特許第6105909号(P6105909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6105909
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】制振装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20170316BHJP
   E04B 1/98 20060101ALI20170316BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   E04H9/02 301
   E04B1/98 E
   E04B1/98 L
   F16F15/02 A
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-256588(P2012-256588)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-105428(P2014-105428A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年9月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年7月20日 一般社団法人 日本建築学会発行「2012年度大会(東海)学術講演梗概集 建築デザイン発表梗概集」にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】松下 仁士
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良典
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 宏和
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−112237(JP,A)
【文献】 特開2010−164108(JP,A)
【文献】 特開平06−058010(JP,A)
【文献】 特開平08−326835(JP,A)
【文献】 特開2010−101129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
E04B 1/98
F16F 15/02−15/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、
前記梁と接合された柱に伸縮面を重ねて固定され、前記柱の伸縮量を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、
を有する制振装置。
【請求項2】
柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、
前記梁に伸縮面を重ねて固定され、前記梁の伸縮量を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、
を有し、
前記梁は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、
前記検出手段は、前記伸縮手段の上方で前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジに伸縮面を重ねて固定され、前記上フランジの伸縮量を検出する制振装置。
【請求項3】
柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、
前記梁に伸縮面を重ねて固定され、前記梁の伸縮量を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、
を有し、
前記梁は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、
前記伸縮手段は、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の一方の端部に伸縮面を重ねて固定された第1伸縮手段と、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の他方の端部に伸縮面を重ねて固定された第2伸縮手段とを有し、
前記検出手段は、前記第1伸縮手段の上方で前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジに伸縮面を重ねて固定され、前記上フランジの伸縮量を検出する第1検出手段と、前記第2伸縮手段の上方で前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジに伸縮面を重ねて固定され、前記上フランジの伸縮量を検出する第2検出手段とを有し、
前記制御手段は、前記第1検出手段及び前記第2検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記第1伸縮手段及び前記第2伸縮手段を伸縮させる制振装置。
【請求項4】
柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、
前記梁に伸縮面を重ねて固定され、前記梁の伸縮量を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、
を有し、
前記梁は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、
前記伸縮手段は、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の一方の端部に伸縮面を重ねて固定された第1伸縮手段と、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の他方の端部に伸縮面を重ねて固定された第2伸縮手段とを有し、
前記検出手段は、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジの中央部に伸縮面を重ねて固定され、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジの伸縮量を検出し、
前記制御手段は、前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記第1伸縮手段及び前記第2伸縮手段を伸縮させる制振装置。
【請求項5】
柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、
前記梁に伸縮面を重ねて固定され、前記梁の伸縮量を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、
を有し、
前記梁は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、
前記伸縮手段は、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の一方の端部の前記下フランジの下面に伸縮面を重ねて固定された第1伸縮手段と、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の他方の端部の前記下フランジの上面に伸縮面を重ねて固定された第2伸縮手段とを有し、
前記検出手段は、前記第1伸縮手段が設けられた一方の端部の前記下フランジの上面に伸縮面を重ねて固定された第1検出手段と、前記第2伸縮手段が設けられた他方の端部の前記下フランジの下面に伸縮面を重ねて固定された第2検出手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第1検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき前記第2伸縮手段を伸縮させ、前記第2検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき前記第1伸縮手段を伸縮させる制振装置。
【請求項6】
前記梁は鉄骨大梁であり、
前記伸縮手段は前記鉄骨大梁の前記下フランジを伸縮させ、
前記検出手段は、前記鉄骨大梁との接合部であり前記柱の表面に伸縮面を重ねて固定され、前記柱の伸縮量を検出する請求項1に記載の制振装置。
【請求項7】
前記梁は鉄骨大梁であり、
前記伸縮手段は、前記鉄骨大梁の前記下フランジの一方の端部に伸縮面を重ねて固定された第1伸縮手段と、前記下フランジの他方の端部に伸縮面を重ねて固定された第2伸縮手段とを有し、
