【実施例1】
【0029】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機を、図面に基づき詳細に説明する。なお実施例において「左」又は「右」とは、パチンコ機の表側(前面側)から見たときの「左」又は「右」を示すものとする。まず本実施形態のパチンコ機の基本的構成を簡単に説明する。
【0030】
実施例1のパチンコ機Pは、
図5に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されてる。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
【0031】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。なお、パチンコ機の下部には固定スピーカSP0,SP0が設置されている。
【0032】
遊技盤1には、液晶表示装置LCDを備えたセンター役物3が配置されている。このセンター役物3のすぐ下には始動入賞口11が配置されていて、この始動入賞口11に遊技球が入賞すると液晶表示装置LCDに表示される図柄が変動を開始する。そのため、液晶表示装置LCDと始動入賞口11との間は、遊技者が注目する場所となっている。また、遊技盤1には、これら部品の他に、特別入賞口12、普通入賞口13〜15等の各種の部品が取り付けられている。
【0033】
遊技盤1には、
図5,
図6に示す様に、各種可動体役物が備えられている。
図6(B)に示す様に、センター飾り上部に備えられているロゴは、二つに割れて左右に広がりながら落下するロゴ可動体役物100となっている。また、
図6(C)に示す様に、センター飾りの右側から中心に向かって振り出され、先端のシャッタ210を開く振り子可動体役物200も備わっている。
【0034】
ロゴ可動体役物100の右下位置には、超音波マイクMic1が下方からの超音波信号を受信可能な状態で設置されている。また、振り子可動体役物200の上部右下には超音波マイクMic2が右斜め下方からの超音波信号を受信可能な状態で設置されている。そして、センター役物3の左下にはパラメトリック型スピーカーSPpが設置されている。
【0035】
このパラメトリック型スピーカーSPpは、液晶表示装置LCDの表面と平行に超音波信号を出力するものであり、モーターによって回転することで、超音波マイクMic1又は超音波マイクMic2に向かって超音波信号を送信できる様に構成されている。
【0036】
[2 制御装置の構成]
図7に示す様に、CPU,ROM,RAM,クロック等を備えたメイン制御基板310に対して、遊技盤1に備えられた各入賞口への遊技球の入賞を検知する入賞検知センサSE1,SE2,…、裏ユニットの球排出通路へと遊技球が排出されたことを検知する排出球検知センサSE11,SE12からの検知信号が入力される様になっている。また、メイン制御基板310からは、サブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340へとコマンドが出力される様になっている。
【0037】
発射装置Gは、発射制御基板340からの制御コマンドに従って、打球の発射・停止を実行する。打球の停止は、例えば、何らかのエラーが発生したときなどに指令される。払出制御基板330は、メイン制御基板310からの払出コマンドに従って、賞球の払出を実行する。賞球払出個数は、どの入賞口に入賞したかによって予め定められている。また、メイン制御基板310は、払出制御基板330の外部出力端子を介してホールコンピュータ400へとエラー信号を出力する機能も備えている。
【0038】
サブ制御基板320は、メイン制御基板310からの演出指令信号に基づいて、液晶表示装置LCD、センター役物3等の装飾部材に備えられている発光装置LED、及び固定スピーカSP0に対して制御信号を出力し、表示演出、発光演出、音声演出を実行する。また、サブ制御基板320は、パラメトリック型スピーカーのモーターMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを回転させて超音波マイクMic1又は超音波マイクMic2に対面させた上でパラメトリック型スピーカーSPpに対して制御信号を出力することで、超音波信号を送信させる。この超音波信号を超音波マイクMic1が受信することにより、ロゴ可動体役物100に内蔵されたコントローラCNT1が、ソレノイドSOL1,SOL2を駆動制御し、超音波マイクMic2が受信することにより、振り子可動体役物200に内蔵されたコントローラCNT2が、振り子本体の回動動作用のモータMT1及び振り子先端のシャッタ210の開閉動作用のモータMT2を駆動制御する。こうしてサブ制御基板320からの制御信号に基づく可動体演出も実行される。
