(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の一例を表す説明図である。
図2は、
図1の液晶表示装置のシステム例を表すブロック図である。
図1は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状と同一とは限らない。なお、表示装置1が本発明の「液晶表示装置」の一具体例に相当する。
【0014】
表示装置1は、液晶表示部2と、ドライバIC3と、バックライト6と、を備えている。表示装置1は、透過型、又は半透過型の表示装置であってもよく、バックライト6を備えない、反射型の表示装置であってもよい。図示しないフレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuits))は、ドライバIC3への外部信号又はドライバIC3を駆動する駆動電力を伝送する。液晶表示部2は、透光性絶縁基板、例えばガラス基板11と、ガラス基板11の表面にあり、液晶セルを含む画素がマトリクス状(行列状)に多数配置されてなる表示エリア部21と、水平ドライバ(水平駆動回路)23と、垂直ドライバ(垂直駆動回路)22A、22Bと、を備えている。垂直ドライバ(垂直駆動回路)22A、22Bは、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bとして、表示エリア部21を挟むように配置されている。ガラス基板11は、能動素子(例えば、トランジスタ)を含む多数の画素回路がマトリクス状に配置形成される第1基板と、この第1の基板と所定の間隙をもって対向して配置される第2基板とを含む。そして、ガラス基板11は、第1基板、第2基板の間に液晶が封入される液晶層を有する。水平ドライバ(水平駆動回路)23と、垂直ドライバ(垂直駆動回路)22A、22Bとは、第1基板に形成されるので、周辺回路ともよばれる。
【0015】
液晶表示部2の額縁領域11gr、11glは、ガラス基板11の表面にあり、液晶セルを含む画素がマトリクス状(行列状)に多数配置されてなる表示エリア部21の外側にある、非表示領域である。垂直ドライバ22A、22Bは、額縁領域11gr、11glに配置されている。
【0016】
バックライト6は、液晶表示部2の裏面側(画像を表示する面とは反対側の面)に配置されている。バックライト6は、液晶表示部2に向けて光を照射し、表示エリア部21の全面に光を入射させる。バックライト6は、例えば光源と、光源から出力された光を導いて、液晶表示部2の裏面に向けて出射させる導光板と、を含む。
【0017】
液晶表示部2は、ガラス基板11上に、表示エリア部21と、インターフェース(I/F)及びタイミングジェネレータの機能を備えるドライバIC3と、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22B及び水平ドライバ23とを備えている。
【0018】
表示エリア部21は、液晶層を含む画素Vpixが、表示上の1画素を構成するユニットがm行×n列に配置されたマトリクス(行列状)構造を有している。なお、この明細書において、行とは、一方向に配列されるn個の画素Vpixを有する画素行をいう。また、列とは、行が配列される方向と直交する方向に配列されるm個の画素Vpixを有する画素列をいう。そして、mとnとの値は、垂直方向の表示解像度と水平方向の表示解像度に応じて定まる。表示エリア部21は、画素Vpixのm行n列の配列に対して行毎に走査線24
1、24
2、24
3・・・24
mが配線され、列毎に信号線25
1、25
2、25
3・・・25
nが配線されている。以後、本実施形態においては、走査線24
1、24
2、24
3・・・24
mを代表して走査線24又は走査線24
mのように表記し、信号線25
1、25
2、25
3・・・25
nを代表して信号線25又は信号線25
nのように表記することがある。また、本実施形態においては、走査線24
1、24
2、24
3・・・24
mを代表して走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3・・・のように表記し、信号線25
1、25
2、25
3・・・25
nを代表して信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3・・・のように表記することもある。表示エリア部21は、正面に直交する方向から見た場合、走査線24と信号線25がカラーフィルタのブラックマトリクスと重なる領域に配置されている。また、表示エリア部21は、ブラックマトリクスが配置されていない領域が開口部となる。
【0019】
