。
【0040】
図7は、シリンダヘッド6の内部をカム軸線Ax3方向から見た断面図である。
図4〜
図7に示すように、シリンダヘッド6には、吸気用バルブ26,27と排気用バルブ24,25とが取り付けられている。
図7に示すように、シリンダヘッド6は、燃焼室11に連通する吸気ポート614と排気ポート615とを含む。吸気用バルブ26,27は、吸気ポート614を開閉する。
図6に示すように、吸気用バルブ26,27は、第1吸気バルブ26と第2吸気バルブ27とを含む。第1吸気バルブ26と第2吸気バルブ27とは、カム軸線Ax3方向に並んで配置されている。
図7に示すように、第1吸気バルブ26には、吸気バルブスプリング261が取り付けられている。吸気バルブスプリング261は、第1吸気バルブ26が吸気ポート614を閉じる方向に第1吸気バルブ26を付勢している。第2吸気バルブ27についても同様に吸気バルブスプリング271(
図4参照)が取り付けられており、第2吸気バルブ27が吸気ポート614を閉じる方向に第2吸気バルブ27を付勢している。
【0041】
排気用バルブ24,25は、排気ポート615を開閉する。
図6に示すように、排気用バルブ24,25は、第1排気バルブ24と第2排気バルブ25とを含む。第1排気バルブ24と第2排気バルブ25とは、カム軸線Ax3方向に並んで配置されている。
図5及び
図7に示すように、第1排気バルブ24には、排気バルブスプリング241が取り付けられている。排気バルブスプリング241は、第1排気バルブ24が排気ポート615を閉じる方向に第1排気バルブ24を付勢している。第2排気バルブ25には排気バルブスプリング251が取り付けられており、第2排気バルブ25が排気ポート615を閉じる方向に第2排気バルブ25を付勢している。
【0042】
図3に示すように、カム軸14は、第1吸気用カム144と第2吸気用カム145と排気用カム146とを含む。第1吸気用カム144と第2吸気用カム145と排気用カム146とは、カム軸線Ax3方向に並んで配置されている。第1吸気用カム144と第2吸気用カム145と排気用カム146とのなかで排気用カム146は最も第1カム軸駆動部143に近い。第1吸気用カム144と第2吸気用カム145と排気用カム146とのなかで第1吸気用カム144は最も第1カム軸駆動部143から遠い。第2吸気用カム145は、カム軸線Ax3方向において第1吸気用カム144と排気用カム146との間に配置されている。
【0043】
図7に示すように、動弁機構13は、排気ロッカー軸31と排気ロッカーアーム32とを含む。排気ロッカー軸31は、カム軸14と平行に配置されている。排気ロッカー軸31は、シリンダヘッド6に支持されている。詳細には、排気ロッカー軸31は、第1支持壁612と第2支持壁613とに支持されている。排気ロッカー軸31の中心軸線は、カム軸線Ax3よりもヘッドカバー側に位置している。
【0044】
排気ロッカーアーム32は、排気ロッカー軸31を中心に揺動可能に排気ロッカー軸31に支持されている。排気ロッカーアーム32は、排気用バルブ24,25を動作可能に設けられる。排気ロッカーアーム32は、アーム本体321と、ローラー支持部322と、ローラー323と、排気バルブ押圧部324とを含む。
【0045】
アーム本体321は貫通孔327を含み、この貫通孔327に排気ロッカー軸31が通されている。ローラー支持部322は、アーム本体321からカム軸14側に突出している。ローラー支持部322は、ローラー323を回転可能に支持している。ローラー323の回転中心軸は、カム軸線Ax3と平行である。ローラー323は、排気ロッカー軸31のカム軸14側に位置する。ローラー323は、排気用カム146に接触しており、排気用カム146の回転によって回転する。
【0046】
排気バルブ押圧部324は、アーム本体321からカム軸14と反対側に突出している。すなわち、排気バルブ押圧部324は、アーム本体321から第1排気バルブ24のステムエンド242側(以下、「排気バルブ側」と呼ぶ)に突出している。
図5及び
図6に示すように、排気バルブ押圧部324の先端には、第1アジャスタースクリュー325と第2アジャスタースクリュー326とが設けられている。第1アジャスタースクリュー325の先端は、第1排気バルブ24のステムエンド242に対向している。第2アジャスタースクリュ326ーの先端は、第2排気バルブ25のステムエンド252に対向している。