【0039】
[3 制御処理(賞球払出)]
メイン制御基板310は、
図8(A)に示す制御系統により、入賞検知センサSE1〜SE5からの入賞検知信号が入力されると、各センサに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。
【0040】
この賞球払出制御は、
図8(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、入賞検知センサSE1〜SE5からの検知信号が入力されたか否かを判断し(S10)、「YES」と判定されたら、払出制御基板330に対してセンサを特定した賞球払出信号を出力すると共に(S20)、抽選処理ルーチンを起動する(S30)。
【0041】
[4 制御処理(乱数抽選)]
また、メイン制御基板310は、
図9(A)に示す制御系統により、始動入賞口の入賞検知センサSE1からの入賞検知信号が入力されると、乱数抽選を実行し、その結果を保留球記憶情報としてRAMに記憶する乱数抽選処理を実行している。
【0042】
ここで、本実施例のパチンコ機は、センター役物の下方に備えられた始動入賞口への入賞を契機として乱数を取得し、「当たり」か「はずれ」かを抽選する。「当たり」には「2R通常」「2R確変」「15R通常」「15R確変」など、単に当たりというだけでなく、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別の中のいずれに該当するかを、別途行われる「当たり種別判定」として実行する。なお、「2R」「15R」とは、特別遊技のラウンド数を意味し、「確変」とは、特別遊技終了後に抽選による大当たりの確率が高い高確率(「確率変動」ともいう)の遊技状態となる場合を意味する。「通常」は、特別遊技終了後に「確変」にならない場合を意味する。また、「2R」の場合、短時間だけ特別入賞口を開閉する動作となっていて実質的な出玉は期待できない遊技状態となっている。
【0043】
「当たり/はずれ」の抽選に続いて、変動パターンが乱数抽選される。「当たり」の場合は、上述の様に、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別があることから、これら当たり種別のいずれであるかにより、当選確率を異ならせた変動パターンが、例えば、A〜Cといった具合に複数用意されている。この変動パターンは、変動時間の長さとなっている。具体的には変動パターンごとに変動時間が異なっている。ここまではメイン制御基板310の処理として実行される。こうしてメイン制御基板310の決定した変動パターンに基づいて、サブ制御基板320側で変動パターンに対応する演出パターンが抽選される。例えば、変動パターンがA〜Cであるとき、演出パターンは、変動パターンAに対して複数用意された演出パターンA1〜Anの中のいずれかが、変動パターンBに対して複数用意された演出パターンB1〜Bnの中のいずれかが、変動パターンCに対して複数用意された演出パターンC1〜Cnの中のいずれかが、サブ制御基板320側で決定されるといった処理が実行されることになる。
【0044】
また、「はずれ」の場合は、リーチはずれにするか否かを抽選し、リーチはずれとする場合は、さらに、「はずれリーチ」の「変動パターン」が乱数抽選によって決定される。なお、はずれリーチの変動パターンとしては、「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」などがあり、「リーチはずれ」の抽選結果とならなかったときは「ノーマルはずれ」として定まっている変動パターンに基づくはずれ演出となる。「変動パターン」とは、図柄が変動開始してから停止するまでの変動時間のことであり、スーパーリーチの場合には複数の変動パターンの中の一つが抽選されることになる。「ノーマルはずれ」「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」のいずれの変動パターンになるかは、当選確率が「ノーマルはずれ」>「リーチはずれ」>「スーパーリーチはずれ」となる様に乱数値との対応が予め定められている。なお、「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」の変動パターンは、当たりの場合と逆の傾向となる様な当選確率で変動パターンと乱数値との関係が予め定められている。
