特許第6105886号(P6105886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105886
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】吸込口体および電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/06 20060101AFI20170316BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20170316BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A47L9/06 Z
   A47L9/04 A
   A47L9/28 U
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-210996(P2012-210996)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2014-64661(P2014-64661A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】原田 健司
(72)【発明者】
【氏名】森下 篤至
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0301901(US,A1)
【文献】 特開2001−238831(JP,A)
【文献】 特開2003−135324(JP,A)
【文献】 特開2007−000602(JP,A)
【文献】 特開2001−149282(JP,A)
【文献】 特開昭63−119725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被掃除面に対向して開口し塵埃を吸い込む吸込口、および、この吸込口の内部の前後に設けられた取付部を備え、被掃除面上を少なくとも前後方向に移動可能なケース体と、
電動機と、
前記ケース体に回転可能に配置され、前記電動機によって上側が前記ケース体の移動方向と反対方向に回転するように駆動されることで前記吸込口に位置する塵埃を下流側へと導く回転体と、
前記吸込口の内部の取付部にそれぞれ回動可能に配置され、被掃除面との接触により前記ケース体の反移動方向にそれぞれ回動して、移動方向前側に位置するものが前記吸込口内に傾斜状に倒れて前記回転体の下側に対向するとともに移動方向後側に位置するものが被掃除面に対して起立する清掃部材と
を具備したことを特徴とした吸込口体。
【請求項2】
清掃部材は、上端側を中心として回動する刷毛状部材である
ことを特徴とした請求項1記載の吸込口体。
【請求項3】
請求項1または2記載の吸込口体と、
電動送風機と、
この電動送風機の動作により前記吸込口体の吸込口から吸い込んだ塵埃を捕集する集塵部と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【請求項4】
電動送風機に電力を供給する二次電池を具備した
ことを特徴とした請求項3記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被掃除面上を少なくとも前後方向に移動可能なケース体を有する吸込口体およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばセンサなどを用いて壁などの障害物を検出してこれら障害物を回避しつつ、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する電気掃除機がある。
【0003】
