特許第6105712号(P6105712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6105712セラミックシンチレータアレイの加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105712
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】セラミックシンチレータアレイの加工方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   G01T1/20 B
   G01T1/20 D
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-252928(P2015-252928)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-126012(P2016-126012A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】201410831981.4
(32)【優先日】2014年12月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511031733
【氏名又は名称】チンファ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
(73)【特許権者】
【識別番号】515221794
【氏名又は名称】ヌクテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(72)【発明者】
【氏名】ヤンチュン ワン
(72)【発明者】
【氏名】チンジュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユアンジン リ
(72)【発明者】
【氏名】ジーチャン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジラン ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】インオン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオホン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンピン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンジャン チャン
(72)【発明者】
【氏名】シュチン ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】シャン ツォウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチャン ワン
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05956382(US,A)
【文献】 特開2011−007575(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/146304(WO,A1)
【文献】 特開2000−098041(JP,A)
【文献】 特開平09−061534(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/080535(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/067282(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/20
G21K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーを用いてシンチレータ基板に対して第一方向に互いに平行し且つ所定距離を置いた所定数の直線状の第一方向の透過切れ目を形成するステップ(a)、
前記第一方向の透過切れ目に接着剤を充填して前記接着剤を硬化させるステップ(b)、
レーザーを用いて前記シンチレータ基板に対して、第一方向と直交する第二方向に所定数の互いに平行である第二方向の透過切れ目を所定間隔で形成するステップ(c)、及び
前記第二方向の透過切れ目に接着剤を充填して前記接着剤を硬化させるステップ(d)、
を含むことを特徴とするセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項2】
