特許第6105424号(P6105424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105424
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】婦人下着
(51)【国際特許分類】
   A41C 1/00 20060101AFI20170316BHJP
   A41B 9/04 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A41C1/00 D
   A41B9/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-155024(P2013-155024)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-25219(P2015-25219A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年7月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395004003
【氏名又は名称】ゴールドフラッグ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】平久保 晃世
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−95805(JP,A)
【文献】 実開平6−22304(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 1/00 〜 5/00
A41B 9/02 〜 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マチを介して前身頃と後身頃とを縫着し、且つ、腰部で前身頃と後身頃とを縫着して形成した女性用下着であって、
ヒップを覆う後身頃本体の裾部に縫着される裾布を三枚の独立した裾布ピースで構成し、
後身頃本体の裾部に縫着される裾布ピースの凹円弧辺の半径が、裾布ピースの反対側の凸円弧辺の半径より大に構成され、且つ、
凹円弧辺の長さが凸円弧辺の長さよりそれぞれ大に形成されていることを特徴とする女性用下着。
【請求項2】
請求項1に記載の女性用下着において、後身頃本体の裾部の凸円弧辺の半径が、該凸円弧辺に縫着される裾布ピースの凹円弧辺の半径より大に構成されていることを特徴とする女性用下着。
【請求項3】
請求項1または2に記載の女性用下着において、裾布ピースは凹円弧辺に沿う方向の伸縮性が、凹円弧辺に対して直角方向の伸縮性より大なパワーネット地で構成されていることを特徴とする女性用下着。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の女性用下着において、後身頃本体が左右に分割され、後身頃半体のマチ側の縫着部分にギャザリング部を設けたことを特徴とする女性用下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパンティ、ショートレングスのガードル、ボディシェイパー、ボディスーツ等の女性用下着に関し、特に、これらの女性用下着のヒップ側裾部の着用感に優れた女性用下着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパンティやショートレングスのガードル等の女性用下着としては、織地やパワーネット地等からなる表地を、所定の形状に裁断し、これらを縫着するとともに、下着の足口部分のエッジを処理するため、表地の端部を5〜6mmの幅で折り返し、その始末を兼ねてストレッチテープを裏打ちして縫い止めるように構成されている。
【0003】
この場合、足口部分のエッジを処理するために、表地の端部を5〜6mmの幅で折り返し、その始末を兼ねてストレッチテープを裏打ちして縫い止めるように構成されているが、その為に裾部が肉厚になり、表着に響くばかりかゴロツキ感を与えると共に物理的な圧迫感等の刺激を与え、着用感が悪いという問題点がある。これに加えてエッジの縫製処理工程は、通常二工程となり、製造コストを高めると共に技術を要するという問題点があった。
【0004】
これを解消するものとして、特許文献1に開示されたものがある。即ち、布地を折り返し、これを裁断して前身頃と後身頃の半分づつを二重構造で構成し、足口部分となる部分を直線状の折り返し部分で構成できるように前身頃と後身頃の半分づつを前身頃と後身頃の中央ラインで縫着して女性用下着を構成している。これにより、足口部分は折り返しで構成されていることになるので、非常にすっきりとした構成となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-350206号公報
【0006】