このような電気掃除機では、床面の塵埃を効率よく除去するために、床面に対向するケース体の下部に清掃体を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−211426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の構成では、清掃体を前側から後側に複数備え、前側の清掃体から後側の清掃体へと、大きい塵埃から順に捕集するように配列されている。しかしながら、上記特許文献1記載の構成の場合、これら清掃体を回転駆動させているので、これらを駆動する電源となる二次電池の負荷が大きい。特に、自律走行する電気掃除機の場合、二次電池により電気掃除機を走行させたり、電動送風機を駆動したりするので、二次電池の負荷が小さいことが望ましい。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電源負荷が小さく、かつ、効率よく塵埃を捕集できる吸込口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の吸込口体は、被掃除面上を少なくとも前後方向に移動可能なケース体を有する。このケース体は、被掃除面に対向して開口し塵埃を吸い込む吸込口を備える。さらに、このケース体は、吸込口の内部の前後に設けられた取付部を備える。また、この吸込口体は、電動機を備える。また、この吸込口体は、回転体を備える。回転体は、ケース体に回転可能に配置され、電動機によって上側がケース体の移動方向と反対方向に回転するように駆動されることで吸込口に位置する塵埃を下流側へと導く。また、この吸込口体は、吸込口の内部の取付部にそれぞれ回動可能に配置された清掃部材を備える。これら清掃部材は、被掃除面との接触によりケース体の反移動方向にそれぞれ回動して、移動方向前側に位置するものが吸込口内に傾斜状に倒れて回転体の下側に対向するとともに移動方向後側に位置するものが被掃除面に対して起立する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の吸込口体である電気掃除機の前進状態を模式的に示す断面図である。
図2】同上電気掃除機の後退状態を模式的に示す断面図である。
図3】同上電気掃除機を示す斜視図である。
図4】同上電気掃除機を下方から示す平面図である。
図5】同上電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態の吸込口体の前進状態を模式的に示す断面図である。
図7】同上吸込口体の後退状態を模式的に示す断面図である。
図8】同上吸込口体を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図5において、11は吸込口体である電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、所定の掃除領域内の被掃除面としての床面F上を自律走行(自走)しつつこの床面Fを掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナである。すなわち、この電気掃除機11は、吸込口体と掃除機本体とを一体化したものである。
【0011】
そして、この電気掃除機11は、床面F上を走行(移動)可能な中空状のケース体である本体ケース12と、この本体ケース12に着脱可能に設けられた集塵部13とを備えている。
【0012】
なお、以下、電気掃除機11(本体ケース12)の走行方向に沿った方向を前後方向(図1および図2に示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0013】
本体ケース12は、例えば合成樹脂などにより平坦な円柱状(円盤状)などに形成されている。また、この本体ケース12には、電気掃除機11(本体ケース12)を床面F上で走行させる、走行用の例えば複数の駆動部としての左右一対の駆動輪15が回転可能に配置されており、これら駆動輪15の下端側が、円形状の下面12aから下方に突出している。さらに、この本体ケース12の下面12aには、旋回輪16が旋回可能に取り付けられている。また、この本体ケース12の上部前側には、障害物検出手段としての距離検出手段である測距センサ17が取り付けられている。さらに、この本体ケース12の内部には、駆動輪15をそれぞれ駆動させる駆動手段としてのモータ21、および、集塵部13に塵埃を吸い込むための電動送風機22などが収容されているとともに、この電動送風機22の吸込側に集塵部13を介して連通する吸込室23が区画されている。また、本体ケース12の内部には、回路基板などにより構成された制御手段24、および、電源部を構成する電池である二次電池25が収容されている。さらに、本体ケース12には、電動送風機22からの排気を外部へと排出する図示しない排気口が開口されている。
【0014】
