(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105831
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ポンピング冷媒システムを均等化する方法および装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20170316BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
F25B1/00 101Z
H05K7/20 Q
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-516079(P2010-516079)
(86)(22)【出願日】2008年2月29日
(65)【公表番号】特表2010-533280(P2010-533280A)
(43)【公表日】2010年10月21日
(86)【国際出願番号】US2008055539
(87)【国際公開番号】WO2009009164
(87)【国際公開日】20090115
【審査請求日】2011年2月28日
【審判番号】不服2014-25045(P2014-25045/J1)
【審判請求日】2014年12月5日
(31)【優先権主張番号】60/949,218
(32)【優先日】2007年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/034,477
(32)【優先日】2008年2月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506188585
【氏名又は名称】リーバート・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スピアリング,イアン
【合議体】
【審判長】
鳥居 稔
【審判官】
千壽 哲郎
【審判官】
山崎 勝司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−339476(JP,A)
【文献】
特開2007−514121(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/050104(WO,A1)
【文献】
特開平2−223773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B
H05K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを有する冷媒ループと、
熱源に熱的に結合された、冷媒ループ内に配管された蒸発熱交換器と、
冷媒ループ内に夫々配管された凝縮熱交換器および受液器と、
均等化導管と
を備え、
凝縮熱交換器は、蒸発熱交換器から受けた冷媒を凝縮させ、
受液器は、凝縮熱交換器で凝縮させた冷媒の少なくとも一部を一時的に貯え、かつ貯えられている冷媒をポンプに供給可能に構成され、
均等化導管は、凝縮熱交換器の入口と受液器内の蒸気の空間との間に、当該凝縮熱交換器を迂回するように配管され、蒸発熱交換器を通過した冷媒の一部が凝縮熱交換器を介して間接的に受液器に供給されるとともに、残部が前記均等化導管を通じて直接的に受液器に供給され、さらに、均等化導管は、蒸発熱交換器の出口における冷媒の圧力の低下に対してポンプの入口圧力を維持するように構成されており、
均等化導管が、ポンプの入口圧力を維持するために開閉される調整弁をさらに備える、冷却システム。
【請求項2】
調整弁は、ポンプの入口圧力に応答して開閉される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
調整弁は、凝縮熱交換器の圧力降下に応答して開閉される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
冷媒ループに充分な冷媒が流れて充分に熱源を冷却することを保証するよう、ポンプの速度を制御するように動作可能な制御装置をさらに備え、制御装置は、ポンプがキャビテーションを発生させないことを保証するためにポンプの入口圧力を維持するよう、調整弁を制御するようにさらに動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
調整弁は、熱負荷の低減中に解放され、熱負荷の増加中に閉鎖される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
蒸発熱交換器が、凝縮が発生しないことを保証するように露点よりも上に維持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
熱源がコンピュータ機器であり、蒸発熱交換器がコンピュータ機器用の筐体内に取り付けられた、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
蒸発熱交換器が空気/流体熱交換器であり、凝縮熱交換器が流体/流体熱交換器であり、それらの間に揮発性流体が循環される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
蒸発熱交換器が流体/流体熱交換器であり、凝縮熱交換器が流体/流体熱交換器であり、それらの間に揮発性流体が循環される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
