特許第6105870号(P6105870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6105870非イオン界面活性剤組成物、その製造方法、ならびにこれを用いた化粧料及び外用剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105870
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】非イオン界面活性剤組成物、その製造方法、ならびにこれを用いた化粧料及び外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20170316BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20170316BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20170316BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170316BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20170316BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170316BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A61K8/39
   C11D1/74
   A61Q1/14
   A61Q19/10
   A61Q19/08
   A61Q19/00
   A61Q5/02
   A61K8/86
【請求項の数】5
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-153381(P2012-153381)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-15416(P2014-15416A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591236367
【氏名又は名称】日本エマルジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 雄一
(72)【発明者】
【氏名】宮川 雄太
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−179233(JP,A)
【文献】 特開2003−081752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示す一般式(I)の構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する非イオン界面活性剤組成物。
【化1】

(但し、式中、R,R’のうち少なくとも一方は、C5〜23のカルボン酸残基であり、一方がC5〜23のカルボン酸残基である場合には残りはHであり、(AO),(AO’)はC3〜4のアルキレンオキシド、(EO),(EO’)はC2のエチレンオキシドを示す。また、a+b=0〜10、c+d=2〜100の整数である。)
【請求項2】
以下に示す一般式(I)の構造を有する化合物の製造方法であって、ポリオキシアルキレン1,3−ブチレングリコールエーテル(アルキレンの炭素数C2〜4)の末端のヒドロキシル基をC5〜23のカルボン酸とエステル化反応することを特徴とする製造方法。
【化2】

(但し、式中、R,R’ のうち少なくとも一方は、C5〜23のカルボン酸残基であり、一方がC5〜23のカルボン酸残基である場合には残りはHであり、(AO),(AO’)はC3〜4のアルキレンオキシド、(EO),(EO’)はC2のエチレンオキシドを示す。また、a+b=0〜10、c+d=2〜100の整数である。)
【請求項3】
以下に示す一般式(I)の構造を有する化合物の製造方法であって、1,3−ブチレングリコールカルボン酸エステル化合物(カルボン酸の炭素数C5〜23)にC2〜4のアルキレンオキシドを付加することを特徴とする製造方法。
【化3】

(但し、式中、R,R’ のうち少なくとも一方は、C5〜23のカルボン酸残基であり、一方がC5〜23のカルボン酸残基である場合には残りはHであり、(AO),(AO’)はC3〜4のアルキレンオキシド、(EO),(EO’)はC2のエチレンオキシドを示す。また、a+b=0〜10、c+d=2〜100の整数である。)
【請求項4】
請求項1に記載された構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも一種の非イオン界面活性剤組成物を含有する化粧料。
【請求項5】
請求項1に記載された構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも一種の非イオン界面活性剤組成物を含有する外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキレンオキシドを付加したブチレングリコールエーテルとカルボン酸とのエステル化合物を含有する非イオン界面活性剤を含む化粧料及び外用剤に関する。より具体的には、安全性、安定性、保湿性能に優れたブチレングリコールにアルキレンオキシドを付加したブチレングリコールエーテルとカルボン酸とのエステル化合物を含有する非イオン界面活性剤及びこの非イオン界面活性剤を含有する安全性、安定性、使用感に優れた化粧料及び外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリオキシアルキレン多価アルコールエーテルと高級脂肪酸とのエステルを含有する非イオン界面活性剤が化粧料、外用剤に使用されている。例えば、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリンや(カプリル/カプリン酸)ポリオキシエチレングリセリン等がメーク落とし用途(特許文献1,2)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン等がマッサージ用途(特許文献3)などの化粧料、外用剤に用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−194249
【特許文献2】特開2010−070521
【特許文献3】特開2005−053822
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの非イオン界面活性剤は、化粧料、外用剤の原料として、安全性、安定性、使用感等の面で必ずしも十分満足できるものではなく、例えば濡れた手でも使用可能なメーク落とし用途の化粧料、外用剤に配合する場合、非イオン界面活性剤には、油中へ水を可溶化できる性能を持ち、メーク汚れとの馴染みに優れること、洗浄後の使用感に優れることなどが求められるが、これらを両立できる非イオン界面活性剤は見い出されていなかった。したがって、更に安全性、安定性、使用感、顔料分散性、可溶化性能や臭い等にも優れ、また、高極性化合物でありながらも油性成分と馴染みの良い原料が望まれていた。本発明者らは前記課題を達成すべく鋭意検討を実施した結果、ブチレングリコールにポリオキシアルキレンオキシド(C2〜4)を付加した化合物の末端のヒドロキシル基をC5〜23のカルボン酸とエステル化して得られる新たな誘導体を含有する非イオン界面活性剤が、化粧料、外用剤の原料として安全性、安定性、使用感等に優れていることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ブチレングリコールにポリオキシアルキレンオキシド(C2〜4)を付加した化合物の末端のヒドロキシル基をC5〜23のカルボン酸とエステル化して得られる新たな誘導体を含有する非イオン界面活性剤を提供する。本発明はさらに、この非イオン界面活性剤を含有する安全性、安定性、使用感等に優れた化粧料、外用剤を提供する。なお、本明細書では、「C2」と記載した場合、『炭素数2』を意味し、「C2〜4」と記載した場合、『炭素数2から炭素数4』を意味し、また、「C3〜4」と記載した場合、『炭素数3から炭素数4』を意味し、さらに、「C5〜23」と記載した場合、『炭素数5から炭素数23』を意味するものであり、以下同様である。
