(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インサート材料が、前記第1の部品上および前記第2の部品上に配置される粉末であり、前記第1の部品および第2の部品が結合される時に前記第1の部品上の前記粉末が前記第2の部品上の前記粉末と結合する、請求項1に記載の方法。
前記第1の一時的液相と前記第2の一時的液相とが、前記第1の部品から前記第2の部品まで延在する前記インサート材料の外面まで延在しない、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態を本明細書において開示するが、しかしながら、開示された実施態様は、様々な代替形態において具体化されてもよい本発明の典型例であるにすぎないと理解されなければならない。図面は必ずしも縮尺通りではない。いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために強調されるかまたは最小にされている場合がある。したがって、本明細書において開示された特定の構造および機能の詳細は限定的であると解されるべきではなく、単に、本発明を様々に使用する当業者に教示するための代表的な基礎として解されるべきである。
【0008】
高強度鋳鉄は車軸構成要素が受ける場合がある高い応力および繰返荷重に耐えることができるため、車軸構成要素は高強度鋳鉄から製造されてもよい。高強度鋳鉄を使用することによって車軸構成要素の複雑な形状を形成できる場合があり、所望の形状を達成するために使用される機械加工プロセスを低減する場合がある。高い応力および繰返荷重に供される場合がある車軸構成要素には、車軸管、ドラムブレーキアセンブリ、キャリアアセンブリ、ブレーキキャリパー等が含まれる場合がある。
【0009】
高強度鋳鉄は炭素およびケイ素を含有してもよく、それらの濃度が高強度鋳鉄の強度および延性に影響を与える場合がある。高強度鋳鉄の炭素およびケイ素含有量は、付属品または他の構成要素を車軸構成要素に溶接して車軸アセンブリを形成することができる能力に影響を与える場合がある。
【0010】
高強度鋳鉄のいくつかの例には、ネズミ鋳鉄、延性鋳鉄、ノジュラー鋳鉄、およびバーミキュラ黒鉛鉄などを含めてもよい。これらの高強度鋳鉄は、流動性鋳鉄と称されてもよい。選択された流動性鋳鉄の材料組成物を以下の表1に示す。鉄および/または残余の元素は、材料組成物の残部の大部分を構成してもよく、簡単にするために表1には記載されない。
【0012】
ネズミ鋳鉄は、黒鉛微細構造物を含有してもよい鋳鉄のタイプである。黒鉛はフレークの形態であってもよく、鉄炭化物の発生を抑える場合がある、ケイ素によって安定化されてもよい。ネズミ鋳鉄中のフレークの形態の黒鉛は、ネズミ鋳鉄の全体にわたって黒鉛の溶解または拡散を増すという結果をもたらす場合がある。黒鉛フレークの溶解または拡散は、ネズミ鋳鉄から製造された部品に脆い領域をもたらす場合がある。
【0013】
延性鋳鉄は、黒鉛微細構造物を含有する鋳鉄のタイプである。黒鉛は球状形態であってもよい。マンガンまたはマグネシウムを添加することによって黒鉛が球状形態をとることができる場合がある。球状微細構造物は、より大きい強度をもたらす場合があり、ネズミ鋳鉄と比べて延性を強化する場合がある。
【0014】
ノジュラー鋳鉄は、ノジュラー状黒鉛微細構造物を含有する延性鋳鉄に類似している。マンガンまたはマグネシウムを添加することによって黒鉛がノジュラー状形態をとることができる場合がある。ノジュラー状微細構造物は、より大きい強度をもたらす場合があり、ネズミ鋳鉄と比べて延性を強化する場合がある。
【0015】
バーミキュラ黒鉛鉄(CGI)は、黒鉛微細構造物を含有する鋳鉄のタイプである。黒鉛は、平滑フレークまたはセミノジュラー状形態であってもよい。セミノジュラー状微細構造物は、ネズミ鋳鉄および延性鋳鉄に対して中間の強度および延性をもたらす場合がある。
【0016】
鋼を使用して、車軸下位構成要素または付属構成要素を形成してもよい。接合法によって鋼構成要素を車軸構成要素に接合して、車軸アセンブリを形成してもよい。付属構成要素は、ブラケット、シュノーケルハウジング、およびその他の取付構成要素であってもよい。
【0017】
鋼車軸下位構成要素または付属構成要素は低炭素鋼から製造されてもよい。低炭素鋼の例は、以下の表2に示される材料組成物を有してもよい。鉄および/または残余の元素が材料組成物の残部を構成してもよいが、簡単にするために表1には記載されない。
【0019】