蒸発熱交換器が固体/流体熱交換器であり、凝縮熱交換器が流体/流体熱交換器であり、それらの間に揮発性流体が循環される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記の弁は、圧力調整弁である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
揮発性流体がポンプによって循環され、
蒸発熱交換器は、筐体内のコンピュータ機器から熱を抽出するように前記筐体内に取り付けられ、
システムが、
冷媒ループに充分な冷媒が流れて充分にコンピュータ機器を冷却することを保証するようポンプの速度を制御するように、かつポンプがキャビテーションを発生させないことを保証するために、弁を熱負荷の低減中に解放し、弁を熱負荷の増加中に閉鎖することによって、ポンプの入口圧力を維持するよう、弁を制御するように動作可能である制御装置をさらに備え、
制御装置が、凝縮熱交換器の圧力降下と、ポンプの入口圧力と、ポンプの入口温度と、ポンプの電力消費と、ポンプを通る流量と、ポンプを通る流量に対するポンプの電力消費と、ポンプから発散される音と、ポンプの振動と、ポンプへの入口配管の振動とからなる群から選択される少なくとも1つの入力を使用して、弁を制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記の弁は、ポンプの入口のサブクーリングを維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
均等化導管は、蒸気の全てとは言わないまでも大部分を移送させるように配置された、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
ポンプを有する冷媒ループと、
熱源に熱的に結合された、冷媒ループ内に配管された蒸発熱交換器と、
冷媒ループ内に夫々配管された凝縮熱交換器および受液器と、
均等化導管と
を備え、
凝縮熱交換器は、蒸発熱交換器から受けた冷媒を凝縮させ、
受液器は、凝縮熱交換器で凝縮させた冷媒の少なくとも一部を一時的に貯え、かつ貯えられている冷媒をポンプに供給可能に構成され、
均等化導管は、凝縮熱交換器の入口と受液器内の蒸気の空間との間に、当該凝縮熱交換器を迂回するように配管され、蒸発熱交換器を通過した冷媒の一部が凝縮熱交換器を介して間接的に受液器に供給されるとともに、残部が前記均等化導管を通じて直接的に受液器に供給され、さらに、均等化導管は、蒸発熱交換器の出口における冷媒の圧力の低下に対してポンプの入口圧力を維持するように構成されており、
均等化導管が、ポンプの入口圧力に応答して開閉される調整弁をさらに備える、冷却システム。
【請求項16】
ポンプを有する冷媒ループと、
熱源に熱的に結合された、冷媒ループ内に配管された蒸発熱交換器と、
冷媒ループ内に夫々配管された凝縮熱交換器および受液器と、
均等化導管と
を備え、
凝縮熱交換器は、蒸発熱交換器から受けた冷媒を凝縮させ、
受液器は、凝縮熱交換器で凝縮させた冷媒の少なくとも一部を一時的に貯え、かつ貯えられている冷媒をポンプに供給可能に構成され、
均等化導管は、凝縮熱交換器の入口と受液器内の蒸気の空間との間に、当該凝縮熱交換器を迂回するように配管され、蒸発熱交換器を通過した冷媒の一部が凝縮熱交換器を介して間接的に受液器に供給されるとともに、残部が前記均等化導管を通じて直接的に受液器に供給され、さらに、均等化導管は、蒸発熱交換器の出口における冷媒の圧力の低下に対してポンプの入口圧力を維持するように構成されており、
均等化導管が、凝縮熱交換器の圧力降下に応答して開閉される調整弁をさらに備える、冷却システム。
【請求項17】
ポンプを有する冷媒ループと、
熱源に熱的に結合された、冷媒ループ内に配管された蒸発熱交換器と、
冷媒ループ内に夫々配管された凝縮熱交換器および受液器と、
均等化導管と
を備え、
凝縮熱交換器は、蒸発熱交換器から受けた冷媒を凝縮させ、
受液器は、凝縮熱交換器で凝縮させた冷媒の少なくとも一部を一時的に貯え、かつ貯えられている冷媒をポンプに供給可能に構成され、
均等化導管は、凝縮熱交換器の入口と受液器内の蒸気の空間との間に、当該凝縮熱交換器を迂回するように配管され、蒸発熱交換器を通過した冷媒の一部が凝縮熱交換器を介して間接的に受液器に供給されるとともに、残部が前記均等化導管を通じて直接的に受液器に供給され、さらに、均等化導管は、蒸発熱交換器の出口における冷媒の圧力の低下に対してポンプの入口圧力を維持するように構成されており、
均等化導管が、熱負荷の低減中に解放され、熱負荷の増加中に閉鎖される調整弁をさらに備える、冷却システム。
【請求項18】
ポンプを有する冷媒ループと、
熱源に熱的に結合された、冷媒ループ内に配管された蒸発熱交換器と、
冷媒ループ内に夫々配管された凝縮熱交換器および受液器と、
均等化導管と
を備え、
凝縮熱交換器は、蒸発熱交換器から受けた冷媒を凝縮させ、
受液器は、凝縮熱交換器で凝縮させた冷媒の少なくとも一部を一時的に貯え、かつ貯えられている冷媒をポンプに供給可能に構成され、
均等化導管は、凝縮熱交換器の入口と受液器内の蒸気の空間との間に、当該凝縮熱交換器を迂回するように配管され、蒸発熱交換器を通過した冷媒の一部が凝縮熱交換器を介して間接的に受液器に供給されるとともに、残部が前記均等化導管を通じて直接的に受液器に供給され、さらに、均等化導管は、蒸発熱交換器の出口における冷媒の圧力の低下に対してポンプの入口圧力を維持するように構成されており、
均等化導管が、ポンプの入口圧力を維持するように開閉可能に構成された圧力調整弁をさらに備える、冷却システム。