前記シンチレータ基板は、ホットプレス−熱間等方圧の二段階焼成方法、放電プラズマの一段階焼成方法、又は放電プラズマ−熱間等方圧の二段階焼成方法により製造されたシンチレーションセラミックを、所定厚さを有するシート状に切断して得られたものであ
ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項3】
ステップ(b)及びステップ(d)に用いられる接着剤は、反射層接着剤であ
前記反射層接着剤は、反射塗料と光学接着剤を研磨混合することで得られる
ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項4】
ステップ(d)の後に、所望の厚さになるまで前記シンチレータ基板の両面を研磨するステップ(e)を更に含
ことを特徴とする請求項3に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項5】
ステップ(e)の後に、ダイヤモンド外周部刃を用いて前記シンチレータ基板をレーザー切れ目に沿って所定の行数を有する狭いストリップに切断するステップ(f)を更に含
ことを特徴とする請求項4に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項6】
ステップ(a)において、レーザー切断システムにおけるレーザーを調整することで、前記シンチレータ基板に所定の大きさの溶融スポットを形成し、レーザーパルスの周波数及び作業台の平行移動の速度を調整することで、複数のレーザーパルスの溶融スポットを重ねさせて前記シンチレータ基板を貫通させ、次に、溶融スポットに第一方向に所定距離を移動させて直前の貫通点のエッジと重ねる位置に再度に重ねて貫通させ、これらを繰り返すことで、直線状の前記第一方向の透過切れ目を形成す
ことを特徴とする請求項5に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項7】
ステップ(f)の後、清浄剤を用いてシンチレータ上に残存している汚染物を洗浄するステップ(g)を更に含
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項8】
前記清浄剤はアセトン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、石油エーテルの溶媒のうちの1種又は複数種であ
ことを特徴とする請求項7に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項9】
ステップ(a)において、前記第一方向の透過切れ目を形成する過程に、高圧、高純度不活性ガスを利用して切れ目のスラグを吹き出し、
ステップ(b)において、前記第一方向の透過切れ目を有する前記シンチレータ基板の底面にテープを張り付け、前記第一方向の透過切れ目の一端側を密封することで漏れない切れ目溝を形成し、前記切れ目溝に反射塗料を含有する反射層接着剤を注入し、反射層接着剤を前記第一方向の透過切れ目に充填して硬化させ、前記反射層接着剤は、反射塗料と光学接着剤を研磨混合することで得られ、
前記レーザーはパルスレーザー又は連続レーザーから発出されるレーザーであ
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項10】
ステップ(a)において、前記第一方向の透過切れ目を形成する過程に、高圧、高純度不活性ガスを利用して切れ目のスラグを吹き出し、
ステップ(b)において、前記第一方向の透過切れ目を有する前記シンチレータ基板の底面にテープを張り付け、前記第一方向の透過切れ目の一端側を密封することで漏れない切れ目溝を形成し、前記切れ目溝に反射塗料を含有する反射層接着剤を注入し、反射層接着剤を前記第一方向の透過切れ目に充填して硬化させ、
前記レーザーはパルスレーザー又は連続レーザーから発出されるレーザーである
ことを特徴とする請求項3乃至8の何れかの一つに記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【請求項11】
ステップ(e)において、前記シンチレータ基板の結合面とする面を研磨す
