特許第6106013号(P6106013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106013
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】車両用乗降補助ステップ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/02 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   B60R3/02
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-80705(P2013-80705)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-201264(P2014-201264A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】393011692
【氏名又は名称】和光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069992
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 政義
(72)【発明者】
【氏名】箱石 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】阿部 聖太
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−191793(JP,A)
【文献】 特開平04−321445(JP,A)
【文献】 特開2004−359067(JP,A)
【文献】 実開昭59−135254(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/00 − 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する第1段ステップ板と、該第1段ステップ板の左右側部上方に、基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する左右アッパーアームと、該左右アッパーアームの先端部に上端部が、その下方中間部が前記1段ステップ板の先端寄り左右外側面の中間部に夫々軸支される左右第1連絡アームと、基端部が前記左右第1連絡アームの下端部に軸支され、基端部から前方側中間部の左右外側面に、上端部が前記第1段ステップ板の先端より前方へ延設される左右延設側部の先端部に軸支される左右第2連絡アームの下端部が夫々軸支される第2段ステップ板とからなるともに、前記左右アッパーアームの基端部の少なくとも一方が扇形歯部に設けられて減速駆動機構の出力ピニオンと噛合し、減速駆動機構の回転方向により二段ステップの自動伏倒展開と自動起立格納を作動する車両用乗降補助二段ステップ装置。
【請求項2】
基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する第1段ステップ板と、該第1段ステップ板の左右側部上方に、基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する左右アッパーアームと、該左右アッパーアームの先端部に上端部が、その下方中間部が前記1段ステップ板の先端寄り左右外側面の中間部に夫々軸支される左右第1連絡アームと、基端部が前記左右第1連絡アームの下端部に軸支され、基端部から前方側中間部の左右外側面に、上端部が前記第1段ステップ板の先端より前方へ延設される左右延設側部の先端部に軸支される左右第2連絡アームの下端部が夫々軸支される第2段ステップ板とからなるとともに、前記第1段ステップ板の基端部を軸支する支軸又は前記左右アッパーアームの基端部を軸支する支軸の一方が少なくとも駆動軸に設けられて減速駆動機構に連繋し、減速駆動機構の回転方向により二段ステップの自動伏倒展開と自動起立格納を作動する車両用乗降補助二段ステップ装置。
【請求項3】