【請求項19】
ポンプを有する冷媒ループと、
熱源に熱的に結合された、冷媒ループ内に配管された蒸発熱交換器と、
冷媒ループ内に夫々配管された凝縮熱交換器および受液器と、
均等化導管と
を備え、
凝縮熱交換器は、蒸発熱交換器から受けた冷媒を凝縮させ、
受液器は、凝縮熱交換器で凝縮させた冷媒の少なくとも一部を一時的に貯え、かつ貯えられている冷媒をポンプに供給可能に構成され、
均等化導管は、凝縮熱交換器の入口と受液器内の蒸気の空間との間に、当該凝縮熱交換器を迂回するように配管され、蒸発熱交換器を通過した冷媒の一部が凝縮熱交換器を介して間接的に受液器に供給されるとともに、残部が前記均等化導管を通じて直接的に受液器に供給され、さらに、均等化導管は、蒸発熱交換器の出口における冷媒の圧力の低下に対してポンプの入口圧力を維持するように構成されており、
均等化導管が、ポンプの入口のサブクーリングを維持するように構成された弁をさらに備える、冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年7月11出願の米国特許仮出願第60/949,218号の利益を主張し、2008年2月20日出願の米国特許出願第12/034,477号の利益および優先権を主張する。それらの内容の全てが、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般的に冷却システムに関し、より具体的には高密度熱負荷のための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータ室または電気通信室などの重要な空間内の電子機器には、室の温度、湿度、および空気の流れの精確で確実な制御が必要である。過剰な熱または湿度は、コンピュータシステムおよび他の構成要素の動作を損ない、または損傷を与える恐れがある。この理由から、こうした状況に冷却をもたらすように高精度な冷却システムが作動される。しかしながら、直膨式(DX)冷却システムを使用してこのような高密度熱負荷を冷却する際に、問題が起こる場合がある。既存の高密度負荷用DXシステムは、気温および他の変数を監視して、負荷の変化に応答してシステムの冷却能力を制御する。そのため、既存のDXシステムは、かなり高性能の制御装置、温度センサ、および他の制御構成要素を必要とする。さらに、従来のコンピュータ室の空調システムは、高密度熱負荷の管理に過剰な床面積を必要とする。したがって、熱負荷の密度の変化に対応し、弁やシステムの他の構成要素への制御の必要が小さい冷却システムが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で開示および教示される本発明は、改良型ポンピング冷媒システムを対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、ポンプを有する冷媒ループと、熱源に熱的に結合され、ループ内に配管された蒸発熱交換器と、ループ内に配管された凝縮熱交換器および受液器と、凝縮器の入口と受液器との間に配管され、流量調整弁を備える均等化導管とを有する冷却システムを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示のいくつかの教示による冷却システムの一実施形態の概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの教示による冷却システムの他の実施形態の概略図である。
【
図4】通常の蒸気圧縮冷却システムのサイクル線図である。
【
図5】本開示のいくつかの教示による均等化管路を備える
図1に示された実施形態を示す図である。
【
図6】均等化管路内の弁が閉鎖された、冷却システム用の均等化管路の好ましい実施形態を示す図である。
【
図7】弁が開いた、均等化管路の好ましい実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上述の図と以下の特定の構造および機能についての記載の説明とは、出願人が発明したものの範囲または添付請求項の範囲を限定するために提示されるのではない。むしろ、図および記載の説明は、当業者に、特許を求めている発明を作りおよび使用するように教示するためにここに提供される。当業者は、明確にし、理解し易くするために、本発明の商業的実施形態の全ての特徴はここでは述べられず、または示されないことを理解する。同様に当業者は、本発明の態様を組み込んだ実際の商業的実施形態の開発には、開発者の最終的な商業的実施形態の目標を達成するために、実施をする上で多数の個々の決定が必要となることを理解する。このような実施をする上での多数の個々の決定には、以下に限定されないが、システムに関連した制約、ビジネスに関連した制約、政府に関連した制約、および他の制約を順守することを含むが、それらの制約は具体的な実施内容、場所によって、また時間によって変化する場合がある。開発者の努力が絶対的な意味において複雑かつ時間の掛かるものであっても、それにも関わらず、そのような努力は、本開示の利益を有する当業者の日常的な業務と考えられる。本明細書で開示および教示される発明には、多数の様々な修正形態および代替形態を有する余地があることが理解されるべきである。最後に、以下に限定されないが、「a」などの単数を示す用語を使用しても、その項目の数を限定することがここで意図されているわけではない。同様に、関係を示す用語、以下に限定されないが、「頂」、「底」、「左」、「右」、「上」、「下」、「下に」、「上に」、「側」などの用語は、記載の説明において図を個々に参照する際に明確にするために使用されるものであり、本発明または添付請求項の範囲を限定することが意図されているわけではない。