【0045】
上述の様に、「スーパーリーチ」にあっては、その変動パターンが複数(例えばA〜C)用意されていて、例えば、「当たり」のときは「スーパーリーチA」>「スーパーリーチB」>「スーパーリーチC」という当選確率でいずれのパターンに発展するかが設定され、逆に、「はずれ」のときは「スーパーリーチC」>「スーパーリーチB」>「スーパーリーチA」という当選確率でいずれのパターンに発展するかが設定されることにより、遊技者は、スーパーリーチ演出に発展したとき、「パターンA」の変動時間となる演出ならば「当たり」となることをより大きく期待し、逆に「パターンC」の変動時間となる演出ならば「当たり」の可能性は小さいと期待度が低い感覚を抱く。この様に、スーパーリーチの際に抽選された変動パターンに基づいて実行される演出パターンにより、遊技者に与える期待感を異ならせ、この結果、「パターンA」は信頼度が高く、「パターンC」は信頼度が低いといった予測を遊技者に与えることが可能となっている。なお、「ノーマル演出」は「当たり」での当選確率を極めて低く設定することによって「ノーマル当たり」にプレミアム感を持たせることにもなる。
【0046】
ここで、上述の様に、「スーパーリーチA」は「スーパーリーチC」に比べて、「当たり」の場合に選ばれ易く「はずれ」の場合に選ばれ難い設定とされ、逆に、「スーパーリーチC」は「スーパーリーチA」に比べて、「当たり」の場合に選ばれ難く「はずれ」の場合に選ばれ易い設定とされることにより、スーパーリーチの種類によって信頼度が異なる結果を実現することとなる。この場合に、信頼度の高いスーパーリーチAは変動時間が長く、信頼度が低いスーパーリーチCは変動時間が短いデータ構成とすることにより、変動時間の長さが信頼度を意味する結果ともなる。
【0047】
本実施例における乱数抽選処理は、
図9(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、今回検知信号を入力したセンサが始動入賞口センサSE1のものか否かを判定し(S110)、「NO」であれば直ちに処理を終了する。一方、「YES」と判定された場合は、保留球個数Nが4未満か否かを判定する(S120)。N<4ならば(S120:YES)、保留球個数Nをインクリメントし(S130)、「NO」の場合は乱数抽選に進むことなく処理を終了する。
【0048】
乱数抽選に進むと、まず、「当たり/はずれ」を抽選するための乱数を取得する「当たり/はずれ抽選」を実行する(S140)。そして、「当たり」の場合は(S150:YES)、「当たり種別」を決定するための乱数を取得し(S160)、「当たり種別」に対応する「変動パターン」の抽選までが実行される(S165)。「はずれ」の場合は(S150:NO)、「リーチ演出の有無」を決定するための乱数を取得し(S170)、「リーチ演出あり」の場合は、さらに「変動パターン」の抽選までが実行される(S175)。そして、S140,S160,S170で生成した乱数値をRAMに記憶する(S180)。本実施例の場合、「当たり/はずれ」の乱数が「当たり」の場合に続いて「当たり種別」の乱数を取得することで、上述した「2R通常」「2R確変」「15R通常」「15R確変」のいずれに該当するかが特定されることとなる。なお、「ノーマルはずれ」について複数の変動パターンが設定される場合には、S170で「NO」の判定となった後に、「ノーマルはずれの変動パターン抽選」が追加されていても構わない。
【0049】
[5 制御処理(保留消化)]
次に、保留消化処理について説明する。メイン制御基板310は、
図10(A)に示す制御系統により、RAM内に記憶された保留球記憶情報から乱数値を読み出し、当選条件と照合して演出指令コマンドをサブ制御基板320に対して指令する保留消化処理を実行する。
