【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明の第1の態様によれば、略中空構造であり、対向する第1のシェル半体及び第2のシェル半体から形成される風力タービンブレードであって、各シェル半体は、内板及び外板と、内板と外板との間に位置付けられる第1の細長い強化構造体及び第2の細長い強化構造体とを備え、各強化構造体はブレードの長さ方向に沿って延在して層のスタックを備え、各スタックはブレードの表面に対して略垂直な方向に延在する厚さを有し、各層はそれぞれのスタックの幅にわたって延在し、その幅はブレードの長さ方向に対して垂直かつスタックの厚さに対して垂直であり、各層は少なくとも1つの事前硬化された引抜き成形繊維複合材ストリップを備え、各シェル半体は、内板及び外板間に配置されるとともに、(a)第1の細長い強化構造体と第2の細長い強化構造体との間に、(b)第1の細長い強化構造体からブレードの前縁に向かって、(c)第2の細長い強化構造体からブレードの後縁に向かって延在するコア材料を更に備え、風力タービンブレードは、第1のシェル半体にある強化構造体のうちの少なくとも1つと、第2のシェル半体にある強化構造体のうちの少なくとも1つとの間に延在する細長いウェブを更に備える風力タービンブレードが提供される。
【0016】
スタックは、風力タービンブレード内で翼桁キャップとして機能する。各スタックの幅は、使用の際、ブレード内でブレードの表面に対して略平行な平面内で略翼弦方向に延在することが好ましい。各スタックは、ブレードの長さ方向に対して横断方向に向く断面が長方形の形状を有することが好ましい。スタックの厚さは矩形の短辺に対して平行であり、矩形の幅は矩形の長辺に対して平行である。
【0017】
ウェブは、ブレードの長さ方向に細長い。ウェブは、第1のシェル半体にある強化構造体のうちの少なくとも1つと、第2のシェル半体にある強化構造体のうちの少なくとも1つとの間で横断方向に延在する。以下で例示するように、ブレードは、2つのI字形状又はC字形状のウェブを有することができ、このウェブはそれぞれが、第1のシェル半体にある強化構造体のうちの1つと、第2のシェル半体にある強化構造体のうちの1つとの間に延在する。他の実施形態のうちのいくつかを以下で記載するが、それらの実施形態において、ブレードは、第1のシェル半体にある2つの強化構造体と、第2のシェル半体にある2つの強化構造体との間に延在するX字形状断面を有するウェブを有する。
【0018】
各シェル半体内に少なくとも2つのこのような強化構造体を設けることの主な技術的利点は、風力タービンブレードの湾曲から生じる。所望の湾曲を達成するために、シェル半体を製造するのに用いる金型の内面も湾曲している。これにより、成形プロセス中に、対応する湾曲が内板及び外板に伝達される。スタックの上面及び下面は略平面であるため、これにより、スタックの表面と、湾曲した内板及び外板との間に隙間が生じる。この隙間は成形中に樹脂によって充填される。その結果のタービンブレードの強度を最適化するために、隙間の大きさを低減することが望ましい。本発明によれば、これは、各シェル半体内に少なくとも2つの強化構造体を設けることによって達成される。それにより、各構造体が、1つのみの強化構造体が設けられる場合に必要とされる幅よりも狭い幅を有することができる。
【0019】
細長い強化構造体及びコア材料は、風力タービンブレードの表面に対して略垂直であることが好ましい当接縁を画定する。このような構成は、強化構造体を低コストで製造することを可能にする点で有利である。さらに、成形動作中、強化構造体を配置する前に金型にコア材料を配置することと、金型における強化構造体の位置付けを補助するようにコア材料の縁を用いることとが可能である。これは、強化構造体の当接縁が垂直でない場合には必ずしも常に可能ではない。垂直方向は、風力タービンブレードの厚さ方向でもある。
【0020】
風力タービンブレードは、各シェル半体内で、外板と、細長い強化構造体のうちの少なくとも1つとの間に位置付けられる事前硬化メッシュを更に備えることが好ましい。加えて又は代替的には、風力タービンブレードは、各シェル半体内で、内板と、細長い強化構造体のうちの少なくとも1つとの間に位置付けられる事前硬化メッシュを更に備えることが好ましい。各場合に、メッシュはガラス織布及び事前硬化樹脂から作製してもよい。ブレードは、シェル半体のうちの少なくとも一方内で、外板と、細長い強化構造体のうちの1つ及びコア材料の当接領域との間に位置付けられる事前硬化メッシュを備えることが好ましい。ブレードは、シェル半体のうちの少なくとも一方内で、内板と、細長い強化構造体のうちの1つ及びコア材料の当接領域との間に位置付けられる事前硬化メッシュを備えることが好ましい。
