(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106124
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ダライ粉の洗浄回収装置
(51)【国際特許分類】
C23G 3/00 20060101AFI20170316BHJP
C22B 1/00 20060101ALI20170316BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20170316BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
C23G3/00 ZZAB
C22B1/00 601
C22B7/00 G
B09B3/00 304J
B09B3/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-83805(P2014-83805)
(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公開番号】特開2015-203146(P2015-203146A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】507157285
【氏名又は名称】株式会社ショウワ
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊秀
【審査官】
内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭48−020091(JP,B1)
【文献】
特開平03−213242(JP,A)
【文献】
特開2012−040518(JP,A)
【文献】
特開2014−018751(JP,A)
【文献】
特開平04−054298(JP,A)
【文献】
特開2005−238077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23G1/00−5/06
B09B1/00−5/00
C22B1/00−61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分が付着したダライ粉を破砕する破砕機、該破砕機から導出されるダライ粉を脱脂洗浄剤を含む洗浄液に分散させる洗浄槽、該洗浄槽内のダライ粉分散液を循環させる循環管路及び循環ポンプ、ダライ粉分散液を遠心脱水によって水切りする脱水機、洗浄槽内のダライ粉分散液を該脱水機へ送る送液管路及び送液ポンプ、該脱水機より放出された洗浄液を前記洗浄槽へ戻す還流管路及び還流ポンプ、脱水後のダライ粉を該脱水機から回収する回収手段、を具備し、
前記循環ポンプ及び送液ポンプがノンシール型のカッターポンプからなると共に、前記脱水機がダライ粉分散液を投入する着脱自在な脱水籠を備え、前記回収手段が脱水後のダライ粉を該脱水籠ごと脱水機から取り出すように構成されてなるダライ粉の洗浄回収装置。
【請求項2】
油分が付着したダライ粉を破砕する破砕機、該破砕機から導出されるダライ粉を脱脂洗浄剤を含む洗浄液に分散させる洗浄槽、該洗浄槽内のダライ粉分散液を循環させる循環管路及び循環ポンプ、ダライ粉分散液を遠心脱水によって水切りする脱水機、前記循環管路から分岐して洗浄槽内のダライ粉分散液を該脱水機へ送る送液管路、該送液管路と前記循環管路との分岐部に介在する流路切換弁、該脱水機より放出された洗浄液を前記洗浄槽へ戻す還流管路及び還流ポンプ、脱水後のダライ粉を該脱水機から回収する回収手段、を具備し、
前記循環ポンプがノンシール型のカッターポンプからなると共に、前記脱水機がダライ粉分散液を投入する着脱自在な脱水籠を備え、前記回収手段が脱水後のダライ粉を該脱水籠ごと脱水機から取り出すように構成されてなるダライ粉の洗浄回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の金属材料のダライ粉を対象として、付着している油分を効率よく洗浄除去して回収するのに用いる洗浄回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、金属材料の各種切削加工における切削屑として発生するダライ粉は、その殆どが回収されて金属資源として様々な形で再利用されている。特に近年においては、電子材料や機能性材料等に使用されたレアメタル及びこれを含む合金のダライ粉も増加する傾向にあり、その回収再利用は省資源及び経済性の両面から重要視されている。しかるに、ダライ粉には切削加工時に用いた切削油による油分が付着しているため、再利用性を高める上で油分を除去することが肝要である。
