特許第6105779号(P6105779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6105779記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105779
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G11B 20/10 20060101AFI20170316BHJP
   G11B 27/02 20060101ALI20170316BHJP
   G11B 27/10 20060101ALI20170316BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   G11B20/10 311
   G11B20/10 F
   G11B27/02 J
   G11B27/10 C
   G10H1/00 102B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-46860(P2016-46860)
(22)【出願日】2016年3月10日
(62)【分割の表示】特願2013-532356(P2013-532356)の分割
【原出願日】2011年9月7日
(65)【公開番号】特開2016-136448(P2016-136448A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】大久保 英幸
(72)【発明者】
【氏名】福島 章雄
(72)【発明者】
【氏名】新宅 貴行
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−085609(JP,A)
【文献】 特開2009−300904(JP,A)
【文献】 特開平08−278743(JP,A)
【文献】 特開2003−208166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 20/10
G10H 1/00
G11B 27/02
G11B 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1付加データの再生が終了した時点で第1コンテンツデータを再生する再生手段と、
前記第1付加データの再生中に第2コンテンツデータの開始部分を特定するための第2付加データを入力し、且つ、前記第1付加データの再生が終了した後に前記第2コンテンツデータの入力を開始するようにデータ入力経路を切り替える経路制御手段と、
前記経路制御手段を介して入力される前記第2付加データ及び前記第2コンテンツデータを記録する記録手段と
を備えことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記第1コンテンツデータの再生が開始した時点で前記第2コンテンツデータの記録を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
記録装置によって実行される記録方法であって、
第1付加データの再生が終了した時点で第1コンテンツデータを再生する再生工程と、
前記第1付加データの再生中に第2コンテンツデータの開始部分を特定するための第2付加データを入力し、且つ、前記第1付加データの再生が終了した後に前記第2コンテンツデータの入力を開始するようにデータ入力経路を切り替える経路制御を介して入力される前記第2付加データ及び前記第2コンテンツデータを記録する記録工程と、
を備え、
前記再生工程及び前記記録工程は、前記記録装置によって実行される記録方法。
【請求項4】
コンピュータを請求項1に記載の記録装置として機能させる
ことを特徴とする記録制御用のコンピュータプログラム。
【請求項5】
コンピュータを請求項1に記載の記録装置として機能させる記録制御用のコンピュータプログラムが記録されている
ことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば楽曲等の一のコンテンツの再生に合わせて、楽曲等の他のコンテンツを記録する記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