しかしながら、前述のような直線状の折り返し部分を環状に縫い合わせて足口部分を構成しているものであるから、どうしてもヒップに対して立体的に構成できず、丸いヒップ全体を包み込むというフィーリングを実現することができず、ヒップからヒップ側裾部にかけてのフィット感がなく、着心地の点で問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、ヒップからヒップ側裾部にかけてのフィット感を高めた女性用下着を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、マチ3を介して前身頃1と後身頃2とを縫着し、且つ、腰部で前身頃1と後身頃2とを縫着して形成した女性用下着Aであって、
ヒップを覆う後身頃本体20の裾部21に縫着される裾布30を三枚の独立した裾布ピース31,32,33で構成し、
後身頃本体20の裾部21に縫着される裾布ピース31,32,33の凹円弧辺31a,32a,33aの半径R1が、裾布ピース31,32,33の反対側の凸円弧辺31b,32b,33bの半径R2より大に構成され、且つ、
凹円弧辺31a,32a,33aの長さが凸円弧辺31b,32b,33bの長さよりそれぞれ大に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、後身頃本体20の裾部21の凸円弧辺21aの半径R0が、該凸円弧辺21aに縫着される裾布ピース31,32,33の凹円弧辺31a,32a,33aの半径R1より大に構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、裾布ピース31,32,33は凹円弧辺31a,32a,33aに沿う方向の伸縮性S1が、凹円弧辺31a,32a,33aに対して直角方向の伸縮性S2より大なパワーネット地で構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、後身頃本体20が左右に分割され、後身頃半体20a,20bのマチ3側の縫着部分2fにギャザリング部2gを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1にあっては、後身頃本体20の裾部21に縫着される裾布30を三枚の独立した裾布ピース31,32,33で構成し、この裾布ピース31,32,33の凹円弧辺31a,32a,33aの半径R1が、裾布ピース31,32,33の反対側の凸円弧辺31b,32b,33bの半径R2より大に構成され、且つ、凹円弧辺31a,32a,33aの長さが凸円弧辺31b,32b,33bの長さよりそれぞれ大に形成されているので、凹円弧辺31a,32a,33aを後身頃本体20の裾部21に縫着すると、縫着された凹円弧辺31a,32a,33aの全長に比べて反対側の凸円弧辺31b,32b,33bの全長の方が短くなるため、ヒップ側の裾部分が絞られた状態、即ち、後身頃本体20を中心に裾布ピース31,32,33側が絞られた袋状になり、丸いヒップからヒップ側の裾部分にかけて包み込むようにぴったりとフィットし、この部分のフィット性が大幅に向上する。
【0013】
後身頃本体20の裾部21の凸円弧辺21aの半径R0が、後身頃本体20の裾部21の凸円弧辺21aに縫着される裾布ピース31,32,33の凹円弧辺31a,32a,33aの半径R1より大に構成されておれば、更にそのフィット性が向上する。
【0014】
そして、裾布ピース31,32,33の伸縮性において、凹円弧辺31a,32a,33aに沿う方向の伸縮性S1が、凹円弧辺31a,32a,33aに対して直角方向の伸縮性S2より大なパワーネット地で構成されておれば、この部分が足にぴったりとフィットするだけでなく、歩行時の足の動きによく追従し、歩きやすい。
【0015】
加えて、後身頃本体20が左右に分割され、後身頃半体20a,20bのマチ3側の縫着部分2fにギャザリング部2gを設けておけば、多様なヒップ形状に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のレース地を取り除いた状態の正面図である。
図2】本発明のレース地を取り除いた状態の背面図である。
図3】本発明のレース地を取り除いた状態の側面図である。
図4】本発明の分解図である。
図5】本発明の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に従って説明する。本発明の女性用下着Aは、パンティ、ショートレングスのガードル、ボディシェイパー、ボディスーツ等に適用できるが、本実施例ではパンティをその代表例として説明する。本発明の女性用下着Aは、主として前身頃1、後身頃2及びマチ3並びに必要に応じて設けられる腹帯4、表面に縫着されるレース地7とで構成される。
【0018】
前身頃1は、前身頃本体11、前身頃本体11の外面側に縫着されるレース地7及び前身頃本体11と最外面のレース地7との間にて前身頃本体11に縫着される補強用パワーネット12と左右一対の鼠蹊部用ピース13とで構成されている。前身頃本体11の形状は、端部が切除された略三角形で縦横に均等に伸びる布地で形成されており、表面側にレース地7が縫着されている。伸びをS3で示す。
【0019】
補強用パワーネット12は、前身頃本体11の上辺11aから腰部辺11b、鼠蹊辺11cの中央部分を通って下腹部までの面積を覆うように設けてあり、下腹部では鼠蹊辺11cの中央部分から前身頃本体11の中央に至る下辺がV形にて前身頃本体11に縫着されている。補強用パワーネット12の伸びは縦より横の方が伸びやすく、横方向にあっても前身頃本体11より小であって伸びにくく、腹部を押さえる働きをなす。横伸びをS1,縦伸びをS2で示す。使用されるパワーネット地は切り端がほつれにくく、切り端の折り返しなしでそのまま縫着できる。