各駆動輪15は、電気掃除機11を床面F上に載置した状態で床面Fに接触して回転可能となっている。また、これら駆動輪15は、例えば吸込室23の前方である本体ケース12の前後方向の略中央部の両側に位置し、前後方向に沿って回転するように構成されている。
【0015】
旋回輪16は、本体ケース12の幅方向の略中央部で、かつ、前部に位置しており、床面Fに沿って旋回可能な従動輪である。
【0016】
また、測距センサ17は、例えば超音波センサ、赤外線センサ、あるいは画像センサなどのセンサであり、例えば本体ケース12の外周の前部両側などに配置され、本体ケース12の前方ないし側方の障害物などの有無、および、それら障害物と本体ケース12との距離などをそれぞれ検出可能となっている。
【0017】
また、各モータ21は、例えば駆動輪15のそれぞれに対応して配置されており、各駆動輪15を独立して駆動させることが可能となっている。これらモータ21は、各駆動輪15に直接接続されていてもよいし、ギヤ、あるいはベルトなどの図示しない伝達手段を介して各駆動輪15と接続されていてもよい。そして、これらモータ21と駆動輪15とにより、電気掃除機11(本体ケース12)を床面F上で自律走行(自律移動)させる移動手段(走行手段)27が構成されている。
【0018】
また、電動送風機22は、例えば吸込側を後方に向けて配置されており、本体ケース12の後面12bに開口された吸込開口31と、吸込風路部としてのモータケース32を介して気密に接続されている。
【0019】
吸込開口31は、本体ケース12に装着された集塵部13と気密に接続されるものであり、周縁部にパッキンなどのシール部材34が取り付けられている。
【0020】
また、モータケース32は、内部に風路を区画するように筒状に形成され、シール部材34の一端側(前端側)を介して後端側が吸込開口31と気密に接続されている。さらに、このモータケース32の前端側には、電動送風機22を支持する円筒状の支持部36が突設されており、この支持部36に、電動送風機22の吸込側が電動送風機シール部材としてのモータクッション37を介して弾性的に支持されている。そして、このモータクッション37が、電動送風機22の吸込側と支持部36との隙間を閉塞していることにより、電動送風機22の吸込側がモータケース32に気密に接続されている。
【0021】
また、吸込室23は、幅方向に長手状に形成され、本体ケース12の下面12aの後部寄りに配置されており、下端部である本体ケース12の下面12aに床面Fに対向して吸込口41が開口されているとともに、後端部である本体ケース12の後面12bにて吸込開口31の下方に集塵部13に対向して連通開口42が開口されている。すなわち、この吸込室23は、下端側が吸込口41を介して、後端側が連通開口42を介して、それぞれ本体ケース12の外部(下部および後部)と連通している。そして、この吸込室23内には、回転体としての回転ブラシ43が回転可能に配置されている。
【0022】
吸込口41の前後の縁部には、この吸込口41に連通する(一方および他方の)取付部45,46が吸込口41の幅方向の略全体に亘ってそれぞれ凹設されており、これら取付部45,46には、(一方および他方の)清掃部材としての(一方および他方の)刷毛状部材47,48が取り付けられている。
【0023】
刷毛状部材47,48は、取付部45,46に回動可能に軸支された(一方および他方の)軸部47a,48aと、この軸部47a,48aから下方へと突出する(一方および他方の)清掃体としての(一方および他方の)可撓性および弾性を有するブラシ毛47b,48bとを一体的に備えている。すなわち、これら刷毛状部材47,48は、上端側を中心として回動可能となっている。そして、吸込口41の前側の取付部45に位置する刷毛状部材47は、床面Fとブラシ毛47bとの接触抵抗により、後側、すなわち吸込口41側に倒れるように回動可能であるとともに、前側、すなわち吸込口41と反対側(反吸込口41側)に起立するように回動可能である。したがって、この刷毛状部材47は、本体ケース12への取り付け位置、すなわち軸部47aの軸支位置(中心軸位置)に対して後方の領域のみで前後方向に回動可能となっている。同様に、吸込口41の後側の取付部46に位置する刷毛状部材48は、床面Fとブラシ毛48bとの接触抵抗により、前側、すなわち吸込口41側に倒れるように回動可能であるとともに、後側、すなわち吸込口41と反対側(反吸込口41側)に起立するように回動可能である。すなわち、この刷毛状部材48は、本体ケース12への取り付け位置、すなわち軸部48aの軸支位置(中心軸位置)に対して前方の領域のみで前後方向に回動可能となっている。