前記検出手段は、前記鉄骨大梁の一方の端部と接合された前記柱に伸縮面を重ねて固定された第1検出手段と、前記鉄骨大梁の他方の端部と接合された前記柱に伸縮面を重ねて固定された第2検出手段とを有し、
前記制御手段は、前記第1検出手段及び前記第2検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記第1伸縮手段及び前記第2伸縮手段を伸縮させる請求項1に記載の制振装置。
【請求項8】
前記伸縮手段は、平板状の基板と、前記基板の両側面に固着され印加電圧に応じて前記基板を伸縮させる膜型圧電素子と、を有し、
前記検出手段は、平板状の基板と、前記基板の両側面に固着され前記基板の伸縮量に応じた電圧を出力する膜型圧電素子と、を有している、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の制振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、構造物を制振するために、大きな質量(可動マス)を備えた制振装置が用いられている。この可動マスを構造物自身の振動特性に同調させる、或いは可動マスを強制的に振動させることにより生じる反力を用いて、構造物の振動を抑制している。
【0003】
これらの方法は、大きな制御力が得られる反面、大きく、かつ大重量である可動マスを必要とする短所を持つ。即ち、可動マスが大型、大重量であることから、設置スペースの確保や、設置時の搬入方法等に制約が生じる。
そこで、ダンパーを使用したコンパクトで経済性の高い制振装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1の制振装置は、図13に示すように、鉄骨梁80と鉄骨柱82を接合する柱梁接合部に設けられている。
即ち、鉄骨梁80の上フランジ84と鉄骨柱82のフランジ86が、接合金物88を用いてそれぞれ高力ボルト90で締結されている。
また、鉄骨梁80のウェブは、接合金物89で鉄骨柱82のフランジ86と接合されている。このとき、接合金物89には、ウェブが鉄骨柱82のフランジ86から離間する方向の挙動を拘束しない程度のルーズ孔が設けられており、鉄骨梁80のウェブが鉄骨梁80の材軸方向に滑れるように高力ボルト90で締結されている。接合金物89と鉄骨柱82のフランジ86の接合は、高力ボルト90で締結されている。
更に、鉄骨梁80の下フランジ85と鉄骨柱82のフランジ86は、地震エネルギを吸収するダンパー92を介して繋がれている。
【0005】
しかし、特許文献1の制振装置は、鉄骨梁80と鉄骨柱82の接合部に跨ってダンパー92を連結しなければならず、取付け構造が複雑になる。また、ダンパー92による制振は応答が遅い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−173977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実に鑑み、構造が簡単で応答が速い制振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る制振装置は、柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、前記梁と接合された柱に伸縮面を重ねて固定され、前記柱の伸縮量を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、検出手段により柱の伸縮量が検出され、制御手段により、検出結果に基づいて伸縮手段が伸縮させられる。伸縮手段は、柱梁架構の梁の下フランジの端部に伸縮面を重ねて固定されており、伸縮手段を伸縮させることにより、梁の下フランジが長さ方向に伸縮される。
【0010】
これにより、梁の振動時に、梁の振動に伴う変形と逆位相の変形を生じさせる力を生じさせる力を加えることができ、梁の振動を抑制することができる。更に、伸縮手段は、下フランジの長さ方向の端部に固定されているため、少しの縮み量、伸び量で大きな力を発揮することができる。
この結果、構造が簡単で応答が速い制振装置を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、前記梁に伸縮面を重ねて固定され、前記梁の伸縮量を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、を有し、
前記梁は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、前記検出手段は、前記伸縮手段の上方で前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジに伸縮面を重ねて固定され、前記上フランジの伸縮量を検出することを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、伸縮手段の上方の上フランジに固定された検出手段により、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の端部の上フランジの伸縮量が検出され、制御手段は伸縮手段を制御して、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の端部の下フランジを長さ方向に伸縮させる。
【0013】
具体的には、制御手段は、検出手段が上フランジの縮みを検出したとき、伸縮手段が固定された下フランジの端部は伸びていると判断し、伸縮手段を縮ませて下フランジを縮減させる。これに対し、検出手段が上フランジの伸びを検出したとき、制御手段は、下フランジの端部は縮んでいると判断し、伸縮手段を伸ばして下フランジを伸張させる。
この結果、鉄骨大梁又は鉄骨小梁に、振動と逆位相の変形を発生させる力を加えることができ、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の振動を抑制することができる。即ち、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の1つの端部に1つの制御系が形成され、構造が簡単で応答が速い制振装置を提供することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、前記梁に伸縮面を重ねて固定され、前記梁の伸縮量を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、を有し、
前記梁は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、前記伸縮手段は、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の一方の端部に伸縮面を重ねて固定された第1伸縮手段と、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の他方の端部に伸縮面を重ねて固定された第2伸縮手段とを有し、前記検出手段は、前記第1伸縮手段の上方で前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジに伸縮面を重ねて固定され、前記上フランジの伸縮量を検出する第1検出手段と、前記第2伸縮手段の上方で前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジに伸縮面を重ねて固定され、前記上フランジの伸縮量を検出する第2検出手段と、を有し、前記制御手段は、前記第1検出手段及び前記第2検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記第1伸縮手段及び前記第2伸縮手段を伸縮させることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第1検出手段と第2検出手段により、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部の伸縮量がそれぞれ同時に検出され、制御手段は、第1伸縮手段と第2伸縮手段を制御して、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の端部の下フランジの両端部を、同時に長さ方向に伸縮させる。
【0016】
