【文献】
MINDT THOMAS L,MODIFICATION OF DIFFERENT IGG1 ANTIBODIES VIA GLUTAMINE AND LYSINE 以下備考,BIOCONJUGATE CHEMISTRY,2008年 1月,V19 N1,P271-278,USING BACTERIAL AND HUMAN TISSUE TRANSGLUTAMINASE
【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アシルドナーグルタミン含有タグが、Fc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない、請求項1に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
Fc含有ポリペプチドが、同一の位置にある野生型Fc含有ポリペプチドと比較して、カルボキシル末端内の最後のアミノ酸位置でのアミノ酸修飾を含む、請求項1に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
アシルドナーグルタミン含有タグが、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖の両方のカルボキシル末端に位置する、請求項4に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
アシルドナーグルタミン含有タグが、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、第1のアシルドナーグルタミン含有タグが、重鎖のカルボキシル末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグが、Fc含有ポリペプチド上の別の部位のどこかに位置する、請求項5に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
アシルドナーグルタミン含有タグが、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖の両方のアミノ末端にあるFc含有ポリペプチドに位置する、請求項4に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
Fc含有ポリペプチドが抗体を含み、抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、または抗体断片である、請求項1に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
アミンドナー単位−リンカー(X−Y)が、Ac−Lys−Gly、アミノカプロン酸、Ac−Lys−β−Ala、アミノ−PEG2−C2、アミノ−PEG3−C2、アミノ−PEG6−C2、Ac−Lys−Val−Cit−PABC、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC、プトレシン、およびAc−Lys−プトレシンからなる群から選択される、請求項11に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
細胞傷害物質が、アントラサイクリン、オーリスタチン、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN−38、ツブリシン、ヘミアステリン、およびその立体異性体、アイソスター、類似体、または誘導体からなる群から選択される、請求項13に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
アミンドナー物質が、Alexa488カダベリン、5−FITCカダベリン、Alexa647カダベリン、Alexa350カダベリン、5−TAMRAカダベリン、5−FAMカダベリン、SR101カダベリン、5,6−TAMRAカダベリン、5−FAMリジン、Ac−LysGly−MMAD、アミノ−PEG3−C2−MMAD、アミノ−PEG6−C2−MMAD、アミノ−PEG3−C2−アミノ−ノナノイル−MMAD、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAD、Ac−Lys−Val−Cit−PABC−MMAD、アミノカプロイル−MMAD、Ac−Lys−β−Ala−MMAD、アミノ−PEG2−C2−MMAE、アミノカプロイル−MMAE、アミノ−PEG3−C2−MMAE、アミノカプロイル−MMAF、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAE、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAF、プトレシニル−ゲルダナマイシン、およびAc−Lys−プトレシニル−ゲルダナマイシンからなる群から選択される、請求項11に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
アミンドナー物質が、アミノ−PEG6−C2−MMADまたはアミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMADである、請求項15に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
アミンドナー単位−リンカー(X−Y)が分岐鎖状の単位であり、作用物質部分が少なくとも約2つの作用物質部分を含む、請求項11に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
アシルドナーグルタミン含有タグが、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、第1のアシルドナーグルタミン含有タグが、重鎖のカルボキシル末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグが、抗体の別の部位のどこかに位置する、請求項21に記載の方法。
第1のアシルドナーグルタミン含有タグが、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)またはLLQGA(配列番号48)を含み、第2のアシルドナーグルタミン含有タグが、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)またはLLQGA(配列番号48)を含む、請求項22に記載の方法。
操作されたアシルドナーグルタミン含有タグ、または、操作されたFc含有ポリペプチドが、ヒトIgGの配列297番目のアミノ酸であるアスパラギンをグルタミンに置換したものではない、請求項1に記載の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンパク質のコンジュゲーションにトランスグルタミナーゼを用いる酵素的アプローチは、抗体/タンパク質と薬剤との「残基特異的な」コンジュゲーションに代わるものとして最近調査されている。トランスグルタミナーゼ(EC2.3.2.13、タンパク質−グルタミン:ガンマグルタミルトランスフェラーゼ;タンパク質−グルタミン:アミンγ−グルタミルトランスフェラーゼ、CAS80146−85−6)は、第一級アミンへのアシル付加を触媒する酵素ファミリーに属し、ここで、ペプチド結合したγ−グルタニル残基のガンマカルボキサミド基はアシルドナーであり、第一級アミンはアシルアクセプターおよびアミンドナーである。トランスグルタミナーゼは、例えば、タンパク質へのタンパク質の付着のために用いられている。例えば、Tanakaら、FEBS Letters 579:2092〜2096(2005)を参照されたい。トランスグルタミナーゼを用いる抗体の酵素的修飾もまた、報告されている。Jostenら、J.of Immunological Methods 240:47〜54(2000);Takazawaら、Biotechnology and Bioengineering 86(4):399〜404(2004);およびMindtら、Bioconjugate Chem 19:271〜27(2008)を参照されたい。トランスグルタミナーゼを用いるタンパク質のコンジュゲーションまたは修飾は、高い選択性、単純な反応手順、および穏やかな反応条件という利点をもたらす。しかし、これまで、トランスグルタミナーゼの基質特異性に起因して、トランスグルタミナーゼによって仲介される抗体およびタンパク質の部位特異的なコンジュゲーションは、明確に確立されてはいない。したがって、トランスグルタミナーゼを用いて部位特異的なおよび均質な抗体−薬剤コンジュゲート、抗体コンジュゲート、またはタンパク質コンジュゲートを生成するためのさらに効率的な方法が必要とされている。
【0006】
本願において引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個別の刊行物、特許、および特許出願が参照することによってそのように組み込まれることが具体的におよび個別に示されるかのように、同程度に全ての目的で、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。限定はしないが定義された用語、用語の使用、記載された技術などを含む、組み込まれた文献および類似の材料の1つまたは複数が、本願と異なるかまたは矛盾する場合、本願が優先される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、Fc含有ポリペプチド−薬剤コンジュゲート、二重特異的抗体、Fab含有ポリペプチド−生体適合性ポリマーコンジュゲート、および毒素−生体適合性ポリマーコンジュゲート)およびトランスグルタミナーゼを用いてそれを作製する方法を提供する。本発明者らは、アシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、Gln含有ペプチドタグまたはQタグ)またはポリペプチドの操作(例えば、ポリペプチド上でのアミノ酸の欠失、挿入、置換、または突然変異を介する)によって反応性にされた内因性グルタミンで操作されたFc含有ポリペプチドが、トランスグルタミナーゼの存在下でアミンドナー物質(例えば、反応性アミンを含むかまたはそれに付着した低分子)と共有結合によって架橋して、アミンドナー物質がアシルドナーグルタミン含有タグまたはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミンを介してFc含有ポリペプチドに部位特異的にコンジュゲートしている、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートの安定なおよび均質な集団を形成し得ることを発見した。アシルドナーグルタミン含有タグ(または反応性の内因性グルタミン)で操作されたFc含有ポリペプチドとアミンドナー物質とのコンジュゲーション効率は、少なくとも約51%であり、Fc含有ポリペプチドとアミンドナー物質との間のコンジュゲーション効率は、アシルドナーグルタミン含有タグまたはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミンの不存在下で、約5%未満である。例えば、Gln含有ペプチドタグに空間的に隣接したFc含有ポリペプチドにおける最後のアミノ酸の欠失またはLys(リジン)から別のアミノ酸への突然変異は、Fc含有ポリペプチドと低分子(例えば、細胞傷害物質またはイメージング剤)とのコンジュゲーション効率を有意に増大させる。本発明者らはさらに、トランスグルタミナーゼの存在下で、安定なおよび均質な二重特異的抗体集団が、還元環境において、あるエピトープに対する第1のFc含有ポリペプチドに対して操作されたGln含有ペプチドタグおよび第2のエピトープに対する第2のFc含有ポリペプチドに対して操作された別のペプチドタグ(例えば、Lys含有ポリペプチドタグ)を用いて生成され得ることを発見した。類似の二重特異的抗体はまた、2つのGln含有ペプチドタグに対して操作された2つの異なるFc含有ポリペプチドとジアミンとを組み合わせることによって作製され得る。本発明者らはさらに、トランスグルタミナーゼの存在下で、長い半減期を有する安定なおよび均質なFab含有ポリペプチドコンジュゲートまたは毒素ポリペプチドコンジュゲートが、Fab含有ポリペプチドまたは毒素ポリペプチドに対して操作されたGln含有ペプチドタグと生体適合性ポリマーとを共有結合によって反応させることによって作製され得ることを発見した。さらに、本明細書において記載されるアシルドナーグルタミン含有タグ、Fc含有ポリペプチド、および/またはアミンドナー物質の選択によって、部位特異的なコンジュゲーションが可能になる。
【0008】
1つの態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位で操作された(例えば、挿入または1つもしくは複数の野生型アミノ酸の置き換え/置換を介して)アシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性(すなわち、アミンおよびトランスグルタミナーゼの存在下でアシルドナーとして共有結合を形成する能力)にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、Fc含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートしている。
【0009】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、Fc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない(すなわち、アシルドナーおよびトランスグルタミナーゼの存在下でアミンドナーとして共有結合を形成する能力)。
【0010】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグの操作またはFc含有ポリペプチドの操作は、アミノ酸の欠失、挿入、置換、突然変異、またはその任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグの操作またはFc含有ポリペプチドの操作は、ヒトIgGの297位でのアスパラギン(Asn)からグルタミンへのアミノ酸置換ではない(Kabatナンバリングスキーム)。
【0011】
いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、式:X−Y−Zを有し、式中、Xはアミンドナー単位であり、Yはリンカーであり、Zは作用物質部分である。いくつかの実施形態において、アミンドナー単位−リンカー(Y−Z)は分岐鎖状の単位であり、作用物質部分(Z)は、少なくとも約2つの作用物質部分を含む。いくつかの実施形態において、アミンドナー単位−リンカーは、線状の単位である。いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、Alexa488カダベリン、5−FITCカダベリン、Alexa647カダベリン、Alexa350カダベリン、5−TAMRAカダベリン、5−FAMカダベリン、SR101カダベリン、5,6−TAMRAカダベリン、5−FAMリジン、Ac(アセチル)−LysGly−MMAD(モノメチルオーリスタチンD)、アミノ−PEG3(ポリエチレングリコール)−C2−MMAD、アミノ−PEG6 C2−MMAD、アミノ−PEG3−C2−アミノ−ノナノイル−MMAD、アミノカプロイル−Val(バリン)−Cit(シトルリン)−PABC(p−アミノベンジルオキシカルボニル)−MMAD、Ac−Lys−Val−Cit−PABC−MMAD、アミノカプロイル−MMAD、Ac−Lys−β−Ala−MMAD、アミノ−PEG2−C2−MMAE(モノメチルオーリスタチンE)、アミノカプロイル−MMAE、アミノ−PEG3−C2−MMAE、アミノカプロイル−MMAF(モノメチルオーリスタチンF)、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAE、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAF、プトレシニル−ゲルダナマイシン、およびAc−Lys−プトレシニル−ゲルダナマイシンからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態において、アミンドナー単位−リンカーは、Ac−Lys−Gly、アミノカプロン酸、Ac−Lys−β−Ala、アミノ−PEG2−C2、アミノ−PEG3−C2、アミノ−PEG6−C2、Ac−Lys−Val−Cit−PABC、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC、プトレシン、およびAc−Lys−プトレシンからなる群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態において、作用物質部分は低分子である。いくつかの実施形態において、低分子は、細胞傷害物質またはイメージング剤である。いくつかの実施形態において、細胞傷害物質は、アントラサイクリン、オーリスタチン、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN−38、ツブリシン、ヘミアステリンおよびその立体異性体、アイソスター、類似体、または誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、作用物質部分は、生体適合性ポリマーまたはポリペプチドである。
【0014】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、または第1のFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドおよびタグを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋している。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的なFc含有ポリペプチド(例えば、二重特異的抗体)である。
【0015】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋している。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的なFc含有ポリペプチド(例えば、二重特異的抗体)である。
【0016】
いくつかの実施形態において、タグはGまたはGGを含み、タグは、第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接している。
【0017】
いくつかの実施形態において、タグは、Lysを含むアミンドナータグである。いくつかの実施形態において、アミンドナータグは、アミノ酸配列KGを含む。いくつかの実施形態において、アミンドナータグは、KGG、GKGG(配列番号11)、GSKGG(配列番号12)、GSGKGG(配列番号13)、およびGSGGKGG(配列番号14)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドにそれぞれ架橋した第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含む、アシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、第1および第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、互いに部位特異的に架橋している。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的なFc含有ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、反応性Glnを含まない。いくつかの実施形態において、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysにそれぞれ空間的に隣接していない。
【0019】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドに架橋したアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、アシルドナーグルタミン含有タグは、第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋している。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的なFc含有ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、反応性Glnを含まない。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに隣接していない。
【0020】
いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、ジアミンを含む化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、プトレシン(ブタン−1,4−ジアミン)、エチレンジアミン、カダベリン(ペンタン−1,5−ジアミン)、スペルミジン、スペルミン、ヒドラジン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルエチレンジアミン、1,8−ジアミノナフタレン、およびその立体異性体、アイソスター、類似体、または誘導体からなる群から選択される。
【0021】
別の態様において、本発明は、式:(Fab含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFab含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、Fab含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、1つのGlnを含む。
【0022】
別の態様において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Aを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、または毒素ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、毒素ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)および生体適合性ポリマーの両方は、トランスグルタミナーゼの基質である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)と生体適合性ポリマーとの間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。
【0023】
1つの変型において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Bを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Bは生体適合性ポリマーであり、毒素ポリペプチドは、生体適合性ポリマー内のいずれかの部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態において、生体適合性ポリマー内のアシルドナーグルタミン含有タグは、毒素ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接している。いくつかの実施形態において、毒素ポリペプチドは、Lysを含むアミンドナータグを含む。
【0024】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、Fc含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに位置するFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)アミンドナー物質を操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作された(Fc含有ポリペプチド)−Tをアミンドナー物質に共有結合によって連結させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0025】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドおよびタグを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに位置する第1のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)タグに位置する第2のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグを提供するステップ、c)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子と還元環境において接触させるステップ、およびd)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子にトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって連結させて、Fc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列GSPLAQSHGG(配列番号7)を含み、アミンドナータグは、アミノ酸配列GSGGKGG(配列番号14)を含む。いくつかの実施形態において、操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子への操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態において、アシルドナータグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない。
【0026】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグに位置する第1のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)第2のFc含有ポリペプチドを提供するステップ、c)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2のFc含有ポリペプチドと還元環境において接触させるステップ、およびd)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2のFc含有ポリペプチドにトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって連結させて、Fc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列GSPLAQSHGG(配列番号7)を含み、アミンドナータグは、アミノ酸配列GSGGKGG(配列番号14)を含む。いくつかの実施形態において、第2のFc含有ポリペプチドへの操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない。