【0008】
本発明の特定の実施形態が、方法のブロック図および/または動作説明図を参照して以下に記述される。ブロック図および/または動作説明図の各ブロックと、ブロック図および/または動作説明図のブロックの組み合わせとがアナログ式および/またはデジタル式のハードウェア、および/またはコンピュータプログラムの命令によって実施することが可能であることが理解される。このようなコンピュータプログラムの命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ASIC、および/または他のプログラム可能なデータ処理システムのプロセッサに与えることができる。命令の実行は、ブロック図および/または動作説明図に明記された作用を実施するための構造および機能を創出する。一部の代替的実施形態では、図面に記された機能/作用/構造は、ブロック図および/または動作説明図に記された順番とは異なる順番で行われてもよい。例えば、連続して行われるように示された2つの動作が、関与する機能性/作用/構造に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよく、またはそれらの動作が逆の順番で実行されてもよい。
【0009】
本明細書に開示される実施形態で使用される、またはそれらによるコンピュータプログラムは、オブジェクト指向のプログラミング言語、通常の手続型プログラミング言語、あるいはアセンブリ言語および/またはマイクロコードなどの下位コードで書かれてもよい。プログラムは、独立型のソフトウェアパッケージとして、または別のソフトウェアパッケージの一部として、完全に単一のプロセッサで、および/または複数のプロセッサによって実行されてもよい。
【0010】
図1および
図2を参照すると、開示の冷却システム10は、第2サイクル14と熱連通した第1冷却サイクル12を含む。開示の冷却システム10は制御システム100も含む。第1サイクル12および第2サイクル14はいずれも独立した作動流体を含む。第1サイクル内の作動流体は、以下に限定されないが、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、またはヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を含む、通常の冷媒として使用するのに適切な任意の揮発性流体である。揮発性作動流体の使用によって、コンピュータ室を冷却するために従来型システムでよく行われているように精密機器の上に配置される水を使用する必要が解消される。第1サイクル12は、1つ以上のポンプ20と、1つ以上の第1熱交換器(蒸発器)30と、第2熱交換器40と、第1サイクル12の様々な構成要素を相互連結する配管とを含む。第1サイクル12は蒸気圧縮冷凍システムではない。その代わりに、第1サイクル12は、圧縮機の代わりにポンプ20を使用して、揮発性作動流体を循環させ、熱を熱負荷から除去する。ポンプ20は、好ましくは揮発性作動流体を第1冷却サイクル12の全体を通してポンピングする能力があり、好ましくは制御システム100によって制御される。
【0011】
第1熱交換器30は空気/流体熱交換器であり、第1作動流体が第1熱交換器30内の第1流路を通過する際に、熱を熱負荷(図示せず)から第1作動流体へと取り除く。例えば、空気/流体熱交換器30は、温風が管の間を通過することができるように構成された、作動流体用の複数の管を含むことが可能である。当該技術分野で知られているいくつかの空気/流体熱交換器を開示の冷却システム10で使用することが可能であることが理解される。蒸発器30内への作動流体の流量を調節するために、配管22と蒸発器30の入口との間に流量調整弁32を連結することができる。流量調整弁32は、冷却システム10内の流量を調整するように電磁弁または他のタイプのデバイスとすることが可能である。流量調整弁32は、好ましくはシステムの動作圧力範囲にわたって入口圧力から独立した一定の出力流量を維持する。
図1および
図2の実施形態では、第1サイクル12は、複数の蒸発器30および流量調整弁32を配管22に連結して含む。しかしながら、開示のシステムは、1つまたは2つ以上の蒸発器30および流量調節弁32を配管22に連結して有することが可能である。さらに、1つ以上の蒸発器は、代替方法として流体/流体熱交換器、さらに流体/固体熱交換器であってもよい。
【0012】
第2熱交換器40は、流体/流体熱交換器であり、熱を第1作動流体から第2サイクル14に伝達する。当該技術分野で知られている多くの流体/流体熱交換器を開示の冷却システム10で使用することが可能であることが理解される。例えば、流体/流体熱交換器40は、第2の流体を含むチャンバまたはシェル内に、1つの流体用の複数の管を配置して含むことができる。同軸(「チューブインチューブ」)交換器も適切である。いくつかの実施形態では、板熱交換器を使用することが好ましい。第1サイクル12は、受液器50をバイパス管路52によって第2熱交換器40の出口配管46に連結して含むことも可能である。受液器50は、第1サイクル12内に作動流体を貯蔵および蓄積して、温度および熱負荷の変化を可能にしてもよい。
【0013】