鋼構成要素を鋳鉄構成要素に溶接することは、基礎鋳鉄材料の強度に影響を与える場合がある問題を生じる場合がある。溶接法から生じた熱は、鋳鉄構成要素の黒鉛微細構造物をさらに溶解または拡散させる場合がある。溶解または拡散は、溶接部に近接して炭化物、マルテンサイト、セメンタイト、またはベイナイトの形成をもたらす場合がある。セメンタイトを含有する形成物は、「白鋳鉄」と称されてもよい。これらの形成物は、鋳鉄から製造された部品の強度を低下させる場合がある。このため、業界標準は概して、広範な、そして費用がかかる溶接作業を行なわない鋳鉄の溶接について、その元の強度を低下させる可能性があるので注意を喚起している。
【0020】
鋳鉄部品を溶接する時に生じる問題に対処する可能な解決策は、鋼構成要素と鋳鉄構成要素との間に配置されるインサート材料を提供して低温冶金接合法を実施することである。インサート材料は、低温冶金接合法が使用される時に鋼構成要素と鋳鉄構成要素との間に一時的液相を生成または形成するように構成されてもよい低融点材料であってもよい。
【0021】
低温冶金接合法は、異なった材料から製造された構成要素を従来の溶接法の場合よりも低い温度において接合することを可能にする場合がある。低温冶金接合法は、鋼構成要素または鋳鉄構成要素の材料性質に悪影響を与えずに鋳鉄構成要素を鋼構成要素に接合する場合がある。
【0022】
低温冶金接合法は、固相拡散接合をもたらす場合がある一時的液相拡散接合法であってもよく、誘導加熱、抵抗加熱、または摩擦発熱を利用してもよい。この方法は、インサート材料の少なくとも一部を溶融して、接合される鋼構成要素および鋳鉄構成要素に対する熱作用を低減する場合があり、またはインサート−ベースメタルの相互作用を低減する場合がある。
【0023】
インサート材料の少なくとも一部が溶融して薄い一時的液相中間層になる場合がある。インサート材料の一部は、鋳鉄構成要素および鋼構成要素などの異なった材料から製造された構成要素よりも低い温度において溶融する場合がある。それ故に、融解温度は、鋼構成要素または鋳鉄構成要素の固相線温度よりも低い温度である場合がある。
【0024】
一時的液相において、インサート材料の層または一部が液化して、鋼構成要素または鋳鉄構成要素中のボイドまたは間隙内に拡散する場合がある。一時的液相がインサート材料と、接合される構成要素との間の界面に沿って広がる時に一時的液相が鋼構成要素および/または鋳鉄構成要素内に拡散する場合がある。鋼構成要素および鋳鉄構成要素に適用される温度は一定に保持されてもよく、薄い一時的液相中間層が等温凝固して構成要素を一緒に接合してもよい。
【0025】
一時的液相接着は、固相のままである鋼構成要素および鋳鉄構成要素内への一時的液相の固相拡散に依拠する場合がある。鋼構成要素、鋳鉄構成要素、およびインサート材料の組合わせを一定の高温に維持して、インサート材料の一時的液相は、接合部から、固相のままである鋼構成要素および鋳鉄構成要素内に拡散する場合がある。固相平衡が達せられるまで一時的液相の固相拡散が継続する場合があり、そのとき、一時的液相は一定の高温において再凝固する場合がある。
【0026】
一時的液相の再凝固は、鋼構成要素または鋳鉄構成要素の構造と同様な構造を有する高品質且つ均質な接着をもたらす場合がある。さらに、一時的液相接着法は、接合された材料の融解温度と同様な融解温度を有する鋼構成要素と鋳鉄構成要素との間の接着部をもたらす場合がある。等温凝固が生じるとき、インサート材料の固相線温度が上昇して、鋼構成要素または鋳鉄構成要素の固相線温度に近づく場合がある。これは、接合された鋼構成要素と鋳鉄構成要素との得られたアセンブリの使用温度または作業温度を改良して、得られたアセンブリが作業中に曝されて耐える温度が鋼構成要素を鋳鉄構成要素に接合する接着温度よりもかなり高くなるようにする場合がある。
【0027】
一時的液相接着は従来のろう付と異なる。例えば、従来のろう付法は充填材と、接合される構成要素との間の合金をもたらす場合がある。充填材と構成要素との間の合金は、接合される構成要素の組成物を溶解するかまたは変化させる場合がある。さらに、溶解は、材料の浸蝕または接合された構成要素の機械的性質をもたらす場合がある。また、得られた接合部は、構成要素の間の充填材の一様でない分布(不均質な接着)のために一時的液相接着を使用して作られた接合部と比べてより脆い場合がある。さらに、充填材は、接合された構成要素の全体的な使用温度を低下させる場合がある。より具体的には、接合された構成要素の得られたアセンブリの全体的な使用温度は、充填材の融解温度以下である場合がある。
