(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、式(Ia)および(Ib)の特定のレチナールシクロデキストリンアセタール類およびヘミアセタール類を開示する。これらは、レチナール等のポリエンアルデヒドとγ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンとの反応によって調製される。前記反応分子間で形成される共有結合の化学結合構造の結果、対応するアセタールまたはヘミアセタール化合物が形成される。さらに、ヘミアセタールの位置にある炭素原子は立体化学的に(R)型または(S)型であり得る。そのため、式(III)〜(V)にて例示したように、これらの化合物は(R)型または(S)型として生成され、その全ては本発明の生物学的皮膚治療の目的のために有用である:
【0031】
【化5】
式中、n=0、1、2、3または4であり、好ましくはn=1、2、または3である。
【0032】
ポリエンアルデヒド部分に由来する本発明の化合物の側鎖は、シクロデキストリン部分のポリヒドロキシル内腔の内側(環内、式VII)または外側(環外、式VIII)に配置可能である。これは、多くの立体化学的な配置および配座構造を可能とする。
【0034】
【化7】
(VIII)、
式中、n=0、1、2、3または4であり、好ましくはn=1、2、または3である。
【0035】
本発明の化合物は、式(IaおよびIb)の化合物のために例示されるプロセスにて調製可能であり、ここでシクロデキストリン(IX)は、ポリエナル(X)、またはその改変体と反応される:
【0036】
【化8】
式中、n=0、1、2、3または4であり、好ましくはn=1、2、または3である。
【0037】
上述のプロセスは、(i)まずレチナール等のポリエンアルデヒドと有機可溶性化液体とを、透明な混合物が得られるまで混合する工程と、(ii)前記混合物に対して適切なシクロデキストリンおよび水を添加し、窒素またはアルゴン雰囲気下で1〜120時間混合する工程と、(iii)前記反応混合物を乾燥して粉末化する工程とを含み、(iv)乾燥の好適な方法はパルス燃焼方式噴霧乾燥(Pulse Combustion Spray Drying)であり、これは乾燥される産物が高温にさらされることを最少化するように設計された、特殊な噴霧乾燥技術である。前記有機可溶性化液体は、トリグリセリド、ポリオール、脂肪エステル、またはそれらの組合せから構成される群から選択される。
【0038】
本発明のプロセスにおいて、ヒドロキシエチル−およびヒドロキシプロピル−シクロデキストリン類、硫酸化シクロデキストリン、リン酸化シクロデキストリン、ならびに全ての形態のポリエンアルデヒドを含む、シクロデキストリン類およびその誘導体が有用である。
【0039】
本発明のプロセスにおいて、レチナール以外のアルデヒドも有用である。さらに、レチナールの異性体、類似体、および誘導体も有用である。レチニルプロピオナート(ビタミンAプロピオナート)、他のレチニルエステル類、および例えばEbreyら(Biochemistry,1975, 14(18),pp3933−3941)によって開示される誘導体等の他の誘導体を含む、レチノイドアルデヒドおよびレチナールのレチノイド誘導体も有用である。
【0040】
本発明のプロセスにおいて、有機可溶性化液体として使用可能なものとしては、C−10〜C−20脂肪酸のトリグリセリド、アルキル、もしくはアリールエステル、C−10〜C−20脂肪アルコールのアルキルもしくはアリールエステル、またはポリオールおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0041】
本発明のプロセスにおいて、有機可溶性化液体として使用可能なものとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、メチルプロパンジオール、ポリエチレングリコール、グリコールエーテル類(例えばエトキシジグリコール)等の、アルキルグリコールが挙げられる。
【0042】
本発明のプロセスにおいて、パルス燃焼方式噴霧乾燥が用いられる。流動床乾燥(fluidized bed drying)、ドラム乾燥、太陽光乾燥、産業噴霧乾燥(industrial spray drying)、凍結乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、衝撃乾燥(impingement drying)、気送乾燥、気流乾燥(flash drying)、コンベヤ乾燥(conveyor drying)等の、他の乾燥方法もそれらの用途のために最適化可能である。前記化合物は、それが溶液中にあるときは、前記乾燥プロセスのいずれも行わずに美顔用製品に添加可能であることは想定され得る。
【0043】
本発明のプロセスにおいて、レチノイドまたはカロチノイドアルデヒド等のポリエンアルデヒドが用いられ、その例としては式(XI)〜(XV)のものが挙げられる:
【0049】
式(XVI)〜(XX)に記載のように、これは、対応するレチナールまたはカロテナールシクロデキストリンヘミアセタールまたはアセタールの、レチノイドまたはカロチノイド側鎖をもたらす。
【0054】
【化18】
式中、Yは、式(Ia)(Ib)のヘミアセタールまたはアセタール炭素への結合点である。
【0055】
本発明は、以下に述べるがこれに限らない状態に関連した疾患を伴う症状の治療、予防、発生を減らす、または改善する方法を提供する:ニキビ皮膚の外観、ニキビによる皮膚の美観喪失および皮膚の黒ずみ;ガン、糖尿病、放射線療法、化学療法および日焼けからの障害を受けた皮膚;ミトコンドリア機能不全;年齢によるシミ;細胞の抗酸化物質の喪失;コラーゲンの喪失、皮膚従順性の喪失、皮膚柔軟性の喪失、皮膚のシワおよび皮膚の細い線、酸化、放射線による損傷、自由ラジカルによる損傷、紫外線による損傷、を含む老化に伴う皮膚の変化;乾燥皮膚;乾燥症;魚鱗癬;フケ;褐色がかったシミ;角化症;黒皮症;ほくろ;肝斑;シミ、目の下のくま、黒ずんだ皮膚、および斑点を含む、皮膚の色素沈着;脂性肌;いぼ;湿疹;皮膚掻痒症;乾癬;炎症性皮膚病;局所的炎症;荒れた角質;頭皮の乾燥、ならびにそれらの組合せ。前記方法は、本発明の化合物を含む組成物を有効量投与する工程を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明の前記化合物は、メタノール等の低分子直鎖アルカノールと反応したときに脱アセタール化するという固有の特性を有する。この反応は、イソプロパノール等の分岐鎖アルカノール、またはクロロホルム等の非極性物質との間では進行しない。前記脱アセタール化は、局所へ塗布された場合も起きる。皮膚の酸性pHおよび局所的水分の存在が、この反応の原因となるようである。これは、以下で例示される:
【0057】
【化19】
式中、
n=0、1、2、3、および4、好ましくは、nは、1、2または3であり、
X=Hであり、
Zは、以下の物質からなる群から選択され:H、−CH
2−CH
2−OH、−CH
2−CH
2−CH
2−OH、−SO
3H、−SO
3M、−PO
3H
2、−PO
3M、および−PO
3M
2、好ましくは、ZはHであり、
M=Na、K、Ca、Mg、Ba、Zn、Mn、Cu、Fe、CoおよびNiである。
【0058】
本発明の前記化合物は、以下に挙げるがこれに限らない特定の皮膚科学的な障害に伴う症状の治療、予防、発生を減らす、または改善するのに有用であってもよい:ガン、糖尿病、放射線療法、化学療法、および日焼けから障害を受けた皮膚;ミトコンドリア機能不全;年齢によるシミ;ニキビ、およびニキビに関連した皮膚の美観喪失および皮膚の黒ずみ;細胞の抗酸化物質の喪失;コラーゲンの喪失、皮膚従順性の喪失、皮膚柔軟性の喪失、皮膚のシワおよび皮膚の細い線、酸化、放射線による損傷、自由ラジカルによる損傷、紫外線による損傷、を含む老化に伴う皮膚の変化;乾燥皮膚;乾燥症;魚鱗癬;フケ;褐色がかったシミ;角化症;黒皮症;ほくろ;肝斑;シミ、目の下のくま、黒ずんだ皮膚、および斑点を含む、皮膚の色素沈着;脂性肌;いぼ;湿疹;皮膚掻痒症;乾癬;炎症性皮膚病;局所的炎症;荒れた角質;頭皮乾燥、ならびにそれらの組み合わせ。
【0059】
本発明の前記化合物が、好適な担体のベース(carrier base)または局所送達システムおよび他のあらゆる望ましい薬剤に取り込まれるのが好ましい。いくつかの実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物および/もしくは(Ib)の化合物、またはその混合物と、以下に記載されるがこれに限定されない1つ以上の付加的な成分とを含む組成物を提供する:抗酸化物質、フリーラジカル中和剤(free radicals, neutralizing agents)、抗炎症剤、コラーゲンおよびフィブリンのブースト剤(boosting agents)、ならびに4級アンモニウム化合物。前記組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記組成物は、式(Ia)の前記化合物および/または(Ib)の前記化合物を、約0.05重量%〜40重量%の量、好ましくは約0.05重量%〜約25重量%の量、より好ましくは約0.1重量%〜約15重量%の量で含む。
【0060】
