(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106375
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】光線治療器
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-153432(P2012-153432)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-14482(P2014-14482A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 一雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 照巳
(72)【発明者】
【氏名】本間 直樹
(72)【発明者】
【氏名】須摩 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】田代 義幸
【審査官】
白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−534517(JP,A)
【文献】
特開2007−163358(JP,A)
【文献】
特開平02−135302(JP,A)
【文献】
実公昭48−017598(JP,Y1)
【文献】
実開昭57−095466(JP,U)
【文献】
特開平08−320424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも光源と、該光源からの光をガイドする導光ロッドと、該導光ロッドの端部が臨む接続用ソケットと、前記光源を冷却する冷却ファンと、治療に必要な制御をする電子部品と、該電子部品を操作して治療内容を設定し表示できる制御表示パネルとを装備した本体部と、
複数本の光ファイバーを束ねた導光部と、該光ファイバーを隣接状態に平板状に広げたパッド部とを備えた治療部とからなり、
前記治療部における導光部の端部は、前記本体部の接続用ソケットに挿着可能な受光用プラグに形成し、
前記受光用プラグは前記接続用ソケットに挿着した時に連結が維持されるように、前記接続用ソケットの開口部にリング状の永久磁石を配置すると共に、前記受光用プラグの前記接続用ソケットと当接する面に前記永久磁石の吸着作用を受けるが密着しない間隔をもってリング状の磁力受け板を設け、
前記受光用プラグは前記接続用ソケット側に設けた永久磁石の吸着作用で挿着連結が維持されていること
を特徴とする光線治療器。
【請求項2】
前記接続用ソケット側には、前記受光用プラグが挿着されているか否かを検出するセンサーが設けられており、
該センサーは、前記接続用ソケットに前記受光用プラグが挿着されているときにのみ、光源をオンにする機能を有すること
を特徴とする請求項1に記載の光線治療器。
【請求項3】
前記センサーは、光学的センサーか機械的センサーのいずれかであること
を特徴とする請求項2に記載の光線治療器。
【請求項4】
前記本体部の接続用ソケットに隣接して、該接続用ソケットを覆う方向に付勢されているスライド式のシャッターを設けていること
を特徴とする請求項1乃至2に記載の光線治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として新生児の高ビリルビン血症の治療に使用される治療器で、操作部や表示部を有する光源となる本体部と、該本体部とは別体で、前記光源に接続される光ファイバーと新生児を載置して治療するパッド部とからなる安全性に優れた光線治療器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の医療用の光線治療器としては、パッド式ではないが、光源から光ファイバーを介して治療部まで光線を導出して治療を行う複数の光線治療器が公知になっている。
第1の公知技術としては、光源を有する本体部と、該本体部から延出した導光部と、該導光部の前記本体部と反対側に連結されたハンドピースとを備え、該ハンドピース部から被照射物に光を照射する光照射装置であって、前記導光部は、光ファイバーを束ねた光バンドルファイバーで構成され、前記ハンドピース部には、その内部に前記光バンドルファイバーから照射された光の出力分布を略均一化する光均一化部材を設置したことを特徴とする光照射装置または光線治療器である(特許文献1参照)。