【0021】
このようなメッシュは強化構造体とコア材料との間の遷移領域において追加の剛性をもたらす。さらに、メッシュは、タービンブレードの内板及び外板のしわよりを効果的に防止する。しわよりは、防止しなければ、下方にある強化構造体及びコア材料間に隙間がある場合、又は強化構造体の厚さがコア材料の厚さとは異なる場合に生じる可能性がある。
【0022】
スタックは、スタックの長さにわたって略矩形の断面を有することが好ましい、及び/又は略一定の幅を有することが好ましい。さらに、引抜き成形繊維複合材ストリップは、ほぼ均一な断面を有することが好ましい。
【0023】
層のスタックから強化構造体を形成することにより、強化構造体全体を別個の部材として形成し、次に、単一の動作において強化構造体全体を組み込むことが可能である。
【0024】
さらに、引抜き成形繊維複合材ストリップは製造するのが安価であり、任意の所望の長さに容易に切断することができるため、したがって、その結果の強化構造体は低コストで好都合に構築することができる。
【0025】
この構成の追加の利点は、スタックの厚さを、風力タービンブレードの外側シェルの所望の厚さの断面に適合するように、スタックの長さに沿った任意の地点において調整することが可能になることである。これは、単に、その地点においてスタックに組み込まれる層の数を選択することによって行われる。したがって、タービンブレードのテーパー形状に一致する任意の所望の厚さの断面を有する強化構造体を形成することが可能である。
【0026】
通常、風力タービンブレードにおいては、ブレードの長手方向軸に沿ったブレードの中央部に沿って、すなわちブレードの根元部及び先端部間の中間領域に沿って、より高い程度の強化をもたらすことが望ましい。なぜなら、この中間領域は、ブレードが引張応力のほとんどを受ける場所だからである。このように、特に望ましい厚さの断面は、強化構造体の中央部が最大厚さを有し、端部のうちの一方又は双方が最小厚さを有するものである。
【0027】
したがって、スタックの厚さが少なくとも1つの端部に向かってテーパーになるように、強化構造体内の層が異なる長さを有することが好ましい。
【0028】
このことにより、スタックの各層がスクエア切断されている端部を有する最も単純な構成において、段状テーパーを有するスタックが得られる。各段の高さは各層の厚さである。層の端部における応力集中を低減するように、スタックの端部における厚さ外形はより滑らかであることが望ましい。したがって、各層の2つの端部のうちの少なくとも一方が面取りされることが好ましい。このようにして、スタックの上面を、スタックの全長に沿ってより滑らかにすることができる。
【0029】
またさらに、面取り部が十分に小さい角度を有する限り、依然として、テーパー端部に沿った勾配に不連続性がある。
【0030】
滑らかさを更にいっそう高めるように、スタックはスタックの全長を延在する被覆層を更に備えることが好ましい。このような被覆層は、スタック内の他の層の厚さよりも実質的に薄い厚さを有してもよい。例えば、被覆層は他の層の1/4の厚さであってもよい。このことにより、被覆層がスタックの上面に「横たわる」のに十分な可撓性となり、したがって、下方にある表面の向きの変化を滑らかにすることが可能になる。
【0031】
例えば、好ましい実施形態では、各スタック内に5つの層が存在する。各層の厚さはおよそ4mm、すなわち3.5mm〜4.5mmである。一方、被覆層の厚さはたったおよそ1mm、すなわち0.5mm〜1.5mmである。各層の厚さが4mmであることの利点は、引抜き成形ストリップをロールにおいて供給することができることである。
【0032】
各層の幅は、約150mm、すなわち140mm〜160mmであることが好ましい。なぜなら、これにより、実質的に沿層方向の振動を防止するのに必要な程度の沿層方向の剛性がもたらされるからである。
【0033】
