(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略直方体状のセラミックチップの長さ寸法又は幅寸法を規定する面上に位置する1つの第1面状部分と、前記セラミックチップの少なくとも高さ寸法を規定する面上に位置し前記第1面状部分と連続する少なくとも1つの第2面状部分と、を有する2個以上の外部電極を備えたセラミック電子部品であって、
前記第1面状部分は、前記セラミックチップの外面に成膜された焼付け金属膜と、前記焼付け金属膜の外面に成膜されたメッキ金属膜によって構成されており、
前記第2面状部分は、前記セラミックチップの外面に成膜され、且つ、前記第1面状部分の前記焼付け金属膜と連続した焼付け金属膜と、密着力緩和膜を介して前記焼付け金属膜の外面に成膜され、且つ、前記第1面状部分の前記メッキ金属膜と連続したメッキ金属膜によって構成されており、
前記第2面状部分の前記密着力緩和膜は、前記第2面状部分の前記メッキ金属膜の内面に対する密着力よりも前記第2面状部分の前記焼付け金属膜の外面に対する密着力が低い、
セラミック電子部品。
【背景技術】
【0002】
部品本体としてセラミックチップを用いたセラミック電子部品、例えばコンデンサやインダクタやレジスタ等は、概して、略直方体状のセラミックチップの外面に2個以上の外部電極が設けられている。各外部電極は、セラミックチップの長さ寸法又は幅寸法を規定する面上に位置する1つの第1面状部分と、前記セラミックチップの少なくとも高さ寸法を規定する面上に位置し前記第1面状部分と連続する少なくとも1つの第2面状部分とを有しており、その高さ方向に沿う断面形は略コ字形又は略L字形である。
【0003】
このようなセラミック電子部品は、各外部電極の主として第2面状部分をハンダ等の接合材を介して基板の導体パッドに電気的に接続することによって該基板に実装される。しかしながら、この実装状態において熱衝撃等を原因として基板に撓みが生じると、この撓みに基づく応力が導体パッド、接合材及び外部電極を通じてセラミックチップに伝わり、この応力によってセラミックチップのセラミック部分やセラミックチップの内外に設けられた導体部分に亀裂や変形等が発生して、結果的にセラミック電子部品の性能低下を引き起こす
虞がある。
【0004】
下記特許文献1の
図1には、前記応力に相当する応力によってセラミック素体1にクラックが発生することを防止するため、外部端子電極5a及び5bの回り込み部15a及び15bに、セラミック素体1の主面11及び12と離間した先端離間部15a2及び15b2を設けたものが開示されている。しかしながら、外部端子電極5a及び5bの回り込み部15a及び15bはセラミック素体1の主面11及び12と接合した基端側接合部15a1及び15b1を有するものであるため、前記応力に相当する応力が外部端子電極5a及び5bを通じてセラミック素体1に伝わることは抑制し難い。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、
図1及び
図2を引用して、本発明を積層セラミックコンデンサに適用した実施形態について説明する。
【0012】
図1から分かるように、積層セラミックコンデンサ10(以下、単にコンデンサ10と言う)は、略直方体状のセラミックチップ11の外面に2個の外部電極12が設けられている。
【0013】
セラミックチップ11は長さ寸法(
図1における左右方向寸法)>幅寸法(
図1における前後方向寸法)=高さ寸法(
図1における上下方向寸法)、又は長さ寸法>幅寸法>高さ寸法の寸法関係を有しており、8個の角部には丸みが付いている。セラミックチップ11は、容量形成層11aを介して高さ方向に積層された複数(
図1では16)の内部電極層11bと、高さ方向両側の内部電極層11bそれぞれを覆うように設けられた保護層11cを有している。複数の内部電極層11bの一部(
図1の上から奇数番目)の端は外部電極12の一方(
図1の左側)に接続され、且つ、他部(
図1の上から偶数番目)の端は外部電極12の他方(
図1の右側)に接続されている。