モーターギヤを備えるモーターを搭載するモーターブラケットが上下に昇降自在に配備され、そのモーターギヤに噛合い回転を減速伝動する第1減速歯車と、中継歯車と、第2減速歯車と、第3減速歯車からなると共に第3減速歯車に出力ピニオンを備える減速駆動機構を配備したギヤボックスを備えてなる請求項1又は請求項2の車両用乗降補助二段ステップ装置。
【請求項4】
前記減速駆動機構の第1減速歯車は大径歯車部と小径歯車部とから設けられ、大径歯車部は前記モーターギヤに対向し、モーターブラケットが下降時にモーターギヤと噛合して回転が伝動され、モーターブラケットが上昇時にモーターギヤと噛合いがなくなり、減速駆動機構の回転が開放され、中継歯車は前記第1減速歯車の小径歯車に常時噛合し、第2減速歯車は大径歯車部と小径歯車部とから設けられ、第2減速歯車の大径歯車部は前記中継歯車に常時噛合し、第3減速歯車は大径歯車部と小径歯車部である出力ピニオンとから設けられ、第3減速歯車の大径歯車部は前記第2減速歯車の小径歯車部と常時噛合し、第2減速歯車の回転を伝動し、出力ピニオンを回転してなる請求項3の車両用乗降補助二段ステップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動展開と自動格納を減速駆動機構により行える車両用乗降補助二段ステップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基端部2bを軸に回動可能な第1段踏板2と、基端部3bを軸に回動可能な第2段踏板3と、第2段踏板の側面部3a及び第1段踏板の側面部2aにヒンジ接続された連結アーム5と、第2段踏板の側面部3aにヒンジ接続された連結アーム6と、連結アーム5及び連結アーム6がそれぞれ側面部4aにヒンジ接続され、第1段踏板及び第2段踏板の回動動作に従い動作する第3踏板4と、を少なくも備えた3段以上の折り畳み式階段とする、車両用折り畳み式階段が開示されている。
【0003】
特許文献2は、車両ステップ1下部の格納位置Xと車両ステップ1下部前方の張出位置Yの間を移動自在に設けた補助ステップ2であって、該補助ステップ2のフレーム2a上下の夫々に積層支持した上段及び下段ステップ3、4を、上下二段の階段状に変形する様に、相互に段違い平行に移動自在に設け、障害者等が使用する場合に補助ステップ2を上段及び下段ステップ3,4の上下二段の階段状に変形できるようにした、車両用格納式補助ステップが開示されている。
【0004】
特許文献3は、車両ステップS下方に、回転半径が同一な左右一対のアーム3、3aの基端を枢着配置すると共に、該アーム3、3aの先端方を補助ステップ1の底部1a左右に枢着し、この枢着部4、4aより延出したアーム3、3aの先端部の夫々を連接杆5で枢着連結すると共に、アーム3、3aの一方を駆動源7に連繋することにより、駆動源7の駆動力を両アーム3、3aに伝動し、補助ステップ1を確実にしてスムーズに動作させる共に、駆動源7が停止した補助ステップ1の格納又は張出し状態において、両アーム3、3aが補助ステップ1を堅固に支持して安定させる、車両用格納式補助ステップが開示されている。
【0005】
前記特許文献1に開示される発明は、踏板を3段以上としたことで、一段一段の高さを低くし、かつ、最終段を地面に近くまで張り出すことができ、幼児や老人、身体障害者であっても非常に乗降しやすいものとなる。しかし、多段になると車両用折り畳み式階段の全重量も増加し、手動での上げ下げは労力を要するものになる欠点がある。
【0006】
前記特許文献2に開示される発明は、車両ステップ1下部の格納位置Xと車両ステップ1下部前方の張出位置Yの間を移動自在に設けた補助ステップであって、該補助ステップ2が上下二段の階段状に変形する場合と、上下二段を重ねて一段に変形する場合ができるように配備したから、昇降者に適合する親切仕様となったが、反面に構造が複雑となり、コストアップとなった。
【0007】
前記特許文献3に開示される発明は、動作が良好で張出し状態での安定性を向上させた車両用格納式補助ステップが提案されるが、一段式であるため、床面の高い車両では、路面との段差が大きく乗降の容易性は解消されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−191793号公報