他の実施形態では、各スタック内に、4層ほどに少なく存在しても、12層ほどに多く存在してもよいことが想定される。
【0034】
被覆層以外のスタック内の各層は、設けられる場合、層の全幅にわたって延在する単一の引抜き成形繊維複合材ストリップを備えていてもよい。このような構成は、単純性、ひいては低製造コストという利点を有する。なぜなら、各層内に1つのストリップしか必要とされないからである。さらに、スタック内の各層は同じ幅を有するため、被覆層以外の引抜き成形繊維複合材ストリップの全ては、設けられる場合、同じ引抜き成形装置から作製することができるか、又はまさに同じ引抜き成形ストリップから切り出してもよい。
【0035】
代替的には、各層は、並列構成の複数の引抜き成形繊維複合材ストリップを備えていてもよい。並列構成の複数の引抜き成形繊維複合材ストリップは第1の構成の形態をとってもよい。第1の構成では、スタックの各層内のストリップの側縁、すなわち長手方向縁が、他の層のストリップの側(長手方向)縁と位置合わせされる。この場合、各ストリップは、各層が1つのみのストリップを備える上記の構成の場合よりも狭い幅を有する。しかし、ストリップは、依然として同じ幅を有し、したがって、同じ引抜き成形装置から形成するか又は同じ引抜き成形ストリップから切り出すことができる。第2の構成では、スタックの各層内のストリップの内側(長手方向)縁は、上記又は各隣接する層内のストリップの内側縁に対してジグザグに変位している。このことは、ストリップの全てが、同じ幅を有するのではなく、したがって2つ以上の引抜き成形装置から形成されなければならないことを意味するが、このことによってより安定したスタックを得ることができる。実際にこのような構成は、典型的には、れんが壁において見出される。
【0036】
各層が2つ以上のストリップを含む上記構成のそれぞれにおいて、各層内のストリップは、代替的には又はさらには、端と端とをつなげて構成してもよい。これは、例えば、強化構造体がかなりの長さを有する場合に有利とすることができる。この場合、製造は、強化構造体を比較的短い複数の引抜き成形ストリップから形成することによって単純化することができる。
【0037】
引抜き成形繊維複合材ストリップは、十分な引張強度を有するが、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、並びに木質繊維及び有機繊維を含む天然繊維から、これらの繊維タイプのいずれかの組合せを含めて選択される繊維から形成することができることが重要である。好ましい実施形態では、引抜き成形繊維複合材ストリップは熱硬化性樹脂マトリックスに埋め込まれたカーボン繊維から形成される。カーボン繊維は、ガラス繊維等の他の繊維と比較して大きい強度対重量比に起因して、特に望ましい。
【0038】
好ましい一実施形態において、強化構造体は、層のスタックを支持する細長い支持部材を備える。これは、形成される場合、強化構造体全体を風力タービンブレード内の所望の位置に移動するプロセスにおいて役立つ。支持部材の好ましい形態は、略U字形状の断面を有するチャネルであり、層のスタックはチャネル内で支持される。このことは、スタックの断面が実質的に矩形であるため、特に好都合である。少なくともU字形状断面の幅はスタックの幅に相当することが特に好ましい。なぜなら、この場合、U字形状の側方アームが、運搬中、スタック内の層のいかなる不所望の横方向の動きも防止するからである。
【0039】
支持部材は、ガラス強化プラスチック(GRP)材料から作製してもよいことが好都合であり、また、避雷器を備えるか又は収容してもよい。
【0040】
上記のように、支持部材はガラス強化プラスチック(GRP)材料から形成されることが好ましく、避雷器を備えていてもよい。
【0041】
上記板はGRPから作製されることが好ましい。
【0042】
この構成により、各シェル半体は別個に形成し、次に、強化構造体を適所に有するシェル全体を加熱により硬化させる前に、2つの半体をともに結合することができる。
【0043】
シェル半体の内板及び外板は、ガラス繊維エポキシ樹脂複合材から作製してもよい。
【0044】
風力タービンブレードは、使用の際、風力タービンブレードに作用する剪断力を伝達するように、対向するシェル半体内で強化構造体間に位置付けられる少なくとも1つの細長いウェブを更に備えることが好ましい。したがって、このようなウェブは、「剪断ウェブ」と呼ぶ場合がある。2つのこのような強化構造体とウェブとの組合せは、I字ビームに匹敵し、I字ビームの構造的利点を有する。