皮膚の老化プロセスの減速および皮膚のシワ減少に対する、抗酸化物質およびフリーラジカル中和剤の役割は従来技術において周知である。新しい皮膚細胞が作成される、皮膚のより深部の再生層において皮膚を保護するために、前記抗酸化物質およびフリーラジカル中和剤を本発明の前記組成物に含めてもよい。このため、細胞内の抗酸化物質またはフリーラジカル中和剤も有益でありえる。本発明の薬剤との組み合わせで有用な、複数の機能を有する抗酸化物質としては、アビシン(Abyssine)、アサイー、アセチル−L−シスチン、アセチル−L−カルニチン、L−アデニン、アデノシン、アルダバイン(Aldavine)、アルデニン(Aldenine)、アルファルファ、アラントイン(Allantoin)、アルブチン、アンビエティ(Ambiaty)、アメリオックス(Ameliox)、アークティククランベリー(Arctic Cranberry)、アルガニル(Arganyl)、アルテミシア(Artemisia)、L−アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート(Ascorbyl Palmitate)、アジア酸(Asiatic Acid)、アスタキサンチン(Astaxanthin)、βカロチン、ベツリン酸(Betulinic Acid)抽出物、コケモモ、ブルーベリー抽出物、カムカム(Camu Camu)、カナダヤナギソウ(Canadian Willowherb)、カタラーゼ、キャッツクロー(Cat’s Claw)、チェリモヤ(Cherimoya)、クラウドベリー(Cloudberry)、クランベリー、エンブリカ(Emblica)、没食子酸、大虎杖(Giant Knotweed)、ゴジベリー(Goji Berry)、緑茶抽出物、グアバ抽出物、ヒース抽出物、カカドゥープラム(Kakadu Plum)、キーウィ抽出物、クズ・ジンビオゾム・ファーメンタム(Kudzu Zymbiozome Fermentum)、リチダーム(Litchiderm)、リコピン、リン酸アスコルビルマグネシウム、モクレン(Magnolia)抽出物、マンゴスチン、ウスベニタチアオイ(Marshmallow)抽出物、メリタン(Melitane)、ミルクシスル(Milk Thistle)、ミトプロテクト(ナノハート)(MitoProtect(Nanoheart))、ナチュロン(Natrulon)、ネクタピュール(Nectapure)、ノニ(Noni)抽出物、ペウムスバルダス(Peumus Boldus)葉抽出物、フィコシアニン、フィチン酸、プランタゴ(Plantago)、プエラリアミリフィカ(Pueraria Mirifica)、パンプキン抽出物、ケルセチン(Quercetin)、アカツメクサ、赤ワイン抽出物、レスベラトロール、レチニルパルミテート、ロディオラ(Rhodiola)、ルイボスティー、スーパーオキシドディスムターゼ、テトラヒドロクルクミノイド(Tetrahydrocurcuminoids)、チオレドキシン(Thioredoxin)、チオクト酸(Thioctic Acid)、チオタイン(Thiotaine)、タイム抽出物、トコフェロール、トコフェロール、ウコン抽出物、ユビキノン、ヴェニュセアンヌ(Venuceane)、白牡丹(White Peony)抽出物、白茶(White Tea)抽出物、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0061】
環境、個人衛生、体美化、および食事/個人習慣状況によって生じる皮膚刺激を減らすために、抗炎症剤を本発明の組成物に含めることができる。皮膚刺激はコラーゲンの分解を引き起こすことは公知であり、それは皮膚のシワにつながる。皮膚刺激を引き起こし得る環境条件の例として、乾燥空気、紫外線、日光、フリーラジカル、空気汚染物質等が挙げられる。皮膚刺激を引き起こし得る個人衛生状況の例としては、石鹸、洗浄剤、ひげ剃り、脱毛薬剤等の使用が挙げられる。皮膚刺激を引き起こし得る体美化の例としては、芳香剤、化粧品、その他の体を化粧するための薬剤が挙げられる。皮膚刺激を引き起こし得る食事/個人習慣状況の例としては、プロスタグランジン合成を増強しうる脂肪が豊富な食品の消費、ならびにタバコおよびアルコールの過剰な摂取が挙げられ、これらは全て皮膚刺激を引き起こすことが公知である。
【0062】
ほとんどの抗炎症剤は、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)、およびリポキシゲナーゼ−5(LOX−5)の酵素阻害経由でプロスタグランジン産生を減少させることによって機能する。炎症の領域から乳酸を除去するための血管拡張成分またはマッサージの使用は、周知の治療である。活性酸素種(スーパーオキシドアニオン等)によって炎症が開始されることが認識されている。最近では、P物質が炎症性の反応に由来する痛みの神経伝達の役割を果たすことが認識されている。新規な抗炎症性治療の開発において炎症性サイトカイン類の阻害について活発に研究されている。さらに、活性化マクロファージによる過剰な一酸化窒素(NO)生産は、関節炎を含むいくつかの炎症性疾患に関与していることが最近示唆されている。これらの局面は、米国特許第5,494,668号、第5,888,514号、第5,854,291号、および第5,916,565号に更に詳細に記載されている。
【0063】
コラーゲンおよびフィブリンのブースト剤も本発明の組成物に含めることができる。自然な老化プロセスにおいて、コラーゲンおよびフィブリンの生産が減速することは周知である。これは、皮膚薄膜化、皮膚弾力の喪失、およびシワの形成を引き起こす。どのような総合的アンチエイジング治療においてもコラーゲンまたはフィブリンのブースト剤を含めることは、皮膚再生という点で生物学的に重要である。
【0064】
送達システムが化粧品および製薬の学問分野で非常に有用であることは、科学者の間でよく認識されている。本発明の発明者のうちの1人によって執筆された最近の記事(「コスメティック・デリバリーシステムズ、ホウスホールド&パーソナルプロダクツインダストリー(Cosmetic Delivery Systems, Household & Personal Products Industry)(一般に雑誌「HAPPI」として公知)の2003年1月号、79ページ)において、多くの従来技術の送達システムの定義および利点が述べられた。このように送達システムは、消費者製品または組成物の性能および消費者へのアピールを向上可能な芸術と科学との組合せである。
【0065】
本発明はまた、健康な皮膚生態のためのキラリティー的に正しいミトコンドリア保護(mitoprotectant)アミノ酸/エステルとペプチド複合体との科学的な組合せ、ならびに皮膚疾患を伴う課題の総合的な解決策を提供するための高性能送達システムを含む、局所送達システムを開示する。
【0066】
4級アンモニウム化合物は、コンディショニング、光沢、皮膚を滑らかにする、その他を含むさまざまな利益を得るために、現代のスキンケア剤に一般的に使用されてきた。本質的に陽イオンであるこれらのアンモニウム化合物も、イオン対として陰イオン性の対イオンを含む。例えば、クローダソルブ(Crodasorb) UV−HPP(ポリクオタニウム−59(Polyquaternium−59))は、クロライドおよびメトサルフェートが陰イオン性の対イオンとして結合している高分子4級アンモニウム組成物である。当業者ならば、そのような4級アンモニウム物質の陽イオン部分だけが、紫外線による損傷の防止、抗張力の保護、疎水性、および皮膚の自然の色の保護といったスキンケアの利益を提供することをよく知っている。他の例としては、紫外線吸収性の4級アンモニウム化合物である、インクロクアット(Incroquat) UV−283(シンナミドプロピルトリモニウムクロリド(Cinnamidopropyltrimonium chloride))は、紫外線およびフリーラジカルによる損傷からの保護を提供する。この例では、この組成物の陽イオン性のシンナミドプロピルトリモニウム部分がそのような利益を提供し、陰イオン(クロリド)部分は皮膚に有益な効果を全く提供しない。
【0067】
アンチエイジング剤における細胞内抗酸化物質の重要性は、近年注目を集めている。植物性の抗酸化物質を美顔用製品に含めることは、アンチエイジングおよび皮膚色向上の他の利益のために人気を集めつつあり、それは栄養剤としてのそれらの用途と一致している。よく知られている抗酸化物質(ビタミンE、コエンザイムQ10、アスコルビン酸、リポ酸および大豆イソフラボン等)が処方される、様々な効果を約束する美顔用製品が市場に登場している。局所抗酸化物質製品の設計は以下の点で挑戦である。広いスペクトルの抗酸化物質製品は、酸素、フリーラジカル、紫外線、大気の汚染物質、酸化酵素、酸化的代謝、および化学的酸化を含む生化学機構から生じる細胞内酸化を制御しなければならない。複雑であり、しばしば相互関係のある生化学酸化機構を制御するための機能的細胞内抗酸化物質およびフリーラジカル中和剤を選択し、皮膚を経由した吸収による生物学的利用能を保証する局所送達システムを設計することは、最高に重要である。
【0068】
抗酸化物質カスケード機構のため、抗酸化物質の組合せは、等重量基準において単一の抗酸化物質より効果的であり得る。抗酸化物質が、ポリフェノール、カロチノイド、フラボノイド等のさまざまな化学分類に属することは周知である。幾つかの例を以下に述べる。(化学分類は括弧内に示される)ルチン(フラボン)、ケルセチン(フラボン)、ヘスペリジン(フラボン)、ジオスミン(フラボン)、マンギフェリン(キサントン)、マンゴスチン(キサントン)、シアニジン(カロチノイド)、アスタキサンチン(カロチノイド)、キサントフィル(カロチノイド)、リコピン(カロチノイド)、カロチン(カロチノイド)、レスベラトロール(ポリフェノール)テトラヒドロ・クルクミン(ポリフェノール)、ロスマリン酸(ポリフェノール)、エラグ酸(ポリフェノール)、ヒペリシン(ポリフェノール)、クロロゲン酸(ポリフェノール)、オレウロペイン(ポリフェノール)、リポ酸(ジスルフィド)、酸化グルタチオン(ジスルフィド)、シスチン(ジスルフィド)、N−アセチルシスチン(ジスルフィド)、還元グルタチオン(スルフヒドリル)、シスチン(スルフヒドリル)、およびN−アセチルシスチン(スルフヒドリル)。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、さまざまな生化学機構から生じている細胞内酸化を制御するための、異なる化学分類の抗酸化成分の組合せを含む。これらの抗酸化物質も抗炎症性や抗菌性の特性を備えていてもよい。抗酸化物質の総量を慎重に調整しなければならない。その理由は、過剰な抗酸化物質の量は逆の酸化促進的な効果をもたらし、その結果、製品の安定性および性能が低くなってしまう可能性があるためである。抗酸化相乗剤の使用は、付加的な効果を提供する。そのような相乗剤の鍵となる機能は、抗酸化物質フリーラジカルを元のラジカル無しの状態に再変換し、自滅によって中和された無害な分子にするものである。ヒドロキシ酸(クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸等)はこの目的のために頻用される。コエンザイムQ10、ビタミンC、およびケルセチンも相乗剤として報告されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、粘性を例えば水の粘性と同程度まで減少する薬剤を含む。そのような粘性減少薬剤の例としてpH調整剤が挙げられる。pHは、低下させてもよいが、好ましくは上昇させるのがよい。