【0027】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドにそれぞれ架橋した第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含む、アシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、第1および第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、互いに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)第1のアシルドナーグルタミン含有タグに付着した第1のFc含有ポリペプチドを含む、第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)第2のアシルドナーグルタミン含有タグに付着した第2のFc含有ポリペプチドを含む、第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、c)第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子およびアミンドナー物質と還元環境において接触させるステップ、ならびにd)第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子とトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって反応させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysにそれぞれ空間的に隣接していない。
【0028】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドに架橋したアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、アシルドナーグルタミン含有タグは、第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)第1のアシルドナーグルタミン含有タグに付着した第1のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)第2のFc含有ポリペプチドを提供するステップ、c)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2のFc含有ポリペプチドおよびアミンドナー物質と還元環境において接触させるステップ、ならびにd)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2のFc含有ポリペプチドとトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって反応させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに隣接していない。
【0029】
別の態様において、本発明は、式:(Fab含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFab含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、Fab含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグに位置するFab含有ポリペプチドを含む操作された(Fab含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)生体適合性ポリマーを操作された(Fab含有ポリペプチド)−T分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作された(Fab含有ポリペプチド)−Tを生体適合性ポリマーに共有結合によって連結させて、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0030】
別の態様において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Aを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグまたは毒素ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンであり、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、毒素ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに位置する毒素ポリペプチドを含む操作された(毒素ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)生体適合性ポリマーを操作された(毒素ポリペプチド)−T分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作された(毒素ポリペプチド)−Tを生体適合性ポリマーに共有結合によって連結させて、操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0031】
別の態様において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Bを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Tはアシルドナーグルタミン含有タグであり、Bは生体適合性ポリマーであり、毒素ポリペプチドは、生体適合性ポリマー内の反応性部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)生体適合性ポリマーに位置するアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンを含む操作されたT−B分子を提供するステップ、b)毒素ポリペプチドを操作されたT−B分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作されたT−B分子を毒素ポリペプチドに共有結合によって連結させて、操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供される方法は、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、または操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートをアフィニティークロマトグラフィーステップによって精製する精製ステップをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、トランスグルタミナーゼは微生物タンパク質である。いくつかの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、精製トランスグルタミナーゼである。いくつかの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、カルシウム非依存性のトランスグルタミナーゼである。
【0034】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、少なくとも1つのGlnを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列XXQX(配列番号1)を含み、式中、Xは、アミノ酸(例えば、従来のアミノ酸Leu、Ala、Gly、Ser、Val、Phe、Tyr、His、Arg、Asn、Glu、Asp、Cys、Gln、Ile、Met、Pro、Thr、Lys、もしくはTrp、または非従来のアミノ酸)である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号2)、LLQG(配列番号3)、LSLSQG(配列番号4)、GGGLLQGG(配列番号5)、GLLQG(配列番号6)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号7)、GLLQGGG(配列番号8)、GLLQGG(配列番号9)、GLLQ(配列番号10)、LLQLLQGA(配列番号47)、LLQGA(配列番号48)、LLQYQGA(配列番号49)、LLQGSG(配列番号50)、LLQYQG(配列番号51)、LLQLLQG(配列番号52)、SLLQG(配列番号53)、LLQLQ(配列番号54)、LLQLLQ(配列番号55)、およびLLQGR(配列番号56)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドは、同一の位置にある野生型Fc含有ポリペプチドと比較して、カルボキシル末端内の最後のアミノ酸位置でのアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、修飾は、アミノ酸の欠失、挿入、置換、突然変異、またはその任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、置換は、野生型アミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることを含む。いくつかの実施形態において、修飾は、別のアミノ酸(1つまたは複数)を挿入すること(例えば、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のアミノ酸を挿入すること)を含む。いくつかの実施形態において、別のアミノ酸はArgである。
【0036】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドコンジュゲートは、完全長抗体重鎖および抗体軽鎖を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖の両方のカルボキシル末端にあるFc含有ポリペプチドまたはFab含有ポリペプチドに位置する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖のカルボキシル末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、軽鎖のカルボキシル末端に位置する。いくつかの実施形態において、第1のアシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、表7〜9に列挙されるグルタミン含有タグ)は、重鎖のカルボキシル末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、表7〜9に列挙されるグルタミン含有タグ)は、Fc含有ポリペプチド上の別の部位に位置する。いくつかの実施形態において、第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)またはLLQGA(配列番号48)を含み、第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)またはLLQGA(配列番号48)を含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖の両方のアミノ末端にあるFc含有ポリペプチドまたはFab含有ポリペプチドに位置する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖のアミノ末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、軽鎖のアミノ末端または別の部位に位置する。
【0038】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、挿入されるか、または抗体内の別の部位にある1つもしくは複数の野生型アミノ酸を置き換え、別の部位は、アミノ末端またはカルボキシル末端ではない。いくつかの実施形態において、別の部位は、表7、8、および9に列挙される様々な位置を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドまたはFab含有ポリペプチドは、抗体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、ダイアボディ、または抗体断片である。
【0040】
いくつかの実施形態において、抗体はIgGである。いくつかの実施形態において、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群から選択される。
【0041】
いくつかの実施形態において、IgGのエフェクター機能(例えば、Fcγ3および/またはC1qの結合によって測定される)は、野生型IgGと比較して最大約2分の1まで低下する。他の実施形態において、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して約2分の1に低下する。他の実施形態において、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して約2分の1未満に低下する。いくつかの実施形態において、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して約2倍超増大する。
【0042】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、挿入される(付着される)か、または毒素ポリペプチドのカルボキシル末端および/もしくはアミノ末端にある1つもしくは複数の野生型アミノ酸を置き換える。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、挿入されるか、または毒素ポリペプチド上の別の部位にある1つもしくは複数の野生型アミノ酸を置き換え、別の部位は、アミノ末端またはカルボキシル末端ではない。
【0043】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチドコンジュゲート)は、少なくとも約51%のコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、本明細書において記載される操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート(例えば、二重特異的抗体)は、少なくとも約30%のコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、少なくとも約95%のコンジュゲーション効率を有し、接触されるアミンドナー物質と接触される操作された(Fc含有ポリペプチド)との間の濃度比率は約50:1である。
【0044】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチドコンジュゲート)は、少なくとも約2時間のインビボでの曝露の後、少なくとも約20%で対象(例えば、哺乳動物)内に存在する。
【0045】
別の態様において、本発明は、本明細書において記載される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチドコンジュゲート)を含む組成物を提供する。
【0046】
別の態様において、本発明は、本明細書において記載される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチドコンジュゲート)および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0047】
別の態様において、本発明は、本明細書において記載される方法によって精製された、操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチドコンジュゲート)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、操作されたポリペプチドコンジュゲートおよびトランスグルタミナーゼを用いてそれを作製する方法を提供する。本発明者らは、アシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、Gln含有ペプチドタグ)またはポリペプチドの操作(例えば、ポリペプチドのアミノ酸の欠失、挿入、置換、または突然変異を介する)によって反応性にされた内因性グルタミンで操作されたFc含有ポリペプチドが、トランスグルタミナーゼの存在下でアミンドナー物質(例えば、アミンドナー単位を含むかまたはそれに付着した低分子)と共有結合によって架橋して、アミンドナー物質がアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンを介してFc含有ポリペプチドに部位特異的にコンジュゲートしている、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートの安定なおよび均質な集団を形成し得ることを発見した。アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)で操作されたFc含有ポリペプチドとアミンドナー物質とのコンジュゲーション効率は、少なくとも約51%であり、Fc含有ポリペプチドとアミンドナー物質との間のコンジュゲーション効率は、アシルドナーグルタミン含有タグまたはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミンの不存在下で、約5%未満である。例えば、Gln含有ペプチドタグに空間的に隣接したFc含有ポリペプチドにおける最後のアミノ酸の欠失またはLys(リジン)から別のアミノ酸への突然変異は、Fc含有ポリペプチドと低分子(例えば、細胞傷害物質またはイメージング剤)とのコンジュゲーション効率を有意に増大させる。本発明者らはまた、トランスグルタミナーゼの存在下で、安定なおよび均質な二重特異的抗体集団が、還元環境において、あるエピトープに対する第1のFc含有ポリペプチドに対して操作されたGln含有ペプチドタグおよび第2のエピトープに対する第2のFc含有ポリペプチドに対して操作された別のペプチドタグ(例えば、Lys含有ポリペプチドタグ)を用いて生成され得ることを発見した。類似の二重特異的抗体はまた、2つのGln含有ペプチドタグに対して操作された2つの異なるFc含有ポリペプチドをジアミンと組み合わせることによって作製され得る。本発明者らはさらに、トランスグルタミナーゼの存在下で、長い半減期を有する安定なおよび均質なFab含有ポリペプチドコンジュゲートまたは毒素ポリペプチドコンジュゲートが、Fab含有ポリペプチドまたは毒素ポリペプチドに対して操作されたGln含有ペプチドタグを生体適合性ポリマーと共有結合によって反応させることによって作製され得ることを発見した。さらに、本明細書において記載されるアシルドナーグルタミン含有タグ、Fc含有ポリペプチド、および/またはアミンドナー物質の選択によって、部位特異的なコンジュゲーションが可能になる。理論に拘束されることは望まないが、本明細書において記載される方法を用いて生成される抗体−薬剤コンジュゲート、二重特異的抗体、抗体−生体適合性ポリマーコンジュゲート、毒素−生体適合性ポリマーコンジュゲートは、安定であり、インビボ、インビトロ、およびエクスビボでタンパク質分解に耐性であり、ならびに/または長い半減期を有する。
【0050】
したがって、本発明の1つの態様において、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートが提供され、式中、Tは、特異的部位で操作された(例えば、挿入または野生型アミノ酸(1つまたは複数)の置き換え/置換を介して)アシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性(すなわち、アミンおよびトランスグルタミナーゼの存在下でアシルドナーとして共有結合を形成する能力)にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、Fc含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートしている。
【0051】
別の態様において、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートが提供され、式中、Fc含有ポリペプチドコンジュゲートは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドおよびタグを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋している。
【0052】
別の態様において、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートが提供され、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドにそれぞれ架橋した第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含む、アシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、第1および第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、互いに部位特異的に架橋している。
【0053】
いくつかの実施形態において、式:(Fc含有ポリペプチド)−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートが提供され、式中、Fc含有ポリペプチドは、アミノ酸位置295で非グリコシル化されており(例えば、ヒトIgG1において)、野生型ヒトIgG1抗体と比較してアミノ酸位置297でのアミノ酸修飾を含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、Fc含有ポリペプチド内のアミノ酸位置295にある内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態において、アミノ酸修飾は、ヒトIgGの297位でのアスパラギン(AsnまたはN)からグルタミンへの置換ではない(Kabatナンバリングスキーム)。
【0054】
別の態様において、式:(Fab含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートが提供され、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFab含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、Fab含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしている。
【0055】
別の態様において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Aを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、または毒素ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、毒素ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしている。
【0056】
別の態様において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Bを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグであり、Bは生体適合性ポリマーであり、毒素ポリペプチドは、生体適合性ポリマーのいずれかの部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートしている。
【0057】
別の態様において、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法が提供され、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、Fc含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに位置するFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)アミンドナー物質を操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作された(Fc含有ポリペプチド)−Tをアミンドナー物質に共有結合によって連結させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0058】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFab含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドおよびタグを含み、反応性Glnは含まず、アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに位置する第1のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)タグに位置する第2のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグを提供するステップ、c)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子と還元環境において接触させるステップ、およびd)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子にトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって連結させて、Fc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成すせるステップを含む。
【0059】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドにそれぞれ架橋した第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含む、アシルドナーグルタミン含有タグであり、第1のアシルドナーグルタミン含有および第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysにそれぞれ空間的に隣接しておらず、Aはアミンドナー物質であり、第1および第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、互いに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)第1のアシルドナーグルタミン含有タグに位置する第1のFc含有ポリペプチドを含む第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)第2のアシルドナーグルタミン含有タグに位置する第2のFc含有ポリペプチドを含む第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、c)第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子およびアミンドナー物質と還元環境において接触させるステップ、ならびにd)第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子にトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって連結させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0060】
一般的な技術および定義
本明細書において別段の定義がない限り、本発明に関連して用いられる科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解されている意味を有する。さらに、文脈により別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。全体として、本明細書において記載される細胞培養および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質化学および核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションに関連して用いられる命名、およびその技術は、当技術分野において周知であり、一般的に用いられる。
【0061】