【0045】
1つの実施形態において、各シェルは2つの強化構造体を備え、細長いウェブは断面がX字形状である。この場合、X字形状の2つの対角線のそれぞれが強化構造体のそれぞれ2つの間に延在することが好ましい。このような構成は、単一のウェブが4つの強化構造体用に設けられることを可能にする。
【0046】
X字形状ウェブは、ともに結合される2つのV字形状ウェブから形成されることが好ましい。なぜなら、V字形状ウェブは容易に積み重ねるか又は入れ子にすることができ、保管及び運搬が容易になるからである。
【0047】
さらに、ウェブは、タービンブレードの製造中に金型の形状により容易に適合するように、弾性材料から作製されることが好ましい。
【0048】
X字形状の弾性ウェブは2つのシェル半体間の距離よりも僅かに大きく作製されることが好ましい。それにより、ウェブは、シェル半体が合わせられると或る程度撓む。ウェブのサイズのより大きい許容差が可能になるだけでなく、ウェブ及びシェル半体間に確立される良好な接着結合も可能になる。接着剤が硬化すると、ウェブは所望の位置に固定され、ウェブの高さは2つのシェル半体間の間隔に一致する。
【0049】
この場合、ウェブは、剪断力を各強化構造体の全幅からウェブに導くように、X字形状断面を有する2つの対角線の各端部にそれぞれのフランジを備えることが好ましい。
【0050】
X字形状ウェブを設けることの代替として、従来のC字形状ウェブを設けてもよい。C字形状の2つのアームは、ブレードの外側シェル半体間にウェブを取り付けるフランジを構成してもよい。
【0051】
また、Z字形状断面を有する追加のウェブを設けてもよい。これは、6つの強化構造体が存在する場合に特に望ましい。なぜなら、X字形状ウェブは、通常、ブレードの前縁内で4つの対向する強化構造体間の剪断力を吸収するように設けられる場合があり、その場合、Z字形状ウェブを、通常、ブレードの後縁部内で残りの2つの対向する強化構造体間の剪断力を吸収するように設けることができるからである。すなわち、Z字形状ウェブは、X字形状ウェブとブレードの後縁との間に位置決めされる。「前縁」及び「後縁」という用語は、以下でより詳細に説明する。
【0052】
好ましい一構成において、強化構造体のうちの4つはブレードの長さに沿って略平行な方向に延在し、一方、残りの2つの強化構造体はより短く、ブレードのより幅広の部分にある他の強化構造体から離れるように延在し、「後方ストリンガー」を形成する。結果としてブレードの幅広部において強化構造体を分離することにより、沿層方向の剛性が向上する。後方ストリンガーを設けることにより、主な構造体及び後縁間のブレードシェルの支持されない長さが低減される。これは、ひいては、ブレードの構造発泡材がより薄くなることを可能にする。ブレードの根元端部における強化構造体間の分離を維持することにより、構造体の末端部を、応力の集中が低減した状態で実現することができる。
【0053】
Z字形状の上側アーム及び下側アームは、例えば、アームの露出した外面に対して接着層を取り付けることにより、ブレードの2つの外側シェル半体間でウェブを連結するフランジとしての役割を果たすことが好ましい。したがって、Z字形状ウェブの中央部のみが対応する強化構造体間の空間に延在する。
【0054】
X字形状ウェブの場合、2つの隣接するアーム間の角度が他方の2つのアーム間の角度とは異なるように、X字形状の対角線は交点において曲がることが好ましい。
【0055】
代替的には、ウェブはY字形状断面を有してもよい。
【0056】
各場合において、単数又は複数のウェブは弾性材料から形成されることが好ましい。これは、上側シェル半体及び下側シェル半体がシェル半体間の適所でウェブによってともに連結されるが、物理的にはシェル半体のみに取り付けられる場合に特に有益である。なぜなら、2つのシェル半体をともに連結する際、接着層を取り付けてもよいウェブの自由端部が、上側シェル半体に対して、ウェブの自由端部が上側シェル半体に接着されるのに十分である力をかけるからである。
【0057】
上述した構成の全てにおいて、内板及び外板は、コア材料及記強化構造体にわたって略途切れることなく延在することが好ましい。
【0058】