ことを特徴とする請求項4に記載のセラミックシンチレータアレイの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシンチレータアレイの加工方法に関し、特にレーザー切断及びダイヤモンドブレード切断の方式を利用してたとえばガドリニウムオキシサルファイド(GOS)セラミックシンチレータアレイを加工する方法に関し、本発明の加工方法による加工されたGOSシンチレータアレイはX線コンピュータ断層撮影(X−CT)及び/又はラインスキャンカメラモードのX線又はγ線電離放射線イメージング検出器に用いられ、特に放射線イメージングに関するセキュリティーチェック分野に適用する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)システム、及びラインスキャンによるX線チェックシステムの検出器は、シンチレータ、シンチレータに結合するフォトダイオード、及びバックエンドとしての電気信号処理素子で構成される。各フォトダイオードの間の検出された光信号のクロストークを防止するために、シンチレータは、一般にフォトダイオードの中心の寸法に対応するアレイに加工され、アレイの各ピクセルの間は可視光反射バリア層である。従来のシンチレータアレイピクセル切断分離技術は、一般にダイヤモンド外周部刃切断及び/又はダイヤモンドワイヤーカット技術を採用する。一般にピクセル間のギャップが十分に狭いことを望んで、ピクセルの有効体積ができるだけ大きいことを保証して電離放射線における量子を検出する効率を向上させる。しかし、ギャップが狭すぎることができず、ギャップが狭すぎると、点滅光を完全に遮断し且つピクセル間の光のクロストークを防止するという機能を発揮するように、ギャップ内に充填された反射材料が十分な厚さに達することは、難しいことである。一般に、ダイヤモンド外周部刃切断の加工によるシンチレータのピクセルのギャップが大きく、これは、ダイヤモンド外周部刃に対して十分な強度を確保できる所定の厚さが必要であり、且つ切断機が高速に回転する時の振動によるブレードの揺動を十分に低く制御することが困難であるためである。ダイヤモンドワイヤーカットの加工によるギャップは小さいが、装置が複雑であり、且つ中小規模の加工であれば効率が低い。また、従来のダイヤモンド砥粒を利用して研磨する切断方式により切断された断面の表面が滑らかであるが、切断時に用いられるクーラントを切れ目の表面に残存する恐れがあり、きれいに清潔しない場合に、狭い切れ目に二酸化チタン反射パウダーを加えた光学合成樹脂を注入した後、シンチレータピクセルに対する合成樹脂の接着強度は十分に高くない可能性があるので、シンチレータアレイが力を受けるので接着されたギャップに破断することを防止するように、後のシンチレータアレイの結合操作をする時に、十分注意する必要があり、操作の複雑さを増加させる。
【0003】
上記問題を避けるために、他の切断加工方式法を研究する必要がある。
【0004】
レーザー切断技術は、現在に成熟した工業加工技術になった。従来の金属を切断対象とする切断技術の以外、セラミック等を切断対象とする切断技術はレーザー切断技術の新しい研究方向になった。GOSシンチレーションセラミックは完全に透明なものではなく、その光透過率があまり高くない(厚さが1.5mmである場合に、透過率は50%より低い)。従って、レーザー切断は、光透過率が高くない、たとえばGOSセラミックシンチレータアレイの切断加工に適用される。本明細書に記載された「透過率」、「光透過率」が50%より小さいとは、「可視光波長域の透過率」であり、選択されたレーザー波長が透過率に関連し、つまり、選択された波長のレーザーに対するシンチレーションセラミック(被加工物体)の透過率が低い(すなわち、吸収率が高い)ことが求められ、それもレーザー加工分野の公知のものである。なお、レーザー切断加工の速度が高く、切り込みの切れ目の幅が調整しやすく、切り口の品質(切断面の粗さ)についてレーザーパルス繰り返し周波数及びシンチレータ作業台の移動速度を調整することで調整することができ、将来性を有するGOSシンチレータ切断加工方式である。しかしながら、レーザーを利用してGOSシンチレータを切断することは、若干の難点があり、たとえばGOSシンチレータは、高エネルギーレーザービームに照射される場合に、熱応力が作用するため、ひび割れの問題がある。また、切断する時、切れ目を十分に保護しなくて切れ目が黒くなると、点滅光の切れ目面における光吸収損失が増加し、シンチレータの光出力に影響を与える。また、表面のスラグを早速に取り除かれないと、切れ目の目詰りを生じて、透過的な切れ目を形成できず、後の反射層の合成樹脂の充填に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、切り口の品質を制御することが可能であり且つ歩留まりが高い、光透過率が高くない例えばGOSセラミックシンチレータアレイを取得することができる、セラミックシンチレータアレイのレーザー切断とダイヤモンド外周部刃切断を組み合わせた加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、下記のステップを含むセラミックシンチレータアレイの加工方法を提供する。なお、本発明では、光透過率が高くないシンチレーションセラミックの一例としてGOSシンチレーションセラミックに対して説明を行う。