本発明の方法および技術は、全体として、別段の指示がない限り、当技術分野において周知の従来の、ならびに本明細書を通して引用および議論される様々な一般的なおよびさらに具体的な参考文献において記載されているような方法に従って行われる。例えば、Sambrook J.& Russell D.Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2000);Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Wiley,John & Sons,Inc.(2002);Harlow and Lane Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1998);およびColiganら、Short Protocols in Protein Science、Wiley,John & Sons,Inc.(2003)を参照されたい。酵素反応および精製技術は、当技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書において記載されるように、製造者の説明に従って行われる。本明細書において記載される、分子生物学、生化学、免疫学、分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品化学および薬化学に関連して用いられる命名、ならびにその実験手順および実験技術は、当技術分野において周知であり一般的に用いられるものである。本明細書および特許請求の範囲を通して、語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変型は、言及された整数または整数群を含めるがいかなる他の整数または整数群も排除しないことを意味すると理解される。
【0062】
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、任意の長さの、好ましくは比較的短い(例えば、10〜100アミノ酸の)アミノ酸鎖を指すために、本明細書において区別せずに用いられる。鎖は、直鎖状または分岐鎖状であり得、これは、修飾されたアミノ酸を含み得、および/または非アミノ酸によって介在され得る。この用語はまた、天然にまたは介入によって、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば標識成分とのコンジュゲーションによって修飾されている、アミノ酸鎖を包含する。同様にこの定義に含まれるものは、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つまたは複数の類似体、および当技術分野において知られている他の修飾を含有するポリペプチドである。ポリペプチドは、一本鎖または会合鎖として生じ得ることが理解される。
【0063】
本明細書において用いられる用語「Fc含有ポリペプチド」は、免疫グロブリン重鎖のカルボキシル末端のポリペプチド配列を含むポリペプチド(例えば、抗体またはイムノアドヘシン)を指す。Fc含有ポリペプチドは、天然Fc領域または変異Fc領域(すなわち配列)を含み得る。免疫グロブリンのFc領域は通常、2つの定常ドメイン、すなわちCH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、CH4ドメインを含んでいてもよい。Fc含有ポリペプチドは、野生型ヒンジ配列の一部または全てを含み得る(通常、そのアミノ末端で)。Fc含有ポリペプチドはまた、二量体であり得る。Fc含有ポリペプチドは、任意の適切な免疫グロブリン、例えば、様々なIgG1サブタイプ、IgG2サブタイプ、IgG3サブタイプ、もしくはIgG4サブタイプの少なくとも1つから、またはIgA、IgE、IgD、もしくはIgMから得ることができるか、または誘導することができる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、例えば、ヒトIgG重鎖のFc領域は、通常、Glu216位のアミノ酸残基から、またはAla231から、そのカルボキシル末端まで伸びていると定義される。Fc領域における残基のナンバリングは、KabatにおけるようなEU指標のものである。Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1991。
【0064】
Fc含有ポリペプチドは、1つまたは複数のポリペプチドがFc含有ポリペプチドに機能可能に連結している、Fc含有融合ポリペプチドであり得る。Fc融合体は、免疫グロブリンのFcポリペプチドを通常は任意のタンパク質、ポリペプチド、または低分子であり得る融合パートナーと組み合わせる。事実上任意のタンパク質または低分子が、Fc領域に連結して、Fc含有融合ポリペプチドを生成し得る。Fc含有融合パートナーには、限定はしないが、受容体の標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、またはいくつかの他のタンパク質もしくはタンパク質ドメインが含まれ得る。
【0065】
本明細書において用いられる用語「アシルドナーグルタミン含有タグ」、「グルタミンタグ」、「Q含有タグ」、または「Qタグ」は、トランスグルタミナーゼのアミンアクセプターとして作用する1つまたは複数のGln残基を含有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。
【0066】
本明細書において用いられる用語「アミンドナー物質」または「アシルアクセプター」は、1つまたは複数の反応性アミン(例えば、第一級アミン)を含有する作用物質を指す。例えば、アミンドナー物質は、アミンドナー単位(例えば、第一級アミンNH
2)、リンカー、および作用物質部分(例えば、低分子)を含み得る。アミンドナー物質はまた、反応性Lys(例えば、内因性Lys)を含有するポリペプチド(例えば抗体)または生体適合性ポリマーであり得る。
【0067】
本明細書において用いられる場合、用語「生体適合性ポリマー」は、レシピエント(例えばヒト)においていかなる望ましくない局所的または全身的な影響も引き起こすことのない、レシピエントにおける治療または医療的処置に適切なポリマー(例えば、反復している単量体単位または構造単位)を指す。生体適合性ポリマー(合成の、組換えの、または天然の)は、水溶性のまたは水不溶性のポリマーであり得る。生体適合性ポリマーはまた、直鎖状または分岐鎖状のポリマーであり得る。
【0068】
本明細書において用いられる場合、用語「部位特異性」、「部位特異的にコンジュゲートしている」、または「部位特異的に架橋している」は、特異的部位(例えば、抗体もしくは毒素ポリペプチドのカルボキシル末端またはアミノ末端、抗体内のアクセス可能な部位(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖のループ)、または毒素ポリペプチド(例えば、ポリペプチドループ))での、アシルドナーグルタミン含有タグで操作されたポリペプチドへの、アミンドナー物質の特異的なコンジュゲーションまたは架橋を指す。アシルドナーグルタミン含有タグで操作されたポリペプチドは、Fc含有ポリペプチド、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチドであり得る。用語「部位特異性」、「部位特異的にコンジュゲートしている」、または「部位特異的に架橋している」はまた、特異的部位(例えば、生体適合性ポリマー内のアクセス可能な部位)での、アシルドナーグルタミン含有タグで操作された生体適合性ポリマーへの、ポリペプチド(例えば、毒素ポリペプチド)の特異的なコンジュゲーションまたは架橋を指し得る。部位特異性は、限定はしないが、質量分析(例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)、タンデム質量分析(MS)、および飛行時間型質量分析(TOF−MS))、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、部位特異的突然変異生成、蛍光標識、サイズ排除クロマトグラフィー、およびX線結晶学を含む、様々な技術によって測定することができる。
【0069】
本明細書において用いられる場合、用語「に空間的に隣接している」は、所望のトランスグルタミナーゼ反応への干渉を指す。
【0070】
本明細書において用いられる場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域内に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、糖質、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的結合し得る、免疫グロブリン分子である。本明細書において用いられる場合、文脈によって別段の指示がない限り、この用語は、無傷のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけではなく、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fvなど)、サメおよびラクダ抗体を含む一本鎖(ScFv)抗体およびドメイン抗体、ならびに、本明細書において記載される、抗体部分、多価抗体、多重特異的抗体(例えば、それらが所望の生物学的活性を示す限りの、二重特異的抗体)、および抗体断片を含む、融合タンパク質、ならびに、抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された立体構造も包含するものである。抗体は、IgG、IgA、またはIgM(またはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体を含み、また抗体は、何らかの特定のクラスのものである必要はない。抗体の重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体構造は周知である。1つの態様において、免疫グロブリンは、ヒト、マウス、またはウサギの免疫グロブリンである。
【0071】
本明細書において用いられる用語「Fab含有ポリペプチド」は、Fab断片、Fab’断片、または(Fab’)2断片を含むポリペプチドを指す。Fab含有ポリペプチドは、野生型ヒンジ配列の一部または全てを含み得る(通常は、そのカルボキシル末端で)。Fab含有ポリペプチドは、任意の適切な免疫グロブリンから、例えば様々なIgG1サブタイプ、IgG2サブタイプ、IgG3サブタイプ、もしくはIgG4サブタイプの少なくとも1つから、またはIgA、IgE、IgD、もしくはIgMから得ることができるか、または誘導することができる。Fab含有ポリペプチドは、1つまたは複数のポリペプチドがFab含有ポリペプチドに機能可能に連結している、Fab含有融合ポリペプチドであり得る。Fab融合体は、免疫グロブリンのFabポリペプチドを通常は任意のタンパク質、ポリペプチド、または低分子であり得る融合パートナーと組み合わせる。事実上任意のタンパク質または低分子が、Fabポリペプチドに連結して、Fab含有融合ポリペプチドを生成し得る。Fab含有融合パートナーには、限定はしないが、受容体の標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、またはいくつかの他のタンパク質もしくはタンパク質ドメインが含まれ得る。
【0072】
「Fab断片」は、1つの軽鎖およびCH1および1つの重鎖の可変領域を含む。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成し得ない。
【0073】
「Fab’断片」は、1つの軽鎖ならびにVHドメインおよびCH1ドメインを含有する1つの重鎖の一部、また、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域を含有し、その結果、鎖間ジスルフィド結合が2つのFab’断片の2つの重鎖の間で形成されて、F(ab’)2分子が形成され得る。
【0074】
「F(ab’)2断片」は、2つの軽鎖およびCH1ドメインとCH2ドメインとの間の定常領域の一部を含有する2つの重鎖を含有し、その結果、鎖間ジスルフィド結合が2つの重鎖の間で形成される。F(ab’)2断片は、したがって、2つの重鎖の間のジスルフィド結合によって共に結び付けられている2つのFab’断片からなる。
【0075】
本明細書において用いられる「抗体断片」は、無傷抗体の一部分のみを含み、前記部分は好ましくは、無傷抗体内に存在する場合に前記部分に通常は関連する機能の、少なくとも1つ、好ましくはほとんどまたは全てを保持する。
【0076】
「多重特異的抗体」は、2つ以上の抗原またはエピトープを標的化する抗体である。「二重特異的な(bispecific)」、「二重特異的な(dual−specific)」、または「二官能性の」抗体は、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗体である。二重特異的抗体は、多重特異的抗体の種であり、限定はしないがハイブリドーマの融合またはFab'断片の連結を含む、様々な方法によって生産することができる。例えば、Songsivilai & Lachmann(1990)、Clin.Exp.Immunol.79:315〜321;およびKostelnyら(1992)、J.Immunol.148:1547〜1553を参照されたい。二重特異的抗体の2つの結合部位は、同一のまたは異なるタンパク質標的上に存在し得る2つの異なるエピトープに結合する。
【0077】
本明細書において用いられる用語「モノクローナル抗体」は、ほぼ均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個別の抗体は、微量に存在し得る、考えられる天然の突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原に対するものである。さらに、異なる抗原決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物と対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の抗原決定基に対するものである。
【0078】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、一部の実施形態において、所望の生物学的活性を示す限りの、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列に同一であるかまたは相同であり、一方、鎖(1つまたは複数)の残りが、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列に同一であるかまたは相同である、「キメラ」抗体、ならびにこのような抗体の断片を具体的に含み得る(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851〜6855(1984))。
【0079】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化された」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。ヒト化抗体は、さらに、レシピエント抗体またはドナー抗体において見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに向上させるために行われる。通常、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインのほぼ全てを含み、超可変ループの全てまたはほぼ全ては、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRの全てまたはほぼ全ては、ヒト免疫グロブリン配列のFRに対応する。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含んでいてもよい。さらなる詳細については、Jonesら、Nature 321:522〜525(1986);Riechmannら、Nature 332:323〜329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593〜596(1992)を参照されたい。また、総説:Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy、Asthma & Immunol.1:105〜115(1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035〜1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428〜433(1994)、およびそこで引用される参考文献も参照されたい。
【0080】
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、および/または本明細書において開示されるヒト抗体を作製する技術のいずれかを用いて作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に排除する。
【0081】
本明細書において用いられる場合、用語「イムノアドヘシン」は、異種タンパク質(「アドヘシン」、例えば、受容体、リガンド、または酵素)の「結合ドメイン」を免疫グロブリン定常ドメイン(すなわち、Fcドメイン)のエフェクター成分と組み合わせる抗体様分子または免疫グロブリン様分子を指す。構造的に、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識および結合部位(抗原結合部位)以外の(すなわち「異種の」)、所望の結合特異性を有するアドヘシンアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合体を含む。イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG1サブタイプ、IgG2サブタイプ、IgG3サブタイプ、もしくはIgG4サブタイプ、IgA、IgE、IgD、またはIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
【0082】
本明細書において用いられる「ヒンジ領域」、「ヒンジ配列」、およびその変型は、例えば、Janewayら、ImmunoBiology:the immune system in health and disease(Elsevier Science Ltd.、NY)(第4版、1999);Bloomら、Protein Science(1997)、6:407〜415;Humphreysら、J.Immunol.Methods(1997)、209:193〜202において説明されている、当技術分野において知られている意味を含む。
【0083】
本明細書において用いられる場合、用語「野生型アミノ酸」、「野生型IgG」、「野生型二重特異的抗体」、または「野生型mAb」は、ある集団(例えば、ヒト、マウス、ラット、細胞など)内で天然に生じるアミノ酸または核酸の配列を指す。
【0084】
本明細書において用いられる場合、用語「コンジュゲーション効率」または「架橋効率」は、操作されたポリペプチドコンジュゲートの実験的に測定された量を、操作されたポリペプチドコンジュゲートの最大期待量で割った値の間の比率である。コンジュゲーション効率または架橋効率は、疎水性相互作用クロマトグラフィーなどの当業者に周知の様々な技術によって測定することができる。コンジュゲーション効率はまた、室温または37℃などの異なる温度で測定することができる。
【0085】
用語「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例としては、限定はしないが、抗体依存性の細胞介在性細胞傷害性(ADCC)、Fc受容体の結合、補体依存性の細胞傷害性(CDC)、食作用、C1qの結合、および細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)の下方調節が挙げられる。例えば、米国特許第6,737,056号を参照されたい。このようなエフェクター機能は通常、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされることを要し、このような抗体エフェクター機能を評価するための当技術分野において知られている様々なアッセイを用いて評価することができる。エフェクター機能の典型的な測定は、Fcγ3および/またはC1qの結合を介する。
【0086】
本明細書において用いられる場合、「抗体依存性の細胞介在性細胞傷害性」または「ADCC」は、Fc受容体(FcR)(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)を発現する非特異的な細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合抗体を認識し、次いで標的細胞の溶解を生じさせる、細胞介在性の反応を指す。目的の分子のADCC活性は、米国特許第5,500,362号または米国特許第5,821,337号において記載されているような、インビトロADCCアッセイを用いて評価することができる。このようなアッセイのための有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)およびNK細胞が含まれる。あるいは、またはさらに、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynesら、1998、PNAS(USA)、95:652〜656において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価することができる。
【0087】
「補体依存性の細胞傷害性」または「CDC」は、補体の存在下での標的の溶解を指す。補体の活性化経路は、同族抗原と複合した分子(例えば抗体)への補体系(C1q)の第1の成分の結合によって開始される。補体の活性化を評価するために、例えばGazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996)において記載されているような、CDCアッセイを行うことができる。
【0088】
本明細書において用いられる場合、「Fc受容体」および「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)を結合するものであり、対立遺伝子変異体を含むFcγRIサブクラス、FcγRIIサブクラス、FcγRIIIサブクラス、およびFcyRIVサブクラスの受容体を含み、あるいは、これらの受容体のスプライシングされた形態を含む。FcyRII受容体には、その細胞質ドメインが主に異なる類似のアミノ酸配列を有する、FcyRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれる。FcRは、Ravetch and Kinet、1991、Ann.Rev.Immunol.、9:457〜92;Capelら、1994、Immunomethods、4:25〜34;de Haasら、1995、J.Lab.Clin.Med.、126:330〜41;Nimmerjahnら、2005、Immunity 23:2〜4において概説されている。「FcR」にはまた、胎児への母親IgGの移入に関与する新生児受容体FcRnが含まれる(Guyerら、1976、J.Immunol.、117:587;およびKimら、1994、J.Immunol.、24:249)。
【0089】
本明細書において用いられる用語「還元環境」は、グルタチオン(GSH)、TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)、DTT(ジチオスレイトール)、BME(2−メルカプトエタノール)、およびシステインなどの広範な還元剤によって達成され得る還元条件を指す。還元剤は、典型的には、マイクロミリモル濃度範囲で用いられる。
【0090】
用語「精製する」およびその文法上の変型は、組成物内のポリペプチドの純度レベルを向上させる(すなわち、組成物内の不純物(1つまたは複数)の量(ppm)を減少させることによって)、ポリペプチドおよび1つまたは複数の不純物を含有する混合物からの少なくとも1つの不純物の完全なまたは部分的な除去を意味するために用いられる。
【0091】
本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、それ自体がその値またはパラメータに向けられた実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。数値範囲は、その範囲を規定する数値を含む。
【0092】
「個体」または「対象」は、哺乳動物、さらに好ましくはヒトである。哺乳動物にはまた、限定はしないが、家畜、スポーツ用の動物、ペット、霊長類、ウマ、犬、猫、マウス、およびラットが含まれる。
【0093】
「含む(comprising)」という記載を用いて実施形態が本明細書において記載されている場合は全て、「からなる」および/または「から基本的になる」と言う用語で記載されているそれ以外の類似の実施形態もまた提供される。
【0094】
本発明の態様または実施形態がマーカッシュグループまたは選択肢の他のグループ分けに関して記載されている場合、本発明は、列挙されたグループ全体をまとめて包含するだけではなく、グループの各メンバーを個別におよびメイングループの全ての考えられるサブグループも包含し、しかしまた、グループメンバーの1つまたは複数が欠けているメイングループも包含する。本発明はまた、特許請求の範囲に記載の発明におけるグループメンバーのいずれかの1つまたは複数を明確に排除することも想定する。
【0095】
別段の定義がない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。典型的な方法および材料が本明細書において記載されるが、本明細書において記載されるものに類似または同等の方法および材料もまた本発明の実施または試験において用いることができる。本明細書において言及される全ての刊行物および他の参考文献は、参照することによってその全体が組み込まれる。一致しない場合には、定義を含む本明細書が優先される。多くの文献が本明細書において引用されるが、この引用は、これらの文献のいずれかが当技術分野における一般常識の一部を形成することを承認するものではない。本明細書および特許請求の範囲を通して、語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変型は、言及された整数または整数群を含めることを意味するが、いかなる他の整数または整数群も排除するものではない。文脈により別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。材料、方法、および例は例示的なものにすぎず、限定するためのものではない。
【0096】
操作されたポリペプチドコンジュゲート
本明細書における操作されたポリペプチドコンジュゲートは、アシルドナーグルタミン含有タグまたはポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンに対して操作されたポリペプチド(例えば、Fc含有ポリペプチド、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチド)を含み、ポリペプチドは、アシルドナーグルタミン含有タグまたはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミンを介してアミンドナー物質(例えば、低分子または生体適合性ポリマー)に部位特異的にコンジュゲートしている。アシルドナーグルタミン含有タグは、挿入され得るか、またはポリペプチド上の1つもしくは複数の野生型アミノ酸を置き換え/置換し得る。内因性グルタミンは、Fc含有ポリペプチド、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチド上の1つまたは複数のアミノ酸を修飾すること(例えば、アミノ酸の欠失、挿入、置換、または突然変異)によって反応性(すなわち、アミンおよびトランスグルタミナーゼの存在下でアシルドナーとして共有結合を形成する能力)にされ得る。操作されたポリペプチドコンジュゲートはまた、アシルドナーグルタミン含有タグを含有するように操作された生体適合性ポリマーに部位特異的にコンジュゲートしているポリペプチド(例えば、毒素ポリペプチド)を含み得る。