具体的には、第1検出手段と第2検出手段がいずれも同じ方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、制御手段は、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部が鉛直振動を受けていると判断し、例えば、伸びが検出された時は、第1伸縮手段と第2伸縮手段にいずれも伸びを生じさせるよう制御して、下フランジを伸張させる。一方、縮みが検出された時は、第1伸縮手段と第2伸縮手段にいずれも縮みを生じさせるよう制御して、下フランジを縮小させる。
これにより、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の鉛直振動を抑制することができる。
【0017】
これに対し、第1検出手段と第2検出手段が、それぞれ異なる方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、制御手段は、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部が水平振動を受けていると判断し、例えば、伸びが検出された側の端部の第1伸縮手段又は第2伸縮手段を伸びを生じさせるよう制御して、下フランジを伸張させる。一方、縮みが検出された側の端部の第1伸縮手段又は第2伸縮手段には、縮みを生じさせるよう制御して下フランジを縮小させる。
これにより、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の水平振動を抑制することができる。
【0018】
この結果、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の鉛直振動、及び水平振動を抑制することができる。即ち、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部で1つの制御系が完成され、鉛直振動及び水平振動の判別が可能となり、判別結果に基づいて、第1伸縮手段及び第2伸縮手段を制御して、鉛直振動及び水平振動を効果的に抑制することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、前記梁に伸縮面を重ねて固定され、前記梁の伸縮量を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、を有し、
前記梁は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、前記伸縮手段は、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の一方の端部に伸縮面を重ねて固定された第1伸縮手段と、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の他方の端部に伸縮面を重ねて固定された第2伸縮手段とを有し、前記検出手段は、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジの中央部に伸縮面を重ねて固定され、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジの伸縮量を検出し、前記制御手段は、前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記第1伸縮手段及び前記第2伸縮手段を伸縮させることを特徴としている。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、検出手段により、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の上フランジの中央部の伸縮量が検出され、制御手段により、第1伸縮手段と第2伸縮手段が、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の鉛直振動を打ち消す方向に制御される。
【0021】
具体的には、例えば、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の中央部の上フランジが、鉛直方向の振動により、伸ばされている場合には、制御手段は、下フランジは縮められていると判断し、第1伸縮手段及び第2伸縮手段を制御して下フランジを伸張させる。一方、上フランジが、鉛直方向の振動により縮められている場合には、制御手段は、下フランジは伸ばされていると判断し、第1伸縮手段及び第2伸縮手段を制御して下フランジを縮小させる。
これにより、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の鉛直振動を抑制することができる。なお、検出手段は、水平振動を検出することはできず、水平振動の抑制はできない。
【0022】
請求項5に記載の発明は、柱梁架構の梁の下フランジの長手方向の端部に伸縮面を重ねて固定され、前記下フランジを長さ方向に伸縮させる伸縮手段と、前記梁に伸縮面を重ねて固定され、前記梁の伸縮量を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記伸縮手段を伸縮させる制御手段と、を有し、
前記梁は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、前記伸縮手段は、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の一方の端部の前記下フランジの下面に伸縮面を重ねて固定された第1伸縮手段と、前記鉄骨大梁又は鉄骨小梁の他方の端部の前記下フランジの上面に伸縮面を重ねて固定された第2伸縮手段とを有し、前記検出手段は、前記第1伸縮手段が設けられた一方の端部の前記下フランジの上面に伸縮面を重ねて固定された第1検出手段と、前記第2伸縮手段が設けられた他方の端部の前記下フランジの下面に伸縮面を重ねて固定された第2検出手段と、を有し、前記制御手段は、前記第1検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき前記第2伸縮手段を伸縮させ、前記第2検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき前記第1伸縮手段を伸縮させることを特徴としている。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の一方の端部の下フランジの上面に固定された第1検出手段により、他方の端部の下フランジの上面に固定された第2伸縮手段が伸縮され、他方の端部の下フランジの下面に固定された第2検出手段により、一方の下フランジの下面に固定された第1伸縮手段が伸縮される。
【0024】
具体的には、制御手段は、第1検出手段と異なる端部に固定された第2伸縮手段を伸縮させ、第2検出手段と異なる端部に固定された第1伸縮手段を伸縮させる。
これにより、制御手段は、第1検出手段と第2検出手段がいずれも同じ方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部が鉛直振動を受けていると判断し、例えば、伸びが検出された時は、第1伸縮手段と第2伸縮手段がいずれも伸びを生じさせるよう制御して、下フランジを伸張させる。一方、縮みが検出された時は、第1伸縮手段と第2伸縮手段がいずれも縮みを生じさせるよう制御して、下フランジを縮小させる。
これにより、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の鉛直振動を抑制することができる。
【0025】
これに対し、第1伸縮手段と第2伸縮手段が、それぞれ異なる方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、制御手段は、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部が水平振動を受けていると判断し、例えば、伸びが検出された側と反対側の端部の第1伸縮手段又は第2伸縮手段を、縮みを生じさせるよう制御して下フランジを縮小させる。一方、縮みが検出された側の端部の第1伸縮手段又は第2伸縮手段を、伸びを生じさせるよう制御して、下フランジを伸張させる。
これにより、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の水平振動を抑制することができる。
【0026】