本発明の更なる一態様によれば、略中空構造であり、対向する第1のシェル半体及び第2のシェル半体から形成される風力タービンブレードを製造する方法であって、内板及び外板から各シェル半体を構築することと、ブレードの長さ方向に沿って延在するように、外板に第1の細長い強化構造体及び第2の細長い強化構造体を位置付けることであって、各強化構造体は層のスタックを備え、各スタックはブレードの表面に対して略垂直な方向に延在する厚さを有し、各層はそれぞれのスタックの幅にわたって延在し、幅はブレードの長さ方向に対して垂直かつスタックの厚さに対して垂直であり、各層は少なくとも1つの事前硬化された引抜き成形繊維複合材ストリップを備える、外板に第1の細長い強化構造体及び第2の細長い強化構造体を位置付けることと、各シェル半体内で、(a)第1の細長い強化構造体と第2の細長い強化構造体との間に、(b)第1の細長い強化構造体からブレードの前縁に向かって、(c)第2の細長い強化構造体からブレードの後縁に向かって延在するように外板上にコア材料を配置することと、第1の細長い強化構造体及び第2の細長い強化構造体並びにコア材料の上面に内板を配置することと、第1のシェル半体にある強化構造体のうちの少なくとも1つと、第2のシェル半体にある強化構造体のうちの1つとの間に延在するように細長いウェブを配置することとを含む方法が提供される。
【0059】
好ましい一実施形態において、当該方法は上記のタイプの風力タービンブレードを製造することを含む。上記のタイプの風力タービンブレードでは、1つ又は複数の強化構造体が、風力タービンブレードの長さに沿った少なくとも途中まで、風力タービンブレードの外形によって規定されるそれぞれの所定の湾曲に沿って延在する。当該方法は、金型内に、上記又は各強化構造体に対する実質的に剛性の細長い支持面を設けることであって、支持面は、所定の湾曲に沿って延在し、各位置において、所定の湾曲に沿ってその位置における湾曲の程度に応じた或る角度で向き付けられ、それによって強化構造体の正確な位置決めが容易になる、細長い支持面を設けることと、支持部材を金型に挿入することと、強化構造体を支持面に沿って位置決めすることとを含む。
【0060】
強化構造体を位置決めするステップは、支持面に沿って所定の湾曲に向かって支持部材を摺動させることによって達成してもよい。
【0061】
湾曲部における行路の斜面と同様に、支持面をこのようにして好適に向き付けることにより、支持部材は、支持面に沿って支持部材を摺動させることによって、金型内で所望の最終位置に移動することができる。したがって、このようにして、支持面は強化構造体の誘導表面又はガイド表面として機能する。
【0062】
第1のステップとしてスタックを支持部材上に配置することと、完全な強化構造体をこのようにして適所に移動することとが好ましい。しかし、当然ながら、第1のステップとして、支持部材のみを金型内の支持部材の所望の位置に移動させ、次に、例えば、支持部材に沿ってスタックを摺動させることによって、スタックを金型に挿入することが可能である。代替的には、スタックの個々の層を金型に一度に挿入することが可能である。
【0063】
支持面は、金型の表面に配置される細長いウェッジの1つの表面としてもよいことが好都合である。この場合、ウェッジは構造発泡材から作製してもよい。
【0064】
好ましい一実施形態において、風力タービンブレードは少なくとも1つの細長い強化構造体を備え、少なくとも1つの細長い強化構造体は、風力タービンブレードの長さ方向に、風力タービンブレードの外形によって規定されるそれぞれの所定の湾曲に沿って延在する。各強化構造体は略U字形状の断面を有するチャネル内で支持される強化部材を備える。方法は、金型内で各強化構造体を位置決めすることを含む。
【0065】
この場合、まずチャネルを金型内に位置決めして、次に強化部材をチャネルに配置してもよい。代替的には、まず強化部材をチャネル内に位置決めしてもよく、次に強化構造体全体、すなわち強化部材を収容しているチャネルを、金型内に位置決めしてもよい。
【0066】
実質的に剛性の細長い支持面を金型内に設けてもよいことが有利である。支持面は、所定の湾曲に沿って延在し、所定の湾曲に沿った各位置において、その位置における湾曲の程度に応じた或る角度で向き付けられ、それによって強化構造体の正確な位置決めが容易になる。方法は、強化構造体を金型に挿入することと、例えば、支持面に沿って所定の湾曲に向かって支持部材を摺動することによって、強化構造体を支持面に沿って位置決めすることとを含むことが好ましい。