【0050】
保留消化処理は、
図10(B)のフローチャートに示す様に、特別遊技を実行していない状態のときに(S210:NO)、RAM内に保留記憶情報があるか否かを判定し(S220)、保留記憶情報があるときは当該記憶内容を一つ読み出し(S230)、乱数値1,乱数値2に基づいて演出指令コマンドを決定する(S240)。そして、この演出指令コマンドをサブ制御基板320に対して出力すると共に(S250)、保留記憶情報の更新を行う(S260)。
【0051】
[6 制御処理(演出制御:メイン処理)]
サブ制御基板320は、
図11(A)に示す制御系統により、メイン制御基板310からの演出コマンドに対応する演出パターンに従って、液晶表示装置LCD、発光装置LED、固定スピーカSP0、モータMTspp、パラメトリック型スピーカーSPpに対して制御信号を出力し、表示演出、発光演出、音声演出、可動体演出等を実行する。なお、メイン制御基板310からエラー報知が指令されたときは、エラー報知処理を実行する。
【0052】
演出制御は、
図11(B)示す様な演算処理ルーチンとして実行され、メイン制御基板310からの新たな演出指令コマンドが入力されたか否かを判定し(S310)、「YES」の場合は、演出の内容を特定し(S320)、対応する演出制御データをROMから読み出し(S330)、LCD等に対して制御データを出力する(S340)。
【0053】
サブ制御基板320は、演出制御においては、変動パターンの振り分け確率に対応する信頼度の高さを遊技者に感じさせる様に、可動体演出の内容が対応付けられている。その結果、遊技者が信頼度が高いと感じる様な派手な可動体演出が生じる状態が「激アツ」と呼ばれる。
【0054】
即ち、上述の様に、リーチからの発展先である「スーパーリーチ」において、「演出パターンA1〜An」へと発展すると「当たり」の可能性が高く、逆に「演出パターンC1〜Cn」へと発展すると「当たり」の可能性が低いといった「信頼度」を遊技者に感じさせる場合、この発展の前に実行する可動体による演出パターンについても、複数パターンを用意し、まずは動くか否か、その動きが如何なるものであるかにより、その後の発展先の「スーパーリーチ」のパターンを遊技者に予測させる制御がサブ制御基板320によってなされるのである。このため、サブ制御基板320のROMには、
図11(C)に示す様に、大当たりの信頼度に応じた制御内容を特定するための可動体信頼度制御パターンテーブルTBLが記憶されている。可動体信頼度制御パターンテーブルTBLは、信頼度0<信頼度1<信頼度2<信頼度3、…と大当たりの信頼度が高くなるほどより派手な演出を実行する様に構成されている。なお、演出パターンA1〜Anは、変動パターンAのスーパーリーチがメイン制御基板310から指令された場合に、サブ制御基板320側で抽選される。この抽選においても振り分け確率が予め決められている。メイン制御基板310側で抽選される変動パターンA〜Cは、信頼度を示す様に振り分け確率が定められたものであり、演出パターンA1〜Anは、サブ側の振り分け抽選によって定まる。信頼度が、変動パターンA>変動パターンB>変動パターンCとなる様にメイン側で振り分け確率が定められているとき、サブ側は、変動パターンAに対しては信頼度5に対応する可動体演出を選び易く、逆に、信頼度の低い変動パターンCにあっては、サブ側は信頼度5の可動体演出を選び難い様に振り分け確率を定める。
【0055】
信頼度0の場合は、ロゴ可動体100、振り子可動体200のいずれも動作しない。このパターンからの「当たり」は極めてレアなものであり、「スーパーリーチ」であったとしても「パターンC」にしか発展せず、「当たりはほぼ期待できない」という様に、「信頼度の低さ」を遊技者に感じさせる様なタイプの演出である。
【0056】
信頼度1では、モータMT2をONにさせて振り子待機位置でシャッタ210を開く。このパターンも「パターンA」への発展可能性は低く、「当たりは余り期待できない」という様に、「信頼度の低さ」を遊技者に感じさせる様なタイプの可動体演出である。
【0057】
信頼度2では、ソレノイドSOL1,SOL2をONとする。このパターンは、ある程度は「パターンA」へと発展し易く、「当たりも全くない訳ではない」という様に、遊技者に「少しは信頼度が高いかな」という感覚を抱かせるタイプの演出である。
