特許第6106352号(P6106352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中井 孝の特許一覧 ▶ 浅田 雅宣の特許一覧 ▶ 竹内 準治の特許一覧

特許6106352分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム
<>
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000002
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000003
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000004
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000005
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000006
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000007
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000008
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000009
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000010
  • 特許6106352-分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106352
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】分散型で通信する周辺状況通知携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム、及び周辺状況通知システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20170316BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20170316BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20170316BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
   H04M11/00 302
   G08B25/04 K
   G08B25/10 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-133156(P2015-133156)
(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公開番号】特開2017-17566(P2017-17566A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2015年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】715005354
【氏名又は名称】中井 孝
(73)【特許権者】
【識別番号】515181926
【氏名又は名称】浅田 雅宣
(73)【特許権者】
【識別番号】515181937
【氏名又は名称】竹内 準治
(72)【発明者】
【氏名】中井 孝
【審査官】 藤江 大望
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−084156(JP,A)
【文献】 特開2008−311702(JP,A)
【文献】 特開2010−28806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00−31/00
H04B7/24−7/26
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04W4/00−8/24
8/26−16/32
24/00−28/00
28/02−72/02
72/04−74/02
74/04−74/06
74/08−84/10
84/12−88/06
88/08−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通知者の周辺状況を被通知者に通知するための携帯情報端末群を記憶するための端末データベースと、