【0006】
(1)以下に示す一般式(I)の構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する非イオン界面活性剤組成物である。
【化1】
(但し、式中、R,R’のうち少なくとも一方、C5〜23のカルボン酸残基であり、一方がC5〜23のカルボン酸残基である場合には残りはHであり、(AO),(AO’)はC3〜4のアルキレンオキシド、(EO),(EO’)はC2のエチレンオキシドを示す。また、a+b=0〜10、c+d=2〜100の整数である。)
【0007】
(2)以下に示す一般式(I)の構造を有する化合物の製造方法であって、ポリオキシアルキレン1,3−ブチレングリコールエーテル(アルキレンの炭素数C2〜4)の末端のヒドロキシル基をC5〜23のカルボン酸とエステル化反応する製造方法である。
【化2】

(但し、式中、R,R’ のうち少なくとも一方は、C5〜23のカルボン酸残基であり、一方がC5〜23のカルボン酸残基である場合には残りはHであり、(AO),(AO’)はC3〜4のアルキレンオキシド、(EO),(EO’)はC2のエチレンオキシドを示す。また、a+b=0〜10、c+d=2〜100の整数である。)
【0008】
(3)以下に示す一般式(I)の構造を有する化合物の製造方法であって、1,3−ブチレングリコールカルボン酸エステル化合物(カルボン酸の炭素数C5〜23)にC2〜4のアルキレンオキシドを付加する製造方法である。
【化3】

(但し、式中、R,R’ のうち少なくとも一方は、C5〜23のカルボン酸残基であり、一方がC5〜23のカルボン酸残基である場合には残りはHであり、(AO),(AO’)はC3〜4のアルキレンオキシド、(EO),(EO’)はC2のエチレンオキシドを示す。また、a+b=0〜10、c+d=2〜100の整数である。)
【0009】
(4)上記(1)に記載の化合物からなる群から選択される少なくとも1種からなる非イオン界面活性剤組成物を含有する化粧料である。
【0010】
(5)上記(1)に記載の化合物からなる群から選択される少なくとも1種からなる非イオン界面活性剤組成物を含有する外用剤である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係わるポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも1種からなる非イオン界面活性剤組成物は、従来の非イオン界面活性剤に比べ、乳化安定性や可溶化性能に優れる。
【0012】
本発明に係わるポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも1種からなる非イオン界面活性剤組成物を有効成分として含有する化粧料及び外用剤は安定性に優れ、更に官能面や製品性状において優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示される構造を有するポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物は、モノエステル〜ジエステルそれぞれの単一物、或いは混合物を示す。混合物であるときの組成割合は特に限定されない。
【0015】
本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示される構造を有するポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物に使用されるブチレングリコールとは、一般に、アセトアルデヒドをアルドール縮合させてアセトアルドール類を得た後、接触還元することで得られる既知の2価アルコールである。本実施の化合物については、その合成法は特に限定されない。
【0016】
本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示される構造を有するポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物に使用されるポリオキシアルキレンブチレングリコールとは、既知の2価アルコールに炭素数C2〜4のアルキレンオキシドを付加重合したものとする。
【0017】
アルキレンオキシドには、炭素数C2〜4のものであれば、特に限定されないが、好ましくは炭素数C2である。本発明に用いられるアルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等がある。
【0018】
また、上記一般式(I)の式中の(AO),(AO’)、(EO),(EO’)で示されるアルキレンオキシドを複数種付加する場合の形態は、ランダム状でもブロック状でも構わないが、好ましくはブロック状であり、その場合、C3及びC4のアルキレンオキシドのどちらか一方又は両方を先に付加した後、エチレンオキシドを付加するのが望ましい。
【0019】
本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示されるポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物に使用される炭素数C5〜23のカルボン酸は、通常、化粧料等に使用されているものであればいずれのものも使用できる。具体的に示すと、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの直鎖飽和脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸などの直鎖不飽和脂肪酸、2−エチルヘキサン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸などの分岐鎖飽和脂肪酸、ピログルタミン酸、ニコチン酸などの環含有脂肪酸等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用する。本発明においては、化合物の性状に優れることにより、イソステアリン酸が特に好ましく用いられる。
【0020】
本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示されるポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物は、例えば、ポリオキシエチレンブチレングリコールエーテルとイソステアリン酸とのエステル化により得られる。
【0021】
また、本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示されるポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物は、オキシアルキレンの付加反応とエステル化反応の順は特に限定されない。詳細には、ブチレングリコールと炭素数C5〜23のカルボン酸とのエステル化合物を合成した後、アルキレンオキシドを付加する方法においても同様の非イオン界面活性剤組成物を得ることができる。
【0022】
エステル化反応については一般的に用いられる方法で実施される。例えば、触媒として硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、フッ素等を用い、溶剤として、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて50〜200℃で行うことができる。或いは無触媒、無溶剤で100〜250℃で行うことができる。