【0097】
1つの態様において、操作されたポリペプチドコンジュゲートは、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートであり、式中、Tは、特異的部位で操作された(例えば、アシルドナーグルタミン含有タグの挿入、または1つもしくは複数の野生型アミノ酸の置き換え/置換を介する)アシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、Fc含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位のどこかにあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしている。したがって、アシルドナーグルタミン含有タグ(またはアクセス可能な/曝露された/反応性のグルタミン)およびアミンドナー物質の両方は、トランスグルタミナーゼの基質であり、アシルドナーグルタミン含有タグ(またはアクセス可能な/曝露された/反応性のグルタミン)とアミンドナー物質との間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。
【0098】
本明細書において記載される、本発明において用いられるトランスグルタミナーゼは、様々な由来源から得ることができるかまたは作製することができる。いくつかの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、酵素の立体構造の変化を誘発するためおよび酵素活性を可能にするためにカルシウムを要する、カルシウム依存性のトランスグルタミナーゼである。例えば、トランスグルタミナーゼは、モルモットの肝臓に由来し得、また市販の由来源(例えば、Sigma−Aldrich(St Louis、MO)およびMP Biomedicals(Irvine、CA))を介して得ることができる。いくつかの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、酵素の立体構造の変化を誘発するためおよび酵素活性を可能にするためにカルシウムを要しない、カルシウム非依存性のトランスグルタミナーゼである。いくつかの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、ストレプトベルティシリウム属(Streptoverticillium)またはストレプトマイセス属(Streptomices)(例えば、ストレプトマイセス・モバレンシス(Streptomyces mobarensis)、またはストレプトベルティシリウム・モバレンシス(Streptoverticillium mobarensis))に由来するトランスグルタミナーゼなどの、微生物ゲノムに由来する微生物トランスグルタミナーゼである。ACTIVA(商標)(味の素、日本)などの市販されているカルシウム非依存性のトランスグルタミナーゼは、本発明に適している。いくつかの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、哺乳動物タンパク質(例えば、ヒトトランスグルタミナーゼ)、細菌タンパク質、植物タンパク質、真菌タンパク質(例えば、卵菌(Oomycetes)および放線菌(Actinomicetes)のトランスグルタミナーゼ)、または原核生物タンパク質である。いくつかの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、マイクロコッカス属(Micrococcus)、クロストリジウム属(Clostridium)、トルロプシス属(Turolpsis)、クモノスカビ属(Rhizopus)、モナスカス属(Monascus)、またはバチルス属(Bacillus)に由来する。
【0099】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される、本発明において用いられるトランスグルタミナーゼはまた、当業者に知られている組換え技術を用いて生産された組換えタンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書において記載される、本発明において用いられるトランスグルタミナーゼは、精製タンパク質であり得る。例えば、精製トランスグルタミナーゼは、少なくとも約50%の純度である。本明細書において用いられる場合、「純粋な」または「精製」タンパク質は、他の汚染タンパク質を有さないタンパク質(例えば、トランスグルタミナーゼ)を指す。いくつかの実施形態において、精製トランスグルタミナーゼは、少なくとも約55%〜60%、60%〜65%、65%〜70%、70%〜75%、75%〜80%、80%〜85%、85%〜90%、90%〜95%、95%〜98%、または99%の純度のいずれかである。いくつかの実施形態において、精製トランスグルタミナーゼは、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の純度のいずれかである。
【0100】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのアシルドナーグルタミン含有タグは、Fc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない。例えば、アシルドナーグルタミン含有タグは、Fc含有ポリペプチドのカルボキシル末端、アミノ末端、またはカルボキシル末端およびアミノ末端の両方において反応性Lysに空間的に隣接していない。
【0101】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、少なくとも1つのGlnを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、1つのGlnを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列XXQX(配列番号1)を含み、式中、Xは、本明細書において記載されるような従来のまたは非従来のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において、XはL(Leu)、A(Ala)、G(Gly)、S(Ser)、V(Val)、F(Phe)、Y(Tyr)、H(His)、R(Arg)、N(Asn)、E(Glu)、D(Asp)、C(Cys)、Q(Gln)、I(Ile)、M(Met)、P(Pro)、T(Thr)、K(Lys)、またはW(Trp)である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号2)、LLQG(配列番号3)、LSLSQG(配列番号4)、GGGLLQGG(配列番号5)、GLLQG(配列番号6)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号7)、GLLQGGG(配列番号8)、GLLQGG(配列番号9)、GLLQ(配列番号10)、LLQLLQGA(配列番号47)、LLQGA(配列番号48)、LLQYQGA(配列番号49)、LLQGSG(配列番号50)、LLQYQG(配列番号51)、LLQLLQG(配列番号52)、SLLQG(配列番号53)、LLQLQ(配列番号54)、LLQLLQ(配列番号55)、およびLLQGR(配列番号56)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、QVQLKE(配列番号39)およびVQLKE(配列番号40)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号2)、LLQG(配列番号3)、LSLSQG(配列番号4)、GGGLLQGG(配列番号5)、GLLQG(配列番号6)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号7)、GLLQGGG(配列番号8)、GLLQGG(配列番号9)、GLLQ(配列番号10)、QVQLKE(配列番号39)、VQLKE(配列番号40)、LLQLLQGA(配列番号47)、LLQGA(配列番号48)、LLQYQGA(配列番号49)、LLQGSG(配列番号50)、LLQYQG(配列番号51)、LLQLLQG(配列番号52)、SLLQG(配列番号53)、LLQLQ(配列番号54)、LLQLLQ(配列番号55)、およびLLQGR(配列番号56)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、LGGQGGG(配列番号41)、GGGQGGL(配列番号42)、GXGQGGG(配列番号43)、GGXQGGG(配列番号44)、GGGQXGG(配列番号45)、およびGGGQGXG(配列番号46)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含まず、式中、Xは、G、A、S、L、V、F、Y、R、N、またはEである。
【0103】
いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのFc含有ポリペプチドは、同一の位置にある野生型Fc含有ポリペプチドと比較して、カルボキシル末端内の最後のアミノ酸位置でのアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、修飾は、アミノ酸の欠失、挿入、置換、突然変異、またはその任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、置換は、野生型アミノ酸を別のアミノ酸(例えば、非野生型アミノ酸)で置き換えることを含む。いくつかの実施形態において、挿入は、1つまたは複数のアミノ酸を挿入すること(例えば、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のアミノ酸を挿入すること)を含む。いくつかの実施形態において、別の(例えば、非野生型)アミノ酸または挿入されるアミノ酸は、Argである。いくつかの実施形態において、別の(例えば、非野生型)アミノ酸は、Ala、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、またはValである。例えば、Fc含有ポリペプチドのカルボキシル末端内の最後のアミノ酸はArgで置換され、Fc含有ポリペプチドに対して操作されたアシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号2)、LLQG(配列番号3)、またはLLQのアミノ酸配列を含む。Fc含有ポリペプチドのカルボキシル末端内の最後のアミノ酸もまた欠失され得、Fc含有ポリペプチドに対して操作されたアシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号2)、LLQG(配列番号3)、またはLLQのアミノ酸配列を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドは、同一の位置にある野生型Fc含有ポリペプチドと比較して、アミノ末端内の第1のアミノ酸位置でのアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、修飾は、アミノ酸の欠失、挿入、置換、突然変異、またはその任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、置換は、野生型アミノ酸を別の(例えば、非野生型)アミノ酸で置き換えることを含む。いくつかの実施形態において、挿入は、アミノ酸を挿入することを含む。いくつかの実施形態において、別の(例えば、非野生型のまたは挿入される)アミノ酸は、Argである。いくつかの実施形態において、別の(非野生型のまたは挿入される)アミノ酸は、Ala、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、またはValである。例えば、Fc含有ポリペプチドのアミノ末端内の第1のアミノ酸はGlnであり、Fc含有ポリペプチドに対して操作されたアシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)、LLQG(配列番号3)、またはLLQを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドコンジュゲートは、完全長の抗体重鎖および抗体軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖の両方のカルボキシル末端にあるFc含有ポリペプチドに連結している/位置している。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のアシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、表7〜9において列挙されるQタグ)および第2のアシルドナーグルタミン含有タグ(例えば、表7〜9において列挙されるQタグ)を含み、第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖のカルボキシル末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、軽鎖のカルボキシル末端に位置する。いくつかの実施形態において、第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)またはLLQGA(配列番号48)を含み、第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)またはLLQGA(配列番号48)を含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖の両方のアミノ末端にあるFc含有ポリペプチドに位置する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、第1のアシルドナーグルタミン含有タグは重鎖のアミノ末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、軽鎖のアミノ末端に位置する。
【0106】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドは、抗体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、または抗体断片である。
【0107】
いくつかの実施形態において、抗体はIgGである。いくつかの実施形態において、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群から選択される。
【0108】
いくつかの実施形態において、抗体は、IgA、IgE、IgD、またはIgMである。
【0109】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、挿入またはFc含有ポリペプチド上の別の部位にある1つもしくは複数の野生型アミノ酸の置き換えによって、Fc含有ポリペプチドに位置し、別の部位は、アミノ末端またはカルボキシル末端ではない。例えば、アシルドナーグルタミン含有タグは、抗体ループの一部である。アシルドナーグルタミン含有タグは、1つまたは複数の重鎖ループに連結し得る。アシルドナーグルタミン含有タグはまた、抗体の1つまたは複数の軽鎖ループに連結し得る。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖ループおよび軽鎖ループの両方に位置する。いくつかの実施形態において、別の部位は、表7、8、および9において列挙されている様々な位置を含む。いくつかの実施形態において、別の部位は、ヒトIgG1抗体のアミノ酸位置(1つまたは複数)108、135、160、168、189〜192、190〜192、200〜202、222〜223、251〜254、252〜253、222〜223、293〜297、294〜297、295、297、または385(Kabatナンバリングスキーム)である。
【0110】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドは、内因性グルタミンをアミンドナー物質に対して反応性にするために操作される。いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドの操作は、Fc含有ポリペプチド上のアミノ酸の欠失、挿入、置換、突然変異、またはその任意の組み合わせである。例えば、297位にある野生型アミノ酸Asnは、アミノ酸Aで置換されるかまたは置き換えられ、その結果、297位での非グリコシル化および295位での反応性の内因性グルタミンが生じる。いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドの操作は、ヒトIgGの297位(Kabatナンバリングスキーム)でのアスパラギン(Asn)からグルタミンへのアミノ酸置換ではない。
【0111】
いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのエフェクター機能(例えば、Fcγ3および/またはC1qの結合によって測定される)は、野生型Fc含有ポリペプチドと比較して、約1倍以上に増加する、または最大約2分の1、3分の1、4分の1、または5分の1のいずれかまで低下する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートはIgGであり、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して最大約2分の1まで低下する。他の実施形態において、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して約2分の1に低下する。他の実施形態において、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して約2分の1未満に低下する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートはIgGであり、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して約1倍以上に増加する。他の実施形態において、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して約1倍である。いくつかの実施形態において、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して約1分の1、3分の1、4分の1、または5分の1のいずれか未満に低下する。
【0112】
いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのエフェクター機能(例えば、Fcγ3および/またはC1qの結合によって測定される)は、野生型Fc含有ポリペプチドと比較して、少なくとも約1倍から3000倍に増大する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのエフェクター機能は、野生型Fc含有ポリペプチドと比較して、少なくとも約1倍から5倍、6倍から10倍、11倍から15倍、16倍から20倍、21倍から25倍、26倍から30倍、31倍から35倍、36倍から40倍、41倍から45倍、46倍から50倍、51倍から55倍、56倍から60倍、61倍から65倍、66倍から70倍、71倍から75倍、76倍から80倍、81倍から85倍、86倍から90倍、91倍から95倍、96倍から100倍、101倍から200倍、201倍から300倍、301倍から500倍、501倍から1000倍、1001倍から1500倍、1501倍から2000倍、2001倍から2500倍、2501倍から3000倍のいずれかに増大する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートはIgGであり、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して、約1倍から300倍に増大する。いくつかの実施形態において、IgGのエフェクター機能は、野生型IgGと比較して、約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、40倍、60倍、80倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、1500倍、2000倍、2500倍、または3000倍のいずれかに増大する。
【0113】
いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、式:X−Y−Zを有し、式中、Xはアミンドナー単位であり、Yはリンカーであり、Zは作用物質部分である。
【0114】
アシルドナーグルタミン含有タグ(またはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミン)を介してFc含有ポリペプチドにコンジュゲートし得るアミンドナー物質の数は、Fc含有ポリペプチド(1つまたは複数)に連結/挿入されたアシルドナーグルタミン含有タグ(またはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミン)の数、およびアシルドナーグルタミン含有タグ(またはアクセス/曝露された内因性グルタミン)上のGlnの数に応じる。例えば、2つのアミンドナー物質は、2つの重鎖のカルボキシル末端で抗体に部位特異的にコンジュゲートし得、かつ/または2つのアミンドナー物質は、2つの軽鎖のカルボキシル末端で同一の抗体に部位特異的にコンジュゲートし得る。
【0115】
本発明のアミンドナー単位は、トランスグルタミナーゼの基質を提供して、アシルドナーグルタミン含有タグまたはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミンを介するFc含有ポリペプチドへの作用物質部分のコンジュゲーションを可能にする、第一級アミン(NH
2)である。したがって、アシルドナーグルタミン含有タグ(またはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミン)とアミンドナー単位との間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。
【0116】
本発明のリンカーは、切断可能なまたは切断不可能なリンカーであり得る。例えば、リンカー(アミンドナー単位を有する)またはアミンドナー物質は、Fc含有ポリペプチドから放出され得る。いくつかの実施形態において、リンカーは、ペプチドリンカー(例えば、従来のまたは非従来のアミノ酸(1つまたは複数))および/または非ペプチドリンカーであり得る。非ペプチドリンカーの例としては、アルキルリンカーおよびPEGリンカーが挙げられる。
【0117】
いくつかの実施形態において、アミンドナー単位−リンカー(例えば、X−Y)は、作用物質部分を含む直鎖状の単位である。他の実施形態において、アミンドナー単位−リンカーは、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上の作用物質部分を含む、分岐鎖状の単位である。
【0118】
典型的なアミンドナー単位−リンカーには、限定はしないが、Ac−Lys−Gly、アミノカプロン酸、Ac−Lys−β−Ala、アミノ−PEG2(ポリエチレングリコール)−C2、アミノ−PEG3−C2、アミノ−PEG6−C2、Ac−Lys−Val(バリン)−Cit(シトルリン)−PABC(p−アミノベンジルオキシカルボニル)、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC、プトレシン、およびAc−Lys−プトレシンからなる群から選択されるアミンドナー単位−リンカーが含まれる。
【0119】
本発明の操作されたFc含有ポリペプチドの作用物質部分には、低分子、タンパク質またはポリペプチド、および生体適合性ポリマーが含まれる。
【0120】
いくつかの実施形態において、低分子は、細胞傷害物質、免疫抑制物質、またはイメージング剤(例えば、フルオロフォア)である。いくつかの実施形態において、細胞傷害物質は化学療法物質である。
【0121】
細胞傷害物質の例としては、限定はしないが、アントラサイクリン、オーリスタチン、ドラスタチン、CC−1065、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN−38、ツブリシン、ヘミアステリン、およびその立体異性体、アイソスター、類似体、または誘導体が挙げられる。
【0122】
アントラサイクリンは、ストレプトマイセス属(Strepomyces)の細菌に由来し、広範な癌、例えば白血病、リンパ腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、および肺癌を治療するために用いられている。典型的なアントラサイクリンには、限定はしないが、ダウノルビシン、ドキソルビシン(すなわち、アドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、およびミトキサントロンが含まれる。
【0123】
ドラスタチンおよびそのペプチド類似体ならびに誘導体、オーリスタチンは、抗癌活性および抗真菌活性を有することが示されている、非常に強力な抗有糸分裂物質である。例えば、米国特許第5,663,149号、およびPettitら、Antimicrob.Agents Chemother.42:2961〜2965(1998)を参照されたい。典型的なドラスタチンおよびオーリスタチンには、限定はしないが、オーリスタチンE、オーリスタチンEB(AEB)、オーリスタチンEFP(AEFP)、MMAD、MMAF、MMAE、および5−ベンゾイル吉草酸−AEエステル(AEVB)が含まれる。
【0124】
デュオカルマイシンおよびCC−1065は、細胞傷害性能力を有するDNAアルキル化剤である。BogerおよびJohnson、PNAS 92:3642〜3649(1995)を参照されたい。典型的なドラスタチンおよびオーリスタチンには、限定はしないが、(+)−デュオカルマイシンAおよび(+)−デュオカルマイシンSA、ならびに(+)−CC−1065が含まれる。
【0125】
エンジインは、9員環および10員環、またはコンジュゲートした三重−二重−三重結合の環状系の存在によって特徴付けされる、あるクラスの抗腫瘍細菌生成物である。典型的なエンジインには、限定はしないが、カリケアマイシン、エスペラマイシン、およびダイネミシンが含まれる。
【0126】
ゲルダナマイシンは、Hsp90(熱ショックタンパク質90)に結合し、抗腫瘍薬剤として用いられている、ベンゾキノンアンサマイシン抗生物質である。典型的なゲルダナマイシンには、限定はしないが、17−AAG(17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン)および17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン)が含まれる。
【0127】
メイタンシンまたはその誘導体であるメイタンシノイドは、チューブリンの重合の阻害を介して有糸分裂の間の微小管形成を阻害することによって、細胞増殖を阻害する。Remillardら、Science 189:1002〜1005(1975)を参照されたい。典型的なメイタンシンおよびメイタンシノイドには、限定はしないが、メルタンシン(DM1)およびその誘導体、ならびにアンサミトシンが含まれる。
【0128】
タキサンは、抗チューブリン物質または有糸分裂阻害物質として作用するジテルペンである。典型的なタキサンには、限定はしないが、パクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標))およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))が含まれる。