【0007】
(1)ホットプレス−熱間等方圧の二段階の焼成方法、又は放電プラズマの一段階の焼成方法、又は放電プラズマ−熱間等方圧の二段階焼成方法で製造された光透過率が高くないシンチレーションセラミック、たとえばGOSシンチレーションセラミックを選択する。ダイヤモンド外周部刃を用いてGOSセラミックブロックを所定の厚さに切断し、たとえば、1〜5mmのシンチレータ基板に切断し、GOSセラミック基板の厚さは検出器の設計に応じて設定されてもよい。また、切断された基板の一つの面を研磨してもよい。
【0008】
(2)除去しやすい粘着剤を用いてシンチレータ基板を円環状器具に接着して固定し、レーザー切断システムの作業台に置く。なお、粘着剤に限定されず、他の方式でシンチレータ基板を円環状器具に固定してもよい。
【0009】
(3)レーザー切断システムにおけるレーザーを調整することで、GOSセラミック基板(シンチレータ基板)に所定の大きさの光スポット/溶融スポットを形成し、レーザーパルスの周波数及び作業台の平行移動速度を調整することで、複数のレーザーパルス溶融スポットを重ねさせてGOSセラミック基板を貫通させ、レーザーパルス溶融スポットに適当な間隔距離を移動させて直前のスポット(すなわち、前回にGOSセラミック基板を貫通したスポット)のエッジと重ねる位置に再度に重ねてGOSセラミック基板を貫通させ、これを繰り返し、一本の直線状の透過切れ目を形成する。また、切断する過程において、高圧、高純度不活性ガス(たとえば、アルゴン又は窒素ガス)を用いて切れ目のスラグを吹き出させる。一回切断の動作の後に、スラグがすっかり取り除かない場合は、往復して数回切断を行うことで取り除くことができる。得られた切れ目は、シンチレータの本来の色(淡黄色または灰緑色)又は白色の、滑らかでない形になる。シンチレータアレイの設計寸法の要求に基づき、所定距離a置きに切れ目を平行に繰り返し形成し、当該切れ目方向をX方向と定義する。
【0010】
(4)透過切れ目を有するGOSセラミック基板の底面にテープを張り付け、すなわち、切れ目の一端側を密封して漏れない切れ目溝を形成し、切れ目溝に反射塗料を含有するエポキシ樹脂合成樹脂(すなわち、反射層接着剤)を注入し、切れ目に反射層接着剤を十分充填することで反射層を形成する。最後に静止させて反射層を硬化させ、その後底面に張り付けているテープを除去する。
【0011】
(5)レーザー切断方式(すなわち、上記レーザー切断システムを利用する)により、ステップ(4)により得られた、X方向の切れ目を有し且つ反射層接着剤が充填されたGOSセラミック基板に対して、一連のX方向の切れ目に直交するY方向に切れ目に切って、Y方向の切れ目の間隔はシンチレータエリアアレイピクセル寸法bである。この場合、シンチレータリニアアレイ、又はピクセルY方向寸法がbであるアレイをそのまま得ることができ、上記ステップ(4)と同様に、アレイのY方向の切れ目に反射層接着剤を充填して硬化させる。反射層接着剤を硬化させた後のGOSシンチレータアレイシートの底側の接着フィルムを除去し、X、Yの2つの方向の切れ目にいずれも反射層接着剤を有するGOSセラミックアレイシートを得る。
【0012】
(6)ステップ(5)により得られたセラミックアレイシートの両面をシンチレータアレイの最終の所要の厚さに研削する。そのうちのより完璧な面がはフォトダイオードに結合される面である。また、光出力を増加させるように、結合面を研磨してもよい。
【0013】
(7)ロジン/パラフィンを用いてステップ(5)により得られたシンチレータアレイシートをガラス基板に接着し、ダイヤモンド外周部刃を用いてレーザー切れ目に沿って所定の行数(たとえば4行のシンチレータ)を有する狭いストリップに切断することで、物品検出機に用いられるCT検出器のGOSシンチレータエリアアレイを得る。リニアアレイが必要であるならば、ステップ(6)におけるY方向の切れ目に反射層接着剤を充填せずに直接に得ることができる。ロジンパラフィンを加熱熔融してシンチレータアレイシートを取り外す。
【0014】
(8)清浄剤(たとえばアセトン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、石油エーテル等の溶媒のうちの1種又は複数種)を用いてシンチレータ上に残存している汚染物(接着フィルム及び/又はロジン/パラフィン残留物)を洗浄することで、清潔且つ平坦な、寸法が均一なシンチレータアレイを得ることができる。