【0003】
この第1の公知技術に係る光線治療器においては、人体や動物の患部に略均一化した出力の光を照射して治療できるため、赤外線による関節痛或いは褥創の加熱治療、レーザー光によるあざの治療等、均一出力分布光を必要とする医療用途に良好な治療効果を期待できる。特に、光線力学的治療(PDT)により癌等の組織を治療する際に、均一度の高い光照射ができるため有効である。また、光バンドルファイバーにより自由な角度から照射できるため、操作性が優れているというものである。
【0004】
また、第2の公知技術は、光源と、前記光源と光学的に接続可能な複数の第1の光ファイバと、前記複数の第1の光ファイバの各々とそれぞれ光学的に接続された複数のプローブと、前記複数の第1の光ファイバのうち、前記光源と光学的に接続される第1の光ファイバを切り換える導光制御部を備えることを特徴とする光線治療器である(特許文献2参照)。
【0005】
この第2の公知技術に係る光線治療器においては、光源から出力された光線を、複数のプローブの各々から、出力を低下させることなく患部に照射可能となる。そのため、体の深部に対する治療を容易にし、治療時間の短縮を図ることが可能となる。また、複数のプローブからの照射を、1つの光源を用いて実施することが可能であるため、プローブと同数の光源(例えば、レーザ素子)を必要としていた従来の光線治療器に比べて、比較的安価に製造することが可能であるというものである。
【0006】
さらに、第3の公知技術は、複数の異なる光源からの光を集光し導光する光学系と、集光し導光された光を多重搬送する光ファイバケーブルと、該光ファイバケーブルの先端からの出力光を投影する少なくとも1枚の投影レンズが設置されたハンドピースとを有することを特徴とする光線治療器である(特許文献3参照)。
【0007】
この第3の公知技術に係る光線治療器においては、複数の光源を1つの機械にまとめ省スペース化を図ることができる。また必要に応じて複数の異なる波長領域の光を合成することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−56608号公報
【特許文献2】特開2006−223665号公報
【特許文献3】特開2006−217990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記第1の公知技術に係る光線治療器においては、前記導光部は、光ファイバーを束ねた光バンドルファイバーで構成され、ハンドピース部には、その内部に前記光バンドルファイバーから照射された光の出力分布を略均一化する光均一化部材を設置し、目視できる患部に対して均一でスポット的な出力の光を照射して治療するというものであるが、光源から放射される光を外部に漏れないように、光均一化部材と光バンドルファイバーとが、ソケットとプラグとの挿着による連結ではなく、一連に固定的に連結されており、それによって光源と光バンドルファイバーとが簡単には分離できない構成になっている。
【0010】
また、前記第2の公知技術に係る光線治療器においては、1つの光源から出力された光線を、導光制御部で時分割して複数の光ファイバーとその先端に設けたプローブの各々から、出力を低下させることなく体内の患部に照射可能としたものであるが、光源と光ファイバーとの間に配設された導光制御部に対して、光源側と光ファイバー側とが一連に連結固定されていて、簡単には分離できない状態で連結されている構成になっている。
【0011】
さらに、前記第3の公知技術に係る光照射装置においては、省スペース化を図るために、複数の異なる光源を1つの機械(筐体)にまとめて設け、これら光源からの光を光学的に集光し導光する多重搬送の1本の光ファイバケーブルを機械(筐体)の上面より延出して設け、該光ファイバケーブルの先端から複数の異なる波長領域の合成光を投影するレンズを設けて患部に照射するというものであるが、前記第1及び第2の公知技術と同様に、光源を内蔵した機械と光ファイバケーブルとが一連に連結固定されて簡単には分離できない状態で連結されている構成になっている。
【0012】