【特許文献2】特開2004−210011号公報
【特許文献3】特開2004−359067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の車両用乗降補助ステップはモーター作動式の一段が主流である。しかし、車両ステップ部に取り付けるステップの場合、段差が大きいため、より段差の少ないものが求められている。本発明は補助ステップを二段とし、モーターと減速ギヤを用いて動力による展開と格納を行う車両用乗降補助ステップ装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する第1段ステップ板と、該第1段ステップ板の左右側部上方に、基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する左右アッパーアームと、該左右アッパーアームの先端部に上端部が、その下方中間部が前記1段ステップ板の先端寄り左右外側面の中間部に夫々軸支される左右第1連絡アームと、基端部が前記左右第1連絡アームの下端部に軸支され、基端部から前方側中間部の左右外側面に、上端部が前記第1段ステップ板の先端より前方へ延設される左右延設側部の先端部に軸支される左右第2連絡アームの下端部が夫々軸支される第2段ステップ板とからなるとともに、前記左右アッパーアームの基端部の少なくとも一方が扇形歯部に設けられて減速駆動機構の出力ピニオンと噛合し、減速駆動機構の回転方向により二段ステップの自動伏倒展開と自動起立格納を作動する車両用乗降補助二段ステップ装置にある。
【0011】
基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する第1段ステップ板と、該第1段ステップ板の左右側部上方に、基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する左右アッパーアームと、該左右アッパーアームの先端部に上端部が、その下方中間部が前記1段ステップ板の先端寄り左右外側面の中間部に夫々軸支される左右第1連絡アームと、基端部が前記左右第1連絡アームの下端部に軸支され、基端部から前方側中間部の左右外側面に、上端部が前記第1段ステップ板の先端より前方へ延設される左右延設側部の先端部に軸支される左右第2連絡アームの下端部が夫々軸支される第2段ステップ板とからなるとともに、前記第1段ステップ板の基端部を軸支する支軸又は前記左右アッパーアームの基端部を軸支する支軸の一方が少なくとも駆動軸に設けられて減速駆動機構に連繋し、減速駆動機構の回転方向により二段ステップの自動伏倒展開と自動起立格納を作動する車両用乗降補助二段ステップ装置としてもよいものである。
【0012】
前記車両用乗降補助二段ステップ装置は、モーターギヤを備えるモーターを搭載するモーターブラケットが上下に昇降自在に配備され、そのモーターギヤに噛合い回転を減速伝動する第1減速歯車と、中継歯車と、第2減速歯車と、第3減速歯車からなると共に第3減速歯車に出力ピニオンを備える減速駆動機構を配備したギヤボックスを備えてなるものとしてもよいものである。
【0013】
前記車両用乗降補助二段ステップ装置の減速駆動機構の第1減速歯車は大径歯車部と小径歯車部とから設けられ、大径歯車部は前記モーターギヤに対向し、モーターブラケットが下降時にモーターギヤと噛合して回転が伝動され、モーターブラケットが上昇時にモーターギヤと噛合いがなくなり、減速駆動機構の回転が開放され、中継歯車は前記第1減速歯車の小径歯車に常時噛合し、第2減速歯車は大径歯車部と小径歯車部とから設けられ、第2減速歯車の大径歯車部は前記中継歯車に常時噛合し、第3減速歯車は大径歯車部と小径歯車部である出力ピニオンとから設けられ、第3減速歯車の大径歯車部は前記第2減速歯車の小径歯車部と常時噛合し、第2減速歯車の回転を伝動し、出力ピニオンを回転してなるものとしてもよいものである。
【発明の効果】
【0014】