図1には、図示の便宜上、内部電極層11bの総数を16としてあるが、実際の総数はこれよりも多い。
【0014】
セラミックチップ11の各内部電極層11bを除く部分、即ち、各容量形成層11a及び各保護層11cの材料には誘電体セラミックス、好ましくはε>1000又はクラス2(高誘電率系)の誘電体セラミックスが用いられており、各容量形成層11aの厚さ寸法は略同じであり、各保護用誘電体層11cの厚さ寸法も略同じである。各容量形成層11a及び各保護層11cに用いられる誘電体セラミックスの具体例としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、又は酸化チタンが挙げられる。また、誘電体チップ11の各内部電極層11bの材料には金属が用いられており、各内部電極層11aの厚さ寸法と上面視形状(略矩形)は略同じである。各内部電極層11bに用いられる金属の具体例としては、ニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、又はこれらの合金が挙げられる。
【0015】
一方、各外部電極12は、セラミックチップ11の長さ寸法を規定する面上に位置する略矩形輪郭の1つの第1面状部分SEaと、セラミックチップ11の高さ寸法を規定する面上の両方並びに幅寸法を規定する面上の両方に位置し第1面状部分SEaと連続する略矩形輪郭の4つの第2面状部分SEbとを有している。即ち、各外部電極12は、略矩形輪郭の1つの第1面状部分SEaと略4角筒状を成す4つの第2面状部分SEbとが連続した形状であり、その高さ方向に沿う断面形は略コ字形である。また、セラミックチップ11の8個の角部には丸みが付いているため、第1面状部分SEaと各第2面状部分SEbとの境界には丸みを帯びた環状部分SEc(以下、境界部分SEcと言う)が存在している。
【0016】
尚、前記境界部分SEcは第1面状部分SEaと各第2面状部分SEbの共有部分であるため、本明細書並びに特許請求の範囲では外部電極12の一部分として捕らえていない。但し、外部電極12の膜構成を分かり易く説明するために、以下の記載では境界部分SEcを外部電極12の部分区域を示す用語として扱う。
【0017】
図2から分かるように、第1面状部分SEa及び境界部分SEcは、セラミックチップ11の外面に成膜された焼付け金属膜12aと、焼付け金属膜12aの外面に成膜されたメッキ金属膜12bによって構成されている。また、第2面状部分SEbは、セラミックチップ11の外面に成膜された焼付け金属膜12aと、密着力緩和膜12cを介して焼付け金属膜12aの外面に成膜されたメッキ金属膜12bによって構成されている。因みに、第1面状部分SEaを構成する焼付け金属膜12aと第2面状部分SEbを構成する焼付け金属膜12aは連続した1つの焼付け金属膜であり、第1面状部分SEaを構成するメッキ金属膜12bと第2面状部分SEbを構成するメッキ金属膜12bは連続した1つのメッキ金属膜である。
【0018】
焼付け金属膜12aは金属粉末を含むペーストを塗布し焼付け処理を施すことによって形成された金属膜であって、焼付け金属膜12aに用いられる金属の具体例としては、ニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金、又はこれらの合金が挙げられる。また、メッキ金属膜12bは電解メッキや無電解メッキ等のメッキ法を用いて形成された金属膜であって、メッキ金属膜12bに用いられる金属の具他例としては、スズ、銀、パラジウム、金、又は銅が挙げられる。密着力緩和膜12cはスパッタリングや真空蒸着等の物理的気相成長法(PVD)を用いて形成された金属膜であって、密着力緩和膜12cに用いられる金属の具体例としては、スズ、銀、パラジウム、金、又は銅が挙げられる。肝要な点は、密着力緩和膜12cとして、メッキ金属膜12bの内面に対する密着力よりも焼付け金属膜12aの外面に対する密着力が低くなるような金属膜を用いることにある。
【0019】
次に、
図3を引用して、
図1及び
図2に示した実施形態(コンデンサ10)によって得られる作用及び効果について説明する。
【0020】