演奏者の演奏に合わせて伴奏を開始させると共に、演奏者の演奏の録音を開始する音楽装置が知られている。具体的には、特許文献1に記載されているように、演奏者の演奏が開始する時刻を予測すると共に、当該予測した時刻に合わせて伴奏及び録音を開始させる装置が知られている。この装置は、演奏者が行うカウント操作(アタック)が所定回数を超えて検出された場合に、当該検出時刻からアタックの間隔の平均期間を加えた時刻を、演奏者の演奏が開始する時刻であると予測している。その結果、音楽装置は予測した時刻が到来する前に、伴奏を開始させるための楽曲開始命令及び演奏の録音を開始させるための録音開始命令を発行することができる。従って、自動的に再生が開始される伴奏に合わせて演奏者が行う演奏が録音される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−300622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した先行技術では、演奏者が行うカウント操作から推定されるBPM(Beat Per Minute)や当該カウント操作の何拍目ないしは何拍後に演奏者が演奏を開始するかの設定に基づいて予測される時刻に、演奏の録音を開始させている。このため、演奏者のカウント操作の精度が悪かったり又は演奏者が何拍目に演奏を開始するかを適切に設定していなかったりすれば、予測される時刻は、演奏者が演奏を開始する本来の時刻とかけ離れたものとなってしまいかねない。つまり、予測される時刻の精度が相対的に悪化してしまいかねない。従って、適切なタイミングで演奏者の演奏の録音を開始できるとは限らないという技術的な問題点を有している。
【0005】
尚、このような技術的問題点は、楽曲等を演奏する場合に限らず、任意のコンテンツ(例えば、映像等)の再生に合わせて他のコンテンツを記録する場合においても同様に生じ得る。
【0006】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、一のコンテンツデータの再生に合わせて入力される他のコンテンツデータを記録する場合に、当該他のコンテンツデータを好適なタイミングで記録する(或いは、適切なタイミングで記録を開始する)ことが可能な記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、記録装置は、第1コンテンツデータを再生すると共に、当該第1コンテンツデータの再生に先立って前記第1コンテンツデータの開始部分に付加されている第1付加データを再生する再生手段と、前記第1付加データ及び前記第1コンテンツデータの少なくとも一方の再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する記録手段とを備え、前記記録手段は、前記第1付加データの再生が終了した時点で前記第2コンテンツデータの記録を開始する。
【0008】
上記課題を解決するために、記録方法は、第1コンテンツデータを再生すると共に、当該第1コンテンツデータの再生に先立って前記第1コンテンツデータの開始部分に付加されている第1付加データを再生する再生工程と、前記第1付加データ及び前記第1コンテンツデータの少なくとも一方の再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する記録工程とを備え、前記記録工程は、前記第1付加データの再生が終了した時点で前記第2コンテンツデータの記録を開始する。
【0009】
上記課題を解決するために、記録制御用のコンピュータプログラムは、コンピュータを上述した記録装置として機能させる。
【0010】
上記課題を解決するために、記録媒体には、コンピュータを上述した記録装置として機能させる記録制御用のコンピュータプログラムが記録されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施例の記録の構成を示すブロック図である。
図2】本実施例の記録装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図3】本実施例の記録装置の動作の一過程における記録装置内のデータの状態を示すブロック図である。
図4】本実施例の記録装置の動作の一過程における記録装置内のデータの状態を示すブロック図である。
図5】本実施例の記録装置の動作の一過程における記録装置内のデータの状態を示すブロック図である。
図6】本実施例の記録装置の動作の一過程における記録装置内のデータの状態を示すブロック図である。
図7】再生部が再生する既存音楽データ及び開始位置検出データに合わせて録音音楽データ及び開始位置検出データを記録することで実現される技術的効果を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラムの実施形態について順に説明する。
【0013】
(記録装置の実施形態)
本実施形態の記録装置は、第1コンテンツデータを再生すると共に、当該第1コンテンツデータの再生に先立って前記第1コンテンツデータの開始部分に付加されている第1付加データを再生する再生手段と、前記第1付加データ及び前記第1コンテンツデータの少なくとも一方の再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する記録手段とを備え、前記記録手段は、前記第1付加データの再生が終了した時点で前記第2コンテンツデータの記録を開始する。