二段ステップは駆動軸から遠い位置にステップがせり出されるものであるから、二段ステップを格納するために必要なトルクは一段ステップの基軸にかかるトルクに比較して非常に大きくなるが、本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置は減速機構を介することにより小さいモーターでコンパクトに、しかも円滑に作動させることができる。
【0015】
モーター等の原動機に少なくとも一方が連繋して最上段に左右アッパーアームが配備されるものでは、これに軸架される第1段ステップ板、第2段ステップ板、第1左右連絡アーム及び第2左右連絡アームの重力作用が左右アッパーアームに作用して、その伏倒展開と起立格納を円滑に作動させるものである。
【0016】
本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置が、左右アッパーアームの少なくとも一方の基端部に扇形の歯車部が設けられ、この歯車部に出力ピニオンが噛合される構成においては、左右アッパーアームが、支軸を中心に回動して極めてスムーズに補助二段ステップ装置の展開と格納が行えるものである。
【0017】
本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置は、左右のアッパーアームが、外側に配備され、その内側に第1左右連絡アームが配備され、さらに、内側に左右の第1段ステップ板の側面に軸結して連結される左右の第1四辺リンクが設けられ、第1左右連絡アームの下方延長部と第1段ステップ板の左右外側板の先端延長部が設けられ、第1段ステップ板の先端延長部の先端部の左右外側面に第2左右連絡アームの上端が軸結され、第2段ステップ板の基端部の左右外側面に第1左右連絡アームの下端部が軸結されるから、補助二段ステップ装置の展開時と格納時に第1左右連絡アームと第2左右連絡アームとが衝突することなく作動することができる。
【0018】
本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置は、第1段ステップ板と第2段ステップ板の剛性により堅牢に設けることができ、積載荷重を受ける乗降時に前後左右の動揺が少なく安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置の展開時における平面図である。
図2】同じく、左側面図である。
図3】同じく、駆動機構を省略した左側面図である。
図4】同じく、右側面図である。
図5図1のA−A視の部分側面図である。
図6図1のB−B視の部分側面図である。
図7】本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置の格納時の第1段ステップ板、第2段ステップ板の起立状態を示す説明左側面図である。
図8】駆動機構の原動機出力歯車と第1段中間大小伝動歯車、第2段中間連繋歯車、第3段中間大小伝動歯車及び第4段大小終段と左アッパーアームの基端連繋歯車の噛合いを示す側面図である。
図9】駆動機構の原動機出力歯車と第1段中間大小伝動歯車の大径歯車部との噛合・開放機構を示す側面図である。
図10】右アッパーアーム10bの基端外周に突出配備した起立操作子と伏倒操作子を当接して車両用乗降補助ステップの格納時と展開時を検出する起立検出リミットスイッチと伏倒検出リミットスイッチの配置状況を示す配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する第1段ステップ板と、該第1段ステップ板の左右側部上方に、基端部が車両に軸支され、直立状態の折り畳み格納位置と横に張り出すステップ位置との間を回動する左右アッパーアームと、該左右アッパーアームの先端部に上端部が、その下方中間部が前記1段ステップ板の先端寄り左右外側面の中間部に夫々軸支される左右第1連絡アームと、基端部が前記左右第1連絡アームの下端部に軸支され、基端部から前方側中間部の左右外側面に、上端部が前記第1段ステップ板の先端より前方へ延設される左右延設側部の先端部に軸支される左右第2連絡アームの下端部が夫々軸支される第2段ステップ板とからなるとともに、前記左右アッパーアームの基端部の少なくとも一方が扇形歯部に設けられ、モーターギヤを備えるモーターを搭載するモーターブラケットが上下に昇降自在に配備され、そのモーターギヤに噛合い回転を減速伝動する第1減速歯車と、中継歯車と、第2減速歯車と、第3減速歯車からなると共に第3減速歯車に出力ピニオンを備える減速駆動機構を配備したギヤボックスを備え、前記減速駆動機構の第1減速歯車は大径歯車部と小径歯車部とから設けられ、大径歯車部は前記モーターギヤに対向し、モーターブラケットが下降時にモーターギヤと噛合して回転が伝動され、モーターブラケットが上昇時にモーターギヤと噛合いがなくなり、減速駆動機構の回転が開放され、中継歯車は前記第1減速歯車の小径歯車に常時噛合し、第2減速歯車は大径歯車部と小径歯車部とから設けられ、第2減速歯車の大径歯車部は前記中継歯車に常時噛合し、第3減速歯車は大径歯車部と小径歯車部である出力ピニオンとから設けられ、第3減速歯車の大径歯車部は前記第2減速歯車の小径歯車部と常時噛合し、第2減速歯車の回転を伝動し、出力ピニオンを回転し、前記ギヤボックスには、ノブが回転自在に配備され、前記ノブの回転によりネジ軸を上下し、ネジ軸に支架する前記モーターブラケットを、そのモーターブラケットに設けたガイド孔が、ギヤボックスに固定されたガイド軸に沿って移動し、前記減速駆動機構の出力ピニオンを前記左右アッパーアームの基端部の少なくとも一方が扇形歯部に噛合せ、減速駆動機構の回転方向により二段ステップの自動伏倒展開と自動起立格納を作動する車両用乗降補助二段ステップ装置。
【実施例】
【0021】
本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置を、図面に示す実施例の車両用乗降補助二段ステップ装置1により説明すると、ベースフレーム2は、例えば、ワンボックスタイプの自動車のサイドドアの内側室内の凹陥設置部3の設置面3aに設置される。
【0022】
前記ベースフレーム2は、底板2aの両端上面に左端部軸受支板4aと右端部軸受支板4bが立設され、該左端部軸受支板4aと右端部軸受支板4bには、ベースフレーム2の底板2aの両端上面から同じ高さであって、かつ左右同一軸線上に対向して左軸受孔5aと右軸受孔5bが開設され、該左軸受孔5aと右軸受孔5bには、第1段ステップ板6の基端部の両側面より突出する第1左基端軸7aと第1右基端軸7bが嵌挿され、第1段ステップ板6が起伏自在に軸受される。
【0023】
前記左端部軸受支板4aの左側には、右側面に軸受壁板8を配備したギヤボックス9が、その間に左アッパーアーム10aを配備する空間Fを存して配備され、ベースフレーム2の底板2aの両端上面から、前記左軸受孔5aと右軸受孔5bより高位であって、かつ同じ高さの左右同一軸線上に対向して高位左軸受孔11aが左端部軸受支板4aに、高位右軸受孔11bが右端部軸受支板4bに夫々開設される。
【0024】
前記高位左軸受孔11aには、左アッパーアーム10aの基端部に一体に設けた支軸12aが嵌挿されて左アッパーアーム10aが回動自在に配備される。前記高位右軸受孔11bには、右アッパーアーム10bの基端部に一体に設けた支軸12bが嵌挿されて右アッパーアーム10bが回動自在に配備される。
【0025】
他の実施例としては、前記高位左軸受孔11aと高位右軸受孔11bに前記支軸12aと支軸12bは夫々固着されたものでもよく、その場合は、前記左アッパーアーム10aと右アッパーアーム10bの基端部は、夫々軸受孔が設けられ、支軸12a及び支軸12bに回動自在に支承されるものでもよいものである。
【0026】
第1左連絡アーム13aは、その上端部が第1左上端支軸14aにより前記左アッパーアーム10aの先端部の内側面に回動自在に連結され、その先端部寄り中間部が第1左中間支軸15aにより前記第1段ステップ板6の先端部寄り中間部の左外側面に回動自在に連結され、その下端部が第2段ステップ板16の基端部の左外側面に配備される第2左基端軸17aに回動自在に連結される。
【0027】
第1右連絡アーム13bは、その上端部が第1右上端支軸14bにより前記右アッパーアーム10bの先端部の内側面に回動自在に連結され、その先端部寄り中間部が第1右中間支軸15bにより前記第1段ステップ板6の先端部寄り中間部の右外側面に回動自在に連結され、その下端部が第2段ステップ板16の基端部の右外側面に配備される第2右基端軸17bに回動自在に連結される。
