特許第6105781号(P6105781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海信耀電子有限公司の特許一覧

<>
  • 特許6105781-レーザーシンクロ溶接プロセスと装置 図000002
  • 特許6105781-レーザーシンクロ溶接プロセスと装置 図000003
  • 特許6105781-レーザーシンクロ溶接プロセスと装置 図000004
  • 特許6105781-レーザーシンクロ溶接プロセスと装置 図000005
  • 特許6105781-レーザーシンクロ溶接プロセスと装置 図000006
  • 特許6105781-レーザーシンクロ溶接プロセスと装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105781
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】レーザーシンクロ溶接プロセスと装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/16 20060101AFI20170316BHJP
   B23K 26/10 20060101ALI20170316BHJP
   B23K 26/57 20140101ALI20170316BHJP
【FI】
   B29C65/16
   B23K26/10
   B23K26/57
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-57256(P2016-57256)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-24391(P2017-24391A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年3月28日
(31)【優先権主張番号】201510423267.6
(32)【優先日】2015年7月17日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201510452594.4
(32)【優先日】2015年7月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516085144
【氏名又は名称】上海信耀電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Seeyao Electronics Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】郭肇基
(72)【発明者】
【氏名】楊曉峰
(72)【発明者】
【氏名】忻國祥
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼海
(72)【発明者】
【氏名】王永和
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭57−026927(JP,B1)
【文献】 特開2007−261115(JP,A)
【文献】 特開2013−203026(JP,A)
【文献】 特開2009−056481(JP,A)
【文献】 特開2004−297058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/16
B23K 26/10
B23K 26/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品のベース部と、上記製品の透明部材とを含む溶接対象物を溶接するレーザーシンクロ溶接プロセス用のレーザーシンクロ溶接装置において、
リフティングシリンダーと、
上記リフティングシリンダーに固定して設けられる第一載荷板と、
溶接用シリンダーを介して上記第一載荷板に設けられる第二載荷板と、
上記第二載荷板に固定して設けられる、上記製品の上記ベース部を挟むための移動できる下部治具と、
上記移動できる下部治具に向いて、上記移動できる下部治具の上方に設けられ、上記製品の上記透明部材を挟むための固定される上部治具と、
上記固定される上部治具の上に設けられるレーザー光源と、
上記レーザー光源と上記製品の上記透明部材との間にあるライトパイプと、を含み、
上記リフティングシリンダーは、上記第一載荷板と第二載荷板とを介して、上記製品の上記透明部材が上記製品の上記ベース部に密着するように、溶接するところに上記製品の上記ベース部を移動させ、