【0067】
事前硬化させたスタック及び他の構造部材を挿入するステップは、任意の所望の順序において実施することができる。
【0068】
代替的には、上記又は各強化構造体はU字形状チャネルから構成してもよく、個々の引抜き成形ストリップは金型内でその場で構成してもよい。
【0069】
好ましい実施形態では、タービンブレード内に6つの強化構造体が存在するが、当然ながら、タービンブレードのサイズ及び/又は形状並びに必要とされる強化の程度に応じてより少なくてもより多くてもよい。
【0070】
また、本発明は、略中空構造であり、第1のシェル半体及び第2のシェル半体を備える風力タービンブレードを製造する方法であって、
第1の細長い金型半体及び第2の細長い金型半体のそれぞれにおいて、それぞれの外板用の1つ又は複数の繊維布を配置することと、
第1の細長い金型半体及び第2の細長い金型半体のそれぞれにおいて、それぞれの金型半体の長さ方向に沿って延在するように、外板用の繊維布上に第1の細長い強化構造体及び第2の細長い強化構造体を位置付けることであって、
各強化構造体は層のスタックを備え、各スタックはそれぞれの金型半体の表面に対して略垂直な方向に延在する厚さを有し、
各層はそれぞれのスタックの幅にわたって延在し、幅はそれぞれの金型半体の長さ方向に対して垂直かつスタックの厚さに対して垂直であり、各層は少なくとも1つの事前硬化された引抜き成形繊維複合材ストリップを備え、
それぞれの金型半体のそれぞれ内で、(a)第1の細長い強化構造体と第2の細長い強化構造体との間に、(b)第1の細長い強化構造体からそれぞれの金型半体の前縁に向かって、(c)第2の細長い強化構造体からそれぞれの金型半体の後縁に向かって延在するように外板用の繊維布上にコア材料を配置することと、
第1の細長い金型半体及び第2の細長い金型半体のそれぞれにおいて、第1の細長い強化構造体及び第2の細長い強化構造体並びにコア材料の上面にそれぞれの内板用の1つ又は複数の繊維布を配置することと、
第1の金型半体及び第2の金型半体内に樹脂を供給することと、
続いて、第1のシェル半体及び第2のシェル半体を形成するように樹脂を硬化させることと、
を含む方法を提供する。
【0071】
本方法は、続いて、金型半体のうちの一方に細長いウェブを配置することと、細長いウェブが、第1のシェル半体にある強化構造体のうちの少なくとも1つと第2のシェル半体にある強化構造体のうちの少なくとも1つとの間に延在するように、第1の金型半体を第2の金型半体の上方の位置に枢動させることとを含むことが好ましい。本方法は、金型半体のうちの少なくとも一方内で、外板と、細長い強化構造体のうちの1つ及びコア材料の当接領域との間に事前硬化メッシュを位置付けることを含むことが好ましい。本方法は、金型半体のうちの少なくとも一方内で、内板と、細長い強化構造体のうちの1つ及びコア材料の当接領域との間に事前硬化メッシュを位置付けることを含むことが好ましい。
【0072】
本発明の更なる態様は以下のとおりである。
(a)風力タービンブレードの細長い強化構造体。本構造体は、使用の際、ブレードの長さ方向に沿って延在するように構成される。本構造体は層のスタックを備え、スタックは、使用の際、風力タービンブレードの表面に対して略平行な方向に延在する幅を有する。各層は、スタックの幅にわたって延在するとともに、少なくとも1つの引抜き成形繊維複合材ストリップを備える。
【0073】
このような強化構造体は、既知の構造体よりも単純な構造を有し、ひいては製造するのがより安価である。
【0074】
好ましい一実施形態に関して上述した強化構造体の支持部材は、強化構造体の特定のタイプに必ずしも限定されない利点を提供することが理解される。したがって、本発明は、以下のものにまで拡張される。
(b)略U字形状の断面を有する少なくとも1つの細長いチャネルを備える風力タービンブレード。少なくとも1つの細長いチャネルにおいて、細長い強化構造体を支持してもよい。
【0075】
X字形状断面を有するウェブを設けることは、必ずしも上述したタイプではない強化構造体を有する風力タービンブレードに対して利点を提供することが理解される。このため、本発明は、以下のものにまで拡張される。