ところで、この種の光線治療器においては、小型で搬送式のものを除いては、専用の治療室が設けられており、治療器を取り扱う医師や看護師または技者らは、治療用の光線を浴びないように仕切られたスペース内から、リモートコントロールにより操作して治療を行うようにしている。また、小型で搬送式の新生児用の光線治療器においては、キャスター付きの架台に載置して、外部と遮断した新生児室に持ち込んで使用することが多く、該新生児室には新生児用のベッドが多数並んでおり、特に、高ビリルビン血症を治療する青または緑もしくは青・緑色発光の光線治療器は、架台の一部に新生児の収容スペースを設け、該スペースに新生児を収容して治療を行うようにしているが、治療器を取り扱う医師や看護師は、青または緑もしくは青・緑色発光の光線を長く見続けると目に悪影響を及ぼすので、特殊な眼鏡を掛けて操作するようにしている。
【0013】
しかしながら、この種の搬送式の治療器においては、本体に対する電源コードの接続や、本体内の光源に対する導光用の光ファイバーの接続があって、コードや光ファイバーの一部が架台からはみ出した状態になっているが、新生児の移動または治療に係る体位変更などの作業において、特に、光ファイバーを引っ張ったり、はみ出した部分に手や肘が不用意に引っ掛かったりして、架台や本体部をひっくり返したりすることがあり、それによって、慌てて新生児を急激に力強く持ち上げて移動させることで弱い皮膚を傷付けたり、または、治療器を床に落下させて破損させたりする虞があり、安全性に問題がある。
【0014】
従って、公知技術に係る小型で搬送式の光線治療器においては、光ファイバーを引っ張ったり、はみ出し部分に手や肘が不要意に引っ掛かっても、架台や本体部がひっくり返えらないようにし、新生児に対する慌てた扱いをしないようにすると共に、治療器の破損に繋がらないようにすることに解決課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記前記課題を解決する具体的手段として、少なくとも光源と、該光源からの光をガイドする導光ロッドと、該導光ロッドの端部が臨む接続用ソケットと、前記光源を冷却する冷却ファンと、治療に必要な制御をする電子部品と、該電子部品を操作して治療内容を設定し表示できる制御表示パネルとを装備した本体部と、複数本の光ファイバーを束ねた導光部と、該光ファイバーを隣接状態に平板状に広げたパッド部とを備えた治療部とからなり、前記治療部における導光部の端部は、前記本体部の接続用ソケットに挿着可能な受光用プラグに形成し、前記受光用プラグは前記接続用ソケットに挿着した時に連結が維持されるように、前記接続用ソケットの開口部にリング状の永久磁石を配置すると共に、前記受光用プラグの前記接続用ソケットと当接する面に
前記永久磁石の吸着作用を受けるが密着しない間隔をもってリング状の磁力受け板を設け、前記受光用プラグは前記接続用ソケット側に設けた永久磁石の吸着作用で挿着連結が維持されていることを特徴とする光線治療器を提供するものである。
【0016】
本発明に係る光線治療器の発明は、前記接続用ソケット側には、前記受光用プラグが挿着されているか否かを検出するセンサーが設けられており、該センサーは、前記接続用ソケットに前記受光用プラグが挿着されているときにのみ、光源をオンにする機能を有すること;前記センサーは、光学的センサーか機械的センサーのいずれかであること;前記本体部の接続用ソケットに隣接して、該接続用ソケットを覆う方向に付勢されているスライド式のシャッターを設けていること、を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光線治療器によれば、医師や看護師などの術者が誤ってまたは不用意に肘などにひっ掛けてパッド部を引っ張ったりしても、接続用ソケットから受光用プラグが直ぐに離脱して、光源をオフにすると共に、本体部を転倒させたり落下させたりしないばかりでなく、接続用ソケットの開口部から青または緑もしくは青・緑色発光色の光を外部に照射しないので、新生児や術者が青または緑もしくは青・緑色発光色の光線を直接浴びることがないので安全性に優れるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る光線治療器は、本体部の接続用ソケットに隣接して、該接続用ソケットを覆う方向に付勢されているスライド式のシャッターを設けていることにより、青または緑もしくは青・緑色発光色の光を外部に照射しないように遮断できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の好ましい実施の形態に係る光線治療器における本体部と治療部とを分離して示した正面側の斜視図である。