【0129】
ビンカアルカロイド(alkyloid)はまた、抗チューブリン物質である。典型的なビンカアルカロイド(alkyloid)には、限定はしないが、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが含まれる。
【0130】
いくつかの実施形態において、作用物質部分は免疫抑制物質である。免疫抑制物質の例としては、限定はしないが、ガンシクロビル、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレクストレート、ならびに糖質コルチコイドおよびその類似体が挙げられる。
【0131】
いくつかの実施形態において、作用物質部分は、イメージング剤(例えば、フルオロフォア)、例えば、フルオレセイン、ローダミン、ランタニド蛍光体、およびその誘導体が含まれる。フルオロフォアの例としては、限定はしないが、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば、5−FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば、5−FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えば、Alexa350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば、5−TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、およびスルホローダミン(SR)(例えば、SR101)が挙げられる。
【0132】
いくつかの実施形態において、作用物質部分はポリペプチドである。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、抗体、例えば、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、またはマウスモノクローナル抗体である。
【0133】
いくつかの実施形態において、作用物質部分は、毒素ポリペプチド(または毒素タンパク質)である。毒素ポリペプチドの例としては、限定はしないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、トリコテセン、阻害剤シスチンノット(ICK)ペプチド(例えば、セラトトキシン)、およびコノトキシン(例えば、KIIIAまたはSmIIIa)が挙げられる。
【0134】
いくつかの実施形態において、治療用放射性同位体または他の標識を、アミンドナー物質へのFc含有ポリペプチドのコンジュゲーションのための作用物質部分内に組み込むことができる。放射性同位体または他の標識の例としては、限定はしないが、
3H、
14C、
15N、
35S、
18F、
32P、
33P、
64Cu、
68Ga、
89Zr、
90Y、
99Tc、
123I、
124I、
125I、
131I、
111In、
131In、
153Sm、
186Re、
188Re、
211At、
212Bi、および
153Pbが挙げられる。
【0135】
いくつかの実施形態において、作用物質部分は、生体適合性ポリマーである。Fc含有ポリペプチドは、Fc含有ポリペプチドの生物学的特徴を向上させるように、例えば、血清の半減期および生物活性を増大させるように、および/またはインビボでの半減期を延長させるように、アシルドナーグルタミン含有タグまたはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミンを介して生体適合性ポリマーにコンジュゲートし得る。生体適合性ポリマーの例としては、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体、および両性イオン含有生体適合性ポリマー(例えば、ホスホリルコリン含有ポリマー)が挙げられる。
【0136】
いくつかの実施形態において、アミンドナー物質(X−Y−Z)は、
【0137】
【化1】
であり、式中、Xは、NH
2であり(すなわち、CH
2−CH
2−CO−NH−としてグルタミンと共有結合を形成する)、mは0から20であり、nは1から8であり、pは0から3であり、qは0または1であり、アミノ酸は、任意の従来のまたは非従来のアミノ酸であり、Zは、細胞傷害物質またはイメージング剤である。
【0138】
従来のアミノ酸または天然アミノ酸は、共通の側鎖特性に基づいていくつかの群に分けられる:(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、(2)電荷を有さない極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、(3)酸性(負に荷電している):Asp、Glu、(4)塩基性(正に荷電している):Lys、Arg、および(5)鎖の方向に影響する残基:Gly、Pro、および(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe、His。従来のアミノ酸には、LまたはDの立体化学が含まれる。
【0139】
非従来のアミノ酸は、非天然アミノ酸である。非従来のアミノ酸の例としては、限定はしないが、アミノアジピン酸、β−アラニン、β−アミノプロピオン酸、アミノ酪酸、ピペリジン酸、アミノカプロン酸、アミノヘプタン酸、アミノイソ酪酸、アミノピメリン酸、シトルリン、ジアミノ酪酸、デスモシン、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン(ethylaspargine)、ヒドロキシリジン(hyroxylysine)、アロ−ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ−イソロイシン、N−メチルグリシン、サルコシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン(orithine)、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン、および他の類似のアミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が挙げられる。
【0140】
いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、Alexa488カダベリン、5−FITCカダベリン、Alexa647カダベリン、Alexa350カダベリン、5−TAMRAカダベリン、5−FAMカダベリン、SR101カダベリン、5,6−TAMRAカダベリン、5−FAMリジン、Ac−Lys−Gly−MMAD、アミノ−PEG3−C2−MMAD、アミノ−PEG6−C2−MMAD、アミノ−PEG3−C2−アミノ−ノナノイル−MMAD、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAD、Ac−Lys−β−Ala−MMAD、アミノカプロイル−MMAD、Ac−Lys−Val−Cit−PABC−MMAD、アミノカプロイル−MMAE、アミノ−PEG3−C2−MMAE、アミノ−PEG2−C2−MMAE、アミノカプロイル−MMAF、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAE、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAF、アミノ−PEG2−C2−MMAF、アミノ−PEG3−C2−MMAF、プトレシニル−ゲルダナマイシン、およびAc−Lys−プトレシニル−ゲルダナマイシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAE、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAF、Ac−Lys−プトレシニル−ゲルダナマイシン、Ac−Lys−β−Ala−MMAD、Ac−Lys−Val−Cit−PABC−MMAD、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAD、またはアミノ−PEG6−C2−MMADである。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)を含み、アミンドナー物質は、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAE、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAF、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC−MMAD、Ac−Lys−プトレシニル−ゲルダナマイシン、Ac−Lys−β−Ala−MMAD、Ac−Lys−Val−Cit−PABC−MMAD、またはアミノ−PEG6−C2−MMADである。アミンドナー物質の典型的な構造を、表1に列挙する。
【0145】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、または第1のFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドおよびタグを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋している。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的なFc含有ポリペプチド(例えば、二重特異的抗体)である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lys(すなわち、アシルドナーおよびトランスグルタミナーゼの存在下でアミンドナーとして共有結合を形成する能力)に空間的に隣接していない。
【0146】
いくつかの実施形態において、アミンドナー物質内のタグは、GまたはGGを含み、タグは、第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接している。したがって、アシルドナーグルタミン含有タグ(またはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミン)および操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートの第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysは、トランスグルタミナーゼの基質であり、アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)と第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysとの間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。
【0147】
いくつかの実施形態において、タグは、Lysを含むアミンドナータグ(すなわち、Kタグ)である。いくつかの実施形態において、アミンドナータグは、アミノ酸配列KGを含む。いくつかの実施形態において、アミンドナータグは、KGG、GKGG(配列番号11)、GSKGG(配列番号12)、GSGKGG(配列番号13)、およびGSGGKGG(配列番号14)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。したがって、アシルドナーグルタミン含有タグ(またはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミン)および操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのアミンドナータグは、トランスグルタミナーゼの基質であり、アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)とアミンドナータグとの間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。
【0148】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋している。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的なFc含有ポリペプチド(例えば、二重特異的抗体)である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lys(すなわち、内因性の反応性Lys)は、トランスグルタミナーゼの基質であり、アシルドナーグルタミン含有タグと第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysとの間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない。
【0149】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドにそれぞれ架橋した第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含む、アシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、第1および第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、互いに部位特異的に架橋している。いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、反応性Glnを含まない。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的なFc含有ポリペプチド(例えば、二重特異的抗体)である。いくつかの実施形態において、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysにそれぞれ空間的に隣接していない。
【0150】
いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、ジアミンを含む化合物である。ジアミンを含む化合物の例としては、限定はしないが、プトレシン(ブタン−1,4−ジアミン)、エチレンジアミン、カダベリン(ペンタン−1,5−ジアミン)、スペルミジン、スペルミン、ヒドラジン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン(例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミン)、キシリレンジアミン(例えば、o−キシリレンジアミン、m−キシレンジアミン、またはp−キシリレンジアミン)、ジフェニルエチレンジアミン、1,8−ジアミノナフタレン、およびその立体異性体、アイソスター、類似体、または誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、プトレシンまたはカダベリンである。
【0151】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドに架橋したアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、アシルドナーグルタミン含有タグは、第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋している。いくつかの実施形態において、アミンドナー物質は、反応性Glnを含まない。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに隣接していない。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的なFc含有ポリペプチド(例えば、二重特異的抗体)である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lys(すなわち、内因性の反応性Lys)は、トランスグルタミナーゼの基質であり、アシルドナーグルタミン含有タグと第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysとの間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。
【0152】
いくつかの実施形態において、操作された二重特異的なFc含有ポリペプチドコンジュゲートのエフェクター機能(例えば、Fcγ3および/またはC1qの結合によって測定される)は、野生型の二重特異的なFc含有ポリペプチドと比較して、約1倍以上に増加する、または最大約2分の1、3分の1、4分の1、または5分の1のいずれかまで低下する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的IgGであり、二重特異的IgGのエフェクター機能は、野生型の二重特異的IgGと比較して最大約2分の1まで低下する。他の実施形態において、二重特異的IgGのエフェクター機能は、野生型の二重特異的IgGと比較して約2分の1に低下する。他の実施形態において、二重特異的IgGのエフェクター機能は、野生型の二重特異的IgGと比較して約2分の1未満に低下する。いくつかの実施形態において、操作された二重特異的なFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的IgGであり、二重特異的IgGのエフェクター機能は、野生型の二重特異的IgGと比較して約1倍以上に増加する。他の実施形態において、二重特異的IgGのエフェクター機能は、野生型の二重特異的IgGと比較して約1倍である。いくつかの実施形態において、二重特異的IgGのエフェクター機能は、野生型の二重特異的IgGと比較して約1分の1、3分の1、4分の1、または5分の1のいずれか未満に低下する。
【0153】
いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのエフェクター機能(例えば、Fcγ3および/またはC1qの結合によって測定される)は、野生型のFc含有ポリペプチドと比較して、少なくとも約1倍から300倍のいずれかに増大する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、二重特異的IgGであり、二重特異的IgGのエフェクター機能は、野生型の二重特異的IgGと比較して、少なくとも約1から5倍、6から10倍、11から15倍、16から20倍、21から25倍、26から30倍、31から35倍、36から40倍、41から45倍、46から50倍、51から55倍、56から60倍、61から65倍、66から70倍、71から75倍、76から80倍、81から85倍、86から90倍、91から95倍、96から100倍、101から200倍、201から300倍、301から500倍、501から1000倍、1001から1500倍、1501から2000倍、2001から2500倍、2501から3000倍のいずれかに増大する。いくつかの実施形態において、二重特異的IgGのエフェクター機能は、野生型の二重特異的IgGと比較して、約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、40倍、60倍、80倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、1500倍、2000倍、2500倍、または3000倍のいずれかに増大する。
【0154】
いくつかの実施形態において、操作された二重特異的なFc含有ポリペプチドコンジュゲート(例えば、二重特異的抗体)は、例えば、別のポリペプチドまたは分子作用物質に連結した本明細書において開示される操作された融合Fc含有ポリペプチドコンジュゲートを作製することによって、修飾または誘導体化することができる。例えば、操作された二重特異的なFc含有ポリペプチドは、当業者によって周知の技術を用いて、限定はしないがPEG、メチル基またはエチル基、エステル、糖質基などを含む化学基で修飾または誘導体化することができる。これらの化学基(およびインビボでの治療用化合物を安定化させるために用いられている、それらに類似の他のもの)は、操作された二重特異的なFc含有ポリペプチドコンジュゲートの生物学的特徴を向上させるため、例えば、血清の半減期および生物活性を増大させるため、またはインビボでの半減期を延長するために有用である。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される操作された二重特異的なFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、当技術分野において知られている多数の方法のいずれかを用いて標識することができる。いくつかの実施形態において、標識は、検出可能なマーカー、例えば、放射性標識されたアミノ酸の組み込み、またはマークされたアビジン(例えば、光学的方法もしくは比色分析方法によって検出され得る蛍光マーカーまたは酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの付着である。いくつかの実施形態において、標識またはマーカーは、治療的であり得、例えば、本明細書において記載されるような薬剤コンジュゲートまたは毒素であり得る。ポリペプチドの標識の例としては、限定はしないが、放射性同位体または放射性核種、蛍光標識、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)によって認識される所定のポリペプチドエピトープ、磁気作用物質、例えばガドリニウムキレート、毒素、例えば百日咳毒素、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにその類似体、立体異性体、アイソスター、またはホモログが挙げられる。いくつかの実施形態において、標識は、潜在的な立体障害を低減させるように、様々な長さのスペーサーアームによって付着される。
【0156】
別の態様において、本発明は、式:(Fab含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFab含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、Fab含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位のどこかにあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしている。例えば、Fab含有ポリペプチドは、Fab含有ポリペプチドの生物学的特徴を向上させるように、例えば、血清の半減期および生物活性を増大させるように、および/またはインビボでの半減期を延長させるように、本明細書において記載されるアシルドナーグルタミン含有タグまたはアクセス可能な/曝露された/反応性の内因性グルタミンを介して生体適合性ポリマーに部位特異的にコンジュゲートし得る。いくつかの実施形態において、生体適合性ポリマーは、PEG誘導体などの水溶性ポリマー、または両性イオン含有生体適合性ポリマーである。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、少なくとも1つのGlnを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列XXQX(配列番号1)を含み、式中、XはL(Leu)、A(Ala)、G(Gly)、S(Ser)、V(Val)、F(Phe)、Y(Tyr)、H(His)、R(Arg)、N(Asn)、E(Glu)、D(Asp)、C(Cys)、Q(Gln)、I(Ile)、M(Met)、P(Pro)、T(Thr)、K(Lys)、またはW(Trp)である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号2)、LLQG(配列番号3)、LSLSQG(配列番号4)、GGGLLQGG(配列番号5)、GLLQG(配列番号6)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号7)、GLLQGGG(配列番号8)、GLLQGG(配列番号9)、GLLQ(配列番号10)、LLQLLQGA(配列番号47)、LLQGA(配列番号48)、LLQYQGA(配列番号49)、LLQGSG(配列番号50)、LLQYQG(配列番号51)、LLQLLQG(配列番号52)、SLLQG(配列番号53)、LLQLQ(配列番号54)、LLQLLQ(配列番号55)、およびLLQGR(配列番号56)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、QVQLKE(配列番号39)およびVQLKE(配列番号40)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。したがって、アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)および生体適合性ポリマーの両方は、トランスグルタミナーゼの基質であり、アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)と生体適合性ポリマーとの間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。
【0157】
生体適合性ポリマー内の反応性アミンは、第一級アミンであり得る。いくつかの実施形態において、生体適合性ポリマー内の第一級アミンは、内因性の第一級アミンまたは外因性の第一級アミンである。本明細書において記載されるLysを含むアミンドナータグは、生体適合性ポリマーに付加または操作されて外因性の第一級アミンをもたらし得る。いくつかの実施形態において、アミンドナータグは、Lysを含む。いくつかの実施形態において、アミンドナータグは、アミノ酸配列KGを含む。いくつかの実施形態において、アミンドナータグは、KGG、GKGG(配列番号11)、GSKGG(配列番号12)、GSGKGG(配列番号13)、およびGSGGKGG(配列番号14)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0158】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミン(アクセス可能な/曝露された/反応性の)は、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖の両方のカルボキシル末端にあるFab含有ポリペプチドに位置する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖のカルボキシル末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、軽鎖のカルボキシル末端に位置する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミン(アクセス可能な/曝露された/反応性の)は、重鎖、軽鎖、または重鎖および軽鎖の両方のアミノ末端にあるFab含有ポリペプチドに位置する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖のアミノ末端に位置し、第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、軽鎖のアミノ末端に位置する。
【0159】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、Fab含有ポリペプチド内の別の部位に位置するかまたは挿入され、別の部位は、アミノ末端またはカルボキシル末端ではない。例えば、アシルドナーグルタミン含有タグは、抗体ループの一部である。アシルドナーグルタミン含有タグは、1つまたは複数の重鎖ループに連結され得る。アシルドナーグルタミン含有タグはまた、抗体の1つまたは複数の軽鎖ループに連結され得る。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖ループおよび軽鎖ループの両方に連結される。