この結果、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の鉛直振動、及び水平振動を抑制することができる。即ち、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部で1つの制御系が完成され、鉛直振動及び水平振動の判別が可能となり、判別結果に基づいて、第1伸縮手段及び第2伸縮手段を制御して、鉛直振動及び水平振動を効果的に抑制することができる。また、検出手段と伸縮手段のいずれも下フランジに固定すれば良いため、施工が容易となる。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の制振装置において、前記梁は鉄骨大梁であり、前記伸縮手段は前記鉄骨大梁の前記下フランジを伸縮させ、前記検出手段は、前記鉄骨大梁との接合部であり前記柱の表面に伸縮面を重ねて固定され、前記柱の伸縮量を検出することを特徴としている。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、柱の表面に固定された検出手段により、鉄骨大梁と接合された柱の表面の伸縮量が検出され、制御手段により、鉄骨大梁の端部に固定された伸縮手段が制御され、鉄骨大梁の端部の下フランジが長さ方向に伸縮される。
【0029】
具体的には、制御手段は、検出手段が柱の表面の縮みを検出したとき、下フランジが縮んでいると判断し、伸縮手段を伸ばすよう制御して、下フランジを伸張させる。一方、制御手段は、検出手段が柱の表面の伸びを検出したとき、下フランジが伸びていると判断し、伸縮手段を縮ませるよう制御して、下フランジを縮小させる。
この結果、鉄骨大梁の振動を抑制することができる。即ち、1つの接合部に1つの制御系を配置することができ、構造が簡単で応答が速い制振装置を提供することができる。
【0030】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の制振装置において、前記梁は鉄骨大梁であり、前記伸縮手段は、前記鉄骨大梁の前記下フランジの一方の端部に伸縮面を重ねて固定された第1伸縮手段と、前記下フランジの他方の端部に伸縮面を重ねて固定された第2伸縮手段とを有し、前記検出手段は、前記鉄骨大梁の一方の端部と接合された前記柱に伸縮面を重ねて固定された第1検出手段と、前記鉄骨大梁の他方の端部と接合された前記柱に伸縮面を重ねて固定された第2検出手段とを有し、前記制御手段は、前記第1検出手段及び前記第2検出手段が検出した伸び量又は縮み量に基づき、前記第1伸縮手段及び前記第2伸縮手段を伸縮させることを特徴としている。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、第1検出手段及び第2検出手段により、鉄骨大梁の両端部に接合された2つの柱の表面の伸縮量が検出され、制御手段により、第1伸縮手段及び第2伸縮手段が制御され、鉄骨大梁の端部の下フランジが長さ方向に伸縮される。
【0032】
具体的には、制御手段は、第1検出手段と第2検出手段が同じ方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部が鉛直振動を受けていると判断し、第1検出手段と第2検出手段が、異なる方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部が水平振動を受けていると判断する。
【0033】
即ち、鉛直振動を受けていると判断された場合において、例えば、柱に伸びが検出された時は、第1伸縮手段と第2伸縮手段のいずれも縮みを生じさせるよう制御して、下フランジを縮小させる。一方、柱に縮みが検出された時は、第1伸縮手段と第2伸縮手段のいずれにも伸びを生じさせるよう制御して、下フランジを伸張させる。
これにより、鉄骨大梁の鉛直振動を抑制することができる。
【0034】
一方、水平振動を受けていると判断された場合には、伸びが検出された側の端部の第1伸縮手段又は第2伸縮手段の伸縮を、伸びを生じさせるよう制御して、下フランジを伸張させる。一方、縮みが検出された側の端部の第1伸縮手段又は第2伸縮手段の伸縮を、縮みを生じさせるよう制御して、下フランジを縮小させる。
これにより、鉄骨大梁の水平振動を抑制することができる。
【0035】
この結果、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の鉛直振動、及び水平振動を抑制することができる。即ち、鉄骨大梁又は鉄骨小梁の両端部で1つの制御系が完成され、鉛直振動及び水平振動の判別が可能となり、判別結果に基づいて、第1伸縮手段及び第2伸縮手段を制御して、鉛直振動及び水平振動を効果的に抑制することができる。
【0036】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の制振装置において、前記伸縮手段は、平板状の基板と、前記基板の両側面に固着され印加電圧に応じて前記基板を伸縮させる膜型圧電素子と、を有し、前記検出手段は、平板状の基板と、前記基板の両側面に固着され前記基板の伸縮量に応じた電圧を出力する膜型圧電素子と、を有していることを特徴としている。
【0037】
請求項8に記載の発明によれば、同じ構成の膜型圧電素子により、伸縮量を検出する検出手段と、アクチュエータとして機能させる伸縮手段がそれぞれ形成される。
これにより、伸縮量を検出する専用の検出手段を別途設けなくても、同じ構成の伸縮手段だけで、外力による鉄骨大梁の変形を検出し、同時に鉄骨大梁の振動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、上記構成としてあるので、構造が簡単で応答が速い制振装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1実施形態に係る制振装置の基本構成を示す柱梁架構側面図である。
図2】(A)は本発明の実施形態に係る制振装置で使用されるアクチュエータの基本構成を示す側面図であり、(B)はその平面図であり、(C)は膜型圧電素子の分解斜視図である。
図3】(A)と(B)はいずれも、本発明の実施形態に係る制振装置で使用されるアクチュエータの電気特性を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る制振装置の基本構成を示す柱梁架構側面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る制振装置の基本構成を示す柱梁架構側面図である。
図6】本発明の第4実施形態に係る制振装置の基本構成を示す柱梁架構側面図である。
図7】本発明の第5実施形態に係る制振装置の基本構成を示す柱梁架構側面図である。
図8】本発明の第6実施形態に係る制振装置の基本構成を示す柱梁架構側面図である。
図9】本発明の第7実施形態に係る制振装置の基本構成を示す柱梁架構側面図である。
図10】(A)は、本発明の第7実施形態に係る制振装置の実証実験装置を示すシステム構成図であり、(B)は、実験建物の梁スパンを比較した表である。
図11】(A)(B)は、いずれも本発明の第7実施形態に係る制振装置の実証実験結果を示す加速度特性図である。
図12】本発明の第8実施形態に係る制振装置の基本構成を示す柱梁架構側面図である。
図13】従来例の制振装置の基本構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(第1実施形態)
図1の柱梁架構側面図に示すように、第1実施形態に係る制振装置10は、柱梁架構20の梁12の下フランジ12F1の長手方向の端部に、伸縮手段であるアクチュエータ14を取り付けた構成である。アクチュエータ14は、後述するように平板状に伸縮可能に形成され、伸縮面を下フランジ12F1の表面に重ね合わせて固定されている。
【0041】
アクチュエータ14の取付け位置は、梁12の柱16A側の端部であり、柱16Aとの接合部から作業用のスペースを確保する寸法Lだけ離した、柱16A寄りの端部が望ましい。なお、アクチュエータ14の伸縮面と、下フランジ12F1の表面との固定方法としては、例えば接着剤で直接接合する方法や両端部をビス止めする方法等、自ら伸縮しても、外力が加えられて伸縮しても、接合部にズレが生じない方法であればよい。
これにより、アクチュエータ14を伸縮させることにより、下フランジ12F1に伸縮力を加えることができる。
【0042】
検出手段であるセンサ22は、梁12の上フランジ12F2の下面であり、アクチュエータ14が固定された側の端部のアクチュエータ14の上方に、伸縮面を重ねて固定されている。センサ22は、後述するように、アクチュエータ14と基本的に同じ構成であり、センサ22と上フランジ12F2との固定方法は、アクチュエータ14の固定方法と同じでよい。
【0043】