該端末データベースに被通知者の固有情報を登録する被通知者登録手段と、
所定条件の成立に基づいて、前記通知者の周辺状況を取得する周辺状況取得手段と、
該周辺状況を表示する周辺状況表示手段と、
他の携帯情報端末にGPS位置情報を要求するための位置情報要求手段と、
他の携帯情報端末からGPS位置情報を受け取る位置情報通信手段と、
他の携帯情報端末のGPS位置情報と自携帯情報端末のGPS位置情報とから携帯情報端末間の距離を算出する距離算出手段と、
この算出した距離と、予め設定された送信距離とを比較する距離比較手段と、
前記端末データベースに記憶されている携帯情報端末群から、該距離比較手段で該送信距離内に位置する携帯情報端末群を選定し、その選定された携帯情報端末群に、前記周辺状況を連続して送信する、周辺状況連続送信手段と
を備え、
他の携帯情報端末から他の周辺状況を連続して受信したとき、
該他の周辺状況を時系列に並べて表示する他の周辺状況時系列表示手段と、
をさらに備えることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯情報端末において、
通知者側であれば、前記周辺状況表示手段に、救援者の表示もさらに行い、
被通知者側であれば、前記他の周辺状況表示手段に、救援者の表示と救援の要請も加えてさらに表示し、
該救援の要請に救援者として応答すれば被通知者の固有情報返信される固有情報返信手段を備えることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項3】
携帯情報端末にダウンロードされる周辺状況通知アプリケーションプログラムであって、
通知者の周辺状況を被通知者に通知するための携帯情報端末群を記憶するための端末データベースに、被通知者の固有情報を登録する被通知者登録処理と、
所定条件の成立に基づいて、前記通知者の周辺状況を取得する周辺状況取得処理と、
該周辺状況を表示する周辺状況表示処理と、
他の携帯情報端末にGPS位置情報を要求するための位置情報要求処理と、
他の携帯情報端末からGPS位置情報を受け取る位置情報通信処理と、
他の携帯情報端末のGPS位置情報と自携帯情報端末のGPS位置情報とから携帯情報端末間の距離を算出する距離算出処理と、
この算出した距離と、予め設定された送信距離とを比較する距離比較処理と、を実行し、
前記端末データベースに記憶されている携帯情報端末群から、該距離比較処理で該送信距離内に位置する携帯情報端末群を選定し、その選定された携帯情報端末群に、前記周辺状況を連続して送信する、周辺状況連続送信処理と、を実行し、
他の携帯情報端末から他の周辺状況を連続して受信したとき
該他の周辺状況を時系列に並べて表示する他の周辺状況時系列表示処理と、をさらに実行することを特徴とする周辺状況通知アプリケーションプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載の周辺状況通知アプリケーションプログラムであって、
通知者側であれば、前記周辺状況表示処理に、救援者の表示もさらに行い、
被通知者側であれば、前記他の周辺状況表示処理に、救援者の表示と救援の要請も加えてさらに表示し、
該救援の要請に救援者として応答すれば被通知者の固有情報返信される固有情報返信処理を実行することを特徴とする周辺状況通知アプリケーションプログラム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の周辺状況通知アプリケーションプログラムであって、
通知者の周辺状況を通知させるための前記端末データベースを、通知者の所属する組織で構成される第1端末データベースと、家族と友人で構成される第2端末データベースとの二種で構成することを特徴とする周辺状況通知アプリケーションプログラム。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の携帯情報端末群と、該携帯情報端末群と通信可能な端末管理サーバとを含む周辺状況通知システムであって、
前記端末データベースに被通知者を登録する際に、携帯情報端末の扱いが未習熟な通知者に成り代わって、登録者本人を被通知者として登録できることを特徴とする周辺状況通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当事者(以降、通知者とする)が、通知者周辺の静止画像・動画像と事件発生位置・地図画像、音声、事件発生時刻など周辺状況をグループ化して一度に、予め登録された携帯情報端末群に、情報管理センターを介さずに携帯情報端末同士で通信して距離を算出し、設定距離内の携帯情報端末に、分散型で周辺状況通知する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周辺状況通知の一つである従来の危険通知は、警備会社が契約者に貸与したGPS機能付き警戒機器の緊急ボタンを介して、該警備会社の防犯コントロールセンターで集中管理されていた。危険情報を一旦該防犯コントロールセンターで受けてから警備員が救援に向かう故に、緊急対応性に難があった。また警備員の確保や、警備員が常駐するための拠点の設置などの整備が必要で、サービス向上を追求すればセンター集中型の危険通知方式は大がかりになるきらいがある。