前記コンデンサ10は、各外部電極12の主として第2面状部分SEbをハンダ等の接合材30を介して基板20の導体パッド21に電気的に接続することによって該基板20に実装される。
図3に示したように導体パッド21の端部が各外部電極12よりも外側に張り出している場合には、各外部電極12の第1面状部分SEaの外面に接合材30が濡れ上がることによってフィレット30aが形成される。
【0021】
この実装状態において熱衝撃等を原因として基板20に撓みBE(
図3の太線矢印を参照)が生じると、この撓みBEに基づく応力が導体パッド21、接合材30及び外部電極12を通じてセラミックチップ11に伝わり、この応力によってセラミックチップ11の各容量形成層11a及び各保護層11cやセラミックチップ11内に設けられた各内部電極層11bに亀裂や変形等が発生して、結果的にコンデンサ10に性能低下、具体的にはキャパシタンス低下等を引き起こす
虞がある。
【0022】
ところが、前記コンデンサ10にあっては、各外部電極12の第2面状部分SEbが、セラミックチップ11の外面に成膜された焼付け金属膜12aと、密着力緩和膜12cを介して焼付け金属膜12aの外面に成膜されたメッキ金属膜12bによって構成されており、焼付け金属膜12aの外面に対するメッキ金属膜12bの密着力が密着力緩和膜12cによって緩和されている。
【0023】
そのため、基板20の撓みBEに基づく応力が導体パッド21、接合材30及び外部電極12を通じてセラミックチップ11に伝わることを、(1)第2面状部分SEbを構成する密着力緩和膜12cと焼付け金属膜12aとの密着を解く作用(図示省略)、加えて(2)第2面状部分SEbを構成する密着力緩和膜12cがメッキ金属膜12bと一緒に焼付け金属膜12aから剥離する作用(
図3の剥離EXを参照)、によって抑制することができる。
【0024】
つまり、前記コンデンサ10にあっては、基板20の撓みBEに基づく応力がセラミックチップ11に伝わることを前記作用(1)又は前記作用(1)及び(2)によって抑制できるため、該応力によってセラミックチップ11の各容量形成層11a及び各保護層11cやセラミックチップ11内に設けられた各内部電極層11bに亀裂や変形等が発生することを極力防止して、コンデンサ10にキャパシタンス低下等の性能低下が生じることを極力回避することができる。
【0025】
この作用及び効果を検証するために、長さ寸法が2.0mmで幅寸法及び高さ寸法が1.25mmのサンプル(前記コンデンサ10相当品)を10個用意してこれらに撓み強度試験を実施した。因みに、各サンプルのセラミックチップ11の各内部電極層11bを除く部分にはチタン酸バリウムが用いられ、各内部電極層11bにはニッケルが用いられている。また、各サンプルの外部電極12の焼付け金属膜12aにはニッケルが用いられ、メッキ金属膜12b(電解メッキによって形成)にはスズが用いられ、密着力緩和膜12c(スパッタリングによって形成)には銅が用いられており、焼付け金属膜12aの厚さは5μm、メッキ金属膜12bの厚さは3μm、密着力緩和膜12cの厚さは0.05μmである。
【0026】
ここでの撓み強度試験は、サンプルをJIS−C−6484準拠のガラスエポキシ基板の一面にハンダ付けした後、該ガラスエポキシ基板の一面におけるサンプルハンダ付け箇所から両側45mmのところを駒で支えた状態でその他面におけるサンプルハンダ付け箇所に相当する部位をジグ(押圧部が曲率半径230mmの曲面から成るもの)で0.5mm/secの一定速度で下側に押圧して変形させ、該変形過程でジグの押し込み量(単位はmm)とサンプルのキャパシタンス低下を測定する試験である。
【0027】
試験の結果、ジグの押し込み量が10mmに達するまでに12.5%以上のキャパシタンス低下が発生しなかったサンプルは10個のうち6個もあり、該サンプル10個の撓み強度(mm)は略7.4mmを優に超えていることも確認できた。また、試験後のサンプル10個のガラスエポキシ基板側の第2面状部分SEbの態様を光学顕微鏡で観察したところ、前記作用(1)又は前記作用(1)及び(2)が生じていることも確認できた。
【0028】