【0058】
信頼度3では、ロゴ可動体役物100を落下させると共に、シャッタ210を開き、信頼度2に比べるとより派手な演出となる。このパターンは、動きが少し派手になることで、遊技者に「当たりはそこそこは期待できる」という様に感じさせる演出である。
【0059】
信頼度4では、振り子200を回動させ、かつ、シャッタ210を開く。この結果、信頼度3よりもさらに派手な演出となる。
【0060】
信頼度5では、全ての制御対象をONとする。この結果、ロゴ可動体役物100が落下し、振り子可動体役物200が液晶表示装置LCDの中央へと回動した上でシャッタ210を開く。これにより、最も派手な形で、可動体演出が実行される。
【0061】
これら、信頼度に対応する可動体の制御パターンのいずれが選ばれるかは、「当たり」の場合には「信頼度5」が選ばれやすく、逆に「はずれ」の場合には「信頼度0」が選ばれ易くなる様に、「当たり」か「はずれ」かにより振り分け確率を異ならせた設定がなされることによって、遊技者に対して一定の期待感とその結果の一致度合いを異なるものとして感じさせ、信頼度が表現されているという感覚を与えるものとなる。
【0062】
[7 制御処理(可動体演出)]
この可動体演出のため、サブ制御基板320は、
図12(A)に示す制御系統により、モータMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを超音波マイクMic1又は超音波マイクMic2に対面させた上で、コマンドとしての超音波信号を出力させる。ロゴ可動体100及び振り子可動体200の両方を駆動する場合は、モータMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを超音波マイクMic1に対面させてロゴ可動体用の制御信号を出力した後、モータMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを超音波マイクMic2に対面させて振り子可動体体用の制御信号を出力する様にして実行する。
【0063】
この可動体演出は、
図12(B)示す様な演算処理ルーチンとして実行され、可動体演出を実行するケースであるか否かを判定する(S410)。可動体演出を実行するケースである場合は(S410:YES)、ロゴ可動体役物に対する演出指令を行うのか否かを判定する(S420)。ロゴ可動体役物100に対する演出指令を行うと判定された場合は(S420:YES)、モータMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを上向きに回転させた後に(S430)、パラメトリック型スピーカーSPpからソレノイド制御コマンドを超音波出力させる(S440)。
【0064】
続いて、振り子可動体役物200に対する演出指令を行うケースであるか否かを判定する(S450)。YESと判定された場合は、モータMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを右上向き回転させた後に(S460)、パラメトリック型スピーカーSPpからモータ制御コマンドを超音波出力させる(S470)。その後、モータMTsppを原点へと復帰させる(S480)。
【0065】
なお、S410の判定が「NO」の場合は、直ちに本ルーチンを抜ける。また、S420が「NO」の場合は、S430〜S440の処理をパスしてS450へと進む。さらに、S450が「NO」の場合は、S460〜S470をパスする。
【0066】
各可動体役物100,200には、前述の様に、ソレノイド駆動制御用のコントローラCNT1、モータ駆動制御用のコントローラCNT2が備えられている。ソレノイド駆動制御用のコントローラCNT1は、
図12(C)に示す様に、超音波マイクMic1の受信状況から制御信号を受信したか否かを判定している(S510)。制御信号を受信したら(S510:YES)、ソレノイドSOL1,SOL2をONにし(S520)、所定時間後にソレノイドSOL1,SOL2をOFFに戻す(S530,S540)。これにより、ロゴ可動体役物100の落下動作が実行される。
【0067】
一方、モータ駆動制御用のコントローラCNT2は、