【0023】
本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示されるポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物は、その原料や反応条件を適切に選択することにより、粘度、状態(固形、軟ワックス、液体等)、IOB等を任意に調整することができ、使用感、安定性等に優れた化粧料及び外用剤を提供することができる。
【0024】
当該化合物は、例えば次のようにして製造することができる。1,3−ブチレングリコールを反応容器に仕込んだ後、窒素を流入しながら攪拌し、昇温させる。好適には、80℃付近まで加温したところで触媒として、例えば水酸化カリウムを仕込み量の0.5質量%加入して更に加温する。反応温度160℃付近でエチレンオキシドを付加反応させた後、例えば、50%クエン酸水溶液で中和する。続いて、得られたポリオキシエチレンブチレングリコールエーテルとイソステアリン酸とを仕込み、好適には、触媒として、例えばパラトルエンスルホン酸を仕込み量の0.5質量%加入し、窒素を流入しながら温度、例えば150℃で反応させる。反応後、中和、脱水、精製、プレコート濾過して当該化合物を得る。
【0025】
本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示す構造を有するポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物は、化粧料及び外用剤用の非イオン界面活性剤として使用される。即ち、本発明の化合物は、クレンジングオイル、クレンジングリキッド、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジング乳液、クレンジングジェル、マッサージクリーム、マッサージ乳液、エモリエントクリーム、エモリエント乳液、モイスチャークリーム、モイスチャー乳液、ハンドクリーム、ハンド乳液、クリームファンデーション、リキッドファンデーション、ケーキファンデーション、プレスパウダー、モイスチャー化粧水、ピールオフパック、泥パック、口紅、アイシャドー、チック、ヘアリキッド、ヘアポマード、ヘアクリーム、ヘアローション、ヘアムース、セットローション、ヘアワックス、ヘアシャンプー、リンスインシャンプー、ボディシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、固形洗剤、液体洗剤、制汗剤、アフターシェイビングクリーム、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼け止めオイル、育毛剤、養毛剤、浴用剤、外用医薬組成物等の化粧料や外用剤の調整に際して非イオン界面活性剤として用いることができる。化粧料及び外用剤の剤形には特別の制限がなく、乳化系、溶液系、可溶化系、ゲル系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等のどのような剤形であっても構わない。
【0026】
化粧料及び外用剤への本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示す構造を有するポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物の配合量は特に限定されないが、化粧料又は外用剤の全量に対して、0.1〜80質量%が好ましく、1〜60質量%が更に好ましい。
【0027】
本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示す構造を有するポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を配合した化粧料及び外用剤には、油相成分として、流動パラフィン、固形パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、ポリイソブテン等の石油及び鉱物由来の原料、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ホホバ油、鯨ロウ、蜜ロウ等の合成ロウ及び動植物ロウ、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、ゴマ油、カカオ油、ミンク油、木ロウ、キャンデリラロウ、トリオクタン酸グリセリン、トリ(カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸)グリセリン等の合成及び動植物油脂、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコール等の合成及び動植物由来の高級アルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸等の合成及び動植物由来の高級脂肪酸、ピロリドンカルボン酸オクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジセチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ミリストイルメチルアミノプロピオン酸へキシルデシル、ラウロイルサルコシンヘキシルデシル等の合成及び動植物由来のアミノ酸油相原料、メチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン、ポリ(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、アミノ酸変性ポリシロキサンなどのシリコーンポリマー等のシリコーン類、樹脂酸、エステル、ケトンなどの油性成分として通常用いられているものであれば、本発明のブチレングリコール誘導体の効果を損なわない範囲において任意に併用することができる。
【0028】
また、本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示す構造を有するポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を配合した化粧料及び外用剤には、界面活性剤として、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩やN−長鎖アシル中性アミノ酸塩などのN−長鎖アシルアミノ酸塩、N−長鎖脂肪酸アシル−N−メチルタウリン塩、アルキルサルフェート及びアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、脂肪酸の金属塩及び弱塩基、スルホコハク酸系界面活性剤、アルキルフォスフェート及びそのアルキレンオキシド付加物、アルキルエーテルカルボン酸等のアニオン界面活性剤、高級アルコール及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型非イオン界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステルそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型非イオン界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、N−長鎖アシルペプチドポリグリセリン、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油イソステアリン酸ピログルタミン酸ジエステル及びそのエチレンオキシド付加物、ならびに脂肪酸アルカノールアミドなどの含窒素型の非イオン界面活性剤、アルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライドなどの脂肪族アミン塩、それらの4級アンモニウム塩、ベンザルコニウムなどの芳香族4級アンモニウム塩、脂肪酸アシルアルギニンエステル等のカチオン界面活性剤、並びにカルボキシベタインなどのベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸型界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、等の各種の界面活性剤を、本発明のブチレングリコール誘導体の効果を損なわない範囲において任意に併用することができる。