液晶表示部2には、外部から外部信号である、マスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号が入力され、ドライバIC3に与えられる。ドライバIC3は、外部電源の電圧振幅のマスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号を、液晶の駆動に必要な内部電源の電圧振幅にレベル変換(昇圧)し、マスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号を生成する。ドライバIC3は、生成したマスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号をそれぞれ第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22B及び水平ドライバ23に与える。ドライバIC3は、画素Vpix毎の画素電極に対して各画素共通に与えるコモン電位(対向電極電位)Vcomを生成して表示エリア部21に与える。
【0020】
第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、シフトレジスタを含み、さらにラッチ回路等を含む。第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、ラッチ回路が、垂直クロックパルスに同期してドライバIC3から出力される表示データを1水平期間で順次サンプリングしラッチする。第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、ラッチ回路においてラッチされた1ライン分のデジタルデータを垂直走査パルスとして順に出力し、表示エリア部21の走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3・・・に与えることによって画素Vpixを行単位で順次選択する。第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3・・・の延在方向に走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3・・・を挟むように配置されている。第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、例えば、走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3・・・の表示エリア部21の上寄り、垂直走査上方向から、表示エリア部21の下寄り、垂直走査下方向へ順にデジタルデータを出力する。また、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3・・・の表示エリア部21の下寄り、垂直走査下方向から、表示エリア部21の上寄り、垂直走査上方向へ順にデジタルデータを出力することもできる。
【0021】
水平ドライバ23には、例えば6ビットのR(赤)、G(緑)、B(青)のデジタル映像データVsigが与えられる。水平ドライバ23は、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bによる垂直走査によって選択された行の各画素Vpixに対して、画素毎に、もしくは複数画素毎に、あるいは全画素一斉に、信号線25を介して表示データを書き込む。
【0022】
図3は、画素を駆動する駆動回路の一例を示す回路図である。表示エリア部21には、
図3に示す各画素Vpixの薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)Trに表示データとして画素信号を供給する信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3、各薄膜トランジスタTrを駆動する走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3等の配線が形成されている。このように、信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3は、上述したガラス基板11の表面と平行な平面に延在し、画素Vpixに画像を表示するための画素信号を供給する。画素Vpixは、薄膜トランジスタTr及び液晶素子LCを備えている。薄膜トランジスタTrは、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。薄膜トランジスタTrのソース及びドレインのうち一方は信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3に接続され、ゲートは走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3に接続され、ソース及びドレインのうち他方は液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端が薄膜トランジスタTrに接続され、他端が共通電極comのコモン電位Vcomに接続されている。
【0023】
画素Vpixは、走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3により、表示エリア部21の同じ行に属する他の画素Vpixと互いに接続されている。走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3のうち奇数の走査線24