一方、比較のために、前記サンプルから密着力緩和膜12cを排除した比較サンプル10個を用意してこれらに同様の撓み強度試験を実施したところ、ジグの押し込み量が10mmに達するまでに12.5%以上のキャパシタンス低下が発生した比較サンプルは10個のうち10個であり、該比較サンプル10個の撓み強度(mm)の平均値は略3.6mmであって前記7.4mmよりも低いことも確認できた。
【0029】
次に、
図4〜図
6を個別に引用して、
図1及び
図2に示した実施形態(コンデンサ10)の第1〜第
3変形例について説明する。
【0030】
[第1変形例(
図4)]
この第1変形例は、
図1及び
図2に示した実施形態(コンデンサ10)と、
・外部電極12-1の第1面状部分SEaが、セラミックチップ11の外面に成膜された焼
付け金属膜12a-1と、焼付け金属膜12a-1の外面に成膜されたメッキ金属膜12b
-2によって構成されている点
・外部電極12-1の第2面状部分SEb及び境界部分SEcが、セラミックチップ11の
外面に成膜された焼付け金属膜12a-1と、密着力緩和膜12c-1を介して焼付け金属
膜12a-1の外面に成膜されたメッキ金属膜12b-1によって構成されている点
において、即ち、密着力緩和膜12c-1を第2面状部分SEbのみならず境界部分SEcにまでも及ぶように設けた点において構造を異にする。
【0031】
この第1変形例であっても、前記作用(1)又は前記作用(1)及び(2)と同等の作用を得て、先に述べた効果と同等の効果を得ることができる。
【0032】
[第
2変形例(図
5)]
この第
2変形例は、
図1及び
図2に示した実施形態(コンデンサ10)と、
・外部電極12-3の第2面状部分SEbにおける焼付け金属膜12a-3の長さ寸法をメッ
キ金属膜12b-3及び密着力緩和膜12c-3の長さ寸法よりも短くした点
において、即ち、メッキ金属膜12b-3の端部が密着力緩和膜12c-3を介してセラミックチップ11の外面に成膜されている点において構造を異にする。
【0033】
この第
2変形例であっても、密着力緩和膜12c-3のセラミックチップ11の外面に対する密着力は焼付け金属膜12a-3の外面に対する密着力と同じように低いため、前記作用(1)又は前記作用(1)及び(2)
と同様の作用の他に、(3)第2面状部分SEbを構成する密着力緩和膜12c-3とセラミックチップ11との密着を解く作用、加えて(4)第2面状部分SEbを構成する密着力緩和膜12c-3がメッキ金属膜12b-3と一緒にセラミックチップ11から剥離する作用(図示省略)を得て、先に述べた効果と同等の効果を得ることができる。
【0034】
[第
3変形例(図
6)]
この第
3変形例は、
図1及び
図2に示した実施形態(コンデンサ10)と、
・外部電極12-6の第2面状部分SEaが、セラミックチップ11の高さ寸法を規定する
面上の一方のみ(
図9における下側)に設けられている点
・外部電極12-6が、略矩形輪郭の1つの第1面状部分SEaと略矩形輪郭の1つの第2
面状部分SEbとが連続した形状となっていて、その高さ方向に沿う断面形が略L字形
である点
において構造を異にする。因みに、外部電極12-6の第1面状部分SEa及び境界部分SEcは、焼付け金属膜12a-6及びメッキ金属膜12b-6によって構成され、第2面状部分SEbは、焼付け金属膜12a-6、メッキ金属膜12b-6及び密着力緩和膜12c-6によって構成されている。
【0035】
この第
3変形例であっても、前記作用(1)又は前記作用(1)及び(2)と同等の作用を得て、先に述べた効果と同等の効果を得ることができる。
【0036】
次に、
図1及び
図2に示した実施形態(コンデンサ10)と
図4〜図
6に示した第1〜第
3変形例で共通の変形事項について説明する。
【0037】
[第1変形事項]
複数の内部電極層11bの端がセラミックチップ11の幅寸法を規定する面で露出する場合(複数の内部電極層11bの向きが上から見て90度異なる場合)は、外部電極12