上記ライトパイプにより、上記レーザー光源からのレーザービームは、整形され、上記製品の上記透明部材を透過し、上記製品の上記ベース部の溶接区に集束され、上記溶接区を加熱すると同時に、
上記溶接用シリンダーは、上記第二載荷板を介して、上記移動できる下部治具を駆動させ、上記製品の上記ベース部と、上記製品の上記透明部材とに圧力をかけて、上記溶接対象物を溶接することを特徴とするレーザーシンクロ溶接装置。
【請求項2】
上記移動できる下部治具に上記製品の金型を固定して設け、かつ
上記製品の上記ベース部は、上記製品の上記金型に固定して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレーザーシンクロ溶接装置。
【請求項3】
上記ライトパイプは、ライトパイプ本体と、ライトパイプ固定用ブロックとを含み、
上記ライトパイプ固定用ブロックは、上記固定される上部治具に固定されて、
上記レーザー光源からの上記レーザービームは、上記ライトパイプ本体により処理されて、上記製品の上記ベース部の上記溶接区を加熱することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザーシンクロ溶接装置。
【請求項4】
上記固定される上部治具に若干の固定用穴を設け、
上記ライトパイプ本体は、上記若干の固定用穴により上記固定される上部治具に固定されたことにより、上記溶接対象物の上記溶接区とマッチングするように構成したことを特徴とする請求項3に記載のレーザーシンクロ溶接装置。
【請求項5】
上記ライトパイプ本体は、管状構造であり、
上記レーザー光源からの上記レーザービームは、上記ライトパイプ本体により処理されて、均一に分布しているストリップ状光点になって、上記溶接対象物の上記溶接区に照射され、当該溶接区を加熱することを特徴とする請求項3または4に記載のレーザーシンクロ溶接装置。
【請求項6】
上記ライトパイプ本体の材質は、透明的な材質であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のレーザーシンクロ溶接装置。
【請求項7】
製品のベース部と、上記製品の透明部材とを含む溶接対象物の溶接のためのレーザーシンクロ溶接プロセスにおいて,
上記製品の上記ベース部を、移動できる下部治具に設けられている上記製品の金型に固定して、外形の位置決めをするステップと、
上記製品の上記透明部材が、上記製品の上記ベース部の上にあるように、固定される上部治具に挟まれるステップと、
リフティングシリンダーにより、上記製品の上記ベース部が、駆動されて、溶接点まで移動され、上記製品の上記透明部材と上記製品の上記ベース部とを密着させるステップと、
レーザー光源からのレーザービームが、ライトパイプで処理されて、上記製品の上記透明部材を透過して、上記製品の上記ベース部の溶接区に集束して、上記溶接区を加熱すると同時に、溶接用シリンダーが上記移動できる下部治具を駆動し、上記製品のベース部と上記製品の上記透明部材とに圧力をかけて上記溶接対象物を溶接するステップと
を含むことを特徴とするレーザーシンクロ溶接プロセス。
【請求項8】
上記ライトパイプは、ライトパイプ本体と、ライトパイプ固定用ブロックとを含み、
上記ライトパイプ固定用ブロックは、上記固定される上部治具に固定され、
上記レーザー光源からの上記レーザービームは、上記ライトパイプ本体により処理されて、上記溶接区を加熱することを特徴とする請求項7に記載のレーザーシンクロ溶接プロセス。
【請求項9】
上記固定される上部治具に若干の固定用穴が形成され、
上記ライトパイプ本体は、上記若干の固定用穴により上記固定される上部治具に固定されたことにより、上記製品の上記ベース部の上記溶接区とマッチングするように構成したことを特徴とする請求項8に記載のレーザーシンクロ溶接プロセス。
【請求項10】
上記ライトパイプ本体は、管状構造であり、
上記レーザー光源からの上記レーザービームは、上記ライトパイプ本体により処理されて、上記製品の上記ベース部の上記溶接区に照射され、上記溶接区を加熱することを特徴とする請求項8または9に記載のレーザーシンクロ溶接装置。
【請求項11】
上記ライトパイプ本体の材質は、透明的な材質であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載のレーザーシンクロ溶接プロセス。
【請求項12】
上記レーザーシンクロ溶接プロセスにより上記溶接対象物が溶接される場合、粉末が出なく、かつ出た廃棄端(waste selvage)のサイズとしての高さHと幅Wは、それぞれ以下の式を満足する、