m+1、24
m+3は、第1垂直ドライバ22Aと接続され、第1垂直ドライバ22Aから後述する走査信号の垂直走査パルスが供給される。走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3のうち偶数の走査線24
m+2、24
m+4は、第2垂直ドライバ22Bと接続され、第2垂直ドライバ22Bから、後述する走査信号の垂直走査パルスが供給される。このように、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、走査方向の走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3に交互に垂直走査パルスを印加する。また、画素Vpixは、信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3により、表示エリア部21の同じ列に属する他の画素Vpixと互いに接続されている。信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3は、水平ドライバ23と接続され、水平ドライバ23より画素信号が供給される。共通電極comのコモン電位Vcomは、不図示の駆動電極ドライバと接続され、駆動電極ドライバより電圧が供給される。さらに、画素Vpixは、共通電極comのコモン電位Vcomにより、表示エリア部21の同じ列に属する他の画素Vpixと互いに接続されている。
【0024】
図1及び
図2に示す第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bは、垂直走査パルスを、
図3に示す走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3を介して、画素Vpixの薄膜トランジスタTrのゲートに印加することにより、表示エリア部21にマトリクス状に形成されている画素Vpixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択する。
図1及び
図2に示す水平ドライバ23は、画素信号を、
図3に示す信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3を介して、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bにより順次選択される1水平ラインを含む各画素Vpixにそれぞれ供給する。そして、これらの画素Vpixでは、供給される画素信号に応じて、1水平ラインの表示が行われるようになっている。
【0025】
上述したように、表示装置1は、第1垂直ドライバ22A、第2垂直ドライバ22Bが走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3を順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択される。また、表示装置1は、1水平ラインに属する画素Vpixに対して、水平ドライバ23が画素信号を供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われる。この表示動作を行う際、駆動電極ドライバは、その1水平ラインに対応する共通電極comのコモン電位Vcomを印加するようになっている。
【0026】
表示装置1は、液晶素子LCに同極性の直流電圧が印加され続けることによって液晶の比抵抗(物質固有の抵抗値)等が劣化する可能性がある。表示装置1は、液晶の比抵抗(物質固有の抵抗値)等の劣化を防ぐため、駆動信号のコモン電位Vcomを基準として映像信号の極性を所定の周期で反転させる駆動方式が採られる。
【0027】
この液晶表示装置の駆動方式として、カラム反転、ライン反転、ドット反転、フレーム反転などの駆動方式が知られている。カラム反転は、1カラム(1画素列)に相当する1V(Vは垂直期間)の時間周期で映像信号の極性を反転させる駆動方式である。ライン反転は、1ライン(1画素行)に相当する1H(Hは水平期間)の時間周期で映像信号の極性を反転させる駆動方式である。ドット反転は、互いに隣接する上下左右の画素毎に映像信号の極性を交互に反転させる駆動方式である。フレーム反転は、1画面に相当する1フレーム毎に全画素に書き込む映像信号を一度に同じ極性で反転させる駆動方式である。
【0028】
次に、表示エリア部21の構成を詳細に説明する。
図4は、液晶表示部の一例を示す断面図である。液晶表示部2は、
図4に示すように、第1基板(上側基板)50と、この第1基板50の表面に垂直な方向に対向して配置された第2基板(下側基板)52と、第1基板50と第2基板52との間に挿設された液晶層54とを備えている。なお、第1基板50は、液晶層54とは反対側の面に、バックライト6が配置されている。
【0029】