【0015】
また、ステップ(6)とステップ(7)の操作順番を交換してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本願の発明によれば、シンチレータアレイの反射層に厚さの要件を満たさせ、且つ、高エネルギーのレーザービームの照射によるGOSシンチレータのひび割れの問題を解決することができ、点滅光の切れ目面での光吸収損失を増加するのでシンチレータの光出力に影響することがない。また、表面のスラグを早速に取り除くことができ、切れ目の目詰りを生じることがなく、後の反射層合成樹脂の充填に影響せずに透過的な切れ目を確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は設計されたシンチレータリニアアレイと4行エリアアレイを示す模式図であり、(a)はリニアアレイの平面図であり、(b)はエリアアレイの平面図であり、(c)はそれらの側面図である。
図2図2はダイヤモンド外周部刃を利用してGOSセラミックシンチレータブロックをGOSセラミック基板に切断する方式を示す図である。
図3図3はX方向の切れ目のレーザー切断を示す模式図である。
図4図4はX方向の切れ目を有し且つ切れ目に反射層の接着剤が充填されたシンチレータアレイシートを示す図である。
図5図5はY方向の切れ目のレーザー切断を示す模式図である。
図6図6はX、Yの2つの方向の切れ目を有し且つ切れ目に反射層の接着剤が充填されたシンチレータアレイシートを示す図である。
図7図7は最後に外周部刃を利用してシンチレータエリアアレイを切断する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明では、たとえば、ホットプレス−熱間等方圧の二段階焼成方法、又は放電プラズマ−熱間等方圧の二段階焼成方法により製造されたGOSシンチレーションセラミックを選択し、当該GOSシンチレーションセラミックは理論密度の99%以上に達し、結晶粒のサイズが10〜100μmであり、厚さを1mmとする時の積分透過率が25〜50%である。なお、上記方法により製造されたGOSシンチレーションセラミックに限定されず、放電プラズマの一段階焼成方法等の方法で製造されたGOSシンチレーションセラミックを採用してもよい。また、焼結製造効率を向上させるために、一般に、製造された最初のセラミックブロックは、実際に適用する時のシンチレータよりも数倍厚く形成されており、たとえば焼結により取得されたシンチレーションセラミックブロックの厚さが10mmであり、適用におけるシンチレータアレイの厚さがたとえば1mmである。図1は、設計されたシンチレータリニアアレイと4行エリアアレイを示す模式図であり、図1(a)はリニアアレイの平面図であり、図1(b)はエリアアレイの平面図であり、図1(c)はそれらの側面図である。従って、シンチレーションセラミックブロックをシンチレータアレイの厚さに近い薄片に切断する必要がある。また、本願ではGOSシンチレーションセラミックを例として説明するが、GOSシンチレーションセラミックに限定されず、光透過率が高くなく且つレーザーを利用して切断られるシンチレーションセラミックであれば、いずれも本発明の方法を適用することができる。図2はその切断方法を示しており、ダイヤモンド外周部刃を利用してGOSセラミックシンチレータブロックをGOSセラミック基板に切断する方式を示す図である。たとえば、超薄型ダイヤモンド外周部刃を選択して円柱面から切断を行い、前記ダイヤモンド外周部刃が、粒のサイズが特定されたダイヤモンドパウダーと金属を電気メッキ法又は焼結法により加工製造されたものである。なお、ダイヤモンド外周部刃切断を選択するのは、この方式によりGOSセラミックブロック201の取り付け方式が簡便であり、切断速度が速いからであり、そして、焼結されたダイヤモンドブレード203の自体がセラミック切れ目の端面に対して研磨作用を有するため、取得された薄片202が少なくとも1つの平坦な面を有し、このように後の研磨工程を減らすことができる。
【0020】