0<H<0.4mm、
0<W<0.4mm
ことを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載のレーザーシンクロ溶接プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー溶接技術領域に関するもので、特にレーザーシンクロ溶接プロセスと装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザー溶接方法は、エネルギー密度の高いレーザービームを熱源として使う高効率的な精密溶接方法で、主に薄肉材料の溶接或は低速溶接に使う方法であり、熱伝導型の溶接方法である。すなわち、レーザービームによりワークの表面が加熱され、表面の熱は熱伝導により内部に拡散し、レーザーパルスの幅、エネルギー、ピークパワー、周波数などのパラメータを制御することにより、ワークの溶接区が溶解して、溶融池が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、車のライトとしてのプラスチック製ヘッドライトと尾灯を作るために溶接する場合、通常レーザー溶接方法によりワークとワークとの溶接をする。しかし、現在のレーザー光溶接プロセスにより溶接する場合、溶接ビード(welding bead )の溶接状態は安定していなく、かつ溶接の場合、レーザービームはレーザー反射鏡により溶接対象物に反射されて、溶接対象物の表面は大部不規則な曲面形状になっている。そのため、レーザービームが部分的に反射されて、すなわち、レーザービームのエネルギーが部分的に反射されて、レーザービームのエネルギーは全部溶接対象物に集まることなく部分的に反射され、安定的に溶接することができなくなった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するため、本発明ではレーザーシンクロ溶接装置が以下ように構成された。
【0005】
本発明の装置は、溶接対象物を溶接するレーザーシンクロ溶接装置であって、
リフティングシリンダー(Lifting cylinder)と、
上記リフティングシリンダーに固定して設けられる第一載荷板と、
溶接用シリンダーを介して上記の第一載荷板に設けられる第二載荷板と、
上記の第二載荷板に固定して設けられる、製品のベース部を挟むための移動できる下部治具と、
上記の移動できる下部治具に向いて、上記の移動できる下部治具の上方に設けられて、上記の製品の上記透明部材を挟むための固定される上部治具と、
上記の固定される上部治具の上に設けられるレーザー光源と、
上記のレーザー光源と上記の製品の透明部材との間にあるライトパイプと、を含んで、
上記のリフティングシリンダーは、上記の第一載荷板と第二載荷板とを介して、上記製品の上記透明部材が上記製品のベース部に密着するように、溶接するところに上記製品の上記ベース部を移動させて、
上記のライトパイプにより、上記レーザー光源からのレーザービームは、処理され、上記の製品の上記透明部材を透過して、上記製品の上記ベース部の溶接区に集束され、上記溶接区を加熱すると同時に、上記の溶接用シリンダーは、上記の第二載荷板を介して、上記の移動できる下部治具を駆動させ、上記の製品の上記ベース部と、上記製品の上記透明部材とに圧力をかけて、上記溶接対象物を溶接した。
【0006】
好ましいのは、上記の移動できる下部治具に上記製品の金型を固定して設けて、かつ上記の製品の上記ベース部は、上記の製品の上記金型に固定して設けられていることである。
【0007】
好ましいのは、上記のライトパイプは、ライトパイプ本体と、ライトパイプ固定用ブロックとを含んで、上記のライトパイプ固定用ブロックは、上記の固定される上部治具に固定され、
上記のレーザー光源からの上記レーザービームは、上記ライトパイプ本体により処理されて、上記製品の上記ベース部の上記溶接区を加熱することである。
【0008】
好ましいのは、上記の固定される上部治具に若干の固定用穴を設けて、
上記のライトパイプ本体は、上記の若干の固定用穴により上記の固定される上部治具に固定されたことにより、上記の溶接対象物の上記の溶接区とマッチングするように構成したことである。
【0009】
好ましいのは、上記のライトパイプ本体は管状構造で、
上記のレーザー光源からの上記レーザービームは、上記ライトパイプ本体により処理されて、均一に分布しているストリップ状光点になって、上記の溶接対象物の上記溶接区に照射されて、当該溶接区を加熱することである。
【0010】
好ましいのは、上記のライトパイプ本体の材質は、透明的な材質であることである。