液晶層54は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、FFS(フリンジフィールドスイッチング)又はIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶54を用いた液晶表示デバイスが用いられる。液晶54は、液晶層54に多数分散されている。
【0030】
第1基板50は、ガラスなどの透光性基板である画素基板60と、画素基板60の液晶層54側に積層された第1配向膜62と、画素基板60の液晶層54とは反対側に積層された第1偏光板63と、を有する。画素基板60については後述する。第1配向膜62は、液晶層54内の液晶分子を所定の方向に配向させるものであり、液晶層54と直接に接している。第1配向膜62は、例えば、ポリイミドなどの高分子材料からなり、例えば、塗布したポリイミド等に対してラビング処理を施すことにより形成されたものである。第1偏光板63は、バックライト6側から入射してきた光を直線偏光に変換する機能を有している。
【0031】
第2基板52は、ガラスなどの透光性基板である対向基板64と、この対向基板64の液晶層54側に形成されたカラーフィルタ66と、カラーフィルタ66の液晶層54側に形成された第2配向膜67と、対向基板64の液晶層54側とは反対側に形成された位相差板68と、位相差板68の対向基板64側とは反対側に形成された第2偏光板69と、を含む。カラーフィルタ66は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域を含む。カラーフィルタ66は、開口部76bに例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域を周期的に配列して、
図3に示す各画素VpixにR、G、Bの3色の色領域が1組として画素Pixとして対応付けられている。カラーフィルタ66は、画素基板60と垂直な方向において、液晶層54と対向する。なお、カラーフィルタ66は、異なる色に着色されていれば、他の色の組み合わせであってもよい。一般に、カラーフィルタ66は、緑(G)の色領域の輝度が、赤(R)の色領域及び青(B)の色領域の輝度よりも高い。なお、カラーフィルタ66は、ブラックマトリクス76aが
図3に示す画素Vpixの外周を覆うように形成されていてもよい。このブラックマトリクス76aは、二次元配置された画素Vpixと画素Vpixとの境界に配置されることで、格子形状となる。そして、ブラックマトリクス76aは、光の吸収率が高い材料で形成される。
【0032】
第2配向膜67は、第1配向膜62と同様に、液晶層54内の液晶分子を所定の方向に配向させるものであり、液晶層54と直接に接している。第2配向膜67は、例えば、ポリイミドなどの高分子材料からなり、例えば、塗布したポリイミド等に対してラビング処理を施すことにより形成されたものである。位相差板68は、第1偏光板63及び第2偏光板69に生じる偏光板起因の視野角を補償する機能を有する。第2偏光板69は、偏光板吸収軸と平行な直線偏光成分を吸収し、直交する偏光成分を透過する機能を有している。第2偏光板69は、液晶のON/OFF状態に依存して光を透過/遮断する機能を有している。
【0033】
次に、
図5及び
図6を用いて、画素基板60について説明する。
図5は、本実施形態に係る液晶表示装置の画素を模式的に示す平面図である。
図6は、本実施形態に係る液晶表示装置の画素をスイッチングするトランジスタの一例を模式的に示す断面図である。画素基板60は、透光性基板71に各種回路が形成されたTFT基板であり、この画素基板60上にマトリクス状に配設された複数の画素電極72と、共通電極comと、を含む。
図6に示すように、画素電極72と共通電極comとは、絶縁層74で絶縁され、画素基板60の表面に垂直な方向において、対向している。画素電極72及び共通電極comは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。
【0034】
上述した各画素Vpixのスイッチング素子である薄膜トランジスタTRをトランジスタTr1とする場合、画素基板60は、透光性基板71に、上述した各画素Vpixのスイッチング素子であるトランジスタTr1が形成された半導体層90、各画素電極72に画素信号を供給する信号線25、トランジスタTr1を駆動する走査線24等の配線が絶縁層74を介して積層されている。本実施形態において、共通電位補助配線COMLは、共通電極comへコモン電位Vcomを給電する配線である。
【0035】
絶縁層74は、走査線24と半導体層90との間の絶縁層(第1絶縁膜)74aと、画素電極72と共通電極comとの間の絶縁層(第2絶縁膜)74bと、が積層されている。より具体的には、絶縁層74aは、各部が透光性基板71または走査線24と接する位置(層)に積層されている。絶縁層74bは、各部が信号線25、半導体層90または絶縁膜74aの表面に接する位置(層)に積層されている。本実施形態の絶縁膜74a及び絶縁膜74bは、SiNx(窒化シリコン)又は酸化シリコンの無機絶縁層である。また、絶縁膜74bは、ポリイミド樹脂などの有機系絶縁材料で形成されている。なお、絶縁膜74a、74bの各層を形成する材料はこれに限定されない。また、絶縁膜74a、74bは、同じ絶縁材料であってもよく、いずれかが異なる絶縁材料であってもよい。