また、アセトン、脱イオン水、又は無水アルコールを利用して切断後のGOSシンチレータ基板を洗浄し、乾燥後、レーザー切断器具に固定する。図3はX方向の切れ目のレーザー切断を示す模式図であり、図3に示すように、301はGOSシンチレータ基板であり、ロジンとパラフィンの混合物、又はα−シアノアクリレート等の除去しやすい粘着剤305を利用してGOSシンチレータ基板301の周りを円環状のレーザー切断器具303に接着する。しかしながら、これに限定されず、他の方式でGOSシンチレータ基板をレーザー切断器具に固定してもよい。保護ガスを排出するように、前記レーザー切断器具303の底部には若干の排気孔304を有する。GOSシンチレータ基板の切断時に生じたスラグは保護ガス312の流動と共に切れ目302(第一方向の透過切れ目)から離れ、切れ目302を貫通する一部の保護ガス313は切断器具303の排気トンネル304から排出される。レーザー切断ヘッド310はGOSシンチレータ基板の上方に位置し、前記レーザー切断ヘッド310の内部には保護ガス通路311を有する。レーザー切断システムにおけるパルスレーザー機器を調整することで、GOSシンチレータ基板301に必要の切れ目の幅寸法の光スポット/溶融スポット(つまり、光スポット/溶融スポットの大きさを必要に応じて調整することができる)を形成し、レーザーパルスの周波数及び作業台の平行移動速度を適切に調整することにより、レーザーパルスによる発生した複数の溶融スポットが重ねて、重ねた溶融スポットの箇所にGOSシンチレータ基板301が貫通される。その後、溶融スポットは、ある1つの方向(ここでX方向と称する)に適切な距離(当該距離が溶融スポットの半径より小さく、且つ需要により当該距離を設定してもよい)を移動させて前の溶融スポット(すなわち、前回にGOSシンチレータ基板を貫通するスポット)のエッジと重なり合う。その後に、新たな重ねた溶融スポットの箇所にGOSシンチレータ基板301が貫通される。このように、繰り返し、X方向に直線状のまっすぐな透過切れ目302を形成する。1回切断で切れ目のスラグがすっかり取り除かれない場合は、スラグがすっかり取り除かれた透過的な切れ目を形成するまで数回の切断を繰り返すことができる。切断設計図の寸法に応じて、所定の距離aを置くごとに平行する切れ目を繰り返し形成する。なお、切断過程では、高圧、高純度不活性保護ガス(たとえばアルゴン又は窒素ガス)311をレーザーノズルから噴出することで高圧気流312を形成し、切れ目内のスラグを吹き出させて、切れ目の目詰り及び/又はGOSセラミック切断面を酸化して黒くになることを防止する。取得した切れ目302は白色又はGOSセラミックの元の色(淡黄色、灰緑色)の滑らかでない形になる。ただし、この滑らかでない切れ目の表面は切れ目内の反射層接着剤の付着力を増加させ、接着強度を増加させることに有利であり、そして、シンチレータのピクセルから発生される光が反射層に乱反射されることに有利であり、シンチレータのピクセルの結合面の光出力の一致性を増加し、シンチレータピクセルの間の可視光のクロストークを低減させることに有利である。ただし、本発明では、レーザーで切れ目を形成する方式は上記方式に限定されず、必要の切れ目を形成すればよく、他の方式を採用してもよい。
【0021】
その後、X方向の切れ目を有するセラミック基板(GOSシンチレータ基板301)の底面にテープを張り付け、つまり、切れ目の一端側を密封して漏れない切れ目溝を形成し、切れ目溝に反射塗料(たとえば、後述するガラスビーズ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン等)と二成分エポキシ樹脂(アクリル酸又はポリウレタン等を選択してもよい)を研磨混合することで得られた反射層合成樹脂接着剤(すなわち、反射層接着剤)を注入し、次に、合成樹脂が充填されたセラミック基板を真空乾燥箱内に置いて真空化し、セラミック基板の切れ目と合成樹脂接着剤内の気体を排出させ、その後、真空箱内に大気を注入し、圧力を大気圧に達させ、再び反射層合成樹脂接着剤を切れ目溝に注入することで切れ目に合成樹脂接着剤を充満させ、必要に応じて、上記ステップを複数回繰り返し、切れ目に反射層合成樹脂接着剤を十分充填することができる。最後に静止させて反射層合成樹脂接着剤を硬化させ、α−シアノアクリレートで硬化されるセラミックシートに対して、摂氏80度に適切に加熱して硬化を早めてもよい。また、反射層合成樹脂接着剤についても、上記接着剤に限定されず、他のタイプの接着剤を採用してもよい。その後、セラミック基板(GOSシンチレータ基板301)をレーザー切断器具303から取り出す。GOSシンチレータ基板301(GOSシンチレータアレイ)の底側に張り付けているテープを除去し、石油エーテル及び/又はアセトン、エタノール等の溶媒を利用してGOSシンチレータ基板301(GOSセラミックシートアレイ)をきれいに洗浄し、アレイシート全体の両面を研磨し、余分の反射層合成樹脂接着剤を除去する。図4は合成樹脂接着剤を利用してX方向の切れ目を固定するGOSシンチレータアレイシートを示す。401はGOSシンチレータストリップであり、402は切れ目であり、内部に反射パウダーと接着剤で構成された反射層合成樹脂が充填された。