図12(D)に示す様に、超音波マイクMic2の受信状況から制御信号を受信したか否かを判定している(S610)。制御信号を受信したら(S610:YES)、制御信号が上述の「信頼度1」又は「信頼度3」の動作に対応するものであるか否かを判定する(S620)。「信頼度1」又は「信頼度3」の動作に対応するものであるときは、モータMT2をONにさせて所定量正転させた後(S630)、モータMT2を原点へと逆転させる(S640)。これによって、振り子待機位置でシャッタ210を開閉する態様の可動体演出が実行される。
【0068】
S620が「NO」の場合は、「信頼度4」又は「信頼度5」の動作に対応するものであるか否かを判定する(S650)。「信頼度4」又は「信頼度5」の動作に対応するものであるときは、モータMT1を所定量正転させた後(S660)、モータMT2を所定量正転させる(S670)。続いて、モータMT2を逆転させて原点に戻すと共に(S680)、モータMT1を逆転させて原点へ戻す(S690)。これにより、振り子可動体役物200が液晶表示装置LCDの中央へと回動した上でシャッタ210を開き、その後シャッタ210を閉じて待機位置へと振り子を戻す態様の可動体演出が実行される。
【0069】
従って、パラメトリック型スピーカーSPpから出力する超音波信号は、ソレノイド駆動制御用のコントローラCNT1に対しては単なる契機信号を、モータ駆動制御用のコントローラCNT2に対しては動作を特定するコマンド型の信号を構成している。
【0070】
[8 実施例1の構成・作用・効果]
実施例1の遊技機Pは、ロゴ可動体役物100及び振り子可動体役物200に、超音波マイクMic1,Mic2と、コントローラCNT1,CNT2とを備えさせると共に、サブ制御基板320がモータMTspp及びパラメトリック型スピーカーSPpを駆動制御して各可動体役物に対して可動体演出動作を実行させるための契機信号又は制御コマンドとしての超音波信号(不可聴音)を出力している。
【0071】
従って、実施例1の遊技機は、
図1(A)に示した演出装置M1(ロゴ可動体役物100及び振り子可動体役物200)、演出装置制御手段M2(コントローラCNT1,CNT2)、パラメトリック型スピーカー制御手段M3(サブ制御基板320)並びにパラメトリック型スピーカーSPpを備えている。
【0072】
また、受信部M4としての超音波マイクMic1,Mic2と、演出装置制御手段M2としてのコントローラCNT1,CNT2は演出装置M1としてのロゴ可動体役物100及び振り子可動体役物200に備わっている。従って、
図1(C)に示した構成も備えたものとなっている。
【0073】
そして、これらの構成を備えた実施例1の遊技機Pによれば、演出動作の契機を音声による無線で与えることが可能となり、サブ制御基板320と可動体役物100,200との間に配線を接続すなくても、これら可動体役物100,200による演出動作をタイミングよく実行させることができる。
【0074】
なお、モータMTsppは、
図2(A)に示した可動部材M11に相当し、サブ制御基板320によるS430,S460の処理は、
図4(A),(B)に示した可動部材制御手段M12の構成に相当している。また、振り子200は、
図2(C),
図4(C)の可動体M7に相当する。
【実施例2】
【0075】
次に、実施例2の遊技機について説明する。
図13(A)に示す様に、センター役物上部にロゴ発光体役物101を、センター役物右側に振り子可動体役物201を備え、実施例1と同様に、ロゴ発光体役物101の右下位置には超音波マイクMic1が下方からの超音波信号を受信可能な状態で設置され、振り子可動体役物201の上部右下には超音波マイクMic2が右斜め下方からの超音波信号を受信可能な状態で設置されている。そして、センター役物の左下にはパラメトリック型スピーカーSPpが設置されている。
【0076】
この遊技機では、
図13(B)に示す様に、パラメトリック型スピーカーSPpを上向きに回転させて契機信号TSを出力するとロゴ発光体役物101による発光演出が実行され、
図13(C)に示す様に、パラメトリック型スピーカーSPpを右上向きに回転させて契機信号TSを出力すると振り子可動体役物201による可動体演出が実行される。
【0077】
本実施例の遊技機は、その特徴として、