【0047】
排気用カム146によってローラー323が押し上げられると、排気ロッカーアーム32が揺動することにより、排気バルブ押圧部324が第1排気バルブ24のステムエンド242と第2排気バルブ25のステムエンド252とを押し下げる。これにより、第1排気バルブ24と第2排気バルブ25とが押し下げられて排気ポート615を開く。排気用カム146によってローラー323が押し上げられていないときには、排気バルブスプリング241,251によって第1排気バルブ24と第2排気バルブ25とが押し上げられて排気ポート615を閉じる。
【0048】
図3に示すように、動弁機構13は、吸気ロッカー軸33と、吸気ロッカーアーム34と、切換ピン部材35と、アクチュエータ39を含む。吸気ロッカー軸33は、カム軸14と平行に配置されている。吸気ロッカー軸33は、シリンダヘッド6に支持されている。詳細には、吸気ロッカー軸33は、第1支持壁612と第2支持壁613とに支持されている。吸気ロッカー軸33の中心軸線は、カム軸線Ax3よりもヘッドカバー側に位置している。
【0049】
吸気ロッカーアーム34は、第1ロッカーアーム36と第2ロッカーアーム37とを含む。第1ロッカーアーム36は、吸気ロッカー軸33を中心に揺動可能に吸気ロッカー軸33に支持されている。第1ロッカーアーム36は、吸気用バルブ26,27を動作可能に設けられる。第1ロッカーアーム36は、
図3に示す第1アーム本体361と、
図6に示す第1ローラー支持部362と、第1ローラー363と、吸気バルブ押圧部364と、第1連結部365とを含む。
【0050】
図3に示すように、第1アーム本体361は貫通孔366を含み、この貫通孔366に吸気ロッカー軸33が通されている。第1ローラー支持部362は、第1アーム本体361からカム軸14側に突出している。第1ローラー支持部362は、第1ローラー363を回転可能に支持している。第1ローラー363の回転中心軸は、カム軸線Ax3と平行である。第1ローラー363は、吸気ロッカー軸33のカム軸14側に位置する。第1ローラー363は、第1吸気用カム144に接触しており、第1吸気用カム144の回転によって回転する。
【0051】
吸気バルブ押圧部364は、第1アーム本体361からカム軸14と反対側に突出している。すなわち、吸気バルブ押圧部364は、第1アーム本体361から第1吸気バルブ26のステムエンド262側(以下、「吸気バルブ側」と呼ぶ)に突出している。
図6に示すように、吸気バルブ押圧部364の先端には、第1アジャスタースクリュー367と第2アジャスタースクリュー368とが設けられている。第1アジャスタースクリュー367の先端は、第1吸気バルブ26のステムエンド262に対向している。第2アジャスタースクリュー368の先端は、第2吸気バルブ27のステムエンド272に対向している。
【0052】
第1連結部365は、吸気バルブ押圧部364に接続されている。第1連結部365は、吸気ロッカー軸33よりもヘッドカバー側に位置している。第1連結部365は、吸気ロッカー軸33よりも吸気バルブ側に位置している。第1連結部365は、吸気バルブ押圧部364よりもヘッドカバー側に位置している。
図3に示すように、第1連結部365は、貫通孔369を含む。貫通孔369は、カム軸線Ax3方向に延びている。貫通孔369には、切換ピン部材35が挿入されている。
【0053】
図7に示すように、第2ロッカーアーム37は、吸気ロッカー軸33を中心に揺動可能に支持されている。第2ロッカーアーム37は、カム軸線Ax3方向に第1ロッカーアーム36と並んで配置される。第2ロッカーアーム37は、第1ロッカーアーム36のカムチェーン室16側に配置されている。すなわち、第2ロッカーアーム37は、第1ロッカーアーム36よりも第1カム軸駆動部143に近い。第2ロッカーアーム37は、第2アーム本体371と、第2ローラー支持部372と、第2ローラー373と、第2連結部374とを含む。
【0054】
