【実施例】
【0038】
以下、図面を参照しながら、記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラムの実施例について説明する。尚、以下では、記録装置の一例として、既存の音楽データ(既存音楽データ20)を再生しながら、ユーザの演奏(例えば、歌唱や楽器の演奏等)に応じて生成される演奏データを録音音楽データ30として新たに記録する記録装置1を用いて説明を進める。但し、記録装置として、音楽データ以外の任意のコンテンツデータ(例えば、映像データや、静止画データや、テキストデータや、その他の任意のデータ)を再生しながら他のコンテンツデータを記録する記録装置を採用してもよい。
【0039】
(1)記録装置1の構成
図1を参照して、本実施例の記録装置1の構成について説明する。ここに、
図1は、本実施例の記録装置1の構成を示すブロック図である。
【0040】
図1に示すように、記録装置1は、再生部11と、データ経路切替部12と、スピーカ13と、マイク14と、記録バッファ15とを備えている。
【0041】
再生部11は、「再生手段」の一具体例であって、既存音楽データ20を再生する。尚、記録装置1は、外部の装置から既存音楽データ20を取得してもよい。この場合、再生部11は、例えば外部の装置と通信する通信部と、通信部が取得した既存音楽データ20に対して再生処理(例えば、復号化処理や復調処理等)を行う処理回路等を備えていてもよい。或いは、記録装置1は、記録装置1にローディングされる又は設置されている記録媒体に記録された既存音楽データ20を取得してもよい。この場合、再生部11は、例えば記録媒体に記録された既存データ20を読み出す再生ヘッド(例えば、磁気ヘッドや光ピックアップ等)と、再生ヘッドが読み出した既存音楽データ20に対して再生処理を行う処理回路等を備えていてもよい。もちろん、記録装置1は、その他の手法で既存音楽データ20を取得してもよい。
【0042】
既存音楽データ20は、例えば楽曲や演奏等の音楽を構成するデータ(例えば、MIDIデータや、MP3データや、AACデータ等)である。既存音楽データ20の開始部分(言い換えれば、先頭部分)には、当該部分が既存音楽データ20の開始部分であることを示す開始位置検出データ21が付加されている。従って、再生部11が既存音楽データ20を再生する際には、既存音楽データ20の再生に先立って開始位置検出データ21の再生が行われる。尚、開始位置検出データ21は、開始部分を適切に示すことができる限りはどのようなデータであってもよい。
【0043】
データ経路切替部12は、「経路制御手段」の一具体例であって、再生部11とスピーカ13とマイク14と記録バッファ15との間のデータ経路を制御する。より具体的には、データ経路切替部12は、3端子スイッチ121と、合成器122と、スイッチ制御部123とを備える。3端子スイッチ121が備える第1端子121aは、再生部11及び合成器122の第1入力端子の夫々に電気的に又は回路的に接続される。3端子スイッチ121が備える第2端子121bは、マイク14及び合成器122の第2入力端子の夫々に電気的に又は回路的に接続される。3端子スイッチ121が備える第3端子121cは、記録バッファ15に電気的に又は回路的に接続される。3端子スイッチ121は、第3端子121cが第1端子121a及び第2端子121bのいずれかと電気的に接続されるように、スイッチングを行う。合成器122の出力端子は、スピーカ13に接続される。スイッチ121が行うスイッチングは、スイッチ制御部123によって制御される。尚、スイッチ制御部123は、再生部11によって再生されているデータの種類に応じて、スイッチ121の動作を制御する。
【0044】
第1端子121aと第3端子121cとが電気的に接続されている場合には、再生部11が再生した既存音楽データ20及び開始位置検出データ21の少なくとも一方は、記録バッファ15へと出力される。加えて、この場合には、マイク14から入力される演奏データは、合成器122を介してスピーカ13から出力される。つまり、記録装置1のユーザが行った演奏(つまり、マイク14を介して記録装置1に入力された演奏)が、スピーカ13から流れる。
【0045】
一方で、第2端子121bと第3端子121cとが電気的に接続されている場合には、再生部11が再生した既存音楽データ20及び開始位置検出データ21の少なくとも一方は、合成器122へと出力される。加えて、この場合には、マイク14から入力される演奏データは、合成器122へと出力される。従って、スピーカ13からは、既存音楽データ20と演奏データとが合成器122で合成されることで生成される合成音楽データが出力される。つまり、既存音楽データ20に応じた音楽に加えて記録装置1のユーザが行った演奏(つまり、マイク14を介して記録装置1に入力された演奏)が、スピーカ13から流れる。