これにより、外力を受けて梁12が伸縮されたとき、センサ22も伸縮され、センサ22から、上フランジ12F2の伸縮量に伴う起電力が出力される。即ち、上フランジ12F2の伸縮に伴い伸縮されるセンサ22の出力を計測することで、上フランジ12F2の伸縮量を検出することができる。
【0044】
センサ22の出力は、リード線58で制御手段であるコントローラ24に出力され、コントローラ24は、センサ22からの出力に基づいて、リード線59で制御信号を出力してアクチュエータ14を伸縮させる。
ここに、梁12は、H形鋼製の鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、柱16A、16BもH形鋼製とされている。梁12の上には、コンクリート製の床スラブ18が形成されている。なお、柱16A側の柱梁架構20に制振装置10を設けた場合について説明したが、柱16B側の柱梁架構21に制振装置10を設けてもよい。
【0045】
本構成によれば、上フランジ12F2の下面でありアクチュエータ14の上方に、センサ22が固定され、センサ22により、梁12の伸縮量が検出される。コントローラ24は、センサ22の検出結果に基づいて、アクチュエータ14を伸縮させる。アクチュエータ14は、柱梁架構20の梁12の下フランジ12F1の端部に、下フランジ12F1の表面と伸縮面を重ね合わせて固定されており、アクチュエータ14を伸縮させることにより、梁12の下フランジ12F1が長さ方向に伸縮される。
【0046】
具体的には、コントローラ24は、センサ22が上フランジ12F2の縮みを検出したときには、柱梁架構20には、例えば、矢印R1で示す方向の外力が作用して、アクチュエータ14が固定された下フランジ12F1の端部は、伸びていると判断する。この結果、アクチュエータ14を、矢印S1で示す方向へ縮ませて、下フランジ12F1の端部を縮減させるよう制御する。
一方、センサ22が上フランジ12F2の伸びを検出したときには、コントローラ24は、矢印R2で示す方向の外力が作用して、下フランジ12F1の端部は縮んでいると判断する。この結果、アクチュエータ14を、矢印S2で示す方向へ伸ばして、下フランジ12F1の端部を伸張させるよう制御する。
【0047】
これにより、梁12の振動時に、梁12の振動に伴う変形と逆位相の変形を生じさせる力を、梁12の下フランジ12F1に加えることができ、梁12の振動を抑制することができる。更に、アクチュエータ14は、下フランジ12F1の長さ方向の端部に固定されているため、少しの縮み量、伸び量で大きな力を発揮することができる。
即ち、制御対象となる梁12の1つの端部に1つの制御系が形成され、構造が簡単で応答が速い制振装置10を、低コストで提供することができる。
【0048】
次に、アクチュエータ14について説明する。
図2(A)の側面図、(B)の平面図に示すように、アクチュエータ14は、鋼板で形成された基板28の両側面に膜型圧電素子26を固着した構成である。膜型圧電素子26には、リード線122を介して電力が供給される。
【0049】
図2(C)の斜視図に示すように、膜型圧電素子26は、繊維状に形成された圧電セラミック128を平面状に配置し、圧電セラミック128の両側面に電極が印刷されたポリイミドフィルム124を配置し、それらをエポキシ樹脂126で接合した構成である。
【0050】
この膜型圧電素子26は、圧電セラミック128の両側面に、リード線122を介してコントローラ24から電圧を印加すれば、印加された電圧値に従った歪が圧電セラミック128に生じ、膜型圧電素子26が矢印Pの方向に変形する。
【0051】
これにより、基板28の両側面の膜型圧電素子26に、同時に同じ印加電圧を印加することで、基板28を両側面から矢印Pの方向に伸縮させることができる。即ち、基板28を梁12の下フランジ12F1に固定することで、印加電圧に応じて梁12の下フランジ12F1を伸縮させるアクチュエータ14として機能させることができる。また、膜型圧電素子26は、薄膜状とされており、コンパクトなアクチュエータ14を提供できる。
【0052】
更に、膜型圧電素子26は、圧電セラミック128が伸縮されて歪が生じると、歪量に比例した電圧を発生させる特性を有している。即ち、膜型圧電素子26は、外力を受けて変形され、基板28の伸縮量に応じた電圧を出力するため、例えば、基板28を梁12の上フランジ12F2に固定することで、梁12の変形による歪量を検出する歪センサとして機能させることができる。
【0053】
次に、アクチュエータ14の電気特性について説明する。
図3(A)は、印加電圧と発生出力の関係を示す特性図である。横軸は印加電圧(V)であり、縦軸は発生出力(N)である。
実験に使用したアクチュエータ14は、厚さ0.4mmの鋼板(基板)の両側面に、膜型圧電素子26を固着させた構成である。
実験結果は、特性PVで示すように、印加電圧(V)が正(特に鋼板の引張側)の範囲では、特性PVはほぼ直線となっており、印加電圧(V)に比例した発生出力(N)が得られていることが分かる。
【0054】
図3(B)は、アクチュエータ14の加速度信号と、印加電圧との位相差との関係を示している。横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は位相差(度)である。
実験は、図2に示す膜型圧電素子26にAC電圧を印加し、基板28の先端に取り付けた加速度ピックアップ130から検出される加速度信号と、印加電圧との位相差との関係を測定した。
【0055】
実験結果は、特性Qに示すように、周波数(Hz)が高くなるにつれて位相差がほぼ直線状に大きくなり、100Hzで約30度の遅れ位相となっている。実際に発生する梁の振動は10〜20Hz程度であることが既に把握されており、位相遅れは5度から15度程度となり、実用上問題とはならないことが確認された。
なお、後述する実証実験を行い、アクチュエータ14に実用上の問題がないことを検証した。
【0056】
即ち、従来のAMD(Active Mass Damper)やTMD(Tuned Mass Damper)方法に比べ、大きな質量やバネ等を用いる必要がなくなり、これらの搬入や設置のためのコストを軽減できる。また、従来のAMDやTMDが梁上部の中央部に設置されるのに対して、本実施の形態では、梁端部の下フランジ部分に設置する構成である。このため、梁の上部に設置スペースを必要としない長所も有する。
【0057】
次に、制振方法について図1を用いて説明する。なお、各ステップの内容は説明済みであり省略する。
先ず、梁12の伸縮量を検出するステップを実行する。即ち、梁12の上フランジ12F2に取り付けたセンサ22で、梁12の振動(歪量)を検出する。ここに、センサ22は、外力を受けて変形され、伸縮量に応じた電圧をリード線58でコントローラ24に出力する。
【0058】
次に、制御信号を出力するステップを実行する。即ち、コントローラ24が、センサ22から入力された検出結果に基づいて、アクチュエータ14に制御信号を出力する。このとき、アクチュエータ14は、梁12の角部(柱梁架構20)に接合されており、検出された梁12の伸縮と逆位相の伸縮を与えるよう、コントローラ24からアクチュエータ14に制御信号が出力される。
【0059】
最後に、梁12に伸縮力を付与するステップを実行する。即ち、アクチュエータ14は、基盤(伸縮部)28を梁12の下フランジ12F1の表面と重ね合わせて固定されており、印加電圧に応じて伸縮する膜型圧電素子26で、基板28を伸縮させる。この基板28の伸縮により、梁12の下フランジ12F1を伸縮させ、梁12に入力された振動と逆位相の振動を与える。
以上のステップを実行することにより、コンパクトなアクチュエータ14を用いて、梁12のアクティブ制振ができる。
【0060】
(第2実施形態)
図4の柱梁架構側面図に示すように、第2実施形態に係る制振装置30は、梁12の両方の端部に、それぞれ第1実施形態で説明した制振装置10を取り付けた構成である。第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図4に示すように、柱16Aと梁12との柱梁架構20には、第1実施形態で説明した制振装置10と同じ構成の制振装置10Aが取り付けられている。また、柱16Bと梁12との柱梁架構21にも、第1実施形態で説明した制振装置10と同じ構成の制振装置10Bが取り付けられている。制振装置10Aと制振装置10Bは、それぞれ独立して制御する構成とされており、構成機器類は添え字A、Bで区別しているが、いずれも同じ機器類が使用されている。
【0061】