第2アーム本体371は貫通孔375を含み、この貫通孔375に吸気ロッカー軸33が通されている。第2ローラー支持部372は、第2アーム本体371からカム軸14側に突出している。第2ローラー支持部372は、第2ローラー373を回転可能に支持している。第2ローラー373の回転中心軸は、カム軸線Ax3と平行である。第2ローラー373は、吸気ロッカー軸33のカム軸14側に位置する。第2ローラー373は、第2吸気用カム145に接触しており、第2吸気用カム145の回転によって回転する。
【0055】
第2連結部374は、第2アーム本体371からカム軸14と反対側に突出している。すなわち、第2連結部374は、第2アーム本体371から吸気バルブ側に突出している。第2連結部374は、吸気ロッカー軸33よりもヘッドカバー側に位置している。第2連結部374は、吸気バルブ押圧部364よりもヘッドカバー側に位置している。
図3に示すように、第2連結部374は、貫通孔376を含む。貫通孔376は、カム軸線Ax3方向に延びている。第2連結部374の貫通孔376は、第1連結部365の貫通孔369とカム軸線Ax3方向に並んで配置される。従って、第2連結部374の貫通孔376には、切換ピン部材35が挿入可能である。
【0056】
図6に示すように、動弁機構13は、付勢部材38を含む。付勢部材38は、第2ローラー373をカム軸14に押し付ける方向に、第2ロッカーアーム37を付勢する。本実施形態において、付勢部材38は、コイルスプリングであり、吸気ロッカー軸33が付勢部材38に通されている。第2ロッカーアーム37は、第1支持部材41を含む。第1支持部材41は、付勢部材38の一端を支持している。第1支持部材41は、ピン状の形状を有しており、第2ロッカーアーム37からカム軸線Ax3方向に突出している。
図8は、第2支持壁613及び付勢部材38の近傍の断面図である。
【0057】
図8に示すように、動弁機構13は、第2支持部材42を含む。第2支持部材42は、付勢部材38の他端を支持する。第2支持部材42は、屈曲した板材で構成されており、L字状の断面形状を有する。第2支持壁613には段部619が設けられており、第2支持部材42は段部619に支持されている。
【0058】
図3に示すように、切換ピン部材35は、カム軸14の軸線方向に移動可能であり、第1位置と第2位置とに移動可能に設けられる。切換ピン部材35は、第1位置において、第1連結部365の貫通孔369と第2連結部374の貫通孔376とに亘って配置される。これにより、切換ピン部材35は、第1ロッカーアーム36と第2ロッカーアーム37とを連結し、第1ロッカーアーム36と第2ロッカーアーム37とが一体的に揺動する。この状態で、切換ピン部材35は、第1ロッカーアーム36及び第2ロッカーアーム37と共に揺動する。
【0059】
切換ピン部材35は、第2位置において、第1連結部365の貫通孔369に配置され、且つ、第2連結部374の貫通孔376には配置されない。これにより、切換ピン部材35は、第2位置においては、第1ロッカーアーム36と第2ロッカーアーム37とを非連結とし、第1ロッカーアーム36と第2ロッカーアーム37とは互いに独立して揺動する。この状態で、切換ピン部材35は、第1ロッカーアーム36と共に揺動する。
【0060】
第1連結部365には、弾性部材44が設けられている。弾性部材44は、第1連結部365の貫通孔369内に配置されている。弾性部材44は、切換ピン部材35を第1位置から第2位置へ向かう方向に付勢する。従って、切換ピン部材35がアクチュエータ39によって押圧されていないときには、切換ピン部材35は弾性部材44によって第2位置に保持される。切換ピン部材35がアクチュエータ39によって押圧されると、切換ピン部材35は弾性部材44の付勢力に抗して第2位置から第1位置に移動する。
【0061】
図7に示すように、切換ピン部材35は、シリンダヘッド6の第1端部601及びヘッドカバー7の端部701よりもヘッドカバー側に位置している。従って、切換ピン部材35は、カム軸14の軸線方向から見てヘッドカバー7に重なっている。
図7に示すように、切換ピン部材35は、吸気ロッカー軸33の吸気バルブ側に位置する。吸気ロッカー軸33の軸心と切換ピン部材35の軸心との間の距離は、吸気ロッカー軸33の軸心と第1吸気バルブ26のステムエンド262との間の距離よりも短い。
【0062】