【0028】
一時的液相接着と異なり、従来のろう付法はまた、保護雰囲気または流れが、接合される構成要素に適用されることを必要とする場合がある。保護雰囲気または流れは、構成要素が加熱される間に酸化物が形成されるのを防ぐ場合がある。
【0029】
一時的液相接合法において使用されるインサート材料は、鋳鉄構成要素および鋼構成要素と異なる金属合金であってもよい。インサート材料は、ニッケルを含有する金属合金であってもよい。ニッケル組成物はインサート材料の融解温度(液相線温度)に影響を与える場合があり、例えば、インサート材料のニッケル組成物が多くなればなるほど、インサート材料の融解温度が高くなる。インサート材料金属合金は、約5.0重量%〜20.0重量%の範囲のニッケルを含有してもよい。
【0030】
インサート材料のニッケル組成物は、ニッケルが構成要素内に拡散するように鋳鉄構成要素および鋼構成要素と溶解性を有してもよい。ニッケル組成物は、鉄構成要素および鋼構成要素の機械的性質および耐蝕性を改良する場合がある接着温度において著しい固相拡散率を有する場合がある。
【0031】
一時的液相接合の間にインサート材料とベースメタルとの間に拡散が生じるので、鋳鉄構成要素と鋼構成要素の機械的性質が変化する場合がある。例えば、強度および延性などの機械的性質は、ニッケル組成物によって固溶体の強化と微粒化または粒界の強化との組合わせによって改良されてもよい。ニッケル組成物が、ベースメタルの構造および粒の大きさを改良する場合がある。ニッケル組成物は、耐蝕性層を形成するのに役立つ場合がある。
【0032】
図1Aを参照して、車軸アセンブリ構成要素10の断面図が示される。車軸アセンブリ構成要素10は、鋳鉄から製造される第1の部品12と金属合金から製造される第2の部品14とを備えてもよい。金属合金は低炭素鋼であってもよい。第1の部品12は、懸架装置、車軸ハウジング、ドラムブレーキアセンブリ、キャリアアセンブリ、ブレーキキャリパー等の車軸構成要素であってもよい。第2の部品14は、ブラケット、シュノーケル、または他の取付構成要素などの付属構成要素であってもよい。
【0033】
第1の部品12は第1の表面16を有してもよい。第1の表面16は、第1の接合表面または第1の接合面と称されてもよい。第2の部品14は第2の表面18を有してもよい。第2の表面18は、第2の接合表面または第2の接合面と称されてもよい。
【0034】
車軸アセンブリ構成要素10は、インサート材料30をさらに備えてもよい。インサート材料30は、冶金接合法を使用してインサート材料30を加熱する前に第1の部品12を第2の部品14から完全に分離してもよい。
【0035】
インサート材料30は、第1のインサート材料表面32と第2のインサート材料表面34とを有してもよい。第2のインサート材料表面34は、第1のインサート材料表面32の反対側に配置されてもよい。第1のインサート材料表面32は、第1の部品12の第1の表面16に接するかまたは結合するように構成されてもよい。第2のインサート材料表面34は、第2の部品14の第2の表面18に接するかまたは結合するように構成されてもよい。
【0036】
少なくとも1つの実施形態において、第1のインサート材料表面32は、第1のインサート材料表面32の表面積が第1の表面16の表面積にほぼ等しくなるような長さおよび/または幅を有してもよい。第2のインサート材料表面34は、第2のインサート材料表面34の表面積が第2の表面18の表面積にほぼ等しくなるような長さおよび/または幅を有してもよい。
【0037】
インサート材料30は、第1の部品12から第2の部品14まで延在してもよい外面36に沿って延在してもよい高さまたは厚さを有してもよい。インサート材料30の厚さは、接合される鋼構成要素と鋳鉄構成要素との壁厚さおよび一時的液相接合後の所望の得られた接合部の性質に基づいて決定されてもよい。インサート材料30の厚さは、インサート材料30のニッケル含有量によるインサート材料30の液相線温度、接着温度、インサート材料を第1の温度または初期温度から接着温度または液相線温度に加熱する時間、第1の部品12および第2の部品14の接合面の表面積、ならびにインサート材料30の表面積に基づいていてもよい。
【0038】
インサート材料30は、第1の部品12の第1の表面16に対しておよび/または第2の部品14の第2の表面18に対して配置されてもよい。インサート材料30は、様々な形態で提供されてもよい。インサート材料30は、別個の構成要素として、例えば薄い箔、フィラメント/ワイヤー、中間層、テープ、またはプレフォーム、例えばスタンプウエハ、ワッシャー、またはシートとして提供されてもよい。別個の構成要素として提供されるインサート材料30が、第1の部品12の第1の表面16と第2の部品14の第2の表面18との間に配置されてもよく、それらと結合してもよい。