【0003】
従来、ダライ粉に付着した油分の除去手段としては、ダライ粉をロータリーキルン、回転ドラム、加熱炉等の内部で搬送しつつ、熱風、過熱水蒸気、燃焼排ガス等で熱処理することにより、ダライ粉に付着した油分を蒸発及び熱分解あるいは燃焼させる方法が汎用されている(例えば、特許文献1〜4)。しかるに、これら熱処理による除去方式は、装置が非常に大型化して熱エネルギー消費も多くなり、設備コスト及び稼働コストが嵩むため、小規模な事業所には不向きであることに加え、熱処理に伴う酸化や変質によってダライ粉の資源的価値が低下すると共に、熱処理時に発生するガスや煤によって周辺環境が悪化するという問題があった。
【0004】
一方、ダライ粉の湿式洗浄による処理装置として、工作機械で生じた切削屑(ダライ粉)を洗浄液と共に導出管内を移動させてコンベアー上へ吐出し、該コンベアーの輸送面に設けた落下孔から洗浄液を落下させることで、切削屑と洗浄液とを分離するようにしたものも提案されている(特許文献5)。また、文献としては挙げらないが、従来より一部で採用されている他の湿式洗浄処理として、油分が付着したダライ粉を上方に開放した洗浄バスケットに投入し、この洗浄バスケットをコンベアーに載せて間欠的に搬送し、蒸気洗浄工程、遠心脱水工程、シャワー洗浄・遠心脱水工程、熱風乾燥工程を順次経ることで油分除去及び乾燥を施したのち、洗浄バスケットを反転させて処理後のダライ粉を取り出す方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−96152号公報
【特許文献2】特開2007−302966号公報
【特許文献1】特開2008−2768号公報
【特許文献1】特開2011−12326号公報
【特許文献2】特開平6−226584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような湿式洗浄処理では、ダライ粉をロータリーキルン、回転ドラム、加熱炉等で加熱する熱処理方式に対し、装置を格段に小型化できると共に消費エネルギーも低減でき、設備コスト及び稼働コスト面から小規模な事業所でも採用容易であり、加熱に起因したダライ粉の品質劣化も生じにくい。しかしながら、ダライ粉は概して不揃いな長さのコイル状であって互いに絡み合うため、前記提案の処理装置では、洗浄液と共に管路で輸送すること自体が困難である上、その輸送過程で洗浄液と接触するだけでは油分を十分に除去できず、再利用性の高いダライ粉は得られない。また、前記従来の洗浄バスケットを用いる処理では、バッジ方式であるために処理能率に劣ることに加え、洗浄バスケット内のダライ粉が繊維の如く互いに絡み合って塊状になるため、その中心部まで充分な洗浄作用が及びにくく、中心部での油分の残留によってダライ粉の再利用性が低下する他、遠心脱水の際に塊状のダライ粉が偏り易く、芯振れによる回転停止を招くことが多々あり、これによって処理能率が更に低下するという難点もあった。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて、ダライ粉の洗浄回収装置として、簡素でコンパクトな装置構成により、ダライ粉に付着した油分を連続方式で能率よく除去でき、しかも少ない処理コストで再利用性の高いダライ粉を確実に回収できるものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係るダライ粉の洗浄回収装置は、油分が付着したダライ粉C1を破砕する破砕機1、該破砕機1から導出されるダライ粉C2を脱脂洗浄剤を含む洗浄液に分散させる洗浄槽3、該洗浄槽3内のダライ粉分散液Sを循環させる循環管路L1及び循環ポンプP1、ダライ粉分散液Sを遠心脱水によって水切りする脱水機4、洗浄槽3内のダライ粉分散液Sを該脱水機4へ送る送液管路L2及び送液ポンプP2、該脱水機4より放出された洗浄液Wを洗浄槽3へ戻す還流管路L3及び還流ポンプP3、脱水後のダライ粉C2を該脱水機4から回収する回収手段