【0003】
他にも地域住民の防犯を考えれば、自治体などは多数の防犯カメラを設置しなければならない。ただ設置しただけで安心というわけにはいかない。たとえば死体が遺棄されており、数千台もの防犯カメラに映っている可能性の高い動画像データがあれば、初動段階では犯罪の場所や時刻が特定できないため、多人数の捜査員をもって、該動画像データを調べ尽くさなければならない。また、このような防犯システムの構築のために、防犯カメラやモニタ室などの設置費用、及び画像分析のための開発費などの多額の防犯費用を要する。
【0004】
本発明に関係する、携帯情報端末を利用した通知システムとして、特許文献1と特許文献2を挙げた。特許文献1は、携帯電話機から音声・画像・位置データが犯罪通報サーバに送信され、そこに登録された通知先すべてに、危険情報を配信する。ここでの配信は、犯罪通報サーバで管理するセンター集中型になっている。
【0005】
特許文献2は、グループの利用者同士が情報提供サーバに予め登録されており、情報提供サーバが利用者の携帯端末の位置情報を常に把握し、所定の距離内に接近したことを、前記情報提供サーバが利用者に自動通知する。ここでの自動通知も、情報提供サーバで管理するセンター集中型である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−344659号公報
【特許文献2】特開2004−312694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
周辺状況通知の一つである従来の危険通知方式には、防犯コントロールセンターや、情報を管理するための情報管理センターを必要とした。本発明は、このような防犯コントロールセンターや情報管理センターを中心とするセンター集中型ではなく、危険に遭遇した、もしくは危険が予想される通知者が主となる分散型であって、予め登録された携帯情報端末群に該通知者の周辺状況を通知することによって、前記通知者自身を守ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出し、本発明を完成させた。
【0009】
請求項1に記載の発明にかかる携帯情報端末は、通知者の周辺状況を被通知者に通知するための携帯情報端末群を記憶するための端末データベースと、該端末データベースに被通知者の固有情報を登録する被通知者登録手段と、所定条件の成立に基づいて、前記通知者の周辺状況を取得する周辺状況取得手段と、該周辺状況を表示する周辺状況表示手段と、他の携帯情報端末にGPS位置情報を要求するための位置情報要求手段と、他の携帯情報端末からGPS位置情報を受け取る位置情報通信手段と、他の携帯情報端末のGPS位置情報と自携帯情報端末のGPS位置情報とから携帯情報端末間の距離を算出する距離算出手段と、この算出した距離と、予め設定された送信距離とを比較する距離比較手段と、前記端末データベースに記憶されている携帯情報端末群から、該距離比較手段で該送信距離内に位置する携帯情報端末群を選定し、その選定された携帯情報端末群に、前記周辺状況を連続して送信する、周辺状況連続送信手段と、を備え、他の携帯情報端末から他の周辺状況を連続して受信したとき、該他の周辺状況を時系列に並べて表示する他の周辺状況時系列表示手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯情報端末において、通知者側であれば、前記周辺状況表示手段に、救援者の表示もさらに行い、被通知者側であれば、前記他の周辺状況表示手段に、救援者の表示と救援の要請も加えてさらに表示し、該救援の要請に救援者として応答すれば被通知者の固有情報返信される固有情報返信手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、携帯情報端末にダウンロードされる周辺状況通知アプリケーションプログラムであって、通知者の周辺状況を被通知者に通知するための携帯情報端末群を記憶するための端末データベースに、被通知者の固有情報を登録する被通知者登録処理と、所定条件の成立に基づいて、前記通知者の周辺状況