【0014】
本実施形態の配信装置によれば、再生手段は、第1コンテンツデータ及び第1付加データを再生することができる。第1コンテンツデータは、再生手段によって再生可能な任意のデータであってよく、例えば楽曲データや映像データ等が一例としてあげられる。第1付加データは、第1コンテンツデータの開始部分(言い換えれば、先頭部分)に付加されているデータである。言い換えれば、第1付加データは、第1コンテンツデータの開始部分を指し示す(或いは、特定する又は識別する)データである。従って、第1コンテンツデータの再生は、第1付加データの再生が行われた後に行われる。言い換えれば、第1付加データの再生が行われる場合には、その次に第1コンテンツで−が再生される。
【0015】
記録手段は、当該記録装置に入力される第2コンテンツデータを記録することができる。特に、記録手段は、第1コンテンツデータ及び第1付加データの少なくとも一方の再生に合わせて、第2コンテンツデータを記録する。このとき、記録手段は、例えば任意の記録媒体等に第2コンテンツデータを記録してもよい。
【0016】
本実施形態では特に、記録手段は、再生手段による第1付加データの再生が終了した時点で第2コンテンツデータの記録を開始する。つまり、記録手段は、第1付加データの再生の終了(つまり、第1コンテンツデータの再生の開始)に合わせて、第2コンテンツデータの記録を開始する。
【0017】
このように、本実施形態の記録装置は、第2コンテンツデータの記録と並行して再生される第1付加データ及び第1コンテンツデータの再生状態に応じて、第2コンテンツデータの記録を開始する(或いは、第2コンテンツデータを記録する)ことができる。つまり、本実施形態の記録装置は、時間的なばらつきが生じにくい第1付加データの再生タイミング(言い換えれば、第1コンテンツデータの再生タイミング)に応じて第2コンテンツデータの記録を開始することができる。言い換えれば、本実施形態の記録装置は、相対的に時間的なばらつきが生じやすいユーザの操作等に応じて第2コンテンツデータの記録を開始しなくともよい。このため、本実施形態の記録装置は、第1コンテンツデータの再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する場合に、当該第2コンテンツデータを好適なタイミングで記録することができる。
【0018】
本実施形態の記録装置の一の態様では、前記記録手段は、前記第1コンテンツデータの再生が開始した時点で前記第2コンテンツデータの記録を開始する。
【0019】
この態様によれば、記録手段は、第1付加データの再生の終了(つまり、第1コンテンツデータの再生の開始)に合わせて、第2コンテンツデータの記録を開始することができる。従って、この態様の記録装置は、第1コンテンツデータの再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する場合に、当該第2コンテンツデータを好適なタイミングで記録することができる。
【0020】
本実施形態の記録装置の他の態様では、前記記録手段は、前記第1付加データの再生が終了した後に入力される前記第2コンテンツデータを記録する。
【0021】
この態様によれば、記録手段は、第1付加データの再生が終了した後に(つまり、第1コンテンツデータの再生が開始された後に)入力される第2コンテンツデータを記録することができる。つまり、記録手段は、実質的には、第1付加データの再生の終了(つまり、第1コンテンツデータの再生の開始)に合わせて、第2コンテンツデータの記録を開始することができる。従って、この態様の記録装置は、第1コンテンツデータの再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する場合に、当該第2コンテンツデータを好適なタイミングで記録することができる。
【0022】
本実施形態の記録装置の他の態様では、前記記録手段は、前記第1コンテンツデータの再生が開始した後に入力される前記第2コンテンツデータを記録する。
【0023】
この態様によれば、記録手段は、第1付加データの再生が終了した後に(つまり、第1コンテンツデータの再生が開始された後に)入力される第2コンテンツデータを記録することができる。つまり、記録手段は、実質的には、第1付加データの再生の終了(つまり、第1コンテンツデータの再生の開始)に合わせて、第2コンテンツデータの記録を開始することができる。従って、この態様の記録装置は、第1コンテンツデータの再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する場合に、当該第2コンテンツデータを好適なタイミングで記録することができる。
【0024】