【0046】
スピーカ13は、音楽の出力を行う装置である。上述したように、スピーカ13は、再生部11が再生した既存音楽データ20や、マイク14を介して入力される演奏データを、音楽として出力する。
【0047】
マイク14は、ユーザの演奏の入力を受け付ける装置である。上述したように、マイク14を介して入力されたユーザの演奏(つまり、演奏データ)は、スイッチ121の状態に応じて、スピーカ13及び記録バッファ15の少なくとも一方に出力される。
【0048】
記録バッファ15は、「記録手段」の一例であって、マイク14を介して入力されたユーザの演奏(つまり、演奏データ)を、録音音楽データ30として記録するための記憶装置である。加えて、記録バッファ15は、録音音楽データ30の開始部分(言い換えれば、先頭部分)に、当該部分が録音音楽データ30の開始部分であることを示す開始位置検出データ31が付加されるように、開始位置検出データ31を記録する。尚、開始位置検出データ31は、開始部分を適切に示すことができる限りはどのようなデータであってもよい。記録バッファ15として、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリや、ハードディスク等が一例としてあげられる。
【0049】
(2)楽曲配信システムにおける動作の流れ
続いて、
図2から
図6を参照して、本実施例の記録装置1の動作の流れについて説明する。ここに、
図2は、本実施例の記録装置1の動作の流れを示すフローチャートである。
図3から
図6は、本実施例の記録装置1の動作の一過程における記録装置1内のデータの状態を示すブロック図である。
【0050】
図2に示すように、再生部11は、既存音楽データ20及び開始位置検出データ21の少なくとも一方の再生を開始する(ステップS101:
図2)。
【0051】
ここで、既存音楽データ20の開始部分に開始位置検出データ21が付加されていることを考慮すれば、再生部11は、まず開始位置検出データ21の再生を開始することになると推定される。このとき、スイッチ制御部123は、スイッチ121が再生部11と記録バッファ15とを接続するスイッチングを行うようにスイッチ121の動作を制御する。その結果、スイッチ121は、再生部11と記録バッファ15とが接続されるようにスイッチングを行う(ステップS102:
図2)。言い換えれば、スイッチ121は、再生部11が開始位置検出データ21を再生している間(言い換えれば、再生部11が既存音楽データ20の再生を開始していない間)は、再生部11と記録バッファ15とが接続されるようにスイッチングを行う。
【0052】
より具体的には、
図3に示すように、スイッチ121は、第1端子121aと第3端子121cとを接続するようにスイッチングを行う。この場合、
図3に示すように、再生部11が再生した開始位置検出データ21は、記録バッファ15へと出力される。加えて、この場合には、マイク14から入力される演奏データは、合成器122を介してスピーカ13から出力される。
【0053】
その後、
図4に示すように、再生部11による再生が進むにつれて、記録バッファ15は、再生部11が再生した開始位置検出データ21を、そのまま又は任意の情報処理を施した後に、開始位置検出データ31として記録する(ステップS103:
図2)。
【0054】
その後、スイッチ制御部123は、再生部11から出力されるデータを監視することで、開始位置検出データ21の再生が終了したか否かを判定する(ステップS104:
図2)。或いは、スイッチ制御部123は、再生部11から出力されるデータを監視することで、既存音楽データ20の再生が開始したか否かを判定してもよい。
【0055】
ステップS104の判定の結果、開始位置検出データ21の再生が終了していない(或いは、既存音楽データ20の再生が開始してない)と判定される場合には(ステップS104:No:
図2)、記録バッファ15は、再生部11が再生した開始位置検出データ21を、そのまま又は任意の情報処理を施した後に、開始位置検出データ31として記録する動作を継続する(ステップS103:
図2)。
【0056】
他方で、開始位置検出データ21の再生が終了した(或いは、既存音楽データ20の再生が開始した)と判定される場合には(ステップS104:Yes:
図2)、スイッチ制御部123は、スイッチ121がマイク14と記録バッファ15とを接続するスイッチングを行うようにスイッチ121の動作を制御。その結果、スイッチ121は、マイク14と記録バッファ15とが接続されるようにスイッチングを行う(ステップS105:
図2)。
【0057】
より具体的には、
図5に示すように、スイッチ121は、第2端子121bと第3端子121cとを接続するようにスイッチングを行う。この場合、