【0160】
いくつかの実施形態において、Fab含有ポリペプチドは、抗体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異的抗体、または抗体断片である。いくつかの実施形態において、抗体はIgGである。いくつかの実施形態において、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗体は、IgA、IgE、IgD、またはIgMである。
【0161】
別の態様において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Aを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグまたは毒素ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンであり、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、毒素ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位のどこかにあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしている。例えば、毒素ポリペプチドは、毒素ポリペプチドの生物学的特徴を向上させるように、例えば、血清の半減期および生物活性を増大させるように、および/またはインビボでの半減期を延長させるように、本明細書において記載されるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミン(アクセス可能な/曝露された/反応性の)を介して生体適合性ポリマーに部位特異的にコンジュゲートし得る。いくつかの実施形態において、毒素ポリペプチドは、セラトトキシンまたはコノトキシン(例えば、KIIIAまたはSmIIIa)である。いくつかの実施形態において、生体適合性ポリマーは、PEG誘導体などの水溶性ポリマー、または両性イオン含有生体適合性ポリマーである。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、少なくとも1つのGlnを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列XXQX(配列番号1)を含み、式中、Xは、L(Leu)、A(Ala)、G(Gly)、S(Ser)、V(Val)、F(Phe)、Y(Tyr)、H(His)、R(Arg)、N(Asn)、E(Glu)、D(Asp)、C(Cys)、Q(Gln)、I(Ile)、M(Met)、P(Pro)、T(Thr)、K(Lys)、またはW(Trp)である。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号2)、LLQG(配列番号3)、LSLSQG(配列番号4)、GGGLLQGG(配列番号5)、GLLQG(配列番号6)、LLQ、GSPLAQSHGG(配列番号7)、GLLQGGG(配列番号8)、GLLQGG(配列番号9)、GLLQ(配列番号10)、LLQLLQGA(配列番号47)、LLQGA(配列番号48)、LLQYQGA(配列番号49)、LLQGSG(配列番号50)、LLQYQG(配列番号51)、LLQLLQG(配列番号52)、SLLQG(配列番号53)、LLQLQ(配列番号54)、LLQLLQ(配列番号55)、およびLLQGR(配列番号56)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、QVQLKE(配列番号39)およびVQLKE(配列番号40)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。したがって、アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)および生体適合性ポリマーの両方は、トランスグルタミナーゼの基質であり、アシルドナーグルタミン含有タグ(または内因性グルタミン)と生体適合性ポリマーとの間の連結は、式CH
2−CH
2−CO−NH−のものである。
【0162】
いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、毒素ポリペプチドのカルボキシル末端に位置する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、毒素ポリペプチドのアミノ末端に位置する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、毒素ポリペプチドの別の部位のどこかに位置する。
【0163】
1つの変型において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Bを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Bは生体適合性ポリマーであり、毒素ポリペプチドは、生体適合性ポリマーのいずれかの部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートしている。
【0164】
いくつかの実施形態において、生体適合性ポリマー内のアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンは、毒素ポリペプチド内の反応性Lys(例えば、反応性の内因性Lys)に空間的に隣接している。いくつかの実施形態において、毒素ポリペプチドは、本明細書において記載されるアミンドナータグを含む。例えば、Lysを含むアミンドナータグは、毒素ポリペプチドに連結され得る。
【0165】
(毒素ポリペプチド)−(アシルドナーグルタミン含有タグ)、生体適合性ポリマー、およびその結果得られる(毒素ポリペプチド)−(アシルドナーグルタミン含有タグ)−(生体適合性ポリマー)の典型的な構造を以下に示す。
【0167】
セラトトキシンQタグは、配列番号81に対応する。
【0168】
(毒素ポリペプチド)−(アミンドナータグ)、(アシルドナーグルタミン含有タグ)−(生体適合性ポリマー)、およびその結果得られる(毒素ポリペプチド)−(アミンドナータグ)−(アシルドナーグルタミン含有タグ)−(生体適合性ポリマー)の典型的な構造を以下に示す。
【0170】
SmIIIAは、配列番号82に対応する。
【0171】
操作されたポリペプチドコンジュゲートを作製する方法
本明細書において記載される操作されたポリペプチドコンジュゲートを作製する方法もまた、本発明において提供される。1つの態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、Fc含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位のどこかにあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに位置するFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)アミンドナー物質を操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作された(Fc含有ポリペプチド)−Tをアミンドナー物質に共有結合によって連結させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される方法を用いて調製された操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、少なくとも約51%のコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、少なくとも約51%〜60%、61%〜70%、71%〜80%、81%〜90%、または91%〜100%のいずれかのコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のいずれかのコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)、Q、LLQLLQGA(配列番号47)、LLQG(配列番号3)、LLQGA(配列番号48)、LLQGSG(配列番号50)、LLQYQG(配列番号51)、LLQLQG(配列番号52)、SLLQG(配列番号53)、LLQLQ(配列番号54)、LLQLLQ(配列番号55)、またはLLQGR(配列番号56)を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、第1および第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、アミノ酸配列LLQGG(配列番号2)を含む第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、Fc含有ポリペプチドの重鎖のカルボキシル末端に位置し、アミノ酸配列GGGLLQGG(配列番号5)を含む第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、Fc含有ポリペプチドの軽鎖のカルボキシル末端に位置し、本明細書において記載される方法を用いて調製された操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのコンジュゲーション効率は、少なくとも約65%である。
【0174】
いくつかの実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、第1および第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含み、アミノ酸配列LLQG(配列番号3)を含む第1のアシルドナーグルタミン含有タグは、Fc含有ポリペプチド(すなわち、IgG1)内の野生型アミノ酸位置190〜192(Kabatナンバリングスキーム)を置き換え、アミノ酸配列LLQGA(配列番号48)を含む第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、Fc含有ポリペプチドのカルボキシル末端にある野生型アミノ酸Kを置き換え、本明細書において記載される方法を用いて調製された操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのコンジュゲーション効率は、少なくとも約80%である。
【0175】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドのカルボキシル末端内の最後のアミノ酸位置でのアミノ酸修飾(例えば、欠失、挿入、置換、または突然変異)を含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのコンジュゲーション効率は、同一の位置でのアミノ酸修飾を有さない同一の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートと比較してコンジュゲーション効率が増大している。いくつかの実施形態において、コンジュゲーション効率は、少なくとも約5%から約99%増大する。いくつかの実施形態において、コンジュゲーション効率は、約5%、10%、15%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれか増大する。いくつかの実施形態において、アミノ酸修飾は、Argでの野生型アミノ酸の置き換えを含む置換である。いくつかの実施形態において、アミノ酸修飾は、1つまたは複数のアミノ酸(例えば、Arg)の挿入である。いくつかの実施形態において、アミノ酸修飾は、アミノ酸の欠失である。
【0176】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドのアミノ末端内の最初のアミノ酸位置でのアミノ酸修飾(例えば、欠失、挿入、置換、または突然変異)を含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのコンジュゲーション効率は、同一の位置でのアミノ酸修飾を有さない同一の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートと比較してコンジュゲーション効率が増大している。いくつかの実施形態において、コンジュゲーション効率は、少なくとも約5%から約99%増大する。いくつかの実施形態において、コンジュゲーション効率は、約5%、10%、15%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれか増大する。いくつかの実施形態において、アミノ酸修飾は、Glnでの野生型アミノ酸の置き換えを含む置換である。いくつかの実施形態において、アミノ酸修飾は、アミノ酸(例えば、Gln)の挿入である。いくつかの実施形態において、アミノ酸修飾は、アミノ酸の欠失である。
【0177】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチドの抗体(例えば、1つまたは複数の重鎖ループおよび/または軽鎖ループ)上の別の(例えば、カルボキシル末端またはアミノ末端以外のアクセス可能な/反応性の部位)部位における1つまたは複数のアミノ酸修飾(例えば、欠失、挿入、置換、または突然変異)を含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートのコンジュゲーション効率は、同一の位置でのアミノ酸修飾を有さない同一の操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートと比較してコンジュゲーション効率が増大している。抗体上のアクセス可能な/反応性の部位の例を、表7、8、および9に列挙する。いくつかの実施形態において、コンジュゲーション効率は、少なくとも約5%から約99%増大する。いくつかの実施形態において、コンジュゲーション効率は、約5%、10%、15%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれか増大する。
【0178】
いくつかの実施形態において、接触されるアミンドナー物質と接触される操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子との間の濃度比率は、約2:1から約800:1である。例えば、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーション反応のためにロードされるかまたは用いられる、アミンドナー物質(例えば、細胞傷害性薬剤)とアシルドナーグルタミン含有タグに付着した操作されたFc含有ポリペプチドとの間の濃度比率は、約20:1であり得る。いくつかの実施形態において、接触されるアミンドナー物質と接触される操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子との間の濃度比率は、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、100:1、200:1、300:1、400:1、500:1、600:1、700:1、または800:1のいずれかである。
【0179】
いくつかの実施形態において、Fc含有ポリペプチド(抗体)が特異的部位(例えば、C末端)にあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミン(アクセス可能な/曝露された/反応性の)を介してアミンドナー物質とコンジュゲートしている場合、抗体−薬剤コンジュゲートはさらに安定である(例えば、さらに長いインビボでの半減期)。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書において記載される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、Fab含有ポリペプチド、または毒素ポリペプチドコンジュゲート)は、対象(例えば、哺乳動物)内において、インビボで少なくとも約1日後、少なくとも約50%で存在する。例えば、操作されたポリペプチドコンジュゲートは、対象において、インビボで少なくとも約2時間後、2〜6時間後、6〜12時間後、12〜18時間後、18〜24時間後、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、または2週間後のいずれか、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%のいずれかで存在する。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、LLQGG(配列番号2)またはLLQGA(配列番号48)であり、アミンドナー物質は、アミノカプロイル−VC−PABC−MMADである。
【0180】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFc含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドおよびタグを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグに付着した第1のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)タグに付着した第2のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグを提供するステップ、c)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子と還元環境において接触させるステップ、およびd)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子とトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって反応させて、Fc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列GSPLAQSHGG(配列番号7)を含み、アミンドナータグは、アミノ酸配列GSGGKGG(配列番号14)を含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子への操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態において、操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子への操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%〜35%、35%〜40%、45%〜50%、50%〜55%、56%〜60%、61%〜65%、66%〜70%、71%〜75%、76%〜80%、81%〜85%、86%〜90%、91%〜95%、または96%〜99%のいずれかである。いくつかの実施形態において、操作された(Fc含有ポリペプチド)−タグ分子への操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、約32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%のいずれかである。
【0182】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、第2のFc含有ポリペプチドを含み、反応性Glnを含まず、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグに位置する第1のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)第2のFc含有ポリペプチドを提供するステップ、c)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2のFc含有ポリペプチドと還元環境において接触させるステップ、およびd)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2のFc含有ポリペプチドにトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって連結させて、Fc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに空間的に隣接していない。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、アミノ酸配列GSPLAQSHGG(配列番号7)を含み、アミンドナータグは、アミノ酸配列GSGGKGG(配列番号14)を含む。いくつかの実施形態において、第2のFc含有ポリペプチドへの操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態において、第2のFc含有ポリペプチドへの操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%〜35%、35%〜40%、45%〜50%、50%〜55%、56%〜60%、61%〜65%、66%〜70%、71%〜75%、76%〜80%、81%〜85%、86%〜90%、91%〜95%、または96%〜99%のいずれかである。いくつかの実施形態において、第2のFc含有ポリペプチドへの操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、約32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%のいずれかである。
【0183】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドにそれぞれ架橋した第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグを含むアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、第1および第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、互いに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)第1のアシルドナーグルタミン含有タグに位置する第1のFc含有ポリペプチドを含む第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)第2のアシルドナーグルタミン含有タグに位置する第2のFc含有ポリペプチドを含む第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、c)第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子およびアミンドナー物質と還元環境において接触させるステップ、ならびにd)第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子にトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって連結させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、第1のアシルドナーグルタミン含有タグおよび第2のアシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysにそれぞれ空間的に隣接していない。
【0184】
いくつかの実施形態において、第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子への第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約50%である。いくつかの実施形態において、第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子への第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%〜35%、35%〜40%、45%〜50%、50%〜55%、56%〜60%、61%〜65%、66%〜70%、71%〜75%、76%〜80%、81%〜85%、86%〜90%、91%〜95%、または96%〜99%のいずれかである。いくつかの実施形態において、第2の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子への第1の操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、約32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%のいずれかである。
【0185】
別の態様において、本発明は、式:(Fc含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Fc含有ポリペプチドは、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドを含み、Tは、第1のFc含有ポリペプチドに架橋したアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー物質であり、アシルドナーグルタミン含有タグは、第2のFc含有ポリペプチドに部位特異的に架橋しており、前記方法は、a)第1のアシルドナーグルタミン含有タグに位置する第1のFc含有ポリペプチドを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)第2のFc含有ポリペプチドを提供するステップ、c)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子とを第2のFc含有ポリペプチドおよびアミンドナー物質と還元環境において接触させるステップ、ならびにd)操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子を第2のFc含有ポリペプチドにトランスグルタミナーゼの存在下で部位特異的におよび共有結合によって連結させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、アシルドナーグルタミン含有タグは、第1のFc含有ポリペプチド内の反応性Lysに隣接していない。いくつかの実施形態において、第2のFc含有ポリペプチドへの操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%である。いくつかの実施形態において、第2のFc含有ポリペプチドへの操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、少なくとも約30%〜35%、35%〜40%、45%〜50%、50%〜55%、56%〜60%、61%〜65%、66%〜70%、71%〜75%、76%〜80%、81%〜85%、86%〜90%、91%〜95%、または96%〜99%のいずれかである。いくつかの実施形態において、第2のFc含有ポリペプチドへの操作された(Fc含有ポリペプチド)−T分子の架橋効率は、約32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%のいずれかである。
【0186】