【0011】
また、本発明のレーザーシンクロ溶接プロセスは、製品のベース部や製品の透明部材などの溶接対象物を溶接することができるレーザーシンクロ溶接プロセスであって、
上記の製品の上記ベース部を、移動できる下部治具に設けられている上記製品の金型に固定して、外形の位置決めをするステップと、
上記の製品の上記透明部材が、上記の製品の上記ベース部の上方にあるように、固定される上部治具に挟まれるステップと、
リフティングシリンダーにより、上記の製品の上記ベース部が、駆動されて、溶接点のところまで移動され、上記の製品の上記透明部材と上記の製品の上記ベース部と密着させるステップと、
レーザー光源からのレーザービームが、ライトパイプにより整形されて、上記の製品の上記透明部材を透過して、上記製品の上記ベース部の溶接区に集束して、上記溶接区を加熱すると同時に、上記の溶接用シリンダーが上記の移動できる下部治具を駆動し、上記の製品のベース部と上記製品の上記透明部材とに圧力をかけて、上記溶接対象物を溶接したステップとを含む。
【0012】
好ましいのは、上記のライトパイプは、ライトパイプ本体と、ライトパイプ固定用ブロックとを含んで、上記のライトパイプ固定用ブロックは、上記の固定される上部治具に固定され、
上記のレーザー光源からの上記レーザービームは、上記ライトパイプ本体により処理されて、上記製品の上記ベース部の上記溶接区に照射されて、上記溶接区を加熱することである。
【0013】
好ましいのは、上記の固定される上部治具に若干の固定用穴を設けて、
上記のライトパイプ本体は、上記の若干の固定用穴により上記の固定される上部治具に固定されたことにより、上記の製品の上記ベース部の上記溶接区とマッチングするように構成したことである。
【0014】
好ましいのは、上記のライトパイプ本体は、管状構造で、
上記のレーザー光源からの上記レーザービームは、上記ライトパイプ本体により整形されて、ストリップ状光点になり、上記のストリップ状光点は、上記溶接対象物の上記溶接区に照射されて、上記溶接区を加熱することである。
【0015】
好ましいのは、上記のライトパイプ本体の材質は、透明的な材質であることである。
【0016】
好ましいのは、溶接する場合、粉末が出なく、上記のレーザーシンクロ溶接プロセスで上記の溶接対象物を溶接する場合、粉末が出なく、かつ出た廃棄端(waste selvage)のサイズとしての高さHと幅Wは、それぞれ以下の式を満足する。すなわち、
0<H<0.4mm、
0<W<0.4mmであることである。
【発明の効果】
【0017】
上記の技術案の長所と効果は以下のとおりである。
【0018】
本発明に記載のレーザーシンクロ溶接プロセスと装置は、上記の移動できる下部治具と固定される上部治具により、製品の透明部材と製品のベース部とを密着させる。ポリカーボネイトあるいはガラスなどの安い材料で作ったライトパイプにより、レーザー光源からのレーザービームが、処理され、上記の製品の透明部材を透過して、製品のベース部の溶接区に照射されて、溶接区を快速的に、均一的に加熱する。それと同時に、上記の溶接用シリンダーにより上記の製品のベース部と製品の透明部材とに圧力をかけて、溶融状態で溶融対象物を溶接した。溶接の場合、粉末が出なく、かつ出た廃棄端の高さHと幅Wは、以下の式に示す範囲内にある。すなわち、0<H<0.4mm、0<W<0.4mmの範囲内にあり、溶接の品質は高くなった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細的に説明する。しかし、図面は発明の説明にしか使わなく、本発明を限定するものではない。
【0020】
図1図1は、プラスチック材料で作る部材に対してレーザーシンクロ溶接プロセスを実施することを説明する模式図である。
【0021】
図2図2は、本発明の実施例におけるレーザーシンクロ溶接装置の構成の模式図である。
【0022】
図3図3は、図2における固定される上部治具に設けるライトパイプの構成の模式図である。
【0023】
図4図4は、図2における固定される上部治具の構成の模式図である。
【0024】
図5図5は、ライトパイプの構成の模式図である。
【0025】