【0071】
細胞機能を補助するものとしても知られる、多種類のコラーゲンおよびフィブリンのブースト成分が現在市販されている。そのような成分も本発明の組成物に含むことができる。その非限定的な例としては、ウィザニア・ソムニフェラ(Withania Somnifera)根抽出物、アスコフィルム・ノドサム(Ascophyllum Nodosum)抽出物、アスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis Armata)抽出物、ヴェロニカ・アッペンディキュラタ(Veronica Appendiculata)葉抽出物、ベチュラ・アルバ(Betula Alba)(カバノキ)樹皮/葉抽出物、シリル・マイアナム(Silybum Marianum)果実抽出物、アミノグアニジンHCL、マラス・ドメスティカ(Malus Domestica)果実培養細胞、アルガニア・スピノサ(Argania Spinosa)葉抽出物、アセチルヘキサペプチド−8、バクシニウム・ミルティラス(Vaccinium Myrtillus(Bilberry))抽出物、ルブス・フルクティコサス(Rubus Fructicosus)(ブラックベリー)果実抽出物、ボラゴ・オフィシナリス(Borago Officinalis)種子油、ブジレヤ・ダヴィディ(Buddleja Davidii)分裂組織培養細胞、アスコルビン酸テトラヘキシルデシル、カルノシン(L)、カタラーゼ、センテレ・アジアティカ(Centella Asiatica)分裂組織培養細胞、カプローイル・テトラペプチド−3(Caprooyl Tetrapeptide−3)、混合ムコ多糖(Mixed Mucopolysacchardies)、グリコーゲン、トリペプチド−2、レオトポジューム・アルピナム(Leontopodium Alpinum)分裂組織培養細胞、フィランサス・エンブリカ(Phyllanthus Emblica)果実抽出物、アクメラ・オレラシア(Acmella Oleracea)抽出物、ビテックス・アグナスカクタス(Vitex Agnus Castus)抽出物、テトライソパルミチン酸アスコルビル(Ascorbyl Tetraisopalmitate)、パルミトイルヘキサペプチド−6(Palmitoyl Hexapeptide−6)、リシウム・バルバラム(Lycium Barbarum)抽出物(ゴジベリー(Goji Berry))、マクロキスチス・ピリフェラ(Macrocystis Pyrifera)抽出物、サッカロミセス/キシリナム紅茶発酵物(Saccharomyces/Xylinum Black Tea Ferment)、ペンタペプチド−3(Pentapeptide−3)、大豆イソフラボン、チオブロマ・カカオ(Theobroma Cacao)(カカオ)種子抽出物、カメリア・シネンシス(Camellia Sinensis)葉抽出物、ガルシニア・マンゴスタナ(Garcinia Mangostana)ピール果皮抽出物、リッチ・チネンシス(Litchi Chinesis)果皮抽出物、マチラス(Machilus)属樹皮抽出物、マロタス(Mallotus)属樹皮抽出物、グリコサミノグリカン、シトラス・オウランチム・ドクリス(Citrus Aurantium Duclis)(ネロリ)花油、sH−ポリペプチド−15(sH−Polypeptide−15)、シモンデシア・チネンシス(ホホバ)(Simmondsia Chinensis(Jojoba))種子油、オプンティア・フィカス(Opuntia Ficus)果実抽出物、ピサム・サチバム(Pisum Sativum)(エンドウ豆ペプチド)抽出物、アセチルオクタペプチド−3(Acetyl Octapeptide−3)、ジペプチド・ジアミノブチロイル・ベンジルアミド・ジアセテート(Dipeptide Diaminobutyroyl Benzylamide Diacetate)、パルミトイル・ジペプチド−5(Palmitoyl Dipeptide−5)、パルミトイル・ジペプチド−6(Palmitoyl Dipeptide−6)、チオクト(R−リコピン)酸、L−エルゴチオネイン、アセチル・テトラペプチド−2(Acetyl Tetrapetide−2)、およびグリシン・ソーヤ(Glycerin Soja)(大豆)タンパクが挙げられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、環境、個人衛生、体美化、および食事/個人習慣状況によって生じる皮膚刺激を減らすために、抗炎症剤を本発明の組成物に含めてもよい。なお、2つ以上の、特に異なる生化学機構分類に属する、抗炎症剤の混合物が、単一成分の同重量のものより有益である可能性もある。これは、さまざまな異なる生化学機構によるものであり、それによって、上記抗炎症剤が有益な効果をもたらすことができる。多くの合成および天然薬剤が利用でき、そのような例をいくつか後述する(それらの作用の生化学機構は括弧内に示される)。それらの非限定的な例としては:根ショウガ、またはジンジバー・オフィシナーレZingiber Officinale根抽出物(COX−2阻害剤);ガランガGalangaまたはアルピナ・オフィシナルムAlpinia Officinarum抽出物(LOX−5阻害剤);ウコンまたはクルクマ・ロンガCurcuma Longa根抽出物(過酸化物抑制剤);マンゴージンジャーまたはクルクマ・アマンダCurcuma amada(未知の機構);テトインtetuin、カプシクムCapsicum、またはカプシクム・アヌームCapsicum Annuum抽出物(P物質阻害剤、血管拡張、過酸化物抑制剤);クローブ類またはシジジュウム・アロマチカムSyzygium Aromaticum抽出物(COX−1、COX−2阻害剤);エボディアEvodiaまたはエヴォディア・ルタエカルパEvodia Rutaecarpa果実抽出物(COX−2阻害剤);ボスウェリアBoswelliaまたはボスウェリア・セラータBoswellia Serrata抽出物)(LOX−5阻害剤);SAMeまたはS−アデノシルメチオニン(カテコールアミン代謝);ユーコミスEucomisまたはユーコミスL’’ヘリトEucomis L’’Herit(COX−1阻害剤);セラストラスCelastrusまたはセラストラス・オルビカルタスCelastrus orbiculatus(COX−1阻害剤);チトニアTithoniaまたはチトニア・ダイバーシフォリアTithonia diversifolia(サイトカイニン阻害剤);コチアKochiaまたはコチア・スカパリアKochia Scoparia抽出物(COX−2阻害剤);スコパリアScopariaまたはスコパリア・ダルシスScoparia dulcis抽出物(鎮痛剤);クィアン・フオQiang Huoまたはノトプテリジューム・インシサムNotopterygium incisum(COX−1およびLOX−5阻害剤);シナモンまたはシナモナム・カッシアCinnamonum cassia(一酸化窒素スカベンジャー);メキシコ竹またはポリゴナム・カスピダータムPolygonum cuspidatum(一酸化窒素スカベンジャー);オゴンOgon、バイカルスカルキャップBaikal Scullcapまたはスクテラリア・バイカルネンシスScutellaria baicalensis(COX−2阻害剤);コプティスCoptis、シャングリアンXianglian、またはコプティス・チネンシスCoptis chinenesis(一酸化窒素抑制剤);ソラレエアPsoralea、ルメックスRumex、バッカリスBaccharis、ナツシロギクFeverfew、ヴィテスVitis、ステファニアStephania(未知の機構);ならびにコリダリスCorydalisまたはコリダリス・タートスチャニノヴィCorydalis Turtschaninovii根抽出物(鎮痛剤)が挙げられる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の組成物は以下の1つ以上を含んでいてもよい。
【0074】
ショウガは、何世紀もの間アーユルベーダおよびチベットの医学において使用されてきた。ショウガの抽出物は、末梢血流を増やし、温感および刺痛感を付与することが公知である。ショウガは、ギンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンおよびカプサイシン等の刺激的な物質およびエッセンシャルオイルを含み、それらの刺激的な物質は、主にその和痛特性の原因である。最近の科学的研究では、COX−2酵素を阻害することは、不可逆的にCOX−1を抑制することに関連する副作用を伴わずに炎症を減らすための効果的な方法であることが示唆された。ショウガは、COX−2、更には5−リポキシゲナーゼ(LOX−5)酵素を阻害する。
【0075】
ターメリック(クルクマ・ロンガ)の根茎は、明るい黄色のクルクミンおよびその誘導体(クルクミロイド)を含む。それらの水素化誘導体である、テトラヒドロクルクミロイド(tetrahydrocurcuminoids)はほとんど無色の物質である。これらの成分の全ては、優れた抗炎症活性を有する。テトラヒドロクルクミロイドは、着色されていないがため、美顔用として局所に塗布される場合に利点を提供する。ターメリックの根茎を蒸気蒸留するとターメリック油が得られ、それは、優れた抗炎症活性を有することが報告されている。
【0076】