を取得する周辺状況取得処理と、該周辺状況を表示する周辺状況表示処理と、他の携帯情報端末にGPS位置情報を要求するための位置情報要求処理と、他の携帯情報端末からGPS位置情報を受け取る位置情報通信処理と、他の携帯情報端末のGPS位置情報と自携帯情報端末のGPS位置情報とから携帯情報端末間の距離を算出する距離算出処理と、この算出した距離と、予め設定された送信距離とを比較する距離比較処理と、を実行し、前記端末データベースに記憶されている携帯情報端末群から、該距離比較処理で該送信距離内に位置する携帯情報端末群を選定し、その選定された携帯情報端末群に、前記周辺状況を連続して送信する、周辺状況連続送信処理と、を実行し、他の携帯情報端末から他の周辺状況を連続して受信したとき、該他の周辺状況を時系列に並べて表示する他の周辺状況時系列表示処理と、をさらに実行することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の周辺状況通知アプリケーションプログラムであって、通知者側であれば、前記周辺状況表示処理に、救援者の表示もさらに行い、被通知者側であれば、前記他の周辺状況表示処理に、救援者の表示と救援の要請も加えてさらに表示し、該救援の要請に救援者として応答すれば被通知者の固有情報返信される固有情報返信処理を実行することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の周辺状況通知アプリケーションプログラムであって、通知者の周辺状況を通知させるための前記端末データベースを、通知者の所属する組織で構成される第1端末データベースと、家族と友人で構成される第2端末データベースとの二種で構成することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の携帯情報端末群と、該携帯情報端末群と通信可能な端末管理サーバとを含む周辺状況通知システムであって、前記端末データベースに被通知者を登録する際に、携帯情報端末の扱いが未習熟な通知者に成り代わって、登録者本人を被通知者として登録できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる携帯情報端末、周辺状況通知アプリケーションプログラム及び周辺状況通知システムによれば、防犯コントロールセンターや情報管理センターを中心とするセンター集中型ではなく、危険に遭遇した、または危険が予想される通知者が主となる分散型であって、予め登録された携帯情報端末群に該通知者の周辺状況を通知して前記通知者自身を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】通知者が周辺状況を分散型で配信する概念図である。
図2】分散型周辺状況通知の通知者側と被通知者側とにおける構成例を示す概念ブロック図である。
図3】GPS位置情報を通信し配信範囲の被通知者に通知者が周辺状況を分散型で配信する図である。
図4】配信範囲での分散型周辺状況通知の通知者側と被通知者側とにおける構成例を示すブロック図である。
図5】通知者側の詳細な構成例を示すブロック図である。
図6】被通知者側の詳細な構成例を示すブロック図である。
図7】通知者ユーザの代わりに被通知者であるユーザが登録する状況を示す図である。
図8】端末データベースの作成手順と、被通知者の表示一覧とを示す図である。
図9】通知者側における周辺状況と救援者の固有情報とを画面に表示した例である。
図10】被通知者側における周辺状況と救援者とを画面に表示した例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態について詳細に説明する。通知者の携帯情報端末のホーム画面にある携帯アプリのアイコン、またはアイコン代替の操作ボタンを、該通知者がクリック(所定条件の成立)すると、カメラが起動する。前記通知者周辺の静止画像・動画像、事件発生位置・地図画像、音声、事件発生時刻などの周辺状況をグループ化して一度に、自己の携帯情報端末に予め登録されている他の携帯情報端末に分散型で送信する。
【0026】
ただし前記クリック(所定条件の成立)には、前記通知者周辺の画像から得られる明度ヒストグラムの統計値や、周囲の騒音の音量・音質、並びに前記通知者自身の心拍数・脈拍数、体温など身体が発するシグナルが、常に計測されており、それぞれの決めておいた閾値から外れたときに、自動的に操作ボタンが起動される場合も含む。以降のクリックについても、救援コールボタン60のクリックを除いて、同様である。
【0027】