図13(A),(D)に示す様に、液晶表示装置LCDの左側に上下方向に伸びるガイドレール511に沿って上下動する非接触型給電部材510と、振り子可動体役物201の腕の背後のセンター役物の縁部に埋設された非接触型給電部材520とを備えている。これらの非接触型給電部材510,520により、ロゴ発光体役物101及び振り子可動体役物201のそれぞれに対する電力供給がなされる。
【0078】
実施例2における制御系統を
図14に示す。ロゴ発光体役物101,可動体役物201は、それぞれ充電用バッテリBAT1,BAT2を内蔵していて、非接触型給電部材510,520との非接触給電によって演出動作に必用な電力を蓄えることができる様に構成されている。
【0079】
サブ制御基板320は、メイン制御基板310からの演出指令信号に基づいて、液晶表示装置LCD及び固定スピーカSP0に対して制御信号を出力し、表示演出、音声演出を実行する。また、サブ制御基板320は、パラメトリック型スピーカーのモーターMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを回転させて超音波マイクMic1又は超音波マイクMic2に対面させた上でパラメトリック型スピーカーSPpに対して制御信号を出力することで、超音波信号を送信させる。この超音波信号はいずれも契機信号であって、超音波マイクMic1が受信することによりロゴ発光体役物100のコントローラCNT101が起動してLEDを所定パターンで明滅させる発光演出が実行され、超音波マイクMic2が受信することによりコントローラCNT201が起動されてモータMT3を所定パターンで正転・逆転して可動体演出が実行される。
【0080】
サブ制御基板320は、パラメトリック型スピーカーSPpからロゴ発光体役物101に対する契機信号を送信する際には、ガイドレール511の昇降モーターMTbatを駆動して非接触型給電部材510を上昇位置へと移動させてロゴ発光体役物101の背面側に重なり合わせ、非接触型給電部材510を所定時間起動する。これにより、ロゴ発光体役物101に内蔵された充電用バッテリBAT1に対して発光演出に必用な電力を充電する。
【0081】
同様に、サブ制御基板320は、パラメトリック型スピーカーSPpから振り子可動体役物201に対する契機信号を送信する際には、非接触型給電部材520を所定時間起動する。これにより、振り子可動体役物201に内蔵された充電用バッテリBAT2に対して可動体演出に必用な電力を充電する。
【0082】
サブ制御基板320は、
図15(A)に示す制御系統により、この超音波契機信号を出力して発光演出及び可動体演出を実行する。この演出制御は、
図15(B)示す様な演算処理ルーチンとして実行され、契機信号TSを発生させる演出パターンであるとき(S710:YES)、ロゴ発光体役物101に対する演出指令を行うパターンか否かを判定する(S720)。ロゴ発光体役物101に対する演出指令を行うと判定された場合は(S720:YES)、昇降モーターMTbatを上昇方向に駆動し(S730)、非接触型給電部材510を所定時間起動する(S740)。その後、昇降モーターMTbatを下降方向に駆動した後(S750)、モータMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを上向きに回転させ(S760)、パラメトリック型スピーカーSPpから契機信号TSを超音波出力させる(S770)。
【0083】
続いて、振り子可動体役物201に対する演出指令を行うパターンを含んでいるか否かを判定する(S780)。YESと判定された場合は、非接触型給電部材520を所定時間起動する(S790)。その後、モータMTsppを駆動してパラメトリック型スピーカーSPpを右上向き回転させ(S800)、パラメトリック型スピーカーSPpから契機信号TSを超音波出力させる(S810)。その後、モータMTsppを原点へと復帰させる(S820)。
【0084】
なお、S710の判定が「NO」の場合は、直ちに本ルーチンを抜ける。また、S720が「NO」の場合は、S730〜S770の処理をパスしてS780へと進む。さらに、S780が「NO」の場合は、S790〜S810をパスする。
【0085】