、12-1及び12-3の1つの第1面状部分SEaをセラミックチップ11の幅寸法を規定する面上に位置させ、これと連続するように4つの第2面状部分SEbのうちの2つをセラミックチップ11の高さ寸法を規定する面上の両方に位置させ、且つ、残りの2つをセラミックチップ11の長さ寸法を規定する面上の両方に位置させれば良い。この場合の外部電極も、略矩形輪郭の1つの第1面状部分SEaと略4角筒状を成す4つの第2面状部分SEbとが連続した形状となるため、外部電極12
、12-1及び12-3と同様に、その高さ方向に沿う断面形は略コ字形となる。
【0038】
[第2変形事項]
複数の内部電極層11bの端がセラミックチップ11の幅寸法を規定する面で露出する場合(複数の内部電極層11bの向きが上から見て90度異なる場合)は、外部電極12-
6の1つの第1面状部分SEaをセラミックチップ11の幅寸法を規定する面上に位置させ、これと連続するように1つの第2面状部分SEbをセラミックチップ11の高さ寸法を規定する面上の一方に位置させれば良い。この場合の外部電極も、略矩形輪郭の1つの第1面状部分SEaと略矩形輪郭の1つの第2面状部分SEbとが連続した形状となるため、外部電極12-
6と同様に、その高さ方向に沿う断面形が略L字形となる。
【0039】
[第3変形事項]
各外部電極12
、12-1及び12-3の第2面状部分SEbをセラミックチップ11の高さ寸法を規定する面上の両方のみに位置する2つとしても良い。この場合の外部電極は、略矩形輪郭の1つの第1面状部分SEaと略矩形輪郭の2つの第2面状部分SEbとが連続した形状となり、その高さ方向に沿う断面形は略コ字形となる。
【0040】
また、複数の内部電極層11bの端がセラミックチップ11の幅寸法を規定する面で露出する場合(複数の内部電極層11bの向きが上から見て90度異なる場合)は、前段落で述べた外部電極の1つの第1面状部分SEaをセラミックチップ11の幅寸法を規定する面上に位置させれば、高さ方向に沿う断面形が略コ字形となる外部電極が得られる。
【0041】
[第4変形事項]
メッキ金属膜12b
、12b-1、12b-3及び12b-6の外面に別のメッキ金属膜を成膜したものを外部電極としても良い。この別のメッキ金属膜は1つに限らず2つ以上であっても構わないが、最外膜のメッキ金属膜の材料とその内側のメッキ金属膜の材料を異ならせることが好ましい。因みに、最も外側のメッキ金属膜に用いられる金属の具体例としては、スズ、銀、パラジウム、金、又は銅が挙げられ、その内側のメッキ金属膜に用いられる金属の具体例としては、白金、銀、パラジウム、クロム、金、銅、又はニッケルが挙げられる。
【0042】
[第5変形事項]
密着力緩和膜12c
、12c-1、12c-3及び12c-6として物理的気相成長法(PVD)を用いて形成された金属膜を示したが、メッキ金属膜12b
、12b-1、12b-3及び12b-6が成膜される面(焼付け金属膜の外
面)に対する該メッキ金属膜の密着力を緩和できるものであれば前記金属膜以外のものも使用できる。例えば、シリカやポリイミド等の非金属材料を膜状に形成したものを前記密着力緩和膜として用いても、先に述べた効果と同等の効果を得ることができる。
【0043】
以上、積層セラミックコンデンサを例として本発明の特徴及び効果等を説明したが、部品本体としてセラミックチップを用いたコンデンサ以外のセラミック電子部品、例えばインダクタやレジスタ等に本発明を適用しても、外部電極によって基板の撓みに基づく応力がセラミックチップに伝わることを抑制して、セラミックチップのセラミック部分やセラミックチップの内外に設けられた導体部分に亀裂や変形等が発生すること、ひいてはセラミック電子部品に性能低下を生じることを極力回避することができる。
【0044】
また、外部電極12-
6と前記第2変形事項で述べた外部電極のような断面形が略L字形の外部電極の場合、並びに、前記第3変形事項で述べた外部電極のような断面形が略コ字形の外部電極の場合は、セラミックチップの内外に設けられた導体部分の態様に応じて、略直方体状のセラミックチップの外面に3個以上の外部電極を設けることが可能であるが、このような場合でも該各外部電極によって基板の撓みに基づく応力がセラミックチップに伝わることを抑制できる。