この構成とすることにより、第1実施形態で説明したように、制振装置10Aは柱梁架構20において、梁12の振動をセンサ22Aで検出し、リード線58Aでコントローラ24Aに出力する。コントローラ24Aは、アクチュエータ14Aを制御して、梁12の振動に伴う変形と逆位相の変形を生じさせる力をアクチュエータ14Aに出力させ、アクチュエータ14Aで、梁12の下フランジ12F1に力を加えて、梁12の振動を抑制する。
【0062】
また、制振装置10Bは柱梁架構21において、梁12の振動をセンサ22Bで検出し、リード線59Aでコントローラ24Aに出力する。コントローラ24Bは、アクチュエータ14Bを制御して、梁12の振動に伴う変形と逆位相の変形を生じさせる力をアクチュエータ14Bに出力させ、アクチュエータ14Bで梁12の下フランジ12F1に力を加えて、梁12の振動を抑制する。
【0063】
本実施形態によれば、梁12の両端部の柱梁架構20、21を、第1実施形態で説明した方法で、それぞれ独立して制御することができる。この結果、スラブ18の全体を、より効果的に制御することができる。他の構成は、第1実施形態に係る制振装置10と同一であり、説明は省略する。
【0064】
(第3実施形態)
図5の柱梁架構側面図に示すように、第3実施形態に係る制振装置34は、第2実施形態で説明した制振装置30における2つのコントローラ24A、24Bを、1つのコントローラ36にまとめた点において、第2実施形態と構成が相違する。相違点を中心に説明する。
【0065】
制振装置34において、梁12は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、アクチュエータ14は、梁12の一方の端部(柱梁架構20側)に伸縮面を重ねて固定された第1アクチュエータ14Aと、梁12の他方の端部(柱梁架構21側)に伸縮面を重ねて固定された第2アクチュエータ14Bとを有している。第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bは、いずれも同じ構成である。
【0066】
また、センサ22は、第1アクチュエータ14Aの上方で梁12の上フランジ12F2に伸縮面を重ねて固定され、上フランジ12F2の伸縮量を検出する第1センサ22Aと、第2アクチュエータ14Bの上方で梁12の上フランジ12F2に伸縮面を重ねて固定され、上フランジ12H2の伸縮量を検出する第2センサ22Bとを有している。第1センサ22Aと第2センサ22Bは、いずれも同じ構成である。
【0067】
また、第1センサ22A及び第2センサ22Bの検出結果は、リード線58A、58Bでコントローラ36に出力され、コントローラ36は、第1センサ22A及び第2センサ22Bが検出した、伸び量又は縮み量に基づいて、リード線58A、58Bで第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bに制御信号を出力して、第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bを伸縮させる。
【0068】
即ち、第1センサ22Aと第2センサ22Bにより、梁12の両端部の伸縮量がそれぞれ同時に検出され、コントローラ36は、第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bを制御して、梁12の端部の下フランジ12F1の両端部を、同時に長さ方向に伸縮させる。
【0069】
具体的には、第1センサ22Aと第2センサ22Bが、いずれも同じ方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、コントローラ36は、梁12の両端部が鉛直振動を受けていると判断する。
例えば、伸びが検出された時は、コントローラ36は、梁12の両端部が矢印R2方向の変形をしていると判断して、第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bに、いずれも矢印S2方向の伸びを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を伸張させる。
【0070】
一方、縮みが検出された時は、コントローラ36は、梁12の両端部が矢印R1方向の変形をしていると判断して、第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bに、いずれも矢印S1方向の縮みを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を縮小させる。これにより、梁12の鉛直振動を抑制することができる。
【0071】
これに対し、第1センサ22Aと第2センサ22Bが、それぞれ異なる方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、コントローラ36は、梁12の両端部が水平振動を受けていると判断する。
例えば、柱梁架構20の第1センサ22Aで伸びが検出され、柱梁架構21の第2センサ22Bで縮みが検出された場合には、コントローラ36は、柱梁架構20では、矢印R2方向の変形が生じており、柱梁架構21では、矢印R1方向の変形が生じていると判断する。
【0072】
次に、コントローラ36は、伸びが検出された柱梁架構20側の端部にある第1アクチュエータ14Aを、伸びを生じさせるよう矢印S2の方向へ制御して、下フランジ12F1を伸張させる。一方、縮みが検出された柱梁架構21側の端部にある第2アクチュエータ14Bを、縮みを生じさせるよう矢印S1の方向へ制御して、下フランジ12F1を縮小させる。これにより、梁12の水平振動を抑制することができる。
【0073】
この結果、梁12の鉛直振動、及び梁12の水平振動を、それぞれ抑制することができる。即ち、梁12の両端部(柱梁架構20、21)が1つの制御系で制御される。即ち、第1センサ22Aと第2センサ22Bの出力から、鉛直振動及び水平振動の判別が可能となり、判別結果に基づいて、コントローラ36は、第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bを、それぞれ独立に制御して、鉛直振動及び水平振動を効果的に抑制する。他の構成は、第2実施形態に係る制振装置30と同一であり、説明は省略する。
【0074】
(第4実施形態)
図6の柱梁架構側面図に示すように、第4実施形態に係る制振装置40は、第1実施形態に係る制振装置10と、センサ23の設置場所が異なり、更に、アクチュエータ14Bが追加されている点において相違する。相違点を中心に説明する。
【0075】
制振装置40のセンサ23は、梁12の中央部の上フランジ12F2の下面に取付けられている。また、センサ23の出力は、リード線58でコントローラ42に出力される。
また、柱梁架構20には第1アクチュエータ14Aが固定され、柱梁架構21には第2アクチュエータ14Bが固定されている。第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bは、それぞれコントローラ42と、リード線59A、59Bでつながれている。
これにより、センサ23で梁12の上フランジの中央部の伸縮量が検出され、コントローラ42により、第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bが制御され、梁12の鉛直振動を打ち消すことができる。
【0076】
具体的には、例えば、センサ23からの出力により、梁12の中央部の上フランジ12F2が、鉛直方向の振動により伸ばされていると判断される場合には、コントローラ42は、下フランジ12F1が縮められていると判断し、第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bを、いずれも矢印S2の方向へ制御して下フランジ12F1を伸張させる。
【0077】
一方、センサ23からの出力により、上フランジ12F2が、鉛直方向の振動により縮められていると判断される場合には、コントローラ42は、下フランジ12F1は伸ばされていると判断し、第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bを、いずれも矢印S1の方向へ制御して下フランジ12F1を縮小させる。
【0078】
これにより、梁12の鉛直振動を抑制することができる。即ち、本実施形態では、センサ23の振動検出位置と、第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bの振動制御位置では、変位は同位相となる。このため、コントローラ42は、制御用の逆位相の信号を出力する必要がない。なお、センサ23は、梁12の中央部に取付けられているため、水平振動を検出することはできず、水平振動の抑制はできない。