【
図2】同実施の形態に係る光線治療器において、本体部と電源コードとを分離して示した背面側の斜視図である。
【
図3】同実施の形態に係る光線治療器の本体部と治療部とを接続した状態における本体部を略示的に示した断面図である。
【
図4】同実施の形態に係る光線治療器の本体部における制御表示パネルを示す正面図である。
【
図5】同実施の形態に係る光線治療器の治療部における
図1のA−A線に沿うパッド部を略示的に示した拡大断面図である。
【
図6】同実施の形態に係る光線治療器の本体部のソケット部分を拡大して示した斜視図である。
【
図7】同実施の形態に係る光線治療器の治療部のプラグ部分を拡大して示した斜視図である。
【
図8】同実施の形態に係る光線治療器の本体部における
図1のB−B線に沿う要部を略示的に示した拡大断面図である。
【
図9】同実施の形態に係る光線治療器の本体部と治療部との接続部分における要部を略示的に示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1〜2において、本発明に係る光線治療器は、本体部1と該本体部1に接続・離脱可能な治療部2とから構成されている。
本体部1は、正面側に設けた操作部となる制御表示パネル3と、治療部2の接続用ソケット4と、該接続用ソケット4を開閉するばね付勢されたスライド式のシャッター5とを有すると共に、両側面及び底部には換気口6を設け、上面には取っ手部7が設けられている。さらに、背面側には、冷却ファンによる送気用のフィルタ8と、電源用ソケット9とが設けられており、該電源用ソケット9には適宜の電源コード10が接続される。
【0021】
治療部2は、複数本の柔軟性のある光ファイバーを棒状に束ねた導光部11と、該導光部11からの光ファイバーを平面状に整列させて広げて新生児を乗せることができ、且つ全体がほぼ均等に発光するパッド部12としたものである。また、導光部11の自由端側は受光用プラグ13の形状に形成され、該受光用プラグ13の近傍には、光ファイバー保護のために適宜のキャップ14が施蓋できるように設けられている。
【0022】
本体部1は、
図3に示したように、その内部に、例えば、青または緑もしくは青・緑色発色のLEDからなる光源15を取り付けた基板16を配設し、該光源15の発光側、即ち、前面側に光を飛散しないようにガイドするコアクラッド仕様の導光ロッド17が取付け部材18を介して配設され、該導光ロッド17の先端部は前記接続用ソケット4に臨ませてある。また、前記基板16は光源15の熱を放熱するための放熱部材19に密着させて取り付けられ、該放熱部材19の背面側に冷却・放熱用の空気を送風するための冷却用ファン20が配設され、その他に、本体部1の機能を制御するために必要な複数の電子部品21が搭載されている。
【0023】
また、制御表示パネル3については、
図4に示したように、ランプ(光源)時間表示灯22、患者照射時間表示灯23、高・中・低の調光表示部24、調光調整ボタン25、照射時間やメッセージ表示部26、ランプボタン27、患者ボタン28、パイロットランプ29、及び電源スイッチ30が設けられており、前記した機能制御の電子部品21を操作して、本体部1の機能を患者に合った適正な治療状態にセッテングし、その制御表示パネル3によって、医療関係者の誰でもが、常に患者の治療状態を目視にて確認することができるのである。
【0024】
治療部2におけるパッド部12は、
図5に示したように、導光部11から繋がっている複数本の光ファイバー31(例えば、東レ製のPJR−FB500)を平面状に広げて隣接状態に整列させて並べ、その隣接状態に並べた光ファイバー31を接着手段32、例えば、両面接着テープ(例えば、3M製の皮膚貼付用両面テープ1510)を使用して柔軟性のあるシート状の高反射部材33(例えば、ATT製のレイブライトRB97UN−BM)上に貼着させ、安定した状態で定着固定させる。次に、整列状態に定着させた光ファイバー31の上面に露光処理してから、透光性の柔軟なシート材で形成した袋状カバー材34で全体を被覆する。この場合に、透光性の柔軟なシート材として、無黄変タイプで高透明・高柔軟なウレタンシートを使用し、該ウレタンシートで中仕切りのある扁平で上下2層の袋体34a、34bに形成した袋状カバー材34であり、上部の袋体34aには無黄変タイプで透明・柔軟なウレタンゲルまたはスチレンゲル等の高分子ゲルを詰めた保護表層部35とし、下部の袋体34bに高反射部材33に定着固定し露光処理した光ファイバー31を挿着収納してパッド部12が形成される。更に、使用時にはパッド部12に、吸水性の生態適合性のある高柔軟な不織布で同形状の袋状に形成したパッドカバー12aを被せて使用する。
