特許第6105462号(P6105462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105462
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ロードセルユニットおよび秤装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/02 20060101AFI20170316BHJP
   G01G 3/14 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   G01G23/02 A
   G01G3/14
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-267183(P2013-267183)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-124998(P2015-124998A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川邉 雄一朗
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−098597(JP,A)
【文献】 特開2008−003031(JP,A)
【文献】 特開昭57−142520(JP,A)
【文献】 特開平08−043184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 3/14, 23/02
G01L 1/22, 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部に固定される固定部と、計量対象の荷重を受ける可動部と、を有し、荷重を受けると変形するロードセルと、
貫通孔を有し、前記基部に対して固定的に設けられた上側制限部と、
前記基部に対して固定的に設けられ、前記上側制限部の下に間隔をあけて配された下側制限部と、
前記可動部に対して固定的に設けられ、前記上側制限部と前記下側制限部との間に位置し、前記上側制限部および前記下側制限部と所定の隙間を介して対向する被制限部と、
前記上側制限部が有する前記貫通孔の上からの調節作業によって前記下側制限部との距離を変更自在に、前記被制限部に取り付けられた過荷重調節部と、
前記過荷重調節部と平面視において重ならない位置に設けられ、前記上側制限部の上からの調節作業によって前記被制限部との距離を変更自在に、前記上側制限部に取り付けられた逆さ落下衝撃調節部と、
を備えるロードセルユニット。
【請求項2】
前記過荷重調節部と前記逆さ落下衝撃調節部とは、前記固定部から前記可動部へ向かう方向に沿ってずれた位置に配置されている
請求項1に記載のロードセルユニット。
【請求項3】
前記被制限部は、前記固定部から遠ざかる側へ向かって前記可動部から突出している
請求項1または2に記載のロードセルユニット。
【請求項4】
前記被制限部は、前記可動部の端から水平方向に延出する
請求項1〜3のいずれか1つに記載のロードセルユニット。
【請求項5】
前記過荷重調節部および前記逆さ落下衝撃調節部の両方または一方は、取り付け相手と螺合する螺子である
請求項1〜4のいずれか1つに記載のロードセルユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のロードセルユニットと、
前記ロードセルユニットに連結され、計量対象が載置される上皿と、
前記ロードセルユニットからの出力に基づいて前記計量対象の重さを算出する制御部と、
を備える秤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ロードセルユニットおよび秤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロードセルを備える秤装置は、ロードセルが過荷重により塑性変形を起こさないよう、過荷重を食い止めるストッパーを備えている。また、秤装置は、秤装置が逆さ落下した場合に、ロードセルが衝撃により塑性変形を起こさないようにするストッパーをも、一般に備えている。
【0003】
ストッパーは、例えば、ロードセルの荷重により変位する可動部の対象部位に、所定寸法の隙間を介して対向することにより、可動部の過剰な変位を制限するように配されている。上述の2種類のストッパーは、可動部のそれぞれ逆方向の変位を制限する。
【0004】
このようなストッパーは、少なくとも、ロードセルの対象部位に対して距離を調節自在な調節部と、当該調節部を保持し、基部に対して不動な保持部とを要する。そして、従来、過荷重用のストッパーと逆さ落下衝撃用のストッパーとを別々に設けているので、それぞれに調節部と保持部とを要している。このため、部品点数が多くなり、延いては装置の大型化を招いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、小型化可能なロードセルユニットおよび秤装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のロードセルユニットは、ロードセルと、上側制限部と、下側制限部と、被制限部と、過荷重調節部と、逆さ落下衝撃調節部と、を備える。