一実施形態では、空気/流体熱交換器30は、コンピュータ機器を備える室を冷却するために使用することが可能である。例えば、ファン34が、熱交換器30を介して室(熱負荷)から吸気することが可能であり、熱交換器30では第1作動流体が空気から熱を吸収する。他の実施形態では、空気/流体熱交換器30は、熱交換器30を機器上または付近に取り付けることによって、熱を生成する電子機器(熱負荷)から熱を直接除去するように使用することが可能である。例えば、電子機器は一般的に、コンピュータ機器などの筐体(図示せず)内に含まれている。熱交器30は筐体に取り付けることが可能であり、ファン34は筐体から熱交換器30を介して吸気することが可能である。代替方法として、第1熱交換器30は、熱源と直接熱的に接触した状態であってもよく(例えば低温板)、または熱源と直接接触している流体ループを冷却してもよい。開示の冷却システム10の構成要素の伝熱率、寸法、および他の設計変数は、開示の冷却システム10の寸法と、管理されるべき熱負荷の大きさと、個々の実施の他の詳細に依存することが当業者により理解される。
【0014】
図1で示した開示の冷却システム10の実施形態では、第2サイクル14は、冷水サイクル60を第1サイクル12の流体/流体熱交換器40に連結して含む。具体的には、第2熱交換器40は、互いに熱連通した第1部分または流路42と第2部分または流路44を有する。揮発性作動流体用の第1流路42は、第1の熱交換器30とポンプとの間に連結されている。第2流路44は冷水サイクル60に連結されている。冷水サイクル60は、当該技術分野で知られているものと類似のものでもよい。冷水システム60は、流体/流体熱交換器40を通過する第1作動流体から熱を吸収する第2の作動流体を含む。次いで第2作動流体は、従来の冷水サイクルのための当該技術分野で知られている技術で冷却される。一般に、第2作動流体は、揮発性または不揮発性のいずれであることも可能である。例えば、
図1の実施形態では、第2作動流体は、水、グリコール、またはそれらの混合物であることが可能である。したがって、
図1の第1サイクル12の実施形態は、ポンプ20、空気/流体熱交換器30、および流体/流体熱交換器40を収容する独立したユニットとして構築することが可能であり、例えば冷却されるべき機器を収容する建物で使用可能な既存の冷水設備に連結することが可能である。さらに、第1サイクル12全体またはその任意の部分が、熱負荷を含む筐体に収容され、または取り付けられてもよい。
【0015】
図2の開示の冷却システム10の実施形態では、第1サイクル12は上述のものと実質的に同じである。しかしながら、第2サイクル14は、第1サイクル12の熱交換器40の第2部分または流路44に連結された蒸気圧縮冷凍システム70を含む。
図2の冷凍システム70は、
図1の実施形態のように冷水を使用して第1サイクル12から熱を除去する代わりに、流体/流体熱交換器40に直接連結され、またはその「残りの半分」となっている。蒸気圧縮冷凍システム70は、当該技術分野で知られているものと実質的に類似のものであることが可能である。例示的な蒸気圧縮冷凍システム70は、圧縮機74、凝縮器76、および膨張デバイス78を含む。配管72は、これらの構成要素を互いに連結し、かつ熱交換器40の第2流路44に連結する。
【0016】
蒸気圧縮冷凍システム70は、熱を熱交換器40から第2作動流体で吸収し、その熱を環境(図示せず)に放熱することによって、第2の熱交換器40を通過する第1作動流体から熱を除去する。第2作動流体は、揮発性または不揮発性のいずれであることも可能である。例えば、
図2の実施形態では、第2作動流体は、以下に限定されないが、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、またはヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を含む、任意の従来の化学的冷媒であることが可能である。膨張デバイス78は、それを通過する作動流体に圧力降下を生じさせる弁、開口、または当業者に知られている他の装置であることが可能である。圧縮機74は、往復圧縮機、スクロール圧縮機など冷媒設備に適していることが当該技術分野で知られている任意のタイプの圧縮機であることが可能である。
図2で示した実施形態では、冷却システム10は内蔵型である。例えば、蒸気圧縮冷凍システム70は、同様にポンプ20および流体/流体熱交換器30を収容する単一ユニットの一部であることが可能である。
【0017】
開示のシステムの動作中、ポンプ20は配管22を介して作動流体を空気/流体熱交換器30に移動させる。ポンピングによって作動流体の圧力が増加するが、そのエンタルピーは実質的に同じままである。(
図3のサイクル線図の一辺80を参照)。次いで、ポンピングされた作動流体は、第1サイクル12の空気/流体熱交換器または蒸発器30に入ることが可能である。ファン34が熱負荷から熱交換器30を介して吸気することが可能である。熱負荷(図示せず)からの温風が空気/流体熱交換器30に入る際、揮発性作動流体が熱を吸収する。流体が熱交換器を通して温まると、揮発性作動流体の一部が蒸発する。(
図3のサイクル線図の一辺82を参照)。完全に負荷されたシステム10では、第1熱交換器30を出る流体は飽和蒸気であってもよい。第1熱交換器30からの流体は、未だサブクールされている状態から、飽和液体の状態、二相の状態、飽和蒸気の状態、過熱蒸気の状態まで、実質的にどのような状態であってもよい。しかしながら、好ましくは、第1熱交換器30を出る流体は二相または、飽和蒸気のいずれかである。
【0018】
いずれの場合でも、蒸気は、熱交換器30から配管36を通って流体/流体熱交換器40に流れる。配管または戻り管路36内では、作動流体は蒸気状態であり、流体の圧力は降下するが、そのエンタルピーは実質的に一定に保たれる。(