【0025】
そして、治療器として使用する場合には、
図3に示したように、本体部1の接続用ソケット4に治療部2の受光用プラグ13を挿着して接続するものであり、それによって光源15、導光ロッド17、受光用プラグ13を含む導光部11内の光ファイバー31による光路が確立され、パッド部12から予定した光が照射されるのである。しかしながら、光源15のLEDが発光することで発熱するが、冷却ファン20による積極的な送気で、放熱部材19を介してLED自体はジャンクション許容温度(125℃)以下に維持されるが、照射側に位置する導光ロッド17には、ジャンクション許容温度以上の高熱の光が照射され、その導光ロッド17と対面する受光用プラグ13内の光ファイバー31が高熱の光によって溶解し導光機能を喪失する虞がある。
従って、それを防止するために、導光ロッド17と受光用プラグ13との間に耐熱ガラスなどの透光性の断熱部材36を配設し、好ましくは、受光用プラグ13の端部に設けた方がメンテナンスの上で好適である。この耐熱ガラスなどの断熱部材36の厚みは、導光機能に支障を与えないように、1〜3mm程度の範囲のものが使用される。要するに、光源15とパッド部12との間の光路中に断熱部材36が配設されれば良いのである。
【0026】
次に、本発明における本体部1と治療部2との接続維持と安全性とに特徴があるので、それらについて
図6〜
図9を用いて説明する。
まず、
図6及び
図7に示したように、本体部1における接続用ソケット4の開口部にリング状の永久磁石37を配設すると共に、治療部2側の受光用プラグ13には、前記接続用ソケット4と当接する面にリング状の磁力受け板、即ち、金属板38を配設してある。
このように、永久磁石37と金属板38とを設けたことにより、本体部1の接続用ソケット4に治療部2の受光用プラグ13を挿着して接続する構成であるが、ソケット4に対するプラグ13の挿着による摩擦力によって接続が維持されるのではなく、接続用ソケット4側の永久磁石37の吸着力で受光用プラグ13の接続が維持されるのである。
【0027】
この場合に、永久磁石37と金属板38とが密着すると、比較的強い力でないと引き離すことができなくなるので、両者が密着しない程度の間隔、例えば、0.5〜1mm程度の間隔をもって対峙するように設定される。この程度の間隔であれば、永久磁石37と金属板38とが密着していない状態でも、永久磁石37の吸着力が金属板38に作用して、接続用ソケット4に対して挿着された受光用プラグ13の接続が安定して維持される。そして、不用意に治療部2に引っ張る作用を加えたときに、受光用プラグ13が簡単に離脱するので、本体部1を載置した架台がひっくり返ったり、または、落下させたりして破損させることはないのである。
【0028】
さらに、
図8及び
図9に示したように、例えば、本体部1に治療部2が接続されているか否かを検出するセンサーを設ける。このセンサーは、要するに、接続用ソケット4に受光用プラグ13が挿着されているか否かのセンサーであって、例えば、発光素子と受光素子とからなる光学的センサーであり、接続用ソケット4の両側に対峙させて発光ダイオード39とフォトダイオード40とを配設し、受光用プラグ13の挿着部13aが、接続用ソケット4に挿着されたときに、発光ダイオード39からの光が遮断され、フォトダイオード40からの信号によりLEDからなる光源15が点灯して青または緑もしくは青・緑色発色光を照射し、導光部11内の光ファイバー31を介してパッド部12から青または緑もしくは青・緑色発色光が照射されるのであり、それによって、治療ができるのである。なお、このセンサーについては、受光用プラグ13が挿着されたときに機械的なスイッチがオンする形式を採用することもできるのである。また、発光ダイオード39とフォトダイオード40の配置は、接続用ソケット4に入るゴミや埃などからの保護のために水平にすることが望ましい。