(c)略中空構造である風力タービンブレード。本ブレードは2つの対向するシェル半体から形成される。各シェル半体は、それぞれがブレードの長さ方向に沿って延在する少なくとも2つの細長い強化構造体を備え、使用の際、風力タービンブレードに作用する剪断力を伝達するように、対向するシェル半体内で強化構造体間に位置付けられるウェブを更に備える。ウェブはX字形状断面を有する。
(d)略中空構造である風力タービンブレード。本ブレードは対向する第1のシェル半体と第2のシェル半体とから形成される。第1のシェル半体は少なくとも2つの細長い強化構造体を備え、第2のシェル半体は、それぞれがブレードの長さ方向に沿って延在する少なくとも1つの細長い強化構造体を備え、対向するシェル半体内で強化構造体間に位置付けられるウェブを更に備える。ウェブはY字形状断面を有する。
(e)上記のタイプの風力タービンブレードを作製する方法。1つ又は複数の強化構造体が風力タービンブレードの長さに沿った少なくとも途中まで、風力タービンブレードの外形によって規定されるそれぞれの所定の湾曲に沿って延在する。本方法は、金型内に、上記又は各強化構造体に対する実質的に剛性の細長い支持面を設けることであって、支持面は、所定の湾曲に沿って延在し、所定の湾曲に沿って各位置において、その位置における湾曲の程度に応じた或る角度で向き付けられ、それによって強化構造体の正確な位置決めが容易になる、細長い支持面を設けることと、支持部材を金型に挿入することと、強化構造体を支持面に沿って位置決めすることとを含む。
(f)少なくとも1つの細長い強化構造体を備える風力タービンブレードを作製する方法。少なくとも1つの細長い強化構造体は、風力タービンブレードの長さ方向に、風力タービンブレードの外形によって規定されるそれぞれの所定の湾曲に沿って延在する。上記又は各強化構造体は、略U字形状の断面を有するチャネル内で支持される強化部材を備える。本方法は、金型内に、上記又は各強化構造体に対する強化構造体を位置決めすることを含む。
(g)少なくとも1つの細長い強化構造体を備える風力タービンブレードを製造する方法。少なくとも1つの細長い強化構造体は、風力タービンブレードの長さ方向に、風力タービンブレードの外形によって規定されるそれぞれの所定の湾曲に沿って延在する。本方法は、金型内に、上記又は各強化構造体に対する実質的に剛性の細長い支持面を設けることであって、支持面は所定の湾曲に沿って延在し、所定の湾曲に沿った各位置において、その位置における湾曲の程度に応じた金型の表面に対する或る角度で向き付けられ、それによって強化構造体の正確な位置決めが容易になる、細長い支持面を設けることと、強化構造体を金型に挿入することと、例えば、支持面に沿って所定の湾曲に向かって支持部材を摺動させることによって、強化構造体を支持面に沿って位置決めすることとを含む。
【0076】
上記又は各強化構造体は、別個の金型において形成及び事前硬化させ、次に、風力タービンブレードの他の構成部材とともに主型に挿入させてもよい。このような構成によれば、上述したU字形状チャネル又はウェッジ形状支持体の使用を伴わずに、事前硬化させた強化構造体を主型に挿入することが可能である。
【0077】
さらに、このような手順は、上述した強化構造体とは異なる強化構造体の場合に有利である。例えば、引抜き成形ストリップとは異なって、繊維布から作製される強化構造体をこのようにして事前硬化させ、次に、風力タービンブレードを形成する主型に挿入させることができる。この場合、各繊維布は、金型に別個に挿入するか、又は繊維布の完全なスタックを第1のステップとして形成することができ、次に、この完全なスタックを金型に配置する。
【0078】
したがって、本発明の更なる一態様によれば、以下のものが提供される。
(h)少なくとも1つの強化構造体を備える風力タービンブレードを製造する方法。本方法は、繊維層のスタックを形成することと、第1の金型において繊維層のスタックを事前硬化することと、事前硬化させたスタックを第2の金型に挿入することと、風力タービンの他の構造部材を第2の金型に挿入することと、スタック及び他の構造部材を第2の金型においてともに統合することとを含む。
【0079】
これより、本発明をより容易に理解することができるように、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。