【0029】
さらにまた、本実施の形態において用いられる上記一般式(I)に示す構造を有するポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を配合した化粧料及び外用剤には、水相成分の保湿剤として、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ロイシン、バリンなどのアミノ酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトールなどの多価アルコール類、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸を含むポリアミノ酸及びその塩、ポリエチレングリコール、アラビヤゴム類、アルギン酸塩、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、キチン、水溶性キチン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム、ポリビニルピロリドン誘導体、四級アンモニウム、カチオン化プロテイン、コラーゲン分解物及びその誘導体、アシル化タンパク、ポリグリセリン、アミノ酸ポリグリセリンエステル、などの水溶性高分子、マンニトールなどの糖アルコール及びそのアルキレンオキシド付加体、並びに、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール等を配合することができる。
【0030】
防腐剤としては、フェノール類、安息香酸及びその塩、ハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、四級アンモニウム塩類を配合することができる。殺菌剤として、トリクロロカルバニル、ジンクピリジオン、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヒノキチオール、フェノール、イソプロピルフェノール、感光素類等を配合することができる。キレート剤として、エデト酸塩、シュウ酸ナトリウム等を配合することができる。pH調整剤として、クエン酸、コハク酸、塩酸、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア水、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム等を配合することができる。紫外線防止剤として、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体、サルチル酸誘導体、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、アントラニル酸メチル、ルチン及びその誘導体を配合することができる。美白剤として、コウジ酸、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、グルタチオン、エラグ酸、プラセンタエキス、オリザノール、ルシノール等を配合することができる。
【0031】
さらに、本発明の化粧料及び外用剤には目的とする化粧料、外用剤に応じた成分を配合することができる。かかる成分としては、例えば香料、色素、パール化剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗真菌剤、育毛剤、発汗防止剤、ビタミン剤、ホルモン剤、粘度調整剤、生薬などを例示することができる。
【0032】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
実施例1:ポリオキシエチレン(5モル)ブチレングリコールの合成;
1,3−ブチレングリコール445gを仕込み、攪拌し窒素を流入しながら温度を上げる。80℃まで上げたら、水酸化カリウム2.2gを入れ、温度を130℃まで上昇させてエチレンオキサイド付加を開始し、反応温度160℃で反応させる。反応時間2時間で1086gのエチレンオキサイドを付加したら、水冷し、110〜120℃、50%クエン酸水溶液で中和、濾過して目的の化合物1479g(収率96.6%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=5、R=H、R’=Hであるポリオキシエチレン(5モル)1,3−ブチレングリコールエーテルを得た。
【0034】
この生成物の分析の結果、水酸基価366.18、IOB=1.66の化合物であった。
【0035】
本化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3434.40cm−1(水酸基)、波長1116.83cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0036】
実施例2:モノカプリル酸ポリオキシエチレン(5モル)ブチレングリコールの合成;
実施例1で得られたポリオキシエチレン(5モル)1,3−ブチレングリコール422.8g、カプリル酸277.2gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で6時間30分エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤を658g(収率94%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=5、R=カプリル酸残基、R’=Hであるモノカプリル酸ポリオキシエチレン(5モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0037】
この生成物の分析の結果、酸価4.4、水酸基価71.76、ケン化価161.77、IOB=0.97の化合物であった。
【0038】
本化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3489.38cm−1(水酸基)、波長1736.97cm−1(エステル)、1111.05cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0039】
実施例3:モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(8モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(8モル)1,3−ブチレングリコール556.2g、イソステアリン酸343.8gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で7時間30分エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤828.8g(収率92.1%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=8、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(8モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0040】
この生成物の分析の結果、酸価1.35、水酸基価83.69、ケン化価75.24、IOB=0.87の化合物であった。