【0024】
また、連通開口42の周縁部には、パッキンなどのシール部材51が取り付けられている。
【0025】
また、回転ブラシ43は、塵埃を下流側、本実施形態では集塵部13側へと導くものであり、例えば長尺の回転軸部43aの外周面に、径方向に螺旋状に複数の運搬体43bが壁状に突出して取り付けられて構成され、回転体駆動手段としての電動機である回転モータ53により回転駆動される。そして、この回転ブラシ43は、運搬体43bの先端部が、本体ケース12の最下部、本実施形態では下面12aよりも上方となるように位置し、例えばフローリングや畳などの平坦状の床面F上に電気掃除機11を載置した状態で床面Fに対して非接触(離間される)状態となっている。このため、この回転ブラシ43は、床面F上の塵埃を掻き取らないように構成されている。
【0026】
また、制御手段24は、例えばメモリなどの記憶手段、および、マイコンなどの制御部を備えており、測距センサ17、各モータ21、電動送風機22、および、回転モータ53などと電気的に接続され、測距センサ17による検出結果に基づいて、各モータ21、電動送風機22、および、回転モータ53などの駆動を制御可能である。
【0027】
また、二次電池25は、測距センサ17、各モータ21、電動送風機22、制御手段24、および、回転モータ53などに給電するものである。そして、この二次電池25は、本体ケース12の下面12aに配置された図示しない充電端子と電気的に接続されており、例えば室内(部屋)の所定位置などに設置された所定の図示しない充電台に対して充電端子が接続されることによって充電可能となっている。
【0028】
また、集塵部13は、電動送風機22の駆動により吸込口41から吸い込まれた塵埃を捕集するものであり、塵埃を溜める集塵室55と、この集塵室55の上部に位置しこの集塵室55と連通する風路部56とを備えている。そして、集塵室55の前部には、連通開口42と連通する吸込開口部57が開口されている。また、風路部56には、フィルタ58が収容されているとともに、この風路部56の下流端である前部には、本体ケース12の後面12bの吸込開口31と連通する排気開口部59が開口されている。
【0029】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0030】
電気掃除機11は、本体ケース12の後面12bに対して集塵部13を装着することで、吸込開口31と吸込開口部57とがシール部材34を介して気密に接続されるとともに、連通開口42と排気開口部59とがシール部材51を介して気密に接続される。
【0031】
そして、電気掃除機11は、例えば制御手段24に予め設定された所定時刻などとなると、電動送風機22を駆動させ、例えば充電台から掃除を開始する。なお、掃除の開始位置は、電気掃除機11の走行開始位置、あるいは部屋の出入り口など、任意の場所に設定可能である。
【0032】
この電気掃除機11は、測距センサ17により周囲の障害物などとの距離を測定しつつ、これら障害物を回避しながら、制御手段24がモータ21,21を回転駆動させて駆動輪15,15により床面F上を自律走行する。
【0033】
この電気掃除機11は、電動送風機22の駆動によって発生した負圧がモータケース32から集塵部13および吸込室23を介して吸込口41に作用し、この吸込口41から、床面F上の塵埃を空気とともに吸い込む。
【0034】
このとき、電気掃除機11(本体ケース12)が前進している場合には、床面Fとの接触抵抗により、吸込口41の走行(移動)方向前側である吸込口41の前側に位置する刷毛状部材47が走行(移動)方向と反対方向、すなわち吸込口41側である後方へと回動して傾斜状に倒れるとともに、吸込口41の走行(移動)方向後側である吸込口41の後側に位置する刷毛状部材48が走行(移動)方向と反対方向、すなわち吸込口41側から離間される後方へと回動して床面Fに対して略直立した状態に起立する(図1)。したがって、吸込口41の走行(移動)方向前側である前側に位置する刷毛状部材47が走行(移動)の抵抗となることを抑制するとともに、吸込口41の走行(移動)方向後側に位置する刷毛状部材48が、ブラシ毛48bによって床面F上の塵埃を掻き取ったり、塵埃を通過させずに堰き止めたりすることで、塵埃を吸込口41に確実に運ぶ。また、制御手段24は、回転モータ53を駆動させて、回転ブラシ43を電気掃除機11(本体ケース12)の走行(移動)方向に対して反対方向である後方、換言すれば、電気掃除機11(本体ケース12)の走行(移動)によって走行(移動)方向前側である前側から吸込口41へと移動してくる塵埃に対して対向する方向に回動させる。