また前記携帯アプリのアイコンまたはアイコン代替の操作ボタンは、即座に操作できる箇所に配置させる工夫が必要である。たとえば携帯情報端末のホーム画面に前記アイコンを優先して表示させたり、周辺通知アプリ専用の操作ボタンが携帯情報端末に装着できたりしておればなお良い。
【0028】
本発明の携帯情報端末には、さらにGPS機能を付ける。そして送信の可不可の制御は、他の携帯情報端末からGPS位置情報を受信して、距離比較手段により決定する。
【0029】
図1は、通知者が周辺状況を分散型で配信する概念図である。同図において、Aさん及びBさんを含む複数のユーザは、端末データベース106に登録された被通知者である。
【0030】
また、同図では、通知者が中心に配置されているが、当然ながらAさんまたはBさんが通知者になる場合も考えられる。そのときは、同図の中心の通知者は、立場が変わり被通知者に早変わりするのである。つまり主客が入れ替わる。このような立場逆転はセンター集中型では成しえない。
【0031】
図2は、分散型周辺状況通知の通知者側と被通知者側とにおける構成例を示す概念ブロック図である。同図左が通知者側、同図右が被通知者側である。
【0032】
まず同図左において、周辺状況取得手段108で得られた通知者の周辺状況を一旦周辺状況保存部110に保存し、該周辺状況を周辺状況表示手段109によって、前記通知者の携帯情報端末の画面に表示する。該表示と同時に、前記周辺状況は、端末データベース106に登録された被通知者に対して送信部より送られる。
【0033】
前記周辺状況の送信メリットの一つとして以下に述べる。通知者が、危険に遭遇する可能性が高ければ、その可能性の高い場所までに到達するまでの該通知者の周辺状況を、手動であればその都度、また事前に連続設定にしてあれば1回目のクリックで連続モードにして、予め登録されている携帯情報端末群に前記通知者が送信できる。このことで、万が一のための安全対策を講じることができる。つまり前記周辺状況を連続で送信すれば、防犯カメラの代用ができる。ドライブレコーダやボディーカメラのような録画機器の簡便版の送信機として、現場の周辺状況を連続送信することができる。それゆえに危険人物に会うために現場に向かっている経路を予測できたり、不慮の犯罪に会っても移動中の経路を残すことができたりする。
【0034】
それに通知者本人が発信するゆえ、犯罪場所や該犯罪場所までの経路が特定できるので、多数の防犯カメラが持つ大量の動画像データから、犯罪の場所や時刻を特定する必要がなくなる。24時間監視の防犯カメラを多数設置しなくても済むので、人口密度の低い地方でも対応可能である。
【0035】
図2に戻る。端末データベース106への被通知者の固有情報の登録は、教育機関などの組織で携帯情報端末を管理(図7参照)するのか管理しないのかで異なる。同図左の被通知者登録手段103は、組織での携帯情報端末管理を考慮していない。通知者の携帯情報端末の登録画面から被通知者の携帯情報端末の登録を行う。ただし手入力は面倒なので一旦自己携帯情報端末に登録されると、携帯情報端末同士の通信によって予め登録されているお互いの固有情報を自己の携帯情報端末に受信したり、相手の携帯情報端末に送信したりして登録することもできる。
【0036】
またGPS機能のついていないデスクトップ型やノートブック型のパソコンの電子メールアドレスも固有情報として登録することができる。それ故に、警備会社の緊急連絡のための電子メールアドレスを登録すれば、小規模な安価な警備システムを構築できる。
【0037】
また、電子メールアドレスを通じて前記周辺状況を自宅のパソコンに送れば、不慮の犯罪に会っても事故現場の足跡を残すことができる。
【0038】
図2右において、通知者からの前記周辺状況を受信部101aで受け取り、前記周辺状況を周辺状況保存部110aに保存し、同時に前記周辺状況を周辺状況表示手段109aによって、被通知者の携帯情報端末の画面に表示する。なお、通知者と被通知者との立場逆転の可能性を表すために同図右の構成を同図左に点線で示している。
【0039】
図3は、GPS位置情報を通信し配信範囲の被通知者に通知者が周辺状況を分散型で配信する図である。設定距離で決まる配信範囲に居る被通知者に対して、通知者が周辺状況を配信する。車利用であれば、30分で50km程度を走れるので、通知者100を中心として、該通知者から被通知者100a、100bを含む設定距離を50kmにすることも想定範囲内である。
【0040】
被通知者(Aさん)の携帯情報端末100aは、通知者100からの位置情報要求信号を受信すると、受信した時点でのGPS位置情報を通知者に返信する。
【0041】
図4は、配信範囲での分散型周辺状況通知の通知者側と被通知者側とにおける構成例を示すブロック図である。図2の概念ブロック図にさらにGPSによる現在位置の測位手段を設け、他の携帯情報端末とGPS位置情報を交換することによって、設定距離内の携帯情報端末に前記周辺状況を送るようにしている。図2と同じく、同図左が通知者側、同図右が被通知者側である。