ロードセルは、基部に固定される固定部と、計量対象の荷重を受ける可動部と、を有し、荷重を受けると変形する。上側制限部は、貫通孔を有し、前記基部に対して固定的に設けられている。下側制限部は、前記基部に対して固定的に設けられ、前記上側制限部の下に間隔をあけて配されている。被制限部は、前記可動部に対して固定的に設けられ、前記上側制限部と前記下側制限部との間に位置し、前記上側制限部および前記下側制限部と所定の隙間を介して対向する。過荷重調節部は、前記上側制限部が有する前記貫通孔の上からの調節作業によって前記下側制限部との距離を変更自在に、前記被制限部に取り付けられている。逆さ落下衝撃調節部は、前記過荷重調節部と平面視において重ならない位置に設けられ、前記上側制限部の上からの調節作業によって前記被制限部との距離を変更自在に、前記上側制限部に取り付けられている。
【0007】
また、実施形態の秤装置は、上述のロードセルユニットと、前記ロードセルユニットに連結され、計量対象が載置される上皿と、前記ロードセルユニットからの出力に基づいて前記計量対象の重さを算出する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の秤装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態の秤装置の構成を示す断面図である。
図3図3は、実施形態の本体が備えるフレームの外観を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態のロードセルユニットの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面を用いて説明する。図1は、秤装置1の外観を示す斜視図である。図2は、秤装置1の構成を示す断面図である。秤装置1は、まず図1に示すように、本体2、上皿3、操作表示パネル4、および客用パネル5を備えている。また、秤装置1は、図2に示すように、概ね直方体の箱状をなす本体2内に、ロードセルユニット6および制御部7を備えている。
【0010】
上皿3は、略水平に設置され、計量対象が載せられる台である。上皿3にかかる荷重は、ロードセルユニット6が備えるロードセル61に、伝えられる。ロードセル61は、上皿3にかかる荷重を受けて、荷重に応じた信号を出力する。該出力に基づいて、制御部7は、荷重の値を算出する。
【0011】
操作表示パネル4は、操作部41および表示部42を有する。操作部41は、例えばキーボードである。表示部42は、例えば液晶パネルである。操作表示パネル4は、操作部41により店員による操作を受け付けるとともに、表示部42により店員を対象とした各種情報を表示する。
【0012】
客用パネル5は、操作部および表示部(いずれも不図示)を有する。操作部は、例えばキーボードである。表示部は、例えば液晶パネルである。客用パネル5は、操作部により客による操作を受け付けるとともに、表示部により客を対象とした各種情報を表示する。なお、客用パネル5は、操作部を有しない表示専用のものであってもよい。
【0013】
図3は、本体2が備えるフレーム21の外観を示す斜視図である。フレーム21は、本体2の骨組であって、基部となる部材である。フレーム21は、枠状の土台211、該土台211に立てられた柱212、および、該柱212の上に固定された平面状の天板213、により構成される。天板213は、上皿3の直下に位置する。本体2は、フレーム21に側壁22(図1参照)などの部材を固定して構成される。
【0014】
図4は、ロードセルユニット6の構成を示す断面図である。ロードセルユニット6は、ロードセル61、被制限部62、下側制限部63、上側制限部64、過荷重調節部65、および逆さ落下衝撃調節部66を備えている。
【0015】
ロードセル61は、ビーム型、シングルポイント型などと呼ばれるものであって、横長のブロックの中央部に孔を有する形状をなし、一端側に固定部611を、他端側に可動部612を有し、さらに、不図示のひずみゲージを有している。
【0016】
固定部611は、フレーム21の天板213の下面に、螺子止めにより固定されている。ここで、天板213の上面には、補強板23が取り付けられている。補強板23は、長方形の板金であって、天板213を上面から補強している。固定部611は、補強板23の上面側から差し込まれる螺子24と螺合する。
【0017】
可動部612は、上皿3にかかる荷重を受ける箇所である。ひずみゲージは、ロードセル61の荷重に応じて変形する部分に貼付されていて、変形すると抵抗値が変化する。ロードセル61は、ひずみゲージの抵抗値の変化に応じた信号を出力する。
【0018】
被制限部62は、可動部612に対して固定的つまり位置不動に設けられた部材であって、例えば、可動部612の上面に固定された板金である。被制限部62は、可動部612の端から、平面視において突出する。より詳細には、被制限部62は、固定部611から遠ざかる方向へ向かって可動部612から突出している。さらに、被制限部62は、可動部612の端から概ね水平方向に延出している。
【0019】
下側制限部63は、フレーム21(基部)に対して固定的に設けられ、被制限部62の下面に所定の隙間を介して対向する。より詳細には、下側制限部63は、曲げ板金67の一端部である。曲げ板金67には、Z曲げ(あるいは段曲げ)と呼ばれる加工が施されている。曲げ板金67の他端部は、フレーム21の下面に固定されている。