【0035】
一方、電気掃除機11(本体ケース12)が後退している場合には、床面Fとの接触抵抗により、吸込口41の走行(移動)方向前側である吸込口41の後側に位置する刷毛状部材48が走行(移動)方向と反対方向、すなわち吸込口41側である前方へと回動して傾斜状に倒れるとともに、吸込口41の走行(移動)方向後側である吸込口41の前側に位置する刷毛状部材47が走行(移動)方向と反対方向、すなわち吸込口41側から離間される前方へと回動して床面Fに対して略直立した状態に起立する(図2)。したがって、吸込口41の走行(移動)方向前側である後側に位置する刷毛状部材48が走行(移動)の抵抗となることを抑制するとともに、吸込口41の走行(移動)方向後側である前側に位置する刷毛状部材47が、ブラシ毛47bによって床面F上の塵埃を掻き取ったり、塵埃を通過させずに堰き止めたりすることで、塵埃を吸込口41に確実に運ぶ。また、制御手段24は、回転モータ53を駆動させて、回転ブラシ43を電気掃除機11(本体ケース12)の走行(移動)方向に対して反対方向である前方、換言すれば、電気掃除機11(本体ケース12)の走行(移動)によって走行(移動)方向前側である後側から吸込口41へと移動してくる塵埃に対して対向する方向に回動させる。
【0036】
この結果、比重が比較的小さい(軽い)綿ごみなどの塵埃は、電動送風機22の吸込力によって吸込室23を介して集塵部13へと吸い込まれ、比重が比較的大きい(重い)塵埃は、回転ブラシ43によって吸込室23から連通開口42および吸込開口部57を介して集塵部13へと運ばれる。
【0037】
そして、集塵部13へと運ばれた塵埃は、この集塵部13の集塵室55に溜められるとともに、塵埃が分離された空気は、フィルタ58を通過した後、排気開口部59および吸込開口31からモータケース32を介して電動送風機22に吸い込まれ、この電動送風機22を冷却した後、排気風となって本体ケース12の排気口から外部へと排気される。
【0038】
掃除が終了したと判断した場合には、制御手段24は、電気掃除機11を充電台の位置まで自律走行させ、電動送風機22および回転モータ53(回転ブラシ43)などを停止させるとともに、充電台に充電端子を接続させてモータ21,21を停止させ、運転を終了して二次電池25を充電する。
【0039】
上述したように、上記第1の実施形態によれば、吸込口41の前後にそれぞれ回動可能に刷毛状部材47,48を配置し、これら刷毛状部材47,48が床面Fとの接触により本体ケース12の反走行(移動)方向にそれぞれ回動して、走行(移動)方向前側に位置するものが吸込口41側に倒れるとともに、走行(移動)方向後側に位置するものが床面Fに対して起立することにより、刷毛状部材47,48のうち、吸込口41の走行(移動)方向側に位置するものが走行の負荷になることがないとともに、吸込口41の走行(移動)方向側と反対側に位置するものが塵埃を確実に掻き取る。すなわち、二次電池25からの電力を用いることなく、電気掃除機11の自重によって刷毛状部材47,48を動作させることができ、電源負荷および走行(移動)負荷が小さく、かつ、効率よく塵埃を捕集できる。
【0040】
また、回転ブラシ43を本体ケース12に回転可能に配置し、この回転ブラシ43を回転モータ53によって駆動させて吸込口41に位置する塵埃を下流側である集塵部13へと導くことにより、電動送風機22の吸込力だけでは運びにくい、比重が比較的大きい塵埃などをも効率よく掃除できる。したがって、電動送風機22を比較的吸込力(パワー)が小さい小型のものとしても効率よく掃除ができるので、電気掃除機11(本体ケース12)の小型化および軽量化が可能になり、電気掃除機11(本体ケース12)を走行させる際の二次電池25の負荷をより軽減できる。