【0042】
前記位置情報要求信号は、初めて携帯アプリのアイコンまたはアイコン代替の操作ボタンをクリックしたとき、または通知者・被通知者共々移動するので設定時間の経過ですべての距離フラグ32(図8)がリセットされたときに、まず同図左の位置情報要求手段111によって、前記位置情報要求信号が送信部102より送られる。これは他の携帯情報端末との距離情報を得るためである。
【0043】
同じく同図左において、周辺状況取得手段108で得られた通知者の周辺状況を一旦周辺状況保存部110に保存し、該周辺状況を周辺状況表示手段109によって、通知者の携帯情報端末の画面に表示(図9(a)参照)する。
【0044】
前記周辺状況は、端末データベース106に登録された携帯情報端末に対して、以下の距離比較手段で選定されて送信される。
【0045】
携帯情報端末の選定は、前記位置情報要求信号が送信部102より送られて始まる。送信は、端末データベース106内の選択フラグ31(図8)がON状態にあるすべての携帯情報端末に対して行われる。
【0046】
次に前記位置情報要求信号が引き金となって、同図右の受信部101aで受け、位置情報通信手段104a、そして送信部102aを経て、通知側の受信部101が受けて、位置情報通信手段104と距離算出手段105によって得られた距離が、まず端末データベース106に記憶される。設定距離との距離比較手段107によって、設定範囲内の携帯情報端末が選ばれるという手順を踏む。なお、携帯アプリ起動時であれば、距離情報を得た後に距離フラグがON状態になれば、直ちに前記周辺状況が送信される。
【0047】
前記設定距離内の携帯情報端末に、分散型で周辺状況通知するので、通知者の近くにいる、登録されている被通知者が迅速に事件発生場所に駆けつけることができる。
【0048】
被通知者は前記位置情報要求信号の他に通知者の周辺状況も受信する。その場合は、同図右において、該周辺状況を受信部101aで受け取り、前記周辺状況を周辺状況保存部110aに保存し、同時に前記周辺状況(現場の静止画像50、現場の地図画像51、時刻52、現在位置57)を周辺状況表示手段109aによって、被通知者の携帯情報端末の画面に表示(図10参照)する。
【0049】
表示画面の救援コールボタン60をクリックすれば、被通知者の固有情報が固有情報返信手段119aによって返信される。該固有情報の返信は、従来の危険通知方式では行われていない。ここで救援コールボタンは、特許請求の範囲の請求項4及び請求項9に関連する。以降の図5及び図6の説明中にある救援コールボタンと救援者もまた同様である。
【0050】
前記固有情報返信手段によって、被通知者の前記固有情報を通知者に知らせるとき、知人・友人であれば前記固有情報を送る必要はない。しかし通知者が救援者かどうか判別できない場合もある。たとえば契約している警備会社の緊急連絡で駆けつける警備員がある。この場合は該警備員の固有情報を要する。
【0051】
図4左の通知者側の構成例を示すブロック図をさらに詳細にしたのが図5である。携帯アプリのアイコンまたはアイコン代替の操作ボタンのクリックで、カメラが起動する。通知者周辺の静止画像・動画像114と地図画像115が一旦メモリ117に保存され、該地図画像に位置情報が配置されるように画像処理される。次に該画像や該位置情報、時刻などが周辺状況保存部110に保存される。それらの情報が周辺状況表示手段109で表示される。該表示と同時にバッファに一時保存118に、前記画像のみならず、事件発生位置116、音声、事件発生時刻113など周辺状況が保存される。図10に示す画像50・地図51・時刻52・救援コールボタン60・位置情報57・救援者53など情報を一挙に表示するためである。
【0052】
救援者の氏名が保存されている救援者保存部112においても、前記周辺状況を送信する際に救援者がいるかどうかがチェックされ、もし救援者がおれば、追加でバッファに一時保存118に保存される。
【0053】
その後、それらすべてが一度に、送信部102より、他の携帯情報端末に送信される。
【0054】
受信部101に入ってくる情報には、二種の情報がある。1つは、前記位置情報要求信号に応えた位置情報104a(図6)である。もう1つは救援コールボタンのクリックに伴って受け取る、被通知者の氏名・顔画像・位置情報119a(図6)の固有情報と到達時間120a(図6)である。
【0055】