図3のサイクル線図の一辺84を参照)。流体/流体熱交換器40では、第1流路42内の蒸気が、第2流路44の第2サイクル12の第2の比較的冷たい流体に熱が伝達されることによって凝縮される。(
図3のサイクル線図の一辺86を参照)。流体/流体熱交換器40では、第1の流路42内の蒸気が、第2の流路44内の第2のサイクル12の第2の比較的冷たい流体に熱が伝達されることによって凝縮される。(
図3のサイクル線図の一辺86を参照)。凝縮された作動流体は、配管44を介して熱交換器40を出て、ポンプ20に入り、そこから第1サイクル12が繰り返されることが可能である。
【0019】
第2冷却サイクル14は、第1サイクル12と共に動作して、熱を第1作動流体から第2作動流体に吸収し、それを環境(図示せず)に放熱することによって、熱を第1のサイクル12から除去する。上述のように、第2サイクル14は、
図1で示した冷水システム60、または
図2で示した蒸気圧縮冷凍システム70を含むことが可能である。
図1の冷水システム60の動作中、例えば、第2作動流体は熱交換器40の第2流路44を通って流れることが可能であり、貯水塔(図示せず)内で冷却されることが可能である。
図2の冷凍システム70の動作中、例えば、第2作動流体は流体/流体熱交換器40の第2部分44を通過し、第1のサイクル12の揮発性流体から熱を吸収する。作動流体は過程で蒸発する。(
図4で示した通常の蒸気圧縮冷凍サイクルの一辺92を参照)。蒸気は圧縮機74に移動し、そこで作動流体が圧縮される。(
図4の冷凍サイクルの一辺90を参照)。圧縮機74は、往復圧縮機、スクロール圧縮機、または他のタイプの当該技術分野で知られている圧縮機であることが可能である。圧縮後、作動流体は排出管路を通って凝縮器76に移動し、そこで作動流体からの熱が外部のヒートシンク、例えば屋外環境に放散される。(
図4の冷凍サイクルの一辺96を参照)。冷媒は、凝縮器76を出ると、液体管路を通って膨張デバイス75に流れる。冷媒が膨張デバイス75を通過するとき、第2作動流体の圧力が降下する。(
図4の冷凍サイクルの一辺94を参照)。作動流体は、膨張デバイス75を出ると、流体/流体熱交換器40の第2流路を通って流れる。熱交換器40は冷凍サイクル70用の蒸発器として働く。
【0020】
コンピュータ室などのための従来の冷却システムは、貴重な床面積を占めるものである。しかしながら、本発明の冷却システム10は、貴重な床面積を占めることなく高密度熱負荷を冷却することが可能である。さらに冷却システム10は、コンピュータ室など高密度負荷に対する従来のタイプの冷却方法と比較して、揮発性流体のポンピングに必要とされるエネルギが、水など不揮発性流体のポンピングに必要なエネルギよりも少ないため、エネルギを節約する。また、揮発性流体のポンピングは、必要とされるポンプの寸法、ならびにシステム構成要素を相互連結する配管全体の大きさおよびコストを減少させる。
【0021】
開示のシステム10は、揮発性流体の相変化を有利に使用して、空間または室の平方フィートあたりの冷却能力を増大する。さらに、開示の冷却システム10では、コンピュータ機器の上に取り付けられる冷却機器の水も不要である。水は漏れた場合にコンピュータ機器に損傷を与える危険性がある。さらに、システムは顕熱だけを除去するように設計されているため、凝縮物を除去する必要が解消される。当該技術分野で知られているように、空気を低温に冷却することによって相対的湿度が上がるが、これは凝縮が起こり易くなることを意味する。例えば、蒸発器が電子機器の筐体上に取り付けられている場合、筐体内で凝縮が起こる場合があり、それによって電子機器に重大な危険性がもたらされる。本発明のシステムでは、機器を取り巻く環境の温度が露点よりも高く維持されて、凝縮が起こらないことが保証される。開示の冷却システムは、潜熱冷却を行わないため、システムの全冷却能力がコンピュータ機器の冷却に使用される。
【0022】
開示の冷却システム10は、従来の直膨システムに必要とされる複雑な制御なしで、変化する熱負荷に対処することが可能である。システムは、ポンプ20がシステムに揮発性流体の一定流量を提供する点で自己制御性である。流量調整弁32は、各熱交換器30への最大流量を制限するように動作する。この作用は、各熱交換器30が概ね同じ流量を得るように、各熱交換器30への流量のバランスをとる。ある熱交換器が「高い」負荷下にある場合、より低い負荷下にある熱交換器よりも高い割合で揮発性流体がフラッシュオフする傾向がある。流量調整弁32が存在しないと、より多くの流量が「より低い」負荷の熱交換器に流れる傾向がある。なぜならそれはより冷たいスポットであり、流体圧力降下がより小さいからである。この作用は、高負荷下の熱交換器を「欠乏状態」にする傾向があり、負荷が適切に冷却されない。
【0023】
顕熱冷却全体の維持に使用される重要なシステム制御パラメータは、制御されるべき空間の露点である。開示の冷却システム10は、冷水または蒸気圧縮システムのいずれかを制御して、上述の熱交換器30に流れる流体が、制御されるべき空間内で常に露点を超えているようにする。露点より上にあることによって、潜熱冷却が起こり得ないことが保証される。
【0024】
図1および
図2で示したものなどの冷却システムでは、熱負荷の低減時に過渡的な効果が起こる場合がある。ポンピングされた冷媒(システム)の圧力は、熱交換器40を制御する冷水弁が低減した負荷の条件に適合することが可能となるまで、降下する。熱負荷が降下すると、システム圧力が降下し、次いでポンプ20の入口における冷媒の温度が低下する。