【0036】
図5及び
図6に示すように、走査線24は、半導体層90の一部と立体交差して、トランジスタTr1のゲートとして作用する。走査線24と半導体層90の一部とが立体交差した箇所は1カ所であり、トランジスタTr1は、nチャネルであるチャネル領域chを備えるシングルゲートトランジスタである。半導体層90は、例えば、アモルファスシリコ
ンで形成されている。信号線25は、透光性基板71の表面と平行な平面に延在し、画素に画像を表示するための画素信号を供給する。半導体層90は、一部が信号線25のソース線25aと接し、他の一部が信号線25と同一の層に形成されたドレイン線25bと電気的に接続している。本実施形態のドレイン線25bは、スルーホールSH1において、画素電極72と電気的に接続している。本実施形態において、走査線24は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)等の金属の配線であり、信号線25は、アルミニウム等の金属の配線である。共通電位補助配線COMLは、アルミニウム等の金属の配線である。本実施形態の画素基板60は、透光性基板71上に、共通電位補助配線COML、走査線24及び共通電極com、絶縁膜74a、信号線25及び半導体層90、絶縁膜74b、画素電極72の順で積層されている。
【0037】
画素基板60は、各画素Vpixに対応して画素電極72に開口SLが形成されており、共通電極comと画素電極72との間に形成される電界のうち、画素電極72の開口SLからもれた電界(フリンジ電界)で液晶54を駆動させる。
【0038】
共通電位補助配線COMLは、共通電極comへコモン電位Vcomを給電する配線であり、共通電極comとスルーホールSH2で電気的に接続することでコモン電位Vcomを給電している。
【0039】
図7は、本実施形態に係る液晶表示装置の周辺回路を模式的に示す平面図である。
図8は、本実施形態に係る液晶表示装置の周辺回路の一例を模式的に示す断面図である。
図8は、
図7のA1−A2断面を示している。
図7に示す薄膜トランジスタであるトランジスタTr2は、第1垂直ドライバ22A又は第2垂直ドライバ22Bのシフトレジスタの一部である。
【0040】
シフトレジスタは、コンデンサを介して接続されたトランジスタTr2が多段に接続されている。例えば、単位回路ごとに、トランジスタTr2が走査線の電位を所定時間内にローレベル(下位電位)に立ち下げ、走査パルスを生成する。このため、シフトレジスタには、ローレベル(下位電位)の電位を給電する下位電位配線32と、トランジスタTr2を動作させる周辺回路用ゲート線31が入力されている。トランジスタTr2は、前段のトランジスタTr2に接続されたコンデンサと接続する周辺回路用ソース電極33bと、後段のトランジスタTr2にコンデンサを介して接続する周辺回路用ドレイン電極33aと、半導体層91と、を備えている。
図8に示すように、周辺回路用ゲート線31は、半導体層91の一部と立体交差して、トランジスタTr2のゲートとして作用する。周辺回路用ゲート線31と半導体層91の一部とが立体交差した箇所は1カ所であり、トランジスタTr2は、nチャネルであるチャネル領域chを備えるシングルゲートトランジスタである。半導体層91は、例えば、アモルファスシリコ
ンで形成されている。また、
図7に示すトランジスタTr2は、
図6に示す画素内の薄膜トランジスタTr1を形成するための製造プロセスを用いて、透光性基板71上で一体成形できる。これにより、製造プロセスを短縮でき、液晶表示部2を小型にすることができる。
【0041】
半導体層91は、ゲートのチャネル領域chに電圧を繰り返し印加すると閾値電圧が変動する閾値電圧シフトと呼ばれる特性を有する。特に、半導体層91がアモルファスシリコンである場合、0V電位時の電流が大きいと消費電力が大きくなり、回路が動作しない可能性がある。
図9は、トランジスタの特性を説明するための説明図である。
図9に示すように、長時間動作した薄膜トランジスタは、I−V特性曲線CstがI−V曲線Cdpに閾値電圧シフト(矢印SF方向にシフト)し、0V電位の電流が増加する可能性がある。これにより、シフトレジスタが誤動作し、表示装置1は、ある画素へ走査する垂直走査パルスが適切でなくなり、画面の表示が乱れる可能性がある。
【0042】
本実施形態のトランジスタTr2は、画素基板60の表面に垂直な方向においてトランジスタTr2に積層された無機絶縁層74bを介して設けられ、チャネル領域chを覆う、導電層34を備える。導電層34は、画素電極72又は共通電極comと同時にパターニングされ、形成されたITOであることが、プロセス工数を削減するために好ましい。導電層34は、下位電位配線32とスルーホールSH3で電気的に接続されている。これにより、