図5に示すように、再生部11が再生した既存音楽データ20は、合成器122を介してスピーカ13へと出力される。加えて、この場合には、マイク14から入力される演奏データは、記録バッファ15へと出力されると共に、合成器122を介してスピーカ13から出力される。
【0058】
その後、
図6に示すように、再生部11による再生が進むにつれて、記録バッファ15は、マイク14から入力される演奏データを、そのまま又は任意の情報処理を施した後に、録音音楽データ30として記録する(ステップS106:
図2)。このとき、記録バッファ15は、ステップS103で記録された開始位置検出データ31に続けて録音音楽データ30を記録する。つまり、記録バッファ15は、ステップS103で記録された開始位置検出データ31が録音音楽データ30の開始部分に位置するように録音音楽データ30を記録する。
【0059】
以上説明したように、本実施例の記録装置1は、(i)再生部11によって開始位置検出データ21が再生されている間は、記録バッファ15に開始位置検出データ31を記録し、(ii)再生部11によって既存音楽データ20が再生されている間は、記録バッファ15に録音音楽データ30を記録することができる。言い換えれば、本実施例の記録装置1は、(i)再生部11によって開始位置検出データ21が再生されている間は、記録バッファ15に開始位置検出データ31を記録し、(ii)再生部11による開始位置検出データ21の再生が終了した時点で、記録バッファ15に対する録音音楽データ30の記録を開始することができる。更に言い換えれば、本実施例の記録装置1は、(i)再生部11によって既存音楽データ20の再生が開始される前は、記録バッファ15に開始位置検出データ31を記録し、(ii)再生部11による既存音楽データ20の再生が開始した時点で、記録バッファ15に対する録音音楽データ30の記録を開始することができる。
【0060】
このように、再生部11が再生する既存音楽データ20及び開始位置検出データ21に合わせて録音音楽データ30及び開始位置検出データ31を記録することで実現される技術的効果について、
図7を参照して説明する。ここに、
図7は、再生部11が再生する既存音楽データ20及び開始位置検出データ21に合わせて録音音楽データ30及び開始位置検出データ31を記録することで実現される技術的効果を説明する模式図である。
【0061】
図7(a)に示すように、開始位置検出データ21が既存音楽データ20に付加されなければ、ユーザは、例えば操作ボタン等を操作することで、録音音楽データ30(つまり、演奏データ)の記録を開始する旨を指示する必要がある。しかしながら、操作ボタンの操作の精度やタイミング等によっては、記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が、録音の都度異なったものとなってしまいかねない。例えば、
図7(a)は、既存音楽データ20の再生に合わせて、マイク14を介して入力される演奏データの記録(つまり、ユーザの演奏の録音)が3回行われた例を示している。つまり、
図7(a)は、1回目の録音で記録された録音音楽データ30の開始部分と、2回目の録音で記録された録音音楽データ30の開始部分と、3回目の録音で記録された録音データ30の開始部分とが時間的に又は記録バッファ15内での位置的にずれてしまう例を示している。
【0062】
しかるに、本実施例では、
図7(b)に示すように、既存音楽データ20に付加されている開始位置検出データ21の再生タイミングに応じて録音音楽データ30及び開始位置検出データ31が記録されるため、記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が揃う又は揃いやすくなる。或いは、仮に記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が録音の都度異なったものとなってしまったとしても、記録装置1は、録音音楽データ30に付加されている開始位置検出データ31を参照すれば、録音音楽データ30の開始部分を容易に且つ迅速に特定することができる。従って、仮に記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が録音の都度異なったものとなってしまった場合であっても、記録装置1は、録音音楽データ30の開始部分から適切に再生を開始することができる。或いは、仮に記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が録音の都度異なったものとなってしまった場合であっても、記録装置1は、録音音楽データ30の開始部分を的確に特定しながら当該録音音楽データ30に対して任意のデータ処理(例えば、ファイル化処理等)を行うことができる。
【0063】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。