【0028】
前記第1段ステップ板6の基端部の第1左基端軸7aと先端部寄り中間部の第1左中間支軸15aの間の長さと、前記左アッパーアーム10aの基端部の支軸12aと先端部の第1左上端支軸14aの間の長さは同一である。また、第1段ステップ板6の基端部の第1左基端軸7aと左アッパーアーム10aの基端部の支軸12aとの上下間の長さは、第1段ステップ板6の先端部寄り中間部の第1左中間支軸15aと左アッパーアーム10aの先端部の第1左上端支軸14aの上下間の長さと同一に構成されるから、前記第1左連絡アーム13aと左アッパーアーム10aと第1段ステップ板6と左端部軸受支板4aとにより第1段左平行辺形リンク18aが構成される。
【0029】
前記第1段ステップ板6の基端部の第1右基端軸7bと先端部寄り中間部の第1右中間支軸15bの間の長さと、前記右アッパーアーム10bの基端部の支軸12bと先端部の第1右上端支軸14bの間の長さは同一である。また、第1段ステップ板6の基端部の第1右基端軸7bと右アッパーアーム10bの基端部の支軸12bとの上下間の長さは、第1段ステップ板6の先端部寄り中間部の第1右中間支軸15bと右アッパーアーム10bの先端部の第1右上端支軸14bの上下間の長さと同一に構成されるから、前記第1右連絡アーム13bと右アッパーアーム10bと第1段ステップ板6と右端部軸受支板4bにより第1段右平行四辺形リンク18bが構成される。
【0030】
前記第1段ステップ板6の左外側板6aは、第1段ステップ板6の前縁より前方へ、所要長さ延設され、その先端部の左外側面に前記第1左中間支軸15aより前方へ所要間隔存して配備される第2左上端支軸19aにより第2左連絡アーム20aの上端部が軸支され、該第2左連絡アーム20aは下端部が、前記第1左中間支軸15aと第2左基端軸17aと同じ間隔をもち、かつ前記第1左中間支軸15aと第2左上端支軸19aとの間隔と同じ間隔をもって第2左基端軸17aより前方の第2段ステップ板16の中間部の左外側面に突出して配備される第2左前側支軸21aにより第2段ステップ板16の中間部の左外側面が連結される。
【0031】
前記第1段ステップ板6の右外側板6bは、第1段ステップ板6の前縁より前方へ、所要長さ延設され、その先端部の右外側面に、前記第1右中間支軸15bと第2右上端支軸19bとの間隔が前記左外側板6aの前記第1左中間支軸15aと第2左上端支軸19aと同じ間隔をもって配備され、第2右上端支軸19bにより第2右連絡アーム20bの上端部が軸支され、第2右連絡アーム20bの下端部が、前記第1左中間支軸15aと第2左基端軸17aと同じ間隔をもち、かつ前記第1左中間支軸15aと第2左上端支軸19aと同じ間隔をもって第2段ステップ板16の中間部の右外側面に突出して配備される第2右前側支軸21bにより第2段ステップ板16の中間部の右外側面が連結される。
【0032】
前記第1左中間支軸15a及び第2左上端支軸19a間の左外側板6aと、第2左基端軸17a及び第2左前側支軸21a間の第2段ステップ板16の左外側部16aと、第1左中間支軸15a及び第2左基端軸17a間の第1左連絡アーム13aと、第2左上端支軸19a及び第2左前側支軸21a間の第2左連絡アーム20aにより第2段左四辺リンク22aが構成される。
【0033】
前記第1右中間支軸15b及び第2右上端支軸19b間の右外側板6bと、第2右基端軸17b及び第2右前側支軸21b間の第2段ステップ板16の右側部16bと、第1右中間支軸15b及び第2右基端軸17b間の第1右連絡アーム13bと、第2右上端支軸19b及び第2右前側支軸21b間の第2右連絡アーム20bにより第2段右四辺リンク22bが構成される。
【0034】
本発明の図面に示す実施例の車両用乗降補助二段ステップ装置1は、前述のように、第1段ステップ板6と第2段ステップ板16が第1段左平行辺形リンク18aと第1段右平行辺形リンク18bと第2段左平行辺形リンク22aと第2段右平行辺形リンク22bとに連結されて構成される。
【0035】