【0041】
さらに、これら刷毛状部材47,48および回転ブラシ43などを有することで、電源負荷が小さく、かつ、塵埃を効率よく掃除できる電気掃除機11を提供できる。
【0042】
特に、自走式の電気掃除機11は、二次電池25を内蔵し、この二次電池25によって各部に給電して自律走行(自律移動)および掃除をするため、上記のように電源負荷(消費電力)が小さいことで、二次電池25の消耗を抑制でき、使用可能な時間を長くしたり、二次電池25の容量をより抑制して小型化および軽量化したりすることが可能になる。
【0043】
なお、上記第1の実施形態において、集塵部13は、例えば紙パックなどの集塵袋やフィルタにより塵埃を濾過捕集する構成、あるいは遠心分離(サイクロン分離)や直進分離などの慣性分離により塵埃を分離して捕集する構成など、任意の構成を用いることができる。
【0044】
次に、第2の実施形態を図6ないし図8を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の刷毛状部材47,48および回転ブラシ43などを、キャニスタ型の電気掃除機61の吸込口体としての床ブラシ62に適用したものである。
【0046】
電気掃除機61は、掃除機本体65と、この掃除機本体65に着脱可能に接続される吸込風路体(風路形成体)である管部66とを有している。
【0047】
掃除機本体65は、本体ケース68を備え、この本体ケース68には、集塵装置である集塵部69が着脱可能となっている。そして、掃除機本体65は、床面F上を少なくとも前後方向に沿って走行(移動)可能に構成されている。なお、以下、前後方向は、掃除機本体65の移動方向を基準とする。
【0048】
本体ケース68は、例えば合成樹脂などにより形成されており、電動送風機71と、この電動送風機71の動作を制御する制御手段としての例えばマイコンなどの図示しない本体制御部と、これら電動送風機71および本体制御部などに給電するためのコードリール装置、あるいは二次電池などの図示しない電源部とがそれぞれ内部に収容されている。さらに、本体ケース68の前部には、集塵部69と連通し管部66の基端側が着脱可能に挿入接続される本体吸込口72が開口されている。そして、この本体ケース68には、電動送風機71の排気を外部へと排出する図示しない排気口が開口されている。
【0049】
また、集塵部69は、電動送風機71の動作によって生じた負圧により空気とともに吸い込まれた塵埃を分離して捕集するものであり、本体ケース68に装着した状態で本体吸込口72および電動送風機71の吸込側とそれぞれ気密に接続される。この集塵部69としては、例えば紙パックなどの集塵袋やフィルタにより塵埃を濾過捕集する構成、あるいは遠心分離(サイクロン分離)や直進分離などの慣性分離により塵埃を分離して捕集する構成など、任意の構成を用いることができる。なお、この集塵部69は、本実施形態では本体ケース68に対して着脱可能な構成としたが、本体ケース68に内蔵した構成としてもよい。
【0050】
一方、管部66は、掃除機本体65の本体吸込口72に接続される接続管部73と、この接続管部73の先端側に連通する可撓性を有するホース体74と、このホース体74の先端側に設けられた手元操作部75と、この手元操作部75の先端側に着脱可能に接続される延長管76と、この延長管76の先端側に着脱可能に接続される床ブラシ62とを備えている。
【0051】
手元操作部75には、ループ状の把持部78がホース体74側へと突出し、この把持部78の上部には、電動送風機71の動作を本体制御部に設定するための設定手段としての設定ボタン79が複数設けられている。
【0052】
また、床ブラシ62は、例えば横長のケース体81と、このケース体81の後部に回動可能に接続された接続管82とを備え、床面F上を少なくとも前後方向に走行(移動)可能となっている。また、ケース体81には、吸込室23が区画されており、この吸込室23が、接続管82に連通している。したがって、この吸込室23は、接続管82、延長管76、ホース体74、本体吸込口72および集塵部69を介して電動送風機71の吸込側に気密に接続される。
【0053】