図1の制御装置100などの制御システムが、熱交換器40によってもたらされる冷却を軽減させることによって(冷水弁を閉鎖するなどによって)、冷媒温度の低下に応答することができる。この過渡期の間、冷媒(例えばR134a)を循環させているポンプ20はキャビテーションを起こす場合がある。なぜならポンプに入る流体は、最初は、熱負荷が低下する前と同じ温度を有するが、システム圧力の降下のためにより低い圧力にあるからである。
【0025】
これらの要因によって、ポンピング冷媒のサブクーリングが低減し、これによって、ポンプ20の入口の有効吸込ヘッド(NPSHa)が低減する。ポンプの特定の動作点において、NPSHaが必要有効吸込ヘッド(NPSHr)よりも小さい場合、ポンプはキャビテーションを発生させる傾向を有することになる。これによって、流量出力の僅かな低下から流量の完全喪失まで、いかなることも発生する可能性が生じる。
【0026】
これらの問題に取り組むために、熱交換器40の戻り管路36の高圧力の蒸気が、ポンプ20の入口管路内のシステム圧力を上昇させて、ポンプのNPSHaを増大させることを可能にするように、均等化管路(イコライゼーションライン)を適合させることができる。さらに、均等化管路は、熱交換器40の圧力降下を軽減することができる。これによって熱交換器40内の流体の移動が遅くなり、流体の残留時間が長くなり、凝縮液体から移送される熱量が増加し、熱交換器40からより冷たい流体が出て、ポンプ20へのNPSHaが再度増大される。
【0027】
例えば、
図1に戻ると、ポンピング冷媒の戻り管路36は凝縮熱交換器40の中に、そして凝縮器40から受液器50に配管されており、凝縮器からポンプへのバイパス管路51を有している。ポンプ20と受液器50入口のへのバイパスの分岐点での管の上昇および経路設定によって、冷媒流れの大部分は一般的にはバイパス51を通過する。流れの一部分はまた抜口または充填管54を通って受液器50に入る。熱負荷が増加すると、戻り冷媒の量がポンプ20の引き込みを超過し、そのため、受液器50は、受液器50の頂部からパイプ54を介して充填することによって、またはバイパス管路51の連結を介して受液器50の底部内に浸出させることによって、または両方によって冷媒を受け取る。
【0028】
この構成では、受液器50は、凝縮器40から出る蒸気と、凝縮器40が受液器50から管54を通して蒸気を引き込む傾向と、受液タンク50内外への熱漏れとに基づいた圧力をとる。
【0029】
受液タンク50のまわりのバイパス51は最も主冷媒流れを得る可能性が高く、受液器50は一般的にバイパス管路51内よりも僅かに温かい冷媒を含むことから、受液器50はバイパス管路51内の液体の圧力よりも僅かに高い圧力を維持する傾向にある。
【0030】
受液器50の平均圧力および温度を、今回は冷媒戻り管路36から受液器50にかけて別のバイパスまたは均等化管路を加えることによって、上昇させることが提案される。管路は、蒸気の全てとは言わないまでも大部分を移送させて、この蒸気を受液器50内の蒸気の空間に入らせるように配置されてもよく、および好ましくは配置される。これは、受液タンク50内の蒸気の平均圧力を上昇させる効果、したがって、含まれているサブクーリングされた液体への蒸気の熱伝達率に依存して、ポンプ20に対するサブクーリングを増大する効果を有する。さらに、均等化管路は凝縮器40を通る液体の移動を遅らせ、凝縮器40内の液体レベルを上昇させ、凝縮器40で得られる圧力降下を低減し、したがってポンプ20のNPSHaを増大する。
【0031】
図5で示されているように、
図1に関して説明したような冷却システム10は、均等化管路500によって適合されてもよい。管路500は、ある動作点で流れのいくらかのインピーダンスを伴うように寸法決めされ、またはオン/オフ弁を備えて寸法決めされてもよく、あるいは可変流れインピーダンスを作り出す手動弁を備える管路であってもよく、あるいは電子的、空気圧的、または機械的に制御される可変流れインピーダンスを備える弁を備える管路であってもよい。管路500は、凝縮熱交換器40の入口と(例えば熱負荷からの冷媒の戻り管路になるように)凝縮熱交換器40の出口46と(例えば冷媒循環ポンプへの凝縮液体の供給路になるように)の間に配管されている。代替方法として、管路500は、凝縮熱交換器の入口とシステムの液体受液器50の蒸気空間の入口との間に配管または配置されてもよい(例えば冷媒巡回ポンプに供給を行う凝縮液体の貯留部となるように)。弁502を備える、または備えない管路500の正味インピーダンスは、システム全体が冷却能力を最大化し、システムポンプ20の必要NPSHaを維持して、負荷の過渡的変化中も含み常に信頼できる動作が行われることを保証するように選択される(設計中に静的に、またはシステムの動作中に動的に)。
【0032】