図9は、第1ロッカーアーム36と第2ロッカーアーム37とが揺動している状態を破線で示している。切換ピン部材35が第1位置に位置するとき、第1ロッカーアーム36は第2ロッカーアーム37と連結され、第2ロッカーアーム37と一体的に揺動する。このため、第2ローラー373が第2吸気用カム145によって押し上げられると、第2ロッカーアーム37が吸気ロッカー軸33を中心に揺動することにより、吸気バルブ押圧部364を下げる方向に第1ロッカーアーム36も揺動する。これにより、第1アジャスタースクリュー367の先端が第1吸気バルブ26のステムエンド262を押し下げると共に、第2アジャスタースクリュー368の先端が第2吸気バルブ27のステムエンド272を押し下げる。これにより、第1吸気バルブ26と第2吸気バルブ27とが吸気ポート614を開く。第2ローラー373が第2吸気用カム145によって押し上げられていないときには、吸気バルブスプリング261,271によって第1吸気バルブ26と第2吸気バルブ27とが押し上げられて吸気ポート614を閉じる。
【0063】
切換ピン部材35が第2位置に位置するとき、第1ロッカーアーム36は第2ロッカーアーム37から独立して揺動する。このため、第1ローラー363が第1吸気用カム144によって押し上げられると、第1ロッカーアーム36が吸気ロッカー軸33を中心に吸気バルブ押圧部364を下げる方向に揺動する。これにより、第1アジャスタースクリュー367の先端が第1吸気バルブ26のステムエンド262を押し下げると共に、第2アジャスタースクリュー368の先端が第2吸気バルブ27のステムエンド272を押し下げる。これにより、第1吸気バルブ26と第2吸気バルブ27とが吸気ポート614を開く。第1ローラー363が第1吸気用カム144によって押し上げられていないときには、吸気バルブスプリング261,271によって第1吸気バルブ26と第2吸気バルブ27とが押し上げられて吸気ポート614を閉じる。
【0064】
なお、第1吸気用カム144と第2吸気用カム145との形状は、第1吸気用カム144の先端が第1ローラー363に到達する前に第2吸気用カム145が第2ローラー373を押し上げるように、設定されている。このため、切換ピン部材35が第1位置に位置するときには、第2吸気用カム145の回転によって第1ロッカーアーム36が動作することで、第1吸気用カム144の回転は、第1ロッカーアーム36に伝達されない。従って、切換ピン部材35が第1位置に位置するときには、第2吸気用カム145の回転に応じて第1吸気バルブ26と第2吸気バルブ27とが開閉動作を行う。一方、切換ピン部材35が第2位置に位置するときには、第2吸気用カム145の回転は、第1ロッカーアーム36に伝達されない。このため、切換ピン部材35が第2位置に位置するときには、第1吸気用カム144の回転に応じて第1吸気バルブ26と第2吸気バルブ27とが開閉動作を行う。
【0065】
アクチュエータ39は、電磁ソレノイドであり、通電されることで、切換ピン部材35をカム軸14の軸線方向に押圧して、切換ピン部材35の位置を第2位置から第1位置に切り換える。アクチュエータ39への通電が停止されると、弾性部材44の弾性力によって切換ピン部材35の位置が第1位置から第2位置に戻される。
【0066】
図6に示すように、アクチュエータ39は、シリンダ軸線Ax1方向から見てシリンダヘッド6の第1端部601と重なる。すなわち、アクチュエータ39の一部は、シリンダヘッド6の第1端部601よりも内側に位置する。アクチュエータ39は、シリンダ軸線Ax1方向から見て、カム軸14に対してカムチェーン室16と反対側に配置されている。シリンダ軸線Ax1方向から見て、カム軸線Ax3は、排気管の接続部610とアクチュエータ39との間に位置する。
図3に示すように、アクチュエータ39は、シリンダヘッド6の第1端部601よりもヘッドカバー側に位置する。
【0067】
アクチュエータ39は、切換ピン部材35を押圧するロッド391と、ロッド391を駆動する本体部392とを含む。ロッド391の中心軸線は、カム軸線Ax3と平行である。ロッド391は、切換ピン部材35の揺動範囲においてカム軸線Ax3方向から見て切換ピン部材35と重なるように配置されている。ロッド391は、本体部392によって駆動されることにより、切換ピン部材35を押圧する。ロッド391は、上述した第1支持壁612に近接して配置されている。
図4に示すように、第1支持壁612は、ロッド391に対向する凹部620を含む。凹部620は、ロッド391を避けるように凹んだ形状を有する。