位置情報104a(図6)の方であれば、該位置情報をもとに距離算出手段105によって得られた距離を端末データベース106に記憶する。その後、設定距離との距離比較手段107によって、設定範囲内の携帯情報端末なら送信可、設定範囲外であれば送信不可という制御を送信部102に対して行う。
【0056】
救援コールボタン60の方であれば、救援者の氏名は、前記救援者保存部112に保存される。
【0057】
さらに、被通知者の氏名・顔画像・位置情報119a(図6)の固有情報と到達時間120a(図6)は、周辺状況保存部110に保存される。救援者53が周辺状況表示手段109で表示(図9(a))された場合、該救援者53をクリックすれば、救援者の固有情報である氏名54、顔画像55、発信者位置58と到達時間56などがさらに提示(図9(b))される。
【0058】
図4右の被通知者側の構成例を示すブロック図をさらに詳細にしたのが図6である。同図においては、受信部101aで受け取った通知者からの周辺状況は、一旦周辺状況保存部110aに保存され、該保存と同時に周辺状況表示手段109aによって携帯画面に前記周辺状況が図10のように表示される。
【0059】
同図の救援コールボタン60をクリックすれば、被通知者の氏名・顔画像・位置情報119aの固有情報と到達時間120aが通知者に送信される。
【0060】
発信者位置58(図9(b))は、通知者が送ってきた周辺状況保存部110aから地図情報を取り出し、画像処理によって前記発信者位置が付与される。また携帯情報端末に加速度センサーが装着されておれば、通知者と被通知者の距離そして加速度を時間で積分した速度から到達時間算出120aされ、被通知者の固有情報である氏名54、顔画像55に合わせて、到達時間56や前記発信者位置が付与された地図画像もバッファに一時保存118aに保存され、送信部102aより送られる。
【0061】
救援コールボタン60を使用しない事例の一つとして、自治会レベルの狭い地域での周辺通知利用方法がある。たとえば、迷子になって自宅に帰れなくなっている徘徊老人の画像と位置・地図画像を、見つけた通知者が、受信を了承した地域住民一部の、予め登録された携帯情報端末群に送信することができる。このように介護で困っている地域住民に、前記徘徊老人の居場所を通知できるので、この周辺状況通知システムのサービスは地域住民に安心を提供できる。
【0062】
もう一つの事例として、周辺画像と位置・地図画像などの現場状況を配信できるので、警察官が容疑者を追跡しながら、容疑者の周辺画像と居場所を、捜査チームで共有する利用法がある。周辺状況通知のための携帯アプリのアイコン、またはアイコン代替の操作ボタンを携帯情報端末につけるだけで、容疑者の周辺状況が、捜査チームに適宜送られ、迅速にそれらの情報をチームで共有できる。
【0063】
直前の事例を変容させたものである。プロジェクトチームを組んで、たとえばプラント・高速道路・大型ビルの建設工事を行う場合、工事進捗状況の把握やメンバー間の調整を素早く行うためには、メンバー間で常に情報共有しておく必要がある。地図画像の代わりに設計図を利用し、その図面中での通知者の位置情報と周辺画像がプロジェクトチームに送られることで、工事進捗状況をチームで共有できる。
【0064】
図7は、通知者ユーザの代わりに被通知者であるユーザが登録する状況を示す図である。被通知者を登録するには、図2及び図4左の被通知者登録手段103のように携帯情報端末の登録画面から通知者本人が被通知者を登録する方法と、ここ図7で述べるように、通知者である園児・生徒・学生に成り代わって、保護者が自分を被通知者として登録する方法がある。
【0065】
後者の登録方法には、携帯情報端末群と通信可能な端末管理サーバ20が必要となる。そして該端末管理サーバは、携帯情報端末の端末IDと該端末IDに対応する被通知者の固有情報を記憶するための端末管理データベース24を備える(図7(a))。なお、端末IDは、携帯情報端末を識別するためのIDコードである。
【0066】
同図(b)で被通知者となる保護者がユーザ登録すると、同図(a)のユーザ登録部22で該被通知者の端末IDが0120に割り当てられる(同図(c))とする。その後、被通知者の固有情報25と通知者のユーザ名26が前記端末管理サーバ(同図(a))に向け送信される。
【0067】
端末ID0120から前記端末管理サーバへの登録情報が端末管理基本台帳(同図(e))に登録された様子を同図(e)中の●印で示す。2名の通知者ユーザ1160055と1160061は、端末ID0120の最終項目である通知者端末IDに、該通知者ユーザに割り当てられている端末ID0055と0061で記憶される。なお、同図(e)上段における「学校関係」の固有情報の最終項目である通知者端末IDが0000になっているのは、下段の「携帯から登録」の固有情報と区別するためである。