【0039】
また、インサート材料30は、第1の部品12または第2の部品14の少なくとも1つにフィルム、コーティング、ペースト、粉末、または噴霧として適用されてもよい。フィルムまたはコーティングとして適用されるインサート材料30は、第1の部品12および第2の部品14の少なくとも1つの端面上に浸漬、はけ塗り、または噴霧されてもよい。インサート材料30は、インサート材料30が第2の部品14と結合する前に第1の部品12の端面上に配置されてもよく、あるいはその逆であってもよい。
【0040】
少なくとも1つの実施形態において、インサート材料30は、クラッディングなどの接着方法によって第1の部品12または第2の部品14の少なくとも1つの端面に適用されてもよい。インサート材料30は、第1の部品12または第2の部品14の表面上にインサート材料30を加圧または圧延することによって第1の部品12または第2の部品14に接着されてもよい。
【0041】
少なくとも1つの実施形態において、インサート材料30は、粉末形態の金属合金であってもよい。粉末状インサート材料は、所望の接合面に近接して、例えば第1の部品12または第2の部品14の端面に近接して射出または分配されてもよい。粉末が端面上に堆積される時に例えばレーザーなどの熱源が、粉末を溶融してもよい。また、粉末状インサート材料は、第1の部品12の第1の表面16および/または第2の部品14の第2の表面18上に低温粉末噴霧されてもよく、そして第1の部品12または第2の部品14に接着してもよい。粉末状インサート材料は、粉末コーティング、火炎溶射、コールドスプレー法、ウォームスプレー法などの溶射方法、または他のオーバーレイスプレーコーティングを使用して適用されてもよい。
【0042】
少なくとも1つの実施形態において、第1の部品12の第1の表面16または第2の部品14の第2の表面18は、インサート材料30を表面に適用する前に清浄化されてもよい。第1の部品12または第2の部品14は予熱温度に予熱されてもよい。第1の部品12または第2の部品14が予熱温度に達すると、インサート材料30が、所望のインサート材料厚さまで表面上に粉末噴霧されてもよい。あるいは、予熱された第1の部品12または第2の部品14を、インサート材料30を含有する粉末または溶液中に浸漬して閾値厚さよりも大きいインサート材料厚さを達成してもよい。
【0043】
第1の部品12または第2の部品14の予熱によってインサート材料30が表面により有効に接着または付着することができる場合があり、インサート材料30に略均一な厚さを提供することができる場合がある。第1の部品12のコートされた第1の表面16および/または第2の部品14の第2の表面18は、後続の熱処理または硬化工程を受けてもよい。
【0044】
インサート材料30を第1の部品12の第1の表面16および/または第2の部品14の第2の表面18上に堆積した後、第1の部品12および第2の部品14は、隣接されるかまたは互いに近接して配置されてもよい。次に、インサート材料30を加熱して、第1の部品12を第2の部品14に接着するかまたは第1の部品12をインサート材料30に接着し、第2の部品14をインサート材料30に接着してもよい。
【0045】
インサート材料30は、インサート材料30の少なくとも一部が一時的液相になるように様々な方法によって加熱されてもよい。
図1Aに示されるように、第1のインサート材料表面32に近接して配置されたインサート材料30の少なくとも一部が第1の一時的液相40になる場合がある。第2のインサート材料表面34に近接して配置されたインサート材料30の少なくとも一部が第2の一時的液相42になる場合がある。
【0046】
第1の一時的液相40は第1の部品12の第1の表面16と相互作用してもよい。第1の一時的液相40は、第1のインサート材料表面32と第1の部品12の第1の表面16との間のボイドまたは間隙を充填してもよい。第1の一時的液相40が第1の部品12内に固相拡散し、等温凝固して第1の部品12に接着してもよい。
【0047】
第2の一時的液相42は第2の部品14の第2の表面18と相互作用してもよい。第2の一時的液相42は、第2のインサート材料表面34と第2の部品14の第2の表面18との間のボイドまたは間隙を充填してもよい。第2の一時的液相42が第2の部品14内に固相拡散し、等温凝固して第2の部品14に接着してもよい。