【0068】
アクチュエータ39は、エンジン1の外方に配置されている。アクチュエータ39は、ヘッドカバー7に取り付けられている。詳細には、本体部392がヘッドカバー7に取り付けられる。ロッド391は、ヘッドカバー7に支持される。
図3に示すように、ヘッドカバー7には貫通孔704設けられており、ロッド391は貫通孔704に通されている。
【0069】
図10は、シリンダヘッド6及びヘッドカバー7をシリンダ軸線Ax1方向から見た図である。
図2及び
図10に示すように、アクチュエータ39は、エンジン1の外部においてヘッドカバー7に取り付けられる。アクチュエータ39は、第1カバー側壁702に取り付けられている。アクチュエータ39は、点火プラグ12の軸線の延長線と重ならないように配置されている。第1カバー側壁702には、第1ボス部705と第2ボス部706とが設けられている。第1ボス部705と第2ボス部706とは、カム軸線Ax3方向においてシリンダヘッド6の外方へ向かって第1カバー側壁702から突出している。第1ボス部705と第2ボス部706とは、カム軸線Ax3及びシリンダ軸線Ax1に垂直な方向に並んで配置されている。アクチュエータ39は、本体部392から突出するフランジ部393を含む。フランジ部393は、ボルト51,52によって第1ボス部705と第2ボス部706とに固定されている。これにより、アクチュエータ39は、第1カバー側壁702に固定されている。
【0070】
図11は、カム軸線Ax3及びシリンダ軸線Ax1に垂直な方向から見たエンジン1の一部の断面図である。
図11に示すように、シリンダヘッド6とシリンダボディ5とクランクケース3とは、第1締結ボルト61と第2締結ボルト62とによって締結される。シリンダヘッド6とシリンダボディ5とクランクケース3とは、図示しない第3締結ボルトと第4締結ボルトとによって締結される。第1締結ボルト61は、第1ヘッド部65を含む。第2締結ボルト62は、第2ヘッド部66を含む。第3締結ボルトは、
図6に示す第3ヘッド部67を含む。第4締結ボルトは、
図6に示す第4ヘッド部68を含む。第1〜第4ヘッド部65−68は、シリンダヘッド6に固定される。第1ヘッド部65は、第1締結ボルト61の軸部と別体のナットによって構成されているが、締結ボルト61の軸部と一体であってもよい。第2〜第4ヘッド部66−68についても第1ヘッド部65と同様である。
【0071】
第1ヘッド部65と第2ヘッド部66とは、カム軸線Ax3方向に並んで配置されている。第3ヘッド部67と第4ヘッド部68とは、カム軸線Ax3方向に並んで配置されている。第1ヘッド部65と第3ヘッド部67とは、カム軸線Ax3とシリンダ軸線Ax1と垂直な方向に並んで配置されている。第2ヘッド部66と第4ヘッド部68とは、カム軸線Ax3とシリンダ軸線Ax1と垂直な方向に並んで配置されている。
【0072】
第1ヘッド部65は、カム軸線Ax3方向において第1シリンダ側壁603と第2ヘッド部66との間に配置されている。第1シリンダ側壁603は、第2シリンダ側壁604よりも第1ヘッド部65に近い。第1ヘッド部65は、第1シリンダ側壁603の第1突出壁部605内に配置されている。第1ヘッド部65は、シリンダボディ5のシリンダ軸線Ax1方向から見てアクチュエータ39と重なる。切換ピン部材35の軸線は、第1ヘッド部65の中心に対して吸気ロッカー軸33側に位置する。
【0073】
第2ヘッド部66は、カム軸線Ax3方向において第2シリンダ側壁604と第1ヘッド部65との間に配置されている。第2シリンダ側壁604は、第1シリンダ側壁603よりも第2ヘッド部66に近い。カム軸線Ax3方向において、カム軸14駆動部は、第2シリンダ側壁604と第2ヘッド部66との間に配置されている。第2ヘッド部66は、第2支持壁613上に配置されている。第1ヘッド部65と第2ヘッド部66とは、カム軸線Ax3に対して吸気バルブ側に配置されている。カム軸線Ax3方向における第1シリンダ側壁603と第1ヘッド部65との間の距離は、カム軸線Ax3方向における第2シリンダ側壁604と第2ヘッド部66との間の距離よりも小さい。
【0074】