図6図6は、本発明の実施例におけるレーザーシンクロ溶接プロセスの模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例が提供したレーザーシンクロ溶接プロセスと装置は、従来のレーザーシンクロ溶接プロセスと装置を基礎として、安い、透明的な高温材料で作ったライトパイプにより、レーザー光源からのレーザービームが処理されて光点になって、溶接対象物を溶接する。具体的には、上記の移動できる下部治具と固定される上部治具により、製品の透明部材と製品のベース部とを密着させて、安い材料で作ったライトパイプにより、レーザー光源からのレーザービームが、処理され、上記の製品の透明部材を透過して、製品のベース部の溶接区に照射されて、溶接区を快速的に、均一的に加熱する。それと同時に、上記の溶接用シリンダーにより、上記の製品のベース部と製品の透明部材とに圧力をかけて、溶融状態で溶融対象物を溶接した。また、溶接の場合、粉末が出なく、かつ出た廃棄端の高さHと幅Wは、以下の式に示す範囲内にある。すなわち、0<H<0.4mm、0<W<0.4mmにあり、溶接の品質は高くなった。
【0027】
以下、図面を参照しながら、具体的な実施例を使って本発明のレーザーシンクロ溶接プロセスと装置とを詳しく説明する。
【0028】
レーザー光透過溶接プロセス(すなわち赤外線透過溶接プロセス)による溶接強度は、基体材料の強度に近く、かつ、そのプロセスは、接触しなくて溶接しやすいプロセスである。そして、溶接された部材に対しての熱応力の影響も、機械圧力も小さく、粉末もなく、振動もなく、外観も綺麗で、精度も溶接強度も高く、モールドの損耗もない。そのため、このプロセスは、たくさんの熱可塑性のプラスチック材料の溶接に適用できる。
【0029】
レーザー光透過溶接プロセス(すなわち赤外線透過溶接プロセス)で溶接する場合、溶接対象物の材料の組み合わせに対して光学特性の要求がある。すなわち、溶接される部品の一つは、レーザー光に対して透明的なものである。オリジナルの色の状態での熱可塑性塑料は、レーザー光に対して透明的なものである。溶接される部品の他の一つは、レーザー光のエネルギーを全部吸収できるものでなければいけない。例えば、添加材料(例えばカーボンブラック)を熱可塑性材料に添加すると、熱可塑性材料は、レーザー光のエネルギーを吸収できるようになり、かつ溶接強度も基体材料の強度に近いようにならなければいけない。
【0030】
図1は、熱可塑性材料に対してレーザー溶接プロセスを実施する模式図である。図1に示すように、熱可塑性材料に対してレーザー光透過溶接プロセス(すなわち赤外線透過溶接プロセス)で溶接する場合、普通レーザー光源11からのレーザービームが、ライトパイプ12により処理されて、透明のワーク(すなわち製品の透明部材)13を透過して、レーザー光吸収ワーク(すなわち製品のベース部)14に照射され、エネルギーが均一に分布している溶接光点15になる。これによって、レーザー光吸収ワークの溶接区を局部的に加熱して溶融させて、透明のワーク13とレーザー光吸収ワーク14とが溶接される。すなわち、上記のレーザービームが、透明物体(すなわち透明ワーク13)を透過して、レーザー光吸収ワーク14に照射され、レーザー光のエネルギーが吸収されて、熱になった。レーザー溶接の場合、溶接対象物としての両ワーク(すなわち透明のワーク13とレーザー光吸収ワーク14)は、治具により密着されており、熱がレーザー光吸収ワーク14から透明のワーク13に伝って、密着している両ワークの溶融区が溶解して結合した。それと同時に、プラスチックが加熱され、内部にストレスが出て、内部のストレスと外部の治具の圧力により、密着されている両ワークが堅く溶接された。
【0031】
図2は、本発明の実施例のレーザーシンクロ溶接装置の構成の模式図である。図3は、図2における固定される上部治具にライトパイプを設ける構成の模式図である。図4は、図2における固定される上部治具の構成の模式図である。図5は、ライトパイプの構成の模式図である。図2〜5に示すように、本実施例は、図1に示す構成と関連記載とに基づいて、レーザーシンクロ溶接装置を提供する。この装置は、溶接対象物に対するレーザーシンクロ溶接に使用されることができる。溶接対象物は、製品のベース部(すなわちレーザー光を吸収するワーク14)と、製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)とを含む。上記の溶接装置は、一つ或は複数のリフティングシリンダー1と、第一載荷板2と、第二載荷板4と、移動できる下部治具5と、固定される上部治具6と、レーザー光源11と、ライトパイプ12と含んでいる。
【0032】
溶接プロセスを実施するためにカスタマイズされたプラットフォームに固定して設けている一つ或は複数のリフティングシリンダー1は、その上に設けている部品が水平状態になるように、あるいは溶接プロセスに要求されたパラメータ範囲内にあるように設けられてよい。好ましいのは、当該リフティングシリンダー1は、当業者がよく使っている、部品を上下移動するためのシリンダーである。例えば、リフティングシリンダー1は、シリンダーバレル(cylinder barrel)と、端蓋と、ピストンと、ピストンロッドと、パッキンリングと、その他の部品を含む。