他の構成は、第1実施形態に係る制振装置10と同一であり、説明は省略する。
【0079】
(第5実施形態)
図7の柱梁架構の側面図に示すように、第5実施形態に係る制振装置46は、第1実施形態で説明した制振装置10と、センサ22の取り付け位置が相違する。相違点を中心に説明する。
【0080】
制振装置46は、柱梁架構20に設けられて柱梁架構20を制御する。梁12は鉄骨大梁であり、アクチュエータ14は梁12の下フランジ12F1に固定され、センサ22は、梁12との接合部であり柱16Aの表面16Fに伸縮面を重ねて固定されている。また、センサ22とコントローラ48はリード線58Aでつながれ、アクチュエータ14とコントローラ48はリード線58Aでつながれている。
【0081】
本構成によれば、柱16Fの表面に固定されたセンサ22により、梁12と接合された柱16Aの表面16Fの伸縮量が検出され、コントローラ48により、梁12の端部に固定されたアクチュエータ14が制御され、梁12の端部の下フランジ12F1が長さ方向に伸縮される。
【0082】
具体的には、コントローラ48は、センサ22が、柱16の表面16Fの縮みを検出したとき、梁12には矢印R1の方向の力が作用し、下フランジ12F1が縮んでいると判断し、矢印S2の方向へアクチュエータ14を伸ばすように制御して、下フランジ12F1を伸張させる。
【0083】
一方、コントローラ48は、センサ22が柱16の表面16Fの伸びを検出したとき、梁12には矢印R2の方向の力が作用し、下フランジ12F1が伸びていると判断し、矢印S1の方向へアクチュエータ14を縮ませるよう制御して、下フランジ12F1を縮小させる。
【0084】
この結果、梁12の振動を抑制することができる。即ち、1つの接合部(柱梁架構20)に1つの制御系(制振装置46)を配置することで振動が抑制できると共に、構造が簡単で応答が速い制振装置46を提供することができる。
他の構成は、第1の実施の形態に係る制振装置10と同一であり、説明は省略する。
【0085】
(第6実施形態)
図8の柱梁架構の側面図に示すように、第6実施形態に係る制振装置50は、第5実施形態に係る制振装置46を、梁12の両端部(柱梁架構20と柱梁架構21)に取り付けた構成である。相違点を中心に説明する。
【0086】
制振装置50は、柱梁架構20に設けた制振装置46Aと、柱梁架構21に設けた制振装置46Bとを有している。制振装置46Aと制振装置46Bは、いずれも、第5実施形態に係る制振装置46と同じ構成であり、説明は省略する。
【0087】
これにより、制振装置46Aにおいては、コントローラ48Aは、第1センサ22Aが検出した柱16Aの伸び量又は縮み量に基づいて、第5実施形態と同じ要領で、第1アクチュエータ14Aを伸縮させ、下フランジ12F1を伸縮させる。
また、制振装置46Bにおいては、コントローラ48Bは、第2センサ22Bが検出した柱16Bの伸び量又は縮み量に基づいて、第5実施形態と同じ要領で、第2アクチュエータ14Bを伸縮させ、下フランジ12F1を伸縮させる。
【0088】
この結果、梁12の両端部の振動を、それぞれ独立して抑制することができ、広い範囲で床スラブ18の振動を抑制できる。他の構成は、第5実施形態に係る制振装置10と同一であり、説明は省略する。
【0089】
(第7実施形態)
図9の柱梁架構側面図に示すように、第7実施形態に係る制振装置54は、第3実施形態に係る制振装置34におけるセンサ22A、22Bを、それぞれ梁12の下フランジ12F1の両端部に移動させた構成である。相違点を中心に説明する。
【0090】
制振装置54において、梁12は鉄骨大梁又は鉄骨小梁であり、第1アクチュエータ14Aは、梁12の一方の端部(柱梁架構20)の下フランジ12F1の下面に、伸縮面を重ねて固定されており、第2アクチュエータ14Bは、梁12の他方の端部(柱梁架構21)の下フランジ12F1の下面に、伸縮面を重ねて固定されている。
【0091】
また、第1センサ22Aは、第1アクチュエータ14Aが設けられた一方の端部(柱梁架構20)の下フランジの上面に伸縮面を重ねて固定されており、第2センサ22Bは、第2アクチュエータ14Bが設けられた他方の端部(柱梁架構21)の下フランジの下面に伸縮面を重ねて固定されている。即ち、第1センサ22Aと第1アクチュエータ14A、及び第2センサ22Bと第2アクチュエータ14Bは、下フランジ12F1を挟んで上面と下面にそれぞれ固定されている。
また、コントローラ36は、第1センサ22Aが検出した伸び量又は縮み量に基づいて第2アクチュエータ14Bを伸縮させ、第2センサ22Bが検出した伸び量又は縮み量に基づいて、第1アクチュエータ14Aを伸縮させる。
【0092】
即ち、梁12の一方の端部(柱梁架構20)の下フランジ12F1の上面に固定された第1センサ22Aにより、他方の端部(柱梁架構21)の下フランジ12F1の下面に固定された、第2アクチュエータ14Bが伸縮される。また、他方の端部(柱梁架構21)の下フランジ12F1の下面に固定された第2センサ22Bにより、一方の端部(柱梁架構20)の下フランジ12F1の下面に固定された、第1アクチュエータ14Aが伸縮される。これにより、振動検出位置と振動制御位置を離すことができ、梁12の振動検出と梁12の振動制御の精度を高めることができる。
【0093】
具体的には、コントローラ56は、第1センサ22Aと異なる端部(柱梁架構21)に固定された第2アクチュエータ14Bを伸縮させ、第2センサ22Bと異なる端部(柱梁架構20)に固定された第1アクチュエータ14Aを伸縮させる。
これにより、コントローラ36は、第1センサ22Aと第2センサ22Bがいずれも同じ方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、梁12の両端部が鉛直振動を受けていると判断する。
【0094】
例えば、第1センサ22Aと第2センサ22Bが、いずれも伸びを検出した時には、第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bが、いずれも伸びを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を伸張させる。
一方、第1センサ22Aと第2センサ22Bが、いずれも縮みを検出した時には、第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bが、いずれも縮みを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を縮小させる。
これにより、梁12の鉛直振動を抑制することができる。
【0095】
これに対し、第1センサ22Aと第2センサ22Bが、それぞれ異なる方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、コントローラ36は、梁12の両端部が水平振動を受けていると判断する。
例えば、第1センサ22Aと第2センサ22Bの出力から、伸びが検出された側と反対側の端部の第1アクチュエータ14A又は第2アクチュエータ14Bを、縮みを生じさせるよう制御して下フランジ12F1を縮小させる。
一方、第1センサ22Aと第2センサ22Bの出力から、縮みが検出された側の端部の第1アクチュエータ14A又は第2アクチュエータ14Bを、伸びを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を伸張させる。
これにより、梁12の水平振動を抑制することができる。
【0096】
この結果、梁12の鉛直振動、及び水平振動を抑制することができる。即ち、梁12の両端部で1つの制御系が完成され、鉛直振動及び水平振動の判別が可能となり、判別結果に基づいて、第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bを制御して、鉛直振動及び水平振動を効果的に抑制することができる。また、第1センサ22Aと第2センサ22B、及び第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bのいずれも下フランジに固定すればよいため、施工が容易となる。
【0097】
次に、本実施形態を用いた実証実験について説明する。