第3ヘッド部67は、カム軸線Ax3方向において第1シリンダ側壁603と第4ヘッド部68との間に配置されている。第1シリンダ側壁603は、第2シリンダ側壁604よりも第3ヘッド部67に近い。第3ヘッド部67は、第1シリンダ側壁603の第2突出壁部606内に配置されている。
【0075】
第4ヘッド部68は、カム軸線Ax3方向において第2シリンダ側壁604と第3ヘッド部67との間に配置されている。第2シリンダ側壁604は、第1シリンダ側壁603よりも第4ヘッド部68に近い。カム軸線Ax3方向において、カム軸14駆動部は、第2シリンダ側壁604と第4ヘッド部68との間に配置されている。第4ヘッド部68は、第2支持壁613上に配置されている。第3ヘッド部67と第4ヘッド部68とは、カム軸線Ax3に対して排気バルブ側に配置されている。カム軸線Ax3方向における第1シリンダ側壁603と第3ヘッド部67との間の距離は、カム軸線Ax3方向における第2シリンダ側壁604と第4ヘッド部68との間の距離よりも小さい。
【0076】
図11に示すように、第1カバー側壁702の内面と第2カバー側壁703の内面とは、ヘッドカバー側に向かって第1カバー側壁702と第2カバー側壁703との間が狭まるように傾斜している。
【0077】
シリンダヘッド6は、第1締結ボルト61が配置される第1貫通孔621と、第2締結ボルト62が配置される第2貫通孔622とを含む。第1貫通孔621と第2貫通孔622とは、シリンダ軸線Ax1方向に延びている。第2貫通孔622は、第2支持壁613を通るように設けられている。
図12に示すように、クランク軸線Ax2を含みシリンダボディ5のシリンダ軸線Ax1に垂直な第3仮想平面P3からのシリンダ軸線Ax1方向における第1ヘッド部65までの距離D1は、第3仮想平面P3からのシリンダ軸線Ax1方向における第2ヘッド部66までの距離D2よりも小さい。すなわち、第1ヘッド部65は、第2ヘッド部66よりもシリンダボディ側に位置している。
【0078】
第1締結ボルト61は、カム軸線Ax3方向から見てヘッドカバー7と重ならない。すなわち、第1ヘッド部65は、シリンダヘッド6の第1端部601よりもシリンダボディ側に位置している。第2締結ボルト62は、カム軸線Ax3方向から見てヘッドカバー7と重なっている。すなわち、第2ヘッド部66は、シリンダヘッド6の第1端部601よりもヘッドカバー側に位置している。
【0079】
図示を省略するが、第3ヘッド部67は、第1ヘッド部65と同じ高さに位置しており、第4ヘッド部68は、第2ヘッド部66と同じ高さに位置している。従って、第3ヘッド部67は、第4ヘッド部68よりもシリンダボディ側に位置している。
【0080】
本実施形態に係るエンジン1では、シリンダヘッド6の第1端部601とヘッドカバー7の端部701とは、カム軸14と重なる高さに配置される。このため、エンジン1を小型化しつつ、排気用バルブ24,25及び吸気用バルブ26,27の軸端へのアクセス性を向上させることができる。
【0081】
また、第1シリンダ側壁603に接続される第1カバー側壁702の内面は、第1カバー側壁702の端部からヘッドカバー側に離れるに従って、カム軸線方向において第1ヘッド部65に向かう方向に傾斜している。従って、第1ヘッド部65の位置がヘッドカバー側に位置するほど、第1ヘッド部65と第1カバー側壁702の内面との間の距離が小さくなる。この場合、第1カバー側壁702の内面と第1ヘッド部65との間にクリアランスを確保するためには、エンジン1が大型化してしまう。
【0082】
しかし、本態様に係るエンジン1では、第1ヘッド部65が第2ヘッド部66よりもシリンダボディ側に配置されることで、エンジン1を小型化することができる。
【0083】
さらに、第1シリンダ側壁603に対する第1ヘッド部65の位置と比べて、第2ヘッド部66は、第2シリンダ側壁604から離れて配置される。従って、第2ヘッド部66は第1ヘッド部65よりもヘッドカバー側に配置されても、エンジン1の大型化を抑えながら第2カバー側壁703と第2ヘッド部66との間のクリアランスを確保することができる。また、第2ヘッド部66を第1ヘッド部65よりもヘッドカバー側に配置することで、シリンダヘッド6の剛性を向上させることができる。
【0084】
以上のように、本実施形態に係るエンジン1では、エンジン1を小型化しつつ、排気用バルブ24,25及び吸気用バルブ26,27の軸端へのアクセス性を向上させることができる。