【0041】
本化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3481.16cm−1(水酸基)、波長1736.97cm−1(エステル)、1114.90cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0042】
実施例4:モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(9モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(9モル)1,3−ブチレングリコール769.2g、イソステアリン酸430.8gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で8時間エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤1106.3g(収率92.2%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=9、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(9モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0043】
この生成物の分析の結果、酸価3.48、水酸基価84.97、ケン化価73.59、IOB=0.92の化合物であった。
【0044】
本化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3480.7cm−1(水酸基)、波長1737.94cm−1(エステル)、1114.90cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0045】
実施例5:モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(10モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(10モル)1,3−ブチレングリコール781.2g、イソステアリン酸418.8gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で8時間エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤1102.7g(収率91.9%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=10、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(10モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0046】
この生成物の分析の結果、酸価2.29、水酸基価53.9、ケン化価70.22、IOB=0.96の化合物であった。
【0047】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3489.38cm−1(水酸基)、波長1736.01cm−1(エステル)、1114.90cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0048】
実施例6:モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(11モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(11モル)1,3−ブチレングリコール781.2g、イソステアリン酸418.8gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で8時間エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤1117.3g(収率93.1%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=11、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(11モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0049】
この生成物の分析の結果、酸価3.81、水酸基価81.15、ケン化価61.12、IOB=1.01の化合物であった。
【0050】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3483.59cm−1(水酸基)、波長1736.01cm−1(エステル)、1114.90cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0051】
実施例7:モノイソステアリン酸ブチレングリコールの合成;
1,3−ブチレングリコール264g、イソステアリン酸836gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で6時間エステル化反応を行い、目的のエステル化合物を951.5g(収率86.5%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=0、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0052】
この生成物の分析の結果、酸価3.99、水酸基価89.09、ケン化価163.16、IOB=0.37の化合物であった。
【0053】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3463.34cm−1(水酸基)、1738.90cm−1(エステル)、1175.66cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0054】
実施例8:ポリオキシエチレン(10モル)イソステアリン酸ブチレングリコールの合成;
実施例7で得られたモノイソステアリン酸1,3−ブチレングリコールエステル400gを仕込み、攪拌し窒素を流入しながら温度を上げる。80℃まで上げたら水酸化カリウム2gを入れ、温度を130℃まで上昇させたら、エチレンオキサイド付加を開始し、反応温度160〜165℃で反応させる。反応時間7時間で468gのエチレンオキサイドを付加したら、水冷し、110〜120℃、50%クエン酸水溶液で中和した。珪藻土を用いプレコート濾過して本発明の非イオン界面活性剤804g(収率92.6%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=10、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるポリオキシエチレン(10モル)イソステアリン酸1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0055】
この生成物の分析の結果、酸価0.66、水酸基価54.89、ケン化価80.48、IOB=0.96の化合物であった。
【0056】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3481.66cm−1(水酸基)、波長1736.97cm−1(エステル)、1114.90cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0057】