本実施形態の記録装置の他の態様では、前記記録手段は、(i)前記第1付加データが再生されている間は、前記第2コンテンツデータの開始部分を特定するための第2付加データを記録すると共に、(ii)前記第1付加データの再生が終了した時点で前記第2付加データに続けて前記第2コンテンツデータの記録を開始する。
【0025】
この態様によれば、記録手段は、第2コンテンツデータの記録に先立って、第2付加データを記録することができる。つまり、記録手段は、(i)第1付加データが再生されるタイミングで第2付加データを記録すると共に、(ii)第1コンテンツデータが再生されるタイミングで第2コンテンツデータを記録することができる。このため、記録手段は、第1付加データ及び第1コンテンツデータの再生タイミングに応じた適切なタイミングで、第2付加データ及び第2コンテンツデータを記録することができる。
【0026】
加えて、記録手段によって記録された第2コンテンツデータは、その開始部分に第2付加データが付加されている。このため、第2付加データが付加された第2コンテンツデータは、記録後には、第1付加データが付加された新たな第1コンテンツデータとして利用することができる。
【0027】
上述の如く第2付加データを記録する記録装置の態様では、(i)前記第1付加データが再生されている間は、前記第2付加データが前記記録手段に入力され且つ(ii)前記第1付加データの再生が終了した後に前記第2コンテンツデータが前記記録手段に入力されるように前記記録手段に対するデータ入力経路を切り替える経路制御手段を更に備え、前記記録手段は、前記経路制御手段を介して入力される前記第2付加データ及び前記第2コンテンツデータを記録するように前記記録手段を制御するように構成してもよい。
【0028】
このように構成すれば、記録手段は、(i)第1付加データが再生されるタイミングで第2付加データを記録すると共に、(ii)第1コンテンツデータが再生されるタイミングで第2コンテンツデータを記録することができる。
【0029】
(記録方法の実施形態)
本実施形態の記録方法は、第1コンテンツデータを再生すると共に、当該第1コンテンツデータの再生に先立って前記第1コンテンツデータの開始部分に付加されている第1付加データを再生する再生工程と、前記第1付加データ及び前記第1コンテンツデータの少なくとも一方の再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する記録工程とを備え、前記記録工程は、前記第1付加データの再生が終了した時点で前記第2コンテンツデータの記録を開始する。
【0030】
本実施形態の記録方法によれば、上述した本実施形態の記録装置が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0031】
尚、上述した本実施形態の記録装置における各種態様に対応して、本実施形態の記録方法も各種態様を採ることが可能である。
【0032】
(記録制御用のコンピュータプログラムの実施形態)
本実施形態の記録制御用のコンピュータプログラムは、コンピュータを上述した本実施形態の記録装置(但し、その各種態様を含む)として機能させる。
【0033】
本実施形態の記録制御用のコンピュータプログラムによれば、上述した本実施形態の記録装置が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0034】
尚、上述した本実施形態の記録装置における各種態様に対応して、本実施形態の記録制御用のコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
【0035】
また、本実施形態の記録制御用のコンピュータプログラムは、記録媒体(例えば、コンピュータ読取可能な記録媒体)に記録されていてもよい。
【0036】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の記録装置は、再生手段と、記録手段とを備える。本実施形態の再生方法は、再生工程と、記録工程とを備える。本実施形態の記録制御用のコンピュータプログラムは、コンピュータを本実施形態の記録装置として機能させる。従って、第1コンテンツデータの再生に合わせて入力される第2コンテンツデータを記録する場合に、当該第2コンテンツデータを好適なタイミングで記録することができる。
【実施例】
【0038】
以下、図面を参照しながら、記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラムの実施例について説明する。尚、以下では、記録装置の一例として、既存の音楽データ(既存音楽データ20)を再生しながら、ユーザの演奏(例えば、歌唱や楽器の演奏等)に応じて生成される演奏データを録音音楽データ30として新たに記録する記録装置1を用いて説明を進める。但し、記録装置として、音楽データ以外の任意のコンテンツデータ(例えば、映像データや、静止画データや、テキストデータや、その他の任意のデータ)を再生しながら他のコンテンツデータを記録する記録装置を採用してもよい。