ガランガ(アルピナ・オフィシナルム)、別名ガラガナール(Galangal)または中国ショウガは、中国、タイ、およびインドが原産である。それは、エッセンシャルオイル、ジンゲロール、および刺激的な物質のグループであるジアリールヘプタノイド(diarylheptanoids)を含む。研究によると、ジアリールヘプタノイド(および類似のフェニル・アルキル・ケトン類)は、5−リポキシゲナーゼの抑制経由でプロスタグランジン生合成の停止させることによる、優れた抗関節炎特性を備えていることが示されている。カプシクム、カプサイシン:古代マヤの民間医療の治療者は、歯痛および一般の体の痛みの治療のためにトウガラシ(カプシクム・フルテセンス(Capsicum frutescence))を使用した。現代の西洋医学では、カプサイシンは、神経痛、神経障害、骨関節炎、慢性関節リウマチ、膀胱痛、および胃痛に伴う痛みを治療するために用いられている。カプサイシンは、トウガラシ調製物に存在する活性のある鎮痛性成分である。それは、P物質(痛みの神経伝達物質)の合成、輸送、および放出を抑制可能な局所用の鎮痛薬である。カプサイシンは血管拡張薬でもある。
【0077】
クローブ類:クローブ油およびクローブの芽は、古代から歯痛および筋肉痛の治療のために使用されてきた。この部類に属する多くの植物、特にシジジュウム・アロマチカム、シジジュウム・コリノカルパム(corynocarpum)、およびシジジュウム・マラッセンス(mallacense)が痛みを和らげている成分を含むことは公知である。血管弛緩剤でありシジジュウム・アロマチカムの鎮痛成分である、オイゲノールも強い抗炎症活性を有する。シジジュウム・コリノカルパムおよびシジジュウム・マラッセンスの抽出物は、COX−1、COX−2酵素のブロッキング経由でプロスタグランジン生合成を阻害する。シジジュウム・クミニ(cumini)の樹皮からの抽出物は、胃副作用が全く無い優れた抗炎症活性を有することが示された。クローブ油の成分であるアセチルオイゲノールはアラキドン酸代謝を変化させ、結果としてトロンボキサン形成を減少することが最近示された。
【0078】
エボディア:このハーブは、古代から漢方薬(Wu Zhu Yu)において赤痢のために使われてきた。エヴォディア・ルタエカルパから得られたルテカルピンは、直接COX−2酵素を阻害する、最近報告された新しいクラスの抗炎症性成分である。この植物の抽出物の抗侵害受容性や抗炎症活性が最近報告された。エヴォディアミン、およびエヴォディア・ルタエカルパに存在するその類似体も、血管拡張性および鎮痛性活性を有する。
【0079】
乳香、ボスウェリア:グッガル(Guggal)(ボスウェリア・セラータ)は、何世紀もの間アーユルベーダ医学において、関節炎の治療のために使われてきた。乳香、ミルラ、および金は、賢者達が乳児のキリストに持ってきた3つの贈り物である。これらの3つ全てが痛風および関節炎の治療のために、古代医学において使われたことは興味深い。ボスウェリアは、炎症のための代替医療の中で現在最も人気のあるもののうちの1つである。最近の研究によって、ボスウェリア・セラータ抽出物の抗炎症性作用の要因の、(ボスウェリア酸として分類された)3つのキー成分が同定された。最近の研究によって、ボスウェリア酸およびそれらの誘導体は5−リポキシゲナーゼと直接相互作用することで、ロイコトリエン合成の特異的阻害剤であることがはっきりされている。
【0080】
SAMe(S−アデノシルメチオニン):1952年のその発見以来、SAMeは骨関節炎の治療という点で広く興味を持たれてきた。全ての生命体に存在するこの物質は、ヒトの体の40以上の生化学機能に必要である。SAMeは、軟骨の形成を向上し、痛みを軽減する抗炎症性作用を提供することが証明された。
【0081】
ユーコミス:南アフリカの伝統医学において、この植物の球根、葉、および根の抽出物は、痛み、炎症、および熱のために広範囲に利用されてきた。最近の研究によると、球根からの抽出物がCOX−1阻害活性を最も高いレベルで有することが示された。
【0082】
セラストラス:この東洋の民間医療薬は、慢性関節リウマチのために使われてきた。最近の研究によると、このハーブに存在する、フラバン−3−オル(flavan−3−ols)の1つであるエピアフゼレチン(epiafzelechin)が強いCOX−1活性を有していることが示された。チトニア:チトニアの抽出物は、中央アメリカにおいて血腫の治療のために使用されている。最近の研究によると、この抽出物の成分であるディバーシフォリン(diversifolin)およびチロツンジン(tirotundin)が抗炎症活性を有していることが示された。興味深いことに、前記抗炎症活性は、サイトカイン類およびケモカイン類等の炎症介在物質の合成を阻害することに起因していた。
【0083】
スコパリア:ハーブであるスコパリア・ダルシスは、ブラジルの民間医療において、気管支炎、胃障害、痔核、虫刺され、および皮膚の怪我を治療すること、さらに、東洋医学において高血圧を治療することに使用されている。最近の研究では、スコパリア・ダルシスの抽出物が、鎮痛性、抗炎症性、および交感神経興奮活性を有することが示された。
【0084】
クィアン・フオ:この中国の薬草の根抽出物は、伝統的に関節炎および関節痛のために使用され、最近、COX−1、LOX−5阻害活性を有することが報告された。
【0085】
シナモン:中東および他の国々で、シナモンは痛みおよび炎症のための血管拡張薬として長い間、伝統的に使用されてきた。最近の開示によって、シナモン抽出物が一酸化窒素およびパーオキシナイトライトの直接スカベンジ経由の抗侵害受容性、抗炎症活性を有していることが確認された。
【0086】
ポリゴナム:このハーブは、メキシコ竹(メキシコ)およびフウ・チャン(Hu Zhang)(中国)として、より一般的に知られている。ポリゴナムのさまざまな種は、活性化マクロファージによるNOの生産を調整する抗炎症性成分を含むことが最近同定された。最近の研究結果によると、ポリゴナム・チンクトリウム(tinctorium)抽出物が、さまざまな病的状態におけるNO合成の治療的モジュレータである可能性が示唆された。
【0087】
オゴン、オウゴン(Ougon):日本の漢方生薬(オゴン)、中国(サンフゥアン(Sanhuang))、ロシアのバイカル地方において使われてきた、スクテラリア(Scutellaria)は、抗炎症活性、抗肝炎活性、抗菌活性、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性、および抗酸化活性を有していることが示されている。前記抗炎症活性について、その活性成分がバイカリン(baicalin)、バイカレイン(baicalein)、およびオウゴニン(wogonin)であるとされている。最近の研究において、オウゴニンはCOX−2、NO−産生、およびプロスタグランジン産生の直接阻害剤であるという実験結果が出ており、局所的炎症性疾患の治療におけるオウゴニンの使用の可能性が示されている。バイカリンは、別の研究においてケモカイン阻害活性があることが示された。バイカレインは、LOX−5阻害活性を有することが示された。
【0088】
コプティス:日本でも使用される漢方薬(シャングリアン)であるコプティスは、ベルベリンを高濃度で含有することに起因する抗菌特性があることが周知である。それは、抗炎症性特性を有するいくつかのリグナン(イソラリシレジノール(isolariciresinol)、ラリシレジノールグリコシド(Lariciresinol glycoside)、ピノレジノール(pinoresinol)、ピノレジノールグリコシド(pinoresinol glycoside)、およびシリンガレシノールグリコシド(syringaresinol glycoside))も含む。コプティス・ジャポニカ(Coptis japonica)から単離されるウォオレノシド(Woorenosides)は、そのNO産生抑制経由で抗炎症活性を有していることが示された。
【0089】
ソラレエア・グランドュロサ(glandulosa):古代ペルシャの医薬であるソラレエア・グランドュロサは、解熱性および抗炎症活性を有する、バクキオール(bakuchiol)、シクロバクキオール類(cyclobakuchiols)、およびアンゲリシン(angelicin)を含む。インド(バブチ(Babchi))のアーユルベーダ医薬および中国でブグジ(BuGuZhi)であるソラレエア・コリリフォリア(corylifolia)は、ババキニン(bavachinin)を含有することに由来する、抗炎症性、解熱性、鎮痛性活性を有する。最近同じ植物から単離されたバクキオールは、NO合成酵素遺伝子を抑制するため、その抗炎症活性が示唆された。
【0090】
ルメックス・パシエンティア(patientia)(ドック(Dock))は、抗炎症活性を示ししている。
【0091】
バッカリス:バッカリスのいくつかの種は、主にプロスタグランジン生合成の阻害により、鎮痛性および抗炎症活性を示している。
【0092】
ナツシロギク:この植物医薬(タナケタム・パルテニウム(Tanacetum parthenium))は、その熱および片頭痛の緩和という利益のために周知である。近年では、そのLOX−5およびCOX阻害による、抗侵害受容性および抗炎症活性が報告された。ヴィテス:このブドウの仲間は、その強力な抗酸化成分、特にプロシアニジンおよびレスベラトロールのために周知である。最近、ヴィテス・アムレンシス(amurensis)において発見されたレスベラトロールの四量体が、そのロイコトリエン生合成の抑制経由で強い抗炎症活性を有することがわかった。これは、いくつかの抗酸化物質も抗炎症活性を有していることが公知であるため、驚くべきことではない。この特性は、それらのLOXおよびCOX酵素に対する阻害効果によるものであるかもしれない。
【0093】
ステファニア:ステファニアは、関節腫脹のための鎮痛薬および抗炎症剤として朝鮮半島において長く使われてきた。ステファニア・ジャポニカ(japonica)にて発見されたアルカロイドであるテトランドリンは、その抗炎症活性が周知である。ステファニア・セファランタ(cepharantha)にて発見されたアルカロイドであるセファランチンは、微小循環の向上を伴う血管拡張性を示した。
【0094】
チノスポラ(Tinospora):インドのアーユルベーダおよびイスラムの医者はチノスポラ・コーディフォリア(Tinospora cardifolia)を肝臓黄疸、さまざまな皮膚病、リウマチ、熱、および梅毒のために使用してきた。ヒトの関節炎について行われた臨床研究によって、その抗炎症性特性が示された。一酸化窒素合成の阻害がこの活性の要因であるように思われる。
【0095】