、を具備し、
循環ポンプP1及び送液ポンプP2がノンシール型のカッターポンプからなると共に、脱水機4がダライ粉分散液Sを投入する着脱自在な脱水籠5を備え、回収手段が脱水後のダライ粉C2を該脱水籠5ごと脱水機4から取り出すように構成されてなる。
【0010】
請求項
2の発明に係るダライ粉の洗浄回収装置は、油分が付着したダライ粉C1を破砕する破砕機1、該破砕機1から導出されるダライ粉C2を脱脂洗浄剤を含む洗浄液に分散させる洗浄槽3、該洗浄槽3内のダライ粉分散液Sを循環させる循環管路L1及び循環ポンプP1、ダライ粉分散液Sを遠心脱水によって水切りする脱水機4、循環管路L1から分岐して洗浄槽3内のダライ粉分散液Sを該脱水機4へ送る送液管路L2、該送液管路L2と循環管路L1との分岐部に介在する流路切換弁V、該脱水機4より放出された洗浄液Wを洗浄槽3へ戻す還流管路L3及び還流ポンプP3、脱水後のダライ粉C2を該脱水機4から回収する回収手段
、を具備し、
循環ポンプP1がノンシール型のカッターポンプからなると共に、脱水機4がダライ粉分散液Sを投入する着脱自在な脱水籠5を備え、回収手段が脱水後のダライ粉C2を該脱水籠5ごと脱水機4から取り出すように構成されてなる。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明に係るダライ粉の洗浄回収装置では、油分が付着したダライ粉C1は破砕機1によって細かく破砕された状態で洗浄槽3内の洗浄液中に分散され、そのダライ粉分散液Sが循環ポンプP1によって循環管路L1を通して該洗浄槽3内で循環する過程で、洗浄液に含まれる脱脂洗浄剤の作用により、ダライ粉C2から油分が遊離して洗浄液中に溶出するが、該ダライ粉C2は細かい粒子として洗浄液中に分散しているから、短時間の循環によって該粒子表面から油分が確実に除去される。従って、該洗浄槽3内での循環を経たダライ粉分散液Sを送液ポンプP2によって送液管路L2を通して脱水機4へ送り込み、該脱水機4での遠心脱水によって洗浄液Wを除去することにより、油分の付着がなく再利用性の高いダライ粉C2を確実に回収できる。
【0014】
そして、この洗浄回収装置によれば、脱水機4で分離された洗浄液Wが還流ポンプP3によって還流管路L3を通して洗浄槽3へ戻されることで、洗浄槽3内の液量が略一定に保持される一方、該洗浄槽3でのダライ粉分散液Sの循環を行いつつ、脱水機4への送り込みによる減少量に対応して破砕機1から新たにダライ粉C2を補給する形で、連続的に能率よく高度の洗浄回収処理を行える。また、ダライ粉分散液S中のダライ粉C2は、細かい粒子として分散し、元のコイル状を主体とするダライ粉C1のように相互に絡み合うことがないから、循環管路L1や送液管路L2で詰まり生じることがなく、また脱水機4の脱水籠5内で絡み合って塊状になることもないから、遠心脱水中にダライ粉C2の偏りで脱水籠5が芯振れして回転停止する懸念もなく、装置全体を継続的に安定して稼働できる。更に、この洗浄回収装置は、機構的に簡素でコンパクトに構成でき、それだけ設備コストが低減されると共に、熱処理のような大きなエネルギー消費を要さず、洗浄液Wも洗浄力を保持する間は脱水機4で分離された分を洗浄槽3に戻す形で循環使用できるから、稼働コストも少なくて済み、小規模な事業所でもコスト面及び設置スペース面で無理なく採用できるという利点がある。
【0015】
加えて、循環ポンプP1及び送液ポンプP2としてノンシール型のカッターポンプを用いることから、これらポンプP1,P2内でのダライ粉C2の詰まりと噛み込みによる作動不良が防止され、もってより安定した装置稼働を行える。
また、脱水機4の脱水籠5が着脱自在であり、ダライ粉C2の回収手段が脱水後に該脱水籠5ごと脱水機4から取り出すものであるから、この取り出したダライ粉C2入りの脱水籠5を台車7に載せたりコンベアーに移載することで、次の減容工程等の後工程へ容易に搬送できるという利点がある。
【0016】
請求項