【0033】
第一載荷板2は、上記のリフティングシリンダー1の上に固定して設けられ、その上面にレーザーシンクロ溶接プロセスのための他の部品を設ける。例えば、当該第一載荷板2を水平的に上記のリフティングシリンダー1のピストンロッドのトップに固定して設ける。リフティングシリンダー1が運転される場合(例えば上下移動する場合)、第一載荷板2とその上にある部品との上下の動きを駆動する。そして、第一載荷板2が上下移動する場合、第一載荷板2は、表面が水平を維持したまま鉛直方向に上下移動する。
【0034】
溶接用シリンダー3(当該溶接シリンダー3も、シリンダーバレルと、端蓋と、ピストンと、ピストンロッドと、パッキンリングと、その他の部品を含む。)を介して上記の第一載荷板2の上方に設ける第二載荷板4は、上下移動する場合、板の表面も水平を維持したままに鉛直方向に上下移動する。
【0035】
移動できる下部治具5は、上記の第二載荷板4の上面に固定して設けられ、上記の製品のベース部を挟むためのものである。例えば、上記の移動できる下部治具5の上に製品の金型を設けて、上記の製品のベース部を製品の金型に固定して設ける(例えば挟む)ことにより、製品のベース部を駆動できるようになった。
【0036】
固定される上部治具6は、上記の移動できる下部治具5と対応して、移動できる下部治具5の上方に設けられ、上記の製品の透明部材を挟むものである。例えば、固定される上部治具6を、移動できる下部治具5の上方に設けているように、製品の透明部材が製品のベース部に向くように、当該固定される上部治具6を治具ブラケット7に固定して設ける。
【0037】
また、上記の固定される上部治具6の上にレーザー光源11とライトパイプ12を設ける。当該ライトパイプ12が、上記のレーザー光源11と製品の透明部材(すなわち透明ワーク13)との間にある。
【0038】
レーザー溶接の場合、リフティングシリンダー1は、第一載荷板2と第二載荷板4を介して移動できる下部治具5とその上に固定する製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)を駆動して、予定の溶接点のところ(具体的な溶接プロセスの要求と溶接プロセスの構造パラメータにより設定する)までそれを移動させる。そして、固定される上部治具6の上に固定した製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)と製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)とを密着させる。上記のライトパイプ12は、レーザー光源11からのレーザービームを処理して、製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)を透過させ、製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)の溶接区に集光させて、溶接光点15にする。溶接区が溶融状態になるように予定の時間加熱されて、製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)の溶接区と、製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)の、製品のベース部と接する区域とが加熱されて溶融状態になる。それと同時に、上記の溶接用シリンダー3が、第二載荷板4により移動できる下部治具5を駆動して、製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)と、製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)とを密着させるように圧力をかける。これにより、製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)を製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)と溶接した。
【0039】
図5に示したように、好ましいのは、上記のライトパイプは、ライトパイプ本体62と、ライトパイプ固定用ブロック63とを含んでいる。上記のライトパイプ固定用ブロックは、上記の固定される上部治具6に固定される。上記のレーザー光源からのレーザービームは、ライトパイプ本体62により処理されて、製品のベース部の溶接区を加熱する。