抗炎症剤のさらなる非限定的例としては:セイヨウトチノキ抽出物(アエクルス・ヒポキャスタナム(Aesculus hippocastanum)抽出物)、エスクリン、エスシン、ヨヒンビン、トウガラシオレオレジン(Capsicum Oleoresin)、カプサイシン、ナイアシン、ナイアシンエステル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸ベンジル、ルスコゲニン類(Ruscogenins)(ナギイカダ(Butchers Broom)抽出物、ルスカス・アキュレアタス(Ruscus aculeatus)抽出物)、ジオスゲニン(トリゴネラ・フォナムグラエカム(Trigonella foenumgraecum)、コロハ)、エンブリカ抽出物(フィランサス・エンブリカ抽出物)、アジアチコシド(Asiaticoside)(センテレ・アジアティカ抽出物)、ボスウェリア抽出物(ボスウェリア・セラータ)、根生姜抽出物(ジンジバー・オフィシナリス(Zingiber Officianalis))、ピペリン、ビタミンK、メリロツス(メリロツス・オフィシナリス(Melilotus officinalis)抽出物)、グリシレチン酸、ウルソル酸、セリコシド(Sericoside)(ターミナリア・セリケア(Terminalia sericea)抽出物)、ダルトシド(Darutoside)(シゲスベキア・オリエンタリス(Siegesbeckia orientalis)抽出物)、アムニ・ビスナガ(Amni visnaga)抽出物、赤ブドウ(ビティス・ビニフェラ(Vitis−Vinifera))葉抽出物、アピゲニン、フィトサン(phytosan)、およびルテオリンが挙げられる。
【0096】
いくつかの実施形態において、コラーゲンおよびフィブリンのブースト剤を本発明の組成物に含めてもよい。自然な老化プロセスにおいて、コラーゲンおよびフィブリンの生産が減速することは周知である。これは、皮膚薄膜化、皮膚弾力の喪失、およびシワの形成を引き起こす。コラーゲンまたはフィブリンのブースト剤を含めることは、皮膚再生という点で生物学的に重要である。コラーゲンまたはフィブリンのブースト組成物は、以下の群から選択することができるが、これに制限されない:グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、コンドロイチン、藻類抽出物、キトサン、ナイアシンアミド、ナイアシンアミド誘導体、銅ヌクレオチド(copper nucleotides)、亜鉛ヌクレオチド(zinc nucleotides)、マンガンヌクレオチド(manganese nucleotides)、グルタチオン、カルノシン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンAプロピオナート、コエンザイムQ10、リポ酸、ジメチルアミノ・エタノール、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、グルコサミンアスコルベート、アルギニンアスコルベート、リシンアスコルベート、グルタチオンアスコルベート、ニコチンアミドアスコルベート、ナイアシンアスコルベート、アラントインアスコルベート、クレアチンアスコルベート、クレアチニンアスコルベート、コンドロイチンアスコルベート、キトサンアスコルベート、DNAアスコルベート、カルノシンアスコルベート、ビタミンE、さまざまなビタミンE誘導体、トコトリエノール、ルチン、ケルセチン、ヘスペレジン(Hesperedin)(シトラス・シネンシス(Citrus sinensis))、ジオスミン(シトラス・シネンシス)、マンギフェリン(マグニフェラ・インディカ(Mangifera indica))、マンゴスチン(ガルシニア・マンゴスタナ)、シアニジン(バクシニウム・ミルティラス)、アスタキサンチン(ヘマトコッカス(Haematococcus)藻類)、ルテイン(タゲテス・パチュラ(Tagetes patula))、リコピン(リコペルシカム・エスカレンタム(Lycopersicum esculentum))、レスベラトロール(ポリゴナム・カスピダータム)、テトラヒドロ・クルクミン(クルクマ・ロンガ)、ロスマリン酸(ラスマリナス・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis))、ヒペリシン(ヒペリカム・パーフォータム(Hypericum perforatum))、エラグ酸(ピュニカ・グラナタム(Punica granatum))、クロロゲン酸(バクシニウム・バルガリス(vulgaris))、オレウロペイン(オレア・ユーロパエ(Olea europaea))、リポ酸、ナイアシンアミド・リポエート、グルタチオン、アンドログラホリド(アンドログラフィス・パニカラータ(Andrographis paniculata))、カルノシン、ナイアシンアミド、ポテンティラ・エレクタ(Potentilla erecta)抽出物、ポリフェノール類、ブドウ種子抽出物、ピクノジェノール(松樹皮抽出物)、銅ヌクレオチド、亜鉛ヌクレオチド、マンガンヌクレオチド、銅グルコシド、亜鉛グルコシド、マンガングルコシド、およびそれらの組合せ。
【0097】
髪および爪の生きている部分も老化プロセスという点では皮膚と非常に類似しているので、本発明の薬剤は髪および爪のアンチエイジング剤としても有用である。
【0098】
本願明細書における全ての引用文献は、その全体が参照により援用できる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を例示するための実施例を以下に示す。それらは例示であり、本発明の範囲を制限することを目的としない。全ての量は、質量%で示す。
【実施例1】
【0100】
レチナールγ−シクロデキストリンヘミアセタールの調製
水 100%(となるように適量添加)
γ−シクロデキストリン 37.00%
レチナール 1.90%
アルガニア・スピノサ(アルガン(Argan))ナッツオイル 3.25%
ペンチレングリコール 2.47%
手順:本組成物を得るため、まず、レチナール、アルガニア・スピノサ(アルガン)ナッツオイル、およびペンチレングリコールを透明な混合物が得られるまで混合する。この混合物にγ−シクロデキストリンおよび水を加え、窒素またはアルゴン雰囲気下で1〜120時間混合する。得られた溶液をその後乾燥し、粉末化する。好ましい乾燥方法は、噴霧乾燥である。乾燥の結果得られる粉末は5%〜15%の水を含む。
【実施例2】
【0101】
レチナールγ−シクロデキストリンヘミアセタールの調製
水 100%(となるように適量添加)
γ−シクロデキストリン 37.00%
レチナール 1.90%
ペンチレングリコール 5.72%
手順:本組成物を得るため、まず、レチナールおよびペンチレングリコールを透明な混合物が得られるまで混合する。この混合物に、γ−シクロデキストリンおよび水を加え、窒素またはアルゴン雰囲気下で1〜120時間混合する。得られた溶液をその後乾燥し、粉末化する。好ましい乾燥方法は、噴霧乾燥である。乾燥の結果得られる粉末は5%〜15%の水を含む。
【実施例3】
【0102】
レチナールγ−シクロデキストリンアセタールの調製
水 100%(となるように適量添加)
γ−シクロデキストリン 40.00%
レチナール 2.20%
ルブス・チャマエモルス(chamaemorus)(種子)油 3.50%
ペンチレングリコール 2.13%
ロニセラ・カプリフォリウム(Lonicera Caprifolium)(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(Lonicera Japonica)(スイカズラ)花抽出物 0.25%
手順:本組成物を得るため、まず、レチナール、ルブス・チャマエモルス(種子)油、およびペンチレングリコールを透明な混合物が得られるまで混合する。この混合物に、γ−シクロデキストリン、水、ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物を加え、窒素またはアルゴン雰囲気下で1〜120時間混合する。得られた溶液をその後乾燥し、粉末化する。好ましい乾燥方法は、噴霧乾燥である。乾燥の結果得られる粉末は5%〜15%の水を含む。
【実施例4】
【0103】
レチナールγ−シクロデキストリンヘミアセタールの調製
水 100%(となるように適量添加)
γ−シクロデキストリン 42.00%
レチナール 2.30%
シモンデシア・チネンシス(ホホバ)種子油 3.70%
ペンチレングリコール 2.33%
ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物 0.25%
手順:本組成物を得るため、まず、レチナール、シモンデシア・チネンシス(ホホバ)種子油、およびペンチレングリコールを透明な混合物が得られるまで混合する。この混合物に、γ−シクロデキストリン、水、ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)、ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物を加え、窒素またはアルゴン雰囲気下で1〜120時間混合する。得られた溶液をその後乾燥し、粉末化する。好ましい乾燥方法は、「パルス燃焼方式噴霧乾燥」であり、これは、乾燥対象の産物の温度を最低に抑えるように設計された特別な噴霧乾燥技術である。
【実施例5】
【0104】
レチナールγ−シクロデキストリンの調製
水 100%(となるように適量添加)
γ−シクロデキストリン 40%
レチナール 2.2%
ルブス・チャマエモルス(クラウドベリー)種子油 3.5%
ペンチレングリコール 2.127%
ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物/ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物 0.25%
手順:本組成物を得るため、まず、レチナール、ルブス・チャマエモルス(クラウドベリー)種子油、およびペンチレングリコールを透明な混合物が得られるまで混合する。