前記反射パウダーは粒度が300メッシュより小さいガラスビーズ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン等の材質であってもよい。二酸化チタンパウダーは、優れた遮光能力及び純白な中性の基色を有し、且つ、複数種の樹脂において良好的な分散性を有するので好ましい。また、当該二酸化チタンパウダーの粒径がGOSシンチレータから発出される光の波長に近いので、二酸化チタンパウダーが点滅光を最大限に散乱することができる。よって、シンチレータピクセルの間のクロストークを防止する。なお、光学接着剤はアクリル酸、ポリウレタン又はエポキシ樹脂等のタイプを採用してもよい。二成分エポキシ樹脂型の光学接着剤は、硬化時間が短く、接着強度が高く、耐候性に優れるなどの利点を有するので、本発明において二成分エポキシ樹脂型の光学接着剤が好ましい。接着強度が大きく、遮光効果が良好である高密度反射層を形成するように、前記合成樹脂について、接着液とパウダーが所定の割合に達することが必要であり、二成分エポキシ樹脂接着液と二酸化チタンパウダーの質量比は1:0.25〜1:1.5である。
【0022】
図5はY方向の切れ目のレーザー切断を示す模式図である。X方向反射層接着剤を有するGOSシンチレータアレイシートをしっかり硬化した後、GOSシンチレータアレイシートをX方向の切れ目501に直交するY方向に沿ってレーザー切断方式を利用して所定の幅bを有するストリップに切断し、つまり、所定のピクセルを有するシンチレータリニアアレイ510を得る。又はY方向に沿って間隔bを有する平行な新たな一連の切れ目502(第二方向の透過切れ目)を切断する。この場合、X、Y方向にいずれも寸法の間隔が規則である切れ目を有するシンチレータエリアアレイを直接的に得ることができ、且つX方向の切れ目に反射層が充填され、Y方向の切れ目が空く切れ目である。更にX方向に対した類似の方法を用いて、Y方向の切れ目502を有するシンチレータアレイシートの底部に接着フィルム(又はテープ)を張り付け、反射層合成樹脂接着剤をY方向の切れ目502に充填させ、接着剤が硬化した後、GOSシンチレータアレイシートの底側の接着フィルムを除去し、石油エーテル及び/又はアセトン、エタノール等の溶媒を利用してGOSセラミックシートアレイをきれいに洗浄し、X、Yの2つの方向の切れ目にいずれも反射層接着剤を有するGOSセラミックアレイシートを得た。図6はX、Yの2つの方向の切れ目を有し且つ切れ目に反射層接着剤が充填されたシンチレータアレイシートを示す図である。当該シンチレータアレイシートを研磨し、余分な反射層接着剤を除去し、且つ最終の所要のシンチレータ厚さdに薄くする。
【0023】
また、図7は最後に外周部刃を利用してシンチレータエリアアレイを切断する模式図であり、図7に示すシンチレータアレイが最終のピクセル寸法に切断された方式を示す。ロジン/パラフィンを用いて上記ステップにより得られた、X、Y方向にいずれも切れ目を有し且つ切れ目にいずれも反射層接着剤が充填されたシンチレータアレイシート601をガラス基板に接着し、ダイヤモンド外周部刃610を用いてレーザー切れ目に沿って所定の行数を有する狭いストリップに切断し、つまり物品検出機器のラインスキャーに用いられる検出器のGOSのシンチレータリニアアレイ又はエリアアレイ602を得る。ロジン/パラフィンを加熱熔融してシンチレータアレイシートを取り外す。
【0024】
また、清浄剤(たとえば、四塩化炭素、トリクロロエチレン、石油エーテル等の溶媒のうちの1種又は複数種)を用いてシンチレータ上に残存している汚染物(接着フィルム及び/又はロジン/パラフィンの残留物)を洗浄し、つまり、清潔で平坦な、寸法が均一なシンチレータアレイを得る。
【0025】
また、上記ステップにおける前記レーザー切断システムはパルスレーザー機器又は連続レーザー機器を採用してもよい。なお、作業台の再位置決めの精度が0.01mmに達し、又はそれよりも優れている。
【0026】
また、以上、レーザー切断及びダイヤモンドチップ切断の方式を用いてガドリニウムオキシサルファイド(GOS)セラミックシンチレータアレイを加工する方法を説明したが、これに限定されず、光透過率が高くなく且つレーザーを利用して切断することができるセラミックシンチレータであれば、本発明は他のセラミックシンチレータアレイの製造に適用される。
【0027】
以上、例を挙げて本発明を説明したが、本発明の技術的思想の範囲内の様々な変更又は組合せは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7