実施例9:モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(20モル)1,3−ブチレングリコール702g、イソステアリン酸198gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で4時間30分エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤802.3g(収率89.1%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=20、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0058】
この生成物の分析の結果、酸価1.13、水酸基価49.48、ケン化価44.73、IOB=1.26の化合物であった。
【0059】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3486.48cm−1(水酸基)、波長1736.97cm−1(エステル)、1114.90cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0060】
実施例10:モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(25モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(25モル)1,3−ブチレングリコール645.6g、イソステアリン酸154.4gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で5時間30分エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤762.1g(収率95.3%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=25、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(25モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0061】
この生成物の分析の結果、酸価0.98、水酸基価61.42、ケン化価49.84、IOB=1.35の化合物であった。
【0062】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3500.95cm−1(水酸基)、波長1736.97cm−1(エステル)、1111.05cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0063】
実施例11:モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(60モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(60モル)1,3−ブチレングリコール908g、イソステアリン酸92gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で5時間エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤912.1g(収率91.2%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=60、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(60モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0064】
この生成物の分析の結果、酸価4.79、水酸基価29.39、ケン化価16.62、IOB=1.61の化合物であった。
【0065】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3493.24cm−1(水酸基)、波長1735.04cm−1(エステル)、1111.05cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0066】
実施例12:モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(65モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(65モル)1,3−ブチレングリコール638.4g、イソステアリン酸61.6gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で5時間30分エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤651.1g(収率93%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=65、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(60モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0067】
この生成物の分析の結果、酸価3.76、水酸基価29.02、ケン化価18.05、IOB=1.63の化合物であった。
【0068】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3501.92cm−1(水酸基)、波長1733.12cm−1(エステル)、1116.83cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0069】
実施例13:セスキイソステアリン酸ポリオキシエチレン(15モル)ブチレングリコールエステルの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(15モル)1,3−ブチレングリコール637g、イソステアリン酸363gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で8時間エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤936.5g(収率93.7%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=15、R=イソステアリン酸残基、R’=イソステアリン酸残基若しくはHであるセスキイソステアリン酸ポリオキシエチレン(15モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0070】
この生成物の分析の結果、酸価3.55、水酸基価35.02、ケン化価70.63、IOB=0.96の化合物であった。
【0071】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3409.34cm−1(水酸基)、波長1736.97cm−1(エステル)、1114.90cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0072】
実施例14:ジイソステアリン酸ポリオキシエチレン(14モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(14モル)1,3−ブチレングリコール512.1g、イソステアリン酸387.9gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で6時間エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤833.6g(収率92.6%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=14、R=イソステアリン酸残基、R’=イソステアリン酸残基であるジイソステアリン酸ポリオキシエチレン(14モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0073】