この混合物に、γ−シクロデキストリン、水、ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)、ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物を加え、窒素またはアルゴン雰囲気下で1〜120時間混合する。得られた溶液をその後乾燥し、粉末化する。好ましい乾燥方法は、「パルス燃焼方式噴霧乾燥」であり、これは、乾燥対象の産物の温度を最低に抑えるように設計された特別な噴霧乾燥技術である。
【実施例6】
【0105】
レチナールγ−シクロデキストリンの調製
水 100%(となるように適量添加)
γ−シクロデキストリン 40%
レチナール 3.913%
ビタミンAプロピオナート 3.913%
ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物/ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物 0.25%
手順:本組成物を得るため、まず、レチナールおよびビタミンAプロピオナートを透明な混合物が得られるまで混合する。この混合物に、γ−シクロデキストリン、水、ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)、ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物を加え、窒素またはアルゴン雰囲気下で1〜120時間混合する。得られた溶液をその後乾燥し、粉末化する。好ましい乾燥方法は、「パルス燃焼方式噴霧乾燥」であり、これは、乾燥対象の産物の温度を最低に抑えるように設計された特別な噴霧乾燥技術である。
【0106】
本発明の美容、製薬における可能な使用法を示すいくつかの実施形態を述べた。これらの実施形態は、美容製剤の当業者ならば変更可能である。これらの変更は請求の範囲に記載の本発明の趣旨および範囲から逸脱しないと理解される。
【実施例7】
【0107】
体用乳液の調製
水 100%(となるように適量添加)
モノステアリン酸グリセリン 4.00%
ステアリン酸 2.20%
セチルアルコール 3.50%
イソプロピルパルミテート 5.00%
メチルパラベン 0.20%
上記実施例1で調製された粉末 7.00%
手順:水、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸、セチルアルコール、およびイソプロピルパルミテートを65℃まで加熱する。得られた混合物を次にウルトラトゥーラックス(Ultra Turax)、フルエッダイザー(Fluidizer)、または類似のホモジェナイザーを用いてホモジェナイズし、30℃より低い温度まで冷却する。得られた混合物に、実施例1で調製された粉末をメチルパラベンと共に添加し混合する。
【実施例8】
【0108】
体用乳液の調製
水 100%(となるように適量添加)
モノステアリン酸グリセリン 4.00%
ステアリン酸 2.20%
セチルアルコール 3.50%
イソプロピルパルミテート 5.00%
メチルパラベン 0.20%
上記実施例2で調製された粉末 5.00%
手順:水、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸、セチルアルコール、およびイソプロピルパルミテートを65℃まで加熱する。得られた混合物を次にウルトラトゥーラックス、フルエッダイザー、または類似のホモジェナイザーを用いてホモジェナイズし、30℃より低い温度まで冷却する。得られた混合物に、上記実施例2で調製された粉末をメチルパラベンと共に添加し混合する。
【実施例9】
【0109】
体用乳液の調製
水 100%(となるように適量添加)
モノステアリン酸グリセリン 4.00%
ステアリン酸 2.20%
セチルアルコール 3.50%
イソプロピルパルミテート 5.00%
メチルパラベン 0.20%
上記実施例3で調製された粉末 2.00%
手順:水、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸、セチルアルコール、およびイソプロピルパルミテートを65℃まで加熱する。得られた混合物を次にウルトラトゥーラックス、フルエッダイザー、または類似のホモジェナイザーを用いてホモジェナイズし、30℃より低い温度まで冷却する。得られた混合物に、上記実施例3で調製された粉末をメチルパラベンと共に添加し混合する。
【実施例10】
【0110】
日焼け防止組成物の調製
水 100%(となるように適量添加)
乳化ロウNF 6.00%
エンスリゾール(Ensulizole) 4.00%
オクチノキサート 4.00%
プロピレングリコール 3.00%
グルコノラクトン/安息香酸ナトリウム 1.00%
トリエタノールアミン 0.35%
アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート(Ammonium Acryloyldimethyltaurate)/VP共重合体 1.40%
二酸化チタン 0.75%
実施例1で調製された粉末 7.00%
手順:水、乳化ロウNF、エンスリゾール、オクチノキサート、およびプロピレングリコールを80℃まで加熱し混合する。次に、得られた混合物を30℃より低い温度まで冷却する。さらに以下の物質を続けて混合する:グルコノラクトン/安息香酸ナトリウム、トリエタノールアミン、および二酸化チタン。得られた混合物に、上記実施例1で調製された粉末を添加する。
【実施例11】
【0111】
日焼け止め指数(SPF)製品の調製
水 100%(となるように適量添加)
乳化ロウNF 6.00%
エンスリゾール 4.00%
オクチノキサート 4.00%
プロピレングリコール 3.00%
グルコノラクトン/安息香酸ナトリウム 1.00%
トリエタノールアミン 0.35%
アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VP共重合体 1.40%
二酸化チタン 0.75%
実施例2で調製された粉末 4.00%
手順:水、乳化ロウNF、エンスリゾール、オクチノキサート、およびプロピレングリコールを80℃まで加熱し混合する。次に、得られた混合物を30℃より低い温度まで冷却する。さらに以下の物質を続けて混合する:グルコノラクトン/安息香酸ナトリウム、トリエタノールアミン、および二酸化チタン。得られた混合物に、上記実施例2で調製された粉末を添加する。
【実施例12】
【0112】
日焼け止め指数(SPF)製品の調製
水 100%(となるように適量添加)
乳化ロウNF 6.00%
エンスリゾール 4.00%
オクチノキサート 4.00%
プロピレングリコール 3.00%
グルコノラクトン/安息香酸ナトリウム 1.00%
トリエタノールアミン 0.35%
アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VP共重合体 1.40%
二酸化チタン 0.75%
実施例3で調製された粉末 2.00%
手順:水、乳化ロウNF、エンスリゾール、オクチノキサート、およびプロピレングリコールを80℃まで加熱し混合する。次に、得られた混合物を30℃より低い温度まで冷却する。さらに以下の物質を続けて混合する:グルコノラクトン/安息香酸ナトリウム、トリエタノールアミン、および二酸化チタン。得られた混合物に、上記実施例3で調製された粉末を添加する。
【実施例13】
【0113】
シワ予防クリーム
水 100%(となるように適量添加)
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 2.00%
キャンデリア/ホホバ/米ぬかポリグリセリル−3エステル類(および)ステアリン酸グリセリル(および)セテアリルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム 7.00%
ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10(および)ベヘニルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム 2.00%
グリセリン 5.50%
セチルアルコール 0.80%
ステアリルアルコール 0.80%
ベヘニルアルコール 0.80%
ネオペンタン酸イソステアリル 4.50%
ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物 1.00%
実施例1で調製された粉末 7.00%
手順:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を水と混合し、80℃まで加熱する。
以下の物質を添加と添加の間に添加し、適度に混合する:キャンデリア/ホホバ/米ぬかポリグリセリル−3エステル類(および)ステアリン酸グリセリル(および)セテアリルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム、ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10(および)ベヘニルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム、グリセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびベヘニルアルコール。混合物が均質に混ざったら冷却する。ネオペンタン酸イソステアリル、ロニセラ・カプリフォリウム、(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物、および実施例1で調製された粉末を添加し、連続的に混合する。
【実施例14】
【0114】
シワ予防クリーム
水 100%(となるように適量添加)
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 2.00%
キャンデリア/ホホバ/米ぬかポリグリセリル−3エステル類(および)ステアリン酸グリセリル(および)セテアリルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム 7.00%
ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10(および)ベヘニルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム 2.00%
グリセリン 5.50%
セチルアルコール 0.80%
ステアリルアルコール 0.80%
ベヘニルアルコール 0.80%
ネオペンタン酸イソステアリル 4.50%
ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物 1.00%
実施例2で調製された粉末 4.00%
手順:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を水と混合し、80℃まで加熱する。以下の物質を添加と添加の間に添加し、適度に混合する:キャンデリア/ホホバ/米ぬかポリグリセリル−3エステル類(および)ステアリン酸グリセリル(および)セテアリルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム、ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10(および)ベヘニルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム、グリセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびベヘニルアルコール。混合物が均質に混ざったら冷却する。ネオペンタン酸イソステアリル、ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物、および実施例2で調製された粉末を添加し、連続的に混合する。
【実施例15】
【0115】
シワ予防クリーム
水 100%(となるように適量添加)
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 2.00%
キャンデリア/ホホバ/米ぬかポリグリセリル−3エステル類(および)ステアリン酸グリセリル(および)セテアリルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム 7.00%
ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10(および)ベヘニルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム 2.00%
グリセリン 5.50%
セチルアルコール 0.80%
ステアリルアルコール G 0.80%
ベヘニルアルコール 0.80%
ネオペンタン酸イソステアリル 4.50%
ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物 1.00%
実施例3で調製された粉末 3.00%
手順:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を水と混合し、80℃まで加熱する。以下の物質を添加と添加の間に添加し、適度に混合する:キャンデリア/ホホバ/米ぬかポリグリセリル−3エステル類(および)ステアリン酸グリセリル(および)セテアリルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム、ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10(および)ベヘニルアルコール(および)ステアロイル乳酸ナトリウム、グリセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびベヘニルアルコール。混合物が均質に混ざったら冷却する。ネオペンタン酸イソステアリル、ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物(および)ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物、および実施例3で調製された粉末を添加し、連続的に混合する。
【実施例16】
【0116】
シワ予防美容液の調製
水 100%(となるように適量添加)
カーボポール(Carbopol) 0.25%
式(Ia)または(Ib)の化合物を含有する粉末 5%
ロニセラ・カプリフォリウム(スイカズラ)花抽出物/ロニセラ・ジャポニカ(スイカズラ)花抽出物 0.25%
手順:上記成分を記述された順番に添加する。カルボポールが水和されるように一晩おく。次の日に再び混合する
【0117】
化学的アイデンティティの証明
【0118】
実施例1において得られたレチナールγ−シクロデキストリンヘミアセタールを以下の3つの溶媒によって抽出した:クロロホルム、イソプロパノール、およびメタノール。分析用サンプルの調製は、サンプルを重さの分かっているバイアルへ正確に28mgの測りとり、次に、前記サンプルを分析用の1.0mlのHPLC等級の2−プロパノールに希釈することで行った。前記サンプルを<1μm(1μm以下)のテフロン注射器フィルタを通して濾過した後、分析のための充分な線形性を得るために2−プロパノールで100倍希釈した。濾液をレチナールについて分析した。回収率は以下の通りであるとわかった。
抽出溶媒 レチナール(%)(算出値4.5%)
クロロホルム 0.04
イソプロパノール 1.5
メタノール 4.1
レチナール(コントロール、抽出ステップ無しで直接分析) 98.0(算出値100.0)
【0119】
これらの結果によって、レチナールが包接複合体として存在していないことが明らかに確認された。レチナールはγ−シクロデキストリンと化学的に反応し、レチナールγ−シクロデキストリンヘミアセタールを形成し、それは以下のようにメタノールと化学的に反応してレチナールを形成する:
【0120】
【化20】
【0121】
イソプロパノールは、レチナールγ−シクロデキストリンヘミアセタールとあまり反応しないようである。
【0122】
皮膚外観への応用
【0123】
本発明の化合物は、皮膚の局所的な酸性pHおよび水分にさらされたとき、レチナールおよび他のアルデヒドを放出可能である。これらの化合物の上述の特性は、レチナールを含むそのようなアルデヒドによって治療可能な局所疾病を治療するのに有益である。
【0124】
レチナールは、以下に述べる局所治療の利益を提供することが報告された。
【0125】
コルデロ(Cordero)ら(J Cosmet Dermatol. 2011 Jun;10(2):110−7)は、レチナールデヒドが光損傷した皮膚の治療に有効であると証明されていたので、皮膚老化を管理するレチナールデヒド/ヒアルロン酸を報告した。
【0126】
マーキヴィラッズ(Merkviladze)ら(Georgian Med News. 2010 Sep;(186):46−50)は、レチナールを用いた非炎症性ニキビの治療を開示する。
【0127】
チエリッツ(Thielitz)ら(J Dtsch Dermatol Ges. 2010 Mar;8 Suppl 1:S15−23)は、レチノイドが面皰および微小面皰に作用し、直接的な抗炎症性効果を有するので、レチノイドを局所塗布することは、ニキビの管理のための重要なツールであると報告している。ニキビ治療のために承認される物質としては、トレチノイン(全トランス・レチノイン酸)と、イソトレチノイン(13−シス・レチノイン酸)と、ニキビ治療のために米国でだけ承認されており合成された第三世代のポリ芳香族のレチノイドであるアダパレンおよびタザロテンとが挙げられる。レチナールデヒドは、ニキビに対する美顔用製剤に使用されている。全ての局所塗布レチノイドは、単一の薬剤として、軽度から中度のニキビに有効であるが、その効能および許容度は異なる。0.1%タザロテンは、トレチノインの0.025%もしくは0.1%の微小球ゲル、またはアダプレネの0.1%ゲルもしくはクリームより効果的である。0.1%アダプレネは、0.025%トレチノインまたはトレチノイン微小球0.1%ゲルまたは0.05%トレチノインクリームまたはイソトレチノインの0.05%ゲルと同程度に効果的である。アダプレネの0.1%ゲルは、タザロテンの0.1%ゲル、0.025%トレチノインおよびトレチノインの0.05%ゲル、トレチノインの0.05%クリーム、トレチノイン微小球の0.1%ゲル、またはイソトレチノインの0.05%ゲルよりもはるかによく許容される。局所塗布レチノイドの安全プロフィールは、それが全身へ適用される場合と異なり、主に局所的な紅斑、乾燥、痒み、および刺痛といった副作用に関するものである。現在入手可能な証拠によって、局所塗布レチノイドを、大部分の種類のニキビに対して、その維持的治療の間に使用することが正当化される。
【0128】
マッカジー(Mukherjee)ら(Clin Interv Aging.2006;1(4):327−48)は、皮膚老化の治療における、レチノイドの臨床有効性および安全性の概要を報告している。レチノイドが皮膚老化の治療の見込みを示したが、レチノイドによる治療に伴う、やけど、皮むけ、または皮膚炎等の刺激性反応が、レチノイドの患者による受け入れを制限する。この課題はトレチノインおよびタザロテンにおいてより顕著であり、レチナールデヒドおよびレチノールによって主に代表される他のレチノイドの方が随分低刺激である。これらの副作用を最小化するために、さまざまな新規の薬物送達システムが開発されてきた。特に、ナノ粒子は、トレチノインおよびレチノールのようなレチノイドの安定性、許容度、および効力を高める十分な可能性を示した。
【0129】
ステファンキ(Stefanaki)ら(J Cosmet Dermatol. 2005 Jun;4(2):130−4)は、光老化の治療のためにレチノイドを局所塗布する例を報告している。多数の異なる物質がレチノイドのファミリーに分類され、それらは伝統的にビタミンA誘導体と記述されてきた。それらは、核および細胞質での受容体を介して作用することで、光老化を改善することができる。トレチノインは、光老化の治療に関しても最も研究がなされたレチノイドである。そこまでよく研究されていないが、イソトレチノイン、レチナールデヒド、およびタザロテン等の他の物質についても有望な結果が得られている。
【0130】