実施例として、前記左アッパーアーム10aの基端部が、支軸12aを中心とする扇型の歯車部23に形成され、該扇型の歯車部23にギヤボックス9に配備される出力ピニオン24が噛合う構成のものでは、出力ピニオン24の回転に従い左アッパーアーム10aは基端部を支承する支軸12aを、右アッパーアーム10bは基端部を支承する支軸12bを中心に夫々回動する。例えば、第1段ステップ板6、第2段ステップ板16及び連結する第1、第2リンクを起立した状態から、図1図6に示すように、第1段ステップ板6及び第2段ステップ板16を車両の側方に突出させて、車両用乗降補助二段ステップ装置1を配備するものである。そして、出力ピニオン24の反対回転により図7に示す左アッパーアーム10a及び右アッパーアーム10bを起立し、第1段ステップ板6、第2段ステップ板16及び連結する第1、第2リンクを起立状態に格納するものである。
【0036】
ギヤボックス9には、モーターギヤ25を備えるモーター26を搭載するモーターブラケット27が上下に昇降自在に配備され、そのモーターギヤ25に噛合う第1減速歯車28から中継歯車29、第2減速歯車30及び第3減速歯車31よりなる減速機構32を経て前記第3減速歯車31の小径歯車部である出力ピニオン24を回転し、前記左アッパーアーム10aの扇型の歯車部23に伝動している。
【0037】
図示しないが、前記モーター26の回転軸とモーターギヤ25とは中間にウオームギヤとホイールギヤの噛合のように、モーター26からの回転は伝達できるが、その反対のホイールギヤの回転は伝達できない伝動手段によって連繋されているものである。
【0038】
前記減速機構32の第1減速歯車28は、大径歯車部28aと小径歯車部28bとから設けられ、大径歯車部28aは、前記モーターギヤ25に対向し、モーターブラケット27が下降時にモーターギヤ25と噛合して回転が伝動される。モーターブラケット27が上昇時にモーターギヤ25と噛合がなくなり、減速機構32の回転が開放される。
【0039】
中継歯車29は、前記第1減速歯車28の大径歯車部28aに常時噛合い、回転が伝動されて第1減速歯車28と共に回転する。
【0040】
第2減速歯車30は、大径歯車部30aと小径歯車部30bとから設けられ、大径歯車部30aは、前記中継歯車29に常時噛合して回転が伝動される。
【0041】
第3減速歯車31は、大径歯車部31aと小径歯車部である出力ピニオン24とから設けられ、大径歯車部31aは、前記第2減速歯車30の小径歯車部30bと常時噛合し、第2減速歯車30の回転を伝動し、小径歯車部である出力ピニオン24を回転し、前記左アッパーアーム10aの扇型の歯車部23に伝動している。
【0042】
ギヤボックス9には、ノブ33が回転自在に配備され、前記ノブ33の回転によりネジ軸34を上下し、ネジ軸34に支架する前記モーターブラケット27を、そのモーターブラケット27に設けたガイド孔35a、35bが、ギヤボックス9に固定されたガイド軸36a、36bに沿って移動するものである。
【0043】
モーターブラケット27を上昇させたとき、モーターギヤ25と第1減速歯車28の大径歯車部28aの噛合をなくし、左アッパーアーム10aをフリーにして第1段ステップ板6及び第2段ステップ板16を手動で操作し、格納することができる。格納した後、ノブ33を回転することによってモーターギヤ25と第1減速歯車28の大径歯車部28aを噛合させると、モーターギヤ25を回転することができないので、すなわち、左アッパーアーム10aと右アッパーアーム10bを手動操作して減速機構32を回転することができないので、左アッパーアーム10aと右アッパーアーム10bを起立状態にロックすることがきる。
【0044】
右アッパーアーム10bの基端部外周には、起立操作子37aと伏倒操作子37bが約180度齟齬して突出配備され、その右アッパーアーム10bの起立格納回動位置と伏倒展開回動位置に対応して起立検出リミットスイッチ38aと伏倒検出リミットスイッチ38bとが前記右端部軸受支板4bの外側面に配備される。
【0045】