この生成物の分析の結果、酸価7.18、水酸基価22.52、ケン化価84.67、IOB=0.79の化合物であった。
【0074】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3504.81cm−1(水酸基)、波長1736.97cm−1(エステル)、1114.90cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0075】
実施例15:ジ(ピログルタミン酸/イソステアリン酸)ポリオキシエチレン(20モル)ブチレングリコールの合成;
エチレンオキサイドの付加モル数及び付加反応時間を制御し、実施例1と同様の操作にて得られたポリオキシエチレン(20モル)1,3−ブチレングリコール490.7g、イソステアリン酸144.2g、ピログルタミン酸65.1gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度200℃で13時間エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤623.5g(収率89.1%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=0、c+d=20、R=イソステアリン酸残基、R’=ピログルタミン酸残基であるジ(ピログルタミン酸/イソステアリン酸)ポリオキシエチレン(20モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0076】
この生成物の分析の結果、酸価7.6、水酸基価34.96、ケン化価83.83、IOB=1.29の化合物であった。
【0077】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3504.81cm−1(水酸基)、波長1737.94cm−1(エステル)、1112.01cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0078】
実施例16:ポリオキシブチレン(2モル)ポリオキシエチレン(14モル)ブチレングリコールの合成;
1,3−ブチレングリコール200gを仕込み、攪拌し窒素を流入しながら温度を上げる。80℃まで上げたら、水酸化カリウム2.5gを入れ、温度を130℃まで上昇させてブチレンオキサイド付加を開始し、反応温度160℃で反応させる。反応時間1時間で320gのブチレンオキサイドを付加した後、更に、反応時間3時間で1368gのエチレンオキサイドを付加したら、水冷して110〜120℃、50%クエン酸水溶液で中和、濾過して目的の化合物1714g(収率90.8%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=2、c+d=14、R=H、R’=Hであるポリオキシブチレン(2モル)ポリオキシエチレン(14モル)1,3−ブチレングリコールエーテルを得た。
【0079】
この生成物の分析の結果、水酸基価151.33、IOB=1.51の化合物であった。
【0080】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3478.77cm−1(水酸基)、波長1105.26cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0081】
実施例17:モノイソステアリン酸ポリオキシブチレン(2モル)ポリオキシエチレン(14モル)ブチレングリコールの合成;
実施例16で得られたポリオキシブチレン(2モル)ポリオキシエチレン(14モル)1,3−ブチレングリコール749g、イソステアリン酸251gを仕込み、窒素を流入しながら反応温度250℃で5時間30分エステル化反応を行い、本発明の非イオン界面活性剤962g(収率96.2%)、すなわち上記一般式(I)においてa+b=2、c+d=14、R=イソステアリン酸残基、R’=Hであるモノイソステアリン酸ポリオキシブチレン(2モル)ポリオキシエチレン(14モル)1,3−ブチレングリコールエステル化合物を得た。
【0082】
この生成物の分析の結果、酸価0.98、水酸基価61.42、ケン化価49.84、IOB=0.99の化合物であった。
【0083】
化合物につき、赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、波長3501.92cm−1(水酸基)、波長1736.01cm−1(エステル)、1112.97cm−1(エーテル)に特性吸収が認められた。
【0084】
以下、本実施の化合物を含有する非イオン界面活性剤の物性と処方配合例を示す。
【0085】
実施例18:油性原料との相溶性能
実施例1〜17で合成したポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステルの油性成分との馴染みを評価するため、化粧品汎用油剤との相溶性能をIOB値の近い化合物と比較した。ここでは、メーク落とし用途の化粧料に非イオン界面活性剤として用いられることの多いIOB=1.0付近の化合物にて比較を実施した。油剤としてトリエチルヘキサノイン、比較化合物としてイソステアリン酸PEG−8グリセリル及びPEG−6(カプリル/カプリン酸)グリセリル、PEG−7グリセリルココエートを用いた。
【0086】
本発明におけるIOB(Inorganic Organic Balance)とは有機概念図に基づいて求められる有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比であり、すなわち「無機性値(IV)/有機性値(OV)=IOB」となる。これは、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)等で説明されている。
【0087】
相溶性能は、ビーカーにそれぞれ、トリエチルヘキサノイン全量に対して各非イオン界面活性剤組成物がそれぞれ5質量%の濃度となるように量り、攪拌しながら70℃まで加温溶解させた後、25℃まで冷却し、24時間放置した後の状態を比較した。溶解状態については、透明な溶解状態の場合は○、濁りや分離などが起こり透明状態を保てない場合は×で表記した。
【0088】
【表1】
【0089】
表1より、IOBが近似した化合物であっても、本実施のポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を含有する非イオン界面活性剤は、透明に溶解して油性成分との馴染みに優れることが分かる。
【0090】
実施例19:マスカラとの馴染み性
続いて、先の評価で得られた結果を更に検証するため、本実施のポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を含有する非イオン界面活性剤と比較化合物とを100%濃度の状態で皮膚上に塗布した市販のマスカラに馴染ませ、擦った後の状態と水で洗浄した後の状態を比較した。マスカラはスポーツビューティ ファシオマスカライナーBK001(コーセー社製)を使用し、比較化合物は実施例18と同様に、イソステアリン酸PEG−8グリセリル及びPEG−6(カプリル/カプリン酸)グリセリル、PEG−7グリセリルココエートを用いた。
【0091】
比較結果については、マスカラ汚れの残り具合を5段階で表記した。すなわち、大きく汚れが残る状態を1とし、汚れ残りが少ないほど点数が高くなるようにして汚れ残りがない状態を5とした。なお、評価は5名のモニターによる結果の平均値(小数点四捨五入)を記載した。
【0092】
【表2】
【0093】