図8に示す導電層34と半導体層91とが絶縁層74bを介して対向し、導電層34に給電された負の電位が薄膜トランジスタTrのチャネル領域chの動作へ影響を及ぼすことができる。絶縁層74bは、画素基板60の表面に垂直な方向においてチャネル領域chとオーバーラップし、厚みdは50nm以上1000nm以下であることが好ましい。絶縁層74bの厚みdは50nm以上とすることで、導電層34とソース線25aとの絶縁性を確保できる。絶縁層74bの厚みdは1000nm以下とすることで、導電層34に給電された電位が薄膜トランジスタTrのチャネル領域chの動作へ影響を高めることができる。なお、
図8に示すスルーホールSH3において、トランジスタTr1と同じプロセスで形成するため、共通電極comを形成するためのITOを利用した、かさ上げ導電層35を形成してもよい。
【0043】
図10は、トランジスタの特性を説明するための説明図である。
図10に示すように、スイッチング素子であるトランジスタTr2は、所定の電流−電圧特性(I−V特性)を有しており、画素基板60の表面に垂直な方向において薄膜トランジスタTrに積層された無機絶縁層74bを介して設けられ、チャネル領域chを覆う、導電層34を備え、導電層34には、負の電位が印加されていれば、導電層34に電位が印加されていないI−V特性曲線Cstよりも、予め閾値電圧を下げるようにシフトしたI−V特性曲線Csfとすることができる。これにより、ゲートのチャネル領域chに電圧を繰り返し印加して生じる閾値電圧シフトが発生しても、0V電流の増加を抑制できる。
【0044】
このように、本実施形態に係る表示装置1は、第1基板である画素基板60と、画素電極60に対向配置された第2基板である対向基板64と、画素基板60と対向基板64との間に配置される液晶層54と、を備える。画素基板60は、マトリクス状に配置された複数の画素が配置された表示エリア部21と、表示エリア部21の外側に位置する額縁領域11gl、11grと、を備える。額縁領域11gl、11grには、表示エリア部21の画素を駆動する周辺回路である垂直ドライバ(垂直駆動回路)22A、22Bを含み、垂直ドライバ(垂直駆動回路)22A、22BのトランジスタTr2には、画素基板60の表面に垂直な方向においてトランジスタTr2に積層された無機絶縁層74bを介して導電層34が設けられる。そして、導電層34には、負の電位が印加されている。このトランジスタTr2は、長時間動作などにより、ゲートのチャネル領域chに電圧を繰り返し印加して生じる閾値電圧シフトが発生しても、0V電流の増加を抑制できる。その結果、長時間動作に起因する周辺回路の誤動作が低減し、液晶層54の表示ムラが抑制され、表示装置1は、表示品質が向上する。表示装置1を利用した電子機器は、表示品質が向上するので、操作性が向上する。
【0045】
導電層34には、負の電位が印加されていれば、導電層34への給電用の専用配線を備えてもよい。上述したように、本実施形態の下位電位配線32を利用することにより、導電層34への給電用の専用配線を削減できるので、表示に寄与しない額縁領域を低減できる。
【0046】
なお、本実施形態の画素電極72は、共通電極comよりも液晶層54側にあるがこの態様に限られず、共通電極comを画素電極72よりも液晶層54側にあるようにしてもよい。この別態様の場合、画素基板60は、各画素Vpixに対応して共通電極comに開口SLが形成されており、共通電極comと画素電極72との間に形成される電界のうち、共通電極comの開口SLからもれた電界(フリンジ電界)で液晶54を駆動させる。このような構造にすることにより、本実施形態で配置した共通電位補助配線COMLを備えなくてもよい。その結果、開口効率を向上させることができる。
【0047】
(適用例)
次に、
図11を参照して、実施形態で説明した表示装置1の適用例について説明する。
図11は、本実施形態に係る液晶表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。本実施形態に係る表示装置1は、カーナビゲーションシステム、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、本実施形態に係る表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。電子機器は、液晶表示装置に映像信号を供給し、液晶表示装置の動作を制御する制御装置を備える。
【0048】
図11に示す電子機器は、本実施形態に係る表示装置1が適用されるカーナビゲーション装置である。表示装置1は、自動車の車内のダッシュボード300に設置される。具体的にはダッシュボード300の運転席311と助手席312の間に設置される。カーナビゲーション装置の表示装置1は、ナビゲーション表示、音楽操作画面の表示、又は、映画再生表示等に利用される。
【0049】
また、上述した内容により実施形態が限定されるものではない。また、上述した実施形態の構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、上述の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更を行うことができる。