別の態様において、本発明は、式:(Fab含有ポリペプチド)−T−Aを含む操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、またはFab含有ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、Fab含有ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位のどこかにあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグに位置するFab含有ポリペプチドを含む操作された(Fab含有ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)生体適合性ポリマーを操作された(Fab含有ポリペプチド)−T分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作された(Fab含有ポリペプチド)−Tを生体適合性ポリマーに共有結合によって連結させて、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートを形成させるステップを含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される方法を用いて調製された操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートは、少なくとも約51%のコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートは、少なくとも約51%〜60%、61%〜70%、71%〜80%、81%〜90%、または91%〜100%のいずれかのコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲートは、約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のいずれかのコンジュゲーション効率を有する。
【0188】
別の態様において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Aを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであるか、または毒素ポリペプチドの操作によって反応性にされた内因性グルタミンを含み、Aはアミンドナー物質であり、アミンドナー物質は、反応性アミンを含む生体適合性ポリマーであり、生体適合性ポリマーは、毒素ポリペプチド内のカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位のどこかにあるアシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)アシルドナーグルタミン含有タグまたは内因性グルタミンに位置する毒素ポリペプチドを含む操作された(毒素ポリペプチド)−T分子を提供するステップ、b)生体適合性ポリマーを操作された(毒素ポリペプチド)−T分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作された(毒素ポリペプチド)−Tを生体適合性ポリマーに共有結合によって連結させて、操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0189】
別の態様において、本発明は、式:(毒素ポリペプチド)−T−Bを含む操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法を提供し、式中、Tは、特異的部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Bは体適合性ポリマーであり、毒素ポリペプチドは、生体適合性ポリマー内のいずれかの部位にあるアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートしており、前記方法は、a)生体適合性ポリマーに位置するアシルドナーグルタミン含有タグを含む操作されたT−B分子を提供するステップ、b)毒素ポリペプチドを操作されたT−B分子とトランスグルタミナーゼの存在下で接触させるステップ、およびc)操作されたT−B分子を毒素ポリペプチドと共有結合によって反応させて、操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートを形成するステップを含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される方法を用いて調製された操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートは、少なくとも約51%のコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートは、少なくとも約51%〜60%、61%〜70%、71%〜80%、81%〜90%、または91%〜100%のいずれかのコンジュゲーション効率を有する。いくつかの実施形態において、操作された毒素ポリペプチドコンジュゲートは、約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のいずれかのコンジュゲーション効率を有する。
【0191】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供される方法はさらに、精製ステップを含む。本明細書において記載される操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、または毒素ポリペプチドコンジュゲートは、様々な精製方法、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、透析、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)(例えば、HICでの分画)、硫酸アンモニウム沈殿、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール誘導体沈殿、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、ゲル濾過、サイズ排除クロマトグラフィー、および弱分割クロマトグラフィーなどを用いて精製することができる。
【0192】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの精製ステップは、アフィニティークロマトグラフィー方法のステップを含む。タンパク質Aリガンド(合成の、組換えの、または天然の)を、本明細書において記載される操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートをアフィニティー精製するために用いることができる。合成のまたは組換えのタンパク質Aリガンドは、GE Healthcare(Piscataway、NJ)、Pierce(Rockford、IL)、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)、またはApplied Biosystems(Foster City、CA)から商業的に購入することができ、天然タンパク質Aリガンド(例えば、MABSELECT(商標)、PROSEP(商標)Va、およびPROSEP(商標)Ultra Plus)は、GE Healthcare(Piscataway、NJ)またはMillipore(Billerica、MA)から商業的に購入することができる。
【0193】
いくつかの実施形態において、精製ステップから生じる、精製された操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、精製された操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、または精製された毒素ポリペプチドコンジュゲートは、非常に純度が高く、すなわち、少なくとも約70%〜75%、75%〜80%、80%〜85%、85%〜90%、90%〜95%、95%〜98%、または99%のいずれかの純度である。例えば、精製された操作されたポリペプチドコンジュゲートは、約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のいずれかの純度である。
【0194】
医薬組成物
本発明はまた、本明細書において記載される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、または操作された毒素ポリペプチドコンジュゲート)を薬学的に許容できる賦形剤または担体内に含む医薬組成物を提供する。操作されたポリペプチドコンジュゲートは、単独で、または本発明の1つもしくは複数の他の操作されたポリペプチドコンジュゲートと組み合わせて、または1つもしくは複数の他の薬剤と組み合わせて(またはその任意の組み合わせとして)投与することができる。本発明の医薬組成物、方法、および使用は、したがってまた、以下に詳述されるように、他の活性物質との組み合わせ(同時投与)の実施形態を包含する。
【0195】
本明細書において用いられる場合、用語「同時投与」、「同時投与された」、または「と組み合わせて」は、(i)本明細書において開示される操作されたポリペプチドコンジュゲートおよび治療物質(1つまたは複数)が、このような成分を治療を必要としている患者にほぼ同時に放出する単回投与形態に共に製剤されている場合の、前記成分の組み合わせの、前記患者への同時投与、(ii)本明細書において開示される操作されたポリペプチドコンジュゲートおよび治療物質(1つまたは複数)が、治療を必要としている患者によってほぼ同時に接取される(その際、前記成分が前記患者にほぼ同時に放出される)個別の投与形態に、互いに分かれて製剤されている場合の、前記成分のこのような組み合わせの、前記患者へのほぼ同時の投与、(iii)本明細書において開示される操作されたポリペプチドコンジュゲートおよび治療物質(1つまたは複数)が、各投与間の十分な時間間隔を伴って治療を必要としている患者によって連続的な時点で接取される(その際、前記成分が前記患者に実質的に異なる時点で放出される)個別の投与形態に、互いに分かれて製剤されている場合の、前記成分のこのような組み合わせの、前記患者への連続投与、ならびに(iv)本明細書において開示される操作されたポリペプチドコンジュゲートおよび治療物質(1つまたは複数)が、制御された様式で前記成分を放出する(その際、これらの成分が、治療を必要としている患者に同時におよび/または異なる時点で同時放出、連続放出、および/またはオーバーラップ放出され、ここで、各部分は、同一のまたは異なる経路で投与され得る)単回投与量に、共に製剤されている場合の、前記成分のこのような組み合わせの、前記患者への連続投与を意味するものであり、これを指す。
【0196】
全体として、本明細書において開示される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、または操作された毒素ポリペプチドコンジュゲート)は、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせた製剤として投与されることに適している。用語「賦形剤」は、本発明の化合物(1つまたは複数)以外の任意の成分を記載するために本明細書において用いられる。賦形剤(1つまたは複数)の選択は、特定の投与態様、溶解度および安定性に対する賦形剤の影響、ならびに投与形態の性質などの因子に大きく依存する。本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容できる賦形剤」には、生理学的に適合するあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に許容できる賦形剤のいくつかの例として、水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびその組み合わせがある。いくつかの実施形態において、限定はしないが、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、または塩化ナトリウムを含む等張剤が、医薬組成物内に含まれる。薬学的に許容できる物質のさらなる例としては、限定はしないが、抗体の保存期間または有効性を増強させる、湿潤剤または微量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤、または緩衝液が挙げられる。
【0197】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、または操作された毒素ポリペプチドコンジュゲート)は、例えばPCT公開WO98/52976およびWO00/34317において記載されているような既知の技術を用いて、対象への投与の際に免疫原性を低減させるために脱免疫化することができる。
【0198】
本発明の医薬組成物およびその調製方法は、当業者に容易に明らかとなる。このような組成物およびその調製方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第21版(Mack Publishing Company、2005)において見ることができる。医薬組成物は、好ましくは、GMP条件下で製造される。
【0199】
本発明の医薬組成物は、大量に、1つの単一単位用量で、または複数の単一単位用量で、調製、包装、または販売することができる。本明細書において用いられる場合、「単位用量」は、所定の量の活性成分を含む、医薬組成物の個別の量である。活性成分の量は、通常、対象に投与される活性成分の投与量、またはこのような投与量の都合の良い画分、例えば、このような投与量の2分の1または3分の1に等しい。当技術分野において認められている、ペプチド、タンパク質、または抗体を投与するための任意の方法を、本明細書において開示される操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートに適切に採用することができる。
【0200】
本発明の医薬組成物は、典型的には、非経口投与に適している。医薬組成物の非経口投与には、対象組織の物理的破壊および組織内の破壊を介する医薬組成物の投与によって特徴付けされる、したがって通常は、血流内、筋肉内、または内臓内への直接的な投与をもたらす、任意の投与経路が含まれる。例えば、非経口投与には、限定はしないが、組成物の注射、外科的切開を介する組成物の適用、組織を貫通する非外科的な創傷を介する組成物の適用などによる、医薬組成物の投与が含まれる。特に、非経口投与には、限定はしないが、皮下の、腹腔内の、筋肉内の、胸骨内の、静脈内の、動脈内の、髄腔内の、脳室内の、尿道内の、頭蓋内の、滑液嚢内の注射または注入、および腎臓透析注入技術が含まれると考えられる。いくつかの実施形態において、非経口投与は、静脈内経路または皮下経路である。
【0201】
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、典型的には、通常、滅菌水または無菌の等張生理食塩水などの薬学的に許容できる担体と組み合わされた活性成分を含む。このような製剤は、ボーラス投与または連続投与に適した形態で、調製、包装、または販売することができる。注射可能な製剤は、単位投与形態で、例えばアンプル、または防腐剤を含有する多回用量容器で、調製、包装、または販売することができる。非経口投与のための製剤には、限定はしないが、懸濁液、溶液、油性媒体または水性媒体内のエマルジョン、ペーストなどが含まれる。このような製剤はさらに、限定はしないが懸濁剤、安定剤、または分散剤を含む、1つまたは複数のさらなる成分を含み得る。非経口投与のための製剤の1つの実施形態において、活性成分は、適切な媒体(例えば、発熱性物質を有さない滅菌水)で再構成して、その後、再構成された組成物を非経口投与するために、乾燥(すなわち、粉末または粒状)形態で提供される。非経口製剤にはまた、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくは3から9のpHまで)などの賦形剤を含有し得る水性溶液が含まれるが、一部の適用では、非経口製剤は、無菌の非水性溶液として、または発熱性物質を有さない滅菌水などの適切な媒体と組み合わせて用いるための乾燥形態として、さらに適切に製剤することができる。典型的な非経口投与形態には、無菌の水溶液、例えば水性プロピレングリコール溶液またはデキストロース溶液内の、溶液または懸濁液が含まれる。このような投与形態は、必要に応じて、適切に緩衝することができる。有用な他の非経口投与可能な製剤には、微晶質形態のまたはリポソーム調製物内の活性成分を含むものが含まれる。非経口投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出となるように製剤することができる。調節放出製剤には、制御放出製剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、標的放出製剤、およびプログラム放出製剤が含まれる。例えば、1つの態様において、無菌の注射可能な溶液は、所要の量の操作されたFc含有ポリペプチド、例えば抗体−薬剤コンジュゲートまたは二重特異的抗体を、上記に列挙された成分の1つまたは組み合わせを有する適切な溶媒内に組み込み、必要であればその後、濾過滅菌することによって、調製することができる。通常、分散は、活性化合物を、塩基性分散媒および上記に列挙されたもののうち所要の他の成分を含有する無菌媒体内に組み込むことによって調製される。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌粉末のケースでは、好ましい調製方法は、活性成分の粉末と、先に滅菌濾過されたその溶液からの任意のさらなる所望の成分とをもたらす、真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆剤を用いることによって、分散のケースでは所要の粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を用いることによって、維持することができる。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物内に含めることによってもたらされ得る。
【0202】
本発明の典型的な非限定的な医薬組成物は、約5.0から約6.5の範囲のpHを有し、約1mg/mLから約200mg/mLの本明細書において開示される操作されたポリペプチドコンジュゲート、約1ミリモル濃度から約100ミリモル濃度のヒスチジン緩衝液、約0.01mg/mLから約10mg/mLのポリソルベート80、約100ミリモル濃度から約400ミリモル濃度のトレハロース、および約0.01ミリモル濃度から約1.0ミリモル濃度のEDTA二ナトリウム二水和物を含む、無菌水溶液としての製剤である。
【0203】
投与レジメンは、最適な所望の応答をもたらすように調節することができる。例えば、単一のボーラスを投与することができるか、複数の分割用量を経時的に投与することができるか、または用量を、急迫的な治療的状況によって指示されるように比例的に低減もしくは増大させることができる。投与の容易性および投与量の均一性のために、非経口組成物を投与単位形態に製剤することが、特に有利である。投与単位形態は、本明細書において用いられる場合、治療される患者/対象のための単位投与量として適した物理的に個別の単位を指し、各単位は、所要の薬学的担体と組み合わされた、所望の治療効果をもたらすように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本発明の投与単位形態の仕様は、通常、(a)作用物質部分(例えば、細胞傷害物質などの低分子)の固有の特徴および達成されるべき特定の治療的効果または予防的効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためのこのような活性化合物の配合の当技術分野に特有の限定によって、およびこれらに直接的に応じて、決定される。
【0204】
したがって、当業者には、本明細書において提供される開示に基づいて、用量および投与レジメンが治療分野において周知の方法に従って調節されることが理解されよう。すなわち、最大耐用量を容易に確定することができ、検出可能な治療的利益を患者にもたらす有効量もまた、検出可能な治療的利益を患者にもたらすための各作用物質を投与するための時間的要件が可能であるように、確定することができる。したがって、特定の用量および投与レジメンが本明細書において例示されるが、これらの例は、本発明の実施において患者に提供され得る用量および投与レジメンを限定するものでは全くない。
【0205】
投与量値が、軽減されるべき症状のタイプおよび重症度で変化し得、単回用量または複数回用量を含み得ることに留意されたい。さらに、任意の特定の対象について、具体的な投与レジメンが、個体の要求および組成物を投与するかまたは投与を監督する人の専門的な判断に従って経時的に調節されるべきであること、ならびに本明細書において説明される投与量範囲は典型的なものにすぎず、本発明の組成物の範囲または実施を限定することを意図したものではないことも理解されたい。さらに、本発明の組成物を用いる投与レジメンは、疾患のタイプ、患者の年齢、体重、性別、医学的状態、症状の重症度、投与経路、および採用される特定の抗体を含む、様々な因子に基づき得る。したがって、投与レジメンは広く変化し得るが、標準的な方法を用いて通常通りに決定することができる。例えば、用量は、毒性効果などの臨床効果および/または実験値を含み得る薬物動態学的または薬力学的なパラメータに基づいて調節することができる。したがって、本発明は、当業者によって決定される、患者内での用量増加を包含する。適切な投与量およびレジメンの決定は、関連する分野において周知であり、本明細書において開示される教示を提供された当業者には、包含されることが理解されよう。
【0206】
ヒト対象への投与では、本明細書において開示される操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、または操作された毒素ポリペプチドコンジュゲート)の毎月用量の全量は、典型的には、当然のことながら投与態様に応じて、患者当たり約0.01mgから約1200mgの範囲である。例えば、静脈内の毎月用量は、患者当たり約1から約1000mgを要し得る。毎月用量の全量は、単回用量または分割用量で投与することができ、医師の指示で、本明細書によって示される典型的な範囲から外れてもよい。
【0207】
本明細書において開示される操作されたポリペプチドコンジュゲート、例えば、Fc含有ポリペプチドコンジュゲート、Fab含有ポリペプチドコンジュゲート、または毒素ポリペプチドコンジュゲートの治療上または予防上有効な量の典型的な非限定的な範囲は、1月で患者当たり約0.01から約1000mgである。一部の実施形態において、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは、1月で患者当たり約1から約200または約1から約150mgで投与することができる。いくつかの実施形態において、患者はヒトである。
【0208】
キット
本発明はまた、上記の障害の治療において用いるためのキット(または製品)を提供する。本発明のキットは、精製された操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、または操作された毒素ポリペプチドコンジュゲート)および疾患の治療にコンジュゲートを用いるための指示を含む、1つまたは複数の容器を含む。例えば、指示は、癌(例えば、膵臓癌、卵巣癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、または肺癌)などの疾患を治療するための操作されたポリペプチドコンジュゲートの投与についての記載を含む。キットはさらに、個体が疾患および疾患の段階を有しているかの同定に基づく、治療に適切な個体の選択についての記載を含み得る。
【0209】
操作されたポリペプチドコンジュゲートの使用に関する指示は、通常、目的の治療のための投与量、投与スケジュール、および投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、大量包装(例えば、多用量包装)、または小単位用量であり得る。本発明のキットにおいて提供される指示は、典型的には、ラベルまたは包装挿入物(例えば、キット内に含まれる紙片)上に書き込まれた指示であるが、機械で読み取り可能な指示(例えば、磁気ディスクまたは光学式記憶ディスク上に記録された指示)もまた許容できる。
【0210】
本発明のキットは、適切な包装内にある。適切な包装には、限定はしないが、バイアル、ボトル、瓶、柔軟な包装(例えば、密封されたマイラーまたはプラスチック袋)などが含まれる。特定の装置、例えば吸入器、経鼻投与装置(例えば、アトマイザー)、またはミニポンプなどの注入装置と組み合わせて用いるための包装もまた検討される。キットは、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈内の溶液袋、または皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。容器はまた、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈内の溶液袋、または皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。組成物内の少なくとも1つの活性物質は、本明細書において記載される操作されたポリペプチドである。容器はさらに、第2の薬学的に活性な作用物質を含み得る。
【0211】
キットは、緩衝液および説明情報などのさらなる成分を提供してもよい。通常、キットは、容器と、容器上のまたは容器と組み合わされたラベルまたは包装挿入物(1つまたは複数)とを含む。
【実施例】
【0212】
本明細書において記載される実施例および実施形態は例示的なものにすぎず、これらに照らした様々な修正または変更は当業者に示唆され、本願の趣旨および範囲に含まれる。
【0213】
(実施例1)
トランスグルタミナーゼを用いる部位特異的な抗体−薬剤コンジュゲーション
所望のペイロード(薬剤または作用物質部分)への抗体のコンジュゲーションを、重鎖および/または軽鎖のカルボキシル末端でグルタミンタグ(Qタグ)を有する抗体と、選択したペイロード(イメージング剤または細胞毒)のアミン含有誘導体との間の、微生物トランスグルタミナーゼによって触媒されるアミド転移反応を介して行った。
【0214】
抗体−薬剤コンジュゲーション
このアミド転移反応において、抗体上のグルタミンはアシルドナーとして作用し、アミン含有化合物はアシルアクセプター(アミンドナー)として作用した。1.67〜4.04μMの濃度の精製抗体を、pH範囲6.2〜8.8の、150〜900mMのNaCl、および25mMのMES、HEPES[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸]またはTris HCl緩衝液内で、0.225〜0.545%(w/v)のストレプトベルティシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)トランスグルタミナーゼ(ACTIVA(商標)、味の素、日本)の存在下で、167〜404μMの範囲の20〜100M過剰なアシルアクセプターとインキュベートした。反応条件を、個別のアシルアクセプター誘導体のために調整し、最適な効率および特異性は、典型的には、150mMのNaCl、25mMのTris HCl、pH8.8で、2.87μMの抗体、287μMの誘導体、および0.378%(w/v)のトランスグルタミナーゼで観察された。室温で2.5時間のインキュベーションの後、抗体を、当業者に知られている標準的なアフィニティークロマトグラフィー方法、例えば、GE Healthcareからの市販のアフィニティークロマトグラフィーを用いて、MabSelect樹脂(GE Healthcare、Waukesha、WI)で精製した。コンジュゲーション効率を、そのそれぞれの波長でのフルオロフォアおよび抗体による相対的UV−vis吸光度を用いて抗体−フルオロフォアコンジュゲートについて決定し、疎水性相互作用クロマトグラフィー分析を用いて抗体−薬剤コンジュゲートについて決定した。
【0215】
疎水性相互作用クロマトグラフィー
異なる薬剤:抗体化学量論でのコンジュゲーション生成物の相対的な分布を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用いて決定した。抗体当たり0、1つ、または2つの薬剤を有する抗体−薬剤コンジュゲートは、細胞毒部分の疎水性が高いことに起因するHICカラム上でのそれらの差次的な保持に基づいて、容易に分解した。コンジュゲーション生成物を、緩衝液A(1.5Mの硫酸アンモニウム、50mMのリン酸ナトリウム、pH7)内でTSKgel Butyl−NPRカラム、2.5μmの粒子サイズ、4.6mm×10cm(トーソーバイオサイエンス、日本)上に注射し、0から100%の線形勾配の緩衝液B(50mMのリン酸ナトリウム、pH7)で0.8mL/分で85分間にわたり溶出した。Agilent1100シリーズクロマトグラフィーシステムおよびChemstationソフトウェア(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を用いて、コンジュゲートを分離、定量、および分画した。