電子的、空気的、または機械的に制御される弁502に対しては、弁の位置を設定するように制御装置100などのシステムからの制御信号が使用される。一般的に、システムの熱負荷の低減中に弁を開放することは、システム圧力およびNPSHaが低減する傾向に対抗する助けとなり、一般的に、システムの熱負荷の上昇中に弁を閉鎖することは、システム圧力およびNPSHaが増加する傾向に対抗する助けとなる。弁は、好ましくはシステムポンプのNPSHrに一致する最適点において、同時に、所与の排出冷媒温度におけるシステムの冷却能力を、弁を閉鎖/解放することによって、ポンプ入口におけるNPSHaがNPSHrと等しいまたはNPSHrを僅かに超過する点まで最大化する、最適点に配置される。したがって、制御装置100は、ポンプ20の速度とポンプ20の有効吸込ヘッド(NPSHa)との両方を制御する。したがって、制御装置100は、凝縮熱交換器40の圧力降下および/またはポンプ20の入口圧力を監視してもよい。代替方法として、または追加として、制御装置100は、ポンプ20の入口温度、測定流れに対するポンプ20の電力消費、ポンプ20内またはポンプ20の入口管路内のキャビテーション、部分的キャビテーション、またはキャビテーションのないことを示す音および/または振動、あるいはNPSHaおよび/またはキャビテーションに関係する任意の適切な変数などの、ポンプ20に関係する任意の他の関連変数の組み合わせを監視してもよい。
【0033】
本発明は、ポンピング冷媒システムから得られるサブクーリングを増大させる手段を可能にし、これによってシステムのポンプのNPSHaが増大し、熱負荷が小さい間および/または過渡負荷が低減している間のポンプの信頼性および性能が向上する。弁の位置を、最初に、または動作中に調整することによって、熱交換器から排出される冷媒のサブクーリングを調整および/または最適化することが可能であって、これによって熱負荷が小さい間および/または過渡負荷が変化している間のポンプの信頼性を最大にすると同時に最小限のサブクーリングを維持し、熱交換器とポンピング冷媒システムとの全体の冷却能力が損なわれないようにする。
【0034】
図6および
図7は、ボール弁などのオン/オフ弁602、および/またはシュレーダ弁604、および/または上述のものなどの手動もしくは自動調整弁606、および/または点検窓608、および/またはボール弁などの別のオン/オフ弁610を備える均等化管路600の好ましい形態を示している。ボール弁602、610は均等化管路600の隔離を可能にする。それらはシュレーダ弁604と共に、調整弁606の構成、維持、および/または交換のために均等化管路600が排気されることを可能にする。点検窓608は、均等化管路600を通る流れを目で確認できるようにする。したがって、好ましい実施形態では、均等化管路600内で唯一必要な構成要素は、調整弁606である。しかしながら、一部の実施形態では、均等化管路600自体を綿密に寸法決めすることによって調整弁606が必要なくなる場合がある。
【0035】
ここに示されているように、管路600は凝縮熱交換器612の入口と受液器614の入口との間に配管されている。いくつかの実施形態では、凝縮器612の圧力降下を監視することが可能であり、均等化管路600を通る流れを調整するために、情報を使用することが可能である。代替方法として、ポンプ616の入口圧力、ポンプ616の入口の流体乱流、または他のポンプのパラメータが監視されてもよく、均等化管路600を通る冷媒の流れを制御するために情報が使用されてもよい。
【0036】
図6および
図7はまた、システム10の選択構成要素の好ましい位置関係を示している。具体的には、凝縮器621は好ましくは受液器614の上に配置され、好ましくは受液器614はポンプ616の上に配置される。
図6は、調整弁606が実質的に完全に閉鎖されているとき、受液器614内とバイパス管路51内の典型的な流体レベルが概ね等しいことを示している。これは、受液器614とバイパス管路51の両方が、実質的に同じ圧力、即ち凝縮器612の出口の圧力を受けているという事実による。しかしながら、
図7が示しているように、調整弁606が実質的に完全に開いていると、受液器614内の典型的な流体レベルは、バイパス管路51内の流体レベルよりも極めて低くなることが予想される。これは、受液器614が均等化管路600から凝縮器612の入口の圧力を受けることによる。本明細書で述べられたレベルまたはレベルの差異は、調整弁606がどの程度まで解放されているか、または閉鎖されているか、ならびにシステム全体の圧力および温度、冷媒など、他の要因に依存して変化することが予想されることに留意されたい。
【0037】
以下に提示されているのは、本明細書で述べられた均等化管路を利用した、冷水式ポンピング冷媒冷却システムから得られた検査結果である。
【表1】
【0038】
上述の本発明の1つ以上の態様を使用した他のさらなる実施形態も、本出願人の発明の精神から逸脱せずに考案されることが可能である。単数要素についての考察は複数要素を含むことが可能であり、その逆も同様である。
【0039】
他に特に限定されない限り、ステップの順序は多様なシーケンスで起こることが可能である。本明細書で述べられた様々なステップは他のステップと組み合わされ、規定のステップの間に差し挟まれ、および/または多数のステップに分割されることが可能である。同様に、以上では要素が機能的に述べられており、別々の構成要素として具体化されることが可能であり、または多数の機能を有した構成要素の中に組み合わされることが可能である。
【0040】
本発明は好ましい実施形態および他の実施形態に即して以上に述べられており、本発明の全ての実施形態が以上に述べられているわけではない。ここに述べられた実施形態に対する自明の修正形態および代替形態を当業者は得ることができる。開示の実施形態および開示されてない実施形態は、本出願人によって着想された本発明の範囲または適用性を限定または制限することを目的としていない。そうではなく、本出願人は、特許法に則って以下の請求項の等価物の範囲内に入る全てのこのような修正形態および改良物を完全に保護する意向である。