2の発明に係る洗浄回収装置では、前述した請求項1の発明に係る洗浄回収装置と略同様の作用効果が得られるが、循環ポンプP1による送液を流路切換弁Vの操作で循環管路L1側と送液管路L2側とに切り換えることで、洗浄槽1での一定時間の循環と脱水機4への送液とを交互に反復する形で洗浄回収処理を行える。この場合、循環ポンプP1が脱水機4への送液ポンプを兼用するから、それだけ設備コストが低減されるが、洗浄槽1での液循環が間欠的になるため、ダライ粉C1の処理量が比較的に少ない場合の装置構成として適している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るダライ粉の洗浄回収装置全体を模式的に示す一部縦断側面図である。
【
図2】本発明の第二実施形態に係るダライ粉の洗浄回収装置全体を模式的に示す一部縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態に係るダライ粉の洗浄回収装置について、図面を参照して具体的に説明する。なお、第二実施形態おいて第一実施形態と共通する構成部については、同一の符号を付すことで、説明の重複を避けている。
【0021】
図1に示すように、第一実施形態のダライ粉の洗浄回収装置は、ドラム缶D等より投入されるダライ粉C1を破砕するホッパー1a付きの破砕機1、該破砕機1から導出される破砕後のダライ粉C2を流下させる傾斜シュート2、該傾斜シュート2から放出されるダライ粉C2を脱脂洗浄剤を含む水系の洗浄液Wに混合分散させる洗浄槽3、収容した脱水籠5をモーターMによって回転させて遠心脱水する脱水機4、該脱水機4より放出された洗浄液Wを一時的に溜める洗浄液貯槽6、搬送台車7、制御装置8を備えている。
【0022】
そして、洗浄槽3には、槽内一側からダライ粉分散液Sを吸い上げて循環管路L1を通して槽内他側へ吐出して循環させる循環ポンプP1と、同様にダライ粉分散液Sを吸い上げて送液管路L2を通して脱水機4の脱水籠5内へ吐出させる送液ポンプP2とが設置されている。また、洗浄液貯槽6には貯留した洗浄液Wを吸い上げて還流管路L3を通して洗浄槽3内へ戻す還流ポンプP3が設置されている。
【0023】
なお、脱水機4の脱水籠5は、モーターMによる回転部に対して着脱自在に構成されており、遠心脱水後に脱水機4から取り出して搬送台車7に載せて搬送できるようになっている。また、破砕機1及び脱水機4とポンプP1〜P3は、制御装置8に入力されたプログラムに基づいて作動制御される。
【0024】
上記構成の洗浄回収装置によれば、ドラム缶D等にて搬入されるダライ粉C1は、不揃いな長さのコイル状のものが主体であり、油分として切削時に使用された切削油が付着した状態で互いに絡み合っているが、破砕機1にて細かく破砕されることで、数mm程度の大きさに断片化されて絡み合いのないダライ粉C2として、傾斜シュート2の下端から洗浄槽1内の洗浄液Wに添加される。このとき、洗浄槽3内では洗浄液Wが循環ポンプP1の駆動によって循環管路L1を通して循環しているから、添加されたダライ粉C2は液循環に伴う撹拌作用を受けて洗浄液W中に分散し、均一なダライ粉分散液Sとして該洗浄槽3内で循環する。そして、この循環過程において、洗浄液に含まれる脱脂洗浄剤の作用により、ダライ粉C2から油分が遊離して洗浄液中に溶出するが、該ダライ粉C2は細かい粒子として洗浄液W中に分散しているから、5分程度の短時間の循環で該粒子表面から油分が確実に除去される。従って、洗浄槽3内での循環を経たダライ粉分散液Sを送液ポンプP2によって例えば5分ごとに脱水機4の脱水籠5内へ送り込み、遠心脱水で洗浄液Wを除去することにより、油分の付着がなく再利用性の高いダライ粉C2が得られる。かくして得られたダライ粉C2は、脱水籠5ごと脱水機4から取り出して搬送台車7に載せ、容積を減らすために圧縮する減容工程等の後工程へ搬送される。
【0025】
一方、この洗浄回収装置では、脱水機4で分離された洗浄液Wが還流ポンプP3によって還流管路L3を通して洗浄槽3へ戻されることで、洗浄槽3内の液量が略一定に保持される一方、該洗浄槽3でのダライ粉分散液Sの循環を行いつつ、脱水機4への送り込みによる減少量に対応して破砕機1から新たにダライ粉C2を補給する形で、連続的に能率よく高度の洗浄回収処理を行える。