【0020】
鼠蹊部用ピース13は、前身頃本体11と同じ布地で、細長いピースで長方向中央ラインで2つ折りにし、2つ折りの2重辺13aを鼠蹊部の足口側にし、2重に重ね合された切放し辺13bを前身頃本体11の鼠蹊辺11cに縫着する。
【0021】
後身頃2は、後身頃本体20、裾布30を構成する三枚の独立した裾布ピース31,32,33及び裾布30の上に縫着されるレース地7で構成される。後身頃本体20は前身頃本体11と同じ布地で形成されている。本実施例では更に左右分割されている。それぞれを後身頃半体20a、20bとする。勿論、後身頃本体20を1枚もので構成してもよい。後身頃本体20の形状も、端部を切除した略三角形をしており、後身頃半体20a、20bがその中央で縫着されている。後身頃本体20の裾部21は若干外側に膨らんだ凸円弧状をなし、その半径をR0とする。ただし、該凸円弧は正確な円弧ではなく、外側に膨らんでいるというような形状である。従って、半径R0も正確に中心が求められるというものではなく、該凸円弧を概略描くことができる程度の半径で足る。この点は裾布ピース31,32,33の凹円弧辺31a,32a,33aの半径R1、反対側の凸円弧辺31b,32b,33bの半径R2についても言えることである。そして、後身頃半体20a、20bの縫着部分2fのマチ側部分にて全長の半分に多段のギャザーを設けて伸縮性を与えたギャザリング部2gが形成されている。後身頃本体20は1枚もので構成されている。ギャザーはマチ3の近傍部分(全体の1/3)は大きく、そこから離れ上に向かうに従って小さくなる。
【0022】
裾布30は3分割された裾布ピース31,32,33で構成されている。裾布ピース31,32,33は後身頃本体20の裾部21の凸円弧辺21aに沿うように細長いパワーネット地で構成されている。形状は略扇形に裁断されており、後身頃本体20の凸円弧辺21aに縫着される凹円弧辺31a,32a,33aの長さが、その反対側のフリーな凸円弧辺31b,32b,33bの長さよりそれぞれ大に形成されている。そして、裾布ピース31,32,33の凹円弧辺31a,32a,33aの半径R1が、裾布ピース31,32,33の反対側の凸円弧辺31b,32b,33bの半径R2より大に構成されている。半径R1、R2は前述のように各円弧が正確な円弧ではなく、内側又は外側に膨らんでいるというような形状であり、半径R1、R2の中心が正確に求められるというものではなく、該円弧を概略描くことができる程度の半径で足る。裾布ピース31,32,33は切放し端がほつれにくいので、折り返してもよいが、本実施例では折り返すことなく切放しのままそれぞれ後身頃本体20の裾部21に縫着され、且つ互いに隣接する辺同士が縫着されて左右一対の1枚の裾布30を構成することになる。なお、この場合は裾布30の表面側にレース地7が縫着される。伸縮性はいずれも凹円弧辺31a,32a,33aに沿う方向S1が、これに直角な方向S2に比べて大である。
【0023】
マチ3は分銅型に構成され、前身頃1と後身頃2の股の部分で縫着される。そして、前身頃1と後身頃2は腰部で縫着される。
【0024】
腹帯4は細長い帯状のもので、必要に応じて設けられる。材質は前身頃1と同じものが使用されている。そして、足口においては、鼠蹊部用ピース13を除き、マチ3から裾布30の端部全長に伸縮テープ5が縫着されている。また、後身頃本体20にあっては、縫着部分2f及び腹帯4の上端まで伸縮テープ5が縫着されている。
【0025】
このように構成された女性用下着Aは、後身頃2が球体(ヒップ)にフィットするように縦横に均等に伸びて膨らみ、後身頃2の裾布ピース31,32,33で構成された裾部21が絞られて収納された球体(ヒップ)を包み込むようになり、ヒップからヒップ側裾部にかけて高いフィット感を生み出す。そして、裾布ピース31,32,33の凹円弧辺31a,32a,33aに沿う方向の高い伸縮性S1が足にぴったりとフィットして歩行時の足の動きによく追従し、歩行性を高める。鼠蹊部は2つ折りの2重辺13aが柔らかく接触するので押圧による違和感を与えない。腹部は補強用パワーネット12により適度に押さえこまれる。この補強用パワーネット12は横方向S1の伸びが縦方向S2の伸びより大なので、あらゆる体型にもフィットするだけでなく、歩行時のズリ下がりも防止できる。
【符号の説明】
【0026】
1:前身頃、2:後身頃、2f:縫着部分、2g:ギャザリング部、3:マチ、4:腹帯、5:伸縮テープ、7:レース地、11:前身頃本体、11a:上辺、11b:腰部辺、11c:鼠蹊辺、12:補強用パワーネット、13:鼠蹊部用ピース、13a:2つ折りの2重辺、13b:2重に重ね合された切放し辺、20:後身頃本体、20a:後身頃半体、20b:後身頃半体、21a:凸円弧辺、21:裾部、30:裾布、31・32・33:裾布ピース、31a・32a・33a:凹円弧辺、31b・32b・33b:凸円弧辺,A:女性用下着、R0・R1・R2:半径、S1・S2・S3:伸縮性又は伸縮方向。
図1
図2
図3
図4
図5