表2より、本比較においても実施例18と同様に、IOBが近似した化合物であっても本実施のポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を含有する非イオン界面活性剤は、マスカラ汚れとの馴染みが良く、汚れ落ち性能に優れることが確認された。
【0094】
実施例20:温度による製剤性状
更に、本実施のポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を含有する非イオン界面活性剤と比較化合物とをそれぞれオイルフリークレンジングリキッド処方及びマッサージクレンジングジェル処方に配合した場合のメーク汚れ落ち性能と各温度における製剤の状態を比較した。マスカラはスポーツビューティ ファシオマスカライナーBK001(コーセー社製)、口紅はマキアージュ ライブステイルージュRD774(資生堂社製)を使用し、比較化合物には、本実施の化合物のIOBと近似する、イソステアリン酸PEG−8グリセリル、イソステアリン酸PEG−20グリセリル、イソステアリン酸PEG−60グリセリル、トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル及びPEG−6(カプリル/カプリン酸)グリセリル、PEG−7グリセリルココエートから選択して用いた。
【0095】
比較結果の汚れ落ちについては、実施例19と同様の5段階評価とし、各温度における製剤の状態については、透明性を保持している場合は○、濁りや分離が見られる場合は×で表記した。なお、上記同様、評価は5名のモニターによる結果の平均値(小数点四捨五入)を記載した。
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【0098】
表3、4より、オイルフリークレンジングリキッド処方及びマッサージクレンジングジェル処方においても、本実施のポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を含有する非イオン界面活性剤を配合した場合に、メーク汚れとの馴染みが良く、優れた汚れ落ち性能を示した。また、−5℃及び45℃環境下に保存した場合にも透明な液体状態を保持することが可能であり温度性状にも優れる結果となった。
【0099】
実施例22:製剤粘度
続いて、本実施のポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を含有する非イオン界面活性剤と比較化合物とをそれぞれ下記クレンジングリキッド処方に配合した場合の製剤粘度を比較した。クレンジングリキッド処方にはメーク汚れが除去できるだけではなく、塗布時に手や顔からのたれ落ちがなく、メーク汚れ上に塗布し易いことが求められる。マスカラはスポーツビューティ ファシオマスカライナーBK001(コーセー社製)、口紅はマキアージュ ライブステイルージュRD774(資生堂社製)を使用し、比較化合物は、イソステアリン酸PEG−8グリセリルを用いた。
【0100】
比較結果の汚れ落ちについては、実施例19と同様の5段階評価とし、製剤粘度については、塗布時にたれ落ちにくい粘度として25℃における粘度が500mPa・s以上である場合に○、それ以下の場合は×で表記した。粘度測定は、東機産業製TVB−10形粘度計を使用した。なお、上記同様、評価は5名のモニターによる結果の平均値(小数点四捨五入)を記載した。
【0101】
【表5】
【0102】
表5より、本実施のポリオキシアルキレンブチレングリコールエーテルカルボン酸エステル化合物を含有する非イオン界面活性剤を配合したクレンジングリキッドは、メーク汚れ落ちに優れ、濡れた手でも使用できるだけでなく、製剤を高粘度化することで塗布時にたれ落ちのない操作性に優れたものとすることができる。また、高粘度化されることで比較処方よりも厚みのある感触とすることが可能となり、製剤にマッサージ性を付与することが可能となる。
【0103】
実施例23:2Wayクレンジングオイル
下記表6に示す組成の2Wayクレンジングオイルを次のようにして調整した。すなわち、成分1および成分2を50℃まで加温し、均一に溶解させた後、成分1を攪拌しながら、成分2を混合した。この2Wayクレンジングオイルは、浴室内で濡れた手でも使用することが可能ながらもメーク汚れ落ち特性に優れ、洗浄後にしっとりとした感触を付与する官能を示した。
【0104】
【表6】
【0105】
実施例24:クレンジングジェル
下記表7に示す組成のクレンジングジェルを次のようにして調整した。すなわち、成分1〜成分3を60℃まで加温し、均一に溶解させた後、成分2を攪拌しながら、成分1および成分2を混合した。このクレンジングジェルは、メーク汚れ落ち特性に優れ、高温でもゲル状を保持し安定性に優れた特性を示した。
【0106】
【表7】
【0107】
実施例25:オイルフリー2Wayクレンジングリキッド
下記表8に示す組成のオイルフリー2Wayクレンジングリキッドを次のようにして調整した。すなわち、成分1および成分2を50℃まで加温し、均一に溶解させた後、成分1を攪拌しながら、成分2を混合した。このオイルフリー2Wayクレンジングリキッドは、浴室内で濡れた手でも使用することが可能な上、オイル成分を配合しなくてもメーク汚れ落ちに優れる特性を示した。
【0108】
【表8】
【0109】
実施例26:クレンジング乳液
下記表9に示す組成のクレンジング乳液を次のようにして調整した。すなわち、成分1および成分2を80℃まで加温し、均一に溶解させた後成分1を攪拌しながら、成分2を混合した。このクレンジング乳液は、メーク汚れとの馴染みがよく、洗浄後、肌にしっとりとした感触を付与する特徴を示した。
【0110】
【表9】
【0111】
実施例27:洗顔フォーム
下記表10に示す組成の洗顔フォームを次のようにして調整した。すなわち、成分1を75℃、成分2を70℃まで加温し、均一に溶解させた。続いて、内温を85℃に保持した容器で成分1を攪拌しながら成分2を加えてケン化した後、冷却してパールを析出させた。この洗顔フォームは、泡立ちの安定性に優れ、洗顔後にさっぱりとした感触を付与する官能を示した。
【0112】
【表10】
【0113】
実施例28:モイスチャークリーム
下記表11に示す組成のモイスチャークリームを次のようにして調整した。すなわち、成分1を70℃、成分2を75℃まで加温し、均一に溶解させた後、成分2を攪拌しながら、成分1を混合して乳化した。このモイスチャークリームは、艶が良く、エモリエント性を付与し、優れた官能を示した。
【0114】
【表11】
【0115】
実施例29:乳白化粧水
下記表12に示す組成の化粧水を次のようにして調整した。すなわち、成分1及び成分2を40℃まで加温し、均一に溶解させた後、成分2を攪拌しながら、成分1を混合した。この化粧水は、微乳白の状態を安定に保持しながら、しっとりとした使用感を特徴とする官能を示した。
【0116】
【表12】
【0117】
実施例30:バスオイル
下記表13に示す組成のバスオイルを次のようにして調整した。すなわち、成分1及び成分2を40℃まで加温し、均一に溶解させた後、成分1を攪拌しながら、成分2を混合した。このバスオイルは、浴槽内湯への分散性に優れることから容易に乳白濁状態を得ることができ、また、入浴後の肌にしっとりとした感触を付与する官能を示した。
【0118】
【表13】
【0119】
実施例31:パールシャンプー
下記表14に示す組成のパールシャンプーを次のようにして調整した。すなわち、成分1を70℃、成分2を80℃まで加温し、均一に溶解させた後、成分2を攪拌しながら、成分1を混合する。その後、40℃まで冷却し、成分3を混合した。このパールシャンプーは容易にパール感を付与することが可能な上、泡立ちが良く、経時安定性に優れた特性を示した。
【0120】
【表14】
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の活用例として化粧料、外用剤の適用がある。