【0048】
少なくとも1つの実施形態において、第1の一時的液相40および第2の一時的液相42は、インサート材料30の外面36まで延在しなくてもよい。さらに、第1の一時的液相40は第2の一時的液相42から完全に離隔されてもよい。それ故に、第1の一時的液相40と第2の一時的液相42との間に配置されたインサート材料30の一部は溶融しなくてもよく、または一時的液相にならなくてもよい。
【0049】
図1Bを参照して、インサート材料30の実質的に全てが溶融して一時的液相50になってもよい車軸アセンブリ構成要素10が示される。一時的液相は、第1の部品12および第2の部品14内に拡散してもよい。一時的液相50の、第1の部品12および第2の部品14内への固相拡散は、等温凝固後に第1の部品12と第2の部品14との間に殆ど可視的でない接合部を生じる場合がある。
【0050】
プロジェクション電気抵抗加熱プロセスを容易にするために、インサート材料30、第1の部品12の第1の表面16、第2の部品14の第2の表面18、または第1のインサート材料表面32、または第2のインサート材料表面34が少なくとも1つの突起部を提供されてもよい。第1の電極が、第1の部品12に対して配置され、突起部と整列されてもよい。第2の電極が、第2の部品14に対して配置され、突起部と整列されてもよい。
【0051】
プロジェクション抵抗加熱プロセスの間、電流が第1の電極から第2の電極に流れてもよい。第1の部品12、第2の部品14、およびインサート材料30を通って流れる電流によって発生した熱が、少なくとも1つの突起部をこわすかまたは溶融する場合がある。電流が少なくとも1つの突起部を通って流れることによって、第1のインサート材料表面32に近接して配置されてもよいインサート材料30の少なくとも一部が第1の一時的液相40になり、第2のインサート材料表面34に近接して配置されたインサート材料30の少なくとも一部が第2の一時的液相42になるという結果をもたらす場合がある。
【0052】
少なくとも1つの実施形態において、誘導溶接法が使用されてもよい。誘導コイルまたはコンタクトヘッドが、第1の部品12または第2の部品14に近接して配置されてもよい。誘導コイルが、インサート材料30に作用してもよい電磁界を発生してもよい。誘導コイルは、インサート材料30内に電流を誘導して、第1のインサート材料表面32および第2のインサート材料表面34の少なくとも1つを抵抗加熱してもよい。
【0053】
電磁界によって発生した熱が、第1のインサート材料表面32の少なくとも一部を溶融して、その部分が第1の一時的液相40になるようにしてもよい。電磁界によって発生した熱が、第2のインサート材料表面34の少なくとも一部を溶融して、その部分が第2の一時的液相42になるようにしてもよい。
【0054】
少なくとも1つの実施形態において、摩擦溶接法が使用されてもよい。摩擦溶接法によって第1の部品12が第2の部品14に対して移動され、インサート材料30が加熱されるようにしてもよい。第1の部品12の、第2の部品14に対する相対運動によって生じた摩擦が、第1の部品12の第1の表面16と第1のインサート材料表面32との間の界面および/または第2の部品14の第2の表面18と第2のインサート材料表面34との間の界面を加熱してもよい。
【0055】
インサート材料30を加熱するために使用される加熱方法にかかわらず、インサート材料30が少なくとも接着温度または液相線温度に加熱されて第1の表面16および第2の表面18に接着する時に第1の部品12の第1の表面16および第2の部品14の第2の表面18は溶融しなくてもよい。さらに、インサート材料30が少なくとも接着温度または液相線温度に加熱されて第1の部品12を第2の部品14に接着する時に第1の部品12および第2の部品14は溶融しなくてもよい。
【0056】
図3Aを参照して、異なった材料から製造された構成要素を接合する典型的な方法が示される。
【0057】
欄100において、第1の部品12が提供されてもよい。第1の部品は鋳鉄から製造されてもよい。
【0058】
欄102において、金属合金から製造される第2の部品14が提供されてもよい。第2の部品14は、鋳鉄でない金属合金から製造される付属品または他の車軸構成要素であってもよい。
【0059】