【0029】
そして、治療中に、例えば、不用意に治療部2を引っ張って受光用プラグ13が接続用ソケット4から離脱すると、光源15が直ちにオフになって青または緑もしくは青・緑色発色光の照射が中断すると共に、スライド式のシャッター5が自動的に接続用ソケット4の開口部を覆い、青または緑もしくは青・緑色発色光が外部に照射されないようにして、新生児や術者が青または緑もしくは青・緑色発色光を直接浴びないようにしているのである。仮に、センサーに不具合が生じても、スライド式のシャッター5が存在することで、青または緑もしくは青・緑色発色光の外部照射を遮断することができるのである。
要するに、前記した永久磁石による接続維持と、本体部1に治療部2が接続されているか否かを検出するセンサーとによって二重の安全性が確保されているのである。
【0030】
このように、本体部1に、少なくとも光源15と、制御機能を有する電子部品21と、制御を設定し表示する制御表示パネル3とを装備し、該本体部1に、内部に光ファイバー31を有する導光部11を介して接続し、パッド部12から青または緑もしくは青・緑色発色光を照射して新生児の治療を行う治療部2とからなる光線治療器であって、パッド部12の発光面の上に新生児を仰向けにして寝かせ、本体部1の制御表示パネル3を操作して治療のための設定を行って作動させるものであり、パッド部12と接触している新生児の皮膚を効率的に治療するのである。ところで、光線治療器の使用において安全性を確保するために、本体部1の接続用ソケット4に挿着して接続される治療部2の受光用プラグ13は、接続用ソケット4側に設けた永久磁石37の吸着作用で連結が維持される構成にしたこと、および接続用ソケット4側には、前記受光用プラグ13が挿着されているか否かを検出するセンサーを設け、該センサーは、接続用ソケット4に受光用プラグ13が挿着されているときにのみ、光源15をオンにする機能を有する構成にしたことによって、医師や看護師などの術者が誤ってまたは不用意に肘などにひっ掛けてパッド部12を引っ張ったりしても、接続用ソケット4から受光用プラグ13が直ぐに離脱して、光源15をオフにすると共に、本体部1を転倒させたり落下させたりしないばかりでなく、接続用ソケット4の開口部から青または緑もしくは青・緑色発光色の光を外部に照射しないので、新生児や術者が青または緑もしくは青・緑色発光色の光線を直接浴びることがないので安全性に優れたものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る光線治療器は、本体部1の接続用ソケット4に挿着して接続される治療部2の受光用プラグ13は、接続用ソケット4側に設けた永久磁石37の吸着作用で連結が維持される構成にしたこと、および接続用ソケット4側には、前記受光用プラグ13が挿着されているか否かを検出するセンサーを設け、該センサーは、接続用ソケット4に受光用プラグ13が挿着されているときにのみ、光源15をオンにする機能を有する構成にしたことによって、特に、搬送式で小型の光線治療器を転倒または落下による破損を避けると共に、接続用ソケット4の開口部から青または緑もしくは青・緑色発光色の照射光を外部に照射しないようにしたので、安全性を高めたものであり、この種の他の光線治療器にも広く利用できるのである。
【符号の説明】
【0032】
1 本体部
2 治療部
3 制御表示パネル
4 接続用ソケット
5 シャッター
6 換気口
7 取っ手部
8 フィルタ
9 電源用ソケット
10 電源コード
11 導光部
12 パッド部
12a パッドカバー
13 受光用プラグ
13a 挿着部
14 キャップ
15 光源
16 基板
17 導光ロッド
18 取付け部材
19 放熱部材
20 冷却用ファン
21 電子部品
22 ランプ(光源)時間表示灯
23 患者照射時間表示灯
24 高・中・低の調光表示部
25 調光調整ボタン
26 照射時間やメッセージ表示部
27 ランプボタン
28 患者ボタン
29 パイロットランプ
30 電源スイッチ
31 光ファイバー
32 接着手段(両面接着テープ)
33 高反射部材
34 袋状カバー材
34a 上部の袋体
34b 下部の袋体
35 保護表層部
36 断熱部材
37 永久磁石
38 金属板(磁力受け板)
39 発光ダイオード
40 フォトダイオード