【0040】
図3〜5に示したように、好ましいのは、上記の固定される上部治具6に若干の固定用穴61を設けて、ボルトなどのファスナーで上記のライトパイプ本体62を上記の固定される上部治具6に固定する。固定したライトパイプ本体62の形状は、溶接対象物の溶接区とマッチングする。上記のライトパイプ本体62により処理されたレーザービームは、上記の溶接対象物の上記の溶接区を均一的に快速で加熱できるように構成された。
【0041】
好ましいのは、上記のライトパイプ本体62は管状構造で、上記のレーザー光源からのレーザービームは、ライトパイプ本体により処理されて溶接光点15になって、上記の溶接対象物の溶接区に照射されて、溶接区を加熱することである。上記のライトパイプ本体62の材質は、普通の透明的な高温材料である。
【0042】
図6は、本発明の実施例におけるレーザーシンクロ溶接プロセスの模式的なフローチャートである。また、本発明はレーザーシンクロ溶接プロセスを提供し、上記のレーザーシンクロ溶接装置により、溶接対象物を溶接することができる。上記の溶接対象物は、製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)と、製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)とを含んいる。図1〜6に示すように、上記の溶接プロセスにおいて、下記の工程を含む。
【0043】
上記の製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)を、移動できる下部治具5に設けられている製品の金型に固定して、上記の製品のベース部の外形の位置決めをした。上記の製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)は、固定される上部治具6に挟まれ、上記の製品の透明部材が上記の製品のベース部の上方にあるように、製品の外形の位置決めをした。
【0044】
次に、リフティングシリンダー1により上記の製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)を予定の溶接点のところまで移動させて、上記の製品の透明部材(すなわち透明のワーク13)と上記の製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)とを密着させる。
【0045】
そして、レーザー光源11からのレーザービームが、ライトパイプにより処理されて、上記の製品の透明部材を透過して、製品のベース部(すなわちレーザー光吸収ワーク14)の溶接区に集束して、溶接区を快速的に加熱する。これにより、溶接区は溶融状態になる。それと同時に、上記の溶接用シリンダー3が上記の移動できる下部治具を駆動し、上記の製品のベース部と製品の透明部材とに圧力をかけて、上記の製品のベース部と製品の透明部材とを溶接した。
【0046】
注意しなければいけないのは、上記のレーザーシンクロ溶接装置と上記のレーザーシンクロ溶接プロセスとは、お互いに支持して、同じ、あるいは似ている特徴を有していて、共用できる。
【0047】
上述したように、本発明の上記の実施例のレーザーシンクロ溶接プロセスとレーザーシンクロ溶接装置は、移動できる下部治具と、固定される上部治具とにより、製品の透明部材を製品のベース部と密着させる。そして、レーザー光源からのレーザービームが、ポリカーボネイトあるいはガラスなどの安い材料で作ったライトパイプにより処理されて、溶接光点になるために、上記の製品の透明部材を透過して、製品のベース部の溶接区に照射される。これにより、製品のベース部の溶接区を快速的に均一的に加熱して、溶接区は溶融状態になる。それと同時に、上記の溶接用シリンダー3により、上記の製品のベース部と製品の透明部材とを溶接できるように圧力をかけて、溶接した。溶接する場合、粉末が出なく、かつ出た廃棄端(waste selvage)のサイズとしての高さHと幅Wは、それぞれ以下の式を満足する。すなわち、0<H<0.4mm、0<W<0.4mmであり、溶接の品質は高い。
【0048】
当業者に対しては、以上の説明から、本発明のいろいろの変化と補正は明らかである。そのため、この権利の範囲は本発明の真意と範囲の全部の変化と補正を含むもので、この権利の範囲と等価なあらゆる範囲と内容も本発明の権利の範囲である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6