【0216】
抗体−フルオロフォアのコンジュゲーション効率
重鎖のカルボキシル末端でQ含有タグを有するmAb1−HCQ01(IgG1サブタイプ)(HCQ01はLLQGG(配列番号2)である)と様々なアミン含有フルオロフォア誘導体との間の、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションの効率を試験した。
図1。mAb1−HCQ01とフルオロフォア誘導体Alexa488カダベリンとの間のコンジュゲーションは、79%の最も高いコンジュゲーション効率を有していた。トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションの効率を、2つの異なるコンジュゲーション条件(150mMのNaCl、25mMのHEPES、およびpH8.0;または150mMのNaCl、25mMのHEPES、およびpH8.8)で、重鎖のカルボキシル末端もしくはアミノ末端(それぞれ、HCQ01(LLQGG(配列番号2)))およびHNQ01(QVQLKE(配列番号39))または軽鎖のカルボキシル末端もしくはアミノ末端(それぞれ、LCQ01(GGGLLQGG(配列番号5))およびLNQ01(GLLQG(配列番号6))でQ含有タグを有する2つのフルオロフォアカダベリン(Alexa488カダベリンおよびSR101カダベリン)を用いてさらに試験した。フルオロフォアカダベリンおよびmAb1のコンジュゲーションは、重鎖カルボキシル末端および軽鎖カルボキシル末端でQタグを有するmAb1において観察された。
図2Aおよび2B。重鎖または軽鎖の末端で組み込まれた様々なQタグを有するIgG1 mAb1、およびいかなるタグも有さない野生型mAb1への、Alexa488カダベリンの、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションの効率もまた試験した。
図3。
図2Aおよび2Bと同様に、IgG1 mAb1へのAlexa488カダベリンのコンジュゲーションは、重鎖および軽鎖のカルボキシル末端において観察された。最後に、重鎖のカルボキシル末端でHCQ01タグを有するIgG1 mAb1−HCQ01、軽鎖のカルボキシル末端でLCQ01タグを有するmAb1−LCQ01、ならびにHCQ01タグおよびLCQ01タグの両方を有する二重突然変異体への、Alexa488カダベリンの、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションの効率を試験した。この実施例において、最も高いコンジュゲーション効率は、IgG1 mAb−HCQ01−Alexa488カダベリンで観察された。
図4。
【0217】
疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いる抗体−薬剤のコンジュゲーション効率の分析
重鎖のカルボキシル末端でHCQ01タグを有するIgG1 mAb1−HCQ01で得られた疎水性相互作用クロマトグラムを、コンジュゲーションの前(A)、アミノカプロイル−MMAEへのコンジュゲーションの後(B)、アミノ−PEG2−プロピオニル−MMAEへのコンジュゲーションの後(C)、アミノ−PEG3−プロピオニル−MMAEへのコンジュゲーションの後(D)、Ac−Lys−VC−PABC−MMADへのコンジュゲーションの後(E)、アミノカプロイル−MMADへのコンジュゲーションの後(F)、Ac−Lys−Gly−MMADへのコンジュゲーションの後(G)、Ac−Lys−β−Ala−MMADへのコンジュゲーションの後(H)、アミノカプロイル−VC−PABC−MMAFへのコンジュゲーションの後(I)、アミノカプロイル−MMAFへのコンジュゲーションの後(J)、プトレシニル−ゲルダナマイシンへのコンジュゲーションの後(K)、およびAc−Lys−プトレシニル−ゲルダナマイシンへのコンジュゲーションの後(L)の薬剤について決定した。コンジュゲーションは、(B)〜(L)で観察された。重鎖のアミノ末端でHNQ01タグを有するmAb1−HNQ01で得られた疎水性相互作用クロマトグラムはまた、コンジュゲーションの前(A)、AcLys−プトレシニル−ゲルダナマイシンへのコンジュゲーションの後(B)、AcLys−プトレシニル−ゲルダナマイシンにコンジュゲートしていない、軽鎖のカルボキシル末端でLCQ01タグを有するmAb1−LCQ01(C)、およびAcLys−プトレシニル−ゲルダナマイシンにコンジュゲートした、軽鎖のカルボキシル末端でLCQ01タグを有するmAb1−LCQ01(D)、ならびにAcLys−プトレシニル−ゲルダナマイシンへのコンジュゲーションの前の、軽鎖のN末端でLNQ01(配列番号9)タグを有するmAb1−LNQ01(E)、およびAcLys−プトレシニル−ゲルダナマイシンへのコンジュゲーションの後の、軽鎖のN末端でLNQ01(配列番号9)タグを有するmAb1−LNQ01(F)の薬剤についても試験した。さらに、いかなるQタグも有さない野生型IgG1 mAb1で得られた疎水性相互作用クロマトグラムを用いる対照実験もまた、コンジュゲーションの前(A)、アミノカプロイル−VC−PABC−MMAFとのコンジュゲーションの後(B)、アミノカプロイル−MMAFとのコンジュゲーションの後(C)、プトレシニル−ゲルダナマイシンとのコンジュゲーションの後(D)、およびAcLys−プトレシニル−ゲルダナマイシンとのコンジュゲーションの後(E)の薬剤について行った。対照実験において、抗体にコンジュゲートする薬剤は観察されなかった。
【0218】
抗体−薬剤のコンジュゲーション効率および安定性
異なる化学量論を有する抗体−薬剤コンジュゲートの相対的分布を、疎水性相互作用クロマトグラムを積分することによって得た。ロード量は、薬剤/抗体比率に等しい。
【0219】
【表2】
【0220】
mAb1−HCQ01へのAc−Lys−プトレシニル−ゲルダナマイシンの、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションをまた、抗体濃度比率当たりの初期薬剤を変化させてモニタリングした。異なる化学量論を有するコンジュゲーション生成物を、HICを用いて分析した。
【0221】
【表3】
【0222】
いくつかの抗体−薬剤コンジュゲートの安定性を、4℃で4週間、37℃で16時間、および37℃で1週間のインキュベーションの後にHICを用いて試験した。
【0223】
【表4】
【0224】
【表5】
【0225】
部位特異的なコンジュゲーションの質量分析による確認
IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、およびIgG4アイソタイプのQタグQ01(GSPLAQSHGG(配列番号7))を有する抗体を、トランスグルタミナーゼおよびカダベリンAlexa−488とコンジュゲートさせた。対照として、導入されたタグ内にグルタミンを有さない抗体および関連のない野生型IgG2抗体をまた、他の3つの抗体で行ったものと同一の条件下でコンジュゲートさせた。全ての抗体をペプチドに消化し、逆相クロマトグラフィーによって分離し、その後、質量分析した。消化されたペプチドを、490nmでの吸光度(Alexa488染料の最大吸光度)によってモニタリングした。2つの二重ピークをQタグ含有試料において同定したが、対照抗体において標識は同定されず、このことは、所与の条件下での部位特異的なコンジュゲーションを強く示す。IgG1、2、4のQ01試料からの2つの二重ピークを質量分析によってさらに分析して、付着の部位を確認した。Alexa488がコンジュゲートした全てのペプチドを、導入されたQ01タグとして同定した。(Alexa488を用いて観察された2つのピークは、実験において用いられたAlexa488が、5位または6位でカダベリンリンカーが付着した2つの種の混合物であることに起因するものであった。タグペプチドの二重ピークの特徴は、発現の間に起こるC末端での少量のタンパク質分解の結果である。)
図8Aおよび8B。
【0226】
(実施例2)
異なるKタグおよびQタグを用いる、二重特異的抗体の、トランスグルタミナーゼによって触媒される架橋。
材料および方法
IgGヘテロ二量体(すなわち、二重特異的抗体)を、1〜2mMのGSH(グルタチオン)を有するPBS(リン酸緩衝溶液)内で、37℃で24時間、2つの抗体(野生型IgG4またはIgG1およびIgG2の二重特異的突然変異体)をインキュベートすることによって調製した。ヘテロ二量体を、形成された二重特異的抗体と微生物トランスグルタミナーゼとのインキュベーションによって架橋した。アミド転移反応において、抗体上の導入されたグルタミンはアシルドナーとして作用し、抗体上のリジン、リジン含有タグ、またはジアミン化合物は、アシルアクセプターとして作用する。典型的には、1.67〜4.04μMの精製抗体を、pH範囲6.2〜8.8の、150〜900mMのNaCl、および25mMのMES(2−[N−モルホリン]エタミンスルホン酸)、HEPESまたはTris HCl緩衝液内で、0.1〜1.0%(w/v)のストレプトベルチシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)トランスグルタミナーゼ(ACTIVA、味の素、日本)とインキュベートする。ジアミン化合物による2つのグルタミンタグの架橋のケースでは、167〜404μMの間の範囲の20モル濃度過剰なアシルアクセプターを用いた。室温でおよそ2時間のインキュベーションの後、抗体を、当業者によって知られている標準的なアフィニティークロマトグラフィー方法を用いて、MabSelect樹脂(GE Healthcare、Waukesha、WI)上で精製する。架橋効率を、還元性SDSゲル上で抗体をランさせ、重鎖−重鎖架橋のバンドに対して重鎖バンドの強度を比較することによって決定する。
【0227】
二重特異的抗体IgG4およびIgG2の、トランスグルタミナーゼによって触媒される架橋
グルタミン(Q00タグ:GSPLAQSHGG(配列番号7))が導入されたC末端(カルボキシル末端)タグを有する対照抗体を、増大量のトランスグルタミナーゼとインキュベートし、次に、還元条件下でSDS PAGEによって分離した。単量体重鎖および架橋した重鎖−重鎖に対応するバンドを定量し、これは、IgG4抗体のおよそ60%が架橋することを示した。二重特異的なWT(野生型)IgG4および突然変異IgG2抗体(2分の1はQタグを有し、残りの半分はKタグを有する)を、方法の節において記載されているように調製し、トランスグルタミナーゼによって架橋し、上記の対照抗体として分析した。データは、WT−IgG4では抗体のおよそ30%が架橋したが、突然変異IgG2は67%を示したことを示す。
図5。
【0228】
二重特異的抗体での異なるKタグおよびQタグの最小化および架橋効率
Q01タグを有する突然変異IgG2抗体を、K02−K08タグを有する突然変異IgG2抗体とインキュベートし、二重特異的抗体を上記のように形成させた。架橋の程度を、SDS PAGEを用いて測定した。K08タグを有する突然変異IgG2抗体を、Q01−Q08タグを有する突然変異IgG2抗体とインキュベートし、二重特異的抗体を上記のように形成させた。架橋の程度を、SDS PAGEを用いて測定した。
図6。
【0229】
Q03タグ、Q06タグ、およびQ07タグを有する突然変異IgG2抗体を、K02タグ、K03タグ、およびK06タグを有する突然変異IgG2抗体とインキュベートし、二重特異的抗体を上記のように形成した。架橋の程度を、SDS PAGEから測定した。
図7。
【0230】
(実施例3)
インビトロでの細胞傷害アッセイ
インビトロでの細胞傷害アッセイを、様々な抗体、ペイロード(すなわち、作用物質部分)、およびアミンドナー単位を用いて行った。mAb2(キメラIgG1抗体)では、標的を発現する細胞(A431、OVCAR3、BxPC3、およびHT−29)または発現しない細胞(SW620)を、処理の前に24時間、壁が白く底が澄明なプレートに2000個細胞/ウェルで播種した。細胞を、4倍連続希釈された抗体−薬剤コンジュゲートまたは遊離化合物(すなわち、薬剤に抗体がコンジュゲートしていない)で処理し、これを3組行った。細胞の生存率を、Cell Titer−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay 96(Promega、Madison WI)によって処理の96時間後に決定した。相対的な細胞生存率を、未処理対照に対するパーセンテージとして決定した。IC50を、Prismソフトウェアによって計算した。表6は、様々な抗体−薬剤コンジュゲートおよびコンジュゲートしていない薬剤を用いる、異なる細胞におけるコンジュゲーション比率および抗体のIC50を示す。
【0231】
【表6-1】
【0232】
【表6-2】
【0233】
【表6-3】
【0234】
mAb3(ヒト化IgG1抗体)では、標的を発現する細胞(BT474、HCC1954、MDA−MB−361−DYT2、N87)または発現しない細胞(MDA−MB−468)を、処理の前に24時間、96ウェル細胞培養物プレート内に播種した。細胞を、3倍連続希釈された抗体−薬剤コンジュゲートまたは遊離化合物(すなわち、薬剤に抗体がコンジュゲートしていない)で処理し、これを10種の濃度で2組行った。細胞の生存率を、CellTiter 96(登録商標)AQ
ueous One Solution Cell Proliferation MTS Assay(Promega、Madison WI)によって処理の96時間後に決定した。相対的な細胞生存率を、未処理対照のパーセンテージとして決定した。IC50値を、4パラメータロジスティックモデル#203とXLfit v4.2(IDBS、Guildford、Surry、UK)とを用いて計算した。表7は、様々なコンジュゲート位置での様々な抗体−薬剤コンジュゲートを用いる、異なる細胞におけるコンジュゲーション比率および抗体のIC50を示す。
【0235】
【表7】
【0236】
(実施例4)
インビボでのMDA−361 DYT2腫瘍異種移植モデル
抗体−薬剤コンジュゲートのインビボでの有効性研究を、MDA−361 DYT2細胞系を用いて、標的を発現する異種移植モデルを用いて行った。DYT2の有効性研究では、50%マトリゲル内の1000万個の腫瘍細胞を、腫瘍サイズが250〜350mm
3に達するまで、6〜8週齢の放射線照射したヌードマウスに皮下移植した。平均腫瘍容積がおよそ400mm
3に達したら処理を開始した。投与は、ボーラス尾静脈注射を介して行った。処理に対する腫瘍の応答に応じて、動物に1〜10mg/kgの抗体薬剤コンジュゲート(mAb3)を注射し、4日ごとに4回処理した。抗体薬剤コンジュゲートには、mAb3−TG1−アミノカプロイル−VC−PABC−MMAD、mAb3−H10−TG6−アミノ−PEG6−C2−MMAD、mAb3−N297A−アミノ−PEG6−C2−MMAD、およびmAb3−N297Q−アミノ−PEG6−C2−MMADが含まれる。TG1(またはHCQ01)、H10、およびTG6は、配列番号2、3、および48の配列をそれぞれ有するQタグである。Qタグ(すなわち、TG1、H10、およびTG6)で置き換えられたmAb上の具体的なアミノ酸位置を表9に示す。N297Aは、297位での非グリコシル化および295位でのアクセス可能な/反応性の内因性グルタミンを生じさせる、297位でのNからAへのアミノ酸置換を示す。N297Qは、297位での非グリコシル化ならびに295位および297位でのアクセス可能な/反応性の内因性グルタミンを生じさせる、297位でのNからQへのアミノ酸置換を示す。全ての実験動物は、週に1回、体重の変化をモニタリングした。腫瘍容積を、最初の50日間は週に2回、およびその後は週に1回、キャリパー装置によって測定し、式:腫瘍容積=(長さ×幅
2)/2で計算した。動物の腫瘍容積が2500mm
3に達する前に、動物を安楽死させた。抗体薬剤コンジュゲートで処理した全ての動物において、全てのコンジュゲートで、投与後1週間以内に腫瘍の退行が観察され、少なくとも5週間継続した。
図9を参照されたい。逆に、腫瘍容積は、媒体のみを投与された動物において増大した。
図9を参照されたい。これらの結果は、本明細書において記載される方法によって調製された抗体薬剤コンジュゲートがマウス異種移植モデルにおける腫瘍サイズの低減において効果的であることを示す。
【0237】
(実施例5)
インビボでのN87腫瘍異種移植モデル
抗体−薬剤コンジュゲートのインビボでの有効性研究を、N87細胞系を用いて、標的を発現する異種移植モデルを用いて行った。有効性研究では、50%マトリゲル内の7500万個の腫瘍細胞を、腫瘍サイズが250と350mm
3との間に達するまで、6〜8週齢のヌードマウスに皮下移植した。平均腫瘍容積がおよそ400mm
3に達したら処理を開始した。投与は、ボーラス尾静脈注射を介して行った。処理に対する腫瘍の応答に応じて、動物に1〜10mg/kg(1、3、および10mg/kg、群当たりn=8)の抗体薬剤コンジュゲート(mAb3)を注射し、4日ごとに4回処理した。抗体薬剤コンジュゲートには、mAb3−TG1−アミノカプロイル−VC−PABC−MMAD、mAb3−TG1−アミノ−PEG6−C2−MMAD、およびmAb3−N297Q−アミノ−PEG6−C2−MMADが含まれる。QタグTG1(またはHCQ01)は、配列番号1に対応する。QタグTG1で置き換えられたmAb上の具体的なアミノ酸位置を表9に示す。N297Qは、297位での非グリコシル化ならびに295位および297位でのアクセス可能な/反応性の内因性グルタミンを生じさせる、297位でのNからQへのアミノ酸置換を示す。全ての実験動物は、週に1回、体重の変化をモニタリングした。腫瘍容積を、最初の50日間は週に2回、およびその後は週に1回、キャリパー装置によって測定し、式:腫瘍容積=(長さ×幅
2)/2で計算した。動物の腫瘍容積が2500mm
3に達する前に、動物を安楽死させた。10mg/kgでの全てのコンジュゲートで、および3mg/kgのmAb3−TG1−アミノカプロイル−VC−PABC−MMAD群で、1週間後に腫瘍の退行が観察された。腫瘍の阻害は、3mg/kgおよび1mg/kg用量での残りのコンジュゲートで観察された。
図10。これらの結果はまた、本明細書において記載される方法によって調製された抗体薬剤コンジュゲートがマウス異種移植モデルにおける腫瘍サイズの低減において効果的であることを示す。
【0238】
(実施例6)
インビボでのBxPC3腫瘍異種移植モデル
抗体−薬剤コンジュゲートのインビボでの有効性研究を、標的を発現するBxPC3異種移植片を用いて行った。腫瘍細胞を、腫瘍サイズが少なくとも200mm
3に達するまで、5〜8週齢のSCID(重症複合免疫不全)マウスに皮下移植した。平均腫瘍容積が200〜400mm
3に達したら処理を開始した。投与は、ボーラス尾静脈注射を介して行った。処理に対する腫瘍の応答に応じて、動物に1〜10mg/kgの抗体薬剤コンジュゲート(mAb2)を注射し、1回の単回用量で処理した。抗体薬剤コンジュゲートには、mAb2−TG1−アミノカプロイル−VC−PABC−MMADおよびmAb2−N297Q−アミノ−PEG6−C2−MMADが含まれる。QタグTG1(またはHCQ01)は、配列番号1に対応する。QタグTG1で置き換えられたmAb上の具体的なアミノ酸位置を表9に示す。N297Qは、297位での非グリコシル化ならびに295位および297位でのアクセス可能な/反応性の内因性グルタミンを生じさせる、297位でのNからQへのアミノ酸置換を示す。全ての実験動物は、週に1回、体重の変化をモニタリングした。腫瘍容積を、週に1回、キャリパー装置によって測定し、式:腫瘍容積=(長さ×幅
2)/2で計算した。動物の腫瘍容積が2000mm
3に達する前に、動物を安楽死させた。腫瘍が退行したら、動物を、処理が中断した後の腫瘍の再成長について連続的にモニタリングした。腫瘍の退行は、投与の1週間後に観察され、mAb2−N297Q−PEG6MMAD(左パネル、
図11)では3週間、mAb2−TG1−vcMMAD(右パネル、
図11)では6週間超継続した。TG1(またはHCQ01)は、配列番号2に対応する。これらの結果はまた、本明細書において記載される方法によって調製された抗体薬剤コンジュゲートがマウス異種移植モデルにおける腫瘍サイズの低減において効果的であることを示す。
【0239】
(実施例7)
コンジュゲーション部位のスキャン
IgG1抗体(mAb2またはmAb4)上の様々な部位での、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションの効率を調べた。抗体の曝露されたループ(例えば、1〜5アミノ酸長)の部分を様々な長さのQタグで置き換えるか、またはQタグをこれらのループ内に挿入した。mAb2突然変異体およびmAb4突然変異体を、トランスグルタミナーゼを用いて様々なリンカー−ペイロード(アミンドナー物質)にコンジュゲートし、コンジュゲーション収量を、実施例1において記載されているように決定した。試験したアミノ酸位置、Qタグの配列、およびコンジュゲーション収量のリストを、表8および9に示す。
【0240】
【表8】
【0241】
【表9-1】
【0242】
【表9-2】
【0243】
【表9-3】
【0244】
(実施例8)
インビボでの抗体コンジュゲートの安定性の決定
C末端(アミノ酸位置447)でQタグ(配列番号2)で操作された抗体(mAb2)を、アミノカプロイル−VC−PABC−MMAEまたはアミノカプロイル−VC−PABC−MMADにコンジュゲートし、10mg/kgでSCIDマウスに注射した。マウスをその後、3日後に屠殺した。抗体コンジュゲートを、タンパク質Aを用いてマウス血漿から精製し、HICカラムでランして、実施例1において記載されたように残っているコンジュゲートの量を定量した。Ab−TG1でC末端でコンジュゲートされたアミノカプロイル−VC−PABC−MMAEは、3日後にインビボでほぼ完全に切断されていることが分かった。Ab−TG1でC末端でコンジュゲートされたアミノカプロイル−VC−PABC−MMADは、無傷のコンジュゲートのおよそ60%が3日後にインビボで残っていることが分かった。
図12を参照されたい。
【0245】
(実施例9)
トランスグルタミナーゼを用いる、部位特異的なFabコンジュゲーション
生体適合性ポリマーへのFabのコンジュゲーションを、重鎖および/または軽鎖上にグルタミンタグ(Qタグ)を有するFab断片とアミン含有生体適合性ポリマーとの間の、微生物トランスグルタミナーゼによって触媒されるアミド転移反応を介して行う。このアミド転移反応において、Fab断片上のグルタミンはアシルドナーとして作用し、アミン含有ポリマーはアシルアクセプター(アミンドナー)として作用する。精製Fabを、ストレプトベルティシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)トランスグルタミナーゼ(ACTIVA(商標)、味の素、日本)の存在下で、過剰なアシルアクセプターとインキュベートする。反応条件を、個別のアシルアクセプター誘導体のために調整する。室温または37℃でのインキュベーションの後、Fabコンジュゲートを、実施例1において記載されているように、当業者に知られている標準的なアフィニティークロマトグラフィー方法を用いて精製する。コンジュゲーション効率を、質量分析、疎水性クロマトグラフィー、または分光光度法(相対的吸光度)、またはイオン交換クロマトグラフィーによって決定する。Fab断片と生体適合性ポリマーとの間の、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションの効率は、50%よりも高く、均質な部位特異的なコンジュゲーションをもたらす。
【0246】
(実施例10)
トランスグルタミナーゼを用いる、部位特異的な毒素ポリペプチドコンジュゲーション
生体適合性ポリマーへの毒素ポリペプチドのコンジュゲーションを、グルタミンタグ(Qタグ)を有する毒素ポリペプチドとアミン含有ポリマーとの間、または第一級アミンを有する毒素ポリペプチドとグルタミンタグを有する生体適合性ポリマーとの間の、微生物トランスグルタミナーゼによって触媒されるアミド転移反応を介して行う。毒素ポリペプチドは、阻害的なシステインノット(セラトトキシンなど)、コノトキシン(KIIIAまたはSmIIIaなど)、または任意の他の小さな毒素タンパク質足場であり得る。このアミド転移反応において、グルタミンはアシルドナーとして作用し、アミンはアシルアクセプターとして作用する。精製毒素ポリペプチドを、ストレプトベルティシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)トランスグルタミナーゼ(ACTIVA(商標)、味の素、日本)の存在下で、アシルアクセプターとインキュベートする。反応条件を、個別のアシルアクセプター誘導体のために調整する。室温でのインキュベーションの後、毒素ポリペプチドコンジュゲートを、当業者に知られている標準的なアフィニティークロマトグラフィー方法を用いて精製する。コンジュゲーション効率を、質量分析、疎水性クロマトグラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーによって決定する。毒素ポリペプチドと生体適合性ポリマーとの間の、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションの効率は、50%よりも高く、均質な部位特異的なコンジュゲーションをもたらす。
【0247】
(実施例11)
トランスグルタミナーゼを用いる、抗体ループへの部位特異的な薬剤コンジュゲーション
抗体へのそのループ上での異なる薬剤(例えば、MMAE、MMAD、MMAF、またはゲルダナマイシン)のコンジュゲーションを、重鎖および/または軽鎖上のループ内にグルタミンタグ(Qタグ)を有する抗体とアミンドナー単位を含有する薬剤(例えば、アミノカプロイル−Val−Cit−PABC、AcLys−プトレシン、AcLys−β−Ala、またはAcLys−Val−Cit−PABC)との間の、微生物トランスグルタミナーゼによって触媒されるアミド転移反応を介して行う。このアミド転移反応において、抗体ループにおけるグルタミンはアシルドナーとして作用し、薬剤に連結したアミンドナー単位はアシルアクセプター(アミンドナー)として作用する。精製抗体を、ストレプトベルティシリウム・モバラエンス(Streptoverticillium mobaraense)トランスグルタミナーゼ(ACTIVA(商標)、味の素、日本)の存在下で、過剰なアシルアクセプターとインキュベートする。反応条件を、個別のアシルアクセプター誘導体のために調整する。室温でのインキュベーションの後、抗体−薬剤コンジュゲートを、実施例1において記載されているように、当業者に知られている標準的なアフィニティークロマトグラフィー方法を用いて精製する。コンジュゲーション効率を、質量分析、疎水性クロマトグラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーによって決定する。抗体と薬剤との間の、トランスグルタミナーゼによって触媒されるコンジュゲーションの効率は、50%よりも高く、抗体ループの部位での均質な部位特異的なコンジュゲーションをもたらす。
【0248】
開示された教示は様々な適用、方法、および組成物に関して記載されているが、本明細書における教示および以下の特許請求の範囲に記載の発明から逸脱することなく、様々な変化および変更を行うことができることが理解されよう。前述の実施例は、開示される教示をより良く説明するために提供されており、本明細書において提示される教示の範囲を限定することを意図したものではない。本教示はこれらの典型的な実施形態に関して記載されているが、当業者には、これらの典型的な実施形態の多くの変型および変更が、不必要な実験を伴わずに可能であることが容易に理解されよう。全てのこのような変型および変更は、本教示の範囲内である。