【0026】
図2に示す第二実施形態のダライ粉の洗浄回収装置は、上述した第一実施形態の洗浄回収装置における送液ポンプP2を用いる代わりに、ダライ粉分散液Sを脱水機4へ送るための送液管路L2を流路切換弁Vを介して循環管路L1に分岐接続しているが、他の構成は第一実施形態と同様である。
【0027】
この第二実施形態の洗浄回収装置によれば、循環ポンプP1による送液を流路切換弁Vの操作で循環管路L1側と送液管路L2側とに切り換えることで、洗浄槽3での一定時間の循環と脱水機4への送液とを交互に反復する形で洗浄回収処理を行える。この場合、循環ポンプP1が脱水機4への送液ポンプを兼用するから、それだけ設備コストが低減されるが、洗浄槽3での液循環が間欠的になるため、ダライ粉C1の処理量が比較的に少ない場合の装置構成として適している。
【0028】
これら第一及び第二実施形態の洗浄回収装置においては、洗浄槽3内で循環するダライ粉分散液S中のダライ粉C2は、細かい粒子として分散し、元のコイル状を主体とするダライ粉C1のように相互に絡み合うことがないから、循環管路L1や送液管路L2で詰まり生じることがなく、また脱水機4の脱水籠5内で絡み合って塊状になることもないから、遠心脱水中にダライ粉C2の偏りで脱水籠5が芯振れして回転停止する懸念もなく、装置全体を継続的に安定して稼働できる。更に、洗浄回収装置自体は、機構的に簡素でコンパクトに構成でき、それだけ設備コストが低減されると共に、熱処理のような大きなエネルギー消費を要さず、洗浄液Wも洗浄力を保持する間は脱水機4で分離された分を洗浄槽3に戻す形で循環使用できるから、稼働コストも少なくて済み、小規模な事業所でもコスト面及び設置スペース面で無理なく採用できるという利点がある。
【0029】
なお、第一実施形態における循環ポンプP1及び送液ポンプP2、ならびに第二実施形態における循環ポンプP1としては、制約されないが、ノンシール型のカッターポンプ、マグネットポンプ、キャンドモーターポンプ等が好適であり、特にノンシール型のカッターポンプを用いることが推奨される。これは、カッターポンプとしての切断作用で吸入したダライ粉C2のポンプ内流路での詰まりを防止できることに加え、ノンシール型によってポンプ軸封部でのダライ粉C2の噛み込みを回避できることから、これらポンプP1,P2を長期にわたって作動不良なく使用でき、もって装置全体としてのより安定的な稼働を確保できることによる。なお、循環ポンプP3にもノンシール型のカッターポンプを用いてもよい。
【0030】
また、脱水後のダライ粉C2を脱水機4から回収する回収手段として、前記第一及び第二実施形態では該脱水機4の着脱自在な脱水籠5ごと取り出す方式を例示したが、脱水籠5の反転操作等によって他の容器等に移載する方式や、ダライ粉C2が磁性金属である場合に電磁石で吸着して脱水籠5から取り出す方式等、種々の方式を採用てきる。
【0031】
破砕機1としては、コイル状のダライ粉C1を数mm程度に断片化できるものであれば、一般的な一軸型や二軸型の破砕刃を有するものに限らず、様々な破砕機構を備えるものを特に制約はなく使用できる。また、該破砕機1へのダライ粉C1の搬入手段としては、例示したドラム缶Dのような容器を運び込む以外に、ダライ粉C1の発生部や集積部から配設されるベルトコンベア等の自動搬送手段を採用してもよい。
【0032】
本発明の洗浄回収装置を適用するダライ粉の材質としては、鉄及び非鉄金属、これらの合金を含む金属材料の全般が対象となる。また、洗浄液Wに含有させる脱脂洗浄剤としては、ダライ粉に付着した油分を水中に遊離させる作用を有するものであれば特に制約はなく、一般的な非イオン系、アニオン系、カチオン系、両性系の種々の界面活性剤を使用できる。なお、洗浄液には防錆剤等の添加剤を必要に応じて少量配合してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 破砕機
3 洗浄槽
4 脱水機
5 脱水籠(回収手段)
C1 ダライ粉
C2 破砕後のダライ粉
L1 循環管路
L2 送液管路
L3 還流管路
P1 循環ポンプ
P2 送液ポンプ
P3 還流ポンプ
S ダライ粉分散液
V 流路切換弁
W 洗浄液