【0039】
(1)記録装置1の構成
図1を参照して、本実施例の記録装置1の構成について説明する。ここに、図1は、本実施例の記録装置1の構成を示すブロック図である。
【0040】
図1に示すように、記録装置1は、再生部11と、データ経路切替部12と、スピーカ13と、マイク14と、記録バッファ15とを備えている。
【0041】
再生部11は、「再生手段」の一具体例であって、既存音楽データ20を再生する。尚、記録装置1は、外部の装置から既存音楽データ20を取得してもよい。この場合、再生部11は、例えば外部の装置と通信する通信部と、通信部が取得した既存音楽データ20に対して再生処理(例えば、復号化処理や復調処理等)を行う処理回路等を備えていてもよい。或いは、記録装置1は、記録装置1にローディングされる又は設置されている記録媒体に記録された既存音楽データ20を取得してもよい。この場合、再生部11は、例えば記録媒体に記録された既存データ20を読み出す再生ヘッド(例えば、磁気ヘッドや光ピックアップ等)と、再生ヘッドが読み出した既存音楽データ20に対して再生処理を行う処理回路等を備えていてもよい。もちろん、記録装置1は、その他の手法で既存音楽データ20を取得してもよい。
【0042】
既存音楽データ20は、例えば楽曲や演奏等の音楽を構成するデータ(例えば、MIDIデータや、MP3データや、AACデータ等)である。既存音楽データ20の開始部分(言い換えれば、先頭部分)には、当該部分が既存音楽データ20の開始部分であることを示す開始位置検出データ21が付加されている。従って、再生部11が既存音楽データ20を再生する際には、既存音楽データ20の再生に先立って開始位置検出データ21の再生が行われる。尚、開始位置検出データ21は、開始部分を適切に示すことができる限りはどのようなデータであってもよい。
【0043】
データ経路切替部12は、「経路制御手段」の一具体例であって、再生部11とスピーカ13とマイク14と記録バッファ15との間のデータ経路を制御する。より具体的には、データ経路切替部12は、3端子スイッチ121と、合成器122と、スイッチ制御部123とを備える。3端子スイッチ121が備える第1端子121aは、再生部11及び合成器122の第1入力端子の夫々に電気的に又は回路的に接続される。3端子スイッチ121が備える第2端子121bは、マイク14及び合成器122の第2入力端子の夫々に電気的に又は回路的に接続される。3端子スイッチ121が備える第3端子121cは、記録バッファ15に電気的に又は回路的に接続される。3端子スイッチ121は、第3端子121cが第1端子121a及び第2端子121bのいずれかと電気的に接続されるように、スイッチングを行う。合成器122の出力端子は、スピーカ13に接続される。スイッチ121が行うスイッチングは、スイッチ制御部123によって制御される。尚、スイッチ制御部123は、再生部11によって再生されているデータの種類に応じて、スイッチ121の動作を制御する。
【0044】
第1端子121aと第3端子121cとが電気的に接続されている場合には、再生部11が再生した既存音楽データ20及び開始位置検出データ21の少なくとも一方は、記録バッファ15へと出力される。加えて、この場合には、マイク14から入力される演奏データは、合成器122を介してスピーカ13から出力される。つまり、記録装置1のユーザが行った演奏(つまり、マイク14を介して記録装置1に入力された演奏)が、スピーカ13から流れる。
【0045】
一方で、第2端子121bと第3端子121cとが電気的に接続されている場合には、再生部11が再生した既存音楽データ20及び開始位置検出データ21の少なくとも一方は、合成器122へと出力される。加えて、この場合には、マイク14から入力される演奏データは、合成器122へと出力される。従って、スピーカ13からは、既存音楽データ20と演奏データとが合成器122で合成されることで生成される合成音楽データが出力される。つまり、既存音楽データ20に応じた音楽に加えて記録装置1のユーザが行った演奏(つまり、マイク14を介して記録装置1に入力された演奏)が、スピーカ13から流れる。
【0046】
スピーカ13は、音楽の出力を行う装置である。上述したように、スピーカ13は、再生部11が再生した既存音楽データ20や、マイク14を介して入力される演奏データを、音楽として出力する。
【0047】
マイク14は、ユーザの演奏の入力を受け付ける装置である。上述したように、マイク14を介して入力されたユーザの演奏(つまり、演奏データ)は、スイッチ121の状態に応じて、スピーカ13及び記録バッファ15の少なくとも一方に出力される。