図10(A)は制振装置54の実証実験装置を示している。実証実験は、現在使用されている建物の一部を用いて行った。柱140の間に架けられたH形鋼製の大梁142と、大梁142の間に架けられたH形鋼製の小梁144で床152が支持された構成である。実証実験は、図10(B)に示すように、大梁142のスパンSP1、SP2が異なる2つの実験建物H1、H2を用いて行った。
【0098】
図10(A)は、2階の床を1階から見上げた図であり、小梁144の両端部には、センサ146A、146B及びアクチュエータ148A、148Bが、それぞれ1個ずつ横に並べて固定されており、小梁145の両端部には、センサ146C、146C及びアクチュエータ148C、148Dが、それぞれ1個ずつ横に並べて固定されている。
また、4箇所のアクチュエータ148A、148B、148C、148Dのほぼ中央部には、床152の振動を検出する加速度センサ154が取り付けられている。加速度センサ154は、床152の上面に取り付けられている。
【0099】
本構成においては、1つのコントローラ150で、小梁144、145をそれぞれ独立して制御している。即ち、センサ146Aで検出された小梁144の端部の歪量に基づいて、コントローラ150が反対側の端部にあるアクチュエータ148Bを伸縮させる。また、センサ146Bで検出された小梁144の端部の歪量に基づいて、コントローラ150が反対側の端部にあるアクチュエータ148Aを伸縮させる。この結果、アクチュエータ148A、148Bの伸縮により、大梁142と接合された状態で、小梁144の下フランジを伸縮させ、小梁144にセンサ146A、146Bで検出された震動と逆位相の震動を与えることができる。
【0100】
同様に、センサ146Cで検出された小梁145の端部の歪量に基づいて、コントローラ150が反対側の端部にあるアクチュエータ148Dを伸縮させる。また、センサ146Cで検出された小梁145の端部の歪量に基づいて、コントローラ150が反対側の端部にあるアクチュエータ148Cを伸縮させる。この結果、アクチュエータ148C、148Dの伸縮により、大梁142と接合された状態で、小梁145の下フランジを伸縮させ、小梁145にセンサ146C、146Dで検出された震動と逆位相の震動を与えることができる。
【0101】
先ず、加速度振幅の実証実験結果について説明する。
加速度振幅の実証実験は、実験建物H1を用い、加速度センサ154の近くに加振機156を設置し、加振機156で、床152を加振させた。加振は、振動数が8.5Hzの正弦波とした。実証実験は、制振装置54を使用していない場合と、制振装置54を使用した場合について、それぞれ加速度センサ154の出力を計測した。
【0102】
実証実験の結果を図12(A)に示す。図12(A)の横軸は時間(s)であり、縦軸は加速度振幅(gal)である。細い実線で示す特性が、制振装置54を使用していない場合の加速度振幅であり、太い実線で示す特性が、制振装置54を使用した場合の加速度振幅である。
実証実験結果から、制振装置54を使用していない場合は、加速度振幅の最大値が約±4.0(gal)であったものが、制振装置54を使用することで、加速度振幅の最大値が約±1.0(gal)となっている。即ち、加速度振幅の最大値が4分の1程度まで低下しており、大きな加速度振幅の抑制効果が見られた。本実施形態における振動抑制効果が検証されたといえる。
【0103】
次に、感覚補正加速度の実証実験について説明する。
感覚補正加速度の実証実験は、実験建物H2を用いて、加速度センサ154の近くを被験者に歩行させ、歩行による床152の震動を測定した。なお、歩行振動には、多くの周波数成分が含まれているため、加速度計に感覚補正フィルターを取り付け、人間の感覚に反応し易い周波数成分(例えば振動数13.6Hz)を抽出した。
実証実験は、上記と同様に、制振装置54を使用していない場合と、制振装置54を使用した場合のそれぞれについて行った。
【0104】
実証実験結果を図11(B)に示す。図12(B)の横軸は時間(s)であり、縦軸は感覚補正加速度(gal)である。細い実線で示す特性が、制振装置54を使用していない場合の感覚補正加速度であり、太い実線で示す特性が、制振装置54を使用した場合の感覚補正加速度である。
実証実験結果から、制振装置54を使用していないときは、感覚補正加速度の最大値が約±4.0(gal)であったものが、制振装置54を使用することで、感覚補正加速度の最大値が約±1.4(gal)となっている。即ち、加速度振幅の最大値が3分の1程度まで低下しており、大きな感覚補正加速度の抑制効果が見られた。本実施形態における感覚補正加速度の抑制効果が検証されたといえる。
【0105】
(第8実施形態)
図12の柱梁架構の側面図に示すように、第8実施形態に係る制振装置60は、第6実施形態で説明した制振装置50とは、コントローラ62を1つとした点において相違する。相違点を中心に説明する。
【0106】
制振装置60において、梁12は鉄骨大梁であり、梁12の下フランジ12F1の一方の端部(柱梁架構20)に伸縮面を重ねて固定された第1アクチュエータ14Aと、下フランジ12F1の他方の端部(柱梁架構21)に伸縮面を重ねて固定された第2アクチュエータ14Bとを有している。
また、梁12の一方の端部と接合された柱16Aに伸縮面を重ねて固定された第1サンサ22Aと、梁12の他方の端部と接合された柱16Bに伸縮面を重ねて固定された第2センサ22Bとを有している。
コントローラ62は、第1センサ22A及び第2センサ22Bが検出した伸び量又は縮み量に基づいて、第1アクチュエータ14A、及び第2アクチュエータ14Bを伸縮させる。
【0107】
これにより、第1センサ22A及び第2センサ22Bにより、梁12の両端部(柱梁架構20、21)に接合された2つの柱16A、16Bの表面の伸縮量が検出され、コントローラ62により、第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bが制御され、梁12の両端部の下フランジ12F1が長さ方向に伸縮される。
【0108】
具体的には、コントローラ62は、第1センサ22Aと第2センサ22Bが同じ方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、梁12の両端部が鉛直振動を受けていると判断する。一方、第1センサ22Aと第2センサ22Bが、異なる方向の変形(伸び又は縮み)を検出した場合には、梁12の両端部が水平振動を受けていると判断する。
【0109】
即ち、鉛直振動を受けていると判断された場合においては、例えば、柱16A、16Bに伸びが検出された時は、コントローラ62は、第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bのいずれも縮みを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を縮小させる。
一方、柱16A、16Bに縮みが検出された時は、コントローラ62は、第1アクチュエータ14Aと第2アクチュエータ14Bのいずれにも伸びを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を伸張させる。
これにより、梁12の鉛直振動を抑制することができる。
【0110】
これに対し、水平振動を受けていると判断された場合には、コントローラ62は、伸びが検出された側の端部の第1アクチュエータ14A又は第2アクチュエータ14Aの伸縮を、伸びを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を伸張させる。
一方、コントローラ62は、縮みが検出された側の端部の第1アクチュエータ14A又は第2アクチュエータ14Aの伸縮を、縮みを生じさせるよう制御して、下フランジ12F1を縮小させる。
これにより、梁12の水平振動を抑制することができる。
【0111】
この結果、梁12の鉛直振動、及び水平振動を抑制することができる。即ち、梁12の両端部で1つの制御系が完成され、鉛直振動及び水平振動の判別が可能となり、判別結果に基づいて、第1アクチュエータ14A及び第2アクチュエータ14Bを制御して、鉛直振動及び水平振動を効果的に抑制することができる。
他の構成は、第6実施形態に係る制振装置50と同一であり説明は省略する。
【符号の説明】
【0112】
10 制振装置
12 梁(大梁、小梁)
12F1 下フランジ
12F2 上フランジ
14 アクチュエータ(伸縮手段)
16 柱
20 柱梁架構
22 センサ(検出手段)
24 コントローラ(制御手段)
26 膜型圧電素子
27 伸縮面
28 基板
図1
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図2