ロゴ発光体役物101は、S740の処理によってその充電用バッテリBAT1に発光演出に必用な電力を蓄える。そして、S770で出力される契機信号TSを超音波マイクMic1が受信したら、コントローラCNT101が起動してLEDを所定パターンで明滅させる発光演出を実行する。振り子可動体役物201は、S790の処理によってその充電用バッテリBAT2に可動体演出に必用な電力を蓄える。そして、S810で出力される契機信号TSを超音波マイクMic2が受信したら、コントローラCNT201が起動してモータMT3を所定パターンで正転・逆転して可動体演出を実行する。
【0086】
この様に、実施例2は、
図3(A),(B)に示した非接触型給電部材M5及び可動部材M6をも備えたものである。そして、実施例2は、サブ制御基板320とロゴ発光体役物101及び振り子可動体役物201の間の制御信号送信用の配線をなくすことができることに加えて、ロゴ発光体役物101及び振り子可動体役物201に対する電源供給用の配線もなくすことができるというさらなる作用・効果を発揮することができる。
【実施例3】
【0087】
次に、実施例3の遊技機について説明する。本実施例では、
図16(A)に示す様に、パラメトリック型スピーカーSPpがスイングアーム530の先端に取り付けられている。このスイングアーム530の先端には、さらに、非接触型給電部材531も設置されている。また、センター役物右側には、実施例2と同様の振り子可動体役物201を備え、その上部右下には超音波マイクMic2が右斜め下方からの超音波信号を受信可能な状態で設置されている。
【0088】
スイングアーム530は、
図16(B)に示す様に、液晶表示装置LCDのほぼ中央まで先端を振り出すことができる様になっていて、当該振り出し位置においてパラメトリック型スピーカーSPpが超音波マイクMic2に対面し、契機信号TSを超音波マイクMic2に向けて送信可能な状態となる。
【0089】
また、振り子可動体役物201は、スイングアーム530の前面側において回動可能な構成であって、
図16(C)に示す様に、振り出し位置において振り子の先端が液晶画面LCDのほぼ中央に位置する様になっている。そして、この
図16(C)の状態において、非接触型給電部材531から非接触方式による給電がなされる。
【0090】
実施例3における可動体演出における制御系統を
図17(A)に示す。スイングアーム530にはスイングモータMT4が備わっている。また、振り子可動体役物201は、実施例2と同様の構成となっている。
【0091】
サブ制御基板320は、
図17(B)示す様な演算処理ルーチンを実行し、契機信号TSを発生させる演出パターンであるとき(S910:YES)、スイングモータMT4を正転させてスイングアーム530を振り出す(S920)。そして、
図16(B)に示した様に、パラメトリック型スピーカーSPpから契機信号TSを超音波出力させる(S930)。
【0092】
次に、非接触型給電部材531を所定時間起動する(S940)。その後、モータMT4を逆転させてスイングアーム530を待機位置へと戻す(S950)。
【0093】
振り子可動体役物201は、S930で出力される契機信号TSを超音波マイクMic2が受信したら、コントローラCNT201が起動してモータMT3を正転して振り子を振り出す。そして、振り出し位置において、S940の処理によって起動さえている非接触型給電部材531から充電用バッテリBAT2に充電がなされる。
【0094】
この様に、実施例3は、
図4(C)に示した可動部材制御手段M12、スピーカー動作演出実行手段M13、給電制御手段M8をも備えるものとなっている。制御信号及び電力供給のための配線を省略できる作用・効果は、実施例2と同様に発揮される。
【0095】
この様に、各実施例によれば、遊技機に備えられるパラメトリック型スピーカーに対して単なる放音装置以外の機能を受け持たせることができると共に、配線の省略等による遊技機設計上の自由度を増大することができる。
【0096】
以上、発明を実施するための実施例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0097】
例えば、
図3(C)に示した様に、非接触型給電部材を可動体の動作経路の途中に設置しておいて、可動体演出が行われるときに非接触方式で給電を行う様に構成しても構わない。
【0098】
また、契機信号を与えるパラメトリック型スピーカー、受信部、及び非接触型給電部材を遊技盤の裏面側に設置してもよく、この場合も配線を省略する効果が同様に発揮される。