ソルグ(Sorg)ら(Dermatol Ther. 2006 Sep−Oct;19(5):289−96)は美容医薬の分野におけるレチノイドの利益を報告している。レチノイドは、天然または合成ビタミンA誘導体である。それらは、脂肪親和性分子であって、容易に表皮を透過する。それらの生物学的活性を有する形態は、細胞分化および増殖に関係する遺伝子の発現を調節することができる。レチノイン酸(トレチノイン)、その13−シス・イソマーイソトレチノイン、およびさまざまな合成レチノイドが治療目的に使用されている。一方、レチナールデヒド、レチノール、およびレチニルエステル類はそれらの制御されたレチノイン酸への転換または直接的な受容体非依存的生物学的作用のため、美容医薬において使用可能である。このため、これらの天然レチノイン酸前駆体は(i)表皮細胞の再生、(ii)紫外線フィルタとして作用すること、(iii)酸化性ストレスを予防すること、(iv)皮膚細菌叢の制御、および(v)皮膚老化および光老化を改善することに関して有用であると期待される。レチノールおよびレチニルエステル類は刺激物でないが、わずかな臨床的効率のみを示す。他方、許容度がかなり高いレチナールデヒドは、最も効率的な美容医薬のレチノイドであるようであり、酸化性ストレス、皮膚細菌叢、表皮再生、および光老化に関して著しく効率的である。
【0131】
オルトン(Ortonne)(Dermatol Ther. 2006 Sep−Oct;19(5))は、色素障害におけるレチノイド療法を報告している。全トランス・レチノイン酸(RA)、13−シス・レチノイン酸(イソトレチノイン)、レチノール、レチナールデヒド、タザロテン、およびアダプレネ等のレチノイドの局所塗布は、斑点や光線性ほくろを含む光損傷を受けた皮膚の色素沈着異常を改善することが示された。RA単独療法も黒皮症および炎症後のメラニン増加症を改善すると示された。さらに、ヒドロキノン、4−ヒドロキシアニソール、またはアゼライン酸とRAとの組合せは、黒皮症、光線性ほくろ、および炎症後のメラニン増加症の治療のための脱色素剤の効力を増す。これらの効果の基礎をなしている基本的機構は、完全には分かっていない。局所塗布されたレチノイドは、表皮ケラチン生成細胞の細胞再生を活性化し、表皮形成経由でメラノソーム転送の減少およびメラニンの急速損失を促進する。局所塗布されたレチノイドも細胞分化の制御に関与する。レチノイド誘導性の角質層および透過性障壁の変化も、脱色素剤の表皮への浸透を容易にし、その生物学的利用能を増加する。その結果、さらに脱色素が進む。さらに、いくつかのインビトロの研究によると、シスおよびトランス・レチノイン酸が、チロシナーゼ活性およびメラニン合成を介して、UV−B促進されたメラニン形成を阻害することが示された。局所塗布されたレチノイドが、メラニン形成細胞および表皮ケラチン生成細胞に対する直接作用を経て表皮性メラニン数を調整することがありえそうである。
【0132】
ストラチゴス(Stratigos)ら(Drugs.2005;65(8):1061−72)は、光老化の治療における局所塗布レチノイドの役割を報告している。皮膚の老化は、いくつかの固有外部要因の相互作用によって影響される、複雑な生物学的プロセスである。固有または時間経過による老化は必然的な、遺伝的にプログラムされたプロセスであるが、その機構は不明であり、それを防止または効率的に治療することは現在可能ではない。光老化とは、紫外線への累積的な曝露によって誘発されて、時間経過による老化のバックグラウンドに重畳される、全体的な微小的皮膚変化のことを指す。光老化は、著しい心理的影響を有する主に美に関する問題ではあるが、前がん性およびがん性の皮膚の傷が発達するバックグラウンドを形成する。確かな臨床、組織学的証拠によれば、レチノイドを局所塗布することで、過剰な日光曝露によって誘発される特定の構造変化をある程度は逆行させ得ることが示された。トレチノイン、イソトレチノイン、レチナールデヒド、およびタザロテン等の多くのレチノイド化合物が光老した皮膚治療のために使用されており、有益な臨床、組織学的効果を示している。
【0133】
ソルグら(Photochem Photobiol.2005Jul−Aug;81(4)830−6)は、局所塗布されたレチノイドが、無毛マウスを急性UVB曝露した後のDNA損傷およびアポトーシスを予防すると報告している。
【0134】
カサリー(Kasraee)ら(Dermatology.2005;210Suppl 1:30−4)は、RALGAの脱色素効果と、より刺激の少ないレチノイド・レチナールデヒドおよびグリコール酸の組合せとを報告している。レチノイン酸(RA)を局所に使用すると、ヒトの皮膚が穏やかに脱色素することが長い間公知だった。しかしながら、RAは、局所脱色素化合物として利用される上で2つの大きな欠点を有する。第一に、RAは、刺激物として作用し、皮膚の相当な紅斑および剥脱を生じ得る。第二に、RAは、他の公知の脱色素剤と比較すると比較的弱い脱色素能を有する。より刺激の少ないレチノイド・レチナールデヒド(RAL:0.1%)とグリコール酸(6.4%)との組合せであるRALGAは、C57BL/6マウスの尾部皮膚において、皮膚脱色素に関して0.05%RAより高い潜在的能力を有する。この効果は、機能するメラニン形成細胞の数が減少する点、および/またはそれらのメラニン合成能を阻害する点で観察された。さらに、視覚的に認識できるRALGAの脱色素効果が、僅か塗布1週間後とRAより早期に明らかになった。従って、RALGAは、皮膚色素増加障害の治療のための脱色素製品として働き得る。ニキビ治癒後の色素過剰の傷は、ニキビ患者にとって色素に関する非常に一般的な問題である。RALGAは、そのような患者のニキビ治癒後の色素過剰の傷を同時に除去可能であり得る、RA前駆体であるRALを含むため、抗ニキビ製品として機能できる。
【0135】
ドレノ(Dreno)ら(Dermatology.2005;210 Suppl 1:22−9)は、1,709人の患者の抗ニキビ治療に関連した耐性および許容性の研究において、グリコール酸と共にレチナールデヒドを局所塗布した結果を報告した。その結果は、0.1%RALと6%グリコール酸との組合せを、優れた耐性を有する他の局所塗布の抗ニキビ治療薬(ベンゾイル過酸化物および局所塗布の抗生物質)にとともに使用できることを示す。
【0136】
ペチレ(Pechere)ら(Dermatology. 2002;205(2):153−8)は、局所塗布のレチノイドおよびレチナールデヒドの抗菌活性を報告している。試験された3つのレチノイドの中で、RALだけが有意なインビトロ抗菌活性を示した。この活性は、S.アウレウス(aeureus)、ミクロコッカス(Micrococcus)菌種、またはP.アクネス(acnes)のようなグラム陽性バクテリアの参照種において発見された。
【0137】
ヴィエン(Vienne)ら(Dermatology. 999;199 Suppl 1:53−6)は、レチナールデヒドが、顔の酒さの血管成分に有益な効果を報告している。
【0138】
クレイジ(Creidi)ら(Dermatology.1999;199 Suppl 1:49−52)は、シリコン皮膚レプリカの画像分析を使用した対照臨床試験から、レチナールデヒドが光老化の兆候の改善に効率的でよく許容されると報告している。
【0139】
ボイスニック(Boisnic)ら(Dermatology. 999;199 Suppl 1:43−8)は、エキソビボのヒトの皮膚モデルにおいて、0.05%のレチナールデヒドクリームを用いることでUVAによって誘発された弾性線維およびコラーゲンの損傷が修復されることを報告している。レチナールデヒドが、トレチノインが有する光老化に対する生物学的かつ有益な効果という特性を多数有することが示された。これらの著者らは、UVA曝露によって誘導される弾性線維およびコラーゲンの変質が顕著に修復されたという結果を得たことによって、特に真皮結合組織に関する先に得られたこれらの観察結果のいくつかを立証した。
【0140】
ペチレら(Dermatology. 1999;199 Suppl 1:29−31)は、インイボ、インビトロ両方におけるレチナールデヒドのプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)に対する効果を報告している。P.アクネスに対するレチナールデヒドのMICは、直接的な抗菌活性を示唆する。0.05%のレチナールデヒドを毎日局所塗布することで、P.アクネスの密度が明らかに低下した。
【0141】
上記の引用文献にて説明されているように、レチナールに関連する以下の局所的な利点がある:皮膚老化の管理、皮膚老化の治療、光損傷した皮膚の治療、非炎症性ニキビの治療、抗炎症性効果、光老化の治療、表皮細胞の再生、紫外線フィルタとしての作用、酸化性ストレスの防止、皮膚細菌叢のコントロール、皮膚老化および光老化の改善、皮膚色素沈着障害の治療、DNA損傷の予防、皮膚の脱色素効果、抗ニキビ治療、抗菌活性、顔の酒さ、ならびにUVAによって誘発された弾性線維およびコラーゲンの損傷の修復。局所的な光損傷が、黒ずんだ皮膚色、シワ、および皮膚の細い線の原因となることは公知であるので、全てのレチナール治療は同様にこれらの皮膚外観の課題に対処する。本発明の化合物は、局所塗布された際に局所的な酸性pHおよび水分との化学反応によってレチナールを送達することができるので、上述の引用文献のレチナールによる治療の利益の全てもまた本発明の化合物に適用できる。
【0142】
安定性
【0143】
本発明の式(Ia)および式(Ib)の化合物は、予想外かつ驚くべき安定性を有している。式(Ia)のヘミアセタール化合物は特に有益な安定性を有することがわかった。これは、予想外であり驚くべきことである。それは、本発明の範囲外である、他の類似したレチナールデヒド(retinaldehye)化合物が不安定であることが従来技術において周知だったためである。式(XXII)の例にあるように、この特性は、これらの分子の前記ヘミアセタールの−OH基とシクロデキストリン部分の主要な水酸基との水素結合によるものであると推論されている。
【0144】
【化21】
式中、n=3である。
【0145】
しかし、式(XXII)のこの安定性の実際の理由は、未解明である。ただ、それは本発明の化合物のスキンケア治療の利益に影響を与えるものではない。