【0068】
図8は、端末データベースの作成手順と、被通知者の表示一覧とを示す図である。同図(a)(b)は、図7(a)における端末管理基本台帳23から端末管理データベース24への作成の手順を詳細に示したものである。さらに同図(c)では、各携帯情報端末にそれぞれ端末固有の端末データベース106を作成する手順と、最後に同図(d)(e)では、二種の被通知者の表示一覧を示している。この二種とは、教育機関が定める必要修学年数の期間で更新しない第1端末データベースと、被通知者の固有情報を登録するたびに更新する第2端末データベースである。なお、図8(a)と図7(e)は同じ端末管理基本台帳である。
【0069】
図8(a)上段の「学校関係」の固有情報は、中高・大学など各教育機関で設定される。最後の項目である「通知者端末ID0000」27は、各端末ID(通知者)に対して、被通知者が記憶されていないことを意味する。またこの通知者端末IDで昇順に並べ替えると、該通知者端末IDが0000である「学校関係」の固有情報は入れ替えされずに、同図(b)になる。こういうことができるのも、携帯画面からの被通知者の登録があれば該被通知者の固有情報が、上段の「学校関係」が存在する端末管理基本台帳の最終レコードから追加されて、下段の「携帯から登録」の箇所に登録されるからである。
【0070】
ただし同図(a)の「通知者端末ID0055、0061」28は、2つに分かれ、同図(b)では、通知者端末ID0055と0061に対する、被通知者として「端末ID0120」が記憶されている。つまりここで、携帯情報端末の扱いが未習熟な通知者に成り代わって、登録者本人が、該未習熟な通知者の端末データベース106に被通知者として登録されるのである。これは特許請求の範囲の請求項13に関する。
【0071】
図8(c)は、同図(b)の「通知者端末ID0060」29だけを抽出した端末データベース106である。該端末データベースの項目は、端末管理データベース24のそれより多く、ロック30、選択フラグ31、距離数、距離フラグ32の項目が追加されている。
【0072】
4つの該項目について述べる。通知者が該通知者の周辺状況を送信してもよいと思えば、前記通知者が選択フラグ31をONにする。距離数は距離算出手段より得た他の携帯情報端末との距離である。距離フラグ32は設定距離範囲内ならONにされる。
【0073】
ロック30は設定距離範囲外でも必ず送信したい場合に前記通知者がONにする。というのも通知者が、また被通知者が同じ場所に留まるとは限らないために、設定時間の経過ですべての距離フラグ32をOFFにリセットされなければならないからである。よって距離フラグをリセットされないようにロックをONにしておく。なお距離フラグをリセットした時点で、選択フラグ31がON状態になっているすべての携帯情報端末との通信でGPS情報を得て、距離フラグを設定し直す。
【0074】
図8(d)は、同図(c)上段の「学校関係」の固有情報が携帯情報端末に移行されたことを示す。「学校関係」の前記端末データベースは、卒業するまで更新することはない。つまり1回限りの移行である。同図(e)は、同図(c)下段の「家族・友人・警備会社」の固有情報の移行である。被通知者の追加・削除でその都度更新される。
【0075】
図9は、通知者側における周辺状況と救援者の固有情報とを画面に表示した例である。同図(a)は、通知者側における該通知者の周辺状況を画面に表示した例である。周辺状況通知が分散型である故に、今は通知者側であっても立場が変わって、被通知者の周辺状況を他の携帯情報端末から受信することも当然考えられる。ここでは、被通知者側になっていないので、つまり被通知者からの周辺状況を受け取っていないので現在表示されていない。同様に、被通知者側における周辺状況と救援者とを画面に表示した例である図10においても、通知者側になったときの、周辺状況は現在表示されていない。
【0076】
この実施形態によれば、通知者の身に危険が迫ったとき、該通知者の周辺状況を即座に家族・友人に、もし契約してあれば警備会社にも通知できる。通知者が主となる分散型の本発明は、警備・防犯の分野で、廉価な防犯システムを構築でき、今日の社会における妬みや憎悪などを引き金とする犯罪の抑止としても多大な効果が期待できる。
【符号の説明】
【0077】
100〜118 通知者側の携帯情報端末の構成要素
100a〜120a 被通知者側の携帯情報端末の構成要素
20〜24 端末管理サーバの構成要素
25〜32 端末データベースの構成要素
50〜58 携帯表示画面の構成要素
60 救援コールボタン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10