欄104において、インサート材料30が提供されてもよい。第1の部品12および第2の部品14が取付具内に配置されて、第1の表面16が第2の表面18から離隔されるようにしてもよく、インサート材料30が第1の部品12と第2の部品14との間に配置されてもよい。第1のインサート材料表面32が第1の部品12の第1の表面16と結合してもよい。第2のインサート材料表面34が第2の部品14の第2の表面18と結合してもよい。低温接合法によるインサート材料30の加熱が行なわれる前にインサート材料30が、第1の部品12を第2の部品14から完全に分離してもよい。
【0060】
欄106において、インサート材料30を加熱してもよい。インサート材料30を加熱して、インサート材料30の少なくとも一部が一時的液相になるようにしてもよい。一時的液相が第1の部品12および第2の部品14内に固相拡散して、一時的液相が第1の部品12を第2の部品14に接着するようにしてもよい。インサート材料30が加熱される時に第1の部品12および第2の部品14は溶融しなくてもよい。得られたアセンブリをその後、冷却させてもよい。
【0061】
図3Bを参照して、異なった材料から製造された構成要素を接合する別の方法が示される。
【0062】
欄200において、第1の部品12は欄100と同様な方法で提供されてもよい。
【0063】
欄202において、第2の部品14は欄202と同様な方法で提供されてもよい。
【0064】
欄204において、インサート材料30は欄104と同様な方法で提供されてもよい。
【0065】
欄206において、第1のインサート材料表面32は第1の部品12の第1の表面16に接して配置されてもよい。しかしながら、第1の部品12を予熱温度に予熱してから、第1のインサート材料表面32は第1の部品12の第1の表面16に接して配置されてもよい。
【0066】
欄208において、第2のインサート材料表面34は第2の部品14の第2の表面18に接して配置されてもよい。しかしながら、第2のインサート材料表面34が第2の部品14の第2の表面18に接して配置される前に、第2の部品14を予熱温度に予熱してもよい。
【0067】
欄210において、インサート材料30を外部熱源(例えば、トーチ、抵抗加熱等)によって加熱して、上に記載されたように、第1の表面16に接して配置された第1のインサート材料表面32の一部が第1のインサート材料表面32において第1の一時的液相40になり、第2の表面18に接して配置された第2のインサート材料表面34の一部が第2のインサート材料表面34において第2の一時的液相42になるようにしてもよい。第1の一時的液相40が第1の部品12に接着してもよい。第2の一時的液相42が第2の部品14に接着してもよい。第1の一時的液相40および/または第2の一時的液相42が、インサート材料の外面36までおよびから外に延在してもよい。インサート材料30が加熱される時にまたはインサート材料30の第1の一時的液相および第2の一時的液相が第1の部品12および第2の部品14に接着する時に第1の部品12および第2の部品14は溶融しなくてもよい。
【0068】
様々な実施形態が、対応する利点を含む場合がある。例えば、ろう付は、接合される構成要素の間に充填材を分散させる毛管作用の現象に依拠する場合があり、従って構成要素の間に非常に小さな間隙を必要とする場合があるので、一時的液相接合法はろう付と比べて鋳鉄部品と鋼部品との間の間隙をより大きくすることができる場合がある。ろう付法によって形成される得られた接合部の引張強さは、接合される構成要素の間の間隙に影響されやすい場合があり、すなわち、間隙がより大きくなると、得られた接合部の引張強さがより低下する。
【0069】
一時的液相接合法において使用されるインサート材料は、同じ大きさの接合部間隙について従来のろう付法において使用されてもよい充填材と比べてより小さい横断面または厚さを有してもよい。インサート材料が薄くなると、このような接合法を行なうために必要とされるインサート材料がより少なくなるため、コストの低減が可能になる。
【0070】
このインサート材料の組成および適用法は、車軸構成要素の鋼構成要素と鋳鉄構成要素との有効な接合を可能にする場合がある。一時的液相接合は、金属間生成物を抑制しながら、得られた接合部がベースメタル、鋼および鋳鉄の機械的性質を示すことを可能にする場合がある。
【0071】
典型的な実施形態が上に説明されているが、これらの実施形態は本発明の全ての可能な形態を記載することを意図しない。もっと正確にいえば、本明細書において使用された語は限定ではなく説明のための語であり、本発明の精神および範囲から逸脱せずに様々な変更を加え得るということは理解されたい。さらに、様々な実施する実施形態の特徴を組み合わせて本発明のさらなる実施形態を形成してもよい。