図示しないが、前記左アッパーアーム10aを支承する支軸12a又は前記右アッパーアーム10bを支承する支軸12bを左アッパーアーム10a又は右アッパーアーム10bと一体に設け、該支軸12a又は支軸12bを前記第3減速歯車31等の減速機構32に連繋することによりモーター26からの回転を伝達し、前記左アッパーアーム10aを作動させてステップ装置1の全体の起立格納又は伏倒展開を行うこととしてもよいものである。
【0046】
前記支軸12a又は支軸12bを前記第3減速歯車31等の減速機構32に連繋する実施例として、図示しないが、支軸12a又は支軸12bに歯車を取付け、該歯車と前記第3減速歯車31の出力ピニオン24と噛合うものとしてもよいものである。
【0047】
また、第1段ステップ板6の基端部を軸支する第1左基端軸7a又は第1右基端軸7bの少なくとも一方を第1段ステップ板6と一体に設け、該一体に設けた第1左基端軸7a又は第1右基端軸7bと前記第3減速歯車31等の減速機構32に連繋することによりモーター26からの回転を伝達し、前記第1ステップ6を作動させてステップ装置1の全体の起立格納又は伏倒展開を行うこととしてもよいものである。
【0048】
前記第1左基端軸7a又は第1右基端軸7bを前記第3減速歯車31等の減速機構32に連繋する実施例として、図示しないが、第1左基端軸7a又は第1右基端軸7bに歯車を取付け、該歯車と前記第3減速歯車31の出力ピニオン24と噛合うものとしてもよいものである。
【0049】
前記右アッパーアーム10bが起立する格納時には起立操作子37aが接点板39aに接触して起立検出リミットスイッチ38aを入力し、モーター26への給電回路を開放して停止し、車両用乗降補助二段ステップ装置1は格納状態を維持する。また、右アッパーアーム10bが伏倒する展開時には伏倒操作子37bが接点板39bに接触して伏倒検出リミットスイッチ38bを入力し、モーター26への給電回路を開放して停止し、展開した車両用乗降補助二段ステップ装置1は、二段ステップ状態を路面40に対して維持する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置は、車両にコンパクトに設置し、二段ステップの自動展開と自動格納が円滑に行え、老齢化が進む社会の交通ニーズに対応するものである。
【0051】
本発明の車両用乗降補助二段ステップ装置は、堅牢に設けることができ、路面に対して乗降の段差を小さく、動揺が少なく、老齢者を含めて誰もが安心して利用できるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用乗降補助二段ステップ装置
2 ベースフレーム
2a 底板
3 凹陥設置部
3a 設置面
4a 左端部軸受支板
4b 右端部軸受支板
5a 左軸受孔
5b 右軸受孔
6 第1段ステップ板
6a 左外側板
6b 右外側版
7a 第1左基端軸
7b 第1右基端軸
8 軸受壁板
9 ギヤボックス
10a 左アッパーアーム
10b 右アッパーアーム
11a 高位左軸受孔
11b 高位右軸受孔
12a 支軸
12b 支軸
13a 第1左連絡アーム
13b 第1右連絡アーム
14a 第1左上端支軸
14b 第1右上端支軸
15a 第1左中間支軸
15b 第1右中間支軸
16 第2段ステップ板
16a 左外側部
16b 右外側部
17a 第2左基端軸
17b 第2右基端軸
18a 第1段左四辺形リンク
18b 第1段右四辺形リンク
19a 第2左上端支軸
19b 第2右上端支軸
20a 第2左連絡アーム
20b 第2右連絡アーム
21a 第2左前側支軸
21b 第2右前側支軸
22a 第2段左四辺形リンク
22b 第2段右四辺形リンク
23 扇型の歯車部
24 出力ピニオン
25 モーターギヤ
26 モーター
27 モーターブラケット
28 第1減速歯車
28a 大径歯車部
28b 小径歯車部
29 中継歯車
30 第2減速歯車
30a 大径歯車部
30b 小径歯車部
31 第3減速歯車
31a 大径歯車部
32 減速機構
33 ノブ
34 ネジ軸
35a ガイド孔
35b ガイド孔
36a ガイド軸
36b ガイド軸
37a 起立操作子
37b 伏倒操作子
38a 起立検出リミットスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10