【0048】
記録バッファ15は、「記録手段」の一例であって、マイク14を介して入力されたユーザの演奏(つまり、演奏データ)を、録音音楽データ30として記録するための記憶装置である。加えて、記録バッファ15は、録音音楽データ30の開始部分(言い換えれば、先頭部分)に、当該部分が録音音楽データ30の開始部分であることを示す開始位置検出データ31が付加されるように、開始位置検出データ31を記録する。尚、開始位置検出データ31は、開始部分を適切に示すことができる限りはどのようなデータであってもよい。記録バッファ15として、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリや、ハードディスク等が一例としてあげられる。
【0049】
(2)楽曲配信システムにおける動作の流れ
続いて、図2から図6を参照して、本実施例の記録装置1の動作の流れについて説明する。ここに、図2は、本実施例の記録装置1の動作の流れを示すフローチャートである。図3から図6は、本実施例の記録装置1の動作の一過程における記録装置1内のデータの状態を示すブロック図である。
【0050】
図2に示すように、再生部11は、既存音楽データ20及び開始位置検出データ21の少なくとも一方の再生を開始する(ステップS101:図2)。
【0051】
ここで、既存音楽データ20の開始部分に開始位置検出データ21が付加されていることを考慮すれば、再生部11は、まず開始位置検出データ21の再生を開始することになると推定される。このとき、スイッチ制御部123は、スイッチ121が再生部11と記録バッファ15とを接続するスイッチングを行うようにスイッチ121の動作を制御する。その結果、スイッチ121は、再生部11と記録バッファ15とが接続されるようにスイッチングを行う(ステップS102:図2)。言い換えれば、スイッチ121は、再生部11が開始位置検出データ21を再生している間(言い換えれば、再生部11が既存音楽データ20の再生を開始していない間)は、再生部11と記録バッファ15とが接続されるようにスイッチングを行う。
【0052】
より具体的には、図3に示すように、スイッチ121は、第1端子121aと第3端子121cとを接続するようにスイッチングを行う。この場合、図3に示すように、再生部11が再生した開始位置検出データ21は、記録バッファ15へと出力される。加えて、この場合には、マイク14から入力される演奏データは、合成器122を介してスピーカ13から出力される。
【0053】
その後、図4に示すように、再生部11による再生が進むにつれて、記録バッファ15は、再生部11が再生した開始位置検出データ21を、そのまま又は任意の情報処理を施した後に、開始位置検出データ31として記録する(ステップS103:図2)。
【0054】
その後、スイッチ制御部123は、再生部11から出力されるデータを監視することで、開始位置検出データ21の再生が終了したか否かを判定する(ステップS104:図2)。或いは、スイッチ制御部123は、再生部11から出力されるデータを監視することで、既存音楽データ20の再生が開始したか否かを判定してもよい。
【0055】
ステップS104の判定の結果、開始位置検出データ21の再生が終了していない(或いは、既存音楽データ20の再生が開始してない)と判定される場合には(ステップS104:No:図2)、記録バッファ15は、再生部11が再生した開始位置検出データ21を、そのまま又は任意の情報処理を施した後に、開始位置検出データ31として記録する動作を継続する(ステップS103:図2)。
【0056】
他方で、開始位置検出データ21の再生が終了した(或いは、既存音楽データ20の再生が開始した)と判定される場合には(ステップS104:Yes:図2)、スイッチ制御部123は、スイッチ121がマイク14と記録バッファ15とを接続するスイッチングを行うようにスイッチ121の動作を制御。その結果、スイッチ121は、マイク14と記録バッファ15とが接続されるようにスイッチングを行う(ステップS105:図2)。
【0057】
より具体的には、図5に示すように、スイッチ121は、第2端子121bと第3端子121cとを接続するようにスイッチングを行う。この場合、図5に示すように、再生部11が再生した既存音楽データ20は、合成器122を介してスピーカ13へと出力される。加えて、この場合には、マイク14から入力される演奏データは、記録バッファ15へと出力されると共に、合成器122を介してスピーカ13から出力される。
【0058】