【0085】
第1締結ボルト61は、カム軸線Ax3方向から見てヘッドカバー7と重ならない。これにより、エンジン1を小型化することができる。
【0086】
第2支持壁613は、第2締結ボルト62が配置される貫通孔622を含む。このため、第2支持壁613の大型化を抑えながら、第2締結ボルト62によって第2支持壁613の強度を向上させることができる。これにより、エンジン1を小型化することができる。
【0087】
ヘッドカバー7にアクチュエータ39が取り付けられる。このため、アクチュエータ39をエンジン1に近接して配置しても、アクチュエータ39がシリンダヘッド6に取り付けられる場合と比べて、シリンダヘッド6内の燃焼室11からアクチュエータ39への熱影響を抑えることができる。これにより、アクチュエータ39への熱影響を抑制しながらエンジン1を小型化することができる。
【0088】
アクチュエータ39は、シリンダ軸線Ax1方向から見てシリンダヘッド6の第1端部601及びヘッドカバー7の端部701と重なる。この場合、アクチュエータ39と切換ピン部材35との距離が短くなることで、切換ピン部材35に必要な駆動力を小さくすることができる。これにより、アクチュエータ39を小型化することができ、エンジン1を更に小型化することができる。
【0089】
第1締結ボルト61は、シリンダ軸線Ax1方向から見てアクチュエータ39と重なる。すなわち、第1締結ボルト61のヘッドカバー側の空間を利用して、シリンダヘッド6に対してアクチュエータ39をより近接して配置することができる。これにより、エンジン1を更に小型化することができる。
【0090】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0091】
エンジン1は、水冷式の単気筒エンジンに限らない。例えば、エンジン1は空冷式であってもよい。エンジン1は、複数の気筒を備えてもよい。
【0092】
排気用バルブの数は2つに限らず、1つ或いは3つ以上であってもよい。吸気用バルブの数は2つに限らず、1つ或いは3つ以上であってもよい。
【0093】
第1ヘッド部65と第2ヘッド部66と第3ヘッド部67と第4ヘッド部68との位置は、上記の実施形態の位置に限られず、変更されてもよい。例えば、上記の実施形態では、第1ヘッド部65はカム軸14方向においてヘッドカバー7に重ならないが、第1ヘッド部65はカム軸14方向においてヘッドカバー7に重なってもよい。すなわち、第1ヘッド部65は、ヘッドカバー7の端部701よりもヘッドカバー側に位置してもよい。或いは、第3ヘッド部67は、第1ヘッド部65と異なる高さに位置してもよい。例えば、第3ヘッド部67は、第2ヘッド部66と同じ高さに位置してもよい。第4ヘッド部68も同様に、第2ヘッド部66と異なる高さに位置してもよい。
【0094】
シリンダヘッド6の第1端部601を含む第1仮想平面P1と、ヘッドカバー7の端部701を含む第2仮想平面P2とは、カム軸14と重なっていればよく、カム軸線Ax3と同じ高さ、或いは、カム軸線Ax3よりもシリンダボディ側に配置されてもよい。
【0095】
動弁機構13の構成及び配置は上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、アクチュエータ39はシリンダヘッド6に取り付けられてもよい。或いは、アクチュエータ39は、シリンダ軸線Ax1方向から見てヘッドカバー7の端部701と重ならないように配置されてもよい。或いは、アクチュエータ39は、シリンダ軸線Ax1方向から見て第1ヘッド部65と重ならないように配置されてもよい。アクチュエータ39の一部に限らずアクチュエータ39の全部がシリンダヘッド6の第1端部601よりも内側に位置してもよい。
【0096】
上記の実施形態では、アクチュエータによってバルブの開閉のタイミングを切り換える機構が、吸気用バルブに採用されているが、排気用バルブに採用されてもよい。すなわち、上述した第1ロッカーアーム36と第2ロッカーアーム37と切換ピン部材35とアクチュエータ39とを含む機構と同様の機構が、排気用バルブの開閉のために設けられてもよい。或いは、アクチュエータによってバルブの開閉のタイミングを切り換える機構が、吸気用バルブと排気バルブとのいずれにも採用されなくてもよい。