【実施例】
【0036】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0037】
[実施例1]
(衛生薄葉紙の製造)
NBKP50%、LBKP50%のパルプ配合からなる製品坪量が29.0g/m
2であるフェイシャルティシュ原紙(2プライ/1組)において表1に示す質量比で調整した薬液を、原紙の乾燥重量に対して塗工量18.0%で塗工した。塗工方法は、フレキソ方式を用い、原紙の片面に塗工した。
【0038】
(評価)
<拡散面積>
本発明に係る衛生薄葉紙の拡散面積は、JIS S3104(1992)「ティッシュペーパー」(旧)の吸水度の測定方法に準じる方法によるものである。試験片に10mmの高さからピペットで蒸留水1滴(23±1℃、0.1ml)を滴下して、水滴が試験片に接した瞬間から30秒後の広がりであり、試験片のMD方向、CD方向それぞれの最大長さ(mm)を測定して両者の積を求める。この5回の平均値を拡散面積とした。その結果を表1に示す。
<吸水度>
本発明に係る衛生薄葉紙の吸水度は、JIS S3104(1992)「ティッシュペーパー」(旧)の試験方法によるものである。
試験片に10mmの高さからピペットで蒸留水1滴(23±1℃、0.1ml)を滴下して、水滴が試験片に接触した瞬間から水が完全に吸収されて試験片表面の反射が消えるまでの時間をストップウォッチで測定(0.1秒単位)した。
この試験を計5回行い、その平均値を吸水度とした。その結果を表1に示す。
【0039】
<紙厚>
紙厚測定は、ISO 12625−3「Tissue paper and tissue products-Determination of thickness, bulking thickness and apparent bulk density」(single sheet thickness)に準じて測定を行った。測定機は株式会社尾崎製作所製シックネスゲージ(R1−B型 定圧タイプ)を使用した。測定圧は2.0kPa(測定荷重200gf、測定子直径35.7mm)、測定子を約2mm/秒の速度で下ろし5秒後のゲージを読み取った。なお、1回の測定は試料1組にて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。その結果を表1に示す。
【0040】
<製品坪量>
製品坪量は、旧JIS S3104(1992)により測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
<密度>
密度は、製品坪量(g/m
2)/紙厚(μm/1枚)により算出した。その結果を表1に示す。
【0042】
<引張り強度>
本発明に係る衛生薄葉紙の引張り強度を、JIS−S3104「ティシュペーパー」の試験方法に準じて、流れ方向の乾燥時の引張り強度(DMDT:DryMachine Direction Tensile strength)、幅方向の乾燥時の引張り強度(DCDT:Dry
Cross Direction Tensile strength)及び流れ方向の湿潤時の引張り強度(WMDT:Wet Machine Direction Tensile strength)を測定した。その結果を表1に示す。
【0043】
<拭き取り性>
拭き取り性については、パネラー7名における実使用テスト(0ポイント〜3ポイントの4段階評価、合計6ポイント以下:×、合計7〜11ポイント:△、合計12から17ポイント:○、合計18ポイント以上:◎)を行った。その結果を表1に示す。
【0044】
<粘性物拭き取り時の破れの有無>
粘性物拭き取り時の破れの有無は、合成ゴム板上の人工鼻水0.7gを拭き取った時の衛生薄葉紙の破れの状態を観察した。その結果を表1に示す。
【0045】
<風合い>
本発明に係る衛生薄葉紙の風合いの評価は、パネラー7名による官能評価試験の平均値を採用した。しっとり感、平滑性、柔らかさの各項目について、手持ち感と肌に接触させた時の感覚を拭き取り性と同様に4段階評価で評価した。ここで、評価が○以上であれば実用上問題がない。その結果を表1に示す。
【0046】
[実施例2]〜
[実施例4]、[参考例5]、[実施例6]、[比較例1]〜[比較例5]
実施例2〜
実施例4、参考例5、実施例6、比較例1〜5においては、表1に示すローション薬液組成で薬液を調製し、実施例1と同様にして薄葉紙を製造した後、衛生薄葉紙を評価した。その結果を表1に示す。
【0047】
実施例1 拡散面積が1650mm2、吸水度は7.0秒であり、粘性物拭き取り時に拡散が十分に行われ、拭き取りしやすい。また拭き取り時の破れも生じない。紙厚は158μあり、柔らかさは◎である。
実施例2 製品坪量は28.6g/m
2、紙厚は142μmである。拡散面積は1920mm
2、吸水度は14.5秒であり、評価のいずれの項目においても◎であった。しっとり感は拡散面積と関連すると考えられる。密度は0.20g/cm
3あり、平滑性の評価に寄与していると考えられる。また、親油性成分と親水性成分が所定量含まれることも、柔らかさに寄与していると考えられる。
実施例3 製品坪量と紙厚については他に比べ低いが、拭き取り性は○で、破れも生じない。拡散面積が1720mm
2と比較的高いことが作用していると考えられる。
実施例4 製品坪量34.8g/m
2あり、紙厚も高く、柔らかさは◎である。
参考例5 親油性成分に流動パラフィンを用いたものであるが、他の実施例と同様の効果を得た。
実施例6 紙厚が198μmであり柔らかは◎である。また、拭き取り時の破れも生じない。
比較例1 拡散面積は1680mm
2あるが、製品坪量が低いことから、拭き取り時の破れが生じた。
比較例2 拡散面積は1640mm
2あり、拭き取り時の破れは生じないが、密度が0.17g/cm
3と低く、平滑性は△である。また柔らかさの評価△については、紙厚が212μmと高いことが影響していると考えられる。
比較例3 拡散面積が1580mm
2とやや低く、しっとり感は△である。
比較例4 拡散面積は1600mm
2を超えるが、製品坪量、紙厚が低く、拭き取り時に破れが生じた。吸水度は5.0秒であり、拭き取り性は△であった。これは拭き取り時の紙層表面上での広がりが行われなかったことによる影響と考えられる。
比較例5 拡散面積1420mm
2、吸水度は21.0秒であり、拭き取り時に十分な拡散が得られずシートの破れが発生した。拭き取り性についても×であった。
【表1】
【0048】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが、当業者には明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。