さらに、吸込室23は、床面Fに対向してケース体81の下面81aに開口した吸込口41、この吸込口41の前後の取付部45,46に回動可能に取り付けられた刷毛状部材47,48および回転ブラシ43を備え、この回転ブラシ43が、ケース体81に収容された回転モータ53により回転駆動される。この回転モータ53は、例えば掃除機本体65内の電源部により給電され、本体制御部により駆動が制御されている。
【0054】
そして、回転ブラシ43は、運搬体43bの先端部が、ケース体81の最下部、本実施形態ではケース体81の下面81aよりも上方となるように位置し、例えばフローリングや畳などの平坦状の床面F上に床ブラシ62を載置した状態で床面Fに対して非接触(離間される)状態となっている。
【0055】
なお、回転モータ53の駆動は、例えば床ブラシ62のケース体81内に別途の制御手段を設けて制御してもよい。
【0056】
そして、掃除の際には、掃除機本体65(本体ケース68)の本体吸込口72に接続管部73を介してホース体74を接続するとともに、このホース体74の先端側の手元操作部75に延長管76を接続し、さらにこの延長管76の先端側に床ブラシ62の接続管82を接続する。なお、管部66が掃除機本体65に既に接続された状態である場合には、これらの操作は不要である。
【0057】
そして、使用者は、電源部から電動送風機71などに給電可能な状態となった後、把持部78を把持し、所望の設定ボタン79を操作して電動送風機71の動作モードを設定することにより、本体制御部がこの設定された動作モードで電動送風機71の動作モードを起動させる。
【0058】
この電動送風機71の動作により生じた負圧は、集塵部69および本体吸込口72を介して、管部66へと作用する。
【0059】
そして、使用者は、把持部78により、床ブラシ62(ケース体81)を床面F上で前後に走行させることで、負圧の作用により、床ブラシ62の吸込口41から空気とともに塵埃を吸い込む。
【0060】
このとき、床ブラシ62(ケース体81)が前進している場合には、床面Fとの接触抵抗により、吸込口41の走行(移動)方向前側である吸込口41の前側に位置する刷毛状部材47が走行(移動)方向と反対方向、すなわち吸込口41側である後方へと回動して傾斜状に倒れるとともに、吸込口41の走行(移動)方向後側である吸込口41の後側に位置する刷毛状部材48が走行(移動)方向と反対方向、すなわち吸込口41側から離間される後方へと回動して床面Fに対して略直立した状態に起立する(図6)。したがって、吸込口41の走行(移動)方向前側である前側に位置する刷毛状部材47が走行(移動)の抵抗となることを抑制するとともに、吸込口41の走行(移動)方向後側である後側に位置する刷毛状部材48が、ブラシ毛48bによって床面F上の塵埃を掻き取ったり、塵埃を通過させずに堰き止めたりすることで、塵埃を吸込口41に確実に運ぶ。また、制御手段24は、回転モータ53を駆動させて、回転ブラシ43を床ブラシ62(ケース体81)の走行方向(移動方向)に対して反対方向である後方、換言すれば、床ブラシ62(ケース体81)の走行(移動)によって走行(移動)方向前側である前側から吸込口41へと移動してくる塵埃に対して対向する方向に回動させる。
【0061】
一方、床ブラシ62(ケース体81)が後退している場合には、床面Fとの接触抵抗により、吸込口41の走行(移動)方向前側である吸込口41の後側に位置する刷毛状部材48が走行(移動)方向と反対方向、すなわち吸込口41側である前方へと回動して傾斜状に倒れるとともに、吸込口41の走行(移動)方向後側である吸込口41の前側に位置する刷毛状部材47が走行(移動)方向と反対方向、すなわち吸込口41側から離間される前方へと回動して床面Fに対して略直立した状態に起立する(図7)。したがって、吸込口41の走行(移動)方向前側である後側に位置する刷毛状部材48が走行(移動)の抵抗となることを抑制するとともに、吸込口41の走行(移動)方向後側である前側に位置する刷毛状部材47が、ブラシ毛47bによって床面F上の塵埃を掻き取ったり、塵埃を通過させずに堰き止めたりすることで、塵埃を吸込口41に確実に運ぶ。また、制御手段24は、回転モータ53を駆動させて、回転ブラシ43を床ブラシ62(ケース体81)の走行方向(移動方向)に対して反対方向である前方、換言すれば、床ブラシ62(ケース体81)の走行(移動)によって走行(移動)方向前側である後側から吸込口41へと移動してくる塵埃に対して対向する方向に回動させる。