【0020】
上側制限部64は、フレーム21の被制限部62の上面に対向する部分である。つまり、フレーム21(基部)に対して固定的に設けられ、被制限部62の上面に所定の隙間を介して対向する。
【0021】
上述のように、下側制限部63と上側制限部64とは、いずれもフレーム21に対して固定的に設けられていて、また互いに近接していて、言い換えれば、一体化している。そして、被制限部62は、間隔をあけて配されている上側制限部64と下側制限部63との間に位置し、且つ、上側制限部64および下側制限部63の各々と、所定寸法の隙間を介して対向する。
【0022】
過荷重調節部65は、下側制限部63との距離を変更自在に、被制限部62に取り付けられている。より詳細には、過荷重調節部65は、例えば、雄螺子であって、被制限部62に形成された雌螺子と螺合する。なお、フレーム21および補強板23の上側制限部64に該当する位置には、過荷重調節部65である螺子の上端部が露出可能な孔64aが、形成されている。
【0023】
逆さ落下衝撃調節部66は、被制限部62との距離を変更自在に、上側制限部64に取り付けられている。より詳細には、逆さ落下衝撃調節部66は、例えば、雄螺子であって、上側制限部64に形成された雌螺子と螺合する。
【0024】
可動部612には、上皿3が間接的に連結されている。可動部612と上皿3との間には、ブロック31、皿受けフレーム32、および皿受けゴム33が配されている。
【0025】
ブロック31は、可動部612の上面に螺子止め固定されている。また、ブロック31は、図3に示すようにフレーム21に形成された孔21aと干渉し、可動部612の横移動範囲を制限する。
なお、孔21aと孔64aとは、連続している。
【0026】
皿受けフレーム32は、ブロック31の上に、概ね水平に保たれるよう固定されている。上皿3は、皿受けフレーム32の上を覆う。皿受けゴム33は、皿受けフレーム32と上皿3との間の複数個所に配されている。
【0027】
このような構成において、秤装置1は、上皿3に計量対象が載せられると、上皿3、皿受けフレーム32、皿受けゴム33、ブロック31を介して、可動部612が荷重を受ける。すると、荷重によるひずみゲージの変形に応じた信号をロードセル61が制御部7へと出力する。そして、制御部7が、ロードセル61からの出力に基づいて、荷重の値を算出する。
【0028】
過荷重調節部65は、ロードセル61が、計量状態で過剰な荷重を受けることを防止する。過剰とする荷重の制限値の調節は、過荷重調節部65と被制限部62との螺合位置を変更することによって、行われる。言い換えると、過荷重調節部65の下端と、下側制限部63の上面と、の間の距離を調節することによって、行われる。該調節作業は、孔64aを介して、フレーム21および補強板23の上から容易に行うことが可能である。
【0029】
可動部612が荷重を受けて下方へ移動すると、過荷重調節部65も下方へ移動する。過荷重調節部65は、下端が下側制限部63の上面に到達すると、それ以上移動できなくなる。これにより、可動部612の移動が制限されて、ロードセル61が過剰な荷重を受けることが防止される。
【0030】
逆さ落下衝撃調節部66は、秤装置1が逆さ落下した場合に、ロードセル61が、計量時とは逆方向の過剰な荷重を受けることを防止する。過剰とする荷重の制限値の調節は、逆さ落下衝撃調節部66と上側制限部64との螺合位置を変更することによって、行われる。言い換えると、逆さ落下衝撃調節部66の下端と、被制限部62の上面と、の間の距離を調節することによって、行われる。
【0031】
秤装置1が逆さ落下による衝撃を受けると、可動部612は、図4中における上方へ移動する。被制限部62は、上面が逆さ落下衝撃調節部66の下端に到達すると、それ以上移動できなくなる。これにより、可動部612の移動が制限されて、ロードセル61が計量時とは逆方向の過剰な荷重を受けることが防止される。
【0032】
このように、本実施形態によれば、過荷重および逆さ落下衝撃からロードセル61を保護するストッパーの設置位置をまとめ、構成部品を整理し、共通化したことにより、部品点数を減らすことができ、また、設置範囲を狭めることができ、延いては秤装置1を小型化することができる。つまり、本実施形態により、省スペース化が可能となる。
【0033】
なお、上記実施形態では、被制限部62と可動部612とを別部材としたが、実施にあたっては、例えば可動部612の所定箇所を被制限部とするなど、被制限部62と可動部612とが同一部材であってもよい。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1…秤装置、
2…本体、
21…フレーム、21a…孔、
211…土台、212…柱、213…天板、
22…側壁、
23…補強板、
24…螺子、
3…上皿、
31…ブロック、32…皿受けフレーム、33…皿受けゴム、
4…操作表示パネル、
41…操作部、42…表示部、
5…客用パネル、
6…ロードセルユニット、
61…ロードセル、
611…固定部、612…可動部、
62…被制限部、
63…下側制限部、
64…上側制限部、64a…孔、
65…過荷重調節部、
66…逆さ落下衝撃調節部、
67…曲げ板金、
7…制御部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2002−98597号公報
図1
図2
図3
図4