その後、図6に示すように、再生部11による再生が進むにつれて、記録バッファ15は、マイク14から入力される演奏データを、そのまま又は任意の情報処理を施した後に、録音音楽データ30として記録する(ステップS106:図2)。このとき、記録バッファ15は、ステップS103で記録された開始位置検出データ31に続けて録音音楽データ30を記録する。つまり、記録バッファ15は、ステップS103で記録された開始位置検出データ31が録音音楽データ30の開始部分に位置するように録音音楽データ30を記録する。
【0059】
以上説明したように、本実施例の記録装置1は、(i)再生部11によって開始位置検出データ21が再生されている間は、記録バッファ15に開始位置検出データ31を記録し、(ii)再生部11によって既存音楽データ20が再生されている間は、記録バッファ15に録音音楽データ30を記録することができる。言い換えれば、本実施例の記録装置1は、(i)再生部11によって開始位置検出データ21が再生されている間は、記録バッファ15に開始位置検出データ31を記録し、(ii)再生部11による開始位置検出データ21の再生が終了した時点で、記録バッファ15に対する録音音楽データ30の記録を開始することができる。更に言い換えれば、本実施例の記録装置1は、(i)再生部11によって既存音楽データ20の再生が開始される前は、記録バッファ15に開始位置検出データ31を記録し、(ii)再生部11による既存音楽データ20の再生が開始した時点で、記録バッファ15に対する録音音楽データ30の記録を開始することができる。
【0060】
このように、再生部11が再生する既存音楽データ20及び開始位置検出データ21に合わせて録音音楽データ30及び開始位置検出データ31を記録することで実現される技術的効果について、図7を参照して説明する。ここに、図7は、再生部11が再生する既存音楽データ20及び開始位置検出データ21に合わせて録音音楽データ30及び開始位置検出データ31を記録することで実現される技術的効果を説明する模式図である。
【0061】
図7(a)に示すように、開始位置検出データ21が既存音楽データ20に付加されなければ、ユーザは、例えば操作ボタン等を操作することで、録音音楽データ30(つまり、演奏データ)の記録を開始する旨を指示する必要がある。しかしながら、操作ボタンの操作の精度やタイミング等によっては、記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が、録音の都度異なったものとなってしまいかねない。例えば、図7(a)は、既存音楽データ20の再生に合わせて、マイク14を介して入力される演奏データの記録(つまり、ユーザの演奏の録音)が3回行われた例を示している。つまり、図7(a)は、1回目の録音で記録された録音音楽データ30の開始部分と、2回目の録音で記録された録音音楽データ30の開始部分と、3回目の録音で記録された録音データ30の開始部分とが時間的に又は記録バッファ15内での位置的にずれてしまう例を示している。
【0062】
しかるに、本実施例では、図7(b)に示すように、既存音楽データ20に付加されている開始位置検出データ21の再生タイミングに応じて録音音楽データ30及び開始位置検出データ31が記録されるため、記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が揃う又は揃いやすくなる。或いは、仮に記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が録音の都度異なったものとなってしまったとしても、記録装置1は、録音音楽データ30に付加されている開始位置検出データ31を参照すれば、録音音楽データ30の開始部分を容易に且つ迅速に特定することができる。従って、仮に記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が録音の都度異なったものとなってしまった場合であっても、記録装置1は、録音音楽データ30の開始部分から適切に再生を開始することができる。或いは、仮に記録バッファ15内で録音音楽データ30が記録される位置が録音の都度異なったものとなってしまった場合であっても、記録装置1は、録音音楽データ30の開始部分を的確に特定しながら当該録音音楽データ30に対して任意のデータ処理(例えば、ファイル化処理等)を行うことができる。
【0063】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う記録装置、記録方法、及び記録制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 記録装置
11 再生部
12 データ経路切替部
121 スイッチ
123 スイッチ制御部
13 スピーカ
14 マイク
15 記録バッファ
20 既存音楽データ
21 開始位置検出データ
30 録音音楽データ
31 開始位置検出データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7