【0062】
この結果、比重が比較的小さい(軽い)綿ごみなどの塵埃は、電動送風機71の吸込力によって吸込室23を介して接続管82、延長管76、ホース体74、本体吸込口72を介して集塵部69へと吸い込まれ、比重が比較的大きい(重い)塵埃は、回転ブラシ43によって吸込室23から下流側である集塵部69側、すなわち接続管82側である後方へと運ばれて、接続管82、延長管76、ホース体74、本体吸込口72を介して集塵部69へと吸い込まれる。
【0063】
集塵部69へと吸い込まれた塵埃は、空気から分離されて捕集される。そして、この塵埃が分離された空気は、電動送風機71へと吸い込まれ、この電動送風機71を冷却しつつ通過して排気風となり、排気口を介して本体ケース68の外部へと排気される。
【0064】
掃除が終了すると、使用者が所定の設定ボタン79を操作することで、本体制御部が電動送風機71の入力を低下させて電動送風機71を停止させる。
【0065】
このように、第2の実施形態によれば、吸込口41の前後にそれぞれ回動可能に刷毛状部材47,48を配置し、これら刷毛状部材47,48が床面Fとの接触により本体ケース68の反走行(移動)方向にそれぞれ回動して、走行(移動)方向前側に位置するものが走行(移動方向)側と反対側である吸込口41側に倒れるとともに、走行(移動)方向後側に位置するものが床面Fに対して起立することにより、刷毛状部材47,48のうち、吸込口41の走行(移動)方向側に位置するものが走行の負荷になることがないとともに、吸込口41の走行(移動)方向側と反対側に位置するものが塵埃を確実に掻き取る。すなわち、電力を何ら用いることなく、床ブラシ62の自重によって刷毛状部材47,48を動作させることができ、電源負荷および走行(移動)負荷が小さく、かつ、効率よく塵埃を捕集できる。
【0066】
また、回転ブラシ43をケース体81に回転可能に配置し、この回転ブラシ43を回転モータ53によって駆動させて吸込口41に位置する塵埃を下流側へと導くことにより、電動送風機71の吸込力だけでは運びにくい、比重が比較的大きい塵埃などをも効率よく掃除できる。
【0067】
さらに、これら刷毛状部材47,48および回転ブラシ43などを有する床ブラシ62を備えることで、電源負荷が小さく、かつ、塵埃を効率よく掃除できる電気掃除機61を提供できる。
【0068】
そして、電気掃除機61の電源部として二次電池を使用する場合には、上記のように電源負荷(消費電力)が小さいことで、二次電池の消耗を抑制でき、使用可能な時間を長くしたり、二次電池の容量をより抑制して小型化および軽量化したりすることが可能になる。
【0069】
なお、上記第2の実施形態において、床ブラシ62は、例えば上下方向に長手状の掃除機本体65(本体ケース68)の下部に接続された、いわゆるアップライト型の電気掃除機などにも対応して用いることができる。
【0070】
そして、以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、回転ブラシ43を、本体ケース12、あるいはケース体81の走行(移動)方向と反対方向に回転させることにより、本体ケース12、あるいはケース体81の走行(移動)方向前側から吸込口41へと相対的に移動してきた塵埃をその反対方向に掻き上げることができるので、より効率よく塵埃を運ぶことができる。
【0071】
また、清掃部材として、上端側を中心として回動する刷毛状部材47,48を用いることにより、例えば床面F上に溝などの凹凸が生じている場合でも、刷毛状部材47,48のブラシ毛47b,48bが弾性変形によって床面Fに追従して変形するので、塵埃をより確実に掻き取ることができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
11 吸込口体である電気掃除機
12 ケース体である本体ケース
13,69 集塵部
22,71 電動送風機
25 二次電池
41 吸込口
43 回転体としての回転ブラシ
45,46 取付部
47,48 清掃部材としての刷毛状部材
53 電動機である回転モータ
61 電気掃除機
62 吸込口体としての床ブラシ
81 ケース体
F 被掃除